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特開2025-30746樹脂複合材料及びその製造方法、並びに成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030746
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】樹脂複合材料及びその製造方法、並びに成形品
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/20 20060101AFI20250228BHJP
   C08K 13/00 20060101ALI20250228BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20250228BHJP
   B29C 48/07 20190101ALI20250228BHJP
   B29C 48/12 20190101ALI20250228BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
C08J3/20 Z
C08K13/00
C08L101/00
B29C48/07
B29C48/12
B29C45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136307
(22)【出願日】2023-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】591224353
【氏名又は名称】株式会社島田商会
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大庭 朋和
(72)【発明者】
【氏名】大野 孝
【テーマコード(参考)】
4F070
4F206
4F207
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA01
4F070AA15
4F070AA66
4F070AB11
4F070AB26
4F070FA03
4F070FA05
4F070FA17
4F070FB06
4F070FB07
4F070FC02
4F070FC05
4F206AA01
4F206AC01
4F206AG01
4F206AR12
4F206AR15
4F206JA07
4F206JL02
4F207AA01
4F207AA13
4F207AB25
4F207AD06
4F207AD16
4F207KA01
4F207KA17
4F207KA20
4J002AA00X
4J002AB01W
4J002BB03X
4J002BB12X
4J002BC03X
4J002BD04X
4J002BN15X
4J002CF06X
4J002CF18X
4J002CG00X
4J002CL00X
4J002EC046
4J002EC056
4J002FA04W
4J002FD01W
4J002FD206
(57)【要約】
【課題】水分を多く含む廃棄物を原材料に用いることができ合成樹脂の連続相にセルロース系バイオマスの分散相を均一かつ微細に形成した樹脂複合材料の製造技術を提供する。
【解決手段】溶媒18を収容する溶媒容器28と、溶媒18に溶解させる溶質19を収容する溶質容器29と、溶質19を溶媒18に溶解させ糊状体16にする溶解槽26と、セルロース系充填材17を収容する充填材容器27と、糊状体16とセルロース系充填材17とを混合しプレミックス体11にする第1混合槽21と、ペレット状の合成樹脂15を収容する樹脂容器25と、プレミックス体11と合成樹脂15とを混合し混合体12にする第2混合槽22と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多糖類ナノファイバー及び親水性のセルロース誘導体の少なくとも一方を溶質とし溶媒に溶解させた糊状体を準備する工程と、
粉体、繊維状体又は綿状体の形状を示し幅が平均で20~60μmのセルロース系充填材を準備する工程と、
少なくとも前記糊状体、前記セルロース系充填材及び合成樹脂が混合した混合体を、密閉容器の内部に投入する工程と、
前記混合体を前記合成樹脂が溶融する温度で加熱混練し溶融混練体にする工程と、
前記密閉容器を開放して気化した前記溶媒を外部排出してから前記溶融混練体を取り出す工程と、を含む樹脂複合材料の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂複合材料の製造方法において、前記混合体は、
前記糊状体と前記セルロース系充填材とを混合しプレミックス体とする工程と、
前記プレミックス体と前記合成樹脂とを混合する工程と、を経て生成される樹脂複合材料の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の樹脂複合材料の製造方法において、
前記糊状体における前記溶質の配合比は、1~30重量%であり、
前記プレミックス体における前記糊状体の混合比は、10~90重量%である樹脂複合材料の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の樹脂複合材料の製造方法において、
前記多糖類ナノファイバーはセルロースナノファイバーであり、前記親水性のセルロース誘導体はセルロースエーテルであり、前記溶媒は水であり、前記セルロース系充填材はノート端材であり、前記合成樹脂は使用済みのストレッチフィルムである樹脂複合材料の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の樹脂複合材料の製造方法において、
前記混合体は、さらに、粘土鉱物系物質及び多価アルコールの少なくとも一方が混合される工程を含む樹脂複合材料の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の樹脂複合材料の製造方法において、
粘土鉱物系物質及び多価アルコールがプレミックスされている樹脂複合材料の製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載の樹脂複合材料の製造方法を利用した成形品の製造方法であって、
前記合成樹脂はポリスチレンを含み、前記粘土鉱物系物質はカオリナイトを含み、前記多価アルコールはエチレングリコール及び1,4-ブタンジオールの少なくとも一方を含み、前記混合体にはさらに流動パラフィンを混合することとし、
製造した前記樹脂複合材料がTダイ法、射出成形法又は異形押出法により成型され、色鉛筆で着色する特徴を持つ成形品の製造方法。
【請求項8】
合成樹脂の連続相と、
幅が平均で20~60μmである粉体、繊維状体又は綿状体の形状を示すセルロース系充填材の分散相と、
前記連続相と前記分散相の境界に偏在し、多糖類ナノファイバー及び親水性のセルロース誘導体の少なくとも一方を含むバインダ相と、から構成される樹脂複合材料。
【請求項9】
請求項8に記載の樹脂複合材料において、
粘土鉱物系物質の分散相がさらに形成されている樹脂複合材料。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の樹脂複合材料において、
前記分散相及び前記バインダ相を構成する物質の合計が50重量%以上占める樹脂複合材料。
【請求項11】
請求項8又は請求項9に記載の樹脂複合材料を、0.2mm以下のシート又はフィルムに成型した成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に貢献するセルロース資源を活用した樹脂複合材料の製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂にバイオマスや低未利用な発生資源を充填材として分散・複合化させることにより、化石資源から生産される合成樹脂の使用量を低減させ、SDGsの実現に貢献する樹脂複合材料の開発が進められている。
【0003】
ところで樹脂複合材料の成形品において、合成樹脂の含有割合が50%未満である場合、非プラスチック製品と表示できる規定がある。さらに紙の含有割合が50%以上であると紙製品と表示できる規定がある。さらに、この規定に適合する樹脂複合材料を製造するための原材料として、廃棄物を広く利用することが検討されている。
【0004】
また一方で、水分の多い廃棄物について、吸湿物質を加えることにより、乾燥処理なく、薄肉フィルムが製膜できる樹脂複合材料の製造技術が開示されている(例えば、特許文献1)。この発明には、予め含水性充填材と吸水性充填材とを混合し、含水性充填材に含まれる水分を吸水性充填材に吸着させて混合体にする工程が含まれる。そして、この混合体を合成樹脂と加熱混練することで、合成樹脂の連続相に、水と水素結合している充填材の分散相が、均一かつ微細に形成された樹脂複合材料が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7061239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
セルロース系バイオマスは、大気中の二酸化炭素を固定し産生される資源である。このため、セルロース系バイオマスを活用した樹脂複合材料の製造技術は、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に大きく貢献するといえる。しかし、合成樹脂の連続相に、セルロース系バイオマスの分散相を均一かつ微細に形成した樹脂複合材料の製造は困難であった。
【0007】
また、梱包などに用いられ大量に廃棄されたストレッチフィルムを回収し、樹脂複合材料を構成する合成樹脂としての再利用が検討されている。ところで、ストレッチフィルムのリサイクルは、回収物を洗浄・乾燥・粉砕した後、この粉砕物を押出機に投入し、リペレットする手順を踏んでいる。しかし、この粉砕物は嵩密度が高く飛散しやすいために、ストレッチフィルムのリサイクルは低効率である。リサイクルの効率を向上させるために、回収したストレッチフィルムの粉砕物を、乾燥することなく水分が付着したまま、セルロース系バイオマスと混錬できれば好都合である。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、水分を多く含む廃棄物を原材料に用いることができ、合成樹脂の連続相にセルロース系バイオマスの分散相を均一かつ微細に形成した樹脂複合材料の製造技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る樹脂複合材料の製造方法は、多糖類ナノファイバー及び親水性のセルロース誘導体の少なくとも一方を溶質とし溶媒に溶解させた糊状体を準備する工程と、粉体、繊維状体又は綿状体の形状を示し幅が平均で20~60μmのセルロース系充填材を準備する工程と、少なくとも前記糊状体、前記セルロース系充填材及び合成樹脂が混合した混合体を密閉容器の内部に投入する工程と、前記混合体を前記合成樹脂が溶融する温度で加熱混練し溶融混練体にする工程と、前記密閉容器を開放して気化した前記溶媒を外部排出してから前記溶融混練体を取り出す工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、水分を多く含む廃棄物を原材料に用いることができ、合成樹脂の連続相にセルロース系バイオマスの分散相を均一かつ微細に形成した樹脂複合材料の製造技術が提供される。これにより、リサイクル回収物の樹脂複合材料への活用を促進し、合成樹脂の使用量を削減し、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る樹脂複合材料の製造方法を実施する製造システムの一例を示した側面図。
図2】本発明の第2実施形態に係る樹脂複合材料の製造方法を実施する製造システムの一例を示した側面図。
図3】(A)セルロース系充填材として木粉(リグニン残留)を配合した場合について、本発明の成形性を評価した実施例1,2と比較例1,2を示す表、(B)セルロース系充填材としてノート端材(リグニン除去)を配合した場合について、本発明の成形性を評価した実施例3,4と比較例3,4を示す表。
図4】樹脂複合材料の成形品のヒンジ耐性と塗装性を評価した実施例5,6と比較例5を示す表。
図5】クロスカット法における塗装性の評価基準。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る樹脂複合材料の製造方法を実施する製造システム10A(10)の一例を示した側面図である。この製造システム10Aは、原料供給装置20A(20)と、混練装置30(密閉容器)とから構成されている。
【0013】
第1実施形態に係る樹脂複合材料は、次の各工程を経て製造される。すなわち、多糖類ナノファイバー及び親水性のセルロース誘導体の少なくとも一方を溶質19とし、溶媒18に溶解させ、糊状体16を準備する。次に、粉体、繊維状体又は綿状体の形状を示し幅が平均で20~60μmのセルロース系充填材17を準備する。さらに合成樹脂15も準備する。
【0014】
次に、少なくとも糊状体16、セルロース系充填材17及び合成樹脂15を混合させた混合体12を、密閉容器30の内部に投入する。そして、混合体12を合成樹脂15が溶融する温度で加熱混練し溶融混練体13にする。そして密閉容器30のベント部34を開放して溶媒18xを気化させ外部排出してから溶融混練体13xを取り出す。
【0015】
第1実施形態の原料供給装置20Aは、溶媒18を収容する溶媒容器28と、溶媒18に溶解させる溶質19を収容する溶質容器29と、溶質19を溶媒18に溶解させ糊状体16にする溶解槽26と、セルロース系充填材17を収容する充填材容器27と、糊状体16とセルロース系充填材17とを混合しプレミックス体11にする第1混合槽21と、ペレット状の合成樹脂15を収容する樹脂容器25と、プレミックス体11と合成樹脂15とを混合し混合体12にする第2混合槽22と、を備えている。
【0016】
ここで溶媒18は、多くの場合は水溶媒であるが、これに限定されず、溶質19を溶解するものであれば適宜採用される。溶質19は、多糖類ナノファイバー又はセルロースエーテル、もしくはこれらの混合物が適用される。セルロース系充填材17は、幅が平均で20~60μmの粉体、繊維状体又は綿状体の形状を示すセルロース系物質である。
【0017】
混練装置30は、混合体12を投入する投入部31と、投入部31が上流側に設けられ溶融混練体13が押し出されるダイ部35が下流側に設けられ密閉容器を形成するシリンダ33と、スクリュー(図示略)をシリンダ33の内部で軸回転させて加熱された混合体12を上流から下流に押し出し溶融混練体13にする駆動部32と、密閉容器であるシリンダ33を開放し溶融混練体13に含まれる水分を外部に排出させるベント部34と、から構成されている。
【0018】
混練装置30は、混合体12を密閉容器の内部に投入し、合成樹脂15が溶融する温度で加熱混練し、溶融混練体13にするものであれば適宜採用される。このために混練装置30は、図示する押出機のような連続式に限定されるものではなく、図示を省略するがバンバリー、ニーダー、ローラーのようなバッチ式であってもよい。
【0019】
ベント部34で脱水処理された溶融混練体13は、シリンダ33の最下流から吐出される。なおこの脱水は、熱流動温度における水分率が1%以下となるように処理されることが望ましい。薄肉のインフレーション成形においては、水分率はさらに0.3%以下とすることが望ましい。このように、水分率が一定以下に制御された樹脂複合材料を用いて成形された成形品は、水の発泡などによる成形不良を生じることがない。
【0020】
そのためにベント部34は、シリンダ33の内部を大気開放し大気圧より大きい蒸気圧で溶融混練体13に含まれる水分(溶媒18)を排出させるだけでなく、さらに減圧ポンプを動作させ大気圧より小さい蒸気圧で水分を排出するようにしてもよい。そして、吐出される溶融混練体13xは、ダイ部35において束状に分岐されて冷却凝固させた後に細断してペレット状の樹脂複合材料にカットされる。
【0021】
多糖類であるセルロースは、多数のβグルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合した天然高分子である。この直鎖状のセルロース分子は、幅0.4nmの長さ500nm程度である。そして30~40本分のセルロース分子が、平行に重なり合って配列し会合体となり、幅3nmの長さ2~3μmのセルロースミクロフィブリル(シングルナノファイバー)を形成している。さらに複数のセルロースミクロフィブリルが束になって幅20~40μmの長さ1~3mm程度のセルロース繊維の単繊維を形成している。
【0022】
このセルロース繊維は、植物細胞の細胞壁及び植物繊維の主成分で、ヘミセルロース及びリグニンと結合して強固な構造体を形成している。紙原料(パルプ)として木材等からセルロース繊維を取り出す一般的な方法は、リグニンを化学的に溶解・除去する化学処理と、リグニンを含んだまま機械的にせん断する機械処理とに分類される。
【0023】
機械処理により取り出されたセルロース繊維は、残留するリグニンにより複数の単繊維が凝集した状態であるため、単繊維そのものよりも幅が大きくアスペクト比が小さい。一方で、化学処理により取り出されたセルロース繊維は、リグニンが除去されているために、単繊維がそれぞれ分離し多くの場合で綿状体を示している。
【0024】
本実施形態で適用されるセルロース系充填材17は、幅の平均が20~60μmの範囲にあるものとする。ここで、幅の平均の範囲の下限(20μm)は、セルロース繊維の単繊維の幅の一般的な下限により規定され、幅の平均の範囲の上限(60μm)は成形品の機械強度を必要レベルに保つために規定されている。本実施形態で適用されるセルロース系充填材17は、機械処理により取り出されたものが、合成樹脂15と優れた界面接着性を持つため好ましいが、化学処理により取り出されたものも特に問題はない。
【0025】
セルロース系充填材17を機械処理により取り出す方法としては、生産効率の観点からい乾式処理が好ましく、具体的にはハンマーミル・ピンミルなどの高速回転粉砕機、回転ミル・振動ミル・遊星ミルなどの粉砕媒体(ロッド、ボール、ビーズなど)を用いる容器駆動型ミルが好適に用いられる。セルロース系充填材17を、繊維状体又は綿状体とする方法は、原料同士が衝突する又は摩砕する工程を含むディスクリファイナー、石臼型摩砕機、ジェットミルなどが好適に用いられる。
【0026】
またセルロース系充填材17の原材料としては、古紙(新聞・雑誌・段ボール・紙パックなど)、紙製品の製造工程で発生する損紙、廃木材などの木質系のほか、竹、稲わら、麦わら、もみ殻、農業残渣(野菜くず、茶滓、ミカンの皮など)、草本類、海藻などを用いることができる。特に、損紙のうち、ノート端材は、紙としてのリサイクルが難しいとされ、SDGsの観点からも好適に用いることができる。
【0027】
セルロース繊維を、さらに機械的又は化学的に解繊し、幅100nm以下のナノスケールにほぐしたものを、セルロースナノファイバー(CNF)と呼んでいる。また、このセルロース繊維を、粉砕処理し粉体にしたものをセルロースパウダーと呼んでいる。セルロース繊維の幅と同等程度の粒径に粉砕された粉体は、セルロース系充填材17として、合成樹脂15と優れた界面接着性を持つ。
【0028】
セルロースナノファイバー(多糖類ナノファイバー)の機械的な解繊方法としては、高圧ホモジナイザー法、グラインダ法、水中カウンターコリジョン(ACC)法、マイクロフリュイダイザー法、凍結粉砕法、超音波解繊法、高速撹拌法、ビーズミル法等がある。そして、セルロースナノファイバー(多糖類ナノファイバー)の化学的な解繊方法としては、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル触媒法(TEMPO酸化法)、酵素加水分解法、カルボキシメチル化法、リン酸エステル化法等がある。
【0029】
セルロースは、D-グルコースがβ-1,4結合し、グルコース基本単位の2位および3位に第二級ヒドロキシ基、6位には第一級ヒドロキシ基を有している。これらのヒドロキシ基間の水素結合がセルロース分子内および分子間で形成されたセルロース繊維は、親水性を示すものの、水や有機溶剤などの溶媒18には溶解しない。その一方で、セルロースナノファイバーは、水との親和性がセルロース繊維と比較して格段に優れるために、水に溶解して糊状体16になる。
【0030】
なおセルロースナノファイバー以外の多糖類ナノファイバーも、一般的にセルロースナノファイバーと類似する分子鎖構造を持つため、溶媒に対し可溶性を示す。このため、溶媒に溶解させて糊状体16を示す多糖類ナノファイバーは、セルロースナノファイバーと同様に、糊状体16の溶質19として採用することができる。そのような多糖類ナノファイバーとして、例えば、キチンナノファイバーが例示される。
【0031】
さらに、セルロース分子は、そのヒドロキシ基に、官能基の導入、原子の置き換え等することで、さらに強化された親水性のセルロース誘導体とすることができる。そのような親水性のセルロース誘導体としては、増粘剤などとして食品用・医薬品用に幅広く利用されているセルロースエーテルが好適に挙げられる。セルロースエーテルは、水との親和性がセルロース繊維と比較して格段に優れるために、水に溶解して糊状体16になる。
【0032】
そのようなセルロースエーテルとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ベンジルセルロース、トリチルセルロース、シアノエチルセルロース、アミノエチルセルロース等が挙げられる。また親水性のセルロース誘導体は、このようなセルロースエーテルに限定されず、溶媒に溶解させて糊状体16を示すものであれば、その溶質19として採用することができる。
【0033】
上述したようにセルロースナノファイバー(多糖類ナノファイバー)は、高い親水性を持つために、上述の解繊方法は水を分散媒として用いる場合が多い。このために、多糖類ナノファイバーの溶質19が初めから水溶媒18に溶解された糊状体16が準備されている場合がある。この場合は、上述した溶解槽26、溶媒容器28、溶質容器29を用いた作業工程は省略される。
【0034】
合成樹脂15は、加熱により溶融する熱可塑性樹脂が採用され、ペレット状に成形された、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系の樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、アクリル・ブチレン・スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリアミド(PA)、の他、土中の微生物の力で水と二酸化炭素に分解されるポリブチレンアジペート-ブチレンテレフタレート共重合体(PBAT)やポリ乳酸(PLA)等の生分解性プラスチックなど、加熱により熱流動する性質を有し一般に押出成形が可能なものであれば、特に制限なく用いることができる。また、これら熱可塑性樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
【0035】
さらに、従来リサイクルの難しかった熱履歴や紫外線などで劣化した廃プラスチックを用いることができる。このほか、リサイクルすることなく廃棄されていた積層フィルム、複合フィルム、積層複合フィルムの端材、使用済みのストレッチフィルムなど、熱可塑性樹脂を含む廃プラスチック類を用いることができる。
【0036】
糊状体16における溶質19の配合比は、1~30重量%であるとする。この配合比が1重量%未満だと糊状体16は、粘性が低すぎてセルロース系充填材17から重力分離し易くなる。一方で配合比が30重量%を超えると、糊状体16の粘性が高すぎて、セルロース系充填材17の表面全体を濡らすことができなくなる。
【0037】
またプレミックス体11における糊状体16の混合比は、10~90重量%であるとする。この混合比が10重量%未満だと糊状体16がセルロース系充填材17の表面全体を濡らすことができなくなり、90重量%を超えると糊状体16がセルロース系充填材17から分離し易くなる。
【0038】
上述したように、糊状体16の配合比及びプレミックス体11の混合比が最適範囲を超えてしまう場合は、均一なプレミックス体11が形成されにくくなり、製造された樹脂複合材料の分散相と連続相との境界におけるバインダ相の形成が不十分となり、成形品の各種機能が低下してしまう。
【0039】
密閉容器30から取り出された溶融混練体13xは、冷却固化した後に細断されペレット(樹脂複合材料)になる。そして、このペレット状の樹脂複合材料は、市場を流通した後に、射出成形機で再溶融され、種々の成形品となる。
【0040】
このようにして製造された樹脂複合材料及び成形品は、合成樹脂15の連続相と、幅が平均で20~60μmである粉体、繊維状体又は綿状体の形状を示すセルロース系充填材17の分散相と、連続相と分散相の境界に偏在し多糖類ナノファイバー及び親水性のセルロース誘導体の少なくとも一方を含むバインダ相と、から構成されている。これにより、連続相と分散相は界面において互いに強く結び付くこととなり、成形品は優れた機械的強度を示すこととなる。
【0041】
本実施形態の成形品は、加熱混練時に溶融混練体13から水(溶媒18)が外部排出されることに起因して、溶質19(多糖類ナノファイバー、親水性のセルロース誘導体)及びセルロース系充填材17が、凝集が抑制されて、合成樹脂15の連続相に微細に分散している。このため、連続相と分散相の界面における接着力が大きくなり溶融張力が大きくなる。
【0042】
なお第1実施形態の原料供給装置20Aでは、糊状体16及びセルロース系充填材17を混ぜたプレミックス体11を、さらに合成樹脂15に混合し、混合体12を生成した。その第1変形例として、糊状体16及び合成樹脂15を混ぜたプレミックス体(図示略)を、さらにセルロース系充填材17に混合し混合体12を生成することもできる。さらに第2変形例として、プレミックス体を経由せずに、糊状体16、セルロース系充填材17及び合成樹脂15を一緒に混合し混合体12を生成することもできる。
【0043】
(第2実施形態)
次に図2を参照して本発明における第2実施形態について説明する。図2は本発明の第2実施形態に係る樹脂複合材料の製造方法を実施する製造システム10B(10)の一例を示した側面図である。この製造システム10Bは、原料供給装置20B(20)と、混練装置30とから構成されている。なお、図2において図1と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
【0044】
第2実施形態に係る樹脂複合材料は、第1実施形態で説明した工程に加え、さらに次の工程を経て製造される。すなわち、混合体12は、糊状体16、セルロース系充填材17及び合成樹脂15に加え、粘土鉱物系物質45及び多価アルコール46の混合物の少なくとも一方が混合される。なお図2では、これら粘土鉱物系物質45及び多価アルコール46は、プレミックスしてから混合体12に混合される形態を示している。
【0045】
第2実施形態の原料供給装置20Bは、第1実施形態の構成に加え、さらに粘土鉱物系物質45を収容する第2充填材容器47(第2実施形態ではセルロース系充填材17の収容は第1充填材容器27とする)と、多価アルコール46を収容する分散剤容器48と、粘土鉱物系物質45及び多価アルコール46を混合し第2プレミックス体42(第2実施形態では、糊状体16とセルロース系充填材17を混ぜたものを第1プレミックス体11という)にする第3混合槽23と、を備えている。
【0046】
多価アルコール46は、エチレングリコール、1,4ブタンジオールなどのグリコール類が好適に用いられる。これら多価アルコール46は、2種以上を用いることができる。また、粘土鉱物系物質45は、カオリナイトが好適に用いられる。ここで、粘土鉱物系物質45は、樹脂複合材料への充填材であり、多価アルコール46は樹脂複合材料に充填材を均一分散させる分散剤として作用する。すなわち多価アルコール46は、連続相を成形する合成樹脂15の溶融時の粘性を下げ、分散相を形成する充填材の凝集を防止して、連続相に微細かつ均一な分散相の形成に寄与する。
【0047】
このようにして製造された樹脂複合材料及び成形品は、多価アルコール48が溶解している合成樹脂15の連続相と、セルロース系充填材17の第1分散相と、粘土鉱物系物質45の第2分散相と、連続相と分散相の境界に偏在し多糖類ナノファイバー及び親水性のセルロース誘導体の少なくとも一方を含むバインダ相と、から構成されている。これにより、連続相と分散相は界面において互いに強く結合することとなり、成形品は優れた機械的強度を示すこととなる。
【0048】
これは、連続相を形成する合成樹脂15に溶解する多価アルコール46が、分散相を形成している粘土鉱物系物質45やセルロース系充填材17と水素結合することによると考えられる。また、多価アルコール46と粘土鉱物系物質45が配合されることにより、樹脂複合材料の成形品の表面平滑性が向上する。さらに流動パラフィンを混合させることで成形品を色鉛筆で塗ることが可能になる。これは、流動パラフィンが成形品の表層に来るため、色鉛筆に含まれる蝋との親和性が高まるためと考えられる。
【0049】
なお第2実施形態の原料供給装置20Bにおいて、粘土鉱物系物質45及び多価アルコール46の第2プレミックス体42を、糊状体16、セルロース系充填材17及び合成樹脂15に混合し混合体12を生成したものを示した。その第1変形例として、粘土鉱物系物質45及び多価アルコール46は、第2プレミックス体42を経ずに、それぞれ個別に投入して混合体12を生成することもできる。さらに第2変形例として、セルロース系充填材17及び合成樹脂15のいずれか一方のみを投入し、混合体12を生成する場合もある。
【実施例0050】
次に本実施形態の効果を確認した実施例について説明する。図3(A)はセルロース系充填材17として木粉(リグニン残留)を配合した場合について本発明の成形性を評価した実施例1,2と比較例1,2を示す表である。図3(B)はセルロース系充填材17としてノート端材(リグニン除去)を配合した場合について本発明の成形性を評価した実施例3,4と比較例3,4を示す表である。
【0051】
図3(A)のセルロース系充填材17として用いる木粉は、建設廃材を粉体化処理したものである。木粉としたのは、建設廃材はリグニンが残っており防腐処理などがなされていることから、解繊し繊維状にするのが困難なためである。図3(B)のセルロース系充填材17として用いるノート端材は、解繊処理により繊維状/綿状体としたものである。繊維状/綿状体としたのは、ノート端材は製紙工程においてリグニンが取り除かれ、解繊が比較的容易なためである。
【0052】
成形品の評価は、重袋として用いられる厚さ80μmのフィルムのインフレーション法による成形性、及び厚さ500μmの一般に真空・圧空成形に用いられるシートのTダイ法による成形性を対象とした。これらインフレーション法及びTダイ法の評価は、フィルム及びシートのそれぞれの成形品の状態を、平滑◎、穴あき無し○、穴あきあり△、不可×に分類して評価した。なお、セルロース系充填材17を含む樹脂複合材料のフィルム・シート加工は困難性が高いと一般に言われている。
【0053】
(実施例1)
実施例1においてセルロース系充填材17は、建設廃材を振動ボールミルにより幅を平均で60μmに粉砕した木粉を用いた。そして糊状体16は、溶質19としてカルボキシメチルセルロース(以下「CMC」という)が質量比1に対し溶媒18として水が質量比20として混合・撹拌したものを用いた。また合成樹脂15は、低密度ポリエチレン(以下「LDPE」という)を用いた。そして実施例1の配合は、合成樹脂15(LDPE)が40重量部、セルロース系充填材17(木粉)が30重量部、糊状体16が30重量部とした。
【0054】
実施例1の配合で、インフレーション法により、厚みが80μmになるよう換算により設定した引取り速度で、フィルム成形した。そしたところ、穴あき無しのフィルムを成形することができた。しかしマイクロメーターで、フィルム表面の凹凸を10か所測定し厚みムラを評価したところ、測定値にばらつきがあり平滑とは言えない状態であった。
【0055】
実施例1の配合で、Tダイ法により、厚みが500μmになるよう換算により設定した引取り速度で、シート成形した。そしたところ、穴あき無しのシートを成形することができた。そしてマイクロメーターで、シート表面の凹凸を10か所測定し厚みムラを評価したところ、ほぼ同じ値を示し平滑な状態であった。
【0056】
(比較例1)
比較例1において、実施例1との相違点は、セルロース系充填材17(木粉)を、ピンミル粉砕機により幅を平均で300μmに粉砕した点であり、それ以外の糊状体16及び合成樹脂15並びにこれらの配合は同一である。
【0057】
比較例1の配合で、インフレーション法でフィルム成形したところ、穴あきが多く発生しフィルムが成形できなかった。Tダイ法で厚みが500μmになるよう換算により設定した引取り速度で、シート成形した。そしたところ、シートの成形は可能であったが、木粉の粒径が大きい箇所で穴あきが発生することがあった。
【0058】
(実施例2)
実施例2では、実施例1に対し、さらに粘土鉱物系物質45としてカオリナイト、多価アルコール46としてエチレングリコール(以下「EG」という)を加えた。そして実施例2の配合は、合成樹脂15(LDPE)が40重量部、セルロース系充填材17(木粉)が25重量部、糊状体16が25重量部、多価アルコール46(EG)が5重量部、粘土鉱物系物質45(カオリナイト)が5重量部とした。
【0059】
実施例2の配合で、インフレーション法により、厚みが80μmになるよう換算により設定した引取り速度で、フィルム成形した。そしたところ、平滑な状態のフィルムを成形することができた。またTダイ法で厚みが500μmになるように成形したシートも平滑な状態で成形できた。
【0060】
(比較例2)
比較例2において、比較例1との相違点は、糊状体16に替えて溶媒18(水)を単体で用いた点であり、それ以外の充填材17(木粉)及び合成樹脂15(LDPE)並びにこれらの配合は同一である。比較例2では、インフレーション法は全く吹き上げることができない状態でフィルム成形が不可で、Tダイ法も網状となり切れてしまう状態でシート成形は不可であった。
【0061】
上述した実施例1、実施例2及び比較例1の結果から、糊状体16に含まれるCMCは木粉の充填材17と合成樹脂15を橋架けする作用を持つと考えられ、両者は分断することなく一体化して熱流動するといえる。その一方、充填材17である木粉の幅がフィルムやシートの厚みよりも大きくなると、両者が分断され易くなり一体化した熱流動が困難になるといえる。
【0062】
(実施例3)
実施例3において、実施例1との相違点は、セルロース系充填材17を、ジェットミルにより綿状体にしたノート端材とした点である。そして、セルロース系充填材17以外では、糊状体16及び合成樹脂15並びにこれらの配合は、実施例1と実施例3は同じである。
【0063】
実施例3の配合で、インフレーション法により、厚みが80μmになるよう換算により設定した引取り速度で、フィルム成形した。そしたところ、実施例1と同じ状態レベルのフィルムを成形することができた。またTダイ法で厚みが500μmになるように成形したシートも実施例1と同じ状態レベルの平滑な状態で成形できた。
【0064】
(比較例3)
比較例3において、実施例3との相違点は、セルロース系充填材17(ノート端材)を、ピンミル粉砕機により幅を平均で300μmに粉砕した点であり、それ以外の糊状体16及び合成樹脂15並びにこれらの配合は同一である。
【0065】
比較例3の配合で、インフレーション法でフィルム成形したところ、穴あきが多く発生しフィルムが成形できなかった。その一方でTダイ法では、厚みが500μmになるようにシート成形したところ、穴あきが発生することなくシートの成形は可能であった。これは、リグニンを含まないノート端材の充填材17は、リグニンを含む木粉の充填材17と比べ、混練時の微粒化が進みやすいためと考えらえる。
【0066】
(実施例4)
実施例4において、実施例2との相違点は、セルロース系充填材17が、ジェットミルにより綿状体にしたノート端材とした点である。そして、充填材17(綿状体にしたノート端材)以外では、糊状体16及び合成樹脂15並びにこれらの配合は、実施例1と実施例1は同じである。実施例4の配合では、インフレーション法により平滑な状態のフィルムを成形することができ、Tダイ法によっても平滑な状態のシートが成形できた。
【0067】
(比較例4)
比較例4において、比較例3との相違点は、糊状体16に替えて溶媒18(水)を単体で用いた点であり、それ以外の充填材17(木粉)及び合成樹脂15並びにこれらの配合は同一である。比較例4では、比較例2と同様に、インフレーション法は全く吹き上げることができない状態でフィルム成形が不可で、Tダイ法も網状となり切れてしまう状態でシート成形は不可であった。
【0068】
実施例1と実施例3、実施例2と実施例4を比べると、いずれも、充填材17としてノート端材を使用したほうが、得られたフィルム及びシートの厚みが小さく計測された。これは、幅の大きさが同じでもアスペクト比が大きい充填材17のほうが合成樹脂15との接着性がより高くなるためと考えられる。
【0069】
図4は樹脂複合材料の成形品のヒンジ耐性と塗装性を評価した実施例5,6と比較例5を示す表である。図5はクロスカット法における塗装性の評価基準である。ここで、ヒンジ耐性とは、樹脂複合材料をプラモデル用の金型で射出成型した成形品し対し、折り曲げを繰り返してちぎれるまでの回数で表している。評価基準として、折り曲げの回数が50回を超えたものを〇とし、超えないものはその回数を示している。塗装性は、クロスカット法(JIS K5600-5-6)に準拠し、結果を分類0~5として表した。この分類は数字が小さい程、塗装性を優れていることを表している。
【0070】
実施例5の樹脂複合材料は、合成樹脂15をポリスチレン(以下「PS」という)とし、セルロース系充填材17を幅が平均で約30μmのセルロースパウダー(以下「CP」という)とし、多価アルコール46をエチレングリコール(以下「EG」という)とし、及び粘土鉱物系物質45をカオリナイトとして、表で示した重量部で配合した。
【0071】
実施例6の樹脂複合材料は、実施例5の配合に対し、さらに多価アルコール46を1,4ブタンジオール(以下「BDO」という)として配合し、さらに流動パラフィンを配合して、表で示した重量部で配合した。比較例5の樹脂複合材料は、合成樹脂15が100重量部のポリスチレンとした。
【0072】
実施例5は、ヒンジ耐性に関しあと僅かながら評価基準を満たせず、塗装性は分類2で比較例5よりは高い評価あった。これに対し、実施例6は、ヒンジ耐性の評価基準を満たしただけでなく、塗装性についても分類0という高評価が得られた。また実施例5及び実施例6については、比較例5では不可能な、色鉛筆で塗ることが可能であった。
【符号の説明】
【0073】
10(10A,10B)…製造システム、11…プレミックス体(第1プレミックス体)、12…混合体、13,13x…溶融混練体、15…合成樹脂、16…糊状体、17…セルロース系充填材、18,18x…溶媒(水溶媒)、19…溶質、20A,20B…原料供給装置、21…第1混合槽、22…第2混合槽、23…第3混合槽、25…樹脂容器、26…溶解槽、27…充填材容器(第1充填材容器)、28…溶媒容器、29…溶質容器、30…混練装置(密閉容器)、31…投入部、32…駆動部、33…シリンダ、34…ベント部、35…ダイ部、42…第2プレミックス体、45…粘土鉱物系物質、46…多価アルコール、47…第2充填材容器、48…分散剤容器。
図1
図2
図3
図4
図5