(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030897
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】納骨堂システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250228BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136584
(22)【出願日】2023-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】523323169
【氏名又は名称】西田 恭平
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】西田 恭平
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC14
5L050CC14
(57)【要約】
【課題】参拝者にとって魅力のある納骨堂となる納骨堂システムを提供する。
【解決手段】少なくとも正面の壁にスクリーンまたはディスプレイを備えた参拝室と、スクリーンまたはディスプレイに故人の顔画像を表示させる表示手段と、故人の声に模した音声を出力するスピーカとを備えた納骨堂システムにおいて、参拝室を訪れた参拝者に対しての質問をスピーカから出力させる質問出力手段を有することとする。参拝室には、参拝者の発した声が入力されるマイクを設けるとともに、このマイクから出力された音声データから、質問に対して参拝者が肯定的回答をしたか、あるいは否定的回答したかを判定する回答判定手段と、この回答判定手段の出力に応じてスピーカから異なる応答音声を出力する応答出力手段とを設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも正面の壁に表示手段を備えた参拝室と、
前記表示手段に故人の顔画像を表示させる画像出力手段と、
前記故人の声に模した音声を出力する音声出力手段と
を備えた納骨堂システムにおいて、
前記参拝室を訪れた参拝者に対しての質問を前記音声出力手段から出力させる質問出力手段を有する納骨堂システム。
【請求項2】
前記参拝室で前記参拝者が発した音声を音声データとする音声入力手段と、
この音声データから前記質問に対して前記参拝者が肯定的回答をしたか、あるいは否定的回答したかを判定する回答判定手段と、
この回答判定手段の出力に応じて前記音声出力手段から異なる応答音声を出力する応答出力手段と
を有する請求項1に記載の納骨堂システム。
【請求項3】
複数の前記参拝者の声が同時に前記音声入力手段に入力されることで、前記回答判定手段が判定エラーを生じさせた場合に、前記音声出力手段から「聞き取れなかった」との音声を出力して、再度、前記質問に対しての回答を促すリピート手段を有する請求項2に記載の納骨堂システム。
【請求項4】
前記故人の関係者の名前情報と生年月日情報と性別情報と前記故人との続柄情報とをあらかじめ登録する関係者情報登録手段と、
この関係者情報登録手段に登録された情報に基づいて前記参拝者への質問を生成する質問生成手段と
を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の納骨堂システム。
【請求項5】
参拝する前記参拝者を予め登録する参拝者登録手段と、
前記質問生成手段による質問の生成が終了したのちに前記参拝者の名前を読み上げてお礼の音声を出力するお礼音声出力手段と
を有する請求項4に記載の納骨堂システム。
【請求項6】
前記表示手段は、前記故人の顔画像を三次元表示可能としている請求項1に記載の納骨堂システム。
【請求項7】
前記参拝者登録手段は、前記参拝者が使用する通信機器を用いて参拝するリモート参拝を選択可能としている請求項5に記載の納骨堂システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、納骨堂システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、墓不足の状況だけでなく墓の維持管理の簡便さからも、納骨堂の利用が多くなっている。
【0003】
かつてのロッカー式の納骨堂では、区画されたロッカー状の納骨壇に納骨するだけのものであったが、昨今では、共同で使用する共用墓石へ厨子を自動搬送する機構を設けて(例えば、特許文献1参照。)、従前のお墓の雰囲気を味わえるようにし、参拝者による参拝行為への充足感を高める配慮がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従前の納骨堂では、室内環境であるために、いつも同じ雰囲気であって変わり映えがなく、また、維持管理の手間もないことから、いつしか足が遠のいていく傾向があり、場合によっては解約が生じるおそれもあった。納骨堂の設置者としては、施設の維持管理のためにも長期間・安定的に利用してもらいたいと考えており、参拝者にとって魅力のある納骨堂を提供したいと考えていた。
【0006】
そこで、本発明は、参拝者の充足感の高い納骨堂システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の納骨堂システムでは、少なくとも正面の壁に表示手段を備えた参拝室と、表示手段に故人の顔画像を表示させる画像出力手段と、故人の声に模した音声を出力する音声出力手段とを備えた納骨堂システムにおいて、参拝室を訪れた参拝者に対しての質問を音声出力手段から出力させる質問出力手段を有することとした。これにより、故人からの語りかけがなされているように感じさせている。
【0008】
また、本発明の納骨堂システムでは、参拝室で参拝者が発した音声を音声データとする音声入力手段と、この音声データから質問に対して参拝者が肯定的回答をしたか、あるいは否定的回答したかを判定する回答判定手段と、この回答判定手段の出力に応じて音声出力手段から異なる応答音声を出力する応答出力手段とを有する。これにより、少なくとも2通りの出力を可能として、機械的な応答と感じさせにくくしている。
【0009】
また、本発明の納骨堂システムでは、複数の参拝者の声が同時に音声入力手段に入力されることで、回答判定手段が判定エラーを生じさせた場合に、音声出力手段から「聞き取れなかった」との音声を出力して、再度、質問に対しての回答を促すリピート手段を有する。これにより、回答判定手段での判定エラーの発生に起因してシステムダウン等が生じるおそれも解消している。
【0010】
また、本発明の納骨堂システムでは、故人の関係者の名前情報と生年月日情報と性別情報と故人との続柄情報とをあらかじめ登録する関係者情報登録手段と、この関係者情報登録手段に登録された情報に基づいて参拝者への質問を生成する質問生成手段とを有する。これにより、質問生成手段によって参拝者の身近な質問を生成可能としている。
【0011】
また、本発明の納骨堂システムでは、参拝する参拝者を予め登録する参拝者登録手段と、質問生成手段による質問の生成が終了したのちに参拝者の名前を読み上げてお礼の音声を出力するお礼音声出力手段とを有する。これにより、故人の臨在感を際立たせている。
【0012】
また、本発明の納骨堂システムでは、表示手段は、故人の顔画像を三次元表示可能としている。これにより、故人の臨在感を際立たせている。
【0013】
また、本発明の納骨堂システムでは、参拝者登録手段は、参拝者が使用する通信機器を用いて参拝するリモート参拝を選択可能としている。これにより、納骨堂までの移動が困難な参拝者も参拝可能としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の納骨堂システムでは、参拝室を訪れた参拝者に対しての質問を出力させる質問出力手段を有する納骨堂システムとしていることで、故人と対話しているかのような状況をつくりだし、参拝の充足感を高めることができる。
【0015】
また、本発明の納骨堂システムでは、参拝者の音声から生成した音声データを用いて、質問に対して参拝者が肯定的回答をしたか、あるいは否定的回答したかを判定する回答判定手段と、この回答判定手段の出力に応じてスピーカから異なる応答音声を出力する応答出力手段とを有することで、故人と対話しているかのような状況をつくりだし、参拝の充足感を高めることができる。
【0016】
また、本発明の納骨堂システムでは、質問に対して複数の参拝者が同時に回答することで、回答判定手段が判定エラーを生じさせた場合に、スピーカから「聞き取れなかった」との音声を出力して、再度、質問に対しての回答を促すリピート手段を有することで、会話の連続性が保たれ、故人と対話しているかのような状況をつくりだし、参拝の充足感を高めることができる。
【0017】
また、本発明の納骨堂システムでは、故人の関係者の名前情報と生年月日情報と性別情報と故人との続柄情報とをあらかじめ登録する関係者情報登録手段と、この関係者情報登録手段に登録された情報に基づいて参拝者への質問を生成する質問生成手段とを有することで、身近な質問がなされることとなり、故人と対話しているかのような状況をつくりだし、参拝の充足感を高めることができる。
【0018】
また、本発明の納骨堂システムでは、参拝する参拝者を予め登録する参拝者登録手段と、質問生成手段による質問の生成が終了したのちに参拝者の名前を読み上げてお礼の音声を出力するお礼音声出力手段とを有することで、故人と対話しているかのような状況をつくりだし、参拝の充足感を高めることができる。
【0019】
また、本発明の納骨堂システムでは、故人の顔画像を三次元表示可能としていることで、故人の臨在感を際立たせ、参拝者の充足感を高めている。
【0020】
また、本発明の納骨堂システムでは、参拝者登録手段で、参拝者が使用する通信機器を用いて参拝するリモート参拝を選択可能としていることで、納骨堂までの移動が困難な参拝者も参拝可能とし、参拝者の充足感を高めている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る納骨堂システムの使用状態の説明図である。
【
図5】実施形態に係る制御装置のブロック図である。
【
図6】実施形態に係る参拝室の予約処理のフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る納骨堂システムのフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る納骨堂システムの対話ルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の納骨堂システムは、少なくとも正面の壁にスクリーンまたはディスプレイ等の表示手段を備えた参拝室と、表示手段に故人の顔画像を表示させる画像出力手段と、故人の声に模した音声を出力するスピーカ等の音声出力手段とを備えた納骨堂システムとしている。
【0023】
さらに、参拝室には、参拝室を訪れた参拝者に対しての故人からの質問を前記スピーカ等から出力させる質問出力手段を設けている。
【0024】
すなわち、参拝室に参拝者が訪れると、参拝室の正面のスクリーンまたはディスプレイ等に故人の顔画像が表示され、故人の声に模した音声が聞こえてくることとなっている。これにより、参拝者は、あたかも故人と対面しているかのような感覚となり、故人が身近に存在しているような感覚である、いわゆる臨在感を得ることができる。
【0025】
以下において、図面に基づいて本発明の実施形態を詳説する。
【0026】
本発明の納骨堂システムでは、
図1に示すように、所定の広さの参拝室を参拝空間としている。本実施形態では、参拝室の内壁面はすべてスクリーン11としており、背面側の壁あるいは天井に配置したプロジェクタ等による投影によって、心が落ち着く雰囲気の空間映像を表示可能としている。なお、例えば、参拝室が狭い場合には、参拝室の内壁面全面を表示エリアとするのではなく、少なくとも参拝室の正面にディスプレイに設けて適宜の表示を行ってもよい。
【0027】
また、昨今では、大型の有機ELディスプレイも安価になってきており、
図2に示すように、天井面や床面も含めて参拝室の内側全面に有機ELディスプレイ21等の高精細ディスプレイを配置してもよい。有機ELディスプレイ21を用いた場合には、プロジェクタを用いる場合と比較して、明るい画像を表示しやすい。すなわち、プロジェクタを用いた場合には、参拝室内を比較的暗くしておく必要があるのに対して、有機ELディスプレイ21では、それ自体を照明として使用できる程度に明るく表示できることから、参拝室内を明るくすることができ、例えば青空環境下での参拝をしているかのような映像表現をすることができる。特に、幼児を連れての参拝の場合に、幼児が暗めの室内に怯えるおそれがあるが、有機ELディスプレイ21を用いることで、そのようなおそれを解消できる。なお。参拝室の床面にも有機ELディスプレイ21を配置する場合には、床面に配置した有機ELディスプレイ21の上面に透明な強化プラスチックの板材を配置して、有機ELディスプレイ21を保護している。ここでは、便宜上、有機ELディスプレイとして説明したが、多数のLED素子を平面状に並べてパネル化して形成するパネルディスプレイを用いてもよい。
【0028】
その他の表示手段として、例えば、
図3に示すように、三次元表示装置22を用いることもできる。この三次元表示装置22では、複数のLED素子を一列に配置させたアーム23の一方端を回転軸24に装着しており、この回転軸24を回転させることでアーム23を回転軸24を中心として回転させ、この状態でLED素子を適宜点滅させることで残像現象を利用して立体的な映像表現を可能としている。
図3には、参拝室の正面に、この三次元表示装置22を複数配置して一つの表示手段を構成した状態を示している。本実施形態では、1つの回転軸24に4つのアーム23を装着した三次元表示装置22を示している。
【0029】
この三次元表示装置22では、回転するアーム23は円盤状の軌跡となり、隣り合う三次元表示装置22は、回転軸24の軸線方向にずらして配置することで、互いの軌跡の外側縁を重ね合わせた状態として、
図3に示すように、隙間なく三次元表示装置22を配置し、1つの表示手段とすることができる。
【0030】
具体的に説明すると、
図4に示すように、三次元表示装置22が装着されるフレーム25は、参拝室の正面の壁面26に取り付けており、このフレーム25の所定位置に三次元表示装置22の基台22aを装着するためのスペーサ27を取り付けている。このスペーサ27は、高さ寸法をあらかじめ調整しており、隣り合う三次元表示装置22の配置においては異なる高さのスペーサ27を取り付けいる。そして、スペーサ27を介して三次元表示装置22をフレーム25に装着するだけで、隣り合った三次元表示装置22のアーム23を互いに衝突させることなく回転可能として、1つの表示手段を構築可能としている。
【0031】
このように複数の三次元表示装置22で構成した表示手段では、1つの三次元表示装置22が表示する画像は、円形の回転軌跡に内接する六角形のエリアとなっており、表示する画像に対して、この六角形のエリア分の画像データを三次元表示装置22に出力することで、他の三次元表示装置22と共動してより大きな三次元画像を表示することができる。
【0032】
以下において、本実施の形態としては、
図1に示すように、参拝室の天井面及び床面も含めて内側面のすべてをスクリーン11として、背面側の壁及び天井に配置したプロジェクタによる投影によって、心が落ち着く雰囲気の空間映像を表示されるものとして説明する。
【0033】
本発明の納骨堂システムを機能させている制御装置10は、パーソナルコンピュータ等で構成している。この制御装置10は、参拝室内の目立たない位置に配置してもよいし、別の制御室等に配置してもよい。前記のプロジェクタあるいはディスプレイ等の表示手段は、この制御装置10に接続して、制御装置10からの出力信号に基づいて適宜の画像を表示させることとしている。
【0034】
以下において、説明の便宜上、本実施形態では、制御装置10は、1台のパーソナルコンピュータであるかのように示すが、複数台のパーソナルコンピュータで構成していてもよいし、あるいは別途のデータサーバ等を備えたネットワークシステムの構成としてもよい。
【0035】
そして、制御装置10は、搭載されているCPU、主記憶装置、メモリ装置等により、適宜にプログラムを実行して、
図5に示すように、スクリーン11に故人の顔画像を表示させる画像出力手段m1、参拝室を訪れた参拝者への質問を生成する質問生成手段m2、生成した質問を出力させる質問出力手段m3、質問への回答を判定する回答判定手段m4、この回答判定手段m4の出力に応じて応答音声を出力する応答出力手段m5、質問を繰り返して回答を促すリピート手段m6、参拝者の名前を読み上げてお礼の音声を出力するお礼音声出力手段m7として機能することとしている。
【0036】
さらに、制御装置10は、内蔵しているハードディスク等を記憶手段m8として備え、この記憶手段m8に、故人の関係者の名前情報と生年月日情報と性別情報と故人との続柄情報等を記憶させて登録する関係者情報登録手段m9として機能することとしている。さらには、制御装置10は、参拝者が居住している地域の気候、天候、事故、事件の情報を収集する情報収集手段m10、及び参拝する参拝者を予め登録する参拝者登録手段m11としても機能することとしている。なお、制御装置10は、記憶手段m8、関係者情報登録手段m9、情報収集手段m10、あるいは参拝者登録手段m11として機能する際に、他のパーソナルコンピュータ等と接続してサーバ・クライアントシステムを構築して、制御あるいは管理するようにしてもよい。
【0037】
図5に示すように、制御装置10は映像出力端子t1を備え、この映像出力端子t1とプロジェクタ12を映像用配線h1によって接続し、所望の映像データをプロジェクタ12に出力可能としている。また、制御装置10はネットワーク端子t2を備え、このネットワーク端子t2を介していわゆるインターネットへの接続、あるいは納骨堂システムとして構築しているサーバ・クライアントシステムのネットワークへの接続を可能としている。
【0038】
制御装置10は、予め制御装置10の記憶手段m8に記録された故人の情報、特に顔画像情報をスクリーン11あるいはディスプレイに表示させることとしている。すなわち、制御装置10は、画像出力手段m1として機能することで、記憶手段m8に記録された故人の顔画像のデータを読み出し、また、背景画像のデータを読み出し、これらを適宜合成することで出力用の映像データを生成し、映像用配線h1を介してプロジェクタ12に出力している。
【0039】
スクリーン11に表示させる故人の顔は、不変であってもよいし、後述するように故人から参拝者に対して質問している音声に合わせて口を動かす動画としてもよい。故人の顔の画像を不変とする場合には、顔画像の表示位置を上下左右にゆっくりと移動させるだけでも、あたかもしゃべっているかのように見せることもできる。
【0040】
また、本実施形態では、いわゆるペッパーズ・ゴーストと呼ばれている半透明鏡等を用いた立体映像表示手段を用いて、
図1に示すように、故人の映像を3D映像の空中投射として表示可能としている。これにより、故人をより鮮明に認識することができ、故人と時間を共有している感覚を得られやすくすることができ、参拝者の充足感を高めることができる。
【0041】
参拝室には、所定の位置に祭壇15等を設けて位牌や骨壺等を設置してもよく、この祭壇15に位牌や骨壺等を自動的に搬送可能としてもよいし、都度、手作業で搬送して設置してもよい。また、御供え用の花や御供え物あるいは線香を捧げることができようにしておいてもよい。
【0042】
参拝室には、音声出力配線h2を介して制御装置10の音声出力端子t3に接続した音声出力手段としてのスピーカ13を設けている。このスピーカ13からは、制御装置10の記憶手段m8に予め記録された故人の音声再生情報に基づいて生成した音声を出力可能としている。音声再生情報は、携帯電話等で使用されている音声合成技術で用いられているコードブックの音声コードの情報である。したがって、スピーカ13からは、個人の声が出力されているように感じることができる。
【0043】
また、参拝室には、参拝者の発した音声を音声データとして出力するマイク14を設けている。すなわち、このマイク14は音声入力手段であって、音声入力配線h3を介して制御装置10の音声入力端子t4に接続して、制御装置10に音声データを入力可能としている。制御装置10に入力された音声データは、制御装置10に内蔵されたメモリ等に一時的に記憶されることとしている。
【0044】
制御装置10では、マイク14によって入力された音声データの解析を行っている。具体的には、制御装置10は、入力された音声データの音声を発した発言者の心理状態を判定するシステムを用いている。すなわち、制御装置10では、このシステムを起動させて回答判定手段m4として機能させている。本実施形態では、制御装置10は、回答判定手段m4として機能することで、発言者が肯定的な心理状態もしくはポジティブな心理状態であるか、あるいは否定的な心理状態もしくはネガティブな心理状態であるかを二者択一で判定している。判断が微妙である場合には、肯定的な心理状態もしくはポジティブな心理状態と判定することとしている。
【0045】
制御装置10には、記憶手段m8に、故人の関係者の名前情報と生年月日情報と性別情報と故人との続柄情報とをあらかじめ登録して記憶させる関係者情報登録手段m9を設けている。この関係者情報登録手段m9による情報の登録は、制御装置10の管理者が本発明の納骨堂システムの利用者にヒアリングしながら行ってもよいし、本発明の納骨堂システムの利用者に予め付与したIDを利用して、当該利用者に適宜入力させてもよい。
【0046】
制御装置10は、関係者情報登録手段m9として機能することで、各種の情報登録を行っている。制御装置10は、少なくとも関係者情報登録手段m9、情報収集手段m10及び参拝者登録手段m11として機能している際には、外部のネットワークと接続状態となっていて、適宜の情報入力を受け付けることとしている。
【0047】
制御装置10には、本発明の納骨堂システムの利用者である参拝者が居住している地域の気候、天候、事故、事件の情報を収集する情報収集手段m10を設けている。具体的には、制御装置10は情報収集手段m10として機能することで、当該地域の新聞社やテレビ局等がインターネット等に配信しているニュース情報を逐次収集している。収集したニュース情報等は、制御装置10の記憶手段m8に記憶してもよいし、ネットワークを介して接続されたデータサーバに記憶してもよい。あるいは、制御装置10は情報収集手段m10として機能することで、当該地域の新聞社やテレビ局等のニュースサイトにアクセスして、その都度、必要なニュース情報を収集することとしてもよい。
【0048】
制御装置10には、関係者情報登録手段m9に登録された情報に基づいて参拝者への質問を生成する質問生成手段m2を設けている。具体的には、制御装置10は、質問生成用プログラムを起動させることで質問生成手段m2として機能している。
【0049】
質問生成用プログラムでは、関係者情報登録手段m9に登録されている情報と、参拝日の情報から、時候に関する質問や、年齢によって生じる入学、卒業、成人式等の身近に感じやすい質問を生成することとしている。場合によっては、昨今のAIチャットボットを利用してもよい。
【0050】
質問生成用プログラムでは、制御装置10を情報収集手段m10として機能させることで収集した情報から、異常と判断される情報を抽出して、この異常と判断される情報に基づいて参拝者への質問を生成可能としている。具体的には、例えば参拝者の居住地域で水害があった場合には、「水害があったようだけど大丈夫か?」といった質問を生成可能としている。参拝者は、身近な質問をされることで、故人が身近にいてくれているという感覚を抱きやすくなり、不安の解消効果を得ることが期待できる。
【0051】
さらに、制御装置10には質問出力手段m3を設けており、この質問出力手段m3では、上述したように参拝室に設けたスピーカ13から、質問生成用プログラムで生成した質問を、故人の声に模した音声を出力可能とする音声再生情報を用いて生成される合成音声として、出力している。
【0052】
参拝者は、制御装置10の質問出力手段m3によって出力された質問に対して無意識に回答し、制御装置10は、上述した回答判定手段m4を機能させて、質問に対して回答した参拝者の音声から肯定的回答をしたか、あるいは否定的回答したかを判定している。
【0053】
さらに、制御装置10は応答出力手段m5として機能して、参拝者の肯定的回答か否定的回答かによって、異なる応答音声をスピーカ13から出力している。具体的には、回答判定手段m4で参拝者が肯定的回答をしたと判断した場合には、「そうかそうか」と明るい音調の音声をスピーカ13から出力している。一方、回答判定手段m4で参拝者が否定的回答をしたと判断した場合には、「そうか」と暗い音調の音声をスピーカ13から出力することとしている。参拝者は、異なる応答が得られることから、機械的な応答をされているとは感じにくくなり、故人を身近に感じやすくすることができる。
【0054】
なお、複数人で参拝している場合には、参拝者の発言が互いに被り、複数の参拝者の声が同時にマイク14に入力されることで、回答判定手段m4が判定エラーを生じさせることがある。
【0055】
このように、回答判定手段m4が判定エラーを生じさせた場合には、制御装置10はリピートプログラムを起動させることでリピート手段m6として機能させて、スピーカ13から「聞き取れなかった」と音声を出力し、もう一度同じ質問をスピーカ13ら音声出力させることとしている。これにより、異常による突然停止を回避しやすくなり、違和感を覚えにくくすることができる。
【0056】
以下において、より具体的な例を示しながら、本発明の納骨堂システムの使用形態について説明する。なお、本発明の納骨堂システムのユーザは、予め納骨堂システムの使用の登録がなされ、位牌や骨壺等が納められ、所定のIDが付与され、関係者情報登録手段m9によって必要な情報の登録がなされているものとする。
【0057】
さらに、今回、状況をより具体化するために、故人の妻の花子氏、故人の息子の太郎氏、太郎氏の妻(故人の義理の娘)の陽子氏、太郎氏と陽子氏の息子(故人の孫)の健太氏の4名で参拝するものとする。この場合、当該4名はすべて本発明の納骨堂システムのユーザとして登録し、個別にIDを付与している。また、当該4名は、関係者情報登録手段m9で1つの家族としての登録も行っている。
【0058】
また、本発明の納骨堂システムでは、制御装置10において受付プログラムを起動させることで、あるいは制御装置10とネットワークで接続した受付サーバを設けて、ユーザが納骨堂を利用する日時の受付管理を行っている。以下においては、説明の便宜上、受付サーバがあるものとして説明する。
【0059】
まず、4名のいずれかのIDを用いて、本発明の納骨堂システに参拝予約を行う。説明の便宜上、故人の息子の太郎氏のIDで参拝予約を行うとする。すなわち、太郎氏は、
図6に示すように、インターネットに接続可能な移動体通信機器41、具体的にはスマートフォンを用いて、本発明の納骨堂システムの受付サーバ42に設けた参拝予約サイトにアクセスする(ステップS110)。
【0060】
受付サーバ42では、受付プログラムを起動させて、ユーザ確認のためユーザIDとパスワードの入力を求める画面情報を送信する(ステップS120)。
【0061】
太郎氏は、スマートフォンの画面に表示されたユーザIDとパスワードの入力欄にそれぞれユーザIDとパスワードを入力し、送信する(ステップS130)。
【0062】
受付サーバ42では、受信したID情報及びパスワード情報に基づいてユーザ確認を行い、ユーザと判定された場合に、参拝予約の入力画面情報を送信する(ステップS140)。
【0063】
太郎氏は、スマートフォンの画面に表示された参拝予定日の入力欄と、参拝予定時刻の入力欄と、及び参拝目的の入力欄にそれぞれ情報を入力する。ここで、参拝目的とは、三回忌や七回忌のような法事等を行う場合には、通常よりも大人数で参拝される可能性があるため、使用する参拝室を調整する必要があるためであり、複数の参拝目的から選択入力させることとしている。以下においては、説明の便宜上、彼岸のお参りのような季節季節のお参りとして説明する。
【0064】
さらに、太郎氏は、参拝予定人数を入力する。ここで、参拝予約サイトでは、関係者情報登録手段m9で予め登録されている故人の関係者一覧を表示して、今回の参拝への参加者にチェックマークをつけさせることで、参拝者の人数とともに、参拝者の属性を把握可能としている。これが、参拝する参拝者を予め登録する参拝者登録手段m11である。これらの情報の入力後、受付サーバ42へと送信する(ステップS150)。
【0065】
受付サーバ42では、必要な情報を受信し、受信した情報に問題なければ予約受付を承認し、登録完了の連絡を太郎氏に行うとともに受付番号情報を太郎氏に送信することとしている(ステップS160)。
【0066】
太郎氏は、スマートフォンで受付番号情報を受信する(ステップS170)。仮に、参拝予約をキャンセルする必要が生じた場合には、この受付番号に基づいてキャンセルの手続きを行わせることとしている。
【0067】
さらに、受付サーバ42では、参拝予定日の前日に、太郎氏に、翌日に参拝予約があることを通知、すなわち確認メールの送信を行うこととしている(ステップS180)。
【0068】
以下において、
図7を用いながら、参拝日当日の納骨堂システムの動作について説明する。参拝日当日、太郎氏、陽子氏、健太氏及び花子氏の4名は納骨堂を訪問し、納骨堂の受付に設置された受付端末に受付番号を入力する(ステップS210)。
【0069】
納骨堂システムでは、受付番号が正しい場合に、使用する参拝室のカードキーを受け渡すこととしている(ステップS220)。なお、カードキーの受け渡し前に、使用する参拝室内の準備ができていなかった場合には、カードキーの受け渡しを行わず、参拝室内の準備ができた後にカードキーを受け渡すこととしている。これは、参拝室に位牌や骨壺等を配置させる形態の場合に、別の故人の位牌や骨壺のままとなっていたりすることを防止するためである。
【0070】
太郎氏は、カードキーを受領したのち、予定の参拝時刻になったところで、カードキーを用いて参拝室に入室する(ステップS230)。なお、予定の参拝時間になるまで参拝室を参拝者側からは施錠状態としておいてもよい。
【0071】
太郎氏、陽子氏、健太氏及び花子氏の4名が参拝室に入り、カードキーをスタータともなっている所定のカードキー挿入口に差し込むと(ステップS240)、納骨堂システムの参拝ルーチンが開始されることとしている。この参拝ルーチンが開始されるまで、納骨堂システムは、参拝室の内壁面のスクリーンに心が落ち着く雰囲気の空間映像を表示してもよい。また、位牌や骨壺等の自動搬送システムを設けている場合には、カードキーがカードキー挿入口に差し込まれることで、目的の位牌や骨壺等を参拝室に搬送してもよい。
【0072】
参拝ルーチンが開始されると(ステップS240)、納骨堂システムは、参拝者に対して、例えば「御花をお供えください」「御供え物をお供えください」「線香をお供えください」等のように参拝行為を行いやすいように案内する音声を流してもよい。このような案内音声の有無は、参拝予約の際に選択可能としてもよい。
【0073】
参拝ルーチンが終了すると、納骨堂システムは、対話ルーチンを開始することとしている(ステップS260)。以下において、
図8を用いながら対話ルーチンにつて説明する。
【0074】
対話ルーチンが開始されると、納骨堂システムは、参拝室の前面のスクリーンに故人の顔画像を表示させ、スピーカから「今日はよく来てくれたね。ありがとう。」と、故人の声に模した音声で出力することとしている(ステップS310)。
【0075】
次いで、納骨堂システムは、質問回数をカウントする質問数カウンタを初期化して、質問回数のカウントアップを開始する(ステップS320)。
【0076】
納骨堂システムは、質問回数があらかじめ設定した所定の質問回数の上限を超えていない場合に(ステップS330:NO)、質問生成手段m2を機能させて質問を生成し(ステップS340)、生成した質問を質問出力手段m3によって出力するとにしている(ステップS350)。
【0077】
説明の便宜上、納骨堂システムは、質問生成手段m2を機能させて質問を生成し、生成した質問を質問出力手段m3によって出力していくこととしているが、本実施例では、最初の2つの質問は、参拝予約をした当人への定型的な質問としている。
【0078】
具体的には、1番目の質問は、「元気か?」で、2つ目の質問は「みんなも元気か?」で、ある。このような質問である方が違和感が少なく、例えば、より具体的には「太郎、元気か?」といった質問を出力することとしている。なお、故人が太郎氏のことを、例えば「たっちゃん」と呼んでいたのであれば、予め関係者情報登録手段m9に呼称登録しておくことで、「たっちゃん、元気か?」と質問させることもできる。
【0079】
納骨堂システムによる質問に対して、太郎氏が、例えば明るい声で「元気だよ。」と答えると、納骨堂システムは、マイク14で回答者の音声を音声データとして制御装置10に入力し、回答判定手段m4を機能させることとしている。
【0080】
納骨堂システムは、回答判定手段m4によって、判定が困難となる場合、例えば、複数の参拝者の音声が同時入力されることで判定エラーが生じるような場合には(ステップS355:YES)、納骨堂システムは、リピート用出力を行うこととしている。
【0081】
すなわち、納骨堂システムは、スピーカ13から「聞き取れなかった」と音声を出力し(ステップS356)、ステップS350に戻り、もう一度同じ質問をスピーカ13から音声出力させることとしている。これにより、回答判定手段m4が異常停止することを回避しやすくすることができる。
【0082】
納骨堂システムは、回答判定手段m4によって、回答判定不能となることなく(ステップS355:NO)、質問に対して肯定的回答があったと判断した場合には(ステップS360:肯定的回答)、応答出力手段m5を機能させて、応答パターン1として「そうかそうか」と明るい音調の音声をスピーカ13から出力することとしている(ステップS371)。
【0083】
一方、納骨堂システムは、回答判定手段m4によって、質問に対して否定的回答があったと判断した場合には(ステップS360:否定的回答)、応答出力手段m5を機能させて、応答パターン2として「そうか」と暗い音調の音声をスピーカ13から出力することとしている(ステップS372)。
【0084】
納骨堂システムは、応答パターン1か応答パターン2の出力を行った後、ステップS320に戻り、質問回数のカウントアップし(ステップS320)、質問回数があらかじめ設定した所定の質問回数の上限を超えていない場合に(ステップS330:NO)、質問生成手段m2を機能させて次の質問を生成し(ステップS340)、生成した質問を質問出力手段m3によって出力するととしている(ステップS350)。
【0085】
本実施形態では、上述したように、2つ目の質問までは定型的な質問として、3つ目の質問以降、質問生成手段m2を機能させて質問を生成し、生成した質問を質問出力手段m3によって出力していくこととしている。
【0086】
特に、3つ目の質問では、質問生成手段m2は、情報収集手段m10で収集した情報に基づいて質問を生成することで、参拝者は故人をより身近に感じさせることができる。例えば、「この間の台風は大丈夫だったか?」とか「この間の地震は大丈夫だったか?」等の質問である。
【0087】
なお、前回の参拝から今回の参拝までの間に、情報収集手段m10で収集した情報の中に異常と判断される情報が無ければ、情報収集手段m10で収集した情報に基づいて質問を生成するステップをスキップしてもよい。
【0088】
その後、納骨堂システムは、質問生成手段m2を機能させて新たな質問をする場合には、他の参拝者に向けた質問を生成し、生成した質問を質問出力手段m3によって出力していくこととしている。
【0089】
例えば、故人の妻の花子氏に対して「花子。元気にしてるか?病気してないか?」といった質問や、太郎氏の妻の陽子氏に対して「陽子さん。太郎が迷惑かけてないか?」とか、故人の孫の健太氏に対して「健太。もうすぐで小学校卒業だな。サッカー頑張ってるか?」等の質問を順次生成することとしている。
【0090】
この対話ルーチンが実施されている際には、納骨堂システムは、参拝室の内壁面のスクリーン11に故人、あるいは故人と参拝者とが映った画像をスライドショ-的に表示してもよい。これらの画像のデータは、予め関係者情報登録手段m9に登録しておくとよい。
【0091】
本実施形態では、質問数の上限を10問としており、ステップS330において質問数が10となっていると(ステップS330:YES)、納骨堂システムは、お礼音声出力プログラムを起動させてお礼音声出力手段m7として機能させている(ステップS380)。質問数の上限は、適宜設定可能としてよく、参拝者の人数に合わせて可変としてもよい。
【0092】
お礼音声出力手段m7として機能した納骨堂システムでは、例えば「それでは、太郎、花子、陽子さん、健太。今日は来てくれてありがとう。元気でな。」のように、参拝者の名前を読み上げてお礼の音声を出力することとしている。
【0093】
納骨堂システムは、参拝予約時に参拝する参拝者を予め登録する参拝者登録手段m11において参拝者を特定させておくことで、お礼音声に参拝者の名前を読み上げを組み入れることができ、参拝者に充足感を与えることができる。
【0094】
納骨堂システムでは、対話ルーチンを終了する前に、質問生成手段m2で生成した質問の履歴を作成し、関係者情報登録手段m9に質問履歴としてに登録している(ステップS390)。本実施形態では、定型的な質問として設定した質問以外は、少なくとも1年以内に同じ質問をしないように、質問生成手段m2は関係者情報登録手段m9に登録された質問履歴を確認しながら質問を作成することとしている。それでも参拝の頻度が高い利用者に対しては、1回の参拝で発せられる質問の件数を調整することで、同じ内容の質問が頻発されないように調整している。
【0095】
納骨堂システムは、対話ルーチンが終了すると、最後に、スクリーン11に「お疲れさまでした。カードキーを受付にご返却ください。」と表示することとしている。
【0096】
太郎氏は、カードキー挿入口に差し込まれているカードキーを抜き取って参拝室から退出する(ステップS270)。このカードキーは、参拝室のロックキーともなっていて、カードキーがカードキー挿入口に差し込まれている間は参拝室を施錠状態として、第三者の入室を抑制するようにしておいてもよい。また、カードキーがカードキー挿入口から引き抜かれることで、参拝室に搬送されていた位牌や骨壺等を自動的に保管室に返却搬送することとしてもよい。
【0097】
参拝室から退出後、太郎氏は、カードキーを受付にご返却し(ステップS280)、納骨堂を後にすることとなる。
【0098】
上述した本実施形態では、参拝室において、故人の音声に模した音声を出力することとしているが、故人の生前の音声データが入手可能であれば、生前の音声データを用いてもよく、可能であれば予めサンプリングしておいてもよい。特に、可能であれば発話の癖を再現できるデータを集積してもよい。
【0099】
上述した実施形態では、参拝者が納骨堂を参拝する場合について説明したが、納骨堂を訪れることが困難な参拝者に対しては、いわゆるオンライン参拝を可能とすることもできる。
【0100】
すなわち、上述した受付サーバにおいて、ユーザが納骨堂を利用する日時の受付管理をするだけでなく、オンライン参拝の受付管理も行うようにすることもできる。
【0101】
特に、複数名が同時にオンライン参拝可能としており、受付サーバにおいて、オンライン参拝を予約する際に、参加者のメールアドレスを登録させておくことにより、当該メールアドレスに、オンライン参拝における参拝室の招待情報が通知されることとしている。
【0102】
オンライン参拝の参加者は、通知された招待情報に基づいて、自身が使用するパーソナルコンピュータやスマートフォンなどのインターネットに接続可能な通信機器を用いて、オンライン参拝の開催日の開催時間なったところで、参拝室への入室手続きを行う。具体的には、招待情報に含まれているURL情報に基づいて、当該URLへのアクセスを行う。
【0103】
本実施形態のオンライン参拝は、いわゆるビデオ会議システムを流用しており、納骨堂では、実際に参拝者が参拝室に訪れた場合と同様に祭壇等を準備し、参拝室に設けたカメラで参拝室内を撮影し、各参拝者が使用している通信機器のディスプレイに参拝室を表示させることとしている。
【0104】
オンライン参拝では、オプションとして、納骨堂の管理をしている管理者が、参拝者の代わりに、お水や線香を捧げる行為をし、その状態を各参拝者に見せることもできる。
【0105】
オンライン参拝の参拝者は、双方向で通話が可能となっており、参拝の間に会話することで、一般的なオンライン参拝と異なり、参加意識を高めることができ、参拝行為の充足感を高めることができる。
【0106】
このように、本発明の納骨堂システムでは、参拝者の充足感を高めることで、参拝者による定期的な利用を促すことができる。
【0107】
オンライン参拝の別形態として、インターネット等のネットワークへの接続機能を有するタブレットやパーソナルコンピュータから、受付サーバにアクセスし、直ちに参拝を行うものである。この参拝をリモート参拝と呼ぶこととする。納骨堂で参拝する参拝者がいる場合がオンライン参拝であり、納骨堂で参拝する参拝者がいない場合がリモート参拝である。
【0108】
特に、リモート参拝では、インターネット等のネットワークへの接続機能を有するタブレットやパーソナルコンピュータに専用のアプリケーションソフトをインストールしておき、このアプリケーションソフトを起動させて参拝を行うこととしている。説明の便宜上、以下においてタブレットを用いた場合について説明する。専用のアプリケーションソフトがインストールされたタブレットを、そのアプリケーションソフトがインストールされていないタブレットと区別するために、専用タブレットと呼ぶこととする。
【0109】
図9に示すように、専用タブレット30は、インターネット31に接続して、納骨堂システムの受付サーバ32、及び受付サーバ32を介して納骨堂システムの制御装置10に接続可能としており、インストールした参拝用のアプリケーションソフトを起動させることで、受付サーバ32のトップ画面が表示されることとしている。
【0110】
なお、専用タブレット30は、参拝用のアプリケーションソフトを起動させた後に、所定時間の経過後には、故人の遺影を表示する遺影表示モード、または仏壇に位牌が安置された画像を表示する仏壇表示モード、あるいは遺影表示モードと仏壇表示モードとを交互に切り替えて表示する交互表示モードを起動させることとしている。
【0111】
特に、専用タブレット30は、仏壇表示モードとなることで、自宅に仏壇用のいわゆる仏間及び仏壇がなくても、仏壇が存在しているかのように感じさせることができる。しかも、専用タブレット30の移動が容易なことから、通常では設置したままとなる仏壇を移動式とすることができ、部屋数が限られるような居住空間の有効活用が可能となる。また、専用タブレット30では、観音開きとなる前面カバーを備えたケース33に収容しておくことで、より仏壇らしくすることもできる。
【0112】
専用タブレット30では、参拝用のアプリケーションソフトを起動させて受付サーバ32にアクセスし、この受付サーバ32のトップ画面から上述した参拝予約を行ってもよいし、受付サーバ32のトップ画面に別途設けた「お勤め」ボタンを選択することで、日常のお勤め用のお経音声が出力されるようにしている。なお、納骨堂システムの制御装置10では、「お勤め」ボタンが選択された場合に、参拝者登録手段m11によって参拝者を特定することとしている。
【0113】
お経音声が出力されている際に、専用タブレット30では、納骨堂システムの制御装置10の記憶手段m8に登録されている故人の写真を表示したり、あるいは有名なお寺の仏像を表示したり、あるいは故人の位牌と骨壺とを表示したり、これらを組み合わせて表示したりしてもよい。さらに、お経の終わりには、故人の声に模した音声で、今日は何の日かを説明したり、あるいはあらかじめ制御装置10の記憶手段m8に登録されている情報、例えば家族の誕生日とか記念日とかを告げたりしてもよく、最後には「今日も元気で。」と締めることで、リモート参拝で参拝した参拝者にやすらぎ感を与えることもできる。
【0114】
このように、専用タブレット30のような専用化した通信端末を用いることで、専用タブレット30の使用者の好みに合わせた参拝あるいはお勤めを可能として、充足感を高めることができる。
【符号の説明】
【0115】
10 制御装置
11 スクリーン
12 プロジェクタ
13 スピーカ
14 マイク
15 祭壇