(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030232
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】画像形成装置、劣化状態判断方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20250228BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20250228BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
G03G21/00 510
B65H7/14
B41J29/38 350
B41J29/38 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135345
(22)【出願日】2023-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】酒井 克英
(72)【発明者】
【氏名】野村 毅
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061BB08
2C061BB10
2C061BB11
2C061BB19
2C061BB37
2C061HH03
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HK23
2C061HV02
2C061HV19
2C061HV23
2C061HV26
2C061HV30
2C061HV32
2C061HV35
2C061KK03
2C061KK06
2C061KK35
2H270KA62
2H270LA01
2H270LD05
2H270MB27
2H270MB28
2H270NC02
2H270NC03
2H270NC20
2H270NC23
2H270QB01
2H270QB10
2H270RA04
2H270RB07
2H270ZC04
2H270ZC05
2H270ZC06
3F048AA01
3F048BB09
3F048BB10
3F048BC03
3F048DB15
3F048DC13
(57)【要約】
【課題】電磁波ノイズに対する耐量に個体差があっても、電磁波ノイズの影響による検知素子の劣化状態を適切に判断できるようにする。
【解決手段】画像形成装置1は、特定の状態を検知して所定の出力信号SIGを出力する検知素子18と、出力信号SIGの状態に応じて、検知素子SIGが交換時期に至るまでの検知素子SIGの劣化状態を判断する判断部62と、を備える。例えば、判断部62は、出力信号SIGに基づいて電磁波ノイズに対する検知素子18の耐量を測定し、耐量に基づいて検知素子18の劣化状態を判断する。また例えば、判断部62は、検知素子18が特定の状態を検知してから出力信号SIGが確定するまでの状態に基づいて検知素子18の劣化状態を判断する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の信号を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた特定の信号に基づき所定の出力値を出力する出力部とを備える検知素子と、
前記出力部からの出力の状況に応じて、前記検知素子の交換が必要となる状態に至るまでの劣化状態を判断する判断部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検知素子は、特定の状態を検知した場合に所定の出力値となる出力信号を出力し、
前記判断部は、前記出力信号として出力される出力値の状態に応じて、前記検知素子が交換時期に至るまでの前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記出力値に基づいて電磁波ノイズに対する前記検知素子の耐量を測定し、前記耐量に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記検知素子が前記特定の状態を検知してから前記出力値が確定するまでの状態に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判断部は、前記検知素子の劣化状態として、前記検知素子の準故障状態と故障状態とを区別して判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検知素子は、投光部と受光部とを有し、
前記受光部は、前記投光部から照射される光を受光した場合の受光量に応じて前記出力信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記判断部は、前記受光部から出力される前記出力信号に基づく論理値を所定周期で繰り返しサンプリングし、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの論理変化に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記判断部は、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの期間において、前記論理値が前記所定値に一致しなかった不一致発生回数をカウントし、前記不一致発生回数に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記判断部は、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの期間において、前記論理値が反転した反転回数をカウントし、前記反転回数に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記判断部は、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの期間において、前記論理値が前記所定値に一致しなかった不一致発生確率を算出し、前記不一致発生確率に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記判断部は、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの論理変化を検出する検出処理を複数回繰り返し行い、複数回の検出処理において前記論理値が前記所定値に一致しなかった不一致発生確率を算出し、前記不一致発生確率に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記判断部は、前記受光部に流れる出力電流を測定し、前記出力電流の測定結果に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記判断部は、前記投光部に流れる電流を変化させ、前記受光部から出力される前記出力信号に基づく論理値を所定周期で繰り返しサンプリングし、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの論理変化に基づいて前記受光部に流れる出力電流を測定することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記判断部は、前記受光部に接続されるプルアップ抵抗を変化させ、前記受光部から出力される前記出力信号に基づく論理値を所定周期で繰り返しサンプリングし、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの論理変化に基づいて前記受光部に流れる出力電流を測定することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記判断部は、前記受光部から出力される前記出力信号に基づく論理値を所定周期で繰り返しサンプリングし、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの期間において、前記論理値が前記所定値に一致しなかった不一致発生回数が所定回数以上である場合、前記受光部に流れる出力電流を測定し、前記出力電流の測定結果に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項16】
外部装置と通信を行う通信部と、
前記外部装置から受信する情報に基づき、前記検知素子の劣化状態を判断するか否かを決定する決定部と、
を更に備え、
前記判断部は、前記決定部によって前記検知素子の劣化状態を判断すると決定された場合に、前記出力部からの出力の状況に応じて、前記検知素子が交換時期に至るまでの前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項17】
電磁波ノイズを検知して前記検知素子の劣化状態を判断するか否かを決定する決定部、
を更に備え、
前記判断部は、前記決定部によって前記検知素子の劣化状態を判断すると決定された場合に、前記出力部からの出力の状況に応じて、前記検知素子が交換時期に至るまでの前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記検知素子の延命処理を行う延命処理部、
を備え、
前記判断部は、前記検知素子の劣化状態に基づき、前記検知素子の延命処理が可能であるか否かを判断し、
前記延命処理部は、前記判断部によって前記検知素子の延命処理が可能であると判断された場合に前記検知素子の延命処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記延命処理部は、前記投光部に流れる電流を増加させることにより、前記検知素子の延命処理を行うことを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記延命処理部は、前記受光部に接続されるプルアップ抵抗を大きくすることにより、前記検知素子の延命処理を行うことを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
【請求項21】
出力信号を出力する検知素子を備えた画像形成装置において、前記検知素子の劣化状態を判断する劣化状態判断方法であって、
前記出力信号の状態に応じて、前記検知素子が交換時期に至るまでの前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする劣化状態判断方法。
【請求項22】
出力信号を出力する検知素子を備えた画像形成装置において実行されるプログラムであって、前記画像形成装置に、
前記出力信号の状態に応じて、前記検知素子が交換時期に至るまでの前記検知素子の劣化状態を判断するステップ、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、劣化状態判断方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器が動作すると、電磁波ノイズが発生する。電磁波ノイズは、電気部品の特性を変化させたり、電機部品を破損させたりする。そのため、電磁波ノイズは、電気機器に誤動作を生じさせる要因のひとつである。MFP(Multifunction Peripherals)などの画像形成装置も、動作時に電磁波ノイズを発生する。周辺にある他製品に影響を与えないようにするため、画像形成装置には、電磁波ノイズを所定量以下に抑えるための規格が設けられている。また、他製品からの電磁波ノイズを受けて画像形成装置が誤動作や破損することがないように、画像形成装置には、電磁波ノイズに対する耐量の規格も設けられている。
【0003】
画像形成装置に実装されている電気部品も、動作時に電磁波ノイズを発生したり、外部からの電磁波ノイズの影響を受けたりする。電気部品によっては、外部からの電磁波ノイズの影響を受けて特性が次第に変化していくことがある。初期状態から特性が少しずつ変化しているにもかかわらず、ユーザーは部品の特性の変化に気付かず、画像形成装置を使用し続けることになる。そのような状況でユーザーが画像形成装置を使用しているとき、電磁波ノイズの影響を受けて電気部品が誤動作していることがある。例えば、画像形成装置において電気部品が誤動作すると、ジョブの実行を正常に終了できなくなる。
【0004】
例えばセンサーなどの電気部品の電磁波ノイズに対する耐量は、誤動作するかどうかで決まる。誤動作するかどうかは、電気部品の特性が電磁波ノイズの影響を受けて変化しているかどうかで決まる。そのため、電気部品の誤動作を未然に防ぐためには、電気部品の特性を評価する必要がある。
【0005】
従来、複数の部品から構成される画像形成装置において、部品から発生する所定周波数のノイズを検出し、ノイズの強度を予め記憶されている所定の基準値と比較し、その比較結果に基づいて他の部品(制御回路)の状態を判定して報知する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電磁波ノイズに対する耐量は、部品ごとに個体差がある。特許文献1の従来技術は、所定周波数のノイズを検出して所定の基準値と比較することにより部品の状態を判定する。しかし、所定の基準値には、部品ごとの個体差が反映されていない。そのため、故障発生の可能性ありと判断された場合であっても、実際には故障が発生しないケースが起こり得る。また、故障発生の可能性がないと判断された場合であっても、部品の特性変化により、実際には部品の誤動作が発生し、故障に至るケースも起こり得る。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の課題を解決するため、電磁波ノイズに対する耐量に個体差があっても、電磁波ノイズの影響による部品の劣化状態を適切に判断できるようにした画像形成装置、劣化状態判断方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、画像形成装置であって、特定の信号を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた特定の信号に基づき所定の出力値を出力する出力部とを備える検知素子と、前記出力部からの出力の状況に応じて、前記検知素子の交換が必要となる状態に至るまでの劣化状態を判断する判断部と、を備えることを特徴とする構成である。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1の画像形成装置において、前記検知素子は、特定の状態を検知した場合に所定の出力値となる出力信号を出力し、前記判断部は、前記出力信号として出力される出力値の状態に応じて、前記検知素子が交換時期に至るまでの前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする構成である。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1の画像形成装置において、前記判断部は、前記出力値に基づいて電磁波ノイズに対する前記検知素子の耐量を測定し、前記耐量に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする構成である。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項2の画像形成装置において、前記判断部は、前記検知素子が前記特定の状態を検知してから前記出力値が確定するまでの状態に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする構成である。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1の画像形成装置において、前記判断部は、前記検知素子の劣化状態として、前記検知素子の準故障状態と故障状態とを区別して判断することを特徴とする構成である。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項2の画像形成装置において、前記検知素子は、投光部と受光部とを有し、前記受光部は、前記投光部から照射される光を受光した場合の受光量に応じて前記出力信号を出力することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項6の画像形成装置において、前記判断部は、前記受光部から出力される前記出力信号に基づく論理値を所定周期で繰り返しサンプリングし、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの論理変化に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする構成である。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項7の画像形成装置において、前記判断部は、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの期間において、前記論理値が前記所定値に一致しなかった不一致発生回数をカウントし、前記不一致発生回数に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする構成である。
【0017】
請求項9に係る発明は、請求項7の画像形成装置において、前記判断部は、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの期間において、前記論理値が反転した反転回数をカウントし、前記反転回数に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする構成である。
【0018】
請求項10に係る発明は、請求項7の画像形成装置において、前記判断部は、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの期間において、前記論理値が前記所定値に一致しなかった不一致発生確率を算出し、前記不一致発生確率に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする構成である。
【0019】
請求項11に係る発明は、請求項7の画像形成装置において、前記判断部は、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの論理変化を検出する検出処理を複数回繰り返し行い、複数回の検出処理において前記論理値が前記所定値に一致しなかった不一致発生確率を算出し、前記不一致発生確率に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする構成である。
【0020】
請求項12に係る発明は、請求項6の画像形成装置において、前記判断部は、前記受光部に流れる出力電流を測定し、前記出力電流の測定結果に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする構成である。
【0021】
請求項13に係る発明は、請求項12の画像形成装置において、前記判断部は、前記投光部に流れる電流を変化させ、前記受光部から出力される前記出力信号に基づく論理値を所定周期で繰り返しサンプリングし、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの論理変化に基づいて前記受光部に流れる出力電流を測定することを特徴とする構成である。
【0022】
請求項14に係る発明は、請求項12の画像形成装置において、前記判断部は、前記受光部に接続されるプルアップ抵抗を変化させ、前記受光部から出力される前記出力信号に基づく論理値を所定周期で繰り返しサンプリングし、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの論理変化に基づいて前記受光部に流れる出力電流を測定することを特徴とする構成である。
【0023】
請求項15に係る発明は、請求項7の画像形成装置において、前記判断部は、前記受光部から出力される前記出力信号に基づく論理値を所定周期で繰り返しサンプリングし、前記論理値が複数回連続して所定値を示すまでの期間において、前記論理値が前記所定値に一致しなかった不一致発生回数が所定回数以上である場合、前記受光部に流れる出力電流を測定し、前記出力電流の測定結果に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする構成である。
【0024】
請求項16に係る発明は、請求項1の画像形成装置において、外部装置と通信を行う通信部と、前記外部装置から受信する情報に基づき、前記検知素子の劣化状態を判断するか否かを決定する決定部と、を更に備え、前記判断部は、前記決定部によって前記検知素子の劣化状態を判断すると決定された場合に、前記出力部からの出力の状況に応じて、前記検知素子が交換時期に至るまでの前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする構成である。
【0025】
請求項17に係る発明は、請求項1の画像形成装置において、電磁波ノイズを検知して前記検知素子の劣化状態を判断するか否かを決定する決定部、を更に備え、前記判断部は、前記決定部によって前記検知素子の劣化状態を判断すると決定された場合に、前記出力部からの出力の状況に応じて、前記検知素子が交換時期に至るまでの前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする構成である。
【0026】
請求項18に係る発明は、請求項6の画像形成装置において、前記検知素子の延命処理を行う延命処理部、を備え、前記判断部は、前記検知素子の劣化状態に基づき、前記検知素子の延命処理が可能であるか否かを判断し、前記延命処理部は、前記判断部によって前記検知素子の延命処理が可能であると判断された場合に前記検知素子の延命処理を行うことを特徴とする構成である。
【0027】
請求項19に係る発明は、請求項18の画像形成装置において、前記延命処理部は、前記投光部に流れる電流を増加させることにより、前記検知素子の延命処理を行うことを特徴とする構成である。
【0028】
請求項20に係る発明は、請求項18の画像形成装置において、前記延命処理部は、前記受光部に接続されるプルアップ抵抗を大きくすることにより、前記検知素子の延命処理を行うことを特徴とする構成である。
【0029】
請求項21に係る発明は、出力信号を出力する検知素子を備えた画像形成装置において、前記検知素子の劣化状態を判断する劣化状態判断方法であって、前記出力信号の状態に応じて、前記検知素子が交換時期に至るまでの前記検知素子の劣化状態を判断することを特徴とする構成である。
【0030】
請求項22に係る発明は、出力信号を出力する検知素子を備えた画像形成装置において実行されるプログラムであって、前記画像形成装置に、前記出力信号の状態に応じて、前記検知素子が交換時期に至るまでの前記検知素子の劣化状態を判断するステップ、を実行させることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、電磁波ノイズに対する耐量に個体差があっても、電磁波ノイズの影響による検知素子の劣化状態を適切に判断できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】検知素子の劣化状態を判断するための構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図4に示す信号のサンプリング結果を示す図である。
【
図7】画像形成装置によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】判断処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】論理値が確定したと認定する処理を複数回行う場合の論理判定の例を示す図である。
【
図10】画像形成装置によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11】判断処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】不一致発生回数に基づいて出力電流を推定する例を示す図である。
【
図13】画像形成装置によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】複数の画像形成装置とサーバー装置とが通信可能な構成例を示す図である。
【
図15】検知素子の劣化状態を判断するための構成例を示すブロック図である。
【
図16】検知素子の劣化状態を判断するための構成例を示すブロック図である。
【
図17】検知素子の劣化状態を判断するための構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0034】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置1の構成例を示す図である。
図1に示す画像形成装置1は、ユーザーによって指定された印刷ジョブを実行することにより、印刷用紙などのシート9に画像を印刷して出力する。例えば、画像形成装置1は、電子写真方式でシート9に画像を形成する。また、画像形成装置1は、タンデム方式でカラー画像を形成することが可能である。画像形成装置1は、装置本体内部に、搬送部2と、画像形成部3と、定着部4とを備えている。画像形成装置1は、下部の給紙カセット8に収容されているシート9を1枚ずつ搬送し、そのシート9にカラー画像又はモノクロ画像を形成し、上部の排出口15から排紙トレイ16上にシート9を排出する。また画像形成装置1は、装置本体内部に制御部7を備えている。制御部7は、搬送部2、画像形成部3及び定着部4といった各部の動作を制御する。
【0035】
搬送部2は、給紙カセット8と、ピックアップローラ10と、給紙部11と、搬送路12と、レジスト部13と、二次転写部14とを有している。給紙カセット8は、印刷用紙などのシート9の束を収容する容器である。ピックアップローラ10は、給紙カセット8に収容されているシート9の束の最上部のシート9を取り出して給紙部11へ送り出す。給紙部11は、ピックアップローラ10によって送り出される1枚又は複数枚のシート9のうちから最上部に位置する1枚のシート9だけを抜き出して下流側の搬送路12へ供給する。
【0036】
搬送路12は、シート9を矢印F2で示す搬送方向へ搬送するための経路である。給紙部11によって搬送路12に送り出されるシート9は、レジスト部13において斜行補正が施される。例えばレジスト部13は、一対のタイミングローラを備える。レジスト部13は、一対のタイミングローラのニップ部にシート9の先端を突き当てることにより、シート9の斜行を補正する。レジスト部13は、シート9の斜行を補正した後、一対のタイミングローラのニップ部でシート9の先端を保持する。一対のタイミングローラのニップ部でシート9の先端が保持された状態になると、搬送部2は、シート9の搬送を一時停止させる。搬送部2は、画像形成部3によって形成されるトナー像が二次転写部14へ移動してくるタイミングに合わせて一対のタイミングローラを駆動し、シート9を二次転写部14に向けて搬送する。シート9は、二次転写部14のニップ部を通過する際にその表面にトナー像が転写される。トナー像が転写されたシート9は、その後、定着部4を通過する際にトナー像の定着処理が施される。定着部4は、搬送されるシート9に対して加熱処理及び加圧処理を施すことによってトナー像をシート9に定着させる。その後、シート9は、排出口15から排紙トレイ16上へ排出される。
【0037】
画像形成部3は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色のトナー像を形成し、二次転写部14を通過するシート9に対してそれら4色のトナー像を同時に転写する。画像形成部3は、複数のトナーボトル19(19Y,19M,19C,19K)と、複数の画像ユニット20(20Y,20M,20C,20K)と、複数の露光部25(25Y,25M,25C,25K)と、転写ユニット30とを備えている。複数のトナーボトル19(19Y,19M,19C,19K)のそれぞれは、各色に対応している。また、複数の画像ユニット20(20Y,20M,20C,20K)のそれぞれも、各色に対応している。更に、複数の露光部25(25Y,25M,25C,25K)のそれぞれも、各色に対応している。
【0038】
転写ユニット30は、一対のローラ31,32と、中間転写ベルト33と、一次転写ローラ34(34Y,34M,34C,34K)と、クリーニング部35とが一体的に組み付けられたユニットである。一対のローラ31,32は、水平方向に所定間隔を隔てて配置される。中間転写ベルト33は、無端ベルトによって構成され、一対のローラ31,32に掛架された状態に配置される。一次転写ローラ34(34Y,34M,34C,34K)は、中間転写ベルト33の内側において各画像ユニット20に対向する位置に配置される。クリーニング部35は、中間転写ベルト33の表面に残留するトナーを除去する。
【0039】
一対のローラ31,32のうち、一方のローラ31は、装置本体内部に設けられる駆動軸に装着されて回転する駆動ローラである。ローラ31は、駆動軸が回転駆動されることによって中間転写ベルト33を矢印F1方向へ循環移動させる。他方のローラ32は、装置本体内部に設けられる従動軸に装着され、中間転写ベルト33の循環移動に伴い、従動回転する。これら一対のローラ31,32は、中間転写ベルト33に対して一定のテンションを付与した状態で装置本体内部において所定間隔離れた位置に設置される。ローラ31は、装置本体内部の駆動軸に装着されることにより、二次転写部14に対向する位置に設置される。ローラ31は、二次転写部14との間に中間転写ベルト33を挟み込んだ状態で中間転写ベルト33に押圧力を付与している。そしてローラ31は、レジスト部13から搬送されるシート9を中間転写ベルト33と二次転写部14との間に挟み込んで押圧することにより、中間転写ベルト33の表面に形成されているトナー像をシート9に二次転写する。
【0040】
クリーニング部35は、ローラ32に対向する位置おいて中間転写ベルト33の表面に接触する状態に保持される。クリーニング部35は、矢印F1方向に循環移動する中間転写ベルト33の表面に残留しているトナーを除去する。例えば、クリーニング部35は、クリーニングブレードやクリーニングブラシなどのクリーニング部材を備えている。クリーニング部35は、クリーニング部材を中間転写ベルト33の表面に接触させている。
【0041】
各色に対応する画像ユニット20Y,20M,20C,20Kは、転写ユニット30の下方位置に設けられている。各色に対応する露光部25Y,25M,25C,25Kは各画像ユニット20Y,20M,20C,20Kのさらに下方位置に設けられている。トナーボトル19Y,19M,19C,19Kは、転写ユニット30の上部に配置され、各画像ユニット20Y,20M,20C,20Kに対して各色のトナーを供給する。
【0042】
各画像ユニット20Y,20M,20C,20Kは同様の構成を有しており、使用するトナーの色が異なるだけである。すなわち、各画像ユニット20Y,20M,20C,20Kは、像担持体21と、帯電部22と、現像器23と、クリーニングブレード24とを備え、これらが一体的に組み付けられたユニットである。像担持体21は、感光体ドラムとして構成される。帯電部22、現像器23、及びクリーニングブレード24は、像担持体21の周囲に配置される。尚、以下において、各画像ユニット20Y,20M,20C,20Kを区別する必要がないときには、それらを総称して画像ユニット20と呼ぶことがある。
【0043】
像担持体21は感光体ドラムの表面に感光層を有する。像担持体21は、例えば転写ユニット30の一次転写ローラ34による転写圧が付与された中間転写ベルト33と接触した状態で右回り方向(時計回り方向)に回転する。その回転方向に沿って像担持体21の周囲に、クリーニングブレード24、帯電部22、及び現像器23が配置されている。帯電部22は、像担持体21の表面に接する帯電ローラを備えている。帯電部22は、像担持体21の表面を所定電荷に帯電させる。露光部25は、帯電部22によって帯電した感光層を画像データに基づいて露光する。これにより、露光部25は、像担持体21の表面に静電潜像を形成する。現像器23は、トナーボトル19から供給されるトナーを収容し、キャリアとトナーとを撹拌して帯電させたトナーを像担持体21の表面に供給する。これにより、現像器23は、静電潜像をトナーで現像し、像担持体21の表面にトナー像を形成する。像担持体21に形成されたトナー像は、中間転写ベルト33と接触する位置で中間転写ベルト33に一次転写される。一次転写ローラ34には、像担持体21の表面に形成される帯電したトナー像と逆極性となるバイアス電圧が印加される。一次転写ローラ34は、そのバイアス電圧による静電気力で、像担持体21の表面に形成されているトナー像を中間転写ベルト33に一次転写する。
【0044】
各画像ユニット20Y,20M,20C,20Kは、それぞれの一次転写ローラ34Y,34M,34C,34Kと協働しながら、矢印F1方向に循環移動する中間転写ベルト33に対して各色のトナー像を順次重畳させながら一次転写していく。したがって、中間転写ベルト33が最下流の画像ユニット20Kの位置を通過すると、中間転写ベルト33の表面には、4色のトナー像が重畳されたカラー画像が形成される。尚、シート9にモノクロ画像を形成する場合には、画像ユニット20Y,20M,20Cが動作せず、K(ブラック)に対応する画像ユニット20Kのみが動作して中間転写ベルト33にKのトナーのみによるモノクロ画像が形成される。
【0045】
中間転写ベルト33に形成されるトナー像は、二次転写部14と対向する位置を通過するときに、搬送部2によって搬送されるシート9と接触し、そのシート9の表面に二次転写される。二次転写部14は、中間転写ベルト33を挟んでローラ31と対向する位置に設けられている。中間転写ベルト33に一次転写されたトナー像がシート9と接触するとき、二次転写部14には帯電したトナーと逆極性のバイアス電圧が印加される。これにより、トナー像をシート9に二次転写できる。
【0046】
二次転写部14の位置でトナー像をシート9に二次転写した後においても、中間転写ベルト33の表面上には一部のトナーが残留することがある。そのような残留トナーは、中間転写ベルト33の表面に付着した状態のまま中間転写ベルト33と共に循環移動する。そして残留トナーは、クリーニング部35の位置を通過する際に、クリーニング部35に設けられているクリーニング部材によって中間転写ベルト33の表面から除去される。
【0047】
また、各画像ユニット20Y,20M,20C,20Kにおいて、像担持体21に形成されたトナー像を中間転写ベルト33に一次転写した後においても、像担持体21の表面にはトナーが残留することがある。そのような残留トナーは、像担持体21の回転に伴ってクリーニングブレード24に向かって進行し、クリーニングブレード24によって像担持体21の表面から除去される。
【0048】
シート9が搬送される搬送路12には、シート検知センサー17aと、ループ検知センサー17bとが設けられている。シート検知センサー17aは、レジスト部13と二次転写部14との間において搬送路12の近傍位置に設けられる。シート検知センサー17aは、レジスト部13の下流側においてシート9の通過を検知するセンサーである。ループ検知センサー17bは、二次転写部14と定着部4との間において搬送路12の近傍位置に設けられる。ループ検知センサー17bは、定着部4の上流側の所定位置で、定着部4に導かれるシート9に適度なループ(撓み)が形成されているか否かを検知するセンサーである。シート検知センサー17a及びループ検知センサー17bは、いずれも、画像形成装置1における特定の状態を検知すると所定の出力値を示す出力信号を出力するように設計された検知素子18である。
【0049】
図1には、画像形成装置1が2つの検知素子18を備えている例を示している。しかし、画像形成装置1に搭載される検知素子18は2つに限られない。すなわち、画像形成装置1には、画像形成装置1における様々な状態を検知するための多数の検知素子18が設けられる。それら多数の検知素子18は、いずれも電気部品によって構成される。そのため、検知素子18は、電磁波ノイズの影響を受けて特性が次第に変化していく。特性が変化すると、検知素子18が誤動作する可能性がある。画像形成装置1がジョブを実行しているとき、検知素子18が誤動作すると、ジャムが発生したり、エラーが発生したりするなど、トラブル発生の要因となる。そこで、本実施形態の画像形成装置1は、電磁波ノイズの影響による検知素子18の劣化状態を判断するように構成される。以下、検知素子18の劣化状態を判断するための構成例を詳しく説明する。
【0050】
図2は、検知素子18の劣化状態を判断するための構成例を示すブロック図である。本実施形態の検知素子18は、例えば透過型フォトセンサーであるフォトインタラプタによって構成される。この検知素子18は、投光部28と、受光部29とを有する。投光部28は、LEDなどの発光素子によって構成される。受光部29は、フォトトランジスタなどの受光素子によって構成される。投光部28は、受光部29に向けて光Lを照射する。投光部28と受光部29の間に遮蔽物が存在しない場合、投光部28からの光Lは受光部29によって受光される。投光部28と受光部29の間に遮蔽物が存在する場合、投光部28からの光Lは遮蔽物によって遮光される。この場合、受光部29は、投光部28からの光Lを受光しない。したがって、検知素子18の受光部29は、投光部28から照射される光を特定の信号として受け付ける受付部として機能する。
【0051】
投光部28のアノードは、プルアップ抵抗R1を介して電源Vccに接続される。例えば、プルアップ抵抗R1は、制御部7の制御によって抵抗値を変化させることが可能な可変抵抗である。投光部28のカソードは、グランドに接続される。したがって、投光部28に定常的に電流Ifが流れ、投光部28は発光状態となる。
【0052】
受光部29のコレクタ端子は、プルアップ抵抗R2を介して電源Vccに接続される。例えば、プルアップ抵抗R2は、制御部7の制御によって抵抗値を変化させることが可能な可変抵抗である。受光部29のエミッタ端子は、グランドに接続される。
【0053】
検知素子18は、投光部28と受光部29との間に遮蔽物が存在するとき、受光部29のフォトトランジスタがオフとなる。このとき、受光部29のコレクタ端子の電圧がHIGHとなる。これに対し、検知素子18は、投光部28と受光部29との間に遮蔽物が存在しないとき、受光部29のフォトトランジスタがオンとなる。このとき、フォトトランジスタに出力電流Icが流れる。そのため、受光部29のコレクタ端子の電圧がLOWとなる。したがって、検知素子18の受光部29は、受け付けた特定の信号に基づき、所定の出力値を示す出力信号を出力する出力部として機能する。
【0054】
例えば検知素子18がシート検知センサー17aである場合、投光部28と受光部29との間にシート9が進入すると、検知素子18がシート9を検知し、出力電流Icに応じた出力信号SIGを出力する。また、検知素子18がループ検知センサー17bである場合、シート9のループ形成によって投光部28と受光部29との間に遮蔽物が進入すると、検知素子18がループ形成状態を検知し、出力電流Icに応じた出力信号SIGを出力する。
【0055】
検知素子18の出力端子(コレクタ端子)には、抵抗37とコンデンサ38とを備えるローパスフィルタ39が接続される。そのローパスフィルタ39の出力端子が制御部7に接続される。ただし、検知素子18と制御部7との間にローパスフィルタ39を設けるか否かは任意である。
【0056】
制御部7は、信号処理部50と、CPU51と、記憶部52と、通信部53とを備える。信号処理部50は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの演算回路によって構成される。CPU51は、記憶部52に記憶されているプログラム54を読み出して実行するハードウェアプロセッサである。CPU51は、画像形成装置1におけるジョブの実行動作を統括的に制御する。また、CPU51は、検知素子18の劣化状態を判断する。記憶部52は、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)などによって構成される不揮発性の記憶デバイスである。記憶部52には、CPU51によって実行されるプログラム54が記憶される。また、記憶部52には、検知素子18の状態を記録した管理情報55が記憶される。通信部53は、画像形成装置1をネットワークに接続して外部装置と通信を行うためのインタフェースである。
【0057】
画像形成装置1は、操作パネル58を備えている。操作パネル58は、ユーザーが画像形成装置1を操作するためのユーザーインタフェースである。操作パネル58は、表示部59を備えている。表示部59は、例えばカラー液晶ディスプレイなどによって構成される。例えば表示部59は、ユーザーが操作可能な操作画面を表示する。また、表示部59は、ユーザーに対する各種の報知画面を表示することも可能である。
【0058】
信号処理部50は、検知素子18から出力される出力信号SIGを処理する。信号処理部50は、比較器56と、電流検知部57とを備えている。
【0059】
比較器56は、検知素子18から出力される出力信号SIGを所定の閾値と比較し、HIGH又はLOWの2値信号を出力する。例えば、出力信号SIGの電圧レベルが所定の閾値以上である場合、比較器56は、HIGH信号を出力する。また、出力信号SIGの電圧レベルが所定の閾値に満たない場合、比較器56は、LOW信号を出力する。つまり、比較器56は、検知素子18から出力される出力信号SIGが閾値よりも大きいか、又は小さいかを示す論理値を出力する。
【0060】
電流検知部57は、検知素子18の受光部29に流れる出力電流Icを検知する。検知素子18から出力される出力信号SIGは、出力電流Icに応じた電圧信号である。そのため、電流検知部57は、例えばA/D変換器によって構成される。電流検知部57は、出力電流Icに応じた電圧信号をデジタル信号に変換することにより、出力電流Icを示す信号を出力する。
【0061】
CPU51は、プログラム54を実行することにより、ジョブ制御部61、判断部62、延命処理部63、及び報知部64として機能する。
【0062】
ジョブ制御部61は、画像形成装置1におけるジョブの実行を制御する。例えば、ジョブ制御部61は、通信部53を介して印刷ジョブを受信すると、搬送部2、画像形成部3、及び定着部4のそれぞれを駆動し、シート9に画像を形成する動作を制御する。例えば、ジョブ制御部61は、比較器56から出力される信号に基づいて、シート9の搬送動作や、シート9に対するループ形成動作を制御する。
【0063】
判断部62は、検知素子18から出力される出力信号SIGの状態に応じて、検知素子18の交換が必要となる状態に至るまでの劣化状態を判断する。つまり、判断部62は、検知素子18の交換時期に達していない状況下において検知素子18の劣化状態を個別に判断する。
【0064】
検知素子18は、画像形成装置1の内部で発生する電磁波ノイズ又は画像形成装置1の外部から受ける電磁波ノイズの影響を受けて特性が次第に変化する。
図3は、検知素子18の特性変化の例を示す図である。
図3では、検知素子18がオン状態で出力される出力信号SIGのレベル変化を示している。
図3に示すように、検知素子18は、電磁波ノイズを受け続けると、出力信号SIGの電圧レベルが次第に上昇し、比較器56による閾値Thに近づいていく。また、検知素子18の個体差によって、出力信号SIGは、
図3に示す特性変化X1,X2,X3のように様々な態様で変化する。例えば、出力信号SIGが
図3に示す特性変化X1の態様で変化すると、ノイズ量が比較的少ない状態であっても出力信号SIGが閾値Thを超える。これに対し、出力信号SIGが
図3に示す特性変化X3の態様で変化する場合、特性変化X1よりも多くのノイズ量とならない限り、出力信号SIGが閾値Thを超えない。尚、
図3では、特性変化X1,X2,X3の傾きが等しい例を示しているが、検知素子18の個体差によって傾きが異なることもある。
【0065】
オン状態となったときの出力信号SIGが定常的に閾値Thを超えてしまうと、比較器56は定常的にHIGH信号を出力する。この場合、比較器56から出力される信号によって検知素子18のオン状態とオフ状態とを区別することができなくなる。そのため、オン状態となったときの出力信号SIGが定常的に閾値Thを超えてしまうと、検知素子18は、故障状態となる。
【0066】
これに対し、オン状態となったときの出力信号SIGが、時々、閾値Thを超えてしまうことがある。この場合、検知素子18は、準故障状態又は故障状態となる。この場合において、ジョブ制御部61が正常にジョブを実行できるかどうかは、出力信号SIGが閾値Thを超える頻度に依存する。例えば、出力信号SIGが閾値Thを超える頻度が比較的少ないとき、ジョブ制御部61が検知素子18からの出力信号SIGに基づいて正常にジョブを実行できるケースが多い。それ故、検知素子18は、第1の準故障状態である。これに対し、出力信号SIGが閾値Thを超える頻度が多くなると、ジョブ制御部61が検知素子18からの出力信号SIGに基づいて正常にジョブを実行できるケースが減る。この場合、検知素子18は、第2の準故障状態である。ただし、出力信号SIGが閾値Thを超える頻度が極端に多くなると、ジョブ制御部61が検知素子18からの出力信号SIGに基づいて正常にジョブを実行できるケースが大幅に減る。この場合、検知素子18は、故障状態となる。
【0067】
また、検知素子18は、電磁波ノイズの影響を受けると、オン状態のときの出力電流Icが次第に低下する傾向がある。
【0068】
判断部62が検知素子18の劣化状態を判断する方法として、2つの方法がある。第1の方法は、検知素子18の出力信号SIGがどの程度閾値Thに近づいているか否かを評価することにより、検知素子18の劣化状態を判断する方法である。第2の方法は、検知素子18の出力電流Icを測定する方法である。本実施形態では、判断部62が第1の方法で検知素子18の劣化状態を判断する例を説明する。
【0069】
図4は、比較器56から出力される信号を示す図である。
図4(a)に示す信号SIG1は、検知素子18が正常状態である場合の信号を例示している。検知素子18がタイミングTaでオン状態になると、信号SIG1は、HIGHからLOWに切り替わる。検知素子18が正常状態である場合、比較器56から出力される信号SIG1は、検知素子18がオン状態である間、LOW信号の出力を継続する。
【0070】
これに対し、
図4(a)に示す信号SIG2は、検知素子18が準故障状態である場合の信号を例示している。検知素子18がタイミングTaでオン状態になると、信号SIG2は、HIGHからLOWに切り替わる。しかし、検知素子18の出力信号SIGが閾値Thに近づいているため、信号SIG2がHIGHからLOWに切り替わった後、出力信号SIGの変動に応じて、比較器56から出力される信号SIG2がLOWからHIGHに切り替わる。
図4(a)の例では、タイミングTbからTcの期間で信号SIG2がHIGHとなっている。このように検知素子18が準故障状態になると、検知素子18がオン状態になった後、比較器56から出力される信号SIG2が変動する。
【0071】
判断部62は、検知素子18がオン状態となった後、比較器56から出力される信号の論理判定を所定周期で繰り返し行うことにより、検知素子18の劣化状態を判断する。
図4(b)は、その論理判定の例を示している。
図4(b)に示す信号SIG1,SIG2,SIG3,SIG4は、比較器56から出力される信号であり、検知素子18の劣化が進行していく過程の信号を示している。
【0072】
信号SIG1は、検知素子18が正常状態である場合に比較器56から出力される信号である。判断部62は、信号SIG1がタイミングTaでHIGHからLOWに切り替わると、所定のタイミングT1から所定周期で信号SIG1の論理値をサンプリングする動作を繰り返し行う。尚、サンプリング間隔は、数ミリ秒程度の間隔である。そして判断部62は、所定回数連続して所定値(LOW)を示す論理値をサンプリングすると、信号SIG1の論理値が所定値で確定したことを認定する。
図4(b)の例では、2回連続して所定値(LOW)を示す論理値をサンプリングできると、判断部62は、信号SIG1の論理値が確定したと認定する。信号SIG1の場合、判断部62によって論理値が確定したと認定されるタイミングは、T2である。信号SIG1は検知素子18が正常状態であるときの信号であるため、判断部62によって論理値が確定したと認定されるまでのサンプリング数は最小の「2」となる。
【0073】
信号SIG2は、検知素子18が正常状態から若干劣化した場合に比較器56から出力される信号である。判断部62は、信号SIG2がHIGHからLOWに切り替わると、所定のタイミングT1から所定周期で信号SIG2の論理値をサンプリングする動作を繰り返し行う。そして判断部62は、上記と同様、所定回数連続して所定値(LOW)を示す論理値をサンプリングすると、信号SIG2の論理値が確定したことを認定する。
図4(b)の例では、2回連続して所定値(LOW)を示す論理値をサンプリングできると、判断部62は、信号SIG2の論理値が確定したと認定する。信号SIG2は、タイミングT2において論理値が反転している。そのため、タイミングT2でサンプリングされる論理値は、所定値(LOW)ではなく、論理不一致となる。その結果、信号SIG2の場合に、判断部62によって論理値が確定したと認定されるタイミングは、T4となる。また、信号SIG2は検知素子18が若干劣化した状態の信号であるため、判断部62によって論理値が確定したと認定されるまでのサンプリング数は「4」となる。
【0074】
信号SIG3は、検知素子18の劣化が進行した場合に比較器56から出力される信号である。判断部62は、信号SIG3がHIGHからLOWに切り替わると、所定のタイミングT1から所定周期で信号SIG3の論理値をサンプリングする動作を繰り返し行う。そして判断部62は、上記と同様、所定回数連続して所定値(LOW)を示す論理値をサンプリングすると、信号SIG2の論理値が確定したことを認定する。
図4(b)の例では、2回連続して所定値(LOW)を示す論理値をサンプリングできると、判断部62は、信号SIG3の論理値が確定したと認定する。信号SIG3は、タイミングT2及びタイミングT4において論理値が反転している。そのため、タイミングT2,T4でサンプリングされる論理値は、所定値(LOW)ではなく、論理不一致となる。その結果、信号SIG3の場合に、判断部62によって論理値が確定したと認定されるタイミングは、T6となる。また、信号SIG3は検知素子18の劣化が進行した状態の信号であるため、判断部62によって論理値が確定したと認定されるまでのサンプリング数は「6」となる。
【0075】
信号SIG4は、検知素子18の劣化がさらに進行した場合に比較器56から出力される信号である。判断部62は、信号SIG4がHIGHからLOWに切り替わると、所定のタイミングT1から所定周期で信号SIG4の論理値をサンプリングする動作を繰り返し行う。そして判断部62は、上記と同様、所定回数連続して所定値(LOW)を示す論理値をサンプリングすると、信号SIG4の論理値が確定したことを認定する。
図4(b)の例では、2回連続して所定値(LOW)を示す論理値をサンプリングできると、判断部62は、信号SIG4の論理値が確定したと認定する。信号SIG4は、タイミングT2からT4までの期間において論理値が反転している。そのため、タイミングT2,T3,T4でサンプリングされる論理値は、所定値(LOW)ではなく、論理不一致となる。その結果、信号SIG4の場合に、判断部62によって論理値が確定したと認定されるタイミングは、T6となる。また、信号SIG4は検知素子18の劣化が進行した状態の信号であるため、判断部62によって論理値が確定したと認定されるまでのサンプリング数は「6」となる。
【0076】
図5は、
図4に示す信号SIG1~SIG4のサンプリング結果を示す図である。
図5に示すように、信号SIG1の場合、論理の不一致発生回数が0回、論理反転回数が0回、論理不一致の発生確率が0/2となる。また、信号SIG2の場合、論理の不一致発生回数が1回、論理反転回数が1回、論理不一致の発生確率が1/4となる。また、信号SIG3の場合、論理の不一致発生回数が2回、論理反転回数が2回、論理不一致の発生確率が2/6となる。更に、信号SIG4の場合、論理の不一致発生回数が3回、論理反転回数が1回、論理不一致の発生確率が3/6となる。
【0077】
判断部62は、検知素子18の劣化状態を判断する際、
図5に示すように、論理の不一致発生回数、論理反転回数、及び論理不一致の発生確率、の少なくとも1つを判断基準として採用する。例えば、論理の不一致発生回数を判断基準とする場合、判断部62は、不一致発生回数が0回であるときに検知素子18が正常状態であると判断する。また、不一致発生回数が1回以上あるとき、判断部62は、検知素子18が準故障状態であると判断する。更に、不一致発生回数が所定回数以上であるとき、判断部62は、検知素子18が故障状態であると判断する。
【0078】
図6は、判断部62による判断内容を例示する図である。判断部62は、検知素子18の状態として、正常状態と劣化状態とのいずれの状態であるかを判断する。劣化状態には、第1の準故障状態と、第2の準故障状態と、故障状態とが含まれる。第2の準故障状態は、第1の準故障状態よりも劣化状態が進行した状態である。故障状態は、第2の準故障状態よりも劣化状態が更に進行した状態である。
【0079】
判断部62は、検知素子18の状態を判断すると、
図6に示すように、検知素子18のリユースの可否、対応処理、及び報知の必要性を更に判断する。検知素子18が正常状態である場合、検知素子18のリユースは許可される。リユースが許可されると、画像形成装置1が別のユーザーに譲渡された場合に検知素子18がそのまま再利用される。これに対し、リユースが禁止されると、画像形成装置1が別のユーザーに譲渡された場合に検知素子18が新品に交換される。また、検知素子18が正常状態である場合、検知素子18に対する対応処理は、不要となる。更に、検知素子18が正常状態である場合、ユーザーに対する報知も不要となる。
【0080】
検知素子18が第1の準故障状態である場合、検知素子18のリユースは不可となる。そのため、画像形成装置1が別のユーザーに譲渡されるときには、検知素子18を新品に交換することが必要となる。また、検知素子18が第1の準故障状態である場合、検知素子18に対する対応処理は、不要となる。更に、検知素子18が第1の準故障状態である場合、ユーザーに対する報知も不要となる。
【0081】
検知素子18が第2の準故障状態である場合、検知素子18のリユースは不可となる。また、検知素子18が第2の準故障状態である場合、検知素子18に対する対応処理は、延命処理となる。延命処理は、検知素子18の誤動作を低減するための処理である。延命処理の詳細については後述する。更に、検知素子18が第2の準故障状態である場合、ユーザーに対する報知も不要となる。
【0082】
検知素子18が故障状態である場合、検知素子18のリユースは不可となる。また、検知素子18が故障状態である場合、検知素子18に対する対応処理は、即交換となる。すなわち、検知素子18が故障状態である場合、画像形成装置1において正常にジョブを実行できない可能性が高いため、検知素子18の即時交換が必要となる。更に、検知素子18が故障状態である場合、ユーザーに対する報知が必要となる。すなわち、検知素子18を直ぐに交換する必要があるため、ユーザーに対してメンテナンス作業を行うことを報知することが必要となる。
【0083】
判断部62は、上述した判断を行うと、その判断結果を管理情報55に記録する。画像形成装置1には、複数の検知素子18が搭載される。そのため、管理情報55には、複数の検知素子18のそれぞれに対する判断結果が個別に記録される。
【0084】
延命処理部63は、判断部62によって管理情報55が更新されることに伴って機能する。延命処理部63は、管理情報55を読み出し、判断部62によって延命処理が必要と判断された検知素子18に対する延命処理を実行する。例えば、延命処理部63は、検知素子18の投光部28に流れる電流Ifを増加させる。これにより、投光部28から照射される光Lの強度が上がる。光Lの強度が上がると、受光部29の受光量が上がる。そのため、検知素子18がオンしたときに、検知素子18の受光部29に流れる出力電流Icを上昇させることができる。その結果、プルアップ抵抗R2における電圧降下量が大きくなり、出力信号SIGの電圧レベルが下がるため、検知素子18の動作を正常動作に近づけ、検知素子18を延命することができる。例えば、延命処理部63は、投光部28のプルアップ抵抗R1の抵抗値を低下させることにより、投光部28に流れる電流Ifを増加させることができる。尚、これとは異なる方法で、投光部28に流れる電流Ifを増加させても良い。
【0085】
報知部64は、判断部62によって管理情報55が更新されることに伴って機能する。報知部64は、管理情報55を読み出し、判断部62によって報知が必要と判断された検知素子18に関する報知処理を実行する。例えば、報知部64は、管理情報55に基づいて報知対象となる検知素子18を特定し、特定した検知素子18を明示してユーザーに即交換が必要であることを示す報知画面を作成する。報知部64は、その報知画面を操作パネル58の表示部59に表示することで、即時交換が必要な検知素子18をユーザーに報知する。また、報知部64は、通信部53を介して、サービスセンターなどに設置されているメンテナンス管理サーバーに対し、検知素子18を即交換する必要があることを通知しても良い。
【0086】
次に、画像形成装置1の動作について説明する。
図7及び
図8は、本実施形態の画像形成装置1によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理手順は、CPU51がプログラム54を実行することにより、制御部7で行われる処理手順である。制御部7は、画像形成装置1においてジョブの実行を開始すると(ステップS10)、検知素子18が特定の状態を検知してオン状態となったか否かを判断する(ステップS11)。検知素子18がオン状態になると(ステップS11でYES)、制御部7は、比較器56から出力される信号のサンプリングを開始する(ステップS12)。すなわち、制御部7は、比較器56から出力される信号の論理値を所定周期で繰り返しサンプリングする処理を開始する。サンプリングを開始すると、制御部7は、論理値が所定値とは異なる値を示す論理不一致の回数をカウントする動作を開始する(ステップS13)。制御部7は、比較器56から出力される信号の論理値が確定したと認定するまで、カウント動作を継続する。例えば、制御部7は、サンプリングによって取得される論理値が複数回連続して所定値を示すと、論理値が確定したと認定する。制御部7は、論理値が確定したと認定すると(ステップS14でYES)、判断処理を実行する(ステップS15)。
【0087】
図8は、判断処理(ステップS15)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部7は、判断処理を開始すると、カウントされた不一致発生回数を取得する(ステップS20)。不一致発生回数を取得すると、制御部7は、不一致発生回数が0回であるか否かを判断する(ステップS21)。不一致発生回数が0回である場合(ステップS21でYES)、制御部7は、検知素子18が正常状態であると判断する(ステップS22)。
【0088】
不一致発生回数が0回でない場合(ステップS21でNO)、論理値のサンプリング中に、検知素子18から出力される出力信号SIGが閾値Thを少なくとも1回超えたことになる。この場合、検知素子18が劣化状態となるため、制御部7は、検知素子18のリユースを不可に設定する(ステップS23)。
【0089】
続いて、制御部7は、不一致発生回数が10回以上であるか否かを判断する(ステップS24)。不一致発生回数が10回以上である場合(ステップS24でYES)、制御部7は、検知素子18を故障状態と判断する(ステップS25)。また、制御部7は、検知素子18を即交換の必要な素子であると判断する(ステップS26)。更に、制御部7は、ユーザーに対する報知が必要と判断する(ステップS27)。
【0090】
不一致発生回数が10回未満であった場合(ステップS24でNO)、制御部7は、不一致発生回数が5回以上であるか否かを判断する(ステップS28)。不一致発生回数が5回以上である場合(ステップS28でYES)、制御部7は、検知素子18の延命処理が必要であると判断する(ステップS29)。これに対し、不一致発生回数が5回未満であった場合(ステップS28でNO)、制御部7は、検知素子18に対する対応処理は不要であると判断する。以上で、判断処理(ステップS15)が終了する。
【0091】
図8に示す判断処理では、不一致発生回数に基づいて検知素子18の劣化状態を判断する例を説明した。しかし、これに限られるものではない。例えば、制御部7は、不一致発生回数ではなく、
図5に示した論理反転回数又は不一致発生確率に基づいて検知素子18の劣化状態を判断しても良い。
【0092】
図7のフローチャートに戻る。判断処理(ステップS15)が終了すると、制御部7は、延命処理を行うか否かを判断する(ステップS16)。制御部7は、判断処理において延命処理が必要であると判断した場合、ステップS16において延命処理を行うと判断する。延命処理を行う場合(ステップS16でYES)、制御部7は、検知素子18の延命処理を実行する(ステップS17)。例えば、制御部7は、投光部28に流れる電流Ifを増加させることにより、検知素子18の延命処理を実行する。尚、延命処理を実行しない場合(ステップS16でNO)、ステップS17の処理はスキップする。
【0093】
制御部7は、報知処理を行うか否かを判断する(ステップS18)。制御部7は、判断処理において報知が必要であると判断した場合、ステップS18において報知処理を行うと判断する。報知処理を行う場合(ステップS18でYES)、制御部7は、検知素子18の即交換が必要であることをユーザーに報知するための報知処理を実行する(ステップS19)。例えば、制御部7は、操作パネル58の表示部59に報知画面を表示することにより、ユーザーに対し、検知素子18の即交換が必要であることを報知する。尚、報知処理を実行しない場合(ステップS18でNO)、ステップS19の処理はスキップする。以上で、制御部7による処理が終了する。
【0094】
ところで、判断部62は、比較器56から出力される信号をサンプリングして論理値が確定したと認定する処理を複数回行うようにしても良い。
図9は、論理値が確定したと認定する処理を複数回行う場合の論理判定の例を示す図である。
図9に示す信号SIG1,SIG2,SIG3,SIG4は、比較器56から出力される信号であり、検知素子18の劣化が進行していく過程の信号を示している。
図9では、比較器56から出力される信号をサンプリングして論理値が確定したと認定する処理を2回行う例を示している。
図9の例では、1回目のサンプリングを開始してから所定時間TPが経過した後に2回目のサンプリングを開始している。つまり、判断部62は、論理値が複数回連続して所定値を示すまでの論理変化を検出する検出処理を複数回繰り返し行うのである。そして判断部62は、複数回の検出処理において論理値が所定値に一致しなかった不一致発生確率を算出し、不一致発生確率に基づいて前記検知素子の劣化状態を判断する。このように判断部62は、検知素子18がオン状態に遷移したことを検知した後、複数回のサンプリングを行うことにより、より高精度に検知素子18の劣化状態を判断できる。
【0095】
上述のように本実施形態の画像形成装置1は、特定の信号を受け付ける受付部と、受付部が受け付けた特定の信号に基づき所定の出力値を出力する出力部とを備える検知素子18と、検知素子18の出力部から出力される出力値の状況に応じて、検知素子18の交換が必要となる状態に至るまでの劣化状態を判断する判断部62と、を備えている。例えば上述した画像形成装置1は、特定の状態を検知して所定の出力信号SIGを出力する検知素子18と、出力信号SIGの状態に応じて、検知素子18が交換時期に至るまでの検知素子18の劣化状態を判断する判断部62と、を備えている。つまり、本実施形態の画像形成装置1は、検知素子18から出力される出力信号SIGの信号状態を監視することにより、電磁波ノイズを受けて次第に劣化していく検知素子18の劣化状態を判断する。そのため、画像形成装置1は、単に検知素子18が正常状態と故障状態のいずれであるかを判断するに留まらず、検知素子18が準故障状態であることも適切に判断することが可能である。特に検知素子18から出力される出力信号SIGの信号状態は、検知素子18の電磁波ノイズに対する耐量に応じてそれぞれ異なる。それ故、本実施形態の画像形成装置1は、電磁波ノイズに対する耐量に個体差があっても、個々の耐量に応じた検知素子18の劣化状態を適切に判断することが可能である。言い換えると、本実施形態の画像形成装置1は、出力信号SIGに基づいて電磁波ノイズに対する検知素子18の耐量を測定し、その耐量に基づいて検知素子18の劣化状態を判断しているのである。
【0096】
尚、上記においては、画像形成装置1においてジョブの実行が開始されることに伴い、制御部7が、検知素子18の劣化状態を判断する処理を行う例を説明した。しかし、制御部7は、画像形成装置1においてジョブの実行が行われる度に毎回、検知素子18の劣化状態を判断する処理を行う必要はない。例えば、制御部7は、画像形成装置1における印刷枚数が所定枚数となる度に、検知素子18の劣化状態を判断するようにしても良い。また、制御部7は、所定期間(例えば1ヶ月)が経過する度に、検知素子18の劣化状態を判断するようにしても良い。
【0097】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態では、判断部62が第1の方法で検知素子18の劣化状態を判断する例を説明した。これに対し、第2実施形態では、判断部62が第2の方法で検知素子18の劣化状態を判断する例を説明する。すなわち、第2実施形態の判断部62は、検知素子18の出力電流Icを測定し、検知素子18の劣化状態を判断する。尚、本実施形態における画像形成装置1の詳細な構成は、第1実施形態で説明した構成と同じである。
【0098】
本実施形態の判断部62は、検知素子18の受光部29に流れる出力電流Icを測定する。例えば、判断部62は、電流検知部57から出力される信号に基づき、出力電流Icを測定する。上述のように電磁波ノイズの影響によって検知素子18が劣化していくと、検知素子18の受光部29に流れる出力電流Icが次第に低下していく傾向がある。出力電流Icが低下すると、プルアップ抵抗R2における電圧降下量が小さくなるため、出力信号SIGの電圧レベルが変わる。つまり、出力信号SIGは、出力電流Icを表した信号となっている。また、上述のように電流検知部57は、出力信号SIGをデジタル信号に変換して出力する。そのため、判断部62は、電流検知部57から出力される信号に基づき、出力電流Icを算出することができる。
【0099】
判断部62は、出力電流Icを測定すると、その出力電流Icに基づき、検知素子18の劣化状態を判断する。例えば、判断部62は、出力電流Icが初期状態から低下した低下量を算出し、その低下量に基づいて検知素子18の劣化状態を判断する。具体的には、第1実施形態と同様、判断部62は、検知素子18が正常状態、第1の準故障状態、第2の準故障状態、及び故障状態のいずれの状態であるかを判断する。
【0100】
図10及び
図11は、第2実施形態の画像形成装置1によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理手順は、CPU51がプログラム54を実行することにより、制御部7で行われる処理手順である。制御部7は、画像形成装置1においてジョブの実行を開始すると(ステップS30)、検知素子18が特定の状態を検知してオン状態となったか否かを判断する(ステップS31)。検知素子18がオン状態になると(ステップS31でYES)、制御部7は、検知素子18の受光部29に流れる出力電流Icを測定する(ステップS32)。そして制御部7は、判断処理を実行する(ステップS33)。
【0101】
図11は、判断処理(ステップS33)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部7は、判断処理を開始すると、ステップS33で測定した出力電流Icを取得する(ステップS40)。そして制御部7は、出力電流Icが初期状態の電流I1以上であるか否かを判断する(ステップS41)。出力電流Icが電流I1以上である場合(ステップS41でYES)、制御部7は、検知素子18が正常状態であると判断する(ステップS42)。
【0102】
これに対し、出力電流Icが電流I1未満である場合(ステップS41でNO)、制御部7は、検知素子18のリユースを不可に設定する(ステップS43)。続いて、制御部7は、出力電流Icが故障レベルを示す電流I3未満であるか否かを判断する(ステップS44)。出力電流Icが電流I3未満である場合(ステップS44でYES)、制御部7は、検知素子18を故障状態と判断する(ステップS45)。また、制御部7は、検知素子18を即交換の必要な素子であると判断する(ステップS46)。更に、制御部7は、ユーザーに対する報知が必要と判断する(ステップS47)。
【0103】
出力電流Icが電流I3以上である場合(ステップS44でNO)、制御部7は、出力電流Icが延命処理の必要なレベルを示す電流I2未満であるか否かを判断する(ステップS48)。尚、電流I1,I2,I3の関係は、I1>I2>I3である。出力電流Icが電流I2未満である場合(ステップS48でYES)、制御部7は、検知素子18の延命処理が必要であると判断する(ステップS49)。これに対し、出力電流Icが電流I2以上である場合(ステップS48でNO)、制御部7は、検知素子18に対する対応処理は不要であると判断する。以上で、判断処理(ステップS33)が終了する。
【0104】
図10のフローチャートに戻る。判断処理(ステップS33)が終了すると、制御部7は、延命処理を行うか否かを判断する(ステップS34)。制御部7は、判断処理において延命処理が必要であると判断した場合、ステップS34において延命処理を行うと判断する。延命処理を行う場合(ステップS34でYES)、制御部7は、検知素子18の延命処理を実行する(ステップS35)。延命処理の詳細は第1実施形態と同様である。尚、延命処理を実行しない場合(ステップS34でNO)、ステップS35の処理はスキップする。
【0105】
制御部7は、報知処理を行うか否かを判断する(ステップS36)。制御部7は、判断処理において報知が必要であると判断した場合、ステップS36において報知処理を行うと判断する。報知処理を行う場合(ステップS36でYES)、制御部7は、検知素子18の即交換が必要であることをユーザーに報知するための報知処理を実行する(ステップS37)。報知処理の詳細は第1実施形態と同様である。尚、報知処理を実行しない場合(ステップS36でNO)、ステップS37の処理はスキップする。以上で、制御部7による処理が終了する。
【0106】
以上説明したように、本実施形態の判断部62は、検知素子18の受光部29に流れる出力電流Icを測定し、出力電流Icの測定結果に基づいて検知素子18の劣化状態を判断する。そのため、判断部62は、検知素子18が特定の状態を検知してオン状態となれば、直ぐに検知素子18の劣化状態を判断できる。つまり、本実施形態の判断部62は、第1実施形態よりも早く判断結果を出力できるという利点がある。
【0107】
ところで、判断部62による出力電流Icの測定方法は、電流検知部57から出力される信号に基づいて測定する方法に限られない。例えば、判断部62は、検知素子18の投光部28に流れる電流Ifを変化させることで、受光部29に流れる出力電流Icを間接的に測定しても良い。判断部62は、投光部28に流れる電流Ifを変化させるため、例えば投光部28のプルアップ抵抗R1の抵抗値を変化させる。投光部28に流れる電流Ifが変化すると、受光部29の受光量が変わるため、出力電流Icが変化する。判断部62は、出力電流Icを変化させつつ、第1実施形態と同様に、比較器56から出力される信号を所定周期で繰り返しサンプリングする。そして判断部62は、サンプリングした論理値が複数回連続して所定値(LOW)を示すまでの論理変化に基づき、受光部29に流れる出力電流Icを測定する。つまり、判断部62は、サンプリング中の論理値が所定値に一致しない不一致発生回数に基づいて出力電流Icを推定する。
【0108】
図12は、不一致発生回数に基づいて出力電流Icを推定する例を示す図である。
図12に示すように、判断部62は、プルアップ抵抗R1の抵抗値をRa,Rb,Rc,Rdの順で変化させるとする。尚、抵抗値Ra,Rb,Rc,Rdの関係は、Ra>Rb>Rc>Rdである。抵抗値Raのとき、サンプリング中の不一致発生回数が0回であると、出力電流Icは、初期状態の電流I1以上であると推定できる。また、抵抗値Rbのとき、サンプリング中の不一致発生回数が1回~4回であると、出力電流Icは、延命処理の必要なレベルである電流I2以上であり、且つ、電流I1未満であると推定できる。また、抵抗値Rcのとき、サンプリング中の不一致発生回数が5回~9回であると、出力電流Icは、故障レベルである電流I3以上であり、且つ、延命処理の必要なレベルである電流I2未満であると推定できる。更に、抵抗値Rdのとき、サンプリング中の不一致発生回数が10回以上であると、出力電流Icは、故障レベルである電流I3未満であると推定できる。
【0109】
判断部62は、プルアップ抵抗R1を各抵抗値Ra,Rb,Rc,Rdに変更しつつ、不一致発生回数をカウントする。判断部62は、各抵抗値Ra,Rb,Rc,Rdのときの不一致発生回数に基づき、出力電流Icを推定する。そして判断部62は、プルアップ抵抗R1の抵抗値を変化させたときの出力電流Icの変化率に基づき、抵抗値を元に戻したときの出力電流Icを算出する。判断部62は、このような手法で出力電流Icを測定しても良い。
【0110】
また、判断部62は、検知素子18の投光部28に流れる電流Ifを変化させるのではなく、受光部29のプルアップ抵抗R2の抵抗値を変化させることで出力電流Icを変化させるようにしても良い。判断部62は、プルアップ抵抗R2の抵抗値を変化させつつ、不一致発生回数をカウントする。判断部62は、各抵抗値のときの不一致発生回数に基づき、出力電流Icを推定する。そして判断部62は、プルアップ抵抗R2の抵抗値を変化させたときの出力電流Icの変化率に基づき、抵抗値を元に戻したときの出力電流Icを算出する。判断部62は、このような手法で出力電流Icを測定しても良い。
【0111】
尚、本実施形態における上記以外の構成及び動作は、第1実施形態で説明したものと同様である。
【0112】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、不一致発生回数が所定回数以上であった場合に出力電流Icを測定する例を説明する。尚、本実施形態における画像形成装置1の詳細な構成は、第1実施形態で説明した構成と同じである。
【0113】
本実施形態の判断部62は、第1実施形態と同様に、比較器56から出力される信号を所定周期で繰り返しサンプリングする。そして判断部62は、サンプリングした論理値が複数回連続して所定値(LOW)を示すまでの期間において論理値が所定値に一致しない不一致発生回数が所定回数以上発生したか否かを判断する。不一致発生回数が所定回数以上発生した場合、判断部62は、第2実施形態と同様に、検知素子18の出力電流Icを測定する。そして判断部62は、測定した出力電流Icに基づいて検知素子18の劣化状態を判断する。
【0114】
図13は、第3実施形態の画像形成装置1によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理手順は、CPU51がプログラム54を実行することにより、制御部7で行われる処理手順である。制御部7は、画像形成装置1においてジョブの実行を開始すると(ステップS50)、検知素子18が特定の状態を検知してオン状態となったか否かを判断する(ステップS51)。検知素子18がオン状態になると(ステップS51でYES)、制御部7は、比較器56から出力される信号のサンプリングを開始する(ステップS52)。サンプリングを開始すると、制御部7は、論理値が所定値とは異なる値を示す論理不一致の回数をカウントする動作を開始する(ステップS53)。制御部7は、比較器56から出力される信号の論理値が確定したと認定するまで、カウント動作を継続する。制御部7は、論理値が確定したと認定すると(ステップS54でYES)、不一致発生回数を取得する(ステップS55)。そして制御部7は、不一致発生回数が所定回数以上であるか否かを判断する(ステップS56)。例えば所定回数は1回である。不一致発生回数が所定回数未満である場合(ステップS56でNO)、制御部7による処理は終了する。
【0115】
不一致発生回数が所定回数以上である場合(ステップS56でYES)、制御部7は、検知素子18の受光部29に流れる出力電流Icを測定する(ステップS57)。そして制御部7は、判断処理を実行する(ステップS58)。この判断処理(ステップS58)の詳細なフローチャートは、
図11に示したフローチャートと同様である。
【0116】
判断処理(ステップS58)が終了すると、制御部7は、延命処理を行うか否かを判断する(ステップS59)。制御部7は、判断処理において延命処理が必要であると判断した場合、ステップS59において延命処理を行うと判断する。延命処理を行う場合(ステップS59でYES)、制御部7は、検知素子18の延命処理を実行する(ステップS60)。延命処理の詳細は第1実施形態と同様である。尚、延命処理を実行しない場合(ステップS59でNO)、ステップS60の処理はスキップする。
【0117】
制御部7は、報知処理を行うか否かを判断する(ステップS61)。制御部7は、判断処理において報知が必要であると判断した場合、ステップS61において報知処理を行うと判断する。報知処理を行う場合(ステップS61でYES)、制御部7は、検知素子18の即交換が必要であることをユーザーに報知するための報知処理を実行する(ステップS62)。報知処理の詳細は第1実施形態と同様である。尚、報知処理を実行しない場合(ステップS61でNO)、ステップS62の処理はスキップする。以上で、制御部7による処理が終了する。
【0118】
以上説明したように、本実施形態の判断部62は、検知素子18の受光部29から出力される出力信号SIGに基づく論理値を所定周期で繰り返しサンプリングする。そして判断部62は、論理値が複数回連続して所定値を示すまでの期間において、論理値が所定値に一致しなかった不一致発生回数が所定回数以上である場合、受光部29に流れる出力電流Icを測定する。判断部62は、出力電流Icの測定結果に基づいて検知素子18の劣化状態を判断する。これにより、判断部62は、第1及び第2実施形態と同様に、検知素子18が第1の準故障状態、第2の準故障状態、及び故障状態のいずれであるかを適切に判断できる。
【0119】
また、上述した内容とは反対に、判断部62は、受光部29に流れる出力電流Icを先に測定しても良い。この場合、判断部62は、出力電流Icの測定結果に基づいて検知素子18が劣化していると判断すると、検知素子18の受光部29から出力される出力信号SIGに基づく論理値を所定周期で繰り返しサンプリングするようにしても良い。この場合、判断部62は、論理値が複数回連続して所定値を示すまでの期間において、論理値が所定値に一致しなかった不一致発生回数に基づいて、検知素子18が第1の準故障状態、第2の準故障状態、及び故障状態のいずれであるかを判断する。
【0120】
尚、本実施形態における上記以外の構成及び動作は、第1又は第2実施形態で説明したものと同様である。
【0121】
(第4実施形態)
次に本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、制御部7が検知素子18の劣化状態を判断する処理を行うタイミングを適切に制御する例について説明する。
【0122】
図14は、複数の画像形成装置1a,1b,1cとサーバー装置100とが通信可能な構成例を示す図である。サーバー装置100は、例えばインターネットなどのネットワークを介して複数の画像形成装置1a,1b,1cのそれぞれと通信を行う。例えば画像形成装置1a,1bは、ジョブの実行中にジャムなどのトラブルが発生すると、トラブル情報D1をサーバー装置100へ送信する。サーバー装置100は、トラブル情報D1を集約し、画像形成装置1a,1bで生じているトラブルの原因を解析する。その結果、トラブルの原因が検知素子18の劣化にあると判断すると、サーバー装置100は、トラブルが発生した画像形成装置1a,1bと同一の検知素子18が搭載されている画像形成装置1cに対し、判断命令D2を送信する。画像形成装置1cは、サーバー装置100から送信される判断命令D2を受信すると、検知素子18の劣化状態を判断する処理を開始する。
【0123】
図15は、第4実施形態において検知素子18の劣化状態を判断するための構成例を示すブロック図である。制御部7のCPU51は、プログラム54を実行することにより、決定部65として機能する。決定部65は、外部装置であるサーバー装置100から受信する情報に基づき、検知素子18の劣化状態を判断するか否かを決定する。例えば、決定部65は、サーバー装置100から判断命令D2を受信すると、検知素子18の劣化状態を判断すると決定する。この場合、制御部7は、サーバー装置100から判断命令D2を受信した後にジョブを実行するとき、検知素子18の劣化状態を判断する処理を実行する。このとき、制御部7は、第1乃至第3実施形態のそれぞれで説明した処理を実行すれば良い。
【0124】
このように他の画像形成装置1a,1bにおいて検知素子18が劣化したことによるトラブルが発生すると、同じ検知素子18を搭載している画像形成装置1cは、検知素子18の劣化状態を判断する。そのため、画像形成装置1cは、検知素子18の劣化によるトラブルが発生する前に、検知素子18の劣化状態を適切に検知することができる。
【0125】
尚、上記においては、サーバー装置100が画像形成装置1cに判断命令D2を送信し、画像形成装置1cが判断命令D2を受信することに伴い、検知素子18の劣化状態を判断する例を説明した。しかし、これに限らず、サーバー装置100は画像形成装置1cに判断命令D2を送信しなくても良い。例えば、画像形成装置1cは、定期的にサーバー装置100にアクセスし、他の画像形成装置1a,1bにおけるトラブルの発生状況を問い合わせるようにしても良い。この場合、画像形成装置1cは、サーバー装置100からの回答に基づき、検知素子18の劣化状態を判断する必要があるか否かを決定できる。そのため、画像形成装置1cは、その決定結果に基づき、検知素子18の劣化状態を判断しても良い。
【0126】
(第5実施形態)
次に本発明の第5実施形態について説明する。制御部7が検知素子18の劣化状態を判断する処理を行うタイミングを適切に制御する別の例について説明する。
【0127】
図16は、第5実施形態において検知素子18の劣化状態を判断するための構成例を示すブロック図である。画像形成装置1は、検知素子18の近傍に設けられたノイズ検知部66を備えている。ノイズ検知部66は、検知素子18の近傍における電磁波ノイズを検知するアンテナなどによって構成される。また、制御部7のCPU51は、プログラム54を実行することにより、決定部65として機能する。決定部65は、ノイズ検知部66の検知結果に基づき、検知素子18の近傍の電磁波ノイズを検知し、検知素子18の劣化状態を判断するか否かを決定する。例えば、決定部65は、電磁波ノイズのノイズ量が所定量よりも多い場合、検知素子18の劣化状態を判断すると決定する。この場合、制御部7は、決定部65による決定が行われた後にジョブを実行するとき、検知素子18の劣化状態を判断する処理を実行する。このとき、制御部7は、第1乃至第3実施形態のそれぞれで説明した処理を実行すれば良い。
【0128】
したがって、本実施形態の画像形成装置1は、電磁波ノイズの影響によって検知素子18の劣化が進行している可能性がある場合に、検知素子18の劣化状態を適切に判断できる。
【0129】
(第6実施形態)
次に本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態では、検知素子18の劣化状態が第1の準故障状態又は第2の準故障状態である場合に、ユーザーに検知素子18の交換を促すタイミングを制御する例について説明する。
【0130】
図17は、第6実施形態において検知素子18の劣化状態を判断するための構成例を示すブロック図である。画像形成装置1は、記憶部52にジョブの実行履歴を含む履歴情報68を保存する。すなわち、ジョブ制御部61は、画像形成装置1においてジョブを実行すると、そのジョブの実行履歴を含む履歴情報68を生成し、記憶部52に保存する。
【0131】
報知部64は、管理情報55を読み出し、検知素子18が第1の準故障状態又は第2の準故障状態であるか否かを判断する。検知素子18が第1の準故障状態又は第2の準故障状態である場合、検知素子18の劣化が進行していることになる。そのため、検知素子18が第1の準故障状態又は第2の準故障状態である場合、報知部64は、履歴情報68を読み出し、ユーザーに検知素子18の交換を促すタイミングを決定する。具体的に説明すると、報知部64は、履歴情報68に基づいてユーザーの使用頻度を特定する。また、報知部64は、ユーザーの使用頻度と、検知素子18の状態(第1の準故障状態又は第2の準故障状態)とに基づき、検知素子18が故障状態となるまでの残り期間を推定する。そして報知部64は、残り期間が所定期間よりも短くなった場合、ユーザーに対して検知素子18の交換を促す報知を行う。これにより、ユーザーは、検知素子18が故障状態となる前に、検知素子18を交換するための作業を行うことができる。尚、検知素子18の交換を促す報知は、ユーザーだけに行うのではなく、サーバー装置100に対して行うようにしても良い。
【0132】
(変形例)
以上、本発明に関する好ましい複数の実施形態について説明した。しかし、本発明は、複数の実施形態のそれぞれで説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0133】
上記実施形態では、検知素子18が透過型フォトセンサーである例を説明した。しかし、検知素子18は、透過型フォトセンサーに限られない。例えば、検知素子18は反射型フォトセンサーであっても良い。また、検知素子18は、フォトセンサー以外のセンサーで構成されるものであっても構わない。
【0134】
また、上記実施形態で説明したプログラム54は、画像形成装置1の記憶部52に予め記憶されているものに限られない。例えば、プログラム54は、それ単体で取引の対象となるものであっても構わない。この場合、プログラム54は、インターネットなどのネットワークを介してダウンロード可能な態様で提供されるものであっても良いし、またCD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で提供されるものであっても良い。
【符号の説明】
【0135】
1,1a,1b,1c 画像形成装置
7 制御部
18 検知素子
28 投光部
29 受光部
50 信号処理部
51 CPU
52 記憶部
53 通信部
54 プログラム
56 比較器
57 電流検知部
61 ジョブ制御部
62 判断部
63 延命処理部
64 報知部
65 決定部