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特開2025-30238色検証システム、色検証方法、および色検証プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030238
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】色検証システム、色検証方法、および色検証プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20250228BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20250228BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
H04N1/60
H04N1/00 127A
B41J2/525
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135351
(22)【出願日】2023-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 浩一郎
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA25
5C062AB22
5C062AB38
5C062AC58
5C062AF14
(57)【要約】
【課題】要求される色品質レベルに応じた色検証が可能な色検証システムを提供する。
【解決手段】画像形成装置によって形成される特定画像の色検証を行う色検証システムであって、特定色で構成される前記特定画像の属性、および前記特定画像が形成される印刷物の用途に基づいて、前記特定画像を構成する特定色の色検証に用いる許容値を決定する情報処理装置を備えた色検証システムである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置によって形成される特定画像の色検証を行う色検証システムであって、
特定色で構成される前記特定画像の属性、および前記特定画像が形成される印刷物の用途に基づいて、前記特定画像を構成する特定色の色検証に用いる許容値を決定する情報処理装置を備えた
色検証システム。
【請求項2】
前記特定画像は、特色インクをプロセスカラーインクで代用して形成する画像であり、
前記特定色は、特色である
請求項1に記載の色検証システム。
【請求項3】
前記特定画像の属性は、前記特定画像の種別である
請求項1に記載の色検証システム。
【請求項4】
前記特定画像の属性および前記印刷物の用途の少なくとも一方に応じて設定された前記許容値を保持するサーバー装置を備え、
前記情報処理装置は、
前記特定画像の属性および前記印刷物の用途に関する情報に基づいて、前記サーバー装置に保持された許容値の中から1つの前記許容値を抽出する
請求項1に記載の色検証システム。
【請求項5】
前記サーバー装置は、前記特定画像の属性および前記印刷物の用途に関連付けて前記特定画像を構成する前記特定色の正解値を保持し、
前記情報処理装置は、前記画像形成装置によって形成された前記特定色の画像の測色値と、前記特定色の正解値との色差が、前記抽出した許容値の範囲内であるか否かを判定する
請求項4に記載の色検証システム。
【請求項6】
前記色検証の許容値は、Lab色空間における前記正解値の座標に対する差であるΔL,Δa,Δb、ΔE00によって表される
請求項5に記載の色検証システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、
前記画像形成装置に対する印刷ジョブの原稿画像データを取得し、取得した前記原稿画像データの中から前記特定画像を抽出し、前記抽出した特定画像の属性を判定する
請求項1に記載の色検証システム。
【請求項8】
前記特定画像に関するデータベースを保持するサーバー装置を備え、
前記情報処理装置は、前記データベースを参照して前記原稿画像データの中から前記特定画像を抽出し、前記抽出した特定画像の属性を判定する
請求項7に記載の色検証システム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、ネットワーク上での画像検索により、前記特定画像を抽出し、前記抽出した特定画像の属性を判定する
請求項7に記載の色検証システム。
【請求項10】
前記情報処理装置は、前記印刷物のサイズ情報および前記印刷物における画像のレイアウト情報に基づいて、前記印刷物の用途を判定する
請求項1に記載の色検証システム。
【請求項11】
前記情報処理装置は、前記色検証の履歴情報に基づいて、前記特定色の色検証に用いる許容値を決定する
請求項1に記載の色検証システム。
【請求項12】
前記情報処理装置は、前記履歴情報に基づいて過去に色検証を実施した特定色の正解値をLab色空間でプロットし、前記Lab色空間において前記色検証の対象となる特定色の正解値と距離が近い正解値をグループ化し、前記グループ化した各正解値に対応する前記許容値の平均を、前記対象となる特定色の色検証に用いる許容値とする
請求項11に記載の色検証システム。
【請求項13】
前記情報処理装置は、前記色検証の履歴情報を、クラウド上のサーバー装置に記録する
請求項11に記載の色検証システム。
【請求項14】
画像形成装置によって形成される特定画像の色検証方法であって、
特定色で構成される前記特定画像の属性、および前記特定画像が形成される印刷物の用途に基づいて、前記特定画像を構成する特定色の色検証に用いる許容値を決定する
色検証方法。
【請求項15】
サーバー装置が、前記特定画像の属性および前記印刷物の用途の少なくとも一方に応じて設定された前記許容値を保持し、
情報処理装置が、前記特定画像の属性および前記印刷物の用途に関する情報に基づいて、前記サーバー装置に保持された許容値の中から1つの前記許容値を抽出する
請求項14に記載の色検証方法。
【請求項16】
前記サーバー装置は、前記特定画像の属性および前記印刷物の用途に関連付けて前記特定画像を構成する前記特定色の正解値を保持し、
前記情報処理装置は、前記画像形成装置によって形成された前記特定色の画像の測色値と、前記特定色の正解値との色差が、前記抽出した許容値の範囲内であるか否かを判定する
請求項15に記載の色検証方法。
【請求項17】
画像形成装置によって形成される特定画像の色検証プログラムであって、
情報処理装置に対し、特定色で構成される前記特定画像の属性、および前記特定画像が形成される印刷物の用途に基づいて、前記特定画像を構成する特定色の色検証に用いる許容値を決定させる
色検証プログラム。
【請求項18】
サーバー装置に対し、前記特定画像の属性および前記印刷物の用途の少なくとも一方に応じて設定された前記許容値を保持させ、
情報処理装置に対し、前記特定画像の属性および前記印刷物の用途に関する情報に基づいて、前記サーバー装置に保持された許容値の中から1つの前記許容値を抽出させる
請求項17に記載の色検証プログラム。
【請求項19】
前記サーバー装置に対し、前記特定画像の属性および前記印刷物の用途に関連付けて前記特定画像を構成する前記特定色の正解値を保持させ、
前記情報処理装置に対し、前記画像形成装置によって形成された前記特定色の画像の測色値と、前記特定色の正解値との色差が、前記抽出した許容値の範囲内であるか否かを判定させる
請求項18に記載の色検証プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色検証システム、色検証方法、および色検証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置で形成した画像の色品質を検証する技術として、下記特許文献1に開示の技術がある。この特許文献1には、次のような色検証の手順が記載されている。先ず、ユーザーが、色検証を行う際に使用する色基準のデータを設定する。色基準のデータは、基準名と基準名毎の許容条件である。許容条件は、平均色差、最大色差等の許容値である。クライアントコンピューターのCPUは、測色部を使って測色した色パッチの測色データと、ユーザーが設定した色基準が有する基準値との色差を計算する。なお、測色データおよび基準値は、Lab色空間におけるLab値である。次に、クライアントコンピューターのCPUは、算出した色差と、色基準が有する色差の許容値とを比較し、算出した色差が許容値以下であればOK(良好)と判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-172703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、色検証に用いられる色基準のデータは、基準名と基準名毎の許容条件であって、基準名に対して1つの許容条件のみが設定されている。このため、その基準名を有する色が、どのような用途の印刷物の、どのような種別の画像を形成するための色であるのかを考慮した色検証を行うことができない。これにより、求める色品質レベルが高くない印刷物や画像の形成においても、色検証の判定結果が不適合となった場合には、専門的技術を有する作業者が時間をかけて色調整を行う必要があった。
【0005】
そこで本発明は、要求される色品質レベルに応じた許容条件での色検証が可能な色検証システム、色検証方法、および色検証プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するための本発明は、画像形成装置によって形成される特定画像の色検証を行う色検証システムであって、特定色で構成される前記特定画像の属性、および前記特定画像が形成される印刷物の用途に基づいて、前記特定画像を構成する特定色の色検証に用いる許容値を決定する情報処理装置を備えた色検証システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、要求される色品質レベルに応じた色検証が可能な色検証システム、色検証方法、および色検証プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る色検証システムの全体構成図である。
図2図2は、第1実施形態に係る色検証システムのサーバー装置が保持する色検証用情報テーブルを示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る色検証方法を示すフローチャートである。
図4図4は、表示部に表示される検証結果の一例を示す図である。
図5図5は、第2実施形態に係る色検証方法の主要な手順を示すフローチャートである。
図6図6は、第3実施形態に係る色検証方法においての正解値のグループ化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。各実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
≪第1実施形態≫
<色検証システム>
図1は、第1実施形態に係る色検証システム1の全体構成図である。図1に示す色検証システム1は、プロセスカラーインクを用いた画像形成に先立ち、プロセスカラーインクの調整によって形成する特色(以下、疑似特色と称する)の色検証を行うためのシステムである。このような色検証システム1は、情報処理装置10およびサーバー装置20を有する。情報処理装置10とサーバー装置20とは、通信回線30を介してネットワーク接続されている。情報処理装置10は、1つであることに限定されることはなく、複数の情報処理装置10が、通信回線30を介してサーバー装置20とネットワーク接続されていることが好ましい。
【0011】
[情報処理装置10]
このうち情報処理装置10は、いわゆるコンピュータであって、この色検証システム1を利用する各ユーザーが所有するクライアントコンピューターであってよい。また、情報処理装置10は、例えば画像形成装置2に組み込まれたものであってもよい。このような情報処理装置10は、測色器3と接続されたものであってもよい。なお、測色器3は、画像形成装置2に組み込まれている場合もある。
【0012】
各情報処理装置10は、操作部11、表示部12、および情報処理部13を備えている。情報処理部13は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、およびネットワークインターフェースを備えている。情報処理部13は、CPUがROMから所定のプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムをCPUが実行することにより、色検証を行う。
【0013】
情報処理部13は、特定色で構成される特定画像の属性、および特定画像を形成する印刷物の用途に基づいて、特定色についての色検証用の許容値を決定する。特定色は、プロセスカラーインクの調整によって形成する疑似特色であり、特定画像は疑似特色によって構成される特色画像である。また情報処理部13は、疑似特色によって形成した画像の色が、許容値の範囲内であるか否かを判定する。なお、情報処理部13による色検証の詳細な手順は以降の色検証方法において詳細に説明する。
【0014】
[サーバー装置20]
サーバー装置20は、例えばクラウド上のサーバー装置であることが好ましく、色検証のためのデータベースを保持する。図2は、第1実施形態に係る色検証システム1のサーバー装置20が保持する色検証用情報テーブル20tを示す図である。色検証用情報テーブル20tは、目標情報と許容値情報とに情報番号(No)を付与して保持する。目標情報とは、画像形成装置2で印刷形成する画像のうち、疑似特色によって構成される特色画像について情報であり、ここでは特色インクをプロセスカラーインクで代用して形成する特色画像についての情報である。
【0015】
目標情報は、特色画像における特色名、正解値、属性、および用途の各情報を含む。特色名は、特色インクの名称である。正解値は、疑似特色が目標としている特色インクの色でありLab値(L*,a*,b*)で示される。属性とは、特色画像の種別であり、例えば標章、銘柄、商標、企業ロゴ、商品ロゴ等のブランド情報を示す画像や、製品そのものの画像であるかの種別である。また用途とは、特色画像が印刷形成される印刷物の形態である。用途の具体例は、名刺、チラシ、ポップ、ポスター、カタログなどである。
【0016】
また許容値情報は、プロセスカラーインクの調整によって形成した疑似特色の測色値と、疑似特色が目標としている特色の正解値との間の色差の許容値(ΔL,Δa,Δb,ΔE00)である。この許容値は、特色毎、属性毎、用途毎に設定された値となる。つまり、特色名や正解値が同じでも、特色画像の属性や、特色画像を形成した印刷物の用途が異なれば、それらの情報番号(No)に関連付けされた許容値は、異なる値となる場合がある。この場合、高い色品質レベルが要求される属性や用途に対しては、許容値の範囲が狭く設定されることとする。具体的には、情報番号(No)のNo.1と、No.5とは、同じ特色であるが、特色画像の属性(A社ロゴ/C社製品)が異なり、また用途(名刺/カタログ)が異なるため、許容値が異なる値となっている。
【0017】
<色検証方法>
図3は、第1実施形態に係る色検証方法を示すフローチャートである。このフローチャートに示す手順は、図1を用いて説明した色検証システム1における各情報処理装置10が保持する色検証プログラムによって実施される手順である。以下、図3に示す手順にしたがって、先の図1および図2を参照しつつ、第1実施形態の色検証方法を説明する。
【0018】
[ステップS101]
ステップS101において、情報処理部13は、色検証の目標情報を取得する。目標情報とは、画像形成装置2で印刷形成する画像のうち、特色をプロセスカラーで代用して形成する特色画像についての情報である。ここで取得する目標情報は、特色画像の色の正解値または特色名と、特色画像の属性と、特色画像が形成される製品の用途である。
【0019】
このような特色画像についての情報は、ユーザーによる操作部11からの入力によって取得される。
【0020】
[ステップS102]
ステップS102において、情報処理部13は、ステップS101で取得した目標情報に基づいて、サーバー装置20が保持する情報の中から、色検証用の許容値を抽出する。この際、情報処理部13は、サーバー装置20が保持する色検証用情報テーブル20t(図2)の中から、ステップS101で取得した目標情報と一致する情報を有する情報番号(No)を選択する。そして、選択した情報番号(No)に関連付けて保持されている許容値を抽出する。
【0021】
なお、サーバー装置20が保持する色検証用情報テーブル20tの中に、ステップS101で取得した目標情報に一致する情報がない場合、情報処理部13は、属性が類似するか、用途が一致する情報を有する情報番号(No)を選択する。ここで属性が類似するとは、属性に示される会社名以外が一致することを示す。選択可能な情報番号(No)が複数存在する場合には、特色名または正解値が一致する情報番号(No)を優先して選択し、用途が一致する情報番号を次に優先して選択する。この場合、情報処理部13は、選択した情報番号(No)の許容値を、暫定許容値として抽出する。
【0022】
[ステップS103]
ステップS103において、情報処理部13は、チャート画像の測色値を取得する。このチャート画像は、ステップS101で取得した特色画像の色の正解値または特色名の色を、プロセスカラーインクを調整して得た疑似特色を用いて印刷したテスト画像である。また、情報処理部13が取得するチャート画像の測色値は、チャート画像を測色器3で測色した値である。情報処理部13は、情報処理装置10に接続された測色器3、または画像形成装置2に組み込まれた測色器3から、チャート画像の測色値を取得するか、またはユーザーによる操作部11からの入力によってチャート画像の測色値を取得する。
【0023】
[ステップS104]
ステップS104において、情報処理部13は、ステップS101で取得した目標情報の正解値と、ステップS103で取得した測色値とに基づいて色検証する。情報処理部13による色検証は次のようである。
【0024】
先ず、情報処理部13は、ステップS101で取得した目標情報の正解値と、ステップS103で取得した測色値12bとの色差を算出する。次いで、情報処理部13は、算出した色差と、ステップS102で抽出した許容値(または暫定許容値)とを比較し、全ての色差が許容値(または暫定許容値)の範囲内であるか否かを判定する。そして、算出した色差の全て、または色差ΔE00が許容値(または暫定許容値)の範囲内である場合に、検証結果を良好(OK)と判定する。情報処理部13は、検証結果を表示部12に表示させる。
【0025】
図4は、表示部12に表示される検証結果の一例を示す図である。図4に示すように、表示部12は、ステップS101で取得した目標情報と、ステップS102で抽出した許容値(または暫定許容値)を含む色検証用情報12aを表示する。また表示部12は、ステップS103で取得した測色値12bと、算出した色差12cと、色差が許容値の範囲内であるか否かの判定結果12dとを表示する。また表示部12は、色検証結果12eを表示する。なお、ステップS102で抽出した許容値が、暫定許容値である場合、色検証用情報12aの情報番号(No)は空欄となる。
【0026】
[ステップS105]
ステップS105において、情報処理部13は、色調整を実施するか否かの判断を実施する。この判断は、ユーザーによる操作部11からの入力によって判断される。この場合、例えば図4に示したように、表示部12は、色調整を実施するか否かを選択するための選択部12fを、検証結果と共に表示する。
【0027】
ユーザーは、表示部12に表示された判定結果12dおよび色検証結果12eと共に、上述したチャート画像(S103)を参照し、色調整を実施するか否かを判断する。色調整を実施すると判断した場合には、ユーザーは、選択部12fの[YES]を選択する。これにより、情報処理部13は、ステップS103に戻る(図3)。
【0028】
この際、ユーザーは、プロセスカラーインクの色調整を行う。この色調整は、例えばステップS102で抽出した許容値内に測色値が収まるように、各色プロセスカラーインクの最高濃度、階調、色変換テーブルの補正を実施する。その後、ユーザーは、色調整されたプロセスカラーインクを用いてチャート画像を印刷形成し、チャート画像の測色を行なう。この測色によって得られたチャート画像の測色値を、ステップS103において情報処理部13が取得し、その後はステップS104以降を繰り返す。
【0029】
一方、ユーザーが、選択部12fの[NO](図4参照)を選択した場合、情報処理部13は、色調整を実施しない(NO)と判断し、ステップS106に進む。
【0030】
[ステップS106]
ステップS106において、情報処理部13は、ステップS101で取得した目標情報が、サーバー装置20の色検証用情報テーブル20t(図2参照)の中に有るか否かを判断する。この際、情報処理部13は、ステップS102において、ステップS101で取得した目標情報と一致する情報を有する情報番号(No)を選択できていた場合には、有る(YES)と判断してステップS107に進む。
【0031】
一方、ステップS102において暫定許容値を抽出した場合、すなわち図4に示した色検証用情報12aの情報番号(No)が空欄の場合には、情報処理部13は、サーバー装置20にステップS101で取得した目標情報が無い(NO)と判断する。そして、ステップS107aに進む。
【0032】
[ステップS107a]
ステップS107aにおいて、情報処理部13は、ステップS101で取得した目標情報と、許容値とに、新たな情報番号(No)を付して、サーバー装置20の色検証用情報テーブル20t(図2)に色検証用情報を追加する。ここで新たな情報番号(No)が付される許容値は、ステップS102において抽出した暫定許容値、またはステップS104で算出した色差、またはユーザーによって設定された値の何れかであることとする。情報処理部13は、サーバー装置20の色検証用情報テーブル20t(図2)に、新たな情報番号(No)を付した色検証用情報を追加した後に、処理を終了させる。
【0033】
[ステップS107]
一方、ステップS107において、情報処理部13は、許容値を変更するか否かを判断する。この許容値は、ステップS102で抽出した許容値である。この判断は、ユーザーによる操作部11からの入力によって判断される。この場合、表示部12は、許容値を変更するか否かを選択するための選択部を表示する(図示省略)。ユーザーが許容値を変更する(YES)ことを選択した場合、情報処理部13は、ステップS108に進む。一方、ユーザーが許容値を更新しない(NO)ことを選択した場合、情報処理部13は処理を終了させる。
【0034】
[ステップS108]
ステップS108において、情報処理部13は、表示部12に対して、許容値を変更するための操作画像を表示させる(図示省略)。この場合、情報処理部13は、ステップS101で選択した情報番号(No)の色検証用情報12a(図4参照)と、変更の実行ボタンとを、表示部12に表示させる。このうち色検証用情報12aは、許容値の書き換えを可能に表示する。
【0035】
これにより、ステップS104の色検証処理において色検証結果が良好(OK)と判定された場合であっても、ユーザーは、該当する情報番号(No)の色検証用情報12aにおける許容値を書き換えることができる。ユーザーは、例えば図4に示した判定結果12dおよび色検証結果12eと共に、上述したチャート画像(S103)を参照し、現在の許容値を、より小さい値またはより大きな値に変更する。またユーザーは、許容値を書き換えた後に実行ボタンを選択する。これにより、情報処理部13は、サーバー装置20が保持する色検証用情報テーブル20tにおいて、該当する情報番号(No)の許容値を変更し、処理を終了させる。
【0036】
なお、本ステップS108において、情報処理部13は、ステップS104で算出した色差を新たな許容値とするか否かの選択表示を、表示部12に表示させてもよい。この場合、ステップS104で算出した色差を新たな許容値とすることをユーザーが選択することで、情報処理部13は、色検証用情報テーブル20tの許容値をステップS104で算出した色差に書き替えて処理を終了させる。
【0037】
<第1実施形態の効果>
以上説明した第1実施形態によれば、特色インクをプロセスカラーインクで代用して特色画像を形成する場合に、特色画像の属性と特色画像を形成する印刷物の用途毎に許容値を設定して色検証することで、要求される色品質レベルに応じた色検証が可能である。この結果、必要以上に高い色品質レベルでの判定結果に基づく不必要な色調整を削減できる。
【0038】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、第1実施形態の変形例であり、第1実施形態の色検証方法において図3のフローチャートに示したステップS101の目標情報の取得を自動化する例である。
【0039】
<色検証方法>
図5は、第2実施形態に係る色検証方法の主要な手順を示すフローチャートであって、図3のフローチャートのステップS101に代えて実施される手順を示す。このフローチャートに示す手順は、図1を用いて説明した色検証システム1の各情報処理装置10の情報処理部13が保持する色検証プログラムによって実施される手順である。以下、図5に示す手順にしたがって、先の図1および図2を参照しつつ、第2実施形態の色検証方法を説明する。
【0040】
[ステップS201]
ステップS201において、情報処理部13は、画像形成装置2で印刷するジョブ画像の情報を取得する。情報処理部13は、情報処理装置10のネットワークインターフェースを介してジョブ画像の情報を取得するか、または情報処理装置10が画像形成装置2に組み込まれたものである場合、画像形成装置2の画像読取部から取得してもよい。
【0041】
[ステップS202]
ステップS202において、情報処理部13は、ステップS201で取得したジョブ画像の中から特色画像を抽出する。この場合、サーバー装置20は、特色画像に関するデータベースを有することとする。情報処理部13は、サーバー装置20が有する特色画像に関するデータベースを参照することにより、ジョブ画像の中の特色画像を抽出する。なお、サーバー装置20が、特色画像に関するデータベースを有していない場合、情報処理部13は、ネットワーク上での画像検索により、ジョブ画像の中から特色画像を抽出してもよい。このネットワークは、外部のインターネットに接続されたグローバルネットワークであってよい。
【0042】
[ステップS203]
ステップS203において、情報処理部13は、ステップS202で抽出した特色画像の属性を判定する。情報処理部13は、サーバー装置20が有する特色画像に関するデータベースを参照し、ステップS202で抽出した特色画像に紐づけられた属性を抽出する。また、サーバー装置20が、特色画像に関するデータベースを有していない場合、情報処理部13は、ネットワーク上での画像検索により、特色画像の属性を判定してもよい。
【0043】
[ステップS204]
ステップS204において、情報処理部13は、ステップS201において取得したジョブ画像の情報に基づいて、画像形成装置2で画像形成する印刷物の用途を判定する。この際、情報処理部13は、印刷物のサイズおよび形成する画像の全体像に基づいて、印刷物の用途を判定し、処理を終了させる。
【0044】
以上の後、情報処理部13は、図3のステップS102に進む。この際、情報処理部13は、目標情報のうちの、ステップS203で判定した属性と、ステップS204で判定した用途に基づいて、色検証用の許容値を抽出する。すなわち、情報処理部13は、サーバー装置20が保持する色検証用情報テーブル20t(図2)の中から、ステップS203で判定した属性と、ステップS204で判定した用途と一致する情報を有する情報番号(No)を選択する。そして、選択した情報番号(No)に関連付けて保持されている許容値を抽出する。なお、第1実施形態のステップS102で説明したように、許容値は暫定許容値の場合もある。以降は、第1実施形態で説明した手順を実施する。
【0045】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、色検証のための情報取得の自動化が可能となる。
【0046】
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、第1実施形態の変形例であり、第1実施形態の色検証方法において図2に示した色検証用情報テーブル20tに、目標情報を含む色検証用情報が無い場合の色検証方法の一実施形態例である。
【0047】
第1実施形態において説明してように、図3のステップS102では、情報処理部13は、ステップS101で取得した目標情報に基づいて、サーバー装置20が保持する情報の中から、色検証用の許容値を抽出する。この際、サーバー装置20が保持する色検証用情報テーブル20tの中に、ステップS101で取得した目標情報に一致する情報がない場合、本第3実施形態では、情報処理部13は次のように許容値を決定する。
【0048】
すなわち情報処理部13は、ステップS101で取得した目標情報のうちの正解値と、色検証の履歴情報とに基づいて、許容値を決定する。この場合、サーバー装置20は、過去の色検証に関するデータを有することとする。このデータは、過去に色検証した色の正解値をLab色空間にプロットしたデータである。
【0049】
図6は、第3実施形態に係る色検証方法においての正解値のグループ化を示す図である。図6に示すように、情報処理部13は、ステップS101で取得した正解値301をデータベース上のLab色空間にプロットし、この正解値301に対して距離が近接している過去の正解値のデータをグループ化(クラスタリング)する。グループ化のためのプログラムは特に限定されることはない。
【0050】
情報処理部13は、グループ302内の各正解値に対応する許容値の平均値を算出し、この平均値を、正解値の許容値とする。
【0051】
<第3実施形態の効果>
第3実施形態によれば、サーバー装置20の色検証用情報テーブル20tに、目標情報を含む色検証用情報が無い場合であっても、過去の色検証の履歴情報に基づいて許容値を設定できる。
【符号の説明】
【0052】
1…色検証システム
2 画像形成装置
3 測色器
10…情報処理装置
11…操作部
12…表示部
13…情報処理部
20…サーバー装置
30…通信回線
301…正解値
302…グループ
図1
図2
図3
図4
図5
図6