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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030943
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】後付けポケット
(51)【国際特許分類】
   A41D 27/20 20060101AFI20250228BHJP
【FI】
A41D27/20 K
A41D27/20 J
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136683
(22)【出願日】2023-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】山田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】杉山 みなみ
【テーマコード(参考)】
3B035
【Fターム(参考)】
3B035AA19
3B035AA20
3B035AB08
3B035AB09
3B035AB11
3B035AB14
3B035AC21
(57)【要約】
【課題】衣服に対して取り付け及び取り外しが可能でありながら、外から後付けポケットを衣服から引き剥がす方向に力が加わっても、容易に外れてしまうことがない後付けポケットを提供する。
【解決手段】後付けポケット1は、開口部13を有する袋状のポケット本体部3と、一方の端部5A,5A´がポケット本体部3に固定され、少なくとも他方の端部5B,5B´に係合部(第1の面ファスナ)21,21´が設けられた帯状の保持部材5,5´と、ポケット本体部3の内部に設けられ、係合部21,21´と係合する被係合部(第2の面ファスナ)23,23´とを備えている。保持部材5,5´は、衣服(ズボンP)に設けられた被挿通部IPに通された状態で、他方の端部5B,5B´が開口部13からポケット本体部3に挿入され、係合部21,21´がポケット本体部3の内部で被係合部23,23´に係合される。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する袋状のポケット本体部と、
一方の端部が前記ポケット本体部に固定され、少なくとも他方の端部に係合部が設けられた帯状の保持部材と、
前記ポケット本体部の内部に設けられ、前記係合部と係合する被係合部とを備え、
前記保持部材は、衣服に設けられた被挿通部に通された状態で、前記他方の端部が前記開口部から前記ポケット本体部に挿入され、前記係合部が前記ポケット本体部の内部で前記被係合部に係合される
ことを特徴とする後付けポケット。
【請求項2】
前記ポケット本体部は、前記開口部を開閉可能に覆うフラップ部を有しており、
前記フラップ部には、前記保持部材が挿通可能な貫通孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の後付けポケット。
【請求項3】
前記フラップ部は、前記開口部を覆ったときに前記ポケット本体部に重複し、
前記開口部が延びる方向と交差する方向に延びる前記フラップ部の一対の対向辺部は、前記ポケット本体部に対して縫着されて固定されている
ことを特徴とする請求項2に記載の後付けポケット。
【請求項4】
前記係合部は、第1の面ファスナであり、
前記被係合部は、前記第1の面ファスナと係合可能な第2の面ファスナである
ことを特徴とする請求項1に記載の後付けポケット。
【請求項5】
前記第1の面ファスナは、ループ型面ファスナであり、
前記第2の面ファスナは、フック型面ファスナである
ことを特徴とする請求項4に記載の後付けポケット。
【請求項6】
前記保持部材の前記一方の端部は、前記ポケット本体部に対して、着脱可能に固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の後付けポケット。
【請求項7】
開口部を有する袋状のポケット本体部と、
前記開口部を開閉可能に覆うと共に、貫通孔が形成されたフラップ部と、
一方の端部が前記ポケット本体部に固定され、少なくとも他方の端部に係合部が設けられた帯状の保持部材と、
前記フラップ部の裏面に設けられ、前記係合部と係合する被係合部とを備え、
前記保持部材は、衣服に設けられた被挿通部に通された状態で、前記他方の端部が前記貫通孔に挿入され、前記係合部が前記フラップ部の裏面側で前記被係合部に係合される
ことを特徴とする後付けポケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後付けポケットに関する。
【背景技術】
【0002】
食品製造や加工を行う工場用の作業服は、異物混入を防ぐため、ポケットが設けられていないものが多い。しかしながら、事業者によっては、作業服にポケットを求めることがある。そのため、両方のニーズに応えるため、作業服の製造業者としては、同タイプの作業服でも、ポケットを有していないものと、ポケットを有しているものの2種を製造・在庫しておく必要があり、コストがかさんでしまう、という課題があった。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1や特許文献2に記載のような、後付けのポケットを用いることが考えられる。すなわち、ポケットを有していない作業服に、後付けのポケットを取り付けることで、作業服にポケットを求めるニーズに応えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-160698号公報
【特許文献2】特開2004-060121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の後付けポケットでは、外から後付けポケットを衣服から引き剥がす方向に力が加わると、容易に後付けポケットが外れてしまう。そのため、後付けポケット自体が異物になり得るし、作業服に後付けポケットを取り付けたまま洗濯を行うことができない。
【0006】
本発明の目的は、衣服に対して取り付け及び取り外しが可能でありながら、外から後付けポケットを衣服から引き剥がす方向に力が加わっても、容易に外れてしまうことがない後付けポケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の後付けポケットは、開口部を有する袋状のポケット本体部と、一方の端部が前記ポケット本体部に固定され、少なくとも他方の端部に係合部が設けられた帯状の保持部材と、前記ポケット本体部の内部に設けられ、前記係合部と係合する被係合部とを備える。そして、前記保持部材は、衣服に設けられた被挿通部に通された状態で、前記他方の端部が前記開口部から前記ポケット本体部に挿入され、前記係合部が前記ポケット本体部の内部で前記被係合部に係合される。
【0008】
また、本発明の後付けポケットは、開口部を有する袋状のポケット本体部と、前記開口部を開閉可能に覆うと共に、貫通孔が形成されたフラップ部と、一方の端部が前記ポケット本体部に固定され、少なくとも他方の端部に係合部が設けられた帯状の保持部材と、前記フラップ部の裏面に設けられ、前記係合部と係合する被係合部とを備える。そして、前記保持部材は、衣服に設けられた被挿通部に通された状態で、前記他方の端部が前記貫通孔に挿入され、前記係合部が前記フラップ部の裏面側で前記被係合部に係合される。
【発明の効果】
【0009】
これにより、本発明の後付けポケットは、衣服に対して取り付け及び取り外しが可能でありながら、外から後付けポケットを衣服から引き剥がす方向に力が加わっても、容易に外れてしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】後付けポケット及び衣服の一例であるズボンの図である。
図2A】第1の実施の形態の後付けポケットの正面図である。
図2B図2AのIIB-IIB線端面図である。
図3A】被挿通部に保持部材を挿通した状態を示す正面図である。
図3B図3AのIIIB-IIIB線端面図である。
図4A】後付けポケットをズボンに取り付けた状態を示す正面図である。
図4B】IVB-IVB線端面図である。
図5】他の係合部及び被係合部の例を示す正面図である。
図6】さらに他の係合部及び被係合部の例を示す正面図である。
図7A】第2の実施の形態の後付けポケットを示す正面図である。
図7B】VIIB-VIIB線端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る後付けポケットの実施形態について図面を参照して説明する。本実施の形態では、図2A及び図2Bに示すように、後付けポケット1に対して、幅方向(X)、上下方向(Y)、厚み方向(Z)を定義する。また、図2Aに図示した側を表側とし、反対側を裏側とする。
【0012】
図1は、後付けポケット1及び衣服の一例であるズボンPの図であり、図2Aは、後付けポケット1の正面図であり、図2Bは、図2AのIIB-IIB線端面図である。なお、図1では、ズボンPは、説明の便宜上、表裏を裏返した状態(内面側を表にした状態)で示してある。
【0013】
ズボンPは、食品製造や加工を行う工場用の作業服のズボンであり、異物混入を防ぐため、図1に示すように、ポケットが設けられていない。本実施の形態の後付けポケット1は、ズボンPとは別体のポケットであり、必要に応じて、ズボンPに取り付け可能なものである。ズボンPには、予め、後付けポケット1を取り付けるための被挿通部IPが設けられている。
【0014】
第1の実施の形態では、被挿通部IPは、ズボンPのウエスト部WTに両端部が縫い付けられた第1紐状体R1及び第2紐状体R2によって形成され、第1被挿通部IP1と、第2被挿通部IP2の2か所、設けられている。第1被挿通部IP1は、ウエスト部WTの布地と、両端部が縫い付けられた第1紐状体R1によって環状に形成されている。第2被挿通部IP2も同様にして、ウエスト部WTの布地と、両端部が縫い付けられた第2紐状体R2によって環状に形成されている。
【0015】
図2A及び図2Bに示すように、後付けポケット1は、ポケット本体部3と、保持部材5,5´を備えている。
【0016】
ポケット本体部3は、綿や化繊等で織られた布や不織布等からなる生地を折り曲げて、輪が下方を向いた状態で幅方向Xの両端部を縫着して、上部に開口部13が形成された袋状に形成されている。これにより、ポケット本体部3は、前面部7と、後面部9と、一対の縫着部11A,11Bを有している。ここで、前面部7は、後面部9よりも上下方向Yの長さ寸法が短くされており、これにより、開口部13は、表側に向けて開放している。
【0017】
ポケット本体部3は、フラップ部15を有している。フラップ部15は、ポケット本体部3の表側に重複する位置に設けられ、上辺部15Cが後面部9の上部に縫着され、開口部13を開閉可能に覆っている。また、フラップ部15は、開口部13が延びる方向(幅方向X)と交差する方向(上下方向Y)に延びる一対の対向辺部15A,15Bが、一対の縫着部11A,11Bと共に縫着されて、ポケット本体部3の前面部7と後面部9に対して固定されている。すなわち、フラップ部15は、幅方向Xの両端部が固定されており、幅方向中央部のみ捲ることが可能になっている。
【0018】
フラップ部15には、幅方向Xに延びる2つのスリット状の貫通孔17,17´が形成されている。貫通孔17,17´は、幅方向Xに並んで形成され、ポケット本体部3の幅方向Xの両側部に配置されている。貫通孔17,17´は、いわゆるネムリ孔であり、保持部材5,5´が挿通可能な幅方向Xの長さを有している。
【0019】
保持部材5,5´は、ポケット本体部3に固定された帯状の部材である。保持部材5は、一方の端部5Aがポケット本体部3に固定され、少なくとも他方の端部5Bに第1の面ファスナ(係合部)21が設けられている。本実施の形態では、図2Bに示すように、保持部材5は、ポケット本体部3の幅方向Xの一方の側部に配置され、一方の端部5Aが、ポケット本体部3とフラップ部15の間に挟持されて、ポケット本体部3とフラップ部15と共に縫着されて固定されている。また、本実施の形態では、保持部材5自体がテープ状のループ型面ファスナ(メス型や、B面とも呼ばれる)であり、保持部材5の表側全体が係合部を構成している。
【0020】
保持部材5´は、保持部材5と同様に構成されているため、保持部材5の符号に「´」を付して、説明を省略する。なお、保持部材5´は、ポケット本体部3の幅方向Xの他方の側部に配置されている。
【0021】
ポケット本体部3の内部には、第1の面ファスナ21と係合する第2の面ファスナ(被係合部)23と、第1の面ファスナ21´と係合する第2の面ファスナ(被係合部)23´が設けられている。本実施の形態では、第2の面ファスナ23,23´は、フック型面ファスナ(オス型や、A面とも呼ばれる)である。第2の面ファスナ23,23´は、ポケット本体部3の内部において、後面部9に縫着されて固定され、被係合面が前面部7に対向している。また、第2の面ファスナ23,23´は、幅方向Xに並んで配置されている。
【0022】
そして、図2Aに示すように、保持部材5(第1の面ファスナ21)、貫通孔17及び第2の面ファスナ23は、上下方向Yに沿って、直線状に並んでいる。同様に、保持部材5´(第1の面ファスナ21´)、貫通孔17´及び第2の面ファスナ23´も、上下方向Yに沿って、直線状に並んでいる。
【0023】
次に、図3A乃至図4Bを用いて、後付けポケット1をズボンPに取り付けるまでを説明する。図3Aは、被挿通部IPに保持部材5,5´を挿通した状態を示す正面図であり、図3Bは、図3AのIIIB-IIIB線端面図である。図4Aは、後付けポケット1をズボンPに取り付けた状態を示す正面図であり、図4Bは、図4AのIVB-IVB線端面図である。
【0024】
ズボンPに後付けポケット1を取り付ける際は、取付者は、まず、下方から第1被挿通部IP1に保持部材5を挿通し、且つ、下方から第2被挿通部IP2に保持部材5´を挿通した状態にする(図3A及び図3B参照)。
【0025】
次に、取付者は、保持部材5を表側に向かって折り曲げ、貫通孔17を介して、保持部材5の他方の端部5Bを開口部13からポケット本体部3の内部に挿入し、ポケット本体部3の内部で第1の面ファスナ21を第2の面ファスナ23に係合させる。この際、取付者は、フラップ部15の幅方向中央部を捲って、フラップ部15の裏側から保持部材5の他方の端部5Bを摘まんでポケット本体部3の内部に引き込むと、保持部材5を挿通させる作業がしやすい。取付者は、同様にして、保持部材5´を表側に向かって折り曲げ、貫通孔17´を介して、保持部材5´の他方の端部5B´も開口部13からポケット本体部3の内部に挿入し、ポケット本体部3の内部で第1の面ファスナ21´を第2の面ファスナ23´に係合させる。これにより、後付けポケット1は、ズボンPに対して固定される(図4A及び図4B参照)。
【0026】
以下、第1の実施の形態の後付けポケット1の作用を説明する。
【0027】
後付けポケット1は、開口部13を有する袋状のポケット本体部3と、一方の端部5A,5A´がポケット本体部3に固定され、少なくとも他方の端部5B,5B´に係合部(第1の面ファスナ)21,21´が設けられた帯状の保持部材5,5´と、ポケット本体部3の内部に設けられ、係合部21,21´と係合する被係合部(第2の面ファスナ)23,23´とを備えている。保持部材5,5´は、衣服(ズボンP)に設けられた被挿通部IPに通された状態で、他方の端部5B,5B´が開口部13からポケット本体部3に挿入され、係合部21,21´がポケット本体部3の内部で被係合部23,23´に係合される。
【0028】
このようにして、ポケット本体部3の内部で係合部21,21´と被係合部23,23´を係合させることで、ズボンPに後付けポケット1を取り付けた状態では、保持部材5,5´の他方の端部5B,5B´は、ポケット本体部3に覆われた状態になっている。そのため、保持部材5,5´の他方の端部5B,5B´が何かに引っ掛かって、不意に係合部21,21´が被係合部23,23´から引き剥がされにくくできる。また、外から後付けポケット1をズボンPから引き剥がす方向(例えば、下向き)に力が加わっても、容易に外れてしまうことがない。したがって、衣服(ズボンP)に対して取り付け及び取り外しが可能でありながら、容易に外れてしまうことがない後付けポケット1を提供することができる。本実施の形態の後付けポケット1であれば、後付けポケット1を取り付けた状態でも、ズボンPを洗濯機で洗濯することも可能である。
【0029】
本実施の形態では、後付けポケット1は、貫通孔17,17´が形成されたフラップ部15を有しているが、フラップ部15の有無は任意である。後付けポケット1内に収納する小物が落ちないようにするためには、フラップ部15があった方がよいのはもちろんである。また、フラップ部15に形成された貫通孔17,17´に保持部材5,5´が通されることで、保持部材5,5´が、ポケット本体部3の内部や、貫通孔17,17´の周囲を含むフラップ部15と接触し、摩擦(静止摩擦力)が生じ、さらに外れにくくすることができる。
【0030】
開口部13を開閉可能に覆い、ポケット本体部3に重複するフラップ部15を有する場合、開口部13が延びる方向と交差する方向に延びるフラップ部15の一対の対向辺部15A,15Bは、ポケット本体部3に対して縫着されて固定されていてもよい。このようにすれば、後付けポケット1内に収納する小物が落ちにくくなるだけでなく、フラップ部15が保持部材5,5´を押さえ付ける力が向上し、後付けポケット1が外れにくい。
【0031】
係合部21,21´と、被係合部23,23´は、相互に係合可能なものであれば任意のものを利用できる。例えば、係合部21,21´は、第1の面ファスナであり、被係合部23,23´は、第2の面ファスナである。この場合、上記第1の実施の形態のように、保持部材5,5´の表側全体を第1の面ファスナとすることもできるし、図5に示すように、保持部材5,5´の他方の端部5B,5B´に、第2の面ファスナ23,23´と同等の大きさを有する第1の面ファスナ21,21´を有するものとしてもよい。
【0032】
面ファスナを用いることで、後付けポケット1を容易に固定することができる。また、面ファスナは、第1の面ファスナと第2の面ファスナが係合した状態において、厚み方向Zへ引っ張って剥がすのは容易であるが、面ファスナの面と並行方向(幅方向Xや上下方向Y)へ引っ張っても剥がし難い性質を有するため、後付けポケット1に外から力を加えても、後付けポケット1が外れにくい。さらに、面ファスナは、面で係合するため、部分的に第1の面ファスナと第2の面ファスナが剥がれたとしても、他の部分で係合しており、簡単には係合が解除されず、後付けポケット1が外れにくい。また、表側全体が第1の面ファスナの場合、保持部材5,5´の長さ調整が可能となる。
【0033】
なお、面ファスナを用いる場合は、第1の面ファスナとして、ループ型面ファスナ(メス型や、B面とも呼ばれる)を用いて、第2の面ファスナとして、フック型面ファスナ(オス型や、A面とも呼ばれる)を用いることが好ましい。これは、面ファスナは、フック型面ファスナにループ型面ファスナに引っ掛かって係合する構造であるため、フック型面ファスナのフックがループ型面ファスナのループよりも固く、周囲の布地を傷付けてしまうおそれがあるからである。フック型面ファスナが、常にポケット本体部3の内部に入っていることで、フック型面ファスナのフックが周囲の布地に引っ掛かって、布地を傷付けてしまうことを防ぐことができる。
【0034】
面ファスナの代わりに、例えば、図6に示すように、スナップボタンを用いることもできる。スナップボタンを用いた場合も、面ファスナ同様、後付けポケット1を容易に固定することができる。
【0035】
上記第1の実施の形態では、保持部材5,5´は、ポケット本体部3とフラップ部15と共に縫着されて固定されているが、ポケット本体部3に対して(例えば、ポケット本体部3の裏面に対して)、着脱可能に固定されていてもよい。このようにすれば、長さの異なる保持部材5,5´に取り換えたりすることができる。
【0036】
<第2の実施の形態>
図7A及び図7Bは、後付けポケット101の第2の実施の形態を示す図である。図7Aは、後付けポケット101の正面図であり、図7Bは、図7AのVIIB-VIIB線端面図である。図7A及び図7Bでは、保持部材105´は、ズボンPの被挿通部IPがない状態で、第1の面ファスナ121´と第2の面ファスナ123´を係合させてある。図7A及び図7Bでは、図1図2A及び図2Bに示した第1の実施の形態と共通する部分については、図1図2A及び図2Bに付した符号に100を加えた数の符号を付して、その説明を省略する。
【0037】
第2の実施の形態では、第1の面ファスナ(係合部)121,121´は、保持部材105,105´の他方の端部105B,105B´の裏面に固定されている(図7Aでは、保持部材105は折り返され、裏面に固定された第1の面ファスナ121が表側から見えた状態になっている)。そして、第2の面ファスナ(被係合部)123,123´は、フラップ部115の裏面に固定されている(図7B参照)。
【0038】
後付けポケット101をズボンPに取り付ける際には、取付者は、図7Bに示すように、予め被挿通部IPに挿通した保持部材を折り曲げ、貫通孔117,117´を介して、保持部材105,105´の他方の端部105B,105B´をフラップ部115の裏面まで引き込んで、第1の面ファスナ121,121´を第2の面ファスナ123,123´に係合させる。
【0039】
第2の実施の形態の場合には、保持部材105,105´の他方の端部105B,105B´は、フラップ部115に覆われた状態になっている。これにより、第1の実施の形態と同様、不意に係合部21,21´が被係合部23,23´から引き剥がされにくくできる。また、外から後付けポケット1をズボンPから引き剥がす方向(例えば、下向き)に力が加わっても、容易に外れてしまうことがない。したがって、衣服(ズボンP)に対して取り付け及び取り外しが可能でありながら、容易に外れてしまうことがない後付けポケット101を提供することができる。第2の実施の形態の後付けポケット101のその他の作用は、第1の実施の形態と同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で変更が可能であるのは勿論である。
【0041】
例えば、第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、保持部材を2本、また、被挿通部も対応して2か所設ける例を示したが、他の数の組み合わせでもよいのはもちろんである。すなわち、保持部材と被挿通部が1つずつでもよいし、保持部材2本に対して、被挿通部が1か所でもよい。また、被挿通部を複数設け、後付けポケットを固定する位置を選択できるようにしてもよい。
【0042】
また、例えば、第1の実施の形態では、第1の面ファスナを保持部材の表面とし、第2の面ファスナをポケット本体部の内部の後面部の側としたが、第1の面ファスナを保持部材の裏面とし、第2の面ファスナをポケット本体部の内部の前面部の側とすることも可能である。
【0043】
また、本実施の形態では、後付けポケットを取り付ける対象である衣服は、ズボンの例を示したが、スカートや、上衣等、他の衣服でもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0044】
1 後付けポケット
3 ポケット本体部
5,5´ 保持部材
5A,5A´ 一方の端部
5B,5B´ 他方の端部
7 前面部
9 後面部
11A,11B 一対の縫着部
13 開口部
15 フラップ部
15A,15B 一対の対向辺部
17,17´ 貫通孔
21,21´ 第1の面ファスナ(係合部)
23,23´ 第2の面ファスナ(被係合部)
IP 被挿通部
IP1 第1被挿通部
IP2 第2被挿通部
R1 第1紐状体
R2 第2紐状体
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B