(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003054
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】樹脂障子および樹脂框材
(51)【国際特許分類】
E06B 3/20 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
E06B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103513
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】桐野 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】江口 武久
(72)【発明者】
【氏名】車谷 安奈
(72)【発明者】
【氏名】高田 遼
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014AA03
2E014BA08
2E014BB00
(57)【要約】
【課題】リサイクル樹脂材料を用いてコストダウンを図りつつ外観意匠を向上し得る樹脂障子および樹脂框材を提供すること。
【解決手段】樹脂障子3は、樹脂枠体2内に開閉可能に配置されるものであって、面材30と、面材30の縁部に沿って配置される樹脂框材40とを備え、樹脂框材40は、室外見付け面部46と、室内見付け面部47と、Z軸方向において室外見付け面部46および室内見付け面部47の間に配置される内周側見込み面部48と、室外見付け面部46および室内見付け面部47の間の位置であって内周側見込み面部48に対して外周側の位置に配置される外周側見込み面部49とを有する。内周側見込み面部48のうち、少なくとも面材30の縁部に対して面内方向に対向する部分はリサイクル樹脂材料で構成され、外周側見込み面部49のうち、少なくとも外部に露呈する露呈部分は未使用樹脂材料で構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体内に開閉可能に配置される樹脂障子であって、
面材と、前記面材の縁部に沿って配置される樹脂框材とを備え、
前記樹脂框材は、室外見付け面部と、室内見付け面部と、見込み方向において前記室外見付け面部および前記室内見付け面部の間に配置される内周側見込み面部と、前記室外見付け面部および前記室内見付け面部の間の位置であって前記内周側見込み面部に対して外周側の位置に配置される外周側見込み面部とを有し、
前記内周側見込み面部のうち、少なくとも前記面材の縁部に対して面内方向に対向する部分はリサイクル樹脂材料で構成され、
前記外周側見込み面部のうち、少なくとも外部に露呈する露呈部分は未使用樹脂材料で構成される
ことを特徴とする樹脂障子。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂障子において、
前記樹脂框材の外部に露出する部分の全ては未使用樹脂材料で構成される
ことを特徴とする樹脂障子。
【請求項3】
請求項1に記載の樹脂障子において、
前記面材は、少なくとも二枚のパネル板の縁部の間にスペーサーを介在して構成され、
前記内周側見込み面部は、内周側に延出し且つ前記面材に対して見込み方向に対向する受け部を有し、
前記受け部は、前記スペーサーよりも内周側に突出しない範囲内に、リサイクル樹脂材料で形成される部分を有する
ことを特徴とする樹脂障子。
【請求項4】
請求項3に記載の樹脂障子において、
前記受け部は、未使用樹脂材料で構成される部分を有し、当該未使用樹脂材料で構成される部分で前記面材と接着される
ことを特徴とする樹脂障子。
【請求項5】
請求項1に記載の樹脂障子において、
前記室外見付け面部には、その本体層を室外側から覆う表面層が設けられる
ことを特徴とする樹脂障子。
【請求項6】
請求項1に記載の樹脂障子において、
前記室内見付け面部は、未使用樹脂材料で形成される
ことを特徴とする樹脂障子。
【請求項7】
請求項1に記載の樹脂障子において、
前記室外見付け面部および前記室内見付け面部のうち少なくとも一方は、未使用樹脂材料で構成され、または、リサイクル樹脂材料で形成される本体層および当該本体層の表面を覆う表面層とで構成される
ことを特徴とする樹脂障子。
【請求項8】
請求項1に記載の樹脂障子において、
前記内周側見込み面部は、前記面材の縁部に対して面内方向に対向する部分と前記外周側見込み面部とに接続され且つ当該部分と前記外周側見込み面部との間に中空部を形成する仕切り片部を有し、
前記仕切り片部は、リサイクル樹脂材料で構成される
ことを特徴とする樹脂障子。
【請求項9】
面材の縁部に沿って配置される樹脂框材であって、
室外見付け面部と、室内見付け面部と、見込み方向において前記室外見付け面部および前記室内見付け面部の間に配置される内周側見込み面部と、前記室外見付け面部および前記室内見付け面部の間の位置であって前記内周側見込み面部に対して外周側の位置に配置される外周側見込み面部とを有し、
前記内周側見込み面部のうち、少なくとも前記面材の縁部に対して面内方向に対向可能な部分はリサイクル樹脂材料で構成され、
前記外周側見込み面部のうち、少なくとも外部に露呈する露呈部分は未使用樹脂材料で構成される
ことを特徴とする樹脂框材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル樹脂材料を含む樹脂窓などの建具における樹脂障子および樹脂框材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂サッシに用いられる樹脂建材として、リサイクル樹脂材料からなる基材に未使用樹脂材料からなる表面層を形成してなる樹脂枠材や樹脂框材が知られており、リサイクル樹脂材料を基材に用いることでコストダウンを図ることが知られている(特許文献1参照)。樹脂框材では、その室内側面(室内見付け面)や室外側面(室外見付け面)に未使用樹脂材料からなる表面層が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の樹脂框材においては、例えば、戸先框などの樹脂框材に外周側溝部、すなわち、樹脂枠材と対向する外周側見込み面を構成する部分に表面材は設けられていない。ここで、リサイクル樹脂材料で構成される部分は、意図せずに未使用樹脂材料で構成される部分とは異なる色合いとなることが多いので外部に露呈させたくない部分であるが、特許文献1に記載の樹脂框材では、樹脂サッシの開口開放時などにはリサイクル樹脂材料で構成される当該外周側見込み面部が外部に露呈してしまい、外観意匠が低下する虞がある。
【0005】
本発明の目的は、リサイクル樹脂材料を用いてコストダウンを図りつつ外観意匠を向上し得る樹脂障子および樹脂框材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の樹脂障子は、枠体内に開閉可能に配置される樹脂障子であって、面材と、前記面材の縁部に沿って配置される樹脂框材とを備え、前記樹脂框材は、室外見付け面部と、室内見付け面部と、見込み方向において前記室外見付け面部および前記室内見付け面部の間に配置される内周側見込み面部と、前記室外見付け面部および前記室内見付け面部の間の位置であって前記内周側見込み面部に対して外周側の位置に配置される外周側見込み面部とを有し、前記内周側見込み面部のうち、少なくとも前記面材の縁部に対して面内方向に対向する部分はリサイクル樹脂材料で構成され、前記外周側見込み面部のうち、少なくとも外部に露呈する露呈部分は未使用樹脂材料で構成されることを特徴とする。
本発明の樹脂框材は、面材の縁部に沿って配置される樹脂框材であって、室外見付け面部と、室内見付け面部と、見込み方向において前記室外見付け面部および前記室内見付け面部の間に配置される内周側見込み面部と、前記室外見付け面部および前記室内見付け面部の間の位置であって前記内周側見込み面部に対して外周側の位置に配置される外周側見込み面部とを有し、前記内周側見込み面部のうち、少なくとも前記面材の縁部に対して面内方向に対向可能な部分はリサイクル樹脂材料で構成され、前記外周側見込み面部のうち、少なくとも外部に露呈する露呈部分は未使用樹脂材料で構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リサイクル樹脂材料を用いてコストダウンを図りつつ外観意匠を向上し得る樹脂障子および樹脂框材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る樹脂障子を備える縦すべり出し窓を示す縦断面図。
【
図3】
図1に示す縦すべり出し窓の要部を示す拡大縦断面図。
【
図4】前記実施形態に係る樹脂障子における樹脂框材の第1変形例を示す拡大縦断面図。
【
図5】前記実施形態に係る樹脂障子における樹脂框材の第2変形例を示す拡大縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および
図2において、本実施形態に係る樹脂障子を備える建具としての縦すべり出し窓1は、建物躯体の開口部に設置される枠体としての樹脂枠体2と、樹脂枠体2内において面外方向に開閉可能に配置される樹脂障子3とを備えており、樹脂障子3に設けられたハンドル91の操作によって樹脂枠体2および樹脂障子3に構成されたラッチ機構90を作動させて開口開放可能状態とし、また開口閉鎖維持状態とする。
以下の説明において、縦すべり出し窓1の左右方向をX軸方向とし、縦すべり出し窓1の上下方向をY軸方向とし、縦すべり出し窓1の見込み方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。X,Y軸方向は縦すべり出し窓1の面内方向に沿っており、Z軸方向は縦すべり出し窓1の面外方向に沿っている。
【0010】
樹脂枠体2は、枠材である上枠21、下枠22および左右の縦枠23を枠組みして構成されている。上枠21、下枠22および左右の縦枠23は、合成樹脂製の共通の押出形材で中空枠状にそれぞれ形成されており、それぞれの室外部分、室内部分に表面層が設けられており、本実施形態では、室外部分にはアクリル積層8が表面層として設けられ、室内部分にはPVC(ポリ塩化ビニル)積層8Bが表面層として設けられている。上枠21、下枠22および左右の縦枠23の本体部分は未使用樹脂材料で構成されているが、外部に露出しない部分はリサイクル樹脂材料で構成してもよい。
【0011】
樹脂障子3は、
図3に示すように、矩形板状の面材30と、面材30の縁部301に沿って配置される樹脂框材40で構成される框体35とを備えており、面材30は框体35に収められている。
面材30は、本実施形態では
図1および
図2に示すように、三枚のガラスパネル等のパネル板31の縁部の間にスペーサー32を介在して構成されており、これにより、三枚のパネル板31の間には中空層が形成されている。このように面材30は、本実施形態では合わせガラスとして構成されている。
框体35は、樹脂框材40を四周に組んで構成されている。各樹脂框材40は、上框41、下框42、左右の縦框43として構成されている。本実施形態では
図2において右側に示す縦框43が戸先側縦框であり、左側に示す縦框43が吊元側縦框である。上框41、下框42、左右の縦框43は、合成樹脂製の共通の押出形材で中空枠状にそれぞれ形成されており、その室外側部分に表面層としてのアクリル積層8が設けられている。
【0012】
以下、樹脂框材40の説明として下框42を説明する。なお、上框41および左右の縦框43各構成については下框42の各構成と適宜同符号を付してこれらの説明を省略する。
下框42は、
図3に示すように、室外見付け面部46と、室内見付け面部47と、Z軸方向において室外見付け面部46および室内見付け面部47の間に配置される内周側見込み面部48と、室外見付け面部46および室内見付け面部47の間の位置であって内周側見込み面部48に対して外周側の位置に配置される外周側見込み面部49とを一体に有していると共に、室外見付け面部46および内周側見込み面部48が連続する部分に形成された押縁係合部50に係合する押縁51を備えている。押縁51は、未使用樹脂材料で構成される押縁基材52と、押縁基材52の室外側の表面を覆う表面層としてのアクリル積層8とを有している。押縁基材52の基端には押縁係合部50に係合される被係合部54が形成されており、押縁基材52の先端には面材30の室外面30Aに当接するビード材55が設けられている。
【0013】
室外見付け面部46および室内見付け面部47は、本実施形態では未使用樹脂材料で形成されており、縦すべり出し窓1の面内方向に沿っている。室外見付け面部46には、未使用樹脂材料で形成される本体層461の外面(表面)を室外側から覆う表面層としてのアクリル積層8が設けられている。室内見付け面部47には、下枠22に当接するタイト材61が設けられている。
【0014】
内周側見込み面部48は、その室外端部で室外見付け面部46に連続しており、その室内端部で室内見付け面部47に連続している。また、内周側見込み面部48は、面材30の室内面30Bを受ける段形状の受け部481を有しており、受け部481は、内周側見込み面部48のうち後述する面材保持溝401を構成する部分から内周側に延出し且つ面材30の室内面30Bに対してZ軸方向に対向する構成とされている。
この外周側見込み面部49のうち面材30の縁部301に対して対向する部分と、受け部481のうち面材30のスペーサー32よりも内周側に突出しない範囲内の部分とはリサイクル樹脂材料で形成されており、そのほかの部分は未使用樹脂材料で形成されている。内周側見込み面部48において未使用樹脂材料で形成される部分は、受け部481のうち面材30の室内面30Bに接着される部分と当該部分よりも内周側の部分である。なお、後述する仕切り片部483もリサイクル樹脂材料で形成されている。このようにリサイクル樹脂材料で形成された部分は、樹脂障子3において外部に露出しない部分となるので、リサイクル樹脂材料が外部に露出して外観を損なうおそれがない。
【0015】
外周側見込み面部49は、その室外端部で室外見付け面部46に連続しており、その室内端部で室内見付け面部47に連続している。また、外周側見込み面部49は、室外見付け面部46に連続する室外部491と、室外部491から内周側に延出した延出部492と、延出部492から室内側に向けて延びた室内部493とを有している。延出部492の外周端部には、下枠22に当接するタイト材62が設けられている。室外部491は、室外見付け面部46から連続するアクリル積層8によって外面が覆われており、延出部492および室内部493の外面は外部に露出している。ここで、延出部492および室内部493は、樹脂障子3が開口閉鎖位置にある状態では下枠22に対してZ軸方向に対向して配置されるので、延出部492および室内部493が外部に露呈せずに縦すべり出し窓1の外観意匠に影響を与えることはないが、樹脂障子3が開口開放位置にある状態では下枠22に対して面外方向に移動した位置に配置されることとなるので、延出部492や室内部493が外部に露呈し、縦すべり出し窓1の外観意匠に影響を与えるおそれがある。このため、延出部492および室内部493は、外部に露呈しても外観意匠が低下しないようにリサイクル樹脂材料ではなく未使用樹脂材料で形成している。すなわち、外周側見込み面部49は、少なくとも外部に露呈する露呈部分が未使用樹脂材料で構成されている。
【0016】
この下框42では、押縁51および受け部481と、内周側見込み面部48のうち押縁51および受け部481の間に位置する部分とで面材30の縁部301を保持する面材保持溝401を形成しており、下框42の基材のうち外部に露出する部分の全てが未使用樹脂材料で構成されている。また、下框42は、内周側見込み面部48のうちリサイクル樹脂材料で形成される部分と外周側見込み面部49とに連続した複数の仕切り片部483を有しており、仕切り片部483は、前述したようにリサイクル樹脂材料で形成されており、内周側見込み面部48と外周側見込み面部49との間に複数の中空部402を形成している。
【0017】
[変形例]
前記実施形態では、室外見付け面部46は、未使用樹脂材料で形成される本体層461をアクリル積層8で外面から覆って構成されているが、これに限らず、例えば
図4に示す第1変形例のように、本体層461をリサイクル樹脂材料で形成してもよく、この場合、外周側見込み面部49のうちアクリル積層8で外面が覆われる室外部491もリサイクル樹脂材料で形成してもよい。このように本体層461や室外部491をリサイクル樹脂材料で形成した場合でも、当該部分はアクリル積層8で覆われるので、リサイクル樹脂材料部分が外部に露出することはなく、アクリル積層8に加飾などを施すことで所望の外観を構成し得る。
【0018】
前記実施形態では、受け部481は面材30に接着されているが、例えば
図5に示す第2変形例のように、面材30の室内面30Bに当接する当接体482を受け部481に設け、受け部481を面材30に接着させない構成としてもよい。この場合、受け部481には未使用樹脂材料で形成する部分を有さずにリサイクル樹脂材料で形成してもよく、このように形成しても、受け部481は面材30に接着しないので、リサイクル樹脂材料で形成することで仮に接着を阻害する物質が含まれていたとしてもよい。また、当接体482を設けることで、リサイクル樹脂材料の外部への露出を抑制し得る。
【0019】
前記実施形態では、室外見付け面部46、外周側見込み面部49の室外部491や押縁基材52のそれぞれの外面(表面)は、表面層としてのアクリル積層8で覆われているが、これに限らず、例えば対候性などが求められない場合にはアクリル積層8の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、面材30は合わせガラスで構成されているが、これに限らず、一枚のガラス板で構成される面材であってもよい。
前記実施形態では、受け部481は、所定の範囲内をリサイクル樹脂材料で形成しているが、これに限らず、例えば、受け部481の全体を未使用樹脂材料で形成してもよい。
前記実施形態では、室内見付け面部47は、未使用樹脂材料だけで形成されているが、これの外面を室内側から覆う表面層としてのPVC積層8Bやアクリル積層8などを設けてもよい、また、これらの表面層を設ける場合には、未使用樹脂材料に代えてリサイクル樹脂材料を用いて表面層に室内側から覆われる本体層を構成してもよい。
前記実施形態では、仕切り片部483は、リサイクル樹脂材料で構成されているが、これに限らず、未使用樹脂材料で構成されていてもよい。また、仕切り片部483がなくても樹脂框材40の強度を保てる場合には当該仕切り片部483の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、樹脂框材40の外周側見込み面部49の延出部492にタイト材62を設けているが、これに限らず、タイト材62がなくても所望の気密性や水密性、断熱性などを発揮できる場合には、この構成を省略してもよい。
【0020】
前記実施形態では、建具として縦すべり出し窓1を説明したが、このほか、横すべり出し窓、突き出し窓や倒し窓などの開き系窓であってもよく、また、引き違い窓や片引き窓、上げ下げ窓などのスライド系窓であってもよい。
【0021】
[発明のまとめ]
(1)本発明の樹脂障子は、枠体内に開閉可能に配置される樹脂障子であって、面材と、前記面材の縁部に沿って配置される樹脂框材とを備え、前記樹脂框材は、室外見付け面部と、室内見付け面部と、見込み方向において前記室外見付け面部および前記室内見付け面部の間に配置される内周側見込み面部と、前記室外見付け面部および前記室内見付け面部の間の位置であって前記内周側見込み面部に対して外周側の位置に配置される外周側見込み面部とを有し、前記内周側見込み面部のうち、少なくとも前記面材の縁部に対して面内方向に対向する部分はリサイクル樹脂材料で構成され、前記外周側見込み面部のうち、少なくとも外部に露呈する露呈部分は未使用樹脂材料で構成されることを特徴とする。
本発明の樹脂障子によれば、外周側見込み面部のうち少なくとも露呈部分が未使用樹脂材料で構成されるので、樹脂障子を枠体に対して開口開放位置および開口閉鎖位置のいずれの位置に配置しても、外周側見込み面部においてリサイクル樹脂材料が外部に露呈することがなく、外観意匠を向上し得る。
また、内周側見込み面部のうち少なくとも面材の縁部に対向する部分がリサイクル樹脂材料で構成されるので、樹脂框材の材料コストを低減できて、樹脂障子のコストダウンを図り得る。
(2)本発明の樹脂障子では、前記樹脂框材の外部に露出する部分の全ては未使用樹脂材料で構成されてもよい。
このような構成によれば、樹脂框材の内周側見込み面部のうち少なくとも面材の縁部に対向する部分にリサイクル樹脂材料を用いた場合でも、外観上は未使用樹脂材料で構成された樹脂框材に見えるので、外観意匠を向上し得る。
(3)本発明の樹脂障子では、前記面材は、少なくとも二枚のパネル板の縁部の間にスペーサーを介在して構成され、前記内周側見込み面部は、内周側に延出し且つ前記面材に対して見込み方向に対向する受け部を有し、前記受け部は、前記スペーサーよりも内周側に突出しない範囲内に、リサイクル樹脂材料で形成される部分を有してもよい。
このような構成によれば、外観上視認し得ない範囲内においてリサイクル樹脂材料で構成される部分を増やすことができ、樹脂框材の材料コストの低減による樹脂障子のコストダウンを図り得る。
(4)本発明の樹脂障子では、前記受け部は、未使用樹脂材料で構成される部分を有し、当該未使用樹脂材料で構成される部分で前記面材と接着されてもよい。
このような構成によれば、受け部が面材と接着される部分が未使用樹脂材料で構成されるので、例えば、当該部分がリサイクル樹脂材料で構成される場合と比べて、接着強度を高めることができる。
(5)本発明の樹脂障子では、前記室外見付け面部には、その本体層を室外側から覆う表面層が設けられてもよい。
このような構成によれば、室外見付け面部に前述した表面層を設けるので、この表面層に対候性や所望の加飾を施したものを採用することで、所望の外観や特性を室外側に有する樹脂框材を備える樹脂障子を構成できる。
(6)本発明の樹脂障子では、前記室内見付け面部は、未使用樹脂材料で形成されてもよい。
このような構成によれば、室内側にリサイクル樹脂材料が露出することを抑えることができ、また、例えば室内見付け面部に表面層を設ける場合に比べて、室内見付け面部における基材部分を構成する本体層に偏肉部が形成されて不安定な形状となるのを抑制できる。
(7)本発明の樹脂障子では、前記室外見付け面部および前記室内見付け面部のうち少なくとも一方は、未使用樹脂材料で構成され、または、リサイクル樹脂材料で形成される本体層および当該本体層の表面を覆う表面層とで構成されてもよい。
このような構成によれば、室外見付面部および室内見付け面部のうち少なくとも一方が未使用樹脂材料で構成される場合、室外側および室内側の少なくとも一方側からはリサイクル樹脂材料ではなく未使用樹脂材料で構成される部分が見えることとなるので、リサイクル樹脂材料を用いる樹脂框材を採用した樹脂障子において外観意匠を向上し得、更に、例えば、室外見付面部および室内見付け面部のうち少なくとも一方を本体層と表面層とで構成する場合に比べて、室内見付け面部における基材部分を構成する本体層に偏肉部が形成されて不安定な形状となるのを抑制できる。
また、室外見付面部および室内見付け面部のうち少なくとも一方がリサイクル樹脂材料で形成される本体層および当該本体層の表面を覆う表面層で構成される場合、本体層の材料コストを低減できると共に、室外側および室内側の少なくとも一方側からは任意の表面層が見えるので、リサイクル樹脂材料を用いる樹脂框材を採用した樹脂障子において外観意匠を向上し得る。
(8)本発明の樹脂障子では、前記内周側見込み面部は、前記面材の縁部に対して面内方向に対向する部分と前記外周側見込み面部とに接続され且つ当該部分と前記外周側見込み面部との間に中空部を形成する仕切り片部を有し、前記仕切り片部は、リサイクル樹脂材料で構成されてもよい。
このような構成によれば、仕切り片部を設けて中空部を形成することで樹脂框材の強度を高め得ると共に、樹脂框材においてリサイクル樹脂材料で構成される部分を増やすことができて樹脂障子のコストダウンを図り得る。
(9)本発明の樹脂框材は、面材の縁部に沿って配置される樹脂框材であって、室外見付け面部と、室内見付け面部と、見込み方向において前記室外見付け面部および前記室内見付け面部の間に配置される内周側見込み面部と、前記室外見付け面部および前記室内見付け面部の間の位置であって前記内周側見込み面部に対して外周側の位置に配置される外周側見込み面部とを有し、前記内周側見込み面部のうち、少なくとも前記面材の縁部に対して面内方向に対向可能な部分はリサイクル樹脂材料で構成され、前記外周側見込み面部のうち、少なくとも外部に露呈する露呈部分は未使用樹脂材料で構成されることを特徴とする。
本発明の樹脂框材によれば、前述した本発明の樹脂障子と同様の作用効果を発揮し得る樹脂框材を構成し得る。
【符号の説明】
【0022】
1…縦すべり出し窓(建具)、2…樹脂枠体(枠体)、21…上枠、22…下枠、23…縦枠、3…樹脂障子、30…面材、301…縁部、30A…室外面、30B…室内面、31…パネル板、32…スペーサー、35…框体、40…樹脂框材、401…面材保持溝、402…中空部、41…上框、42…下框、43…縦框、46…室外見付け面部、461…本体層、47…室内見付け面部、48…内周側見込み面部、481…受け部、482…当接体、483…仕切り片部、49…外周側見込み面部、491…室外部、492…延出部、493…室内部、50…押縁係合部、51…押縁、52…押縁基材、54…被係合部、55…ビード材、61,62…タイト材、8…アクリル積層(表面層)、8B…PVC積層、90…ラッチ機構、91…ハンドル。