(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030603
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】繊維強化樹脂成型体、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/02 20060101AFI20250228BHJP
B29B 7/00 20060101ALI20250228BHJP
B29C 48/00 20190101ALI20250228BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20250228BHJP
B29C 70/12 20060101ALI20250228BHJP
C08J 11/06 20060101ALI20250228BHJP
B29K 23/00 20060101ALN20250228BHJP
【FI】
B29B17/02
B29B7/00
B29C48/00
B29C45/00 ZAB
B29C70/12
C08J11/06
B29K23:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136057
(22)【出願日】2023-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】522000186
【氏名又は名称】株式会社カラーループ
(71)【出願人】
【識別番号】000178826
【氏名又は名称】日本山村硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内丸 もと子
(72)【発明者】
【氏名】木村 照夫
(72)【発明者】
【氏名】大迫 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】菅 由幸
【テーマコード(参考)】
4F201
4F205
4F206
4F207
4F401
【Fターム(参考)】
4F201AA50
4F201AR20
4F201BA01
4F201BC01
4F201BC02
4F201BD04
4F201BD05
4F201BK74
4F205AA24
4F205AA50
4F205AB25
4F205AC01
4F205AD16
4F205AH57
4F205HA12
4F205HA13
4F205HA34
4F205HA36
4F205HF01
4F206AA24
4F206AA50
4F206AB12
4F206AB25
4F206AH57
4F206AL18
4F206AR20
4F206JA07
4F206JE29
4F206JL02
4F207AR20
4F207KA01
4F207KA17
4F401AA09
4F401AA10
4F401AC10
4F401AC20
4F401BB12
4F401CA45
4F401CA46
4F401CA79
4F401FA07Z
(57)【要約】
【課題】環境負荷を高めることなく、再利用すべき繊維製品および樹脂製品から魅力的な樹脂成型体を製造することが可能な方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る繊維強化樹脂成型体の製造方法は、再利用すべき繊維製品および樹脂製品から所定の選別規則に従って材料となる繊維製品および樹脂製品を選別する選別工程S2A,S2Bと、工程S2A,S2Bにおいて選別された材料を所定の比率で混合する混合工程S3と、工程S3において混合された材料を所定の形状に成型する成型工程S4とを備えている。選別規則は、目標色を含む色範囲に含まれる色を有する繊維製品および樹脂製品を選別することを定めたものであり、色範囲は、例えば、マンセル色相環の内角によって規定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標色を有する繊維強化樹脂成型体の製造方法であって、
再利用すべき繊維製品および樹脂製品から所定の選別規則に従って材料となる繊維製品および樹脂製品を選別する選別工程と、
前記選別工程において選別された前記材料を所定の比率で混合する混合工程と、
前記混合工程において混合された前記材料を所定の形状に成型する成型工程と、
を備え、
前記選別規則が、前記目標色を含む色範囲に含まれる色を有する前記繊維製品および前記樹脂製品を選別することを定めたものである
ことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記色範囲が、マンセル色相環の内角によって規定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記内角が、85~105°の範囲内にある
ことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂製品が、使用済みペットボトルのキャップである
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記混合工程において混合する前記材料の重量における比率が、前記繊維製品:前記樹脂製品=20:80~40:60である
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記混合工程の前に前記繊維製品および前記樹脂製品の少なくとも一方を脱色する工程、および前記成型工程の前に前記材料を脱色する工程を備えていない
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記成型工程の前に前記材料を染色する工程を備えていない
ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
目標色を有する繊維強化樹脂成型体であって、
再利用すべき繊維製品および樹脂製品から所定の選別規則に従って材料となる繊維製品および樹脂製品を選別する選別工程と、
前記選別工程において選別された前記材料を所定の比率で混合する混合工程と、
前記混合工程において混合された前記材料を所定の形状に成型する成型工程と、
を実行することにより製造され、
前記選別規則が、前記目標色を含む色範囲に含まれる色を有する前記繊維製品および前記樹脂製品を選別することを定めたものである
ことを特徴とする繊維強化樹脂成型体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再利用すべき繊維製品および樹脂製品からなる繊維強化樹脂成型体、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、各種素材の再利用が進められている。当然ながら繊維製品の再利用についても様々な検討がなされており、例えば、非特許文献1では、「故繊維」と呼ばれる再利用すべき繊維製品を樹脂の強化剤として利用することが提案されている。
【0003】
樹脂製品の再利用も進められており、例えば、PETボトルリサイクル推進協議会の報告によれば、近年の日本におけるペットボトル本体の再利用率は85%を超えているとのことである。その一方で、ペットボトルのキャップ(以下、単に「キャップ」ともいう)については、再利用がほとんど進んでいない。
【0004】
このような状況から、本発明者は、再利用すべき繊維製品を用いて使用済みのキャップから強化された新たな樹脂成型体を製造することを思いついた。しかしながら、繊維製品およびキャップには様々な色のものがある。このため、これらを単純に組み合わせただけでは、濁った色の、または色ムラがあるように見える、魅力に乏しい成型体しか製造することができないと考えられる。これでは、繊維製品およびキャップの再利用は加速しない。
【0005】
なお、成型前に脱色処理および染色処理を行えば、カラフルで魅力的な成型体を製造することができる。しかしながら、脱色処理および染色処理は環境負荷が高い。このため、このような処理を行うのは、SDGsの精神に反する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】内丸もと子,他3名,“色分別した故繊維を使う繊維強化プラスチック製品の成形時の色変化”,繊維製品消費科学,一般社団法人日本繊維製品消費科学会,平成27年10月,第56巻,第10号,pp.819-825
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、環境負荷を高めることなく、再利用すべき繊維製品および樹脂製品から魅力的な樹脂成型体を製造することが可能な方法、および該方法により製造された樹脂成型体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る製造方法は、目標色を有する繊維強化樹脂成型体を製造する方法であって、再利用すべき繊維製品および樹脂製品から所定の選別規則に従って材料となる繊維製品および樹脂製品を選別する選別工程と、選別工程において選別された材料を所定の比率で混合する混合工程と、混合工程において混合された材料を所定の形状に成型する成型工程とを備え、選別規則が、目標色を含む色範囲に含まれる色を有する繊維製品および樹脂製品を選別することを定めたものである、との構成を有している。
【0009】
上記色範囲は、例えば、マンセル色相環の内角(例えば、85~105°)によって規定することができる。
【0010】
上記樹脂製品は、例えば、使用済みペットボトルのキャップである。
【0011】
上記混合工程において混合する材料の重量における比率は、繊維製品:樹脂製品=20:80~40:60であることが好ましい。
【0012】
上記製造方法は、混合工程の前に繊維製品および樹脂製品の少なくとも一方を脱色する工程、および成型工程の前に材料を脱色する工程を備えていないことが好ましい。
【0013】
上記製造方法は、成型工程の前に材料を染色する工程を備えていないことが好ましい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る繊維強化樹脂成型体は、目標色を有する樹脂成型体であって、再利用すべき繊維製品および樹脂製品から所定の選別規則に従って材料となる繊維製品および樹脂製品を選別する選別工程と、選別工程において選別された材料を所定の比率で混合する混合工程と、混合工程において混合された材料を所定の形状に成型する成型工程とを実行することにより製造され、選別規則が、目標色を含む色範囲に含まれる色を有する繊維製品および樹脂製品を選別することを定めたものである、との構成を有している。
【0015】
なお、本明細書では、用語「繊維製品」に、使用済みの衣類等の繊維製品のほか、繊維製品の製造段階で発生する繊維の屑が含まれるものとする。また、本明細書では、用語「樹脂製品」に、使用済みのキャップ(例えば、飲料を収容するためのペットボトルのキャップ、調味料や洗剤等を収容するための各種容器のキャップ)等の樹脂製品のほか、樹脂製品の製造段階で発生する樹脂の屑(例えば、成型工程で発生する端材)が含まれるものとする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、環境負荷を高めることなく、再利用すべき繊維製品および樹脂製品から魅力的な樹脂成型体を製造することが可能な方法、および該方法により製造された樹脂成型体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る繊維強化樹脂成型体の製造方法を示すフロー図である。
【
図2】本発明に係る繊維強化樹脂成型体の製造方法の繊維製品選別工程および樹脂製品選別工程において使用する選別規則を説明するための図である。
【
図3】本発明に係る繊維強化樹脂成型体の製造方法の繊維製品選別工程および樹脂製品選別工程において使用する別の選別規則を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る繊維強化樹脂成型体、およびその製造方法について説明する。
【0019】
図1に示すように、本発明に係る製造方法は、繊維製品回収工程S1Aと、これの後に実行される繊維製品選別工程S2Aと、樹脂製品回収工程S1Bと、これの後に実行される樹脂製品選別工程S2Bと、2つの選別工程S2A,S2Bの後に実行される混合工程S3と、これの後に実行される成型工程S4とを備えている。
【0020】
繊維製品回収工程S1Aでは、再利用すべき繊維製品を回収する。繊維製品としては、例えば、使用済みの衣類、衣類の製造段階で発生した繊維の屑を挙げることができるが、これらには限定されない。
【0021】
繊維製品選別工程S2Aでは、工程S1Aにおいて回収された繊維製品から材料となる繊維製品を選別する。本発明では、
図2に示すように、マンセル色相環に基づいて繊維製品を選別する。例えば、5YRに対応した色を有する樹脂成型体を製造したい場合は、85°の内角によって規定された第1色範囲に含まれる色を有する繊維製品を選別する。第1色範囲は、5YRに対応した色を含んでいればよく、必ずしも5YRに対応した色が第1色範囲の中央に位置していなくてもよい。また、10PBに対応した色を有する樹脂成型体を製造したい場合は、85°の内角によって規定された第2色範囲に含まれる色を有する繊維製品を選別する。第2色範囲は、10PBに対応した色を含んでいればよく、必ずしも10PBに対応した色が第2色範囲の中央に位置していなくてもよい。
【0022】
色範囲を規定する内角を85°としたのは、本発明者が過去に行ったアンケートによって得た知見、すなわち、85°以内にある任意の2以上の色のわた状繊維を混合してなる混合繊維を好ましいと感じる人の割合は、85°以上離れた任意の2以上の色のわた状繊維を混合してなる混合繊維を好ましいと感じる人の割合よりも多い、との知見に基づく。
【0023】
繊維製品の選別は、目視により行ってもよいし、市販の測色計(例えば、コニカミノルタ株式会社製のCM-2600d)、または色彩選別機を使用して行ってもよい。なお、測色計や色彩選別機を使用する場合は、選別の精度を高めるために、測色計や色彩選別機の出力を学習済みモデルに入力してもよい。
【0024】
樹脂製品回収工程S1Bでは、再利用すべき樹脂製品を回収する。樹脂製品としては、例えば、使用済みペットボトルのキャップを挙げることができるが、これには限定されない。なお、キャップには、主にポリプロピレン(PP,polypropylene)で構成されているものと、主にポリエチレン(PE,polyethylene)で構成されているものとがある。
【0025】
樹脂製品選別工程S2Bでは、工程S1Bにおいて回収された樹脂製品から材料となる樹脂製品を選別する。本発明では、工程S2Aと同様の手法により樹脂製品を選別する。すなわち、工程S2Bでは、
図2に示すように、マンセル色相環に基づいて樹脂製品を選別する。例えば、5YRに対応した色を有する樹脂成型体を製造したい場合は、85°の内角によって規定された第1色範囲に含まれる色を有する樹脂製品を選別する。第1色範囲は、5YRに対応した色を含んでいればよく、必ずしも5YRに対応した色が第1色範囲の中央に位置していなくてもよい。また、10PBに対応した色を有する樹脂成型体を製造したい場合は、85°の内角によって規定された第2色範囲に含まれる色を有する樹脂製品を選別する。第2色範囲は、10PBに対応した色を含んでいればよく、必ずしも10PBに対応した色が第2色範囲の中央に位置していなくてもよい。
【0026】
樹脂製品の選別は、繊維製品の選別と同様、目視により行ってもよいし、市販の測色計または色彩選別機(+学習済みモデル)を使用して行ってもよい。
【0027】
混合工程S3では、工程S2A,S2Bにおいて選別された繊維製品および樹脂製品を所定の比率で混合する。
【0028】
工程S3は、選別された繊維製品および樹脂製品を所定の径(例えば、2mmφ)のメッシュを通過し得る程度にまで粉砕する工程を含んでいてもよい。繊維製品および樹脂製品は、個別に粉砕されてもよいし、一緒に粉砕されてもよい。また、繊維製品および樹脂製品の一方だけが粉砕されてもよい。
【0029】
また、工程S3は、混合したものをペレット化する工程を含んでいてもよい。
【0030】
混合される繊維製品および樹脂製品の重量における比率は、繊維製品:樹脂製品=20:80~40:60であることが好ましい。繊維製品の好ましい比率の上限を40重量%としたのは、これ以上にすると成型工程S4で行う成型に支障が生じる場合があるからである。繊維製品の好ましい比率の下限を20重量%とした理由については、後で実験結果とともに説明する。
【0031】
成型工程S4では、工程S3において混合された材料(繊維製品および樹脂製品)を所定の形状に成型する。成型の手法としては、例えば、既知の成型手法である射出成型、押出成型を挙げることができるが、これらには限定されない。
【0032】
このように、本発明に係る製造方法では、色を用いた所定の選別規則に従って選別された繊維製品および樹脂製品を使用する。このため、この製造方法によれば、混合工程S3の前に繊維製品および樹脂製品の少なくとも一方を脱色する工程、成型工程S4の前に材料を脱色する工程、および成型工程S4の前に材料を染色する工程を備えていないにもかかわらず、好感度が高い(つまり、看者が不快に感じることがない)、魅力的な繊維強化樹脂成型体を得ることができる。
【0033】
続いて、上記製造方法により製造した繊維強化樹脂成型体の試験片についてJIS K7161に準じた引張試験を行い、強度および弾性率を測定した結果について説明する。
【0034】
第1実施例では、繊維製品としての使用済み衣類と、樹脂製品としてのキャップ(主にPPで構成されているもの)とを使用して、JIS K7139に準じた試験片を作成した。繊維製品の比率は10重量%とした。
【0035】
第2~第4実施例では、繊維製品の比率を20重量%、30重量%、40重量%とした以外は第1実施例と同様にして試験片を作成した。
【0036】
第1比較例では、樹脂製品としてのキャップ(主にPPで構成されているもの)のみを使用して、JIS K7139に準じた試験片を作成した。
【0037】
第5実施例では、繊維製品としての使用済み衣類と、樹脂製品としてのキャップ(主にPEで構成されているもの)とを使用して、JIS K7139に準じた試験片を作成した。繊維製品の比率は10重量%とした。
【0038】
第6~第8実施例では、繊維製品の比率を20重量%、30重量%、40重量%とした以外は第5実施例と同様にして試験片を作成した。
【0039】
第2比較例では、樹脂製品としてのキャップ(主にPEで構成されているもの)のみを使用して、JIS K7139に準じた試験片を作成した。
【0040】
表1は、第1~第4実施例および第1比較例に係る試験片の強度および弾性率をまとめたものである。この表は、主にPPで構成された樹脂製品に繊維製品を混合することで強度および弾性率が向上することを示している。ただし、繊維製品の比率が10重量%である第1実施例に係る試験片は、強度の改善率がわずか1.95%であった。このため、繊維製品の比率は、20重量%以上であることが好ましい。また、この表は、繊維製品の比率を40重量%よりも大きくすることで強度および弾性率がさらに向上することを示唆している。ただし、繊維製品の比率が40重量%を超えると、前述した通り、成型性の問題が生じることがあるので注意が必要である。
【表1】
【0041】
表2は、第5~第8実施例および第2比較例に係る試験片の強度および弾性率をまとめたものである。この表は、主にPEで構成された樹脂製品に繊維製品を混合することで強度および弾性率が向上することを示している。ただし、繊維製品の比率が10重量%である第5実施例に係る試験片は、測定上の誤差の可能性もあるが、強度がわずかに低下した。このため、繊維製品の比率は、20重量%以上であることが好ましい。また、この表は、繊維製品の比率を40重量%よりも大きくすることで強度および弾性率がさらに向上することを示唆している。ただし、繊維製品の比率が40重量%を超えると、前述した通り、成型性の問題が生じることがあるので注意が必要である。
【表2】
【0042】
このように、本発明に係る製造方法によれば、繊維によって強化された樹脂成型体を得ることができる。
【0043】
以上、本発明に係る繊維強化樹脂成型体、およびその製造方法について説明してきたが、本発明の構成はこれに限定されるものではない。
【0044】
例えば、色範囲を規定するマンセル色相環の内角は、105°であってもよいし、85~105°の間の任意の角度であってもよい。これは、本発明者が過去に行ったアンケートによって得た知見、すなわち、105°以内にある任意の2以上の色の粒状繊維を混合してなる混合繊維を好ましいと感じる人の割合は、105°以上離れた任意の2以上の色の粒状繊維を混合してなる混合繊維を好ましいと感じる人の割合よりも多い、との知見に基づく。
【0045】
また、選別工程S2A,S2Bにおいて使用する選別規則は、日本色研配色体系、NCS表色系、XYZ表色系、CLab、RGB、HCV等の他の既知の色指標によって規定した色範囲を使用して選別を行うことを定めたものであってもよい。
【0046】
また、選別工程S2A,S2Bにおいて使用する選別規則は、同一でなくてもよい。例えば、
図3に示すように、マンセル色相環の85°の内角によって規定された第3色範囲に従って樹脂製品を選別するとともに、マンセル色相環の100°の内角によって規定された第4色範囲、すなわち、第3色範囲の全体を包含する色範囲に従って繊維製品を選別してもよい。言い換えると、繊維製品の選別規則を樹脂製品の選別規則よりも緩くしてもよい。このような構成とすることで、目標とする色の樹脂成型体を製造するのに必要な十分な量の繊維製品を確保しやすくなる。なお、この構成は、繊維製品の比率が比較的小さく、樹脂製品の色の影響が強く表れる場合に有効である。反対に、繊維製品の色の影響が強く表れる場合は、樹脂製品の選別規則を繊維製品の選別規則よりも緩くすることができる。