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特開2025-30895ボイラーシステム及びボイラーの稼働方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030895
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】ボイラーシステム及びボイラーの稼働方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 35/00 20060101AFI20250228BHJP
   F23K 5/02 20060101ALI20250228BHJP
   F23K 5/20 20060101ALI20250228BHJP
   F23N 1/00 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
F22B35/00 H
F23K5/02 B
F23K5/20
F23N1/00 115Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136582
(22)【出願日】2023-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】523323158
【氏名又は名称】株式会社日本汽罐
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】猪野 忠行
【テーマコード(参考)】
3K068
3L021
【Fターム(参考)】
3K068AA12
3K068AA13
3K068AB20
3K068AB21
3K068AB22
3K068BA03
3K068BA07
3K068BA09
3K068BB05
3K068BB12
3K068CA05
3K068CB01
3L021AA05
3L021CA01
3L021DA26
3L021FA12
(57)【要約】
【課題】常温で固化する常温固化燃料(例えば牛脂を用いた再生油)を使用してボイラー稼働を行うことができるボイラーシステムを得る。
【解決手段】ボイラーシステムであって、ボイラー10の立ち上げ稼働時の燃料となるA重油を貯蔵するA重油タンク20と、常温固化燃料を流体化して貯蔵する燃料タンク30と、A重油をボイラー10に供給するA重油燃料供給ライン21と、常温固化燃料を流体化した燃料をボイラー10に供給する流体化燃料供給ライン31と、A重油燃料供給ラインと流体化燃料供給ラインとの供給元切り換え行う燃料切換弁(第1切換弁22及び第2切換弁32)とを備え、燃料タンク30は、ボイラー10からの蒸気により流体化した燃料を加温する加温手段(蒸気加温装置35)を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温で固化する燃料(常温固化燃料)を使用するボイラーを備えたボイラーシステムであって、
前記ボイラーの立ち上げ稼働時の燃料となるA重油を貯蔵するA重油タンクと、
前記常温固化燃料を流体化して貯蔵する燃料タンクと、
前記A重油を前記ボイラーに供給するA重油燃料供給ラインと、
前記常温固化燃料を流体化した燃料を前記ボイラーに供給する流体化燃料供給ラインと、
前記A重油燃料供給ラインと前記流体化燃料供給ラインとの供給元切り換え行う燃料切換弁と、
をボイラー室内に設置し、
前記燃料タンクは、前記ボイラーからの蒸気により前記流体化した燃料を加温する加温手段を備えた
ことを特徴とするボイラーシステム。
【請求項2】
前記常温固化燃料を前記ボイラー室の屋外で流体化して貯蔵する屋外貯蔵タンクを備え、
前記屋外貯蔵タンクは、
前記ボイラーからの蒸気により前記流体化した燃料を加温する保温手段と、
前記常温固化燃料を搬入口から搬入する搬入ラインと、
前記流体化した燃料を前記燃料タンクへ送油する送油ラインと、
前記送油ラインとの間で流体化した燃料を循環させる循環ラインと、
前記流体化した燃料を前記屋外貯蔵タンクから前記搬入ライン側へフィードバックする帰還ラインと、
を具備する請求項1に記載のボイラーシステム。
【請求項3】
前記循環ラインに3方弁を設け、前記循環ラインからの燃料の送油先を前記搬入ライン側と前記送油ライン側とに切り替えることで、前記送油ラインと前記循環ラインの間で前記流体化した燃料を循環させる循環ポンプを備えた請求項2に記載のボイラーシステム。
【請求項4】
A重油タンク、燃料タンク及び屋外貯蔵タンクを設置し、前記燃料タンク及び屋外貯蔵タンクに貯蔵された常温で固化する燃料(常温固化燃料)を使用するボイラーの稼働方法であって、
前記A重油タンクから供給されるA重油により前記ボイラーの立ち上げ稼働を行い、
前記ボイラーからの蒸気により加温する加温装置を備えた前記燃料タンクからの液体化燃料に前記A重油タンクから切り替えて前記ボイラーの安定稼働を行い、
前記ボイラーの稼働終了直前において再度前記A重油タンクに切り替えて稼働を行う一方、
前記安定稼働の際に、前記ボイラーからの蒸気により加温する加温装置を備えた前記屋外貯蔵タンクからの液体化燃料を前記燃料タンクへ送油ラインを介して送油し、
前記ボイラーの停止時に、電気ヒーターにより加温する加温装置を備えた前記屋外貯蔵タンクからの液体化燃料を前記屋外貯蔵タンクと前記送油ラインとの間で循環させる
ことを特徴とするボイラーの稼働方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生油を利用して蒸気を発生させるボイラーの稼働システムに関し、特に、常温で固化する常温固化燃料(例えば牛脂を用いた再生油)を使用してボイラー稼働を行うことができるボイラーシステム及びボイラーの稼働方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラーの燃料としては、A重油が一般的に使用されている。近年、燃料価格の高騰及び省エネの見地から、ボイラーの燃料として廃油等の再生油のみを使用できないかについて検討がなされてきた。
【0003】
このような状況の中、本発明者は、ボイラーにおける消費蒸気を発生させるための燃焼ガスの燃料として、再生油(廃油)を使用可能とする構造を備えた特許文献1の多管式貫流ボイラーを提案するに至った。
【0004】
この構造によれば、燃焼室を水平方向に延設された円筒形状とし、燃焼室を臨む一端側に扉(蓋体)を形成したことで、扉(蓋体)の開閉動作で内部を臨ませることができ、燃焼室を容易に清掃可能となることで、再生油(廃油)を燃焼ガスの燃料として使用することが可能となる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7099864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、再生油(廃油)以外にボイラーの燃料として可能性があるもの探った結果、食材加工の過程で廃棄物として大量に発生する牛脂や廃動植物油を燃料として使用することができないかという発想に至った。
【0007】
しかしながら、牛脂及び廃動植物油は常温で固化する性質を有するため、従前のボイラーを稼働するシステムにおいて燃料として使用することはできなかった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、常温で固化する常温固化燃料(例えば牛脂や廃動植物油を用いた再生油)を使用してボイラー稼働を行うことができるボイラーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明(請求項1)は、常温で固化する燃料(常温固化燃料)を使用するボイラー(10)を備えたボイラーシステムであって、次の各構成をボイラー室(1)内に設置する。
前記ボイラー(10)の立ち上げ稼働時の燃料となるA重油を貯蔵するA重油タンク(20)。
前記常温固化燃料を流体化して貯蔵する燃料タンク(30)。
前記A重油を前記ボイラー(10)に供給するA重油燃料供給ライン(21)。
前記常温固化燃料を流体化した燃料を前記ボイラー(10)に供給する流体化燃料供給ライン(31)。
前記A重油燃料供給ライン(21)と前記流体化燃料供給ライン(31)との供給元切り換え行う燃料切換弁(第1切換弁22及び第2切換弁32)。
そして、前記燃料タンク(30)は、前記ボイラー(10)からの蒸気により前記流体化した燃料を加温する加温手段(蒸気加温装置34)を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項2は、請求項1のボイラーシステムにおいて、
前記常温固化燃料を前記ボイラー室(1)の屋外で流体化して貯蔵する屋外貯蔵タンク(50)を備え、
前記屋外貯蔵タンク(50)は、
前記ボイラー(10)からの蒸気により前記流体化した燃料を加温する保温手段(蒸気加温装置55)と、
前記常温固化燃料を搬入口(ローリー接続部51)から搬入する搬入ライン(53)と、
前記流体化した燃料を前記燃料タンク(30)へ送油する送油ライン(60)と、
前記送油ライン(60)との間で流体化した燃料を循環させる循環ライン(70)と、
前記流体化した燃料を前記燃料タンク(30)から前記搬入ライン(53)側へフィードバックする帰還ライン(80)と、
を具備することを特徴としている。
【0011】
請求項3は、請求項2のボイラーシステムにおいて、
前記循環ライン(70)に3方弁を設け、前記循環ライン(70)からの燃料の送油先を前記帰還ライン(80)側と前記送油ライン(60)側とに切り替え、前記送油ライン(60)と前記循環ライン(70)の間で前記流体化した燃料を循環させる循環ポンプ(61)を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項4は、A重油タンク(20)、燃料タンク(30)及び屋外貯蔵タンク(50)を設置し、前記燃料タンク(30)及び屋外貯蔵タンク(50)に貯蔵された常温で固化する燃料(常温固化燃料)を使用するボイラー(10)の稼働方法であって、
前記A重油タンク(20)から供給されるA重油により前記ボイラー(10)の立ち上げ稼働を行い、
前記ボイラー(10)からの蒸気により加温する加温装置(蒸気加熱装置34)を備えた前記燃料タンク(30)からの液体化燃料に前記A重油タンク(20)から切り替えて前記ボイラー(10)の安定稼働を行い、
前記ボイラー(10)の稼働終了直前において再度前記A重油タンク(20)に切り替えて稼働を行う一方、
前記安定稼働の際に、前記ボイラー(10)からの蒸気により加温する加温装置(蒸気加温装置55)を備えた前記屋外貯蔵タンク(50)からの液体化燃料を前記燃料タンク(30)へ送油ライン(60)を介して送油し、
前記ボイラー(10)の停止時に、電気ヒーター(54)により加温する加温装置を備えた前記屋外貯蔵タンク(50)からの液体化燃料を前記屋外貯蔵タンク(50)と前記送油ライン(60)との間で循環させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ボイラー(10)の立ち上げ稼働時は、A重油燃料供給ライン(21)からのA重油を燃料とするので、スムーズな稼働開始を実現することができる。
ボイラー(10)の立ち上げ後は、燃料切換弁(第1切換弁22及び第2切換弁32)によりA重油燃料供給ライン(21)から流体化燃料供給ライン(32)へ供給元切り換え行うことで、予め常温固化燃料を流体化して貯蔵する燃料タンク(30)からの燃料を使用することができる。
【0014】
燃料タンク(30)は、ボイラー(10)からの蒸気により流体化した燃料を加温する加温手段(蒸気加温装置34)を備えることで、燃料の流体化を維持することができる。
屋外貯蔵タンク(50)は、電気ヒーター(54)を備えることで、ボイラー(10)の停止時においても常温固化燃料の流体化を維持することができ、屋外貯蔵タンク(50)からの液体化燃料を屋外貯蔵タンク(50)と送油ライン(60)との間で循環させることで、送油ライン(60)内での燃料の固形化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るボイラーシステムの構成説明図である。
図2】ボイラーシステムの配管フロー図(ボイラー立ち上げ時及びボイラー停止時)である。
図3】ボイラーシステムの配管フロー図(ボイラー安定稼働時)である。
図4】ボイラーシステムの配管フロー図(屋外貯蔵タンクから燃料タンクへの送油時)である。
図5】ボイラーシステムの配管フロー図(屋外貯蔵タンクへの再生油搬入時)である。
図6】ボイラーシステムの配管フロー図(夜間等におけるボイラー停止時)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のボイラーシステムの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明のボイラーシステムは、本来廃棄処分されていた牛脂等の常温で固化する燃料(常温固化燃料)を流体化させ、ボイラー燃料として使用可能とするシステムである。
図中、実線太ラインはボイラー燃料を搬送する燃料配管を表し、実線細ラインは蒸気を搬送する蒸気配管を示している。実線太ライン及び実線細ラインの各矢印は、燃料や蒸気の搬送方向を示している。
常温固化燃料としては、牛脂を用いた再生油の他、廃動植物油が考えられる。
【0017】
ボイラーシステムは、ボイラー10が設置された室(以下、ボイラー室という)に設置する機材と、ボイラー室の外(屋外)に設置された機材から構成される。
ボイラー室1には、バーナー11からの燃焼ガスによりボイラー10内に設置された水管内の水を温めて蒸気を発生させるボイラー10と、ボイラー10の立ち上げ稼働時の燃料となるA重油を貯蔵するA重油タンク20と、常温で固化する常温固化燃料を流体化しボイラー10の燃料として貯蔵する燃料タンク30が設置されている。
A重油は、原油分留後の残渣油と軽油を混合した重質油であり、JIS規格の動粘度により分類され、軽油成分が90%を占めるものである。
【0018】
A重油タンク20はA重油燃料供給ライン21に接続され、第1切換弁22及び導入ライン40を介してバーナー11の燃料導入口にA重油を供給可能なようになっている。A重油燃料供給ライン21は、A重油を配送する内管と、蒸気を通過させることで内管を保温する外管の二重配管構造で構成されている。
【0019】
燃料タンク30は流体化燃料供給ライン31に接続され、第2切換弁32及び導入ライン40を介してバーナー11の燃料導入口に流体化燃料を供給可能なようになっている。流体化燃料供給ライン31には、流体化燃料を60~70度に維持するためのラインヒーター33と、配管内の異物を濾過する複式ストレーナ34が設置されている。
【0020】
第1切換弁(電磁弁)22及び第2切換弁(電磁弁)32により燃料切換弁が構成され、各電磁弁による開閉動作により、第1切換弁22開及び第2切換弁32閉の際にはバーナー11の燃料導入口に導入ライン40を介してA重油が、第1切換弁22閉及び第2切換弁32開の際にはバーナー11の燃料導入口に導入ライン40を介して流体化燃料が、それぞれ供給されることになる。
【0021】
ボイラー10で発生した蒸気は、所望の供給場所への蒸気を送る蒸気搬出管12に送出されるとともに、蒸気搬出管12から分岐された蒸気分岐管13から減圧弁14を介して燃料タンク30側に戻されるように構成されている。燃料タンク30には、ボイラー10の蒸気分岐管13から供給される蒸気(80度程度)を利用して貯蔵された燃料の保温を行う蒸気式加温装置(加温手段)35が設置されている。
【0022】
A重油はボイラー10の運転開始の際に燃料として使用され、発生した蒸気が5~10分後に80度程度に安定し、燃料タンク30内の燃料が流体化した状態となった後は、流体化燃料がボイラー10の燃料として使用される。
また、バーナー11は、燃料導入のためのポンプを備えるとともに、蒸気圧が設定値以上となった場合には、バーナー11への燃料供給を遮断し、導入ライン40で燃料が循環するように構成されている。
【0023】
ボイラー室1の外(屋外)には、屋外貯蔵タンク50が設置されている。屋外貯蔵タンク50には、常温固化燃料を流体化して貯蔵するため、再生油を導入するローリー接続部(搬入口)51から屋外貯蔵タンク50の上部流入口52へ搬入する搬入ライン53と、タンク底部に設置した電気ヒーター54と、蒸気分岐管13から供給される蒸気を利用して燃料の保温を行う蒸気式加温装置(保温手段)55と、流体化した燃料を燃料タンク30へ送油する送油ライン60と、流体化した燃料をローリー接続部(搬入口)51側から搬入ライン53へフィードバックする帰還ライン80が設置されている。
搬入ライン53は、常温固化燃料を搬入する内管と、電磁弁を介して蒸気分岐管13から供給される蒸気を利用して内管を保温する外管の二重配管構造で構成されている。
【0024】
送油ライン60には循環ポンプ61が設置され、循環ライン70を接続することで、送油ライン60に設置した係止弁91及び電磁弁92と、循環ライン70に設置した電磁弁93の開閉動作により、屋外貯蔵タンク50から送油ライン60を介して燃料タンク30へ流体化燃料を流す場合と、屋外貯蔵タンク50から送油ライン60及び循環ライン70を介して流体化燃料を循環させる場合とに切り替えることが可能となる。
送油ライン60は、流体化燃料を配送する内管と、蒸気分岐管13から供給される蒸気を利用して内管を保温する外管の二重配管構造で構成されている。
【0025】
また、循環ライン70には、流体化燃料の送油ライン60への送出、又は、流体化燃料の帰還ライン80への送油の切換を行う3方弁90が設置されている。3方弁90を設置することで、流体化燃料が循環ライン60及び帰還ライン80を介して流体化した燃料を搬入ライン53側へフィードバックさせることで、屋外貯蔵タンク50で保温された流体化燃料が各ライン内で固化しないよう維持することができる。
【0026】
すなわち、燃料タンク30へ燃料を貯蔵する場合は、係止弁91を開、電磁弁92を開、電磁弁93を閉とすることで、屋外貯蔵タンク50から送油ライン60を介して燃料タンク30の上部流入口36へ流体化燃料を流す。
燃料タンク30が満タンとなり燃料を流すことができなくなった場合は、係止弁91を開、電磁弁92を閉、電磁弁93を開とするとともに、3方弁90を帰還ライン80側へ開とすることで、屋外貯蔵タンク50から送油ライン60及び循環ライン70を介して屋外貯蔵タンク50から屋外貯蔵タンク50へ流体化燃料が循環して流れる。
【0027】
ロータリー車から流体化した燃料をローリー接続部(搬入口)51から搬入する場合は、係止弁91を開、電磁弁92を閉、電磁弁93を開とするとともに、3方弁90を送油ライン60側へ開とすることで、屋外貯蔵タンク50から送油される流体化燃料は送油ライン60及び循環ライン70間で循環させ、ローリー接続部(搬入口)51へ帰還させないようにする。
ロータリー車のタンクには、搬出先で常温固形燃料を液体化し、液体化を維持した状態で屋外貯蔵タンク50への搬入が行われる。この際、搬入ライン53にロータリー車からの液体化燃料のみを流すことで、搬入作業をスムーズに行わせることができる。
【0028】
続いて、ボイラーシステムの稼働手順について説明する。
ボイラー室1のA重油タンク20には、ボイラー10の立ち上げ稼働時の燃料となるA重油が貯蔵されている。
ボイラー室1の燃料タンク30には、常温固化燃料を液化した流体化燃料が貯蔵されるが、ボイラー停止から時間が過ぎているような場合は、固化している可能性も考えられる。その際、A重油で稼働開始後のボイラー10からの蒸気による加温装置の加温を行うことで液化状態になる。
【0029】
ボイラー10には、燃料切換弁(第1切換弁22が開、第2切換弁32が閉)によりA重油供給ラインからA重油が供給されている。この状態でボイラー10のバーナー11を点火し、A重油を燃料としてボイラー10を稼働させ燃焼ガスを発生させる(図2)。
【0030】
バーナー11に設置された温度センサーで流体化燃料供給ライン31内の温度(60~70度)を確認し、燃料切換弁を切り替える(第1切換弁22が閉、第2切換弁32が開)ことで、流体化燃料供給ライン31から液体化燃料を燃料としてボイラー10を継続稼働させて燃焼ガスを発生させる(図3)。
ボイラー10で発生した蒸気は、蒸気搬出管12に送出されて所望の用途に使用されるとともに、蒸気分岐管13を介して燃料タンク30、屋外貯蔵タンク50、送油ライン60、搬入ライン53を加温するために使用される。
加温に使用された蒸気分岐管13からの蒸気は、供給先の先端に配置された各スチームトラップTRで水(お湯)として回収される。
【0031】
バーナーの安定稼働時においては、循環ポンプ61の駆動及び電磁弁の開閉(電磁弁92開、電磁弁93閉)により、屋外貯蔵タンク50から送油ライン60を介して燃料タンク30へ液体化燃料が送油される(図4)。
【0032】
バーナー10の停止の直前は、バーナー内に点火させ易い燃料を残存させるため、燃料切換弁を切り替えて(第1切換弁22が開、第2切換弁32が閉)、燃料切換弁よりバーナー10側の配管内にA重油供給ライン21からのA重油を取り込んでおく(図2)。
【0033】
屋外貯蔵タンク50に再生油(常温固化燃料)を搬入する際は、電磁弁92を閉、電磁弁93を開とし、3方弁90を送油ライン60側へ開とすることで、屋外貯蔵タンク50から送油ライン60及び循環ライン70の間で燃料が循環し、搬入ライン53へは、ローリー接続部(搬入口)51からの液体化燃料のみが流れるようにすることで、屋外貯蔵タンク50への搬入をスムーズに行うことを可能とする(図5)。
【0034】
また、夜間等のボイラー10の停止時においては、屋外貯蔵タンク50内の液体化燃料は、電気ヒーター44で加温させることで固化を防止するとともに、係止弁91を開、電磁弁92を閉、電磁弁93を開とし、3方弁90を帰還ライン80側へ開とすることで、屋外貯蔵タンク50から送油ライン60及び循環ライン70を介して屋外貯蔵タンク50から屋外貯蔵タンク50へ流体化燃料を循環して流すことで、各ライン内での燃料の固化を防止する(図6)。
【符号の説明】
【0035】
1…ボイラー室
10…ボイラー
11…バーナー
12…蒸気搬出管
13…蒸気分岐管
14…減圧弁
20…A重油タンク
21…A重油供給ライン
22…第1切換弁
30…燃料タンク
31…液化燃料供給ライン
32…第2切換弁
33…ラインヒーター
35…蒸気加温装置
40…導入ライン
50…屋外貯蔵タンク
51…ローリー接続部(搬入口)
52…上部流入口
53…搬入ライン
54…電気ヒーター
55…蒸気加温装置
56…下部流出口
60…送油ライン
61…循環ポンプ
70…循環ライン
80…帰還ライン
90…3方向弁
91…係止弁
92…電磁弁
93…電磁弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6