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  • 特開-仮設足場およびその設置方法 図1
  • 特開-仮設足場およびその設置方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002993
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】仮設足場およびその設置方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 1/14 20060101AFI20241226BHJP
   E04G 5/16 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
E04G1/14 301Z
E04G5/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103413
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 正道
(57)【要約】
【課題】自立可能な高さを上げることができる仮設足場およびその設置方法を提供する。
【解決手段】横方向に離れた位置において上下方向に延びる一対の建地材18と、前記建地材18どうしを横方向に接続する横架材20を備える鳥居型の建枠12を上下方向に複数連結した構造を有する仮設足場10であって、上下の前記建枠12の前記建地材18に沿って上下方向に設けられ、締結具26を介して前記建地材18に固定される補強材14を備えるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に離れた位置において上下方向に延びる一対の建地材と、前記建地材どうしを横方向に接続する横架材を備える鳥居型の建枠を上下方向に複数連結した構造を有する仮設足場であって、
上下の前記建枠の前記建地材に沿って上下方向に設けられ、締結具を介して前記建地材に固定される補強材を備えることを特徴とする仮設足場。
【請求項2】
前記補強材は、横方向に離れた位置において上下方向に延びる一対の管材と、前記管材どうしを横方向に連結する連結材を備える梯子状またはトラス状の補強材であり、片側の前記管材が前記締結具を介して前記建地材に固定されることを特徴とする請求項1に記載の仮設足場。
【請求項3】
請求項1または2に記載の仮設足場を設置する方法であって、
上下の前記建枠の前記建地材を上下方向に連結した後、前記締結具を用いて、前記建地材に沿って前記補強材を固定することを特徴とする仮設足場の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築工事現場などで用いられる仮設足場およびその設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋コンクリート造の中層建物などの建築工事現場において、仮設足場が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。仮設足場には、建地材(縦柱)と横架材(横桟)から構成される鳥居型(門型)の建枠と、筋交い等で構成される枠組足場などがある。枠組足場は、対面配置した建枠の横架材の間に床付き布枠(布板)が架け渡されて、作業用の床や通路などとして使用される。
【0003】
枠組足場は、施工する建築物の高さなどに応じて、上下方向に連設される(例えば、特許文献2を参照)。この場合、上下の建枠は、通常、建地材の上端部の開口部と、下端部の開口部の間に連結ピンなどを挿入して連結される(例えば、特許文献3を参照)。
【0004】
枠組足場の自立可能な高さは通常3段程度であり、それ以上の高さでは、枠組足場が倒壊したり変形したりすることを防ぐため、多数の足場繋ぎで躯体壁などに固定する必要があった(例えば、特許文献4、5を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6207781号公報
【特許文献2】特開2018-123547号公報
【特許文献3】特開2020-200639号公報
【特許文献4】特開平5-230988号公報
【特許文献5】特開平5-33498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、枠組足場を3段以上に連設したものでは、多数の足場繋ぎが必要になる。この場合、足場繋ぎを設ける作業の手間やコストが掛かるという問題がある。足場繋ぎの施工数量を低減するために、枠組足場の自立可能な高さを上げることができる構造が求められていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、自立可能な高さを上げることができる仮設足場およびその設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る仮設足場は、横方向に離れた位置において上下方向に延びる一対の建地材と、前記建地材どうしを横方向に接続する横架材を備える鳥居型の建枠を上下方向に複数連結した構造を有する仮設足場であって、上下の前記建枠の前記建地材に沿って上下方向に設けられ、締結具を介して前記建地材に固定される補強材を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の仮設足場は、上述した発明において、前記補強材は、横方向に離れた位置において上下方向に延びる一対の管材と、前記管材どうしを横方向に連結する連結材を備える梯子状またはトラス状の補強材であり、片側の前記管材が前記締結具を介して前記建地材に固定されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る仮設足場の設置方法は、上述した仮設足場を設置する方法であって、上下の前記建枠の前記建地材を上下方向に連結した後、前記締結具を用いて、前記建地材に沿って前記補強材を固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る仮設足場によれば、横方向に離れた位置において上下方向に延びる一対の建地材と、前記建地材どうしを横方向に接続する横架材を備える鳥居型の建枠を上下方向に複数連結した構造を有する仮設足場であって、上下の前記建枠の前記建地材に沿って上下方向に設けられ、締結具を介して前記建地材に固定される補強材を備えるので、上下に連結した建枠の強度が補強材によって補強されることから、仮設足場の自立可能な高さを上げることができるという効果を奏する。
【0012】
また、本発明に係る他の仮設足場によれば、前記補強材は、横方向に離れた位置において上下方向に延びる一対の管材と、前記管材どうしを横方向に連結する連結材を備える梯子状またはトラス状の補強材であり、片側の前記管材が前記締結具を介して前記建地材に固定されるので、梯子状またはトラス状の補強材によって建枠全体の剛性を向上させることによって、仮設足場の強度を高めることができるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係る仮設足場の設置方法によれば、上述した仮設足場を設置する方法であって、上下の前記建枠の前記建地材を上下方向に連結した後、前記締結具を用いて、前記建地材に沿って前記補強材を固定するので、仮設足場の自立可能な高さを上げることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明に係る仮設足場およびその設置方法の実施の形態を示す立面図である。
図2図2(1)は、図1のA部分の分解図、(2)は、(1)のB-B線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る仮設足場およびその設置方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る仮設足場10は、鳥居型の建枠12を上下方向に複数連結した構造を有し、補強材14を備える。本実施の形態は、周知の建枠12と図示しない筋交い等で構成される枠組足場16を、上下方向に3段以上連設した構造を想定している。枠組足場16は、図1の図面に垂直な方向に対面配置した建枠12の横架材20の間に床付き布枠(布板)が架け渡されて、作業用の床や通路などとして使用される。
【0017】
建枠12は、横方向(図1の左右方向)に離れた位置において上下方向に延びる一対の建地材18と、建地材18の上部どうしを横方向に接続する横架材20を備える周知のものである。建地材18の内側と横架材20の下側には、それぞれ建地補強部22、横架補強部24が設けられる。建枠12は、金属製(例えば、アルミニウム製や鋼製)のものを用いることができる。上下の建枠12どうしの連結は、建地材18の上端部の開口部と、下端部の開口部の間に連結ピンなどを挿入して連結する周知の方法を用いることができる。
【0018】
補強材14は、上下の建枠12の建地材18の外側に沿って上下方向に連続して設けられ、締結具26を介して建地材18に固定される。この補強材14は、横方向に離れた位置において上下方向に延びる一対の管材28と、管材28どうしを横方向に連結する連結材30を備える梯子状であり、片側の管材28が締結具26を介して建地材18に固定される。補強材14の管材28と連結材30とで形成される構面32は、建枠12の建地材18と横架材20とで形成される構面34と同じ方向を向いている。管材28の上下端側には、他の管材28を連結するための係合孔36が設けられている。
【0019】
連結材30は、上下方向に間隔をあけて複数設けられる板状の部材である。連結材30の設置間隔を密にするほど補強材14の剛性は向上するが、その分、材料コスト、製作コスト、重量が増大するため、連結材30の設置間隔は、施工条件等に応じて必要最低限の間隔に設定することが好ましい。また、図の連結材30には、両端側に孔38が設けてあるが、省略してもよい。
【0020】
補強材14は、金属製(例えば、アルミニウム製や鋼製)のものを用いることができる。補強材14は、梯子状に限らず、トラス状であってもよい。補強材14は、いわゆるリース品(例えば、商品名:ミニマルチ。管材の長さ4.2m程度、直径5cm程度、連結材の長さ20cm程度)を利用してもよい。
【0021】
締結具26は、隣接するパイプ同士を連結する周知のクランプを用いることができる。例えば、パイプを把持する把持部を2つ有するクランプを用いてもよい。締結具26は、上下方向に間隔をあけて配置する。図の例では、1段の建枠12につき上下2箇所に設けた締結具26で補強材14を建地材18に固定する場合を示しているが、本発明はこれに限るものではない。締結具26の設置箇所および設置数については、使用する建枠12、補強材14、枠組足場16の強度、締結具26の耐力などを考慮して設定することが望ましい。
【0022】
上下の補強材14どうしは、管材28の端部に設けたジョイント部材40を介して連結される。ジョイント部材40は、図2に示すように、略U字状断面の装着部42を有しており、装着部42のU字状の両側には係合孔44が上下方向に4つ設けられている。一方、管材28の端部側には、前後方向に貫通した係合孔36が上下に2つ設けられている。管材28の端部どうしは上下に突き合わされ、この部分にジョイント部材40が外嵌めされる。ジョイント部材40と管材28は、各係合孔44、36に差し込まれたピン46によって固定される。
【0023】
ピン46は、頭部48と軸部50と係合片52と装着片54を有している。係合片52は軸部50の先端側に設けられる板ばね状のものであり、装着片54は頭部48に設けられる円弧ばね状のものである。ピン46を係合孔44に差し込むと、係合片52は、傾倒して軸部50とともに係合孔44、36に進入し、反対側の係合孔44から出た際に起き上がって係合孔44の外側に係合する。また、装着片54は、装着部42の外周面に沿って装着する。これにより、ジョイント部材40、ピン46を介して、上下の管材28どうしを固定することができる。ジョイント部材40、ピン46には、いわゆるリース品(例えば、直ジョイントおよびマルチピン)を使用することができる。
【0024】
次に、上記のように構成した仮設足場の設置方法について説明する。
まず、上下の建枠12の建地材18を上下方向に連結する。その後、締結具26を用いて、建地材18に沿って補強材14を固定する。本実施の形態によれば、梯子状の補強材14を建枠12の建地材18に沿って装着することにより、建枠12全体の剛性を向上させ、仮設足場10の強度を高めることができる。
【0025】
上下に連結した建枠12の強度が補強材14によって補強されることから、補強しない場合に比べて、仮設足場10の自立可能な高さを上げることができる。また、建枠12、補強材14としてリース品を用いれば、仮設足場の自立可能な高さを簡便かつ安価に上げることができる。
【0026】
なお、3段以上に組み上げた仮設足場10については、例えば、最上段の建枠12の建地材18のみを躯体側に固定してもよい。このようにすれば、転倒防止を図ることができる。また、最上段以外の建枠12を躯体側に足場繋ぎで躯体側に固定してもよい。この場合、補強材14で補強しない場合に比べて、足場繋ぎの設置数を少なくすることができる。
【0027】
以上説明したように、本発明に係る仮設足場によれば、横方向に離れた位置において上下方向に延びる一対の建地材と、前記建地材どうしを横方向に接続する横架材を備える鳥居型の建枠を上下方向に複数連結した構造を有する仮設足場であって、上下の前記建枠の前記建地材に沿って上下方向に設けられ、締結具を介して前記建地材に固定される補強材を備えるので、上下に連結した建枠の強度が補強材によって補強されることから、仮設足場の自立可能な高さを上げることができる。
【0028】
また、本発明に係る他の仮設足場によれば、前記補強材は、横方向に離れた位置において上下方向に延びる一対の管材と、前記管材どうしを横方向に連結する連結材を備える梯子状またはトラス状の補強材であり、片側の前記管材が前記締結具を介して前記建地材に固定されるので、梯子状またはトラス状の補強材によって建枠全体の剛性を向上させることによって、仮設足場の強度を高めることができる。
【0029】
また、本発明に係る仮設足場の設置方法によれば、上述した仮設足場を設置する方法であって、上下の前記建枠の前記建地材を上下方向に連結した後、前記締結具を用いて、前記建地材に沿って前記補強材を固定するので、仮設足場の自立可能な高さを上げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明に係る仮設足場およびその設置方法は、建築工事の仮設足場に有用であり、特に、自立可能な高さを上げるのに適している。
【符号の説明】
【0031】
10 仮設足場
12 建枠
14 補強材
16 枠組足場
18 建地材
20 横架材
26 締結具
28 管材
30 連結材
図1
図2