(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030315
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
B66C 7/12 20060101AFI20250228BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20250228BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
B66C7/12
B65G1/00 501C
B61B13/00 V
B61B13/00 D
B61B13/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135492
(22)【出願日】2023-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】衣川 知孝
【テーマコード(参考)】
3D101
3F022
3F202
【Fターム(参考)】
3D101BA03
3D101BB55
3F022BB09
3F022EE05
3F022LL12
3F022MM11
3F202CB01
3F202CC06
3F202CE05
(57)【要約】
【課題】複数の階層間での物品の搬送効率の向上が図られた物品搬送設備を実現する。
【解決手段】物品搬送設備(1)は、搬送車(2)と、第1階層レール(3)と、第2階層レール(4)と、階間搬送装置(5)とを備える。階間搬送装置(5)は、第1昇降レール(51)と、第2昇降レール(52)と、昇降機構とを備える。第1階層レール(3)は、第1停止位置(P1)にある第1昇降レール(51)に接続される第1レール部(31)と、第1停止位置(P1)にある第2昇降レール(52)に接続される第2レール部(32)とを備える。第2階層レール(4)は、第2停止位置(P2)にある第1昇降レール(51)に接続される第3レール部(43)と、第2停止位置(P2)にある第2昇降レール(52)に接続される第4レール部(44)とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階層を備える建物の内部において物品を搬送する複数の搬送車と、
複数の前記階層のうちの1つである第1階層に配置されて前記搬送車が走行する第1階層レールと、
複数の前記階層のうちの1つであって前記第1階層とは異なる第2階層に配置されて前記搬送車が走行する第2階層レールと、
前記第1階層と前記第2階層とに亘って前記搬送車を上下方向に搬送する階間搬送装置と、を備え、
前記階間搬送装置は、前記搬送車が走行する第1昇降レールと、前記第1昇降レールと並列に設けられて前記搬送車が走行する第2昇降レールと、前記第1昇降レールと前記第2昇降レールとの位置関係を保ったまま前記第1昇降レール及び前記第2昇降レールを上下方向に移動させる昇降機構と、を備え、
前記昇降機構は、前記第1昇降レール及び前記第2昇降レールを、前記第1階層における予め定められた第1停止位置と、前記第2階層における予め定められた第2停止位置と、に停止させることができるように構成され、
前記第1階層レール及び前記第2階層レールのそれぞれに沿う方向を走行方向とし、前記走行方向の一方側を走行方向第1側とし、前記走行方向の他方側を走行方向第2側として、
前記第1階層レールは、前記第1停止位置にある前記第1昇降レールに前記走行方向第1側から接続される第1レール部と、前記第1停止位置にある前記第2昇降レールに前記走行方向第1側から接続される第2レール部と、を備え、
前記第2階層レールは、前記第2停止位置にある前記第1昇降レールに前記走行方向第1側又は前記走行方向第2側から接続される第3レール部と、前記第2停止位置にある前記第2昇降レールに前記走行方向第1側又は前記走行方向第2側から接続される第4レール部と、を備える、物品搬送設備。
【請求項2】
前記第1昇降レールと前記第2昇降レールとが、上下方向に並んで配置されている、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記搬送車は、前記第1階層レールにおいて前記走行方向第2側へ向かって走行し、
前記階間搬送装置に対して前記走行方向第1側において、前記第2レール部が前記第1レール部から分岐しており、
前記第2レール部に、前記搬送車が停止して待機する待機区間が設定されている、請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記第3レール部は、前記第2停止位置にある前記第1昇降レールに前記走行方向第2側から接続され、前記第4レール部は、前記第2停止位置にある前記第2昇降レールに前記走行方向第2側から接続され、
前記第2階層レールは、前記第2停止位置にある前記第1昇降レールに前記走行方向第1側から接続される第5レール部と、前記第2停止位置にある前記第2昇降レールに前記走行方向第1側から接続される第6レール部と、を備え、
前記階間搬送装置に対して前記走行方向第2側において、前記第4レール部が前記第3レール部に合流しており、
前記第4レール部にも、前記待機区間が設定されている、請求項3に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記待機区間に対応して、前記待機区間に停止した前記搬送車に対する処理を行う処理装置が配置されている、請求項3に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
複数の前記搬送車の制御を行う制御システムを備え、
前記制御システムは、前記第4レール部が前記第3レール部に合流する合流部において、前記第3レール部を走行する前記搬送車を、前記第4レール部を走行する前記搬送車よりも優先させる優先走行処理を実行する、請求項4に記載の物品搬送設備。
【請求項7】
複数の前記搬送車の制御を行う制御システムを備え、
前記制御システムは、
複数の前記搬送車のそれぞれについて、前記処理装置による処理の必要性の有無を判定する必要性判定処理と、
前記必要性判定処理の結果、前記処理装置による処理の必要性が有ると判定された前記搬送車を、前記処理装置が配置された前記待機区間へ導く第1誘導処理と、
を実行する、請求項5に記載の物品搬送設備。
【請求項8】
前記制御システムは、前記搬送車のそれぞれについて、搬送中の物品の搬送優先度を判定する搬送優先度判定処理を行い、前記搬送優先度判定処理の結果、前記搬送優先度が予め定められた判定しきい値以上であると判定された前記搬送車を、前記必要性判定処理の結果に関わらず、前記第1昇降レールへ導く第2誘導処理を実行する、請求項7に記載の物品搬送設備。
【請求項9】
前記第1昇降レール及び前記第2昇降レールの少なくとも一方に位置している前記搬送車に対する処理を行う処理装置が、前記昇降機構により前記第1昇降レール及び前記第2昇降レールと共に上下方向に移動するように構成されている、請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の階層を備える建物の内部において階層間で物品を搬送可能とした物品搬送設備が利用されている。このような物品搬送設備の一例が、特開平6-171888号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1の物品搬送設備(資材搬送装置)は、複数の搬送車(走行トロリー8)と、第1の階層(1階)と第2の階層(3階)とに亘って搬送車を上下方向に搬送する階間搬送装置(横行巻き上げ装置5+昇降レール7)とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の物品搬送設備では、搬送車を1台ずつ階間搬送する構成であるため、階層間での搬送車の搬送効率が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、複数の階層間での物品の搬送効率の向上が図られた物品搬送設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る物品搬送設備は、
複数の階層を備える建物の内部において物品を搬送する複数の搬送車と、
複数の前記階層のうちの1つである第1階層に配置されて前記搬送車が走行する第1階層レールと、
複数の前記階層のうちの1つであって前記第1階層とは異なる第2階層に配置されて前記搬送車が走行する第2階層レールと、
前記第1階層と前記第2階層とに亘って前記搬送車を上下方向に搬送する階間搬送装置と、を備え、
前記階間搬送装置は、前記搬送車が走行する第1昇降レールと、前記第1昇降レールと並列に設けられて前記搬送車が走行する第2昇降レールと、前記第1昇降レールと前記第2昇降レールとの位置関係を保ったまま前記第1昇降レール及び前記第2昇降レールを上下方向に移動させる昇降機構と、を備え、
前記昇降機構は、前記第1昇降レール及び前記第2昇降レールを、前記第1階層における予め定められた第1停止位置と、前記第2階層における予め定められた第2停止位置と、に停止させることができるように構成され、
前記第1階層レール及び前記第2階層レールのそれぞれに沿う方向を走行方向とし、前記走行方向の一方側を走行方向第1側とし、前記走行方向の他方側を走行方向第2側として、
前記第1階層レールは、前記第1停止位置にある前記第1昇降レールに前記走行方向第1側から接続される第1レール部と、前記第1停止位置にある前記第2昇降レールに前記走行方向第1側から接続される第2レール部と、を備え、
前記第2階層レールは、前記第2停止位置にある前記第1昇降レールに前記走行方向第1側又は前記走行方向第2側から接続される第3レール部と、前記第2停止位置にある前記第2昇降レールに前記走行方向第1側又は前記走行方向第2側から接続される第4レール部と、を備える。
【0007】
この構成によれば、2台以上の搬送車を同時に1つの階層から別の階層に搬送することができる。よって、搬送車を1台ずつ階間搬送する構成に比べて、階層間での搬送車の搬送効率を高めることができる。従って、複数の階層間での物品の搬送効率の向上が図られた物品搬送設備を提供することができる。
【0008】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ
非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図12】階間搬送装置の周辺を通過する搬送車に対する処理のフローチャート
【
図13】別形態の階間搬送装置及びその周辺の模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
物品搬送設備の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、物品搬送設備1は、少なくとも下層階Lと上層階Uとを含む複数の階層を備える建物の内部において階層間で物品Bを搬送可能に構成されている。物品搬送設備1は、複数の搬送車2と、下層階Lに配置された下層階レール3と、上層階Uに配置された上層階レール4と、階間搬送装置5と、制御システム7とを備えている。また、物品搬送設備1は、搬送車2に対する処理を行う処理装置6(
図3を参照)を備えている。
【0012】
搬送車2は、下層階レール3及び上層階レール4を走行する。以下の説明では、搬送車2が走行する方向である、下層階レール3及び上層階レール4のそれぞれに沿う方向を、「走行方向F」と言う(
図3を参照)。また、走行方向Fの一方側を「走行方向第1側F1」と言い、走行方向Fの他方側であるその反対側を「走行方向第2側F2」と言う。
【0013】
本実施形態では、搬送車2は、下層階レール3及び上層階レール4において、走行方向第2側F2へ向かって走行する。このため、本実施形態では、走行方向第1側F1は搬送車2の進行方向後方側(上流側)であり、走行方向第2側F2は搬送車2の進行方向前方側(下流側)である。
【0014】
搬送車2は、複数の階層(本例では、下層階L及び上層階U)を備える建物の内部において物品Bを搬送する。搬送車2は、下層階Lに配置された下層階レール3及び上層階Uに配置された上層階レール4を走行する。本実施形態では、下層階レール3及び上層階レール4は、それぞれ、走行経路Rを形成するように設置されている。本実施形態では、走行経路Rは、環状に形成された主搬送経路Rmと、それぞれ環状に形成されるとともに主搬送経路Rmから分岐して再度主搬送経路Rmに合流する複数の副搬送経路Rsとを含んでいる。
【0015】
なお、物品搬送設備1で取り扱われ、搬送車2によって搬送される物品Bとしては、様々なものがある。例えば物品搬送設備1が半導体製造工場で用いられる場合には、ウェハを収容するウェハ収容容器(いわゆるFOUP:Front Opening Unified Pod)や、レチクルを収容するレチクル収容容器(いわゆるレチクルポッド)等が、物品Bとされる。この場合、搬送車2は、ウェハ収容容器やレチクル収容容器等の物品Bを、走行経路Rに沿って各工程間に亘って搬送する。
【0016】
搬送車2としては、本実施形態では各階層において天井9の付近を走行する無人搬送車が用いられる。
図2に示すように、本実施形態の搬送車2は、走行部21と、移載部22とを有している。走行部21は、下層階Lにおいては、天井9の付近に設置された下層階上部レール3A又は下層階下部レール3B上を走行する。移載部22は、走行部21から吊下支持されており、走行部21の走行中に物品Bを保持するとともに、走行部21の停止中に物品Bの供給部や加工装置等との間で物品Bを移載する。
【0017】
本実施形態では、下層階上部レール3Aは、天井9の直下の位置に設けられている。下層階上部レール3Aは、走行経路Rに沿って設置されている。下層階上部レール3Aは、搬送車2の走行部21が走行する軌道となるものであり、左右に分かれて一対設けられている。下層階上部レール3Aは、支持フレームによって、天井9から直接吊下支持されている。
【0018】
下層階下部レール3Bは、天井9の付近であって下層階上部レール3Aよりも上下方向Zの下側に設けられている。上層階レール4は、走行経路R(本例では主搬送経路Rm)の一部のみに沿って設置されている。下層階下部レール3Bは、搬送車2の走行部21が走行する軌道となるものであり、左右に分かれて一対設けられている。下層階下部レール3Bは、支持フレームによって、下層階上部レール3Aを走行する搬送車2の移載部22よりもさらに下側に水平面に沿って設けられた支持壁9Aから吊下支持されている。
【0019】
なお、図示は省略しているが、上層階Uに配置された上層階レール4も同様の構成を備えている。上層階レール4は、上層階上部レール4Aと上層階下部レール4Bとを含んでいる。
【0020】
上層階上部レール4Aは、上層階Uの天井の直下の位置に設けられている。上層階上部レール4Aは、走行経路Rに沿って設置されている。上層階上部レール4Aは、搬送車2の走行部21が走行する軌道となるものであり、左右に分かれて一対設けられている。上層階上部レール4Aは、支持フレームによって、天井から直接吊下支持されている。
【0021】
上層階下部レール4Bは、上層階Uの天井の付近であって上層階上部レール4Aよりも上下方向Zの下側に設けられている。上層階下部レール4Bは、走行経路R(本例では主搬送経路Rm)の一部のみに沿って設置されている。上層階下部レール4Bは、搬送車2の走行部21が走行する軌道となるものであり、左右に分かれて一対設けられている。上層階下部レール4Bは、支持フレームによって、上層階上部レール4Aを走行する搬送車2の移載部22よりもさらに下側に水平面に沿って設けられた支持壁から吊下支持されている。
【0022】
下層階レール3は、複数の階層のうちの1つである下層階Lに配置されている。
図3に示すように、下層階レール3は、下層階上部レール3Aと、下層階上部レール3Aよりも上下方向Zの下側に配置された下層階下部レール3Bとを備えている。下層階上部レール3Aは、走行経路Rの全域に亘って設置されている。下層階下部レール3Bは、階間搬送装置5の近傍のみに設置されている。
【0023】
下層階上部レール3Aは、階間搬送装置5に対して走行方向第1側F1に配置された下層階上流側上部レール部31と、階間搬送装置5に対して走行方向第2側F2に配置された下層階下流側上部レール部33とを有している。本実施形態では、下層階上流側上部レール部31が「第1レール部」に相当し、下層階下流側上部レール部33は「第7レール部」と称することができる。
【0024】
また、下層階下部レール3Bは、階間搬送装置5に対して走行方向第1側F1に配置された下層階上流側下部レール部32と、階間搬送装置5に対して走行方向第2側F2に配置された下層階下流側下部レール部34とを有している。本実施形態では、下層階上流側下部レール部32が「第2レール部」に相当し、下層階下流側下部レール部34は「第8レール部」と称することができる。
【0025】
下層階上流側下部レール部32は、階間搬送装置5に対して走行方向第1側F1において、下層階上流側上部レール部31から分岐している。本実施形態では、下層階上流側下部レール部32は、階間搬送装置5に対して走行方向第1側F1に設置された下層階上流側昇降装置35によって、下層階上流側上部レール部31から分岐している。下層階上流側昇降装置35は、昇降レール36と、下層階上流側下部レール部32と下層階上流側上部レール部31とに亘って昇降レール36を上下方向Zに移動させる昇降機構(図示省略)とを有する。なお、昇降機構は、例えば油圧駆動機構やモータ駆動機構等、各種の方式のものを採用することができる(以下、同様)。
【0026】
下層階下流側下部レール部34は、階間搬送装置5に対して走行方向第2側F2において、下層階下流側上部レール部33に合流している。本実施形態では、下層階下流側下部レール部34は、階間搬送装置5に対して走行方向第2側F2に設置された下層階下流側昇降装置37によって、下層階下流側上部レール部33に合流している。下層階下流側昇降装置37は、昇降レール38と、下層階下流側下部レール部34と下層階下流側上部レール部33とに亘って昇降レール38を上下方向Zに移動させる昇降機構(図示省略)とを有する。
【0027】
本実施形態では、下層階下部レール3Bを構成する下層階上流側下部レール部32及び下層階下流側下部レール部34に、待機区間Wが設定されている。待機区間Wは、例えば階間搬送装置5で搬送可能になるまで又は優先的に通行する他の搬送車2が通過するまで等の期間に、搬送車2が停止して待機するための区間である。本実施形態では、下層階上部レール3Aを構成する下層階上流側上部レール部31及び下層階下流側上部レール部33にも、待機区間Wが設定されている。
【0028】
上層階レール4は、複数の階層のうちの1つであって下層階Lとは異なる上層階Uに配置されている。上層階レール4は、下層階Lよりも上階に位置する上層階Uに配置されている。
図3に示すように、上層階レール4は、上層階上部レール4Aと、上層階上部レール4Aよりも上下方向Zの下側に配置された上層階下部レール4Bとを備えている。上層階上部レール4Aは、走行経路Rの全域に亘って設置されている。上層階下部レール4Bは、階間搬送装置5の近傍のみに設置されている。
【0029】
上層階上部レール4Aは、階間搬送装置5に対して走行方向第1側F1に配置された上層階上流側上部レール部41と、階間搬送装置5に対して走行方向第2側F2に配置された上層階下流側上部レール部43とを有している。本実施形態では、上層階上流側上部レール部41が「第5レール部」に相当し、上層階下流側上部レール部43が「第3レール部」に相当する。
【0030】
また、上層階下部レール4Bは、階間搬送装置5に対して走行方向第1側F1に配置された上層階上流側下部レール部42と、階間搬送装置5に対して走行方向第2側F2に配置された上層階下流側下部レール部44とを有している。本実施形態では、上層階上流側下部レール部42が「第6レール部」に相当し、上層階下流側下部レール部44が「第4レール部」に相当する。
【0031】
上層階上流側下部レール部42は、階間搬送装置5に対して走行方向第1側F1において、上層階上流側上部レール部41から分岐している。本実施形態では、上層階上流側下部レール部42は、階間搬送装置5に対して走行方向第1側F1に設置された上層階上流側昇降装置45によって、上層階上流側上部レール部41から分岐している。上層階上流側昇降装置45は、昇降レール46と、上層階上流側下部レール部42と上層階上流側上部レール部41とに亘って昇降レール46を上下方向Zに移動させる昇降機構(図示省略)とを有する。
【0032】
上層階下流側下部レール部44は、階間搬送装置5に対して走行方向第2側F2において、上層階下流側上部レール部43に合流している。本実施形態では、上層階下流側下部レール部44は、階間搬送装置5に対して走行方向第2側F2に設置された上層階下流側昇降装置47によって、上層階下流側上部レール部43に合流している。上層階下流側昇降装置47は、昇降レール48と、上層階下流側下部レール部44と上層階下流側上部レール部43とに亘って昇降レール48を上下方向Zに移動させる昇降機構(図示省略)とを有する。
【0033】
本実施形態では、上層階下部レール4Bを構成する上層階上流側下部レール部42及び上層階下流側下部レール部44に、待機区間Wが設定されている。また、本実施形態では、上層階上部レール4Aを構成する上層階上流側上部レール部41及び上層階下流側上部レール部43にも、待機区間Wが設定されている。
【0034】
図1に示すように、階間搬送装置5は、下層階Lと上層階Uとに亘って設置されている。階間搬送装置5は、下層階Lと上層階Uとに亘って搬送車2を上下方向Zに搬送する。
図3に示すように、階間搬送装置5は、搬送車2が走行する上部昇降レール51と、搬送車2が走行する下部昇降レール52と、上部昇降レール51及び下部昇降レール52を上下方向Zに移動させる昇降機構(図示省略)とを備えている。
【0035】
上部昇降レール51と下部昇降レール52とは、並列に設けられている。本実施形態では、上部昇降レール51と下部昇降レール52とは、上下方向Zに並んで配置されている。上部昇降レール51と下部昇降レール52とは、上下方向視で少なくとも一部が重複するように配置されている。本実施形態では、上部昇降レール51と下部昇降レール52とは、互いに同じ走行方向Fの範囲において上下方向Zに並んで配置されており、上下方向視で完全に重複している。本実施形態では、上部昇降レール51及び下部昇降レール52は、搬送車2がそれぞれ1台ずつ進入可能な長さに設定されている。
【0036】
昇降機構は、上部昇降レール51と下部昇降レール52とを、それらの位置関係を保ったまま上下方向Zに移動させる。昇降機構は、上部昇降レール51と下部昇降レール52とを、まとめて同時に移動させる。上部昇降レール51と下部昇降レール52との上下方向Zの間隔は、下層階上部レール3Aと下層階下部レール3Bとの上下方向Zの間隔に等しく、また、上層階上部レール4Aと上層階下部レール4Bとの上下方向Zの間隔に等しい。
【0037】
図3に示すように、昇降機構は、上部昇降レール51及び下部昇降レール52を、下層階Lにおける予め定められた下層階停止位置P1と、上層階Uにおける予め定められた上層階停止位置P2とに停止させることができるように構成されている。下層階停止位置P1及び上層階停止位置P2は、上部昇降レール51及び下部昇降レール52についての代表位置である。なお、昇降機構は、例えば油圧駆動機構やモータ駆動機構等、各種の方式のものを採用することができる。
【0038】
上部昇降レール51及び下部昇降レール52が下層階停止位置P1に停止した状態で、上部昇降レール51は、下層階上流側上部レール部31に走行方向第2側F2から接続され、下層階下流側上部レール部33に走行方向第1側F1から接続される。また、下部昇降レール52は、下層階上流側下部レール部32に走行方向第2側F2から接続され、下層階下流側下部レール部34に走行方向第1側F1から接続される。
【0039】
また、上部昇降レール51及び下部昇降レール52が上層階停止位置P2に停止した状態で、上部昇降レール51は、上層階上流側上部レール部41に走行方向第2側F2から接続され、上層階下流側上部レール部43に走行方向第1側F1から接続される。また、下部昇降レール52は、上層階上流側下部レール部42に走行方向第2側F2から接続され、上層階下流側下部レール部44に走行方向第1側F1から接続される。
【0040】
本実施形態では、下層階停止位置P1が「第1停止位置」に相当し、上層階停止位置P2が「第2停止位置」に相当する。
【0041】
本実施形態では、下層階上流側下部レール部32、下層階下流側下部レール部34、上層階上流側下部レール部42、及び上層階下流側下部レール部44の待機区間Wに、待機区間Wに停止した搬送車2に対する処理を行う処理装置6が配置されている。なお、下層階上流側上部レール部31、下層階下流側上部レール部33、上層階上流側上部レール部41、及び上層階下流側上部レール部43の待機区間Wには、処理装置6は配置されていない。処理装置6は、例えば搬送車2に対する所定の検査や清掃等を行う装置であって良い。或いは、処理装置6は、搬送車2が走行用のバッテリを備える場合に、バッテリの充電を行う装置であっても良い。複数の処理装置6が設けられる場合、それらは同種の処理を行う装置であっても良いし、少なくとも1つが他とは異種の処理を行う装置であっても良い。
【0042】
制御システム7は、複数の搬送車2の制御を行う。また、制御システム7は、階間搬送装置5、下層階上流側昇降装置35、下層階下流側昇降装置37、上層階上流側昇降装置45、及び上層階下流側昇降装置47の制御を行う。制御システム7は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の主記憶装置とを備えている。制御システム7の各機能は、演算処理装置と、当該演算処理装置上で実行されるプログラムとの協働によって実現される。
【0043】
なお、制御システム7は、1つのハードウェアで構成されても良いし、互いに有線又は無線で通信可能な複数のハードウェア(複数の分離したハードウェア)の集合によって構成されても良い。例えば、制御システム7が、図示されていない制御施設に設置された上位制御装置と、各搬送車2に搭載されて上位制御装置と通信可能な制御端末装置とを備えて構成されても良い。
【0044】
図4~
図11を参照して、搬送車2による物品搬送の一例について説明する。
図4に示すように、下層階Lにおいて下層階上流側上部レール部31を走行してきた搬送車2は、上昇位置にある下層階上流側昇降装置35の昇降レール36を通過して、下層階上流側上部レール部31の下流側端部に到る。搬送車2は、下層階上流側上部レール部31に設定された待機区間Wで待機する。
【0045】
図5に示すように、下層階Lにおいて下層階上流側上部レール部31を走行してきた後続の搬送車2は、下層階上流側昇降装置35によって上昇位置から下降位置に移動され、その後、下層階上流側下部レール部32の下流側端部に到る。搬送車2は、下層階上流側下部レール部32に設定された待機区間Wで待機する。この待機中に、処理装置6により、搬送車2に対する処理が行われても良い。
【0046】
図6に示すように、2台の搬送車2は、下層階停止位置P1にある階間搬送装置5の上部昇降レール51及び下部昇降レール52にそれぞれ進入する。下層階上流側上部レール部31の待機区間Wで待機していた搬送車2は上部昇降レール51に進入し、下層階上流側下部レール部32の待機区間Wで待機していた搬送車2は下部昇降レール52に進入する。
【0047】
図7に示すように、2台の搬送車2は、階間搬送装置5によって下層階停止位置P1から上層階停止位置P2に移動される。
【0048】
図8に示すように、階間搬送装置5の下部昇降レール52で搬送されてきた搬送車2は、上層階下流側下部レール部44に進入する。そして、上層階下流側下部レール部44に設定された待機区間Wで待機する。この待機中に、処理装置6により、搬送車2に対する処理が行われても良い。一方、階間搬送装置5の上部昇降レール51で搬送されてきた搬送車2は、上層階下流側上部レール部43に進入し、上昇位置にある上層階下流側昇降装置47の昇降レール48を通過して、目的地に向かってさらに進行する。
【0049】
このように、本実施形態の制御システム7は、上層階下流側下部レール部44が上層階下流側上部レール部43に合流する合流部において、上層階下流側上部レール部43を走行する搬送車2を優先的に走行させる(優先走行処理)。
【0050】
図8の例では、上層階Uにおいて、別の搬送車2が上層階上流側上部レール部41を走行してきている。上層階上流側上部レール部41を走行してきた搬送車2は、上昇位置にある上層階上流側昇降装置45の昇降レール46を通過して、上層階上流側上部レール部41の下流側端部に到る。搬送車2は、上層階上流側上部レール部41に設定された待機区間Wで待機する。
【0051】
図9に示すように、上層階下流側下部レール部44の待機区間Wで待機していた搬送車2は、他の搬送車2が上層階下流側昇降装置47の昇降レール48を通過した後に下降位置に降下してきた昇降レール48に進入する。また、上層階Uにおいて上層階上流側上部レール部41を走行してきた後続の搬送車2は、上層階上流側昇降装置45によって上昇位置から下降位置に移動され、その後、上層階上流側下部レール部42の下流側端部に到る。搬送車2は、上層階上流側下部レール部42に設定された待機区間Wで待機する。この待機中に、処理装置6により、搬送車2に対する処理が行われても良い。
【0052】
図10に示すように、2台の搬送車2は、上層階停止位置P2にある階間搬送装置5の上部昇降レール51及び下部昇降レール52にそれぞれ進入する。上層階上流側上部レール部41の待機区間Wで待機していた搬送車2は上部昇降レール51に進入し、上層階上流側下部レール部42の待機区間Wで待機していた搬送車2は下部昇降レール52に進入する。その間に、上層階下流側昇降装置47によって搬送車2は下降位置から上昇位置に移動される。
【0053】
図11に示すように、2台の搬送車2は、階間搬送装置5によって上層階停止位置P2から下層階停止位置P1に移動される。また、上層階下流側昇降装置47によって上昇位置に移動された搬送車2は、上層階下流側上部レール部43に進入し、目的地に向かって進行していく。
【0054】
以上が、階間搬送装置5の周辺における搬送車2による物品搬送の基本動作であるが、本実施形態の制御システム7は、特殊動作も実行可能に構成されている。この点について、
図12のフローチャートを参照して説明する。
【0055】
まず、制御システム7は、複数の搬送車2のそれぞれについて、情報取得処理及び搬送優先度取得処理を実行する(ステップ#01,#02)。ここで、情報取得処理は、処理装置6による処理の必要性の有無を判定するために必要な情報を取得する処理である。例えば処理装置6が搬送車2に対する検査や清掃等を行う装置である場合には、前回処理からの経過日数等の情報が取得される。或いは、処理装置6がバッテリの充電を行う装置である場合には、センサによってバッテリ残量等の情報が取得される。
【0056】
また、搬送優先度取得処理は、搬送中の物品Bの搬送優先度を取得する処理である。本実施形態では、搬送中の物品Bの搬送優先度は、物品搬送設備1の全体を司る上位システムからの搬送要求の優先度の情報を取得することによって得られる。
【0057】
制御システム7は、搬送優先度取得処理の結果に基づき、搬送優先度が高いか否かを判定する(ステップ#03)。本実施形態では、この判定処理が、「搬送優先度判定処理」に相当する。本実施形態では、搬送中の物品Bの搬送優先度が数値化されて管理され、その数値化された搬送優先度が予め定められた判定しきい値以上であるか否かが判定される。
【0058】
そして、搬送優先度が判定しきい値未満である、すなわち搬送優先度が高くないと判定された場合には(ステップ#03:No)、次に、必要性判定処理の結果に基づき、処理装置6による処理の必要性が有るか否かを判定する(ステップ#04)。本実施形態では、この判定処理が、「必要性判定処理」に相当する。
【0059】
処理装置6による処理の必要性がないと判定された場合には(ステップ#04:No)、通常搬送処理が実行される(ステップ#05)。通常搬送処理では、処理装置6は稼働されずに、
図4~
図11を参照して説明した基本動作に基づいて搬送処理が実行される。
【0060】
一方、制御システム7は、必要性判定処理の結果、処理装置6による処理の必要性が有ると判定された場合には(ステップ#04:Yes)、搬送車2を、処理装置6が配置された待機区間Wへ導く第1誘導処理を実行する(ステップ#06)。例えば、
図4の例で、最初に走行してきた搬送車2が処理の必要性有だった場合には、処理装置6が配置されていない下層階上流側上部レール部31の待機区間Wではなく、処理装置6が配置されている下層階上流側下部レール部32の待機区間Wへと搬送車2を誘導する。この第1誘導処理の実行により、待ち時間も利用して、搬送車2に必要とされている処理を適切に実行することができる。
【0061】
さらに、制御システム7は、搬送優先度判定処理の結果、搬送優先度が判定しきい値以上である、すなわち搬送優先度が高いと判定された搬送車2を、必要性判定処理の結果に関わらず、上部昇降レール51へ導く第2誘導処理を実行する(ステップ#07)。例えば上記の例で、搬送中の物品Bの搬送優先度が高い場合には、処理装置6が配置されている下層階上流側下部レール部32の待機区間Wではなく、上部昇降レール51に接続される下層階上流側上部レール部31の待機区間Wへと搬送車2を誘導する。この第2誘導処理の実行により、階間搬送装置5によって他の階層に移動した後に優先的に搬送車2を走行させることができるので、物品Bを早期に目的地へと届けることが可能となる。
【0062】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、処理の必要性よりも搬送優先度を優先して階間搬送装置5の周辺での搬送車2による物品搬送を行う構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば処理の必要性と搬送優先度とを総合的に勘案して階間搬送装置5の周辺での搬送車2による物品搬送を行っても良い。
【0063】
(2)上記の実施形態では、下層階上流側下部レール部32、下層階下流側下部レール部34、上層階上流側下部レール部42、及び上層階下流側下部レール部44の待機区間Wに処理装置6が配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば下層階上流側下部レール部32、下層階下流側下部レール部34、上層階上流側下部レール部42、及び上層階下流側下部レール部44のうちの一部のみの待機区間Wに処理装置6が配置されていても良い。また、下層階上流側上部レール部31、下層階下流側上部レール部33、上層階上流側上部レール部41、及び上層階下流側上部レール部43のうちの少なくとも1つの待機区間Wにも、処理装置6が配置されていても良い。
【0064】
(3)上記の実施形態では、下層階上流側下部レール部32、下層階下流側下部レール部34、上層階上流側下部レール部42、及び上層階下流側下部レール部44の待機区間Wに、処理装置6が固定的に配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば
図13に示すように、階間搬送装置5に処理装置6が可動に配置されていても良い。この場合、処理装置6は、階間搬送装置5の昇降機構により、上部昇降レール51及び下部昇降レール52と共に上下方向Zに移動するように構成されると良い。
【0065】
(4)上記の実施形態では、下層階下部レール3B及び上層階下部レール4Bが階間搬送装置5の近傍のみに設置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば下層階下部レール3B及び上層階下部レール4Bのうちの少なくとも一方が、階間搬送装置5の近傍を含む比較的広い範囲に亘って設置されていても良い。
【0066】
(5)上記の実施形態では、下層階上流側上部レール部31と下層階上流側下部レール部32とが、下層階上流側昇降装置35によって分岐している構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば分岐用レールによって分岐していても良い。分岐用レールは、上下方向Zに分岐させても良いし、横方向に分岐させても良い。上層階上流側上部レール部41と上層階上流側下部レール部42との分岐部に関しても同様である。
【0067】
(6)上記の実施形態では、下層階下流側上部レール部33と下層階下流側下部レール部34とが、下層階下流側昇降装置37によって合流している構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば合流用レールによって合流していても良い。合流用レールは、上下方向Zに合流させても良いし、横方向に合流させても良い。上層階下流側上部レール部43と上層階下流側下部レール部44との合流部に関しても同様である。
【0068】
(7)上記の実施形態では、階間搬送装置5の上部昇降レール51と下部昇降レール52とが上下方向視で完全に重複する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば上部昇降レール51と下部昇降レール52とで長さが異なる等して、それらが上下方向視で部分的に重複する構成であっても良い。また、上部昇降レール51と下部昇降レール52とが横並びで配置される等して、それらが上下方向視で重複しない構成であっても良い。
【0069】
(8)上記の実施形態では、階間搬送装置5の上部昇降レール51及び下部昇降レール52が搬送車2を1台ずつ搬送する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば上部昇降レール51及び下部昇降レール52の少なくとも一方が、複数台の搬送車2をまとめて搬送しても良い。
【0070】
(9)上記の実施形態では、下層階レール3と上層階レール4とで搬送車2の走行方向が順平行である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、下層階レール3と上層階レール4とで搬送車2の走行方向が逆平行であっても良い。この場合、「走行方向F」は、例えば下層階レール3を走行する搬送車2の走行方向を基準として定めることができる。そして、上層階Uでは、上部昇降レール51及び下部昇降レール52が上層階停止位置P2に停止した状態で、上部昇降レール51は、上層階上流側上部レール部41に走行方向第1側F1から接続され、上層階下流側上部レール部43に走行方向第2側F2から接続される。また、下部昇降レール52は、上層階上流側下部レール部42に走行方向第1側F1から接続され、上層階下流側下部レール部44に走行方向第2側F2から接続される。
【0071】
(10)上記の実施形態では、搬送車2が一方向にのみ走行する構成を主に想定して説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば搬送車2が双方向に走行しても良い。
【0072】
(11)上記の実施形態では、下層階レール3及び上層階レール4が天井9又は支持壁9Aから吊下支持されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば下層階レール3及び上層階レール4が床面に設置されていても良い。
【0073】
(12)上記の実施形態では、下層階Lと上層階Uとを有する2階建ての建物に設置された物品搬送設備1の構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、下層階Lと中間階(第1中間層、第2中間層、・・・)と上層階Uとを有する、3階層以上の建物にも、同様に、本実施形態の物品搬送設備1を適用することができる。
【0074】
〔実施形態のまとめ〕
以上をまとめると、本開示に係る物品搬送設備は、好適には、以下の各構成を備える。
【0075】
物品搬送設備であって、
複数の階層を備える建物の内部において物品を搬送する複数の搬送車と、
複数の前記階層のうちの1つである第1階層に配置されて前記搬送車が走行する第1階層レールと、
複数の前記階層のうちの1つであって前記第1階層とは異なる第2階層に配置されて前記搬送車が走行する第2階層レールと、
前記第1階層と前記第2階層とに亘って前記搬送車を上下方向に搬送する階間搬送装置と、を備え、
前記階間搬送装置は、前記搬送車が走行する第1昇降レールと、前記第1昇降レールと並列に設けられて前記搬送車が走行する第2昇降レールと、前記第1昇降レールと前記第2昇降レールとの位置関係を保ったまま前記第1昇降レール及び前記第2昇降レールを上下方向に移動させる昇降機構と、を備え、
前記昇降機構は、前記第1昇降レール及び前記第2昇降レールを、前記第1階層における予め定められた第1停止位置と、前記第2階層における予め定められた第2停止位置と、に停止させることができるように構成され、
前記第1階層レール及び前記第2階層レールのそれぞれに沿う方向を走行方向とし、前記走行方向の一方側を走行方向第1側とし、前記走行方向の他方側を走行方向第2側として、
前記第1階層レールは、前記第1停止位置にある前記第1昇降レールに前記走行方向第1側から接続される第1レール部と、前記第1停止位置にある前記第2昇降レールに前記走行方向第1側から接続される第2レール部と、を備え、
前記第2階層レールは、前記第2停止位置にある前記第1昇降レールに前記走行方向第1側又は前記走行方向第2側から接続される第3レール部と、前記第2停止位置にある前記第2昇降レールに前記走行方向第1側又は前記走行方向第2側から接続される第4レール部と、を備える。
【0076】
この構成によれば、2台以上の搬送車を同時に1つの階層から別の階層に搬送することができる。よって、搬送車を1台ずつ階間搬送する構成に比べて、階層間での搬送車の搬送効率を高めることができる。従って、複数の階層間での物品の搬送効率の向上が図られた物品搬送設備を提供することができる。
【0077】
一態様として、
前記第1昇降レールと前記第2昇降レールとが、上下方向に並んで配置されていることが好ましい。
【0078】
この構成によれば、第1昇降レールと第2昇降レールとが上下方向に並ぶ位置関係となるため、それらが水平方向に並んで配置された構成に比べて、階間搬送装置の設置面積を小さく抑えることができる。よって、物品搬送設備全体の小型化を図ることができる。
【0079】
一態様として、
前記搬送車は、前記第1階層レールにおいて前記走行方向第2側へ向かって走行し、
前記階間搬送装置に対して前記走行方向第1側において、前記第2レール部が前記第1レール部から分岐しており、
前記第2レール部に、前記搬送車が停止して待機する待機区間が設定されていることが好ましい。
【0080】
この構成によれば、第2レール部が第1レール部から分岐するように構成されるため、第2レール部が設置される区間を短く抑えることができる。よって、第1階層レールの簡素化を図ることができる。また、第1レール部から分岐する第2レール部に待機区間が設定されるため、階間搬送装置による搬送待ちの搬送車が、第1レール部を走行する搬送車の通行を妨げることなく待機するスペースを、適切に確保することができる。
【0081】
一態様として、
前記第3レール部は、前記第2停止位置にある前記第1昇降レールに前記走行方向第2側から接続され、前記第4レール部は、前記第2停止位置にある前記第2昇降レールに前記走行方向第2側から接続され、
前記第2階層レールは、前記第2停止位置にある前記第1昇降レールに前記走行方向第1側から接続される第5レール部と、前記第2停止位置にある前記第2昇降レールに前記走行方向第1側から接続される第6レール部と、を備え、
前記階間搬送装置に対して前記走行方向第2側において、前記第4レール部が前記第3レール部に合流しており、
前記第4レール部にも、前記待機区間が設定されていることが好ましい。
【0082】
この構成によれば、第1階層レールと第2階層レールとで搬送車の走行方向が同じとなるため、設備全体での搬送効率を高めることができる。また、第4レール部が第3レール部に合流するように構成されるため、第4レール部が設置される区間を短く抑えることができる。よって、第2階層レールの簡素化を図ることができる。また、第3レール部に合流する第4レール部に待機区間が設定されるため、第4レール部と第3レール部との合流部における他の搬送車の通過待ちの搬送車が、第3レール部を走行する搬送車(例えば、第5レール部から第3レール部に進入してきた搬送車)の通行を妨げることなく待機するスペースを、適切に確保することができる。
【0083】
一態様として、
前記待機区間に対応して、前記待機区間に停止した前記搬送車に対する処理を行う処理装置が配置されていることが好ましい。
【0084】
この構成によれば、搬送車が待機区間で待機している時間を利用して、当該搬送車に対する処理(例えば、検査や清掃等)を実施することができる。よって、搬送車による物品の搬送効率の低下を少なく抑えつつ、搬送車に対する処理を効率的に実施することができる。
【0085】
一態様として、
複数の前記搬送車の制御を行う制御システムを備え、
前記制御システムは、前記第4レール部が前記第3レール部に合流する合流部において、前記第3レール部を走行する前記搬送車を、前記第4レール部を走行する前記搬送車よりも優先させる優先走行処理を実行することが好ましい。
【0086】
この構成によれば、第4レール部と第3レール部との合流部では第3レール部を走行する搬送車が優先されるが、第4レール部で通過待ちをする搬送車は、当該第4レール部に設定された待機区間で適切に待機することができる。
【0087】
一態様として、
複数の前記搬送車の制御を行う制御システムを備え、
前記制御システムは、
複数の前記搬送車のそれぞれについて、前記処理装置による処理の必要性の有無を判定する必要性判定処理と、
前記必要性判定処理の結果、前記処理装置による処理の必要性が有ると判定された前記搬送車を、前記処理装置が配置された前記待機区間へ導く第1誘導処理と、
を実行することが好ましい。
【0088】
この構成によれば、第1誘導処理により、処理の必要性がある搬送車が、処理装置が配置された待機区間へ導かれるため、搬送車に対する所要の処理を必要に応じて適切に行うことができる。
【0089】
一態様として、
前記制御システムは、前記搬送車のそれぞれについて、搬送中の物品の搬送優先度を判定する搬送優先度判定処理を行い、前記搬送優先度判定処理の結果、前記搬送優先度が予め定められた判定しきい値以上であると判定された前記搬送車を、前記必要性判定処理の結果に関わらず、前記第1昇降レールへ導く第2誘導処理を実行することが好ましい。
【0090】
この構成によれば、第2誘導処理により、物品の搬送優先度が高い搬送車を、待機区間や処理装置が設けられたレール部ではなく、これらが設けられていないレール部へ導くことができる。よって、階間搬送装置及びその周辺を迅速に通過させて、物品を目的地に早期に届けることができる。
【0091】
一態様として、
前記第1昇降レール及び前記第2昇降レールの少なくとも一方に位置している前記搬送車に対する処理を行う処理装置が、前記昇降機構により前記第1昇降レール及び前記第2昇降レールと共に上下方向に移動するように構成されていることが好ましい。
【0092】
この構成によれば、搬送車が昇降機構により上下方向に移動している時間を利用して、当該搬送車に対する処理(例えば、検査や清掃等)を実施することができる。よって、搬送車による物品の搬送効率の低下を少なく抑えつつ、搬送車に対する処理を効率的に実施することができる。
【0093】
本開示に係る物品搬送設備は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。
【符号の説明】
【0094】
1 物品搬送設備
2 搬送車
3 下層階レール(第1階層レール)
3A 下層階上部レール
3B 下層階下部レール
4 上層階レール(第2階層レール)
4A 上層階上部レール
4B 上層階下部レール
5 階間搬送装置
6 処理装置
7 制御システム
31 下層階上流側上部レール部(第1レール部)
32 下層階上流側下部レール部(第2レール部)
33 下層階下流側上部レール部
34 下層階下流側下部レール部
41 上層階上流側上部レール部(第5レール部)
42 上層階上流側下部レール部(第6レール部)
43 上層階下流側上部レール部(第3レール部)
44 上層階下流側下部レール部(第4レール部)
51 上部昇降レール(第1昇降レール)
52 下部昇降レール(第2昇降レール)
B 物品
W 待機区間
L 下層階(第1階層)
U 上層階(第2階層)
P1 下層階停止位置(第1停止位置)
P2 上層階停止位置(第2停止位置)
F 走行方向
F1 走行方向第1側
F2 走行方向第2側
Z 上下方向