(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030878
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】機能液流路ユニット及び機能液吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20250228BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20250228BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
B41J2/175 503
B41J2/17
B05C5/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136551
(22)【出願日】2023-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸 偉人
【テーマコード(参考)】
2C056
4F041
【Fターム(参考)】
2C056EA26
2C056FA13
2C056FA14
2C056HA15
2C056HA42
2C056HA44
2C056KB14
2C056KB18
2C056KB40
4F041AA02
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA05
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA46
(57)【要約】
【課題】加熱された機能液の温度低下を抑制して液滴吐出部に供給可能な機能液流路ユニット及び機能液吐出装置を提供する。
【解決手段】インク流路ユニット100は、インクタンク342から供給されるインクを流す流路Rを有して加熱部材Hにより加熱される流路部材343と、機能液を吐出する記録ヘッド340の流入部340aと、を繋ぎ、第1の端部110aが流路Rに接続される第1のパイプ部材110と、流路Rから第1のパイプ部材110内を通るように設けられる熱伝達部材130と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能液貯留部から供給される機能液を流す流路を有して加熱部材により加熱される流路部材と、機能液を吐出する液滴吐出部の流入部と、を繋ぐ機能液流路ユニットであって、
第1の端部が前記流路に接続される第1のパイプ部材と、
前記流路から前記第1のパイプ部材内を通るように設けられる熱伝達部材と、を備える機能液流路ユニット。
【請求項2】
前記熱伝達部材は、前記流入部の流入口に達するように設けられる請求項1に記載の機能液流路ユニット。
【請求項3】
前記熱伝達部材は、金属からなる請求項1に記載の機能液流路ユニット。
【請求項4】
前記熱伝達部材は、アルミニウムからなる請求項3に記載の機能液流路ユニット。
【請求項5】
前記熱伝達部材は、機能液の流動方向と略垂直な方向に突出する突起である保持部を備え、
前記第1のパイプ部材は、前記保持部を支持して機能液の流動方向における前記熱伝達部材の位置を規定する支持部を備える請求項1に記載の機能液流路ユニット。
【請求項6】
前記第1のパイプ部材の第2の端部と前記流入部とを連通させる第2のパイプ部材を備える請求項1に記載の機能液流路ユニット。
【請求項7】
前記第2のパイプ部材は、断熱性を有する請求項6に記載の機能液流路ユニット。
【請求項8】
前記第2のパイプ部材の周面に断熱部材を備える請求項6に記載の機能液流路ユニット。
【請求項9】
機能液を貯留する機能液貯留部と、
前記機能液貯留部から供給される機能液を流す流路を有する流路部材と、
前記流路部材を加熱する加熱部材と、
前記機能液を吐出する液滴吐出部と、
請求項1から8のいずれか一項に記載の機能液流路ユニットと、を備える機能液吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能液流路ユニット及び機能液吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液滴吐出部から機能液の液滴を吐出する機能液吐出装置が知られている。機能液吐出装置においては、常温では高粘度の機能液を液滴吐出部から吐出させるために、ヒーター等の加熱部材が設けられる。
【0003】
中でも、例えば特許文献1には、メインタンクと液滴吐出部の流入部の間に設けられた流路部材に加熱部材を設ける構成が記載されている。当該構成は、機能液の温度を下げずに液滴吐出部に供給することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明においては、流路部材と流入部を繋ぐ流路ユニットには加熱部材を設けていない。そのため、流路ユニットの長さ等によっては、加熱部材の熱が流入部まで伝熱しにくい。結果、液滴吐出部で機能液の温度が低下するおそれがある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものである。その目的は、加熱された機能液の温度低下を抑制して液滴吐出部に供給可能な機能液流路ユニット及び機能液吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
機能液貯留部から供給される機能液を流す流路を有して加熱部材により加熱される流路部材と、機能液を吐出する液滴吐出部の流入部と、を繋ぐ機能液流路ユニットであって、
第1の端部が前記流路に接続される第1のパイプ部材と、
前記流路から前記第1のパイプ部材内を通るように設けられる熱伝達部材と、を備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の機能液流路ユニットであって、
前記熱伝達部材は、前記流入部の流入口に達するように設けられる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の機能液流路ユニットであって、
前記熱伝達部材は、金属からなる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の機能液流路ユニットであって、
前記熱伝達部材は、アルミニウムからなる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の機能液流路ユニットであって、
前記熱伝達部材は、機能液の流動方向と略垂直な方向に突出する突起である保持部を備え、
前記第1のパイプ部材は、前記保持部を支持して機能液の流動方向における前記熱伝達部材の位置を規定する支持部を備える。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の機能液流路ユニットであって、
前記第1のパイプ部材の第2の端部と前記流入部とを連通させる第2のパイプ部材を備える。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の機能液流路ユニットであって、
前記第2のパイプ部材は、断熱性を有する。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の機能液流路ユニットであって、
前記第2のパイプ部材の周面に断熱部材を備える。
【0015】
請求項9に記載の発明は、機能液吐出装置であって、
機能液を貯留する機能液貯留部と、
前記機能液貯留部から供給される機能液を流す流路を有する流路部材と、
前記流路部材を加熱する加熱部材と、
前記機能液を吐出する液滴吐出部と、
請求項1から8のいずれか一項に記載の機能液流路ユニットと、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、液滴吐出部から高温の機能液を吐出できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】インクジェット記録装置の内部構成を示す側断面図である。
【
図2】インクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】インク吐出部の概略構成を示す斜視図である。
【
図4】インク吐出部の記録ヘッド近傍を示す拡大図である。
【
図5】記録ヘッドと流路部材を繋ぐインク流路ユニットを一部断面視して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の機能液流路ユニットを備えた機能液吐出装置の一実施形態であるインクジェット記録装置について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0019】
[インクジェット記録装置の全体構成]
図1は、インクジェット記録装置1の主要構成を示す側断面図である。インクジェット記録装置1は、本発明の機能液吐出装置の一実施形態である。また、
図2は、インクジェット記録装置1の機能構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置1は、給紙部2、画像形成部3、集積部4及び制御部5等を備える。
【0020】
(給紙部)
給紙部2は、制御部5の制御下で、記録媒体Pを画像形成部3に搬送する。給紙部2は、給紙トレー21、供給部22及び搬送部23等を備える。
【0021】
{給紙トレー}
給紙トレー21は、画像形成前の記録媒体Pを格納する板状部材である。給紙トレー21は、一又は複数の記録媒体Pを載置可能に設けられる。給紙トレー21は、載置された記録媒体Pの量に応じて上下動する。給紙トレー21は、当該上下動により、最上の記録媒体Pが搬送部23によって搬送される位置で保持される。
【0022】
{供給部、搬送部}
供給部22は、給紙トレー21に載置された最上の記録媒体Pを搬送部23に供給する。搬送部23は、給紙トレー21から画像形成部3へ記録媒体Pを搬送する。搬送部23は、搬送機構を備える。搬送機構は、ベルト233を駆動して、ベルト233上の記録媒体Pを搬送する。ベルト233は、輪状である。また、ベルト233の輪の内側は、複数のローラー231、232により担持される。
【0023】
(画像形成部)
画像形成部3は、制御部5の制御下で記録媒体Pに記録動作を実行する。画像形成部3の詳細な構成は後述する。
【0024】
(集積部)
集積部4は、画像形成部3で画像記録された記録媒体Pを搬送して格納する。集積部4は、格納トレー41及び集積用搬送部42を備える。
【0025】
{格納トレー}
格納トレー41は、画像記録後の記録媒体Pを格納する板状部材である。格納トレー41は、一又は複数の記録媒体Pを載置可能に設けられる。
【0026】
{集積用搬送部}
集積用搬送部42は、画像形成部3から格納トレー41まで記録媒体Pを搬送する。集積用搬送部42には、複数の集積用搬送チェーンスプロケット421、422、423が設けられる。1つの集積用搬送チェーンスプロケット421は、画像形成部3内に配置されている。他方、その他の集積用搬送チェーンスプロケット422、423は、集積部4内に配置されている。画像形成部3で画像形成された記録媒体Pは、集積用爪部425によって集積用搬送ベルト424上に保持された状態で搬送される。当該保持は、格納トレー41上で解除される。そして、記録媒体Pは格納トレー41に格納される。
【0027】
(制御部)
制御部5は、インクジェット記録装置1の各部を制御する。また、制御部5は、ROM(Read Only Memory)51、CPU(Central Processing Unit)52及びRAM(Random Access Memory)53等から構成されている。ROM51は、インクジェット記録装置1の各構成要素を制御するためのプログラムを記憶する。CPU52は、ROM51に記憶されたプログラムをRAM53で実行する。
【0028】
[画像形成部の詳細な構成]
図1に示すように、画像形成部3は、受け渡しドラム31及び画像形成ドラム32を備える。また、画像形成ドラム32の周囲には、加熱ローラー33、36、複数のインク吐出部34、UVランプ35等が配置されている。
【0029】
(受け渡しドラム)
受け渡しドラム31は、給紙部2から搬送された記録媒体Pを画像形成ドラム32に受け渡す記録媒体供給手段である。受け渡しドラム31の外周の一部は、画像形成ドラム32に近接している。そして、この近接部分で記録媒体Pを画像形成ドラム32に受け渡す。
【0030】
受け渡しドラム31には、不図示の複数の爪部及び吸着部が設けられる。爪部は、記録媒体Pの一端部を挟持して画像形成ドラム32の外周面で保持する。吸着部は、静電吸着あるいは吸引によって、記録媒体Pを受け渡しドラム31の外周面に吸着する。
【0031】
(画像形成ドラム)
画像形成ドラム32は、受け渡しドラム31から記録媒体Pを受け取って、搬送方向に搬送する。
【0032】
(加熱ローラー)
加熱ローラー33は、画像形成ドラム32上に保持されたインク吐出部34による画像記録前の記録媒体Pを加熱する。加熱ローラー33は、受け渡しドラム31の搬送方向の直下流、すなわち、受け渡しドラム31とインク吐出部34との間に配置される。加熱ローラー33の一部は、画像形成ドラム32の外周面に当接している。画像形成時においては、記録媒体Pが加熱ローラー33と画像形成ドラム32の間に介在する。このとき、加熱ローラー33は、記録媒体Pを画像形成ドラム32の外周面に押し当てて密着させる。
【0033】
(インク吐出部)
インク吐出部34は、インク滴を吐出して記録媒体Pに画像を記録する。インク吐出部34の詳細な構成は後述する。
【0034】
(UVランプ)
UVランプ35は、例えば紫外線等のエネルギー線を画像形成ドラム32上の記録媒体Pに対して照射するエネルギー線照射手段である。UVランプ35は、画像形成ドラム32の幅方向の全長に亘って延在する。UVランプ35は、複数のインク吐出部34における記録媒体Pの搬送方向の直下流に配置される。
【0035】
エネルギー線として紫外線を用いる場合、光源としては、例えば、蛍光管(低圧水銀ランプや殺菌灯等)、冷陰極管、紫外レーザー、水銀ランプ、メタルハライドランプ及びLED等が挙げられる。特にインクの硬化性の観点から、照度100mW/cm2以上の高照度なUV光を発光可能な高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ及びLED等が光源として好ましい。中でも更に、消費電力の観点からLEDが光源として好ましいが、これに限られない。
【0036】
UVランプ35の搬送方向の直下流には、集積用搬送部42の集積用搬送ローラーである上記の集積用搬送チェーンスプロケット421が配置されている。画像形成ドラム32の一部の外周は、集積用搬送チェーンスプロケット421の集積用搬送ベルト424に近接している。そして、この近接部分で画像形成ドラム32は記録媒体Pを集積用搬送ベルト424に受け渡す。
【0037】
(冷却ファン、加熱ローラー)
また、集積用搬送チェーンスプロケット421の直下流には、画像形成ドラム32の外周面を送風により冷却する不図示の冷却ファンが設けられている。そして、冷却ファンの直下流には、第2の加熱部である加熱ローラー36が設けられている。加熱ローラー36は、加熱ローラー33と略同一の構造である。そのため、詳細な説明は省略する。
【0038】
[インク吐出部の具体的構成]
図3は1つのインク吐出部34の拡大斜視図である。
図3に示すように、各インク吐出部34は、それぞれヘッド部34a及びキャリッジ34bを備える。各インク吐出部34のヘッド部34aは、画像形成ドラム32の幅方向の全長に亘って延在しているライン式の記録ヘッド部である。また、
図1に示すように、インク吐出部34は、画像形成ドラム32の周方向に沿うように、記録媒体Pの搬送方向に並んで複数配置されている。本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のインクを吐出できる4個のインク吐出部34を備える。なお、インク吐出部34の数は4個に限られず、必要な色彩の数に応じて増減されて良い。
【0039】
上記したように、ヘッド部34aから吐出されるインクは、温度によってゲル状又は固体状と、液状とに相変化する。具体的には例えば、40℃以上、100℃未満に相転移点を有するインクである。
【0040】
また、搬送方向の上流側で吐出されるインクは、搬送方向の下流側で吐出されるインクよりも、相転移温度が高くなるように調整されている。具体的に、吐出されるインクの相転移温度を上流側から順にP1~P4とすると、P1>P2>P3>P4という関係になる。特に、搬送方向に隣接する一対のインク吐出部34で吐出されるインクの相転移温度の差は、0.5℃~10℃であるのが好ましく、1℃~5℃であるのがなお好ましい。なお、インクの相転移温度は、添加されるゲル化剤の種類及び量や、活性光線硬化型モノマーの種類を変えることで調整可能である。
【0041】
(ヘッド部)
図3に示すように、ヘッド部34aは、液滴吐出部である記録ヘッド340、ヘッド固定板341、インクタンク342及び流路部材343を備える。
【0042】
{ヘッド固定板}
ヘッド固定板341は、画像形成ドラム32の全長に亘る長さを有する。ヘッド固定板341には、複数の記録ヘッド340が配設される。複数の記録ヘッド340は、画像形成ドラム32による記録媒体Pの搬送方向と交差する方向に沿う複数の列をなすように、ヘッド固定板341に配列されている。
図3に示すように、本実施形態では、千鳥配列となるように、8つの記録ヘッド340が4つずつ2列に配列されている。なお、各記録ヘッド340は、ヘッド固定板341の下面側から画像形成ドラム32の外周面に向けてインクを吐出可能に取り付けられる。具体的には、各記録ヘッド340のインク吐出面は、ヘッド固定板341の下面から露出する。
【0043】
{インクタンク}
インクタンク342は、例えば金属製の剛体密閉タンクである。インクタンク342は、各記録ヘッド340に供給するインクを貯留する機能液貯留部である。
【0044】
{流路部材}
流路部材343(
図4参照)は、インクタンク342から各記録ヘッド340にインクを供給するための流路R(
図4参照)を有する。流路部材343の詳細な構成は後述する。
【0045】
(キャリッジ)
キャリッジ34bは、ヘッド部34aを保持する。キャリッジ34bは、一対のアーム部344と2枚の連結板345、345を備える。アーム部344は、ヘッド固定板341の両端を挟むように保持する。連結板345、345は、一対のアーム部344を連結する。
【0046】
キャリッジ34bは、記録媒体Pの搬送方向と交差する方向(例えば直交する方向)に延在する図示しないレールに接続されている。そして、キャリッジ34bは、当該レールに沿って記録媒体Pの搬送方向と交差する方向に移動可能に配されている。すなわち、キャリッジ34bは、複数のヘッド部34aを個別に移動可能に支持している。インク吐出部34は、当該構成により、画像形成ドラム32に対向して画像形成を実行するプリント位置と画像形成ドラム32から記録媒体Pの搬送方向と交差する方向に離間するメンテナンス位置とを往還できる。
【0047】
図4は、1つの記録ヘッド340近傍の拡大図である。また、
図5は、記録ヘッド340と流路部材343を繋ぐインク流路ユニット100を一部断面視して示す説明図である。記録ヘッド340は、流入部340aと排出部340bを有するインク循環型のインクジェットヘッドである。
【0048】
(流路部材)
流路部材343は、インクタンク342から供給されたインクが流れる流路Rを備える。流路部材343は、第1流路部材343aと第2流路部材343bの2つの部材によって構成される。
【0049】
第1流路部材343aには、第1流路Raが形成されている。第1流路Raには、インクタンク342から供給されたインクが流れる。第1流路部材343aは、例えば熱伝導性に優れたアルミニウム等の金属によって構成される。また、第1流路部材343aの下面側には、第1流路部材343aを通過するインクを加熱する加熱部材Hが設けられる。加熱部材Hは、例えばシーズヒーターである。
【0050】
第2流路部材343bには、第2流路Rbが形成されている。第2流路Rbには、第1流路Raから供給されたインクが流れる。第2流路部材343bは、例えば、熱伝導性に優れたアルミニウム等の金属によって構成される。第2流路部材343bは、例えばボルトB等の固定部材によって第1流路部材343aに固定される。
【0051】
第2流路部材343bを第1流路部材343aに固定すると、第1流路Ra及び第2流路Rbが連通して1つの流路Rとなる。また、第2流路部材343bを第1流路部材343aに固定すると、加熱部材Hの熱が第2流路部材343bに伝導する。そのため、第2流路Rbを通過するインクも加熱できる。また、例えば、メンテナンス等で記録ヘッド340を取り外す時は、固定部材を外して第1流路部材343aと第2流路部材343bを分離することで、記録ヘッド340を容易に交換できる。
【0052】
記録ヘッド340の流入部340aと第2流路部材343bの間には、インク流路ユニット100が取り付けられる。インク流路ユニット100により、記録ヘッド340にインクタンク342からインクが供給される。
【0053】
(インク流路ユニット)
インク流路ユニット100は、流路部材343と記録ヘッド340の流入部340aとを連通する部材である。
図5に示すように、インク流路ユニット100は、第1のパイプ部材110、第2のパイプ部材120、熱伝達部材130及びOリング140等を備える。
【0054】
{第1のパイプ部材}
第1のパイプ部材110は、例えば、熱伝導性に優れたアルミニウム等によって構成される管状の部材である。第1のパイプ部材110の第1の端部110aは、流路部材343の流路R(第2流路部材343bの第2流路Rb)に接続される。
【0055】
{第2のパイプ部材}
第2のパイプ部材120は、例えば、保温性に優れたSUS等からなる管状の部材である。第2のパイプ部材120の第1の開口部120aには、第1のパイプ部材110の第2の端部110bが差し込まれる。また、第2のパイプ部材120の第2の開口部120bには、記録ヘッド340の流入部340aが差し込まれる。当該構成により、第2のパイプ部材120は、第1のパイプ部材110と記録ヘッド340を連通させる。
【0056】
〈断熱部材〉
また、第2のパイプ部材120は、断熱性を有して内部の熱を保温する断熱部材120cをその周面に備える。断熱部材120cは、例えばSUSやフッ素系樹脂で第2のパイプ部材120の周面を覆うようにメッキ加工することで構成される。
【0057】
なお、第2のパイプ部材120に断熱部材120cを設けずとも、断熱性を有する素材で第2のパイプ部材120を形成してもよい。
【0058】
また、
図5に示すように、第1のパイプ部材110は、第2のパイプ部材120の長手方向中央よりも第2の開口部120bに近い位置まで挿入されている。そのため、第2のパイプ部材120は、第1のパイプ部材110の長い範囲を保温できる。また、第1のパイプ部材110は、温められたインクを記録ヘッド340の流入部340aに近い位置まで温めた状態で供給できる。
【0059】
また、第1のパイプ部材110の外周面と第2のパイプ部材120の内周面との間には、僅かな間隙が設けられる。同様に、流入部340aの外周面と第2のパイプ部材120の内周面との間には、僅かな間隙が設けられる。このような遊びにより、部品精度や熱膨張等に起因する記録ヘッド340と流路部材343の相対位置のズレや、記録ヘッド340の姿勢精度を調整した際の位置ズレ等が許容される。
【0060】
(熱伝達部材)
熱伝達部材130は、流路Rから第1のパイプ部材110内を通って流入部340aの流入口340a1に達するように配設される棒状部材である。インクの吐出方向における熱伝達部材130の幅長は、流路部材343、インク流路ユニット100及び流入部340aのインク流路よりも短い。そのため、熱伝達部材130が配設されていても、流路部材343、インク流路ユニット100及び流入部340aにはインクが流れる。
【0061】
熱伝達部材130は、流路部材343や第1のパイプ部材110、あるいはインクから取得した熱を流入部340aに伝達する。したがって、熱伝達部材130は、耐インク性及び伝熱性の観点から、金属によって構成されるのが好ましい。特に、熱伝達部材130は、アルミニウムによって構成されるのが好ましい。
【0062】
なお、
図5においては、熱伝達部材130が流入口340a1に達するように配設される場合を例示しているが、これに限られない。あくまで熱伝達部材130は、熱を流入部340aに伝達できればよい。そのため、熱伝達部材130は、流入口340a1に達するように配設されなくてもよい。
【0063】
〈保持部〉
また、熱伝達部材130は、保持部130aを備える。保持部130aは、インクの流動方向と略垂直な方向に突出するように設けられた突起である。保持部130aは、
図5に示すように、第1のパイプ部材110内に設けられた支持部110cにより支持される。支持部110cが保持部130aを支持することで、インク流路ユニット100内のインクの流動方向(
図5においては記録ヘッド340のインク吐出方向)における熱伝達部材130の位置が規定される。
【0064】
熱伝達部材130が、インクの流動方向を除く方向に自由であると、流路部材343と記録ヘッド340の接続関係に遊びができる。このような遊びにより、部品精度や熱膨張等に起因する記録ヘッド340と流路部材343の相対位置のズレや、記録ヘッド340の姿勢精度を調整した際の位置ズレ等が許容される。
【0065】
(Oリング)
Oリング140は、第1のパイプ部材110と第2のパイプ部材120、あるいは第2のパイプ部材120と流入部340aを繋ぐ円環部材である。Oリング140は、弾性変形可能である。そのため、Oリング140は圧接されて第1のパイプ部材110と第2のパイプ部材120、あるいは第2のパイプ部材120と流入部340aに密着する。当該構成により、Oリング140は、インク流路ユニット100の間隙からのインクの漏れを防ぐ。
【0066】
[実施形態の効果]
以上に示すように、本実施形態に係るインク流路ユニット100は、インクジェット記録装置1の流路部材343と、記録ヘッド340の流入部340aを繋ぐ。また、インク流路ユニット100は、第1のパイプ部材110を備える。第1のパイプ部材110は、一端部である第1の端部110aが流路部材343の流路Rに接続される。そのため、第1のパイプ部材110は、流路部材343の加熱部材Hから伝熱する。また、インク流路ユニット100は、流路Rから第1のパイプ部材110内を通るように設けられる熱伝達部材130を備える。当該構成によれば、加熱部材Hの熱が流路部材343及び熱伝達部材130を経由して流入部340aに伝達する。そのため、加熱部材Hで加熱されたインクの温度低下を抑制して記録ヘッド340に供給できる。
【0067】
また、熱伝達部材130は、流入部340aの流入口340a1に達するように設けられる。当該構成によれば、インクの温度低下の抑制効果をより高められる。
【0068】
また、熱伝達部材130は、金属、特にアルミニウムからなる。当該構成によれば、熱伝達部材130の伝熱性が特に優れたものとなる。そのため、記録ヘッド340がより高温のインクを吐出できる。
【0069】
また、熱伝達部材130は、インクの流動方向と略垂直な方向に突出する突起である保持部130aを備える。そして、第1のパイプ部材110は、保持部130aを支持してインクの流動方向における伝熱部材の位置を規定する支持部110cを備える。当該構成によれば、熱伝達部材130がインクの流動方向を除く方向に自由となる。そのため、流路部材343と記録ヘッド340の接続関係に遊びができる。結果、部品精度や熱膨張等に起因する記録ヘッド340と流路部材343の相対位置のズレや、記録ヘッド340の姿勢精度を調整した際の位置ズレ等が許容される。
【0070】
また、インク流路ユニット100は、第1のパイプ部材110と流入部340aとを連通させる第2のパイプ部材120を備える。当該構成によれば、インク流路ユニット100が複数の部材によって構成される。そのため、流路部材343と記録ヘッド340の接続関係に遊びができる。結果、部品精度や熱膨張等に起因する記録ヘッド340と流路部材343の相対位置のズレや、記録ヘッド340の姿勢精度を調整した際の位置ズレ等がより許容される。
【0071】
また、第2のパイプ部材120は、断熱性を有する。または、第2のパイプ部材120は、その周面に断熱部材120cを備える。当該構成によれば、インク流路ユニット100内を流れるインクの保温性がより高まる。
【0072】
[その他の構成]
以上、本発明に係る実施の形態に基づいて具体的に説明を行ったが、本発明が上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明が、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む様々な変更が可能であるのはもちろんである。
【0073】
例えば、
図5においては、本実施形態における記録ヘッド340の流入部340aの形状が、段差を有して先細る先端形状を有する場合を例示しているが、これに限らない。流入部340aの形状は、その外周面と第2のパイプ部材120の内周面との間に僅かな間隙を有して、Oリング140を介して繋ぐことができればよく、特に限定されない。
【0074】
また、上記においては、流入部340aにインク流路ユニット100を取り付けるとしたが、
図4に示すように、排出部340bにもインク流路ユニット100を取り付けてもよい。
【0075】
また、
図5においては、支持部110cが突起である場合を例示したが、これに限られない。支持部110cは、保持部130aを支持できればよく、例えば斜面でもよい。
【0076】
また、上記においては、機能液吐出装置の一実施形態として、インクを吐出するインクジェット記録装置1を例示したが、これに限られない。すなわち、機能液はインクに限られない。機能液吐出装置は、例えば前処理剤等の液滴を吐出してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 インクジェット記録装置(機能液吐出装置)
100 インク流路ユニット(機能液流路ユニット)
110 第1のパイプ部材
110a 第1の端部
110b 第2の端部
110c 支持部
120 第2のパイプ部材
120c 断熱部材
130 熱伝達部材
130a 保持部
340 記録ヘッド(液滴吐出部)
340a 流入部
340a1 流入口
342 インクタンク(機能液貯留部)
343 流路部材
H 加熱部材
R 流路