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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030342
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】センサ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 7/08 20060101AFI20250228BHJP
   C22C 5/02 20060101ALN20250228BHJP
   H05K 1/11 20060101ALN20250228BHJP
【FI】
B22F7/08 C
C22C5/02
H05K1/11 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135554
(22)【出願日】2023-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 厚司
(72)【発明者】
【氏名】和田 章良
(72)【発明者】
【氏名】大竹 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】片山 雅之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲弥
【テーマコード(参考)】
4K018
5E317
【Fターム(参考)】
4K018AA02
4K018AA03
4K018BA01
4K018BA02
4K018BB01
4K018BD04
4K018JA36
5E317CC15
(57)【要約】
【課題】製造工程が複雑になることとを抑制しつつ、センサ素子と被実装部材との接合強度が低下することを抑制する。
【解決手段】焼結部材31を構成することでは、凹部11の側面11bに配置された埋込部材構成部材32との間に所定の隙間Sが構成される状態で焼結部材31を構成し、焼結部材31を構成することの後、一面側が天地方向における天側となるように被実装部材10を配置することと、加熱処理を行って埋込部材構成部材32を溶融して溶融埋込部材321とし、一面10a上に配置されている溶融埋込部材321を凹部11内の隙間Sに引き込むことと、冷却して溶融埋込部材321を固化し、凹部11の側面11bと焼結部材31との間に配置される埋込部材を構成することと、を行い、下地部材33を形成することでは、被実装部材10より溶融埋込部材321との濡れ性が高い材料で構成される下地部材33を形成する。
【選択図】図2D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ装置の製造方法であって、
一面(10a)を有し、前記一面に凹部(11)が形成された被実装部材(10)を用意することと、
前記凹部に焼結用材料(310)を配置することと、
柱状の固定部(21)を有するセンサ素子(20)を用意することと、
前記焼結用材料内に前記固定部を配置することと、
加熱処理して前記焼結用材料を焼結し、前記固定部と前記被実装部材とを接合する焼結部材(31)を構成することと、を行い、
前記被実装部材を用意することでは、前記一面から前記凹部の側面(11b)に渡って繋がった下地部材(33)を形成することと、前記一面に形成された前記下地部材上から前記凹部の側面に形成された前記下地部材上に渡って繋がったはんだで構成される埋込部材構成部材(320)を形成することと、を行い、
前記焼結部材を構成することでは、前記凹部の側面に配置された前記埋込部材構成部材との間に所定の隙間(S)が構成される状態で前記焼結部材を構成し、
前記焼結部材を構成することの後、前記一面側が天地方向における天側となるように前記被実装部材を配置することと、加熱処理を行って前記埋込部材構成部材を溶融して溶融埋込部材(321)とし、前記一面上に配置されている前記溶融埋込部材を前記凹部内の隙間に引き込むことと、冷却して前記溶融埋込部材を固化し、前記凹部の側面と前記焼結部材との間に配置される埋込部材(32)を構成することと、を行い、
前記下地部材を形成することでは、前記被実装部材より前記溶融埋込部材との濡れ性が高い材料で構成される前記下地部材を形成するセンサ装置の製造方法。
【請求項2】
前記下地部材を形成することでは、前記溶融埋込部材と反応可能であり、前記埋込部材を構成した際、前記埋込部材の融点が前記埋込部材構成部材の融点より高くなる材料で構成される前記下地部材を形成する請求項1に記載のセンサ装置の製造方法。
【請求項3】
前記被実装部材を用意することでは、前記被実装部材の一面側に、酸化物、窒化物、酸化窒化物、およびフッ素系樹脂物の少なくとも1つを主成分とする濡れ性低下部材(40)が配置されたものを用意し、
前記下地部材を形成することでは、前記濡れ性低下部材上に前記下地部材を形成する請求項1に記載のセンサ装置の製造方法。
【請求項4】
前記被実装部材を用意することでは、前記凹部の側面および底面に、前記被実装部材より前記溶融埋込部材が拡散し難い拡散防止部材(50)が配置されたものを用意し、
前記下地部材を形成することでは、前記拡散防止部材上に前記下地部材を形成する請求項1に記載のセンサ装置の製造方法。
【請求項5】
前記被実装部材を用意することでは、前記一面に形成された前記下地部材が前記埋込部材構成部材で被覆された前記被実装部材を用意する請求項1に記載のセンサ装置の製造方法。
【請求項6】
前記被実装部材を用意することでは、前記凹部の底面に、前記焼結部材を構成した際に前記隙間となる空間と、前記凹部内の空間と異なる外部空間とを連通する貫通孔(12)が形成された被実装部材を用意する請求項1に記載のセンサ装置の製造方法。
【請求項7】
前記被実装部材を用意することでは、前記焼結部材を構成して前記隙間が構成される際、前記凹部の開口部側から前記凹部の底面側に向かって前記隙間が細くなる前記被実装部材を用意する請求項1に記載のセンサ装置の製造方法。
【請求項8】
前記埋込部材を構成することでは、不活性ガス雰囲気で行う請求項1ないし7のいずれか1つに記載のセンサ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被実装部材にセンサ素子が接合部材を介して配置されて構成されるセンサ装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、被実装部材にセンサ素子が接合部材を介して配置されて構成されるセンサ装置が提案されている。このようなセンサ装置は、例えば、次のように製造される。
【0003】
まず、凹部が形成された被実装部材を用意する。また、接合部材と接合される固定部を有するセンサ素子を用意する。次に、銀粒子を有機溶媒等に混入させた銀ペースト等の焼結用材料を用意し、凹部内に焼結用材料を配置する。続いて、センサ素子の固定部を焼結用材料内に配置する。その後、加熱処理を行い、焼結用材料を焼結させて接合部材としての焼結部材を構成することにより、被実装部材とセンサ素子の固定部とを接合する。
【0004】
しかしながら、焼結用材料を焼結して接合部材を構成する際、有機溶媒が蒸発したり、銀粒子が収縮すること等により、接合部材は、全体として焼結用材料よりも内側に収縮した状態となる。このため、焼結用材料を焼結して接合部材を構成すると、接合部材と凹部の側面との間に隙間が構成される可能性がある。そして、このように接合部材と凹部の側面との間に隙間が構成されると、センサ素子と被実装部材との接合強度が低下する。
【0005】
ところで、被実装部材に形成された孔部へはんだ等の接合部材を充填する方法として、次のような製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この製造方法では、孔部が形成された被実装部材を用意する。そして、被実装部材を真空引きした空間に配置し、孔部の一端部側に固形はんだを配置する。なお、孔部の他端部側は、閉塞された状態となっている。続いて、加熱処理を行って固形はんだを溶融して溶融はんだとし、真空状態を解除することにより、圧力差によって溶融はんだを孔部内に流動させる。これにより、孔部内にボイドが生成されることを抑制しつつ、孔部に溶融はんだを充填することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-144274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上記のセンサ装置の製造方法について、接合部材と凹部の側面との間に構成される隙間に対し、上記のように溶融はんだを流し込むことについて検討した。しかしながら、真空引きした状態で加熱を行う方法では、真空引き処理と加熱処理とを同時に行うことが可能な製造装置が必要となり、製造工程が複雑になる。
【0008】
本開示は、製造工程が複雑になることとを抑制しつつ、センサ素子と被実装部材との接合強度が低下することを抑制できるセンサ装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の1つの観点によれば、センサ装置の製造方法は、一面(10a)を有し、一面に凹部(11)が形成された被実装部材(10)を用意することと、凹部に焼結用材料(310)を配置することと、柱状の固定部(21)を有するセンサ素子(20)を用意することと、焼結用材料内に固定部を配置することと、加熱処理して焼結用材料を焼結し、固定部と被実装部材とを接合する焼結部材(31)を構成することと、を行い、被実装部材を用意することでは、一面から凹部の側面(11b)に渡って繋がった下地部材(33)を形成することと、一面に形成された下地部材上から凹部の側面に形成された下地部材上に渡って繋がったはんだで構成される埋込部材構成部材(320)を形成することと、を行い、焼結部材を構成することでは、凹部の側面に配置された埋込部材構成部材との間に所定の隙間(S)が構成される状態で焼結部材を構成し、焼結部材を構成することの後、一面側が天地方向における天側となるように被実装部材を配置することと、加熱処理を行って埋込部材構成部材を溶融して溶融埋込部材(321)とし、一面上に配置されている溶融埋込部材を凹部内の隙間に引き込むことと、冷却して溶融埋込部材を固化し、凹部の側面と焼結部材との間に配置される埋込部材(32)を構成することと、を行い、下地部材を形成することでは、被実装部材より溶融埋込部材との濡れ性が高い材料で構成される下地部材を形成する。
【0010】
これによれば、焼結部材を形成した際に構成される隙間に埋込部材を配置している。このため、センサ素子と被実装部材との接合強度が低下することを抑制できる。
【0011】
また、被実装部材の一面上および凹部の側面上に埋込部材構成部材が繋がるように配置し、この埋込部材構成部材を溶融させて、被実装部材の一面上の溶融埋込部材を隙間に引き込むようにしている。この際、真空引きする処理は必要なく、表面張力および重力により、隙間を埋め込むように被実装部材の一面上の溶融埋込部材を凹部内に引き込むことができる。このため、製造工程が複雑になることを抑制できる。
【0012】
さらに、被実装部材より溶融埋込部材との濡れ性が高い下地部材を介して埋込部材構成部材を配置している。このため、埋込部材構成部材を溶融させて溶融埋込部材を構成した際、隙間を埋め込むように被実装部材の一面上の溶融埋込部材を凹部内に引き込み易くできる。
【0013】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態におけるセンサ装置の断面図である。
図2A図1に示すセンサ装置の製造工程を示す断面図である。
図2B図2Aに続くセンサ装置の製造工程を示す断面図である。
図2C図2Bに続くセンサ装置の製造工程を示す断面図である。
図2D図2Cに続くセンサ装置の製造工程を示す断面図である。
図2E図2Dに続くセンサ装置の製造工程を示す断面図である。
図3】第1実施形態のセンサ装置および比較例のセンサ装置の隙間率を示す図である。
図4】第2実施形態におけるセンサ装置の製造工程を示す断面図である。
図5】第3実施形態におけるセンサ装置の製造工程を示す断面図である。
図6】第4実施形態におけるセンサ装置の製造工程を示す断面図である。
図7図6の平面図である。
図8A】第5実施形態におけるセンサ装置の製造工程を示す断面図である。
図8B図8Aに続くセンサ装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0016】
(第1実施形態)
第1実施形態のセンサ装置について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態のセンサ装置は、図1に示されるように、被実装部材10にセンサ素子20が接合部材30を介して固定されて構成されている。
【0017】
被実装部材10は、シリコン基板、ガラス基板、またはシリコン基板とガラス基板との接合基板等の台座で構成され、一面10aおよび一面10aと反対側の他面10bを有し、一面10aに凹部11が形成されている。凹部11は、底面11aと側面11bとを有しており、本実施形態では、側面11bが一面10aに対して略垂直とされている。また、凹部11は、開口部および底面11aが円状とされている。なお、本実施形態における円状とは、真円状に加え、楕円状も含むものであり、さらに真円および楕円が僅かに歪んだ略円状も含むものである。
【0018】
センサ素子20は、ジャイロセンサ等で構成され、被実装部材10に固定される固定部21を有している。固定部21は、本実施形態では、円柱状とされている。なお、本実施形態における円柱状とは、真円柱状に加え、楕円柱状も含むものであり、さらに真円および楕円が僅かに歪んだ略円柱状も含むものである。
【0019】
そして、センサ素子20は、固定部21が凹部11内に挿入され、凹部11内に配置された接合部材30を介して被実装部材10に固定されている。
【0020】
本実施形態の接合部材30は、固定部21と接合される焼結部材31を有している。なお、焼結部材31は、凹部11の側面11bとの間に所定の隙間を有する状態で配置されている。また、接合部材30は、凹部11の側面11bと焼結部材31との間に配置される埋込部材32を有している。さらに、接合部材30は、凹部11の底面に配置されて焼結部材31と接合される下地部材33を有している。
【0021】
焼結部材31は、後述する溶融埋込部材321との濡れ性が固定部21よりも高い材料で構成されており、本実施形態では、鱗片状等とされた銀粒子が有機溶媒に混入された銀ペーストが焼結されて構成されている。埋込部材32は、はんだで構成されており、本実施形態では金スズ系はんだで構成されている。下地部材33は、後述する溶融埋込部材321との濡れ性が被実装部材10より高くなる材料で構成される。また、本実施形態の下地部材33は、具体的には後述するが、後述する溶融埋込部材321と反応可能な材料で構成される。本実施形態では、下地部材33は、金等で構成されている。
【0022】
以上が本実施形態におけるセンサ装置の構成である。次に、上記センサ装置の製造方法について、図2A図2Eを参照しつつ説明する。
【0023】
まず、図2Aに示されるように、一面10aに凹部11が形成された被実装部材10を用意する。そして、スパッタ等により、被実装部材10の凹部11の底面11aおよび側面11bに下地部材33を配置する。また、スパッタ等により、凹部11の側面11bに配置された下地部材33上、および被実装部材10の一面10aに配置された下地部材33上に、埋込部材構成部材320を配置する。なお、本実施形態の埋込部材構成部材320は、金スズ系のはんだで構成され、融点が278~280℃程度となるように、金とスズとの重量組成比が80:20されている。
【0024】
本実施形態では、被実装部材10を図示しない支持部等に搭載し、被実装部材10および支持部を共に回転させながらスパッタを行うことにより、厚さが均一となるように、下地部材33および埋込部材構成部材320を順に配置する。また、埋込部材構成部材320は、スパッタした際には底面11aに配置された下地部材33上にも配置され、例えば、リフトオフやエッチング等によって底面11a上の部分が除去されることにより、凹部11の側面11b上および被実装部材10の一面10a上に配置される。そして、本実施形態では、下地部材33の厚さが1μmとされ、埋込部材32の厚さが3μmとされる。つまり、下地部材33の厚さと埋込部材32の厚さとの比は、1:3とされる。
【0025】
ここで、下地部材33は、凹部11の底面11a、凹部11の側面11b、一面10a上に渡って連続的に繋がるように配置される。同様に、埋込部材32は、凹部11の側面11bに配置された下地部材33上、および被実装部材10の一面10aに配置された下地部材33上に、連続的に繋がるように配置される。
【0026】
また、本実施形態では、被実装部材10の一面10a上に配置される下地部材33および埋込部材32は、一面10aに対する法線方向(以下では、単に法線方向ともいう)において、凹部11と同心円状となるように形成される。なお、一面10aに対する法線方向においてとは、言い換えると、一面10aに対する法線方向から視たときということもできる。
【0027】
さらに、本実施形態では、被実装部材10の一面10a上に配置される下地部材33および埋込部材32は、下地部材33を被覆するように埋込部材32が配置される。言い換えると、下地部材33は、埋込部材32が下地部材33に被覆されて露出しないように配置される。例えば、下地部材33は、被実装部材10の一面10a上に、凹部11の側面11b側から50μm程度の長さとして形成される。
【0028】
続いて、図2Bに示されるように、凹部11内に焼結用材料310を配置し、焼結用材料310内にセンサ素子20の固定部21を挿入する。なお、本実施形態の焼結用材料310は、上記のように、鱗片状等の銀粒子が有機溶媒に混入された銀ペーストで構成されている。
【0029】
次に、図2Cに示されるように、250℃程度に加熱して保持した後に冷却する。これにより、微小な銀粒子が液化した後に固化されて焼結用材料310から焼結部材31が構成され、固定部21と被実装部材10とが焼結部材31を介して接合される。つまり、埋込部材構成部材320の融点未満の温度に加熱して冷却することにより、焼結用材料310から焼結部材31を構成して固定部21と被実装部材10とを接合する。
【0030】
この際、焼結部材31は、収縮することで焼結用材料310よりも体積が小さくなり、焼結部材31と凹部11の側面11bとの間に隙間Sが構成される。なお、本実施形態では、焼結部材31が収縮した際に焼結部材31と凹部11の底面11aとの間に隙間Sが構成されないように、固定部21を底面11a側へ押圧しながら焼結部材31を構成する。
【0031】
続いて、図2Dに示されるように、一面10aが天地方向における天側に位置すると共に他面10bが天地方向における地側に位置するように被実装部材10を配置する。そして、埋込部材構成部材320を融点以上の温度である300℃程度に加熱し、埋込部材構成部材320を溶融させて溶融埋込部材321とする。この際、上記のように、埋込部材構成部材320は、凹部11の側面11b上から被実装部材10の一面10a上に繋がって形成されている。このため、表面張力および重力により、被実装部材10の一面10a上に配置された溶融埋込部材321は、凹部11の側面11b上に配置された溶融埋込部材321によって隙間Sを埋め込むように凹部11内へ引き込まれる。
【0032】
この際、本実施形態では、被実装部材10の一面10aおよび凹部11の側面11bに、溶融埋込部材321との濡れ性が被実装部材10より高い下地部材33を配置している。このため、下地部材33が配置されていない場合と比較して、一面10a上に配置されている溶融埋込部材321が隙間Sを埋め込むように凹部11内へ引き込まれ易くなる。
【0033】
また、本実施形態では、被実装部材10の一面10a上に配置される下地部材33および埋込部材32は、下地部材33を被覆するように埋込部材32が配置されている。このため、被実装部材10の一面10a上に配置されている溶融埋込部材321のうちの下地部材33から突き出した部分は、濡れ易い下地部材33側(すなわち、凹部11側)に向かい易くなり、さらに凹部11内へ引き込まれ易くなる。
【0034】
さらに、本実施形態では、下地部材33は、埋込部材32と反応可能な金で構成されている。このため、この工程では、下地部材33が溶融埋込部材321に拡散して溶融埋込部材321の組成が変化する。本実施形態では、下地部材33が1μmとされていると共に埋込部材構成部材320の厚さが3μmとされているため、溶融埋込部材321は、金とスズの重量組成比が83:17となる。つまり、本実施形態の下地部材33は、溶融埋込部材321と反応することにより、溶融埋込部材321が埋込部材構成部材320よりも融点が高くなる材料で構成されているともいえる。
【0035】
さらに、本実施形態では、被実装部材10の一面10aおよび凹部11の側面11bに下地部材33が配置され、埋込部材構成部材320は、この下地部材33上に配置されている。このため、溶融埋込部材321を構成した際、溶融埋込部材321は、全体的に下地部材33の金が拡散した状態となり、全体が高融点組成にほぼ同時に変化する。したがって、一部のみが高融点となる状態となり難く、濡れ止まりが発生することを抑制できる。
【0036】
また、本実施形態では、溶融埋込部材321が金スズ系はんだで構成されており、焼結部材31が銀で構成されている。このため、焼結部材31が構成されておらず、溶融埋込部材321が直接固定部21と接触する場合と比較して、溶融埋込部材321と焼結部材31との濡れ性が高いため、濡れ広がらないことによってボイドが生成されることを抑制できる。
【0037】
そして、この加熱処理を行う際には、焼結部材31が酸化することを抑制するため、不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。これにより、焼結部材31が酸化することを抑制できる。
【0038】
その後、図2Eに示されるように、冷却して溶融埋込部材321を固化することにより、焼結部材31と凹部11の側面11bとの間の隙間Sを埋め込むように配置された埋込部材32が構成される。そして、被実装部材10とセンサ素子20とは、焼結部材31、埋込部材32、下地部材33を含む接合部材30で接合される。なお、この埋込部材32は、下地部材33の金が拡散して金とスズの重量組成比が83:17となっているため、融点が400℃程度となる。つまり、図2Aの工程で配置した埋込部材構成部材320よりも融点が高くなっている。
【0039】
以上が本実施形態におけるセンサ装置の製造方法である。そして、本発明者らは、このようなセンサ装置における隙間率について検討したところ、図3に示される結果を得た。なお、図3では、図2Cの工程まで行って製造したセンサ装置を比較例のセンサ装置としている。また、図3は、法線方向に沿った凹部11内の断面であって、固定部21が含まれる部分の断面を電子顕微鏡で観察した結果である。そして、図3では、この断面における凹部11内の面積から固定部21の面積を除いた面積を基準面積とし、基準面積に対する隙間Sの割合を隙間率としている。
【0040】
図3に示されるように、従来のセンサ装置では、隙間率が45%であったが、本実施形態では、隙間率を10%程度にまで低減できることが確認される。また、本発明者らの検討によれば、図2Cの工程を行った際に構成される隙間Sの一面10aの面方向に沿った長さが5~100μm程度である場合、埋込部材構成部材320の厚さ等を適宜調整することにより、埋込部材32で十分に隙間Sを埋め込むことができることを確認している。
【0041】
そして、このようなセンサ装置は、例えば、配線部を有するアルミナ等で構成される箱状のパッケージ内に収容され、センサ素子が配線部とボンディングワイヤ等を介して接合された電子装置として用いられる。この際、例えば、パッケージの内部に脱気材を配置し、パッケージの内部の圧力を10Pa以下になるように真空封止する場合がある。この際、センサ素子20の固定部21と被実装部材10との間に大きな隙間Sが残存していると、隙間Sを起点に非対称な応力が固定部21等に印加され、接合強度がばらついたり、接合強度が低下する可能性がある。しかしながら、本実施形態では、上記のように隙間Sを埋め込むように埋込部材32を配置している。このため、固定部21と被実装部材10との接合強度がばらついたり、接合強度が低下することを抑制できる。
【0042】
また、パッケージ内部を真空封止する際、脱気材を活性化させるため、360~380℃程度の加熱処理を行う場合がある。この場合、本実施形態では、埋込部材32の融点が400℃程度とされている。このため、脱気材を活性化させるための処理を行う際に埋込部材32が溶融することを抑制でき、固定された状態を維持することができる。また、埋込部材32が溶融することを抑制できるため、溶融による液相拡散で過剰な合金層が形成されることを抑制できる。このため、固定部21と被実装部材10との接合強度がばらついたり、低下することをさらに抑制できる。
【0043】
つまり、本実施形態では、埋込部材32は、接合部材30を構成する処理が行われた後の後処理において、溶融することを抑制できる材料で構成されている。そして、本実施形態では、溶融埋込部材321と下地部材33とを反応させることにより、このような埋込部材32を構成している。このため、下地部材33は、溶融埋込部材321と反応することで融点が高くなるように厚さや材料が選択されることが好ましい。
【0044】
以上説明した本実施形態によれば、焼結部材31を形成した際に構成される隙間Sに埋込部材32を配置している。このため、センサ素子20と被実装部材10との接合強度が低下することを抑制できる。
【0045】
また、被実装部材10の一面10a上および凹部11の側面11b上に埋込部材構成部材320が繋がるように配置し、この埋込部材構成部材320を溶融させて、被実装部材10の一面10a上の溶融埋込部材321を隙間Sに引き込んでいる。この際、真空引きする処理は必要なく、表面張力および重力により、隙間Sを埋め込むように被実装部材10の一面10a上の溶融埋込部材321を凹部11内に引き込むことができる。このため、製造工程が複雑になることを抑制できる。
【0046】
さらに、本実施形態では、被実装部材10より溶融埋込部材321との濡れ性が高い下地部材33を介して埋込部材構成部材320を配置している。このため、埋込部材構成部材320を溶融させて溶融埋込部材321を構成した際、隙間Sを埋め込むように被実装部材10の一面10a上の溶融埋込部材321を凹部11内に引き込み易くできる。
【0047】
(1)本実施形態では、下地部材33は、溶融埋込部材321と反応可能であり、溶融埋込部材321を固化した埋込部材32が埋込部材構成部材320よりも融点が高くなる厚さおよび材料で構成されている。このため、接合部材30を構成する処理が行われた後の後処理において、埋込部材32が溶融し難くなり、接合強度がばらついたり、接合強度が低下することを抑制できる。
【0048】
(2)本実施形態では、被実装部材10の一面10a上に配置される下地部材33および埋込部材32は、下地部材33を被覆するように、埋込部材32が配置されている。このため、溶融埋込部材321を構成した際、被実装部材10の一面10a上に配置される溶融埋込部材321のうちの下地部材33から突き出した部分は、濡れ易い下地部材33側(すなわち、凹部11側)に向かい易くなる。したがって、隙間Sを埋め込むように被実装部材10の一面10a上の溶融埋込部材321を凹部11内に引き込み易くできる。
【0049】
(3)本実施形態では、溶融埋込部材321を構成する際には、不活性ガス雰囲気で熱処理を行うことが好ましい。これにより、焼結部材31が酸化することを抑制できる。
【0050】
(4)本実施形態では、被実装部材10の一面10a上に配置される下地部材33および埋込部材32は、法線方向において、凹部11と同心円状となるように配置されている。このため、溶融埋込部材321を構成した際、一面10a上に配置されている溶融埋込部材321が均等に凹部11内に引き込まれ易くなり、部分的に溶融埋込部材321の供給が過多となることを抑制できる。
【0051】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、被実装部材10の一面10aに濡れ性低下部材を追加したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0052】
本実施形態のセンサ装置の製造方法では、図4に示されるように、図2Aの工程にて被実装部材10を用意する際、一面10a側に、被実装部材10よりも溶融埋込部材321との濡れ性が低い濡れ性低下部材40が形成された被実装部材10を用意する。なお、濡れ性低下部材40は、例えば、酸化物、窒化物、酸化窒化物、およびフッ素系樹脂物の少なくとも1つを主成分とする材料で構成される。
【0053】
そして、この被実装部材10に下地部材33および埋込部材32を配置し、上記図2B以降の工程を行う。なお、本実施形態では、被実装部材10の一面10a側に配置される下地部材33は、濡れ性低下部材40上に配置される。
【0054】
そして、図2Dの工程を行う際には、被実装部材10より濡れ性の低い濡れ性低下部材40が形成されているため、被実装部材10の一面10a上の溶融埋込部材321は、さらに凹部11内に引き込まれ易くなる。すなわち、埋込部材構成部材320から溶融埋込部材321を構成した際、被実装部材10の一面10a側では、濡れ性低下部材40により、濡れ性低下部材40が形成されていない場合と比較して、溶融埋込部材321の接触角が大きくなる。つまり、溶融埋込部材321を構成した際、被実装部材10の一面10a上では、溶融埋込部材321が濡れ広がり難くなる。このため、被実装部材10の一面10a上の溶融埋込部材321は、さらに凹部11の側面11b上に配置されている溶融埋込部材321によって凹部11内に引き込まれ易くなる。
【0055】
以上説明した本実施形態によれば、焼結部材31を構成した際に形成される隙間Sに埋込部材32を配置しているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
(1)本実施形態では、被実装部材10の一面10aに濡れ性低下部材40を配置している。このため、埋込部材構成部材320から溶融埋込部材321を構成した際、被実装部材10の一面10a上の溶融埋込部材321を凹部11内にさらに引き込み易くできる。
【0057】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、被実装部材10の側面11bおよび底面11aに拡散防止部材を追加したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0058】
本実施形態のセンサ装置の製造方法では、図5に示されるように、図2Aの工程にて被実装部材10を用意する際、側面11bおよび底面11aに、被実装部材10よりも溶融埋込部材321が拡散し難い拡散防止部材50が配置された被実装部材10を用意する。なお、拡散防止部材50は、例えば、クロム、チタンナイトライド、窒化チタン等で構成される。
【0059】
そして、この被実装部材10に下地部材33および埋込部材32を配置し、上記図2B以降の工程を行う。なお、本実施形態では、凹部11の側面11bおよび底面11a上に配置される下地部材33は、拡散防止部材50上に配置される。
【0060】
そして、図2Dの工程を行う際には、拡散防止部材50が配置されているため、溶融埋込部材321を構成した際、溶融埋込部材321が被実装部材10に拡散することを抑制できる。したがって、溶融埋込部材321と被実装部材10との合金化による脆化層が形成されたり、図2Eの工程における最終的な埋込部材32の組成が変化することを抑制できる。
【0061】
以上説明した本実施形態によれば、焼結部材31を構成した際に形成される隙間Sに埋込部材32を配置しているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
(1)本実施形態では、凹部11の側面11bおよび底面11aに拡散防止部材50を配置し、拡散防止部材50上に下地部材33を配置している。このため、埋込部材構成部材320から溶融埋込部材321を構成した際、溶融埋込部材321が被実装部材10に拡散することを抑制できる。したがって、溶融埋込部材321と被実装部材10との合金化による脆化層が形成されたり、最終的な埋込部材32の組成が変化することを抑制できる。
【0063】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、凹部11の底面11aに貫通孔を形成したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0064】
本実施形態のセンサ装置の製造方法では、図6および図7に示されるように、図2Aの工程にて被実装部材10を用意する際、底面11aに、凹部11内の空間と外部空間とを連通する貫通孔12が形成された被実装部材10を用意する。より詳しくは、図2Cの工程にて焼結部材31を構成した際、隙間Sと外部空間とを連通する貫通孔12が形成された被実装部材10を用意する。本実施形態では、貫通孔12は、凹部11の底面11aと他面10bとを貫通するように形成され、凹部11の底面11aを中心として周方向に均等に離れた状態で3個形成される。なお、図6は、図7中のIV-IV線に沿った断面図である。
【0065】
そして、この被実装部材10に下地部材33および埋込部材32を配置し、上記図2B以降の工程を行う。なお、貫通孔12は、下地部材33を配置した際に貫通孔12が下地部材33で埋め込まれない大きさとされる。また、貫通孔12の形状や数は適宜変更可能である。
【0066】
そして、図2Dの工程を行う際には、貫通孔12が形成されているため、隙間Sを埋込むように溶融埋込部材321が凹部11内に引き込まれる際、隙間Sの空気が貫通孔12から排出される。このため、埋込部材32の内部にボイドが生成されることを抑制できる。
【0067】
以上説明した本実施形態によれば、焼結部材31を構成した際に形成される隙間Sに埋込部材32を配置しているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0068】
(1)本実施形態では、凹部11の底面11aに貫通孔12が形成された状態で、隙間Sを埋め込むように溶融埋込部材321が凹部11内に引き込まれる。このため、溶融埋込部材321が凹部11内に引き込まれる際、隙間Sの空気が貫通孔12から排出される。したがって、埋込部材32の内部にボイドが生成されることを抑制でき、接合強度がばらついたり、接合強度が低下することを抑制できる。
【0069】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、焼結部材31を構成した際の隙間Sの形状を調整したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0070】
本実施形態のセンサ装置の製造方法では、図8Aに示されるように、図2Aの工程にて被実装部材10を用意する際、側面11bと一面10aとの成す角度θが鈍角とされた凹部11が形成された被実装部材10を用意する。言い換えると、開口部側から底面11a側に向かって先細り形状となる凹部11が形成された被実装部材10を用意する。
【0071】
そして、この被実装部材10に下地部材33および埋込部材32を配置し、上記図2B以降の工程を行う。
【0072】
図2Cの工程を行って焼結部材31を構成する際には、焼結用材料310の体積が多い部分ほど収縮量が大きくなるため、焼結部材31は、凹部11の開口部側ほど収縮量が大きくなる。このため、図2Cの工程が終了した後では、図8Bに示されるように、焼結部材31と埋込部材構成部材320(すなわち、凹部11の側面11b)との間の隙間Sは、凹部11の開口部側の方が凹部11の底面11a側より広くなる。つまり、被実装部材10を用意する際には、焼結部材31を構成した際、焼結部材31と埋込部材構成部材320との間の隙間Sが、凹部11の開口部側から凹部11の底面11a側に向かって細くなる被実装部材10を用意するともいえる。
【0073】
その後、図2Dの工程を行い、一面10a上に配置されている溶融埋込部材321を隙間Sが埋め込まれるように凹部11内へ引き込む。この際、一面10a上に配置されている溶融埋込部材321は、毛細管現象により、流路(すなわち、隙間S)が細いほど流れ込み易くなる。このため、隙間Sが凹部11の開口部側から凹部11の底面11a側に向かって細くなるようにすることにより、溶融埋込部材321が凹部11の底面11a側まで引き込まれ易くなる。
【0074】
以上説明した本実施形態によれば、焼結部材31を構成した際に形成される隙間Sに埋込部材32を配置しているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
(1)本実施形態では、焼結部材31を構成して隙間Sが構成される際、隙間Sが凹部11の開口部側から底面11a側に向かって細くなるようにしている。このため、溶融埋込部材321が隙間Sに引き込まれる際、毛細管現象により、溶融埋込部材321が凹部11の底面11a側まで引きまれ易くなる。したがって、凹部11の底面11a側に溶融埋込部材321が引き込まれないことでボイドが生成されることを抑制でき、さらに接合強度がばらついたり、低下することを抑制できる。
【0076】
(他の実施形態)
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0077】
例えば、上記各実施形態において、凹部11は、開口部が略矩形状とされていてもよいし、固定部21は、角柱状とされていてもよい。そして、上記各実施形態において、センサ素子20の構成は適宜変更可能であり、加速度センサや圧力センサ等であってもよい。
【0078】
また、上記各実施形態において、焼結用材料310は、銀ペーストではなく、銅粒子や金粒子が有機溶媒に混入されたものであってもよい。この場合、焼結部材31は、銅や金で構成されるが、これらの材料も溶融埋込部材321との濡れ性が固定部21よりも高い材料である。
【0079】
そして、上記各実施形態において、埋込部材構成部材320は、金とスズとの重量組成比が80:20でなくてもよく、重量組成比は適宜変更可能である。また、上記各実施形態において、埋込部材構成部材320は、金スズ系はんだではなく、鉛スズ系はんだや銀スズ系はんだ等で構成されていてもよい。
【0080】
さらに、上記各実施形態において、下地部材33は、凹部11の底面11aに配置されていなくてもよい。そして、下地部材33は、金ではなく、スズ等で構成されていてもよい。また、下地部材33は、溶融埋込部材321と反応することで融点を上昇させることが期待されるニッケル等の遷移金属で構成されていてもよい。さらに、下地部材33は、溶融埋込部材321と反応し難い材料で構成されていてもよい。
【0081】
さらに、上記第5実施形態において、焼結部材31を構成した際に隙間Sが凹部11の開口部側から底面11a側に向かって細くなるのであれば、詳細な構成は適宜変更可能である。例えば、被実装部材10を用意する際、凹部11の側面11bと一面10aとの成す角度θを直角としつつ、埋込部材構成部材320の厚みが凹部11の開口部側より底面11a側の方が厚くなるようにすることにより、隙間Sが凹部11の開口部側から底面11a側に向かって細くなるようにしてもよい。
【0082】
そして、上記各実施形態を適宜組み合わせてもよい。例えば、上記第2実施形態を上記第3~第5実施形態に組み合わせ、濡れ性低下部材40を配置するようにしてもよい。上記第3実施形態を上記第4、第5実施形態に組み合わせ、拡散防止部材50を配置するようにしてもよい。上記第4実施形態を上記第5実施形態に組み合わせ、凹部11の底面11aに貫通孔12を形成するようにしてもよい。そして、上記各実施形態を組み合わせたもの同士をさらに組み合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 被実装部材
10a 一面
10b 他面
11 凹部
11b 側面
20 センサ素子
21 固定部
31 焼結部材
32 埋込部材
33 下地部材
320 埋込部材構成部材
321 溶融埋込部材
S 隙間
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B