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特開2025-3021流量調整装置および流量調整装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003021
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】流量調整装置および流量調整装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 7/06 20060101AFI20241226BHJP
   G01F 1/66 20220101ALI20241226BHJP
【FI】
G05D7/06 Z
G01F1/66 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103459
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】591257111
【氏名又は名称】サーパス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】柴田 拓
【テーマコード(参考)】
2F035
5H307
【Fターム(参考)】
2F035DA14
2F035DA22
5H307AA01
5H307BB05
5H307BB06
5H307DD04
5H307EE12
5H307EE21
5H307FF01
5H307FF12
5H307GG01
5H307HH04
5H307JJ05
(57)【要約】
【課題】流量計測値を流量設定値に適切に収束させる。
【解決手段】超音波流量計測部10と、流量調整部20と、流量設定値を設定する流量設定部と、流量計測値が流量設定値よりも第1閾値以上高くなる第1流量状態と流量計測値が流量設定値よりも第2閾値以上低くなる第2流量状態が発生する流量変動状態を検出する流量変動状態検出部と、流量計測値が流量設定値となるように、流量計測値と流量設定値との流量差に応じた移動量で弁体部を移動させるよう流量調整部20を制御する制御装置30と、を備え、制御装置30は、流量変動状態検出部が流量変動状態を検出しない場合は第1の移動量で弁体部21を移動させるよう流量調整部20を制御し、流量変動状態検出部が流量変動状態を検出する場合は第1の移動量よりも少ない第2の移動量で弁体部21を移動させるよう流量調整部20を制御する流量調整装置100を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入ポートから流入して計測流路を流通する液体の流量を計測する流量計測部と、
軸線に沿って弁体部を弁孔に近接または離間する方向に移動させて前記計測流路の下流側から流出ポートへ流出する液体の流量を調整する流量調整部と、
最小流量から最大流量までの流量範囲に含まれる流量設定値を設定する流量設定部と、
前記流量計測部が計測する流量計測値が前記流量設定値よりも第1閾値以上高くなる第1流量状態と前記流量計測値が前記流量設定値よりも第2閾値以上低くなる第2流量状態が発生する流量変動状態を検出する流量変動状態検出部と、
前記流量計測部が計測する前記流量計測値が前記流量設定値となるように、前記流量計測値と前記流量設定値との流量差に応じた移動量で前記弁体部を移動させるよう前記流量調整部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記流量変動状態検出部が前記流量変動状態を検出しない場合は第1の前記移動量で前記弁体部を移動させるよう前記流量調整部を制御し、前記流量変動状態検出部が前記流量変動状態を検出する場合は第1の前記移動量よりも少ない第2の前記移動量で前記弁体部を移動させるよう前記流量調整部を制御する流量調整装置。
【請求項2】
前記流量変動状態は、前記第1流量状態と前記第2流量状態とが交互に繰り返される状態である請求項1に記載の流量調整装置。
【請求項3】
前記第1閾値および前記第2閾値は、前記流量範囲の5%以上かつ10%以下に設定されている請求項1または請求項2に記載の流量調整装置。
【請求項4】
前記流量変動状態検出部は、前記流量設定部が前記流量設定値を変更したことに応じて、前記流量変動状態を検出する状態を解除する請求項1または請求項2に記載の流量調整装置。
【請求項5】
第2の前記移動量は、第1の前記移動量の0.2倍以上かつ0.4倍以下である請求項1または請求項2に記載の流量調整装置。
【請求項6】
流量調整装置の制御方法であって、
前記流量調整装置は、
流入ポートから流入して計測流路を流通する液体の流量を計測する流量計測部と、
軸線に沿って弁体部を弁孔に近接または離間する方向に移動させて前記計測流路の下流側から流出ポートへ流出する液体の流量を調整する流量調整部と、
最小流量から最大流量までの流量範囲に含まれる流量設定値を設定する流量設定部と、を有し、
前記流量計測部が計測する流量計測値が前記流量設定値よりも第1閾値以上高くなる第1流量状態と前記流量計測値が前記流量設定値よりも第2閾値以上低くなる第2流量状態がそれぞれ複数回発生する流量変動状態を検出する流量変動状態検出工程と、
前記流量計測部が計測する前記流量計測値が前記流量設定値となるように前記流量調整部を制御する制御工程と、を備え、
前記制御工程は、前記流量変動状態検出工程が前記流量変動状態を検出しない場合は前記流量計測値と前記流量設定値との流量差に応じた第1移動量で前記弁体部を移動させるよう前記流量調整部を制御し、前記流量変動状態検出工程が前記流量変動状態を検出する場合は前記第1移動量よりも少ない第2移動量で前記弁体部を移動させるよう前記流量調整部を制御する流量調整装置の制御方法。
【請求項7】
前記流量変動状態は、前記第1流量状態と前記第2流量状態とが交互に繰り返される状態である請求項6に記載の流量調整装置の制御方法。
【請求項8】
前記第1閾値および前記第2閾値は、前記流量範囲の5%以上かつ10%以下に設定されている請求項6または請求項7に記載の流量調整装置の制御方法。
【請求項9】
前記流量変動状態検出工程は、前記流量設定部が前記流量設定値を変更したことに応じて、前記流量変動状態を検出する状態を、前記流量変動状態を検出しない状態に切り替える請求項6または請求項7に記載の流量調整装置の制御方法。
【請求項10】
前記第2移動量は、前記第1移動量の0.2倍以上かつ0.4倍以下である請求項6または請求項7に記載の流量調整装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量調整装置および流量調整装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体の流量を計測する流量計測部を備え、流量計測部が計測する流量が予め設定された設定流量となるように、弁体部を弁孔に近接または離間する方向に移動させて弁孔を通過する液体の流量を調整する流量調整装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-138200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、流量調整装置の上流側の液体の供給圧力に対して流量調整装置の下流側に液体を吐出する際の圧力(背圧)が過度に低くなる場合、あるいは流量調整装置の下流側に液体を吐出する際の圧力(背圧)に対して流量調整装置の上流側の液体の供給圧力が過度に高くなる場合には、弁孔を通過する液体の流量が過度に多く。この場合、流量調整装置を通過する液体の流量の計測値が予め設定された流量設定値に対して過大となる現象(オーバーシュート)が発生する可能性がある。
【0005】
また、オーバーシュートが発生すると、その後に流量計測値を流量設定値に近づけようとして弁孔を通過する液体の流量を過度に少なくしてしまい、流量計測値が流量設定値に対して過少となってしまう可能性がある。この場合、流量設定値に対して流量計測値が過大となる状態と過少となる状態とが繰り返される現象(ハンチング現象)が発生し、流量計測値が流量設定値に収束しない状態となってしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、流量調整装置の上流側の液体の供給圧力に対して、流量調整装置の下流側に液体を吐出する際の圧力(背圧)が過度に低くなるような状態であっても、流量計測値を流量設定値に適切に収束させることが可能な流量調整装置および流量調整装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の第1態様にかかる流量調整装置は、流入ポートから流入して計測流路を流通する液体の流量を計測する流量計測部と、軸線に沿って弁体部を弁孔に近接または離間する方向に移動させて前記計測流路の下流側から流出ポートへ流出する液体の流量を調整する流量調整部と、最小流量から最大流量までの流量範囲に含まれる流量設定値を設定する流量設定部と、前記流量計測部が計測する流量計測値が前記流量設定値よりも第1閾値以上高くなる第1流量状態と前記流量計測値が前記流量設定値よりも第2閾値以上低くなる第2流量状態発生する流量変動状態を検出する流量変動状態検出部と前記流量計測部が計測する前記流量計測値が前記流量設定値となるように、前記流量計測値と前記流量設定値との流量差に応じた移動量で前記弁体部を移動させるよう前記流量調整部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記流量変動状態検出部が前記流量変動状態を検出しない場合は第1の前記移動量で前記弁体部を移動させるよう前記流量調整部を制御し、前記流量変動状態検出部が前記流量変動状態を検出する場合は第1の前記移動量よりも少ない第2の前記移動量で前記弁体部を移動させるよう前記流量調整部を制御する。
【0008】
本発明の第1態様にかかる流量調整装置によれば、制御部は、流量変動状態検出部が流量変動状態を検出しない場合は第1の移動量で弁体部を移動させるよう流量調整部を制御する。一方、制御部は、流量変動状態検出部が流量変動状態を検出する場合は第1の移動量よりも少ない第2の移動量で弁体部を移動させるよう流量調整部を制御する。流量変動状態検出部が流量変動状態を検出する場合の弁体部の第2の移動量が、流量変動状態検出部が流量変動状態を検出する場合の弁体部の第1の移動量よりも少ないため、計測流路を流通する液体の流量の変化を少なくし、流量の計測値が予め設定された流量設定値に対して過大となる第1流量状態と過少となる第2流量状態とが繰り返されないように調整される。そのため、流量調整装置の上流側の液体の供給圧力に対して、流量調整装置の下流側に液体を吐出する際の圧力(背圧)が過度に低くなるような状態であっても、流量計測値を流量設定値に適切に収束させることができる。
【0009】
本発明の第2態様にかかる流量調整装置は、第1態様において、更に以下の構成である。すなわち、流量変動状態は、第1流量状態と第2流量状態とが交互に繰り返される状態である。
本発明の第2態様にかかる流量調整装置によれば、第1流量状態と第2流量状態とが交互に繰り返される状態を流量変動状態として検出することにより、流量の計測値が予め設定された流量設定値に対して過大となる第1流量状態と過少となる第2流量状態とが繰り返されないようにすることができる。
【0010】
本発明の第3態様にかかる流量調整装置は、第1態様または第2態様において、更に以下の構成である。すなわち、前記第1閾値および前記第2閾値は、前記流量範囲の5%以上かつ10%以下に設定されている。
本発明の第3態様にかかる流量調整装置によれば、第1閾値および第2閾値を流量設定値が設定される流量範囲の5%以上かつ10%以下に設定することにより、流量の計測値が予め設定された流量設定値に対して過大となる第1流量状態と過少となる第2流量状態を適切に検出することができる。
【0011】
本発明の第4態様にかかる流量調整装置は、第1態様または第2態様において、更に以下の構成である。すなわち、前記流量変動状態検出部は、前記流量設定部が前記流量設定値を変更したことに応じて、前記流量変動状態を検出する状態を解除する。
本発明の第4態様にかかる流量調整装置によれば、流量設定部が流量設定値を変更したことに応じて、流量変動状態を検出する状態が解除される。そのため、流量変動状態検出部は、変更された流量設定値に応じた流量変動状態を改めて検出することができる。
【0012】
本発明の第5態様にかかる流量調整装置は、第1態様または第2態様において、更に以下の構成である。すなわち、第2の前記移動量は、第1の前記移動量の0.2倍以上かつ0.4倍以下である。
本発明の第5態様にかかる流量調整装置によれば、第2の移動量を第1の移動量の0.2倍以上かつ0.4倍以下とすることにより、流量変動状態検出部が流量変動状態を検出する場合の弁体部の第2の移動量を第1の移動量に対して適切に少なくし、流量計測値の変動を抑制することができる。
【0013】
本発明の第6態様にかかる流量調整装置の制御方法において、前記流量調整装置は、流入ポートから流入して計測流路を流通する液体の流量を計測する流量計測部と、軸線に沿って弁体部を弁孔に近接または離間する方向に移動させて前記計測流路の下流側から流出ポートへ流出する液体の流量を調整する流量調整部と、最小流量から最大流量までの流量範囲に含まれる流量設定値を設定する流量設定部と、を有し、前記流量計測部が計測する流量計測値が前記流量設定値よりも第1閾値以上高くなる第1流量状態と前記流量計測値が前記流量設定値よりも第2閾値以上低くなる第2流量状態がそれぞれ複数回発生する流量変動状態を検出する流量変動状態検出工程と、前記流量計測部が計測する前記流量計測値が前記流量設定値となるように前記流量調整部を制御する制御工程と、を備え、前記制御工程は、前記流量変動状態検出工程が前記流量変動状態を検出しない場合は前記流量計測値と前記流量設定値との流量差に応じた第1移動量で前記弁体部を移動させるよう前記流量調整部を制御し、前記流量変動状態検出工程が前記流量変動状態を検出する場合は前記第1移動量よりも少ない第2移動量で前記弁体部を移動させるよう前記流量調整部を制御する。
【0014】
本発明の第6態様にかかる流量調整装置の制御方法によれば、制御工程は、流量変動状態検出工程が流量変動状態を検出しない場合は第1の移動量で弁体部を移動させるよう流量調整部を制御する。一方、制御工程は、流量変動状態検出工程が流量変動状態を検出する場合は第1の移動量よりも少ない第2の移動量で弁体部を移動させるよう流量調整部を制御する。流量変動状態検出工程が流量変動状態を検出する場合の弁体部の第2の移動量が、流量変動状態検出工程が流量変動状態を検出する場合の弁体部の第1の移動量よりも少ないため、計測流路を流通する液体の流量の変化を少なくし、流量の計測値が予め設定された流量設定値に対して過大となる第1流量状態と過少となる第2流量状態とが繰り返されないように調整される。そのため、流量調整装置の上流側の液体の供給圧力に対して、流量調整装置の下流側に液体を吐出する際の圧力(背圧)が過度に低くなるような状態であっても、流量計測値を流量設定値に適切に収束させることができる。
【0015】
本発明の第7態様にかかる流量調整装置の制御方法は、第6態様において、更に以下の構成である。すなわち、前記流量変動状態は、前記第1流量状態と前記第2流量状態とが交互に繰り返される状態である。
本発明の第7態様にかかる流量調整装置の制御方法によれば、第1流量状態と第2流量状態とが交互に繰り返される状態を流量変動状態として検出することにより、流量の計測値が予め設定された流量設定値に対して過大となる第1流量状態と過少となる第2流量状態とが繰り返されないようにすることができる。
【0016】
本発明の第8態様にかかる流量調整装置の制御方法は、第6態様または第7態様において、更に以下の構成である。すなわち、前記第1閾値および前記第2閾値は、前記流量範囲の5%以上かつ10%以下に設定されている。
本発明の第8態様にかかる流量調整装置の制御方法によれば、第1閾値および第2閾値を流量設定値が設定される流量範囲の5%以上かつ10%以下に設定することにより、流量の計測値が予め設定された流量設定値に対して過大となる第1流量状態と過少となる第2流量状態を適切に検出することができる。
【0017】
本発明の第9態様にかかる流量調整装置の制御方法は、第6態様または第7態様において、更に以下の構成である。すなわち、前記流量変動状態検出工程は、前記流量設定部が前記流量設定値を変更したことに応じて、前記流量変動状態を検出する状態を、前記流量変動状態を検出しない状態に切り替える。
本発明の第9態様にかかる流量調整装置の制御方法によれば、流量設定部が流量設定値を変更したことに応じて、流量変動状態を検出する状態が流量変動状態を検出しない状態に切り替えられる。そのため、流量変動状態検出工程は、変更された流量設定値に応じた流量変動状態を改めて検出することができる。
【0018】
本発明の第10態様にかかる流量調整装置の制御方法は、第6態様または第7態様において、更に以下の構成である。すなわち、前記第2移動量は、前記第1移動量の0.2倍以上かつ0.4倍以下である。
本発明の第10態様にかかる流量調整装置の制御方法によれば、第2の移動量を第1の移動量の0.2倍以上かつ0.4倍以下とすることにより、流量変動状態検出工程が流量変動状態を検出する場合の弁体部の第2の移動量を第1の移動量に対して適切に少なくし、流量計測値の変動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、流量調整装置の上流側の液体の供給圧力に対して、流量調整装置の下流側に液体を吐出する際の圧力(背圧)が過度に低くなるような状態であっても、流量計測値を流量設定値に適切に収束させることが可能な流量調整装置および流量調整装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】流量調整装置の一実施形態を示す部分縦断面図である。
図2図1に示す超音波流量計測部を示す部分縦断面図である。
図3図1に示す流量調整部および流出側流路部を示す部分縦断面図である。
図4図1に示す流入側流路部および圧力センサを示す縦断面図である。
図5】制御装置の構成を示すブロック図である。
図6】流量調整装置が設置される流量調整システムを示す概略構成図である。
図7】本実施形態の流量調整装置の流量調整部の制御方法を示すフローチャートである。
図8】流量変動状態検出部による流量変動状態の検出方法を示すフローチャートである。
図9】本実施形態の流量調整装置により調整される液体の流量の変化の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態の流量調整装置100について図面を参照して説明する。図1は、流量調整装置100の一実施形態を示す部分縦断面図である。図2は、図1に示す超音波流量計測部を示す部分縦断面図である。
【0022】
図1に示す本実施形態の流量調整装置100は、流入ポート100aから流入して直管状の計測流路14を流通する流体の流量を計測する超音波流量計測部10と、流体の流量を調整する流量調整部20と、流量調整部20を制御する制御装置30と、超音波流量計測部10と流量調整部20と制御装置30とを収容するハウジング部40と、流入ポート100aから流入する流体を計測流路14の上流側へ導く流入側流路部50と、計測流路14の下流側から流出する流体を流出ポート100bへ導く流出側流路部60と、圧力センサ(圧力測定部)70と、を備える。
【0023】
本実施形態の流量調整装置100が流量を調整する流体は、例えば、半導体製造装置に用いる薬液,純水等の液体である。また、流体の温度は、例えば、常温域(例えば、10℃以上かつ50℃未満)あるいは高温域(例えば、50℃以上かつ80℃以下)の温度であるものとする。
【0024】
流量調整装置100のハウジング部40は、締結ボルト(図示略)により設置面Sに対して固定されている。また、流量調整装置100は、ケーブル200を介して外部装置(図示略)と接続されており、ケーブル200を介して外部装置から電力供給を受けるとともに、外部装置との間で各種の信号の送受信を行う。
【0025】
外部装置から受信する信号は、例えば、流量調整装置100が調整する目標流量の設定値を示す信号である。また、外部装置へ送信する信号は、例えば、超音波流量計測部10が測定した信号に基づいて制御装置30が算出した流体の流量を示す信号や、圧力センサ70が測定する流体の圧力を示す信号である。
【0026】
超音波流量計測部10は、流入側の配管(図示略)から流入して直管状の計測流路14を流通する流体の流量を得るために、計測流路14の上流側に配置された上流側振動子11および計測流路14の下流側に配置された下流側振動子12の一対の振動子が発信する超音波の伝搬時間差を計測するものである。
【0027】
図2に示すように、超音波流量計測部10は、設置面Sと平行な軸線X2上に配置される上流側振動子11および下流側振動子12と、流入側流路部50に接続される流入流路13と、流入流路13に接続されるとともに軸線X2(第2軸線)に沿って延びる直管状の計測流路14と、流出側流路部60に接続される流出流路15と、を有する。軸線X2は、後述する弁体部21の進退方向である軸線X1(第1軸線)と平行な方向となっている。
【0028】
上流側振動子11および下流側振動子12は、軸線X2上で計測流路14を介して対向する位置に配置されており、それぞれ超音波信号の発信と受信を行うことが可能である。上流側振動子11が発信した超音波信号は、計測流路14を流通する流体を伝搬して下流側振動子12により受信される。
【0029】
同様に、下流側振動子12が発信した超音波信号は、計測流路14を流通する流体を伝搬して上流側振動子11により受信される。流体は計測流路14を上流側から下流側へ向けて流通するため、上流側振動子11が発信する超音波信号の下流側振動子12への伝搬時間は、下流側振動子12が発信する超音波信号の上流側振動子11への伝搬時間よりも短くなる。超音波流量計測部10は、この伝搬時間差を利用して計測流路14を流通する流体の流量を計測する。
【0030】
なお、上流側振動子11および下流側振動子12による超音波信号の発信は、図2に示す信号線16,17により接続された制御装置30により制御される。また、上流側振動子11および下流側振動子12による超音波信号の受信は、信号線16,17を介して制御装置30に伝達される。制御装置30は、後述するように、制御装置30は、上流側振動子11および下流側振動子12に指示した超音波信号の発信タイミングと、それに対応して上流側振動子11および下流側振動子12から受信した超音波信号の受信タイミングから伝搬時間差を算出し、算出した伝搬時間差から流体の流量を算出する。
【0031】
流量調整部20は、計測流路14の下流側から流出側流路部60を介して流出側の配管(図示略)に接続される流出ポート100bへ流出する流体の流量を調整するものである。流量調整部20は、図1に示すように、設置面Sに直交する設置方向である軸線Y方向において、超音波流量計測部10と制御装置30との間に配置されている。図1に示すように、軸線Y方向において、設置面Sに最も近接した位置に超音波流量計測部10が配置され、設置面Sから最も遠ざかった位置に制御装置30が配置され、これらの間に流量調整部20が配置されている。
【0032】
図3は、図1に示す流量調整部20および流出側流路部60を示す部分縦断面図である。図3に示すように、流量調整部20は、流出側流路部60に形成される弁孔62に挿入される弁体部21と、弁体部21を設置面Sと平行な軸線X1(第1軸線)に沿って弁孔62に近接または離間する方向に移動させる電動駆動部22とを有する。電動駆動部22は、弁体部21を図4に実線で示す閉状態の位置と破線で示す開状態の位置との間で軸線X1に沿って進退させる。流量調整部20は、弁体部21の軸線X1上の位置を電動駆動部22により調整することにより、弁孔62から弁室63へ流入する流体の量を調整する。
【0033】
ここで、制御装置30の構成について、図5を参照して説明する。図5は、制御装置30の構成を示すブロック図である。図5に示すように、制御装置30は、制御部31と、流量設定部32と、流量変動状態検出部33と、を有する。
【0034】
制御部31は、超音波流量計測部10が計測する流体の流量計測値FRacに基づいて流量調整部20を制御するものである。制御部31は、超音波流量計測部10が計測する流体の流量が流量設定部32で設定する流量設定値FRsetとなるように、流量計測値FRacと流量設定値FRsetとの流量差に応じた移動量で弁体部21を移動させるよう流量調整部20を制御する。
【0035】
制御部31は、超音波流量計測部10が有する上流側振動子11および下流側振動子12のそれぞれに超音波信号の発信を指示することができる。また、制御部31は、上流側振動子11および下流側振動子12のいずれか一方から発信された超音波信号を、上流側振動子11および下流側振動子12のいずれか他方で受信したタイミングを検出することができる。
【0036】
制御部31は、下流側振動子12に指示した超音波信号の発信タイミングと、それに対応した上流側振動子11での超音波信号の受信タイミングとから、第1の伝搬時間を算出する。また、制御装置30は、上流側振動子11に指示した超音波信号の発信タイミングと、それに対応した下流側振動子12での超音波信号の受信タイミングとから、第2の伝搬時間を算出する。制御部31は、第1の伝搬時間から第2の伝搬時間を減算した伝搬時間差と予め定められた流量演算式とに基づいて計測流路14を流通する流体の流量を得る。
【0037】
流量設定部32は、流量調整装置100の最小流量である0[ml/min]から最大流量FRmax[ml/min]までの流量範囲に含まれる流量設定値FRset[ml/min]を設定する。流量設定部32は、例えば、制御装置30がケーブル200を介して外部装置から受信する流量設定信号に基づいて流量設定値FRsetを設定する。
【0038】
流量変動状態検出部33は、超音波流量計測部10が計測する流量計測値FRac[ml/min]が流量設定値FRsetよりも第1閾値Th1以上高くなる第1流量状態と流量計測値FRacが流量設定値FRsetよりも第2閾値Th2以上低くなる第2流量状態がそれぞれ複数回発生する流量変動状態を検出する。
【0039】
図1に示すように、ハウジング部40には、軸線Yに沿って設置面Sに近い側から順に空気導入ポート40aと空気排出ポート40bとが形成されている。空気導入ポート40aは、空気供給源(図示略)から供給される空気をハウジング部40の内部へ導入するポートである。また、空気排出ポート40bは、ハウジング部40の内部で流通した空気をハウジング部40の外部へ排出するポートである。
【0040】
図4は、図1に示す流入側流路部50および圧力センサ70を示す縦断面図である。流入側流路部50は、図1および図4に示すように、流入ポート100aから計測流路14の上流側の流入流路13へ向けて設置面Sに近付く方向に傾斜した流入側傾斜流路51が内部に形成された部材である。流入側流路部50には、流入側傾斜流路51を流通する流体の圧力を検出するための圧力センサ70が取り付けられている。
【0041】
流出側流路部60は、図1および図3に示すように、流量調整部20から流出ポート100bへ向けて設置面Sに近付く方向に傾斜した流出側傾斜流路61が内部に形成された部材である。流出側流路部60は、弁室63の上方に設けられた開口部64から流出流路65を介して、流出側傾斜流路61の上流側へ流体を導く。流出側傾斜流路61の上流側へ導かれた流体は、流出側傾斜流路61に沿って流出ポート100bへ導かれる。図2および図3に示すように、流出側流路部60には、複数の締結ボルト66が貫通する貫通穴が設けられている。流出側流路部60は、締結ボルト66を電動駆動部22に締結することにより、電動駆動部22に固定されている。
【0042】
圧力センサ70は、流入ポート100aから計測流路14の上流側の流入側傾斜流路51に流入する流体の圧力(供給圧)を計測するものである。圧力センサ70は、例えば、歪みゲージ式の圧力センサである。圧力センサ70は、センサホルダ71によって流入側流路部50に取り付けられている。圧力センサ70が計測した流体の圧力を示す圧力信号は、制御装置30に伝達され、制御装置30が備える記憶部(図示略)に記憶される。また、圧力信号は、ケーブル200を介して外部装置へ伝達される。
【0043】
次に、本実施形態の流量調整装置100が設置される流量調整システム1について図6を参照して説明する。図6は、流量調整装置100が設置される流量調整システム1を示す概略構成図である。図6に示すように、流量調整システム1は、流体を圧送するポンプ2と、流入端1aから流出端1bまで流体を搬送する配管3と、流量調整装置100と、流量調整装置100の上流側の配管3に配置される開閉弁4と、流量調整装置100の下流側の配管3に配置される開閉弁5と、を有する。
【0044】
流量調整システム1は、流入端1aから配管3に流入する流体をポンプ2により圧送して流量調整装置100へ供給し、流量調整装置100で流量が調整された流体を、流出端1bへ供給する。流入端1aから流量調整装置100へ流体を供給する状態と供給しない状態は、開閉弁4により切り替えられる。流量調整装置100から流出端1bへ流体を供給する状態と供給しない状態は、開閉弁5により切り替えられる。
【0045】
次に、本実施形態の流量調整装置100の制御方法について、図7を参照して説明する。図7は、本実施形態の流量調整装置100の流量調整部20の制御方法を示すフローチャートである。図7に示す各処理は、制御装置30が制御プログラムを実行することにより行われる。
【0046】
ステップS101で、制御部31は、流量調整装置100の最小流量である0[ml/min]から最大流量FRmax[ml/min]までの流量範囲に含まれる流量設定値FRset[ml/min]を設定する。流量設定部32は、例えば、制御装置30がケーブル200を介して外部装置から受信する流量設定信号に基づいて流量設定値FRsetを設定する。
【0047】
ステップS102で、制御部31は、超音波流量計測部10から計測流路14を流通する流体の流量計測値FRacを取得する。
【0048】
ステップS103で、制御部31は、流量変動状態検出部33により流量変動状態が検出されているかどうかを判定し、YESであればステップS105に処理を進め、NOであればステップS104に処理を進める。
【0049】
ステップS104で、制御部31は、流量変動状態検出部33が流量変動状態を検出しない場合であるため、弁体部21の第1の移動量MV1を以下の式(1)により算出する。
MV1=(FRset-FRac)・α (1)
ここで、αは、正の値の係数である。
【0050】
ステップS105で、制御部31は、流量変動状態検出部33が流量変動状態を検出する場合であるため、弁体部21の第2の移動量MV2を以下の式(2)により算出する。
MV2=(FRset-FRac)・β (2)
ここで、βは、正の値の係数である。
【0051】
βは、αの0.2倍以上かつ0.4倍以下に設定するのが好ましい。流量設定値FRsetと流量計測値FRacとの差である(FRset-FRac)が同じである場合、第2の移動量MV2を、第1の移動量MV1の0.2倍以上かつ0.4倍以下に設定するのが好ましい。
【0052】
ステップS106で、制御部31は、ステップS104で決定された第1の移動量MV1またはステップS105で決定された第2の移動量MV2で弁体部21を軸線X1に沿って移動させる動作を開始するよう流量調整部20を制御する。
【0053】
流量設定値FRsetよりも流量計測値FRacが小さい場合、弁体部21の第1の移動量MV1が正の値となる。第1の移動量MV1が正の値である場合、制御部31は、第1の移動量MV1だけ弁体部21を弁孔62から離間する方向に移動させて、弁孔62を通過する流体の流量を増加させる。
【0054】
一方、流量設定値FRsetよりも流量計測値FRacが大きい場合、弁体部21の第1の移動量MV1が負の値となる。第1の移動量MV1が負の値である場合、制御部31は、第1の移動量MV1だけ弁体部21を弁孔62に近接する方向に移動させて、弁孔62を通過する流体の流量を減少させる。
【0055】
ステップS107で、制御部31は、弁体部21の移動量がステップS104で決定された第1の移動量MV1またはステップS105で決定された第2の移動量MV2となり、弁体部21の移動が完了したかどうかを判定し、YESであればステップS108に処理を進め、NOであればステップS107を再び実行する。
【0056】
ステップS108で、制御部31は、流量調整部20による流体の流量調整を終了するかどうかを判定し、YESであれば本フローチャートの処理を終了し、NOでればステップS101の処理を再び実行する。
【0057】
次に、図8および図9を参照して、流量変動状態検出部33による流量変動状態の検出方法を説明する。図8は、流量変動状態検出部33による流量変動状態の検出方法を示すフローチャートである。図9は、本実施形態の流量調整装置100により調整される液体の流量の変化の一例を示すグラフである。
【0058】
図9において、実線で示す値は本実施形態の図7に示す流量調整部20の制御方法が実行された場合の流量の変化を示し、実線で示す値は比較例の制御方法が実行された場合の流量計測値FRacの変化を示す。比較例は、図7に示すステップS103の判定を行わず、常にステップS104の第1の移動量MV1を弁体部21の移動量として決定する例である。
【0059】
図9において、第1閾値Th1および第2閾値Th2は、流量0から最大流量FRmaxまでの流量範囲の5%以上かつ10%以下の範囲の任意の値に設定される。第1閾値Th1および第2閾値Th2は、流量設定値FRsetに対して流量計測値FRacが過大となる状態と過少となる状態とが繰り返される現象(ハンチング現象)が発生する流量変動状態を検出するために設定される閾値である。
【0060】
図9に示すように、本実施形態と比較例のいずれにおいても、時刻0から時刻T4までに、流量計測値FRacが流量設定値FRsetよりも第1閾値Th1以上高くなる第1流量状態と、流量計測値FRacが流量設定値FRsetよりも第2閾値Th2以上低くなる第2流量状態とが、2回ずつ交互に繰り返される。
【0061】
図9において、時刻T0は、流量調整部20による液体の流量調整動作を開始する時刻を示す。時刻T1,時刻T3は、流量計測値FRacが流量設定値FRsetよりも第1閾値Th1だけ高い流量値FRaとなる時刻である。時刻T2,時刻T4は、流量計測値FRacが流量設定値FRsetよりも第2閾値Th2だけ低い流量値FRbとなる時刻である。
【0062】
本実施形態では、第1流量状態と第2流量状態が交互に2回ずつ繰り返される状態である場合に流量変動状態を検出するが、1回目の第1流量状態が検出されてから2回目の第2流量状態が検出されるまでの期間は任意の期間とすることができる。すなわち、本実施形態の流量変動状態検出部33は、図9に示す時刻T0から時刻T4までの期間の長さによらず、第1流量状態と第2流量状態が交互に2回ずつ繰り返される状態である場合に流量変動状態を検出する。
【0063】
これは、例えば、流量調整装置100の上流側の液体の供給圧力に対して、流量調整装置100の下流側に液体を吐出する際の圧力(背圧)が過度に低くなるような状態(例えば、供給圧力よりも背圧が400KPa以上低い状態)で、流量調整部20の弁体部21の開度に対して過大な流量の流体が流れてしまうからである。
【0064】
比較例では、時刻T4以降においても、第1流量状態と第2流量状態がそれぞれ複数回発生する状態が継続する。一方、本実施形態の図7に示す流量調整部20の制御方法が実行されると、時刻T4以降においては、第1流量状態と第2流量状態のいずれも発生せず、流量計測値FRacが流量値FRbより高く流量値FRaより低い範囲に収束する。ここで、流量値FRaは流量設定値FRsetに第1閾値Th1を加算した値であり、流量値FRbは流量設定値FRsetから第2閾値Th2を減算した値である。
【0065】
図8に示す処理は、図7に示す流量調整装置100の流量調整部20の制御方法と並行して実行される。図8に流量変動状態検出部33による流量変動状態の検出方法で検出された流量変動状態は、図7のステップS103の判定に用いられる。図8の処理を行う際に、超音波流量計測部10が流量計測値FRacを所定の時間間隔で逐次に取得し、超音波流量計測部10から流量変動状態検出部33に流量計測値FRacが伝達されるものとする。
【0066】
流量変動状態検出部33は、初期状態として流量変動状態を未検出であることを示す第1監視状態を設定する。また、流量変動状態検出部33は、図7のステップS103で流量変動状態を検出してYESと判定し、ステップS108で流量調整を終了して図7のフローチャートの処理を終了する場合、流量変動状態を解除して第1監視状態を設定する。
【0067】
ステップS201で、流量変動状態検出部33は、第1監視状態が設定されているかどうかを判断し、YESであればステップS202に処理を進め、NOであればステップS204に処理を進める。
【0068】
ステップS202で、流量変動状態検出部33は、流量計測値FRacが流量設定値FRsetよりも第1閾値Th1以上高くなる第1流量状態となったかどうかを判定し、YESであればステップS203に処理を進め、NOであればステップS212に処理を進める。流量変動状態検出部33は、時刻0における流量0[ml/min]から流量が漸次上昇し、時刻T1で流量計測値FRacが流量設定値FRsetよりも第1閾値Th1以上高くなったことに応じて、第1流量状態になったと判定する。
【0069】
ステップS203で、流量変動状態検出部33は、第1監視状態において第1流量状態になったと判定されたため、流量計測値FRacの監視状態として第2監視状態を設定する。
【0070】
ステップS204で、流量変動状態検出部33は、第2監視状態が設定されているかどうかを判断し、YESであればステップS205に処理を進め、NOであればステップS207に処理を進める。
【0071】
ステップS205で、流量変動状態検出部33は、流量計測値FRacが流量設定値FRsetよりも第2閾値Th2以上低くなる第2流量状態となったかどうかを判定し、YESであればステップS206に処理を進め、NOであればステップS212に処理を進める。流量変動状態検出部33は、時刻T1における流量値FRaから流量値FR1まで流量が増加した後、時刻T2で流量計測値FRacが流量設定値FRsetよりも第2閾値Th2以上低くなったことに応じて、第2流量状態になったと判定する。
【0072】
ステップS206で、流量変動状態検出部33は、第2監視状態において第2流量状態になったと判定されたため、流量計測値FRacの監視状態として第3監視状態を設定する。
【0073】
ステップS207で、流量変動状態検出部33は、第3監視状態が設定されているかどうかを判断し、YESであればステップS208に処理を進め、NOであればステップS210に処理を進める。
【0074】
ステップS208で、流量変動状態検出部33は、流量計測値FRacが流量設定値FRsetよりも第1閾値Th1以上高くなる第1流量状態となったかどうかを判定し、YESであればステップS209に処理を進め、NOであればステップS212に処理を進める。流量変動状態検出部33は、時刻T2における流量値FRbから流量値FR2まで流量が減少した後、時刻T3で流量計測値FRacが流量設定値FRsetよりも第1閾値Th1以上高くなったことに応じて、第1流量状態になったと判定する。
【0075】
ステップS209で、流量変動状態検出部33は、第3監視状態において第1流量状態になったと判定されたため、流量計測値FRacの監視状態として第4監視状態を設定する。
【0076】
ステップS210で、流量変動状態検出部33は、流量計測値FRacが流量設定値FRsetよりも第2閾値Th2以上低くなる第2流量状態となったかどうかを判定し、YESであればステップS211に処理を進め、NOであればステップS212に処理を進める。流量変動状態検出部33は、時刻T3における流量値FRaから流量値FR3まで流量が増加した後、時刻T4で流量計測値FRacが流量設定値FRsetよりも第2閾値Th2以上低い流量値FRbとなったことに応じて、第2流量状態になったと判定する。流量計測値FRacは、時刻T4を経過した後に流量値FRbから更に減少して流量値FR4となり、その後に増大する。
【0077】
ステップS211で、流量変動状態検出部33は、第1流量状態と第2流量状態が交互に2回ずつ繰り返される状態であることから、流量変動状態検出部33は、流量変動状態を設定する。本実施形態の流量変動状態検出部33は、第1流量状態、第2流量状態、第1流量状態、第2流量状態の順で流量計測値FRacの変動が発生したことに応じて、流量変動状態を検出する。
【0078】
ステップS212で、流量変動状態検出部33は、監視状態を初期状態である第1監視状態に戻すかどうかを判断し、YESであればステップS213に処理を進め、NOであれば本フローチャートの処理を終了して、再びステップS201からの処理を繰り返す。流量変動状態検出部33は、図7のステップS108で流量調整を終了する場合、あるいは図7のステップS101で流量設定部32が流量設定値FRsetを変更する場合、ステップS212でYESと判断する。
【0079】
ステップS213で、流量変動状態検出部33は、第2監視状態、第3監視状態、第4監視状態または流量変動状態が設定されている場合、設定されている状態を解除して第1監視状態を設定する。
【0080】
図8に示す処理において、流量変動状態検出部33は、第1流量状態と第2流量状態が交互に2回ずつ繰り返される状態である場合に、流量変動状態を検出するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、流量変動状態検出部33は、第1流量状態と第2流量状態が交互に1回のみ発生する場合に、流量変動状態を検出してもよい。また、流量変動状態検出部33は、第1流量状態と第2流量状態が交互に3回以上で設定した任意の回数発生する場合に、流量変動状態を検出してもよい。
【0081】
以上で説明した本実施形態の流量調整装置100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の流量調整装置100によれば、制御部31は、流量変動状態検出部33が流量変動状態を検出しない場合は第1の移動量MV1で弁体部21を移動させるよう流量調整部20を制御する。一方、制御部31は、流量変動状態検出部33が流量変動状態を検出する場合は第1の移動量MV1よりも少ない第2の移動量MV2で弁体部21を移動させるよう流量調整部20を制御する。流量変動状態検出部33が流量変動状態を検出する場合の弁体部21の第2の移動量MV2が、流量変動状態検出部33が流量変動状態を検出する場合の弁体部21の第1の移動量MV1よりも少ないため、計測流路14を流通する液体の流量の変化を少なくし、流量計測値FRacが予め設定された流量設定値FRsetに対して過大となる第1流量状態と過少となる第2流量状態とが繰り返されないように調整される。そのため、流量調整装置100の上流側の液体の供給圧力に対して、流量調整装置100の下流側に液体を吐出する際の圧力(背圧)が過度に低くなるような状態であっても、流量計測値FRacを流量設定値FRsetに適切に収束させることができる。
【0082】
本実施形態の流量調整装置100において、流量変動状態は、第1流量状態と第2流量状態とが交互に繰り返される状態である。
本実施形態の流量調整装置100によれば、第1流量状態と第2流量状態とが交互に繰り返される状態を流量変動状態として検出することにより、流量計測値FRacが予め設定された流量設定値FRsetに対して過大となる第1流量状態と過少となる第2流量状態とが繰り返されないようにすることができる。
【0083】
本実施形態の流量調整装置100において、第1閾値Th1および第2閾値Th2は、流量範囲の5%以上かつ10%以下に設定されている。
本実施形態の流量調整装置100によれば、第1閾値Th1および第2閾値Th2を流量設定値FRsetが設定される流量範囲の5%以上かつ10%以下に設定することにより、流量計測値FRacが予め設定された流量設定値FRsetに対して過大となる第1流量状態と過少となる第2流量状態を適切に検出することができる。
【0084】
本実施形態の流量調整装置100において、流量変動状態検出部33は、流量設定部32が流量設定値FRsetを変更したことに応じて、流量変動状態を検出する状態を解除する。
本実施形態の流量調整装置100によれば、流量設定部32が流量設定値FRsetを変更したことに応じて、流量変動状態を検出する状態が解除される。そのため、流量変動状態検出部33は、変更された流量設定値FRsetに応じた流量変動状態を改めて検出することができる。
【0085】
本実施形態の流量調整装置100において、第2の移動量MV2は、第1の移動量MV1の0.2倍以上かつ0.4倍以下である。
本実施形態の流量調整装置100によれば、第2の移動量MV2を第1の移動量MV1の0.2倍以上かつ0.4倍以下とすることにより、流量変動状態検出部33が流量変動状態を検出する場合の弁体部21の第2の移動量MV2を第1の移動量MV1に対して適切に少なくし、流量計測値FRacの変動を抑制することができる。
【符号の説明】
【0086】
1a 流入端
1b 流出端
10 超音波流量計測部
14 計測流路
20 流量調整部
21 弁体部
30 制御装置
31 制御部
32 流量設定部
33 流量変動状態検出部
62 弁孔
100 流量調整装置
100a 流入ポート
100b 流出ポート
FRac 流量計測値
FRmax 最大流量
FRset 流量設定値
MV1 第1の移動量
MV2 第2の移動量
Th1 第1閾値
Th2 第2閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9