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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030941
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】発音装置
(51)【国際特許分類】
   B62J 3/06 20200101AFI20250228BHJP
   B60Q 5/00 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
B62J3/06
B60Q5/00 630B
B60Q5/00 620A
B60Q5/00 680D
B60Q5/00 690Z
B60Q5/00 610C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136673
(22)【出願日】2023-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】523323387
【氏名又は名称】矢島 文則
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】矢島 文則
(57)【要約】
【課題】必要に応じて歩行者に自車の接近を知らせる発音装置を提供する。
【解決手段】回転する車輪のスポークに接触して弾かれることで発音する発音装置であって、先端部がスポークに接触して発音する発音位置と、先端部がスポークから離間して発音しない消音位置との間を移動可能に設けられた発音体と、車輪を回転可能に支持するフレームに、発音体をフレームの廻りに回転可能に保持する保持体と、を備え、発音体が発音位置でスポークの回転方向に対して鋭角で当接して回転するスポークに順次弾かれることで連続して発音する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する車輪のスポークに接触して弾かれることで発音する発音装置であって、
先端部が前記スポークに接触して発音する発音位置と、先端部が前記スポークから離間して発音しない消音位置との間を移動可能に設けられた発音体と、
前記車輪を回転可能に支持するフレームに、前記発音体を前記フレームの廻りに回転可能に保持する保持体と、を備えた、
ことを特徴とする発音装置。
【請求項2】
前記発音体は、前記発音位置で前記スポークの回転方向に対して鋭角で当接して回転する前記スポークに順次弾かれることで連続して発音する、
ことを特徴とする請求項1に記載の発音装置。
【請求項3】
前記発音体は、前記スポークと当接する角度を変更することで発音の大きさが変化する、
ことを特徴とする請求項2に記載の発音装置。
【請求項4】
前記発音体は、前記保持体に交換可能に保持されている、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発音装置。
【請求項5】
前記発音体と前記保持体は、合成樹脂材料を用いて一体に形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発音装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両構成部材から、車両の走る路面に向かって伸びる発音体を路面に対して、接地、離反、可能に、車両構成部材に設けた、車両接近報知装置並びに該車両接近報知装置を備えた車両が知られている(特許文献1)。
【0003】
はじかれて音を発する複数の振動板をもつ発音部材と該各振動板をはじくための複数の突起をもつ操作部材とからなるオルゴールの発音部材を自転車の車輪支持用のフレームに取り付ける一方、オルゴールの操作部材を自転車の車輪の側面における振動板をはじき得る位置に取り付け、車輪を回転せしめることによりオルゴールが奏鳴されるようにしたオルゴールつき自転車も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-20736号公報
【特許文献2】特開平4-293691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、必要に応じて歩行者に自車の接近を知らせる発音装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発音装置は、
回転する車輪のスポークに接触して弾かれることで発音する発音装置であって、
先端部が前記スポークに接触して発音する発音位置と、先端部が前記スポークから離間して発音しない消音位置との間を移動可能に設けられた発音体と、
前記車輪を回転可能に支持するフレームに、前記発音体を前記フレームの廻りに回転可能に保持する保持体と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発音装置において、
前記発音体は、前記発音位置で前記スポークの回転方向に対して鋭角で当接して回転する前記スポークに順次弾かれることで連続して発音する、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発音装置において、
前記発音体は、前記スポークと当接する角度を変更することで発音の大きさが変化する、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発音装置において、
前記発音体は、前記保持体に交換可能に保持されている、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発音装置において、
前記発音体と前記保持体は、合成樹脂材料を用いて一体に形成されている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、必要に応じて歩行者に自車の接近を知らせることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、車輪の回転を妨げることなくスポークに接触して安定して発音することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、必要に応じて発音の大きさを変更することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、必要に応じて発音体を交換することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、発音装置をより簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る発音装置を取り付けた自転車を示す図である。
図2】(a)は本実施形態に係る発音装置を示す正面図、(b)は本実施形態に係る発音装置を示す平面断面模式図である。
図3】(a)は発音位置に位置する発音装置を示す平面断面模式図、(b)は消音位置に位置する発音装置を示す平面断面模式図である。
図4】発音装置の発音を説明する平面断面模式図である。
図5】発音装置における発音の大きさの調節を説明する平面断面模式図である。
図6】変形例に係る発音装置を示す平面断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、理解の容易のために説明に必要な要素以外の図示は適宜省略されている。
【0018】
(1)発音装置の構成
図1は本実施形態に係る発音装置1を取り付けた自転車100の例を示す図、図2(a)は本実施形態に係る発音装置1を示す正面図、(b)は本実施形態に係る発音装置1を示す平面断面模式図、図3(a)は発音位置に位置する発音装置1を示す平面断面模式図、(b)は消音位置に位置する発音装置1を示す平面断面模式図である。
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る発音装置1について説明する。
【0019】
発音装置1は、先端部10aが車輪110のスポークSPと接触して弾かれることで発音する発音体10と、車輪110を回転可能に支持するフレームFRに、発音体10をフレームFRの廻りに回転可能に保持する保持体20と、を備えている。
発音装置1は、自転車100のフレームFRに取り付けられて、必要に応じて歩行者に自車の接近を知らせることができるようになっている。
【0020】
(1.1)発音体
発音体10は、図2に示すように、長さ方向に延在して基端部10bを起点として弾性変形可能つまり撓み可能な薄板状部材であり、例えば、合成樹脂で形成されている。具体的には、発音体10は、自転車のフレームFRに保持体20で取り付けられ先端部10aが車輪のスポークSPに確実に接触可能な長さLとして50mm~150mm、先端部10aが車輪110のスポークSPに確実に接触可能な幅Wとして5mm~10mm、先端部10aが車輪のスポークSPに接触して撓み可能となる厚さTとして1mm~2mmである薄板状部材である。
尚、合成樹脂材料は、耐久性、発音の大小、スポークSPとの摩擦等を考慮して、適宜その材質、硬度等を選択してもよく、例えば、機械的特性、摩耗特性、コスト等の観点からPOM(ポリアセタール)が好適である。
【0021】
(1.2)保持体
保持体20は、その内面20Aa、20Baが自転車100のフレームFRの形状に沿うように凹状に形成された2つの半割り部材20A、20Bを一端側20aで開閉可能に軸支し、多端側20bで発音体10の基端部10bを挟み込んでネジSで固定することで、発音体10をフレームFRに保持する。発音体10は、その基端部10bを保持体20を構成する2つの半割り部材20A、20Bで挟み込んでネジ固定されることから、必要に応じて、他の発音体10と交換可能となっている。例えば、発音体10がスポークSPと接触して長期に亘って使用され、先端部10aが摩耗した場合、未使用の新たな発音体10と交換して使用することができる。また、厚さTの異なる発音体10と交換して、発音の大きさを変更することもできる。
【0022】
半割り部材20A、20Bの凹状の内面20Aa、20Baには、フレームFRの形状に沿うように一定の弾性を有するとともにフレームFRとの間で一定の摩擦力を有する材料21、例えばゴム、エラストマー樹脂等を用いるのが好ましい。これにより、保持体20がフレームFRの形状に沿いやすく安定して固定されるとともに、自転車100の走行中に振動が加わっても保持体20の固定位置がずれることが無い。
【0023】
(1.3)発音装置の取り付け
発音体10は、先端部10aが車輪110のスポークSPに向くようにして自転車100のフレームFRに保持体20でフレームFRの廻りに回転可能に取り付けられる。
具体的には、発音体10は、先端部10aが車輪のスポークSPに接触して発音する発音位置(図3(a)に示す)と、先端部10aが車輪のスポークSPから離間して発音しない消音位置(図3(b)に示す)との間を移動可能に自転車100のフレームFRに保持体20で取り付けられる。
【0024】
(2)発音装置の作用
図4は発音装置1の発音を説明する平面断面模式図、図5は発音装置1における発音の調節を説明する平面断面模式図である。
発音体10は、図3(a)に示すように、発音位置で車輪110のスポークSPの回転方向(図3中 矢印Rで示す)に対して鋭角(図3(a)中 θ参照)で当接して回転する車輪110のスポークSPに順次弾かれることで連続して発音する。
【0025】
車輪110のスポークSPは、図1に示すように、車輪110のリム111と車輪110のハブ112との間で互いにクロスする2本が一組となって、ハブ112とリム111を連結している。
発音体10は、発音位置では、先端部10aが一組のスポークSP1と弾性的に接触した状態(図4(a)参照)から、図4中に矢印Rで示すように、車輪110が回転すると、先端部10aは一組のスポークSP1から離間して撓みが解放され(図4(b)参照)、続く隣接する一組のスポークSP2と弾性的に接触する状態(図4(c)参照)となる。このとき、発音体10は、一組のスポークSP1で弾かれて続く隣接する一組のスポークSP2に弾性的に接触することで音を発するようになっている。車輪110が回転すると、それぞれの一組のスポークSP1、SP2、SP3、・・・が発音体10を弾いて連続的に発音する。このように、発音装置1は、車輪110の回転を妨げることなくスポークSPに弾性的に接触して安定して発音することができる。
【0026】
発音体10は、車輪110のスポークSPと当接する角度θを変更することで発音の大きさが変化する。具体的には、図5(a)に示すように、発音体10の先端部10aがスポークSPと接触した状態から、図5(b)に示すように、発音体10がスポークSPに近付く方向に保持体20をフレームFRの廻りに回転させる(図5(b)中 矢印参照)と、発音体10の先端部10aが撓んで、先端部10aとスポークSPの接触圧が増加し、スポークSPによる弾かれ音は大きくなる。同様に、図5(c)に示すように、発音体10がスポークSPから遠ざかる方向に保持体20をフレームFRの廻りに回転させる(図5(c)中 矢印参照)と、発音体10の先端部10aの撓みは小さくなり、先端部10aとスポークSPの接触圧が減少し、スポークSPによる弾かれ音は小さくなる。このように、発音装置1は、自車の周囲の騒音状態に応じて車輪110のスポークSPと当接する角度θを変更することで発音の大きさを調節することができる。
また、発音体10がスポークSPから遠ざかる方向に保持体20をフレームFRの廻りに回転させて発音体10の先端部10aとスポークSPの接触圧を減少させることで、発音体10によるスポークSPへのダメージを抑制することもできる。
【0027】
「変形例」
図6は変形例に係る発音装置1Aを示す平面断面模式図である。
変形例に係る発音装置1Aは、発音体10Aと保持体10Bが合成樹脂材料を用いて一体に形成され、自転車100のフレームFRに一定の摩擦力を有する材料21Aを介して取り付けられる。このような発音装置1Aとしては、一例として、タイラップバンド50が挙げられる。
【0028】
図6に示すように、自転車100のフレームFRにタイラップバンド50の締め固定部51を巻き付け、挿通孔52にタイラップバンド50の先端側51aを挿通させて先端側51aを引っ張り、締め固定部51によりフレームFRを締め付けて固定する。
これにより、挿通孔52からタイラップバンド50の長手方向に延出する締め固定部51の先端側51aが車輪110のスポークSPに接触して発音する発音体10Aとなり、フレームFRに巻き付けられフレームFRを締め付ける締め固定部51が保持体10Bとなる。
【0029】
このように、タイラップバンド50を自転車100のフレームFRに巻き付けて締め付け固定することで、発音体10Aと保持体10Bが合成樹脂材料を用いて一体に形成された発音装置1Aとすることができる。変形例に係る発音装置1Aによれば、発音装置をより簡素化することができる。
【符号の説明】
【0030】
1、1A・・・発音装置
10、10A・・・発音体、10a・・・先端部、10b・・・基端部
20、20B・・・保持体、20A、20B・・・半割り部材、
50・・・タイラップバンド、51・・・締め固定部、52・・・挿通孔
100・・・自転車、110・・・車輪、111・・・リム、112・・・ハブ、FR・・・フレーム、SP・・・スポーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6