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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030346
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】防音室
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20250228BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
E04H1/12 302C
E04B1/94 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135561
(22)【出願日】2023-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】523147163
【氏名又は名称】株式会社アンビックス
(74)【代理人】
【識別番号】100143085
【弁理士】
【氏名又は名称】藤飯 章弘
(72)【発明者】
【氏名】牧野 超
(72)【発明者】
【氏名】森下 陽介
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001FA03
2E001FA11
2E001GA24
2E001HC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】個人で組み立てや解体が可能な防音室を提供する。
【解決手段】組み立て解体可能な防音室1であって、床に載置される床パネル2と、前記床パネル2上に立設される複数の壁パネル3と、前記床パネル2上に立設し、複数の壁パネル3とともに室内空間を形成する扉付きパネル4と、前記床パネル2と前記壁パネル3との間、及び、前記床パネル2と前記扉付きパネル4との間を連結する連結具と、隣り合う前記扉付きパネル4と前記壁パネル3との間、及び、隣り合う前記壁パネル3同士の間を連結する角アングル7と、前記扉付きパネル4と複数の前記壁パネル3の上端部に載置され、前記室内空間を塞ぐ天井パネル5とを備え、前記扉付きパネル4は開閉可能に取り付けられる扉部45を有し、前記床パネル2、前記壁パネル3、前記扉付きパネル4及び前記天井パネル5のそれぞれは、段ボール製であり、少なくとも一方の表面に難燃性層が積層されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み立て解体可能な防音室であって、
床に載置される床パネルと、
前記床パネル上に立設される複数の壁パネルと、
前記床パネル上に立設し、複数の壁パネルとともに室内空間を形成する扉付きパネルと、
前記扉付きパネルと複数の前記壁パネルの上端部に載置され、前記室内空間を塞ぐ天井パネルとを備え、
前記扉付きパネルは開閉可能に取り付けられる扉部を有し、
前記床パネル、前記壁パネル、前記扉付きパネル及び前記天井パネルのそれぞれは、段ボール製であり、少なくとも一方の表面に難燃性層が積層されていることを特徴とする防音室。
【請求項2】
前記難燃性層は、一方面に粘着層を有する難燃性シートであることを特徴とする請求項1に記載の防音室。
【請求項3】
前記難燃性シートは、他方面に印刷層を有する難燃性壁紙であることを特徴とする請求項3に記載の防音室。
【請求項4】
前記床パネル、前記壁パネル、前記扉付きパネル及び前記天井パネルのそれぞれは、段ボール板を複数積層して形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の防音室。
【請求項5】
段ボール板を複数積層して形成される前記床パネル、前記壁パネル、前記扉付きパネル及び前記天井パネルのそれぞれは、一方面に粘着層を有する難燃性シートが外周に巻回配置されることにより、複数の段ボール板の積層体が一体化されていることを特徴とする請求項4に記載の防音室。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音室に関する。特に段ボール製の防音室に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内や住宅内に設置され、楽器演奏の練習などに利用される組み立て式の防音室が知られている。この防音室としては、例えば、床面に対して立設し、相互に接合される複数の壁パネル(遮音パネル)と、これらの遮音パネルの上端に架け渡される天井パネルと、遮音パネルで仕切られた内部空間内の床面に敷かれる床パネルとによって形成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-93292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の防音室の遮音パネルは、遮音ボードとして、その面方向に直交する方向への撓みを生じないような十分な板厚および強度を有する材料を使用している。その結果、一対の遮音ボードの重量が大きいものとなり、防音室の施工において、遮音パネルを床面から立ち上がる状態で保持しつつ、他の遮音パネルと連結させることは容易ではなく、危険を伴うおそれがある。従って、防音室の組み立て施工は業者が必要となり、個人で組み立てを行うことが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は上記の問題を解決すべく、個人で組み立てや解体が可能な防音室を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、組み立て解体可能な防音室であって、床に載置される床パネルと、前記床パネル上に立設される複数の壁パネルと、前記床パネル上に立設し、複数の壁パネルとともに室内空間を形成する扉付きパネルと、前記床パネルと前記壁パネルとの間、及び、前記床パネルと前記扉付きパネルとの間を連結する床フレーム体と、隣り合う前記扉付きパネルと前記壁パネルとの間、及び、隣り合う前記壁パネル同士の間を連結する壁連結部と、前記扉付きパネルと複数の前記壁パネルの上端部に載置され、前記室内空間を塞ぐ天井パネルとを備え、 前記扉付きパネルは開閉可能に取り付けられる扉部を有し、前記床パネル、前記壁パネル、前記扉付きパネル及び前記天井パネルのそれぞれは、段ボール製であり、少なくとも一方の表面に難燃性層が積層されていることを特徴とする防音室。により達成される。
【0007】
この防音室において、前記難燃性層は、一方面に粘着層を有する難燃性シートであることが好ましい。
【0008】
また、前記難燃性シートは、他方面に印刷層を有する難燃性壁紙であることが好ましい。
【0009】
また、前記床パネル、前記壁パネル、前記扉付きパネル及び前記天井パネルのそれぞれは、段ボール板を複数積層して形成されることが好ましい。
【0010】
また、段ボール板を複数積層して形成される前記床パネル、前記壁パネル、前記扉付きパネル及び前記天井パネルのそれぞれは、一方面に粘着層を有する難燃性シートが外周に巻回配置されることにより、複数の段ボール板の積層体が一体化されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、個人で組み立てや解体が可能な防音室を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る防音室の概略構成斜視図である。
図2】(a)~(c)共に、本発明に係る防音室の組み立て方を説明するための説明図である。
図3】(a)~(c)共に、本発明に係る防音室の組み立て方を説明するための説明図である。
図4】(a)及び(b)共に、本発明に係る防音室の組み立て方を説明するための説明図である。
図5】(a)及び(b)共に、本発明に係る防音室の組み立て方を説明するための説明図である。
図6】(a)及び(b)共に、本発明に係る防音室の組み立て方を説明するための説明図である。
図7】(a)は、本発明に係る防音室が備える各パネルに関する概略構成断面図であり、(b)は、その変形例に係る概略構成断面図である。
図8】本発明に係る防音室が備える各パネルの変形例に係る概略構成断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る防音室1について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る防音室の概略構成斜視図である。本発明に係る防音室1は、組み立てや解体が可能な防音室1であって、床に載置される床パネル2と、床パネル2上に立設される複数の壁パネル3と、床パネル2上に立設し、複数の壁パネル3とともに室内空間を形成する扉付きパネル4と、扉付きパネル4と複数の壁パネル3の上端部に載置され、室内空間を塞ぐ、天井パネル5に設置されるファンユニット6とを備えて構成されている。ここで、各パネルは、平面視矩形状、或いは、平面視正方形状に形成されることが好ましい。また、扉付きパネル4は開閉可能に取り付けられる扉部45を備えている。
【0014】
各パネルは連結具10~12によって互いに接続されて構成されている。具体的には、図2(a)~(c)に示すように、床パネル2の各側縁に連結具10を挿入設置し、図3(a)~(c)に示すように、当該連結具10に、壁パネル3及び扉付きパネル4の下端縁を挿入して立設するように取り付ける。ここで、本実施形態に係る防音室1が備える壁パネル3及び扉付きパネル4は、上下方向に分割可能に構成されているため、図3(a)~(c)においては、壁パネル3の下部パネル31及び扉付きパネル4の下部パネル41を連結具10に立設するようにして組付けられる。
【0015】
壁パネル3の下部パネル31及び扉付きパネル4の下部パネル41の上端部には、図4(a)(b)に示すように、連結具11が挿入されて接続され、当該連結具11上に、壁パネル3の上部パネル32及び扉付きパネル4の上部パネル42の下端部を差し込んで連結具11に立設するようにして組付けられている。
【0016】
壁パネル3の上部パネル32及び扉付きパネル4の上部パネル42の上端部には、図5(a)(b)に示すように、連結具12が挿入接続され、当該連結具12上に、天井パネル5を載置して取り付けられる。天井パネル5には、図6(a)に示すようにファンユニット6が取り付けられ、床パネル2、複数の壁パネル3、扉付きパネル4及び天井パネル5によって画定される室内空間内の空気を換気できるように構成されている。また、図6(b)に示すように、防音室1の強度確保のため、各角部には、角アングル7が設置されている。
【0017】
ここで、各パネルを連結する連結具10~12は、合成樹脂材料から構成することが好ましく、また、各パネルを互いに連結できる構成であれば、その形状や種類は特に限定されないが、各パネルの側縁部を挿入することにより互いに連結できるような構成として形成することが、組み立て分解を実施しやすく好ましい。
【0018】
また、本発明に係る防音室1が備える床パネル2、壁パネル3、扉付きパネル4及び天井パネル5のそれぞれは、段ボール製であり、図7(a)の概略構成断面図に示すように、その両面に難燃性層8が積層されている。難燃性層8としては、一方面に粘着層を有する難燃性シートにより構成することが好ましいが、フッ素樹脂を塗布することによって難燃性層8を形成することもできる。一方面に粘着層を有する難燃性シートを難燃性層8として構成する場合、各パネル表面に粘着層を介して難燃性シートを貼着する。また、難燃性シートは、一方面に粘着層を有するとともに、他方面に印刷層を有する難燃性壁紙を好ましく使用することができる。ここで、印刷層は、活版印刷、フレキソ印刷やデジタル印刷等の種々の印刷技術により形成することができる。また、印刷層に形成される図柄や模様、色彩は特に限定されず、写真画像であってもよい。
【0019】
また、床パネル2、壁パネル3、扉付きパネル4及び天井パネル5のそれぞれは、段ボール板Zを複数積層して形成されることが好ましい。このように、各パネルの構造として、段ボール板Zを複数積層して構成する場合、段ボール板Zを複数積層して形成される床パネル2、壁パネル3、扉付きパネル4及び天井パネル5のそれぞれは、図7(b)の概略構成断面図に示すように、一方面に粘着層を有する難燃性シート(難燃性壁紙)が外周の全周に巻回配置されることにより、複数の段ボール板Zの積層体が一体化されるように構成することが好ましい。なお、難燃性シートの一方面に形成される粘着層が、複数の段ボール板Zの積層体の外周に貼着していることは言うまでもない。
【0020】
このような構成の防音室1は、床パネル2、壁パネル3、扉付きパネル4及び天井パネル5が全てダンボール製として形成されているため、各パネルの重量が小さく、個人で組み立てを行うことが可能となる。また、各パネルは、連結具10~12に差し込むことにより互いに連結できるように構成されているため、防音室1の組み立て作業を容易に行うことが可能となる。更に、連結具10~12から各パネルを引き抜くことにより容易に防音室1の解体を行うことができる。
【0021】
また、本発明に係る防音室1は、床パネル2、壁パネル3、扉付きパネル4及び天井パネル5の各パネルが、難燃性層8が積層されるように構成されるため、防炎性能が付加され、より高い実用性が付与されることになる。また、一方面に粘着層を有する難燃性シートにより難燃性層8を構成することにより、難燃性層8を各パネル表面に配置することが極めて容易になり、各パネルを製造する際の作業性を向上させることができる。
【0022】
また、他方面に印刷層を有する難燃性壁紙により難燃性シートを構成することにより、床パネル2、壁パネル3、扉付きパネル4及び天井パネル5の質感や高級感等を高めて意匠性を向上させることができ、また、使用者の好みに応じた外観として防音室1を構成することができる。
【0023】
また、床パネル2、壁パネル3、扉付きパネル4及び天井パネル5のそれぞれは、段ボール板Zを複数積層して形成される積層パネルとして構成されているため、防音効果を高めることが可能となる。また、段ボール板Zを複数積層して形成される床パネル2、壁パネル3、扉付きパネル4及び天井パネル5のそれぞれは、一方面に粘着層を有する難燃性シートが外周の全周に巻回配置されることにより、複数の段ボール板Zの積層体が一体化されるように構成することにより、各パネルを製造する際の作業性をより一層向上させることができる。
【0024】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態において、壁パネル3、扉付きパネル4及び天井パネル5の各パネルの両面に難燃性層8が積層されるように構成されているが、表面又は裏面のいずれか一方面に難燃性層8が積層されるように構成してよい。
【0025】
また、床パネル2、壁パネル3、扉付きパネル4及び天井パネル5の各パネルの構造として、段ボール板Zを複数積層して構成する場合、段ボール板Zを複数積層して形成される積層体の外周全周に、一方面に粘着層を有する難燃性シート(難燃性壁紙)を巻回配置されるように構成することが好ましい旨説明したが、積層される各段ボール板Z同士を接着剤を用いて互いに接続固定するように構成してもよく、或いは、積層される段ボール板Z同士間に接着剤層を介在させずに構成してもよい。ここで、積層される段ボール板Z同士間に接着剤層を介在させずに単に各段ボール板Zを重ね合わせて積層体を構成し、この積層体の外周全周に、一方面に粘着層を有する難燃性シート(難燃性壁紙)を巻回配置し、積層体を一体化する場合には、接着剤層により各段ボール板Z同士を接着する工程を省略することができるため、各パネルを製造する際の作業性を向上させることができる。
【0026】
また、床パネル2、壁パネル3、扉付きパネル4及び天井パネル5の各パネルの構造として、段ボール板Zを複数積層して構成する場合、段ボール板Zを複数積層して形成される積層体の外周全周に、一方面に粘着層を有する難燃性シート(難燃性壁紙)を巻回配置されるように構成することが好ましい旨説明したが、例えば、図8の概略構成断面図に示すように、積層体の一方面の全域、積層体の互いに対向する一対の側面部、及び、積層体の他方面側の一部領域を被覆するように、一方面に粘着層を有する難燃性シート(難燃性壁紙)を積層して、積層体を一体化するように構成してもよい。このような構成であっても、防音室1に防炎性能を付加しつつ、意匠性を向上させることができ、また、各パネルを製造する際の作業性を向上させることができる。
【0027】
また、上記実施形態においては、ファンユニット6や角アングルを備える構成について説明しているが、ファンユニット6や角アングルを省略して防音室1を構成してもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 防音室
2 床パネル
3 壁パネル
31 壁パネルの下部パネル
32 壁パネルの上部パネル
4 扉付きパネル
41 扉付きパネルの下部パネル
42 扉付きパネルの上部パネル
45 扉部
5 天井パネル
6 ファンユニット
7 角アングル
8 難燃性層
10~12 連結具
Z 段ボール板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8