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特開2025-30244用紙状態検知装置及び画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030244
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】用紙状態検知装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20250228BHJP
【FI】
B65H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135365
(22)【出願日】2023-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加納 邦彦
【テーマコード(参考)】
3F048
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA06
3F048BB10
3F048DA06
3F048DB13
3F048DC14
(57)【要約】
【課題】用紙状態の検知ばらつきを低減させて、用紙状態を精度良く検知することが可能な用紙状態検知装置及び画像形成システムを提供する。
【解決手段】用紙を搬送する第1搬送部22と、第1搬送部22よりも用紙の搬送方向下流側に配置され、用紙を搬送する第2搬送部23と、第1搬送部22と第2搬送部23の間に配置され、用紙の用紙状態を検知する検知部24と、を備える。第1搬送部22が用紙の用紙面に接触するときの接触幅である第1接触幅及び第2搬送部23が用紙の用紙面に接触するときの接触幅である第2接触幅のうち少なくともいずれか一方の接触幅が、検知部24の検知範囲の幅以上の長さであり、検知部24は、用紙の幅方向において、検知範囲が、検知範囲の幅以上の長さである接触幅の間に収まるように配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部よりも前記用紙の搬送方向下流側に配置され、前記用紙を搬送する第2搬送部と、
前記第1搬送部と前記第2搬送部の間に配置され、前記用紙の用紙状態を検知する検知部と、
を備え、
前記第1搬送部が前記用紙の用紙面に接触するときの接触幅である第1接触幅及び前記第2搬送部が前記用紙の用紙面に接触するときの接触幅である第2接触幅のうち少なくともいずれか一方の接触幅が、前記検知部の検知範囲の幅以上の長さであり、
前記検知部は、前記用紙の幅方向において、前記検知範囲が、前記検知範囲の幅以上の長さである前記接触幅の間に収まるように配置されることを特徴とする用紙状態検知装置。
【請求項2】
前記第1搬送部は、前記用紙を挟持して搬送する一対の第1ローラーからなる第1ローラー対を備え、
前記第1接触幅は、前記一対の第1ローラーのうち少なくとも一方の第1ローラーの前記接触幅であることを特徴とする請求項1に記載の用紙状態検知装置。
【請求項3】
前記第2搬送部は、前記用紙を挟持して搬送する一対の第2ローラーからなる第2ローラー対を備え、
前記第2接触幅は、前記一対の第2ローラーのうち少なくとも一方の第2ローラーの前記接触幅であることを特徴とする請求項1に記載の用紙状態検知装置。
【請求項4】
前記第1接触幅は、前記第1ローラー対を形成するすべての前記第1ローラーの接触幅であることを特徴とする請求項2に記載の用紙状態検知装置。
【請求項5】
前記第2接触幅は、前記第2ローラー対を形成するすべての前記第2ローラーの接触幅であることを特徴とする請求項3に記載の用紙状態検知装置。
【請求項6】
前記第2搬送部は、前記第1搬送部よりも前記用紙の搬送速度が速いことを特徴とする請求項1に記載の用紙状態検知装置。
【請求項7】
前記検知部は、前記用紙の物性を検知することを特徴とする請求項1に記載の用紙状態検知装置。
【請求項8】
前記検知部は、搬送されている前記用紙の用紙状態を検知することを特徴とする請求項1に記載の用紙状態検知装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の用紙状態検知装置と、
前記用紙状態検知装置により用紙状態が検知された前記用紙に画像を形成する画像形成装置と、
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙状態検知装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙搬送装置や画像形成装置等において、搬送中の用紙の用紙状態を検知する技術が知られている。検知される用紙状態は、例えば、用紙の先端位置、後端位置、側端位置を含む用紙位置である。また、厚み、水分率、剛性、表面性、電気抵抗などの用紙物性である。これら検知される用紙状態の中には、検知精度が用紙姿勢に大きく影響を受けるものがある。用紙姿勢は、用紙の撓みやシワ、うねりなどである。
【0003】
そこで、用紙搬送の不具合の発生を防ぐために、搬送中の用紙を狙いの姿勢に保つための手段が提供されている。
例えば、上流ローラーと下流ローラーの間に、用紙面までの距離を測定する測距センサーを設ける構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の構成によれば、用紙の撓み量に基づいて上下流ローラーの回転速度を制御することで、用紙の撓み量を適切に保つことができる。
また、下流ローラーを駆動する駆動部材の負荷電流値を検出する検出部材を設ける構成が開示されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2記載の構成では、まず、駆動部材の負荷電流値に基づいて用紙の撓み量を把握し、上流ローラーの速度制御1を行う。その後、負荷電流値が所定値に達した場合に、上流ローラーの速度制御2を行うことで、用紙の撓みが大きくなりすぎないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-127227号公報
【特許文献2】特開2021-181357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2記載の構成は、いずれも撓みが発生してから撓み量に応じてローラーの回転速度を補正するため、搬送中に撓み量が変動して用紙状態の検知精度が影響を受けてしまう。また、用紙の幅方向の撓みを抑制する構成を備えていないため、安定した用紙姿勢を保つことが困難であった。
【0006】
本発明は、用紙状態の検知ばらつきを低減させて、用紙状態を精度良く検知することが可能な用紙状態検知装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
用紙状態検知装置において、
用紙を搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部よりも前記用紙の搬送方向下流側に配置され、前記用紙を搬送する第2搬送部と、
前記第1搬送部と前記第2搬送部の間に配置され、前記用紙の用紙状態を検知する検知部と、
を備え、
前記第1搬送部が前記用紙の用紙面に接触するときの接触幅である第1接触幅及び前記第2搬送部が前記用紙の用紙面に接触するときの接触幅である第2接触幅のうち少なくともいずれか一方の接触幅が、前記検知部の検知範囲の幅以上の長さであり、
前記検知部は、前記用紙の幅方向において、前記検知範囲が、前記検知範囲の幅以上の長さである前記接触幅の間に収まるように配置されることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の用紙状態検知装置において、
前記第1搬送部は、前記用紙を挟持して搬送する一対の第1ローラーからなる第1ローラー対を備え、
前記第1接触幅は、前記一対の第1ローラーのうち少なくとも一方の第1ローラーの前記接触幅であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の用紙状態検知装置において、
前記第2搬送部は、前記用紙を挟持して搬送する一対の第2ローラーからなる第2ローラー対を備え、
前記第2接触幅は、前記一対の第2ローラーのうち少なくとも一方の第2ローラーの前記接触幅であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の用紙状態検知装置において、
前記第1接触幅は、前記第1ローラー対を形成するすべての前記第1ローラーの接触幅であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の用紙状態検知装置において、
前記第2接触幅は、前記第2ローラー対を形成するすべての前記第2ローラーの接触幅であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の用紙状態検知装置において、
前記第2搬送部は、前記第1搬送部よりも前記用紙の搬送速度が速いことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の用紙状態検知装置において、
前記検知部は、前記用紙の物性を検知することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の用紙状態検知装置において、
前記検知部は、搬送されている前記用紙の用紙状態を検知することを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、
画像形成システムにおいて、
請求項1~8のいずれか一項に記載の用紙状態検知装置と、
前記用紙状態検知装置により用紙状態が検知された前記用紙に画像を形成する画像形成装置と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、用紙状態の検知ばらつきを低減させて、用紙状態を精度良く検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る画像形成システムの制御構造を示す機能ブロック図である。
図3】用紙状態検知装置の構成の一例を示す平面図である。
図4図3に示した構成において、搬送中の用紙に撓みが生じている様子の一例を示す図である。
図5】用紙状態検知装置の構成の他の例を示す平面図及び側面図である。
図6】用紙状態検知装置の構成の他の例を示す平面図及び側面図である。
図7】用紙状態検知装置の構成の他の例を示す平面図及び側面図である。
図8】用紙状態検知装置の構成の他の例を示す平面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
本実施形態に係る画像形成システム1は、図1及び図2に示すように、給紙装置10と、用紙状態検知装置20と、画像形成装置30と、を備える。画像形成システム1は、用紙Pの搬送方向に沿って、給紙装置10、用紙状態検知装置20、画像形成装置30の順で接続されている。
【0020】
給紙装置10は、複数の給紙トレイ11と、給紙手段(図示略)と、を備え、給紙トレイ11に収納された用紙Pを用紙状態検知装置20に給紙する。給紙手段は、例えば、給紙ローラー、分離ローラー、給紙/分離ゴム、送り出しローラー等からなる。各給紙トレイ11には、用紙Pの種類(紙種、坪量、用紙サイズ等)ごとに用紙Pが格納されている。給紙装置10は、各給紙トレイ11に格納された用紙Pの最上部から一枚ずつ用紙状態検知装置20へと用紙Pを搬送する。
【0021】
用紙状態検知装置20は、給紙装置10の後段に接続される。用紙状態検知装置20は、制御部21と、第1搬送部22と、第2搬送部23と、検知部24と、を備える。
【0022】
制御部21は、CPUと、メモリーと、を有し、用紙状態検知装置20全体を制御する。CPUは、プログラムに従って上記各部の制御や各種の演算処理を実行するマルチコアのプロセッサー等から構成される制御回路である。用紙状態検知装置20の各機能は、それに対応するプログラムをCPUが実行することにより発揮される。メモリーは、作業領域として一時的にプログラム及びデータを記憶する高速アクセス可能な主記憶装置である。メモリーには、例えば、DRAM、SDRAM、SRAM等が採用される。
【0023】
第1搬送部22は、第1ローラー対221と、駆動部222と、を備える。第1ローラー対221は、用紙Pを挟持して搬送する一対の第1ローラー221a、221bからなる。駆動部222は、例えば、モーターであり、第1ローラー対221を駆動して回転させる。第1搬送部22は、上流側(給紙装置10側)から搬送される用紙Pを第1ローラー対221で挟持して、下流側(第2搬送部23側)へと搬送する。
【0024】
第2搬送部23は、第2ローラー対231と、駆動部232と、を備える。第2搬送部23は、第1搬送部22よりも用紙Pの搬送方向下流側に配置される。第2ローラー対231は、用紙Pを挟持して搬送する一対の第2ローラー231a、231bからなる。駆動部232は、例えば、モーターであり、第2ローラー対231を駆動して回転させる。第2搬送部23は、上流側(第1搬送部22側)から搬送される用紙Pを第2ローラー対231で挟持して、下流側(画像形成装置30側)へと搬送する。
第1ローラー対221と第2ローラー対231とは、それぞれ異なる駆動部により回転されるため、回転速度を個別に設定することができる。
【0025】
検知部24は、第1搬送部22と第2搬送部23の間に配置され、用紙Pの用紙状態を検知する。検知部24は、例えば、用紙Pに含まれる水分率を検出するための水分率センサーである。水分率センサーは、特定の波長を持つLED光を例えばΦ30の範囲で照射し、用紙表面からの反射率に基づいて用紙Pに含まれる水分率を検知する。そのため、LED光が照射される用紙面の検知範囲に傾きやシワ、うねりなどがあると反射率が変わってしまうため、水分率が誤検知されることがある。なお、検知部24は、用紙Pのエッジを検知するセンサーであってもよい。また、検知部24は、水分率とは異なる用紙Pの物性(表面性など)を検知するセンサーであってもよい。
【0026】
画像形成装置30は、用紙状態検知装置20の後段に接続される。画像形成装置30は、制御部31と、記憶部32と、画像形成部33と、操作表示部34と、搬送部35と、通信部36と、を備える。画像形成装置30は、用紙状態検知装置20により用紙状態が検知された用紙Pに画像を形成する。
【0027】
制御部31は、CPUと、メモリーと、を有し、画像形成装置30全体を制御する。CPUは、プログラムに従って上記各部の制御や各種の演算処理を実行するマルチコアのプロセッサー等から構成される制御回路である。画像形成装置30の各機能は、それに対応するプログラムをCPUが実行することにより発揮される。メモリーは、作業領域として一時的にプログラム及びデータを記憶する高速アクセス可能な主記憶装置である。メモリーには、例えば、DRAM、SDRAM、SRAM等が採用される。
【0028】
記憶部32は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや各種データを格納する大容量の補助記憶装置である。ストレージには、例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリー、ROM等が採用される。
【0029】
画像形成部33は、用紙状態検知装置20から搬送された用紙P又は自装置の給紙トレイ37から給紙、搬送した用紙Pに対して画像を形成する。画像形成部33は、例えば、帯電、露光、現像、転写及び定着の各工程を含む電子写真方式の周知の作像プロセスを用いて用紙Pに画像を形成する。
【0030】
操作表示部34は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、各種情報の表示及び各種指示の入力に使用される。ユーザーは、操作表示部34を介して各給紙トレイ37に収納した用紙Pのサイズ、種類等の用紙情報を設定することができる。
【0031】
搬送部35は、搬送経路上に配置された複数の搬送ローラー等を備える。搬送部35は、まず、用紙状態検知装置20から搬送された用紙P又は自装置の給紙トレイ37から給紙された用紙Pを画像形成部33に搬送する。次に、搬送部35は、画像形成部33で画像が形成された用紙Pを、排紙トレイ38に排出する。
【0032】
通信部36は、他の装置(給紙装置10、用紙状態検知装置20等)との間で、各種設定値や動作タイミング制御に必要な各種情報等の送受信を行う。
【0033】
次に、用紙状態検知装置20の詳細な構成について、図3を参照して説明する。なお、図中のX方向は用紙Pの搬送方向であり、Y方向は用紙Pの幅方向である。
第1接触幅は、第1搬送部22が用紙Pの用紙面に接触するときの接触幅である。第1接触幅は、一対の第1ローラー221a、221bのうち少なくとも一方の第1ローラーの接触幅である。接触幅は、用紙面に接触する部分の幅方向(Y方向)の長さである。図3に示す例では、第1ローラー221a、221bが円筒形状であるので、第1接触幅は、各第1ローラー221a、221bの幅方向の長さである。
下側の第1ローラー221bの第1接触幅H12は、図3に示すように、上側の第1ローラー221aの第1接触幅H11よりも長くなっている。下側の第1ローラー221bの第1接触幅H12は、検知部24の検知範囲Eの幅H3以上の長さである。検知範囲Eの幅H3は、検知範囲Eの幅方向の長さである。
検知部24は、用紙Pの幅方向において、検知範囲Eが検知範囲Eの幅H3以上の長さである第1接触幅H12の間に収まるように配置される。
図4に、図3に示した構成において、搬送中の用紙Pに撓みが生じている様子の一例を示す。図4には、搬送中の用紙Pの検知範囲E近傍以外の範囲に、撓みが生じている様子が示されている。すなわち、図3に示した構成において、搬送中の用紙Pの検知範囲E近傍に撓みが発生していないことがわかる。
【0034】
第1ローラー対221及び第2ローラー対231は、それぞれ用紙Pの幅方向に断続的に複数(図3では2つ)配置されている。なお、各ローラー対として、幅方向に断続的に複数配置する代わりに、幅方向に切れ目のない寸胴ローラー対を用いるようにしてもよい。寸胴ローラー対を用いることで、第1接触幅が検知部24の検知範囲Eの幅H3を確実にカバーすることができる。ただし、寸胴ローラー対を用いる構成には、用紙先端突入時の角折れによる搬送不具合やシワの発生リスクが高まるという課題がある。すなわち、寸胴ローラー対を用いる構成では、結果的に用紙状態を安定して検知することが困難である。したがって、本実施形態では、幅方向に断続的に複数のローラー対を配置するようにしている。なお、各ローラー対において、幅方向に断続的に配置する数は、3つ以上であってもよい。
【0035】
なお、図3には、第1接触幅が検知部24の検知範囲Eの幅H3以上の長さである構成を例示しているが、これに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、第2接触幅が検知部24の検知範囲Eの幅H3以上の長さである構成であってもよい。なお、図5(A)は、第2接触幅が検知範囲Eの幅H3以上の長さである構成を示す平面図である。また、図5(B)は、図5(A)に示す構成の側面図である。第2接触幅は、第2搬送部23が用紙Pの用紙面に接触するときの接触幅である。第2接触幅は、一対の第2ローラー231a、231bのうち少なくとも一方の第2ローラーの接触幅である。図5に示す例では、第2ローラー231a、231bが円筒形状であるので、第2接触幅は、各第2ローラー231a、231bの幅方向の長さである。
下側の第2ローラー231bの第2接触幅H22は、図5(A)に示すように、上側の第2ローラー231aの第2接触幅H21よりも長くなっている。下側の第2ローラー231bの第2接触幅H22は、検知部24の検知範囲Eの幅H3以上の長さである。
検知部24は、用紙Pの幅方向において、検知範囲Eが検知範囲Eの幅H3以上の長さである第2接触幅H22の間に収まるように配置される。
【0036】
なお、第1接触幅H12及び第2接触幅H22が、いずれも検知部24の検知範囲Eの幅H3以上の長さである構成であってもよい。すなわち、第1接触幅H12及び第2接触幅H22のうち少なくともいずれか一方の接触幅が検知範囲Eの幅H3以上の長さであれば、いかなる構成であってもよい。図6に、第1接触幅H12及び第2接触幅H22が検知範囲Eの幅H3以上の長さである構成の一例を示す。なお、図6(A)は、第1接触幅H12及び第2接触幅H22が検知範囲Eの幅H3以上の長さである構成を示す平面図である。また、図6(B)は、図6(A)に示す構成の側面図である。
【0037】
第2搬送部23は、第1搬送部22よりも用紙Pの搬送速度が速くなるように設定されている。すなわち、第2搬送部23の搬送速度V2は、第1搬送部22の搬送速度V1よりも速く設定されている(V2>V1)。これにより、用紙Pを引っ張りながら搬送することができるので、搬送方向の用紙撓みが発生することを防ぐことができる。すなわち、用紙Pが自重で垂れようとしたりよじれが発生しようとしたりしても、用紙面の姿勢が崩れることなく、用紙状態を安定して検知することができる。
【0038】
検知部24は、搬送されている用紙Pの用紙状態を検知する。具体的には、検知部24は、第1搬送部22及び第2搬送部23のうち少なくともいずれか一方により搬送されている用紙Pの用紙状態を検知する。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る画像形成システム1は、用紙を搬送する第1搬送部22及び第2搬送部23と、検知部24と、を備える。第2搬送部23は、第1搬送部22よりも用紙の搬送方向下流側に配置される。検知部24は、第1搬送部22と第2搬送部23の間に配置され、用紙の用紙状態を検知する。第1接触幅及び第2接触幅のうち少なくともいずれか一方の接触幅が、検知部24の検知範囲の幅以上の長さである。第1接触幅は、第1搬送部22が用紙の用紙面に接触するときの接触幅である。第2接触幅は、第2搬送部23が用紙の用紙面に接触するときの接触幅である。検知部24は、用紙の幅方向において、検知範囲が、検知範囲の幅以上の長さである接触幅の間に収まるように配置される。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、特に、用紙の幅方向において用紙撓みの発生を抑制することができる。これにより、用紙姿勢を安定させることができるので、用紙状態の検知ばらつきを低減させることができる。よって、用紙状態を精度よく検知することができる。
【0040】
また、第1搬送部22は、用紙を挟持して搬送する一対の第1ローラー221a、221bからなる第1ローラー対221を備える。第1接触幅は、一対の第1ローラー221a、221bのうち少なくとも一方の第1ローラーの接触幅である。
したがって、簡易な構成で用紙撓みの発生を抑制することができる。これにより、用紙姿勢を安定させることができるので、用紙状態を精度よく検知することができる。
【0041】
また、第2搬送部23は、用紙を挟持して搬送する一対の第2ローラー231a、231bからなる第2ローラー対231を備える。第2接触幅は、一対の第2ローラー231a、231bのうち少なくとも一方の第2ローラーの接触幅である。
したがって、簡易な構成で用紙撓みの発生を抑制することができる。これにより、用紙姿勢を安定させることができるので、用紙状態を精度よく検知することができる。
【0042】
また、第2搬送部23は、第1搬送部22よりも用紙の搬送速度が速い。
したがって、用紙を引っ張りながら搬送することができるので、搬送方向の用紙撓みが発生することを防ぐことができる。よって、用紙状態を安定して検知することができる。
【0043】
また、検知部24は、用紙の物性を検知する。
用紙の物性は、検知する際に用紙姿勢の影響を受けやすい。したがって、用紙姿勢の影響を受けやすい構成においても、用紙姿勢を安定させることができる。よって、用紙姿勢の影響を受けやすい構成においても、用紙状態を精度よく検知することができる。
【0044】
また、検知部24は、搬送されている用紙の用紙状態を検知する。
搬送されている用紙は、用紙姿勢が崩れやすい。したがって、用紙姿勢が崩れやすい状況においても、用紙姿勢を安定させることができる。よって、用紙姿勢が崩れやすい状況においても、用紙状態を精度よく検知することができる。
【0045】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0046】
例えば、上記実施形態では、下側の第1ローラー221bの第1接触幅H12を検知部24の検知範囲Eの幅H3以上の長さとしているが、これに限定されるものではない。例えば、上側の第1ローラー221aの第1接触幅H11を検知部24の検知範囲Eの幅H3以上の長さとしてもよい。
ただし、用紙Pは自重により下方に垂れやすいため、下側の第1ローラー221bの第1接触幅H12を検知範囲Eの幅H3以上の長さとする方がより好ましい。下側の第1ローラー221bの第1接触幅H12を検知範囲Eの幅H3以上の長さとすることで、より確実に用紙Pの姿勢を安定させることができる。
【0047】
また、上記実施形態では、第1接触幅を、一対の第1ローラー221a、221bのうち少なくとも一方の接触幅としているが、これに限定されるものではない。例えば、第1接触幅が、第1ローラー対221を形成するすべての第1ローラー221a、221bの接触幅である構成としてもよい。すなわち、第1接触幅H1は、下側の第1ローラー221bの第1接触幅H12及び上側の第1ローラー221aの第1接触幅H11である。図7に、第1接触幅H1が第1ローラー対221を形成するすべての第1ローラー221a、221bの接触幅H11、H12である構成の一例を示す。なお、図7(A)は、第1接触幅H1が第1ローラー対221を形成するすべての第1ローラー221a、221bの接触幅H11、H12である構成を示す平面図である。また、図7(B)は、図7(A)に示す構成の側面図である。
以上のように、第1接触幅を、第1ローラー対221を形成するすべての第1ローラー221a、221bの接触幅とすることで、より確実に用紙姿勢を安定させることができる。これにより、用紙状態を精度よく検知することができる。
【0048】
また、図5に示す例では、下側の第2ローラー231bの第2接触幅H22を検知部24の検知範囲Eの幅H3以上の長さとしているが、これに限定されるものではない。例えば、上側の第2ローラー231aの第2接触幅H21を検知部24の検知範囲Eの幅H3以上の長さとしてもよい。
ただし、用紙Pは自重により下方に垂れやすいため、下側の第2ローラー231bの第2接触幅H22を検知範囲Eの幅H3以上の長さとする方がより好ましい。下側の第2ローラー231bの第2接触幅H22を検知範囲Eの幅H3以上の長さとすることで、より確実に用紙Pの姿勢を安定させることができる。
【0049】
また、図5に示す例では、第2接触幅を、一対の第2ローラー231a、231bのうち少なくとも一方の接触幅としているが、これに限定されるものではない。例えば、第2接触幅が、第2ローラー対231を形成するすべての第2ローラー231a、231bの接触幅である構成としてもよい。すなわち、第2接触幅H2は、下側の第2ローラー231bの第2接触幅H22及び上側の第2ローラー231aの第2接触幅H21である。図8に、第2接触幅H2が第2ローラー対231を形成するすべての第2ローラー231a、231bの接触幅H21、H22である構成の一例を示す。なお、図8(A)は、第2接触幅H2が第2ローラー対231を形成するすべての第2ローラー231a、231bの接触幅H21、H22である構成を示す平面図である。また、図8(B)は、図8(A)に示す構成の側面図である。
以上のように、第2接触幅を、第2ローラー対231を形成するすべての第2ローラー231a、231bの接触幅とすることで、より確実に用紙姿勢を安定させることができる。これにより、用紙状態を精度よく検知することができる。
【0050】
また、第1ローラー対221及び第2ローラー対231を形成するすべてのローラーの接触幅を、検知部24の検知範囲Eの幅H3以上の長さとしてもよい。これにより、用紙姿勢をさらに安定させることができる。これにより、用紙状態を精度よく検知することができる。
【0051】
その他、画像形成システムを構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 画像形成システム
10 給紙装置
11 給紙トレイ
20 用紙状態検知装置
21 制御部
22 第1搬送部
221 第1ローラー対
221a、221b 第1ローラー
222 駆動部
23 第2搬送部
231 第2ローラー対
231a、231b 第2ローラー
232 駆動部
24 検知部
30 画像形成装置
31 制御部
32 記憶部
33 画像形成部
34 操作表示部
35 搬送部
36 通信部
37 給紙トレイ
38 排紙トレイ
P 用紙
図1
図2
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図4
図5
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図8