(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003090
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】ガスケットおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20241226BHJP
F16J 15/14 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
F16J15/10 A
F16J15/10 U
F16J15/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103574
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相原 主弥
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 亮子
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040BA04
3J040EA15
3J040EA17
3J040EA43
3J040EA48
3J040FA06
3J040HA02
(57)【要約】
【課題】ガスケットの組付けを容易化する。
【解決手段】ガスケット30Aは、第1端部411を含む第1構成部41と、第2端部421を含む第2構成部42と、第1端部411と第2端部421とを連結する連結部61とを具備する。第1構成部41および第2構成部42の各々は、金属材料で形成された基材と、基材を被覆する弾性体とを含む。連結部61は、第1端部411における弾性体と第2端部421における弾性体とを連結する自己架橋エラストマーである。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部を含む第1構成部と、
第2端部を含む第2構成部と、
前記第1端部と前記第2端部とを連結する連結部と
を具備するガスケットであって、
前記第1構成部および前記第2構成部の各々は、
金属材料で形成された基材と、
前記基材を被覆する弾性体とを含み、
前記連結部は、前記第1端部における前記弾性体と前記第2端部における前記弾性体とを連結する自己架橋エラストマーである
ガスケット。
【請求項2】
前記第1端部は、第1端面を含み、
前記第2端部は、前記第1端面に接触する第2端面を含み、
前記連結部は、前記第1端面と前記第2端面との境界面を包囲する
請求項1のガスケット。
【請求項3】
前記第1構成部および前記第2構成部の各々は、
第1面と、
前記第1面とは反対側の第2面と、
前記第1面と前記第2面との間の内壁面と、
前記第1面と前記第2面との間の外壁面とを含み、
前記連結部は、前記第1面と前記第2面と前記内壁面とに接触し、
前記外壁面は前記連結部から露出する
請求項2のガスケット。
【請求項4】
前記第1端部は、前記第1構成部のうち前記第1端部以外の部分に対して屈曲した部分であり、第1端面を含み、
前記第2端部は、前記第2構成部のうち前記第2端部以外の部分に対して屈曲した部分であり、前記第1端面に対向する第2端面を含み、
前記連結部は、前記第1端面と前記第2端面との間に設置される
請求項1のガスケット。
【請求項5】
前記第1端部と前記第2端部とを包囲する保持部材
をさらに具備する請求項4のガスケット。
【請求項6】
第1端部を含む第1構成部と、第2端部を含む第2構成部とを具備するガスケットの製造方法であって、
前記第1構成部および前記第2構成部の各々は、
金属材料で形成された基材と、
前記基材を被覆する弾性体とを含み、
前記第1構成部と前記第2構成部とを準備する工程と、
前記第1端部における前記弾性体と前記第2端部における前記弾性体とを、自己架橋エラストマーにより形成された連結部により連結する工程と
を含むガスケットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスケットおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
相対向する一対の構造体の間に設置されるガスケットが従来から提案されている。例えば、特許文献1には、複数の分割片の間隙を液状ガスケットにより封止した構造のガスケットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術においては、ガスケットの組付けの段階で液状ガスケットを塗布する必要があり、液状ガスケットの保管等の管理が煩雑であるという課題がある。複数の分割片を例えば液状の接着剤等により接合する構成においても同様の課題が想定される。以上の事情を考慮して、本開示のひとつの態様は、ガスケットの組付けを容易化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のひとつの態様に係るガスケットは、第1端部を含む第1構成部と、第2端部を含む第2構成部と、前記第1端部と前記第2端部とを連結する連結部とを具備するガスケットであって、前記第1構成部および前記第2構成部の各々は、金属材料で形成された基材と、前記基材を被覆する弾性体とを含み、前記連結部は、前記第1端部における前記弾性体と前記第2端部における前記弾性体とを連結する自己架橋エラストマーである。
【0006】
本開示のひとつの態様に係るガスケットの製造方法は、第1端部を含む第1構成部と、第2端部を含む第2構成部とを具備するガスケットの製造方法であって、前記第1構成部および前記第2構成部の各々は、金属材料で形成された基材と、前記基材を被覆する弾性体とを含み、前記第1構成部と前記第2構成部とを準備する工程と、前記第1端部における前記弾性体と前記第2端部における前記弾性体とを、自己架橋エラストマーにより形成された連結部により連結する工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る密封機構の側面図である。
【
図5】第1実施形態における打抜加工の説明図である。
【
図7】
図6におけるVII-VII線の断面図である。
【
図10】第2実施形態におけるガスケットの平面図である。
【
図11】第2実施形態における連結部の近傍を拡大した平面図である。
【
図13】密封機構にガスケットが設置された状態の断面図である。
【
図14】第2実施形態におけるガスケットの製造工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A:第1実施形態
図1は、本開示の第1実施形態に係る密封機構100の断面図である。
図1に例示される通り、第1実施形態の密封機構100は、第1部材10と第2部材20とガスケット30Aとを具備する。第1部材10と第2部材20とが分離された状態が
図1には便宜的に図示されている。
【0009】
第1部材10は、接合面11に開口12が形成された中空の部材である。同様に、第2部材20は、接合面21に開口22が形成された中空の部材である。第1部材10と第2部材20とは、例えばボルト等の締結具(図示略)により相互に固定される。第1部材10の内部空間と第2部材20の内部空間とは相互に連通する。
【0010】
ガスケット30Aは、第1部材10と第2部材20との間に設置される環状のシール部材である。具体的には、第1部材10の接合面11と第2部材20の接合面21との間にガスケット30Aが挟持される。以上の構成において、密封機構100の内部空間はガスケット30Aにより封止される。
【0011】
図2は、ガスケット30Aの平面図である。
図2に例示される通り、ガスケット30Aの概形は長方形の環状(すなわち矩形枠状)である。第1実施形態のガスケット30Aは、複数の構成部40と複数の連結部61とを具備する。複数の構成部40の各々は、直線状、折線状または曲線状に成形された長尺な部品である。各構成部40が連結部61により相互に連結されることで環状のガスケット30Aが構成される。具体的には、相互に隣合う2個の構成部40が連結部61により連結される。
【0012】
図3は、各構成部40の断面図である。
図3に例示される通り、各構成部40は、基材51と弾性体52とを含む。基材51は、硬質の板状部材であり、例えば金属材料により形成される。具体的には、基材51は、例えばステンレス板、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、またはアルミニウム合板で形成される。
【0013】
弾性体52は、弾性材料により形成されて基材51を被覆する弾性膜である。第1実施形態の弾性体52は、第1弾性体521と第2弾性体522とを含む。第1弾性体521は、基材51の一方の表面を被覆する。第2弾性体522は、基材51の他方の表面を被覆する。すなわち、各構成部40は、第1弾性体521と第2弾性体522との間に基材51が介在する積層体である。なお、基材51の表面には、弾性体52との密着性を確保するための下地処理が実行されてもよい。
【0014】
弾性体52は、例えばニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴムおよびシリコンゴムから選択された1種以上のゴム配合物を含有する合成ゴムシート(例えば発泡ゴム)により構成される。
【0015】
以上に例示した各構成部40は、素材となる板状部材(以下「基礎部材」という)を例えばプレスにより部分的に打抜く加工(打抜加工)により製造される。基礎部材は、金属板の両面が弾性膜により被覆された積層基板である。
【0016】
図4は、第1実施形態のガスケット30Aと同様の外形のガスケット81が単体の部材により形成される形態(以下「対比例」という)における打抜加工の説明図である。
図4に例示される通り、対比例において、基礎部材80のうちガスケット81の外側に位置する領域と内側に位置する領域とは廃棄される。以上の通り、対比例では、大型の基礎部材80が必要であり、しかも基礎部材80から製造されるガスケット81の個数が少ないため、製造コストの低減が困難である。また、基礎部材80のうち廃棄される部分が多いため、環境保護の観点からも改善が要求される。
【0017】
図5は、第1実施形態における打抜加工の説明図である。
図5に例示される通り、第1実施形態においては、同様の形状の複数の構成部40が相互に近接した状態で基礎部材80から製造される。したがって、対比例と比較して基礎部材80に必要なサイズが縮小され、かつ、基礎部材80のうち廃棄される領域が削減される。以上の構成によれば、基礎部材80から製造されるガスケット30Aの個数が対比例と比較して増加することで製造コストが低減されるほか、資源の有効利用により環境保護にも寄与できる。
【0018】
図6は、第1実施形態のガスケット30Aのうち任意の1個の連結部61に着目した平面図である。ガスケット30Aの複数の構成部40のうち相互に隣合う任意の2個の構成部40が、第1構成部41および第2構成部42として
図6に図示されている。すなわち、相互に隣合う2個の構成部40の各組について、
図6に例示した構成が採用される。
【0019】
図6に例示される通り、第1構成部41は第1端部411を含み、第2構成部42は第2端部421を含む。第1端部411は、第1構成部41のうち第2構成部42に近い端部である。第2端部421は、第2構成部42のうち第1構成部41に近い端部である。また、第1端部411は第1端面412を含み、第2端部421は第2端面422を含む。第1端面412と第2端面422とは相互に対向する。第1実施形態においては、第1端面412と第2端面422とは隙間なく相互に接触する。
【0020】
連結部61は、第1端部411と第2端部421とを連結する。第1実施形態の連結部61は、自己架橋エラストマーにより構成される。自己架橋エラストマーは、例えば室温(例えば1℃~30℃)において架橋が発生するポリマー材料である。例えばシリコーン系、アクリル系またはポリウレタン系等の各種のイオン架橋ゴムが連結部61の材料として例示される。
【0021】
具体的には、連結部61は、第1端部411における弾性体52と第2端部421における弾性体52とを連結する。すなわち、第1端部411における弾性体52と第2端部421における弾性体52とが、連結部61の架橋により当該連結部61に接合される。したがって、第1端部411と第2端部421とは連結部61を介して連結される。連結部61を構成する自己架橋エラストマーは、各構成部40を連結する要素として機能するほか、各構成部40とともに密封機構100の内部空間を封止するシール部材としても機能する。
【0022】
図7は、
図6におけるVII-VII線の断面図である。
図7に例示される通り、第1構成部41および第2構成部42の各々の外面は、第1面S1と第2面S2と内壁面S3と外壁面S4とを含む。第1面S1と第2面S2とは、相互に反対側を向く主面である。
図1に例示される通り、第1面S1は、第1部材10の接合面11に対向し、第2面S2は、第2部材20の接合面21に対向する。
【0023】
内壁面S3および外壁面S4は、第1面S1と第2面S2との間の側面である。内壁面S3は、環状のガスケット30Aの内周を構成する側面である。すなわち、内壁面S3は、密封機構100の内部空間側に位置する。他方、外壁面S4は、環状のガスケット30Aの外周を構成する側面である。すなわち、内壁面S3は、密封機構100の外側(大気側)に位置する。
【0024】
図6に例示される通り、連結部61は、第1端面412と第2端面422との境界面Bを部分的に包囲する。具体的には、連結部61は、
図7に例示される通り、第1面S1と第2面S2と内壁面S3とに接触するU字型に形成される。他方、各構成部40の外壁面S4は連結部61から露出する。したがって、外壁面S4には、密封機構100の周囲の大気が接触する。
【0025】
図8は、設置前の初期的な状態(以下「初期状態」という)にある連結部61の平面図である。
図8に例示される通り、初期状態の連結部61は長尺状に形成される。連結部61の長さLは、当該連結部61の幅Wの2倍以上の寸法に設定される(L≧2W)。また、連結部61の厚さは、例えば0.1mm以上かつ1mm以下に設定される。
【0026】
以上のように初期状態では平板状の連結部61が、長手方向の2箇所(Q1,Q2)において曲折された状態で第1構成部41および第2構成部42に接合される。具体的には、連結部61は、各構成部40の第1面S1を被覆する部分611と、各構成部40の第2面S2を被覆する部分612と、各構成部40の内壁面S3を被覆する部分613とを含む。構成部40の外壁面S4は、連結部61の部分611と部分612との間において連結部61から露出する。
【0027】
図9は、以上に説明したガスケット30Aの製造工程の説明図である。
図9の製造工程は、「ガスケットの製造方法」の一例である。
【0028】
図9に例示される通り、工程P1において、複数の構成部40が準備される。具体的には、
図5を参照して説明した通り、基礎部材80に対する打抜加工により複数の構成部40が製造される。
【0029】
工程P1の実行後の工程P2において、第1構成部41の第1端部411における弾性体52と第2構成部42の第2端部421における弾性体52とが、連結部61により連結される。各連結部61は、前述の通り、自己架橋エラストマーにより形成される。複数の構成部40が連結部61により環状に連結されることでガスケット30Aが構成される。
【0030】
以上に説明した通り、第1実施形態においては、自己架橋エラストマーで構成される連結部61により第1構成部41の第1端部411と第2構成部42の第2端部421とが連結される。したがって、密封機構100にガスケット30Aを組付ける段階において、特許文献1の液状ガスケット、または、各構成部40を連結する液状の接着剤を塗布する作業は不要である。したがって、ガスケット30Aの組付けを容易化することが可能である。
【0031】
また、第1実施形態においては、第1端面412と第2端面422との境界面Bが連結部61により包囲される。したがって、第1端面412と第2端面422との間に連結部61が設置される形態と比較して、第1端部411と第2端部421とを強固に連結できる。
【0032】
第1実施形態においては、第1面S1と第2面S2と内壁面S3とに連結部61が接触し、外壁面S4は連結部61から露出する。初期状態において平板状の連結部61を第1面S1と第2面S2と内壁面S3とに接触するように曲折することで連結部61を設置できる。したがって、例えば第1構成部41および第2構成部42を全周にわたり包囲する環状の連結部61を利用する形態と比較して、連結部61を設置する作業が容易である。他方、各構成部40のうち密封機構100の内部空間に近い内壁面S3は連結部61により被覆されるから、当該内部空間の密封性は充分に維持される。すなわち、第1実施形態によれば、連結部61を設置する作業の容易化と密封性の確保とを両立できる。
【0033】
B:第2実施形態
図10は、第2実施形態におけるガスケット30Bの平面図である。第2実施形態の密封機構100においては、第1実施形態のガスケット30Aが
図10のガスケット30Bに置換される。
【0034】
第2実施形態のガスケット30Bの概形は長方形の環状(すなわち矩形枠状)である。第2実施形態のガスケット30Bは、複数の構成部40と複数の連結部62と複数の保持部材70とを具備する。各構成部40の構造は第1実施形態と同様である。各構成部40が連結部62および保持部材70により相互に連結されることで環状のガスケット30Bが構成される。
【0035】
図11は、第2実施形態のガスケット30Bのうち1個の連結部62に着目した平面図である。
図5と同様に、相互に隣合う第1構成部41および第2構成部42が
図11には図示されている。第2実施形態の連結部62は、第1構成部41の第1端部411と第2構成部42の第2端部421とを連結する。連結部62は、第1実施形態の連結部61と同様に自己架橋エラストマーにより構成される。
【0036】
図12は、
図11におけるXII-XII線の断面図である。
図11および
図12に例示される通り、第2実施形態における第1端部411は、第1構成部41のうち第1端部411以外の部分に対して直角に屈曲した部分である。すなわち、第1端部411は、第1構成部41の表面から垂直に突出する。同様に、第2端部421は、第2のうち第2端部421以外の部分に対して直角に屈曲した部分である。すなわち、第2端部421は、第2構成部42の表面から垂直に突出する。
【0037】
第1端部411は第1端面412を含み、第2端部421は第2端面422を含む。第1端面412と第2端面422とは、間隔をあけて相互に対向する。
図11および
図12に例示される通り、第2実施形態の連結部62は、第1端面412と第2端面422との間に設置される。具体的には、第1端部411および第2端部421の各々の弾性体52が、連結部62の架橋により当該連結部62に接合される。以上の構成により、第1端部411と第2端部421とが連結部62を介して連結される。
【0038】
また、第2実施形態のガスケット30Bは複数の保持部材70を具備する。第1端部411と第2端部421との組毎に保持部材70が設置される。保持部材70は、弾性材料で形成された環状の部材である。例えばニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴムおよびシリコンゴム等の各種の樹脂材料により、保持部材70は形成される。
【0039】
図11および
図12に例示される通り、保持部材70は、第1端部411と第2端部421とを包囲する。具体的には、保持部材70の内周面は第1端部411および第2端部421に接触する。保持部材70は、第1端部411と第2端部421とが連結部62により連結された状態を保持する。以上の通り、第2実施形態においては、第1端部411と第2端部421とが連結部62により連結される構成に加えて、第1端部411と第2端部421とを包囲する保持部材70が設置される。したがって、保持部材70が設置されない形態と比較して、第1端部411と第2端部421とを強固に連結できる。なお、保持部材70は省略されてもよい。
【0040】
図13は、密封機構100にガスケット30Bが設置された状態の断面図である。
図13に例示される通り、第1部材10の接合面11には収容空間13が形成される。第1端部411と第2端部421との組毎に収容空間13が形成される。収容空間13は、第1端部411と第2端部421と連結部62と保持部材70とを収容する凹部である。保持部材70の外周面は、収容空間13の内壁面に接触する。すなわち、保持部材70は、第1端部411および第2端部421と第1部材10との間を密封するシール部材として機能する。
【0041】
図14は、第2実施形態におけるガスケット30Bの製造工程の説明図である。
図14の製造工程は、「ガスケットの製造方法」の一例である。
【0042】
第1実施形態と同様に、工程P1において、複数の構成部40が準備される。工程P1の実行後の工程P2において、第1構成部41の第1端部411における弾性体52と第2構成部42の第2端部421における弾性体52とが、連結部62により連結される。各連結部62は、前述の通り、自己架橋エラストマーにより形成される。工程P2の実行後の工程P3において、第1端部411と第2端部421とを包囲するように保持部材70が設置される。
【0043】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態においては、第1構成部41のうち屈曲した第1端部411の第1端面412と、第2構成部42のうち屈曲した第2端部421の第2端面422との間に連結部62が設置される。したがって、第1構成部41および第2構成部42の各々において連結部62に接合される面積(第1端面412,第2端面422)を充分に確保し易い。
【0044】
C:変形例
以上に例示した各態様に付加される具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
【0045】
(1)第1実施形態においては、構成部40の第1面S1と第2面S2と内壁面S3とに連結部62が接触し、当該構成部40の外壁面S4は連結部62から露出する形態を例示したが、連結部62の形状は以上の例示に限定されない。例えば、第1実施形態において連結部62が環状に形成されてもよい。具体的には、構成部40の第1面S1と第2面S2と内壁面S3と外壁面S4とに連結部62が接触してもよい。
【0046】
(2)各構成部40の積層構造は、前述の各形態における例示に限定されない。例えば、各構成部40における基材51と弾性体52との間に、両者間の密着性を向上するための下地膜が形成されてもよい。また、基材51または弾性体52は、材料が相違する複数層の積層により構成されてもよい。
【0047】
(3)ガスケット30(30A,30B)の平面的な形状は、前述の各形態における例示に限定されない。例えば、円環状または多角形状のガスケット30にも、前述の各形態は同様に適用される。また、ガスケット30を構成する構成部40の個数は前述の各形態における例示に限定されない。例えばガスケット30が2個の構成部40で構成されてもよい。
【0048】
(4)本願における「第n」(nは自然数)という記載は、各要素を表記上において区別するための形式的かつ便宜的な標識(ラベル)としてのみ使用され、如何なる実質的な意味も持たない。したがって、「第n」という表記を根拠として、各要素の位置または製造の順番等が限定的に解釈される余地はない。
【0049】
D:付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0050】
本開示のひとつの態様(態様1)に係るガスケットは、第1端部を含む第1構成部と、第2端部を含む第2構成部と、前記第1端部と前記第2端部とを連結する連結部とを具備するガスケットであって、前記第1構成部および前記第2構成部の各々は、金属材料で形成された基材と、前記基材を被覆する弾性体とを含み、前記連結部は、前記第1端部における前記弾性体と前記第2端部における前記弾性体とを連結する自己架橋エラストマーである。以上の形態においては、自己架橋エラストマーで構成される連結部により第1構成部の第1端部と第2構成部の第2端部とが連結される。したがって、密封機構にガスケットを組付ける段階において、特許文献1の液状ガスケット、または、各構成部を連結する液状の接着剤を塗布する作業は不要である。したがって、ガスケットの組付けを容易化することが可能である。
【0051】
態様1の具体例(態様2)において、前記第1端部は、第1端面を含み、前記第2端部は、前記第1端面に接触する第2端面を含み、前記連結部は、前記第1端面と前記第2端面との境界面を包囲する。以上の態様においては、第1端面と第2端面との境界面が連結部により包囲される。したがって、第1端面と第2端面との間に連結部が設置される形態と比較して、第1端部と第2端部とを強固に連結できる。
【0052】
態様2の具体例(態様3)において、前記第1構成部および前記第2構成部の各々は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、前記第1面と前記第2面との間の内壁面と、前記第1面と前記第2面との間の外壁面とを含み、前記連結部は、前記第1面と前記第2面と前記内壁面とに接触し、前記外壁面は前記連結部から露出する。以上の態様においては、第1面と第2面と内壁面とに連結部が接触し、外壁面は連結部から露出する。したがって、設置前の初期状態では平板状の連結部を第1面と第2面と内壁面とに接触するように曲折することで連結部を設置できる。したがって、例えば第1構成部および第2構成部を全周にわたり包囲する環状の連結部を利用する形態と比較して、連結部を設置する作業が容易である。他方、第1構成部および第2構成部のうち密封対象となる内部空間に近い内壁面は連結部により被覆されるから、内部空間の密封性は充分に維持される。すなわち、連結部を設置する作業の容易化と密封性の確保とを両立できる。
【0053】
態様1の具体例(態様4)において、前記第1端部は、前記第1構成部のうち前記第1端部以外の部分に対して屈曲した部分であり、第1端面を含み、前記第2端部は、前記第2構成部のうち前記第2端部以外の部分に対して屈曲した部分であり、前記第1端面に対向する第2端面を含み、前記連結部は、前記第1端面と前記第2端面との間に設置される。以上の態様においては、第1構成部のうち屈曲した第1端部の第1端面と、第2構成部のうち屈曲した第2端部の第2端面との間に連結部が設置される。したがって、第1構成部および第2構成部の各々において連結部に接合される面積(第1端面,第2端面)を充分に確保し易い。
【0054】
態様4の具体例(態様5)において、前記第1端部と前記第2端部とを包囲する保持部材をさらに具備する。以上の態様においては、第1端部と第2端部とが連結部により連結される構成に加えて、第1端部と第2端部とを包囲する保持部材が設置される。したがって、保持部材が設置されない形態と比較して、第1端部と第2端部とを強固に連結できる。
【0055】
本開示のひとつの態様(態様6)に係るガスケットの製造方法は、第1端部を含む第1構成部と、第2端部を含む第2構成部とを具備するガスケットの製造方法であって、前記第1構成部および前記第2構成部の各々は、金属材料で形成された基材と、前記基材を被覆する弾性体とを含み、前記第1構成部と前記第2構成部とを準備する工程と、前記第1端部における前記弾性体と前記第2端部における前記弾性体とを、自己架橋エラストマーにより形成された連結部により連結する工程とを含む。
【符号の説明】
【0056】
100…密封機構、10…第1部材、11…接合面、12…開口、13…収容空間、20…第2部材、21…接合面、22…開口、30A,30B…ガスケット、40…構成部、41…第1構成部、411…第1端部、412…第1端面、42…第2構成部、421…第2端部、422…第2端面、51…基材、52…弾性体、521…第1弾性体、522…第2弾性体、61,62…連結部、70…保持部材、80…基礎部材。