(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025030974
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20250228BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
H04N1/04 106Z
G03B27/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136884
(22)【出願日】2023-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤井 航
【テーマコード(参考)】
2H012
5C072
【Fターム(参考)】
2H012CB22
5C072AA01
5C072BA20
5C072CA02
5C072EA05
5C072LA02
5C072LA07
5C072MA01
5C072MB01
5C072RA04
5C072RA06
5C072RA07
5C072UA13
5C072VA07
5C072WA04
5C072WA08
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】画像読取装置において、簡素な構成で簡単に設定情報を取得する。
【解決手段】画像読取装置1は、原稿台30に載置された用紙P(原稿の一例)の画像を読取るラインセンサ41(読取部の一例)と、用紙Pの副走査方向における一部の画像を読取る第1読取り動作と、この第1読取り動作の後に用紙Pの副走査方向における全体の画像を読取る第2読取り動作とを行わせるようにラインセンサ41を制御する制御部61とを備える。原稿台30には、バーコードCa(符号化情報の一例)が付された設定用カードC(情報媒体の一例)が用紙Pと主走査方向に並んで載置され、制御部61は、ラインセンサ41の第1読取り動作によって読取られた画像に基づいて、バーコードCaを検出し、このバーコードCaに基づいて、ラインセンサ41の第2読取り動作の制御と、この読取られた画像の処理の制御とのうち少なくとも一方を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される原稿台と、
前記原稿台に載置された前記原稿の画像を読取る読取部と、
前記原稿の副走査方向における一部の画像を読取る第1読取り動作と、当該第1読取り動作の後に前記原稿の前記副走査方向における全体の画像を読取る第2読取り動作とを行わせるように前記読取部を制御する制御部とを備え、
前記原稿台には、符号化情報が付された情報媒体が前記原稿と主走査方向に並んで載置され、
前記制御部は、前記読取部の前記第1読取り動作によって読取られた画像に基づいて、前記符号化情報を検出し、当該符号化情報に基づいて、前記読取部の前記第2読取り動作の制御と当該第2読取り動作によって読取られた画像の処理の制御とのうち少なくとも一方を行う
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記読取部の前記第1読取り動作によって読取られた画像に基づいて、前記原稿の前記主走査方向におけるサイズ及び前記符号化情報を検出する
ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記読取部の前記第1読取り動作によって読取られた画像のうち前記符号化情報が位置する領域に、当該画像の他の少なくとも一部の領域とは異なるアルゴリズムを用いて前記符号化情報を検出する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿台に載置された原稿の画像を読取る読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、読取り対象物の画像データを取得するための光学センサと、読取り対象物に内包されたICチップ内の情報を取得するためのRFリーダとがスキャナヘッドに配置されたスキャナが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像読取装置の操作パネルなどで、ログイン情報や画像読取りの解像度や画像保存先などの画像読取装置の設定情報を入力するのは、ユーザにとって手間がかかる。また、画像読取装置が印刷装置に一体に配置される場合、印刷枚数、印刷サイズなどの印刷装置の設定情報を入力するのも同様に、ユーザにとって手間がかかる。
【0005】
一方で、画像読取装置に設定情報を取得するための上述のRFリーダなどの機器を追加で配置すると、画像読取装置の構造が複雑化し、コスト高になる。また、設定情報を記憶した上述のICチップなどを用紙等の原稿に内包させたり、原稿内容に設定情報を付したりする場合、ユーザにとって、操作パネルなどにおける入力を省けたとしても原稿の用意に手間がかかる。
【0006】
本発明の目的は、簡素な構成で簡単に設定情報を取得することができる画像読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、画像読取装置は、原稿が載置される原稿台と、前記原稿台に載置された前記原稿の画像を読取る読取部と、前記原稿の副走査方向における一部の画像を読取る第1読取り動作と、当該第1読取り動作の後に前記原稿の前記副走査方向における全体の画像を読取る第2読取り動作とを行わせるように前記読取部を制御する制御部とを備え、前記原稿台には、符号化情報が付された情報媒体が前記原稿と主走査方向に並んで載置され、前記制御部は、前記読取部の前記第1読取り動作によって読取られた画像に基づいて、前記符号化情報を検出し、当該符号化情報に基づいて、前記読取部の前記第2読取り動作の制御と当該第2読取り動作によって読取られた画像の処理の制御とのうち少なくとも一方を行う。
【発明の効果】
【0008】
前記態様によれば、簡素な構成で簡単に設定情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施の形態に係る画像読取装置を示す左側面図である。
【
図2】一実施の形態に係る画像読取装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施の形態における装置本体(原稿カバーを省略した状態の画像読取装置)を示す平面図である。
【
図4】一実施の形態に係る画像読取装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】一実施の形態における第1読取り動作その1を説明するための、(a)輝度を示す図及び(b)画像読取装置の左側面図である。
【
図6】一実施の形態における第1読取り動作その2を説明するための、(a)輝度を示す図及び(b)画像読取装置の左側面図である。
【
図7】一実施の形態における第1読取り動作その2とその1の輝度の差分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態に係る画像読取装置について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1及び
図2は、一実施の形態に係る画像読取装置1を示す左側面図及び制御構成を示すブロック図である。
【0012】
図3は、装置本体10(原稿カバー20を省略した状態の画像読取装置1)を示す平面図である。
【0013】
なお、
図1及び
図3並びに後述する
図5(b)及び
図6(b)に示す上下、前後、及び左右の各方向は、主走査方向を前方、副走査方向を右方向とした場合の一例である。例えば、上下方向が鉛直方向であり、前後方向及び左右方向が互いに直交する水平方向である。
【0014】
図1及び
図3に示すように、画像読取装置1は、装置本体10と、原稿カバー20と、原稿台30と、キャリッジ40と、副走査サイズ検知センサ51,52(
図3参照)とを備える。また、
図2に示すように、画像読取装置1は、制御部61と、記憶部62と、インターフェース部63と、キャリッジ駆動部70と、操作パネル80と、カバー角度センサ90とを更に備える。
【0015】
なお、画像読取装置1は、単体で用いられてもよいし、或いは、画像読取装置1によって読取られた画像に基づく印刷を行う印刷装置の一部として、例えば、印刷装置の上部に配置されていてもよい。
【0016】
装置本体10は、上部において原稿台30を保持し、キャリッジ40、副走査サイズ検知センサ51,52等を収容する。
【0017】
原稿カバー20は、原稿台30を開放する位置(
図1に実線で示す位置)と、原稿台30を覆う位置(
図1に2点鎖線で示す位置)とに開閉する。原稿カバー20は、装置本体10の後部に設けられた左右方向に延びるヒンジによって支持されているとよい。原稿カバー20の底面には、図示しない白色の圧板が設けられている。
【0018】
原稿台30には、原稿の一例である用紙Pと、情報媒体の一例である設定用カードCとが載置される。原稿台30は、透明な矩形状の平板であり、例えばガラスからなる。上記のとおり、原稿台30は、装置本体10の上部に保持されている。原稿台30上の用紙Pの突き当てを可能とするために、原稿台30が、装置本体10の上面よりもわずかに窪んだ位置に配置されるか、或いは、装置本体10の上面における原稿台30の周囲に凸部が設けられているとよい。設定用カードCには、
図3に示すように、符号化情報の一例であるバーコードCaが付されている。なお、原稿としては、用紙Pに限らず、書籍、雑誌等の他の被読取物であってもよい。また、用紙Pが
図3における原稿台30の左後部に突き当てられ、設定用カードCが
図3における原稿台30の左前部に突き当てられるように、装置本体10の上面のうち原稿台30の前側、後側、左側などの周囲には、案内表示(用紙サイズごとの用紙載置領域、設定用カードCの載置領域を表す線など)が付されているとよい。これにより、用紙Pと設定用カードCとが、例えば間隔を隔てて、主走査方向に並んで原稿台30に載置される。
【0019】
符号化情報は、例えば、予め画像読取装置1に記憶されている設定情報(例えば、ユーザごと、国語の許可書などの原稿種別ごとに定められた設定情報)を呼び出すための識別情報が符号化された情報、或いは設定情報自体が符号化された情報である。この設定情報は、後述する用紙Pの副走査方向における全体の画像を読取るラインセンサ41の第2読取り動作の解像度(解像度に応じた読取り速度)、ログイン情報(画像読取装置1へログインするためのユーザ情報など)、読取られた画像の保存先情報、読取られた画像の印刷情報(印刷枚数、印刷サイズなど)、読取られた画像のヘッダ部分やフッタ部分に挿入される文字や画像の情報、読取り領域の制限情報(例えば、A4用紙でもB5サイズで読取る場合など)などの画像読取装置1や印刷装置などに設定される情報が挙げられる。また、符号化情報は、バーコードCa(1次元コード)に限らず、2次元コード、文字列、画像などに符号化されたものであってもよい。但し、符号化情報としてバーコードCaを用いることで、副走査方向に狭い読取り領域で検出可能となるため、符号化情報としては、バーコードCaが特に望ましい。
【0020】
図3に示すように、キャリッジ40は、ラインセンサ41と、2つの光源42とを有する。キャリッジ40は、装置本体10の内部に配置され、後述するキャリッジ駆動部70の駆動によって副走査方向に移動する。なお、
図3では、原稿台30が透明であるため、キャリッジ40のうち用紙Pなどで隠れて表れない部分を破線(かくれ線)で示し、その他の、原稿台30の下に位置する部分を実線で示す。
【0021】
ラインセンサ41は、主走査方向に沿って配置された複数の読取素子を有し、原稿台30に載置された用紙Pの裏面の画像を読取る。ラインセンサ41は、主走査方向において原稿台30よりも前後に長い。読取素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)である。なお、ラインセンサ41は、原稿台30に載置された用紙P(原稿)の画像を読取る読取部の一例である。
【0022】
2つの光源42は、ラインセンサ41の左右方向(副走査方向)両側に配置され、原稿台30に向けて光を照射する。光源42も、ラインセンサ41と同様に、主走査方向において原稿台30よりも前後に長い。
【0023】
副走査サイズ検知センサ51,52は、制御部61が用紙Pの副走査方向における長さを検出するために、原稿台30の下方の所定の位置において原稿台30上の用紙Pの有無を検知する。副走査サイズ検知センサ51,52は、例えば、発光部及び受光部を有する光学式の反射センサ、或いは、赤外線センサなどである。なお、
図3では、用紙Pで隠れて表れない副走査サイズ検知センサ51を破線(かくれ線)で示し、用紙Pで隠れていない原稿台30の下に位置する副走査サイズ検知センサ52を実線で示す。
【0024】
図2に示す制御部61は、画像読取装置1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有する。このプロセッサは、例えば、記憶部62から、或いは、画像読取装置1に対して着脱可能な記憶媒体(非一過性のコンピュータ読取り可能記録媒体)から、所定のプログラムを読み出して実行することにより、画像読取装置1の各部を制御する。このように、制御部61、又は画像読取装置1(制御部61及び記憶部62)は、プログラムを実行するコンピュータとして機能する。なお、画像読取装置1が印刷装置の一部として配置される場合、印刷装置の制御部が画像読取装置1の制御部61を兼ねてもよい。
【0025】
記憶部62は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリを有する。
【0026】
インターフェース部63は、外部機器との各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部63は、ラインセンサ41によって読取った画像を印刷装置やユーザ端末に送信する。
【0027】
キャリッジ駆動部70は、キャリッジ40を副走査方向に移動させるモータ等のアクチュエータである。
【0028】
操作パネル80は、表示部81及び入力部82を有する。表示部81は、各種情報を表示するディスプレイである。入力部82は、各種情報の入力を受け付ける操作キーなどである。表示部81がタッチパネルを有する場合には、このタッチパネルが入力部82として機能する。
【0029】
カバー角度センサ90は、原稿カバー20の開閉角度を検知する。カバー角度センサ90は、例えば、原稿カバー20が開いている状態、途中まで閉じた状態、及び閉じた状態のそれぞれに対応する角度にあることを検知するとよい。一例ではあるが、カバー角度センサ90は、原稿カバー20の後部から下方に突出する図示しない棒状部材の位置を異なる高さで検知する複数のセンサからなる。
【0030】
次に、画像読取装置1の動作について、
図4~
図7を参照しながら説明する。
【0031】
図4は、画像読取装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0032】
図5は、第1読取り動作その1を説明するための、(a)輝度を示す図及び(b)画像読取装置1の左側面図である。
【0033】
図6は、第1読取り動作その2を説明するための、(a)輝度を示す図及び(b)画像読取装置1の左側面図である。
【0034】
図7は、第1読取り動作その2とその1の輝度の差分を示す図である。
【0035】
制御部61は、電源ON時などの任意のタイミングで、
図4に示すフローチャートの処理を実行する。まず、制御部61は、原稿カバー20が開いたか否かを、原稿カバー20が開くまで判定する(ステップS1)。なお、制御部61は、上述のカバー角度センサ90によって検知される原稿カバー20の角度に基づいて、原稿カバー20の開閉状態を判別することができる。
【0036】
制御部61は、原稿カバー20が開くと(ステップS1)、キャリッジ40を
図3に示す読取り位置まで移動させるようにキャリッジ駆動部70を制御する(ステップS2)。原稿カバー20が開く前には、キャリッジ40は、例えば、原稿台30よりも左側の初期位置において待機している。
【0037】
次に、制御部61は、原稿カバー20が途中まで閉じたか否かを、原稿カバー20が途中まで閉じるまで判定する(ステップS3)。ここで、原稿カバー20が途中まで閉じたことは、原稿台30に用紙P及び設定用カードCが主走査方向に並んで載置され、ユーザが読取り動作の操作を行おうとしている状態に対応するといえる。
【0038】
制御部61は、
図5(b)に示すように原稿カバー20が途中まで閉じると(ステップS3:YES)、2つの光源42に光を照射させるとともに、ラインセンサ41に、用紙Pの副走査方向における一部(例えば、ラインセンサ41の1ライン~数ライン分)の画像を、例えば原稿台30の主走査方向の全体に亘って読取るようにラインセンサ41を制御する(ステップS4:第1読取り動作その1)。
【0039】
これにより、
図5(a)に示すように、用紙Pの冒頭部分(
図3における左端部)が白色であれば、ラインセンサ41が取得する画像の輝度は、光源42によって照射された光の反射光により用紙Pに対応する用紙領域で高くなり(例えば、輝度が255に近い値)、用紙Pと設定用カードCとの間で反射光を受光せずに低くなる(例えば、輝度が0に近い値)。また、ラインセンサ41が取得する輝度は、設定用カードC(例えば、バーコードCaのバー部分以外が白色)のバーコードCaに対応するバーコード領域では、バー部分(黒色部分)で反射光を受光せずに低くなり、バー部分間の隙間部分(白色部分)で反射光により高くなる。なお、ラインセンサ41が取得する輝度は、設定用カードCのバーコード領域以外の部分でも、反射光により高くなる。
【0040】
次に、制御部61は、原稿カバー20が閉じたか否かを、原稿カバー20が閉じるまで判定する(ステップS5)。なお、原稿カバー20が閉じたときの角度は、原稿の厚みにより変動するため、原稿カバー20(圧板)が水平でなくともよい。
【0041】
制御部61は、
図6(b)に示すように原稿カバー20が閉じると(ステップS5:YES)、再び、2つの光源42に光を照射させるとともに、ラインセンサ41に、用紙Pの副走査方向における一部の画像を、例えば原稿台30の主走査方向の全体に亘って読取るようにラインセンサ41を制御する(ステップS6:第1読取り動作その2)。
【0042】
これにより、
図6(a)に示すように、ラインセンサ41が取得する輝度は、設定用カードCのバーコードCaに対応するバーコード領のバー部分では、上述の
図5(a)に示す例と同様に反射光を受光せずに低くなり、その他の部分では、用紙P、原稿カバー20の白色の圧板、又は設定用カードC(バー部分以外)における反射光により高くなる。
【0043】
次に、制御部61は、例えば、外部の光の影響を受けない、原稿カバー20が閉じた状態の
図6(a)に示すバーコード領域の輝度から、バーコードCaを検出する(ステップS7)。そして、制御部61は、バーコードCaを復号し、識別情報や設定情報自体を取得する。なお、バーコードCaなどの符号化情報は、誤読により復号が不可能となるため、制御部61は、ラインセンサ41によって読取られた画像のうち符号化情報が位置する領域(バーコード領域)に、当該画像のうち他の少なくとも一部の領域とは異なるアルゴリズム(例えば、公知のバーコード復号アルゴリズム)を用いてバーコードCaを検出するとよい。例えば、符号化情報がバーコードCaである場合、制御部61は、ラインセンサ41によって読取られた画像の輝度が高低を繰り返す部分をバーコード領域と判別する。そして、制御部61は、バーコード領域において、ラインセンサ41によって読取られた画像の輝度が、相対的に低い第1の値(バー部分)及び相対的に高い第2の値(バー部分間の隙間部分)とは異なる値である領域について、第1の値及び第2の値のうち輝度が近い値に変更する処理などを行うアルゴリズムを用いるとよい。また、制御部61は、公知のバーコード復号アルゴリズムを用いて、バーコードCaの傾き補正などを行った上で、バーコードCaを復号してもよい。なお、バーコードCaが検出されない場合、上述のステップS7の処理は省略されればよい。
【0044】
また、制御部61は、
図7に示す、第1読取り動作その2(
図6(a)参照)と第1読取り動作その1(
図5(a)参照)との輝度の差分に基づいて、主走査方向後方の輝度が低い部分を用紙領域と判別することができる。これにより、制御部61は、上記の用紙領域に基づいて用紙Pの主走査方向のサイズ(長さ)を検出することができる(ステップS8)。また、制御部61は、
図7において、輝度が高い部分を用紙Pと設定用カードCとの隙間の領域と判別し、主走査方向前方の輝度が低い部分を設定用カードCの領域と判別することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、原稿カバー20が途中まで閉じた状態での第1読取り動作その1と、原稿カバー20が閉じた状態での第1読取り動作その2とで、用紙Pの副走査方向における一部の画像を読取る第1読取り動作が2回行われる例を説明するが、第1読取り動作その1とその2とのうち一方のみが行われてもよい。これらの第1読取り動作その1と第1読取り動作その2とのうち少なくとも一方で第1読取り動作を行うことで、後述する第2読取り動作が行われる前に自動で第1読取り動作を行うことができる。但し、第1読取り動作は、例えば、原稿カバー20が閉じ始める前に入力部82におけるユーザの操作に基づいて行われてもよい。
【0046】
次に、制御部61は、例えば、入力部82におけるユーザの読取り操作の入力などに基づいて、用紙Pの全体の画像読取りをラインセンサ41に行わせる。すなわち、制御部61は、2つの光源42に光を照射させるとともに、ラインセンサ41に、用紙Pの副走査方向における全体の画像を、例えば原稿台30の主走査方向の全体に亘って読取るようにラインセンサ41を制御する(ステップS9:第2読取り動作)。
【0047】
ここで、制御部61は、上述のバーコードCaから復号された解像度などの設定情報に基づいて、ラインセンサ41の読取り速度、すなわちキャリッジ駆動部70によるキャリッジ40の移動速度を調整することによって、ラインセンサ41の読取り動作(第2読取り動作)を制御するとよい。また、設定情報がログイン情報の場合、制御部61は、予め許容されているユーザであればラインセンサ41に読取り動作を行わせ、許容されていないユーザであればラインセンサ41に読取り動作を行わせないように、ラインセンサ41の読取り動作(第2読取り動作)を制御してもよい。なお、制御部61は、設定情報が読取り領域の制限情報であれば、ラインセンサ41の読取り領域を制限してもよく、符号化情報に基づくラインセンサ41の読取り動作(第2読取り動作)の制御内容は特に制限されない。
【0048】
また、制御部61は、バーコードCaから復号された識別情報や設定情報(画像の保存先情報、読取られた画像のヘッダ部分やフッタ部分に挿入される文字や画像の情報、読取り領域の制限情報など)に基づいて、画像の保存、画像の編集などによって、ラインセンサ41の読取り動作(第2読取り動作)によって読取られた画像の処理を制御してもよい。また、制御部61は、設定情報が、読取られた画像の印刷情報であれば、画像を印刷情報とともに印刷装置に送信する処理(画像の処理)を制御してもよい。
【0049】
また、制御部61は、符号化情報が、予め画像読取装置1(記憶部62)に記憶されている設定情報を呼び出すための識別情報であれば、この識別情報に対応する情報を記憶部62から呼び出し、上述のように、ラインセンサ41の読取り動作(第2読取り動作)を制御したり、或いは、この第2読取り動作によって読取られた画像の処理を制御したりするとよい。
【0050】
このように制御部61がバーコードCaから復号された設定情報又は復号された識別情報に対応する設定情報に基づき、ラインセンサ41の第2読取り動作(ステップS9)を制御したり第2読取り動作によって読取られた画像の処理を制御したりする場合、制御部61は、事前に、設定情報を表示部81に表示してユーザに報知したり、入力部82からのユーザによる設定情報の変更を受け付けたりしてもよい。
【0051】
なお、本実施の形態では、キャリッジ40が原稿台30の下に配置され、読取部(ラインセンサ41)が用紙P(原稿)の裏面(原稿台30側の面)の画像を読取る例を説明したが、キャリッジ40が原稿台30の上に配置され、読取部が用紙Pの表面(原稿台30側とは異なる面)の画像を読取る構成が採用されてもよい。
【0052】
以上説明した本実施の形態では、画像読取装置1は、原稿台30と、ラインセンサ41と、制御部61とを備える。原稿台30には、用紙P(原稿の一例)が載置される。ラインセンサ41は、原稿台30に載置された用紙Pの画像を読取る。制御部61は、用紙Pの副走査方向における一部の画像を読取る第1読取り動作(ステップS4,S6)と、この第1読取り動作の後に用紙Pの副走査方向における全体の画像を読取る第2読取り動作(ステップS9)とを行わせるようにラインセンサ41を制御する。原稿台30には、バーコードCa(符号化情報の一例)が付された設定用カードC(情報媒体の一例)が用紙Pと主走査方向に並んで載置される。制御部61は、ラインセンサ41の第1読取り動作(ステップS4,S6)によって読取られた画像に基づいて、バーコードCaを検出し(ステップS7)、このバーコードCaに基づいて、ラインセンサ41の第2読取り動作(ステップS9)の制御と、第2読取り動作によって読取られた画像の処理の制御とのうち少なくとも一方を行う。
【0053】
これにより、ユーザが、入力部82などで、ログイン情報や画像読取りの解像度や画像保存先などの設定情報を入力する手間を省くことができる。また、用紙Pの画像を読取るラインセンサ41を用いて符号化情報を取得することができるため、符号化情報を取得するための機器(例えば、RFリーダ)などを付加的に配置するのを回避することができる。これにより、画像読取装置1の構造を簡素化し、コストダウンを図ることができる。また、用紙P自体にバーコードCaなどの符号化情報を付す態様と比較して、用紙Pの作成(原稿の用意)に要する手間を省くこともできる。以上より、本実施の形態によれば、画像読取装置1において、簡素な構成で簡単に設定情報を取得することができる。更には、第2読取り動作の前の第1読取り動作によって符号化情報を検出するため、符号化情報に対応する設定情報で第2読取り動作を制御することも可能となる。また、符号化情報をLEDライトなどで常時監視する手間も省くことができるため、電力消費を抑えたり、ユーザに眩しさを感じさせないようにしたりすることもできる。また、設定用カードCを原稿台30上に載置したまま用紙Pのみを入れ替えることで、複数枚の用紙Pに連続して共通の設定情報を適用することができる。
【0054】
また、本実施の形態では、制御部61は、ラインセンサ41の第1読取り動作(ステップS4,S6)によって読取られた画像に基づいて、用紙Pの主走査方向におけるサイズ及びバーコードCa(符号化情報)を検出する(ステップS7)。
【0055】
これにより、第1読取り動作において、用紙Pの主走査方向におけるサイズを検出するのとともに符号化情報を検出することができるため、符号化情報を検出するためだけにラインセンサ41による読取り動作が追加的に行われるのを回避することができる。したがって、より一層簡単に設定情報を取得することができる。
【0056】
また、本実施の形態では、制御部61は、ラインセンサ41の第1読取り動作(ステップS4,S6)によって読取られた画像のうちバーコードCa(符号化情報)が位置する領域に、この画像の他の少なくとも一部の領域とは異なるアルゴリズムを用いてバーコードCaを検出する。
【0057】
これにより、バーコードCaなどの符号化情報に合わせたアルゴリズムを用いて符号化情報を検出することができるため、より確実に設定情報を取得することができる。
【0058】
また、本実施の形態では、符号化情報は、バーコードCaである。
【0059】
これにより、第1読取り動作においてラインセンサ41が読取る副走査方向の範囲が例えば1ライン~数ラインの狭い範囲でも、バーコードCaを検出することができる。そのため、より簡単に設定情報を取得することができる。
【0060】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載の発明を付記する。
【0061】
[付記1]
原稿が載置される原稿台と、
前記原稿台に載置された前記原稿の画像を読取る読取部と、
前記原稿の副走査方向における一部の画像を読取る第1読取り動作と、当該第1読取り動作の後に前記原稿の前記副走査方向における全体の画像を読取る第2読取り動作とを行わせるように前記読取部を制御する制御部とを備え、
前記原稿台には、符号化情報が付された情報媒体が前記原稿と主走査方向に並んで載置され、
前記制御部は、前記読取部の前記第1読取り動作によって読取られた画像に基づいて、前記符号化情報を検出し、当該符号化情報に基づいて、前記読取部の前記第2読取り動作の制御と当該第2読取り動作によって読取られた画像の処理の制御とのうち少なくとも一方を行う
ことを特徴とする画像読取装置。
【0062】
[付記2]
前記制御部は、前記読取部の前記第1読取り動作によって読取られた画像に基づいて、前記原稿の前記主走査方向におけるサイズ及び前記符号化情報を検出する
ことを特徴とする付記1記載の画像読取装置。
【0063】
[付記3]
前記制御部は、前記読取部の前記第1読取り動作によって読取られた画像のうち前記符号化情報が位置する領域に、当該画像の他の少なくとも一部の領域とは異なるアルゴリズムを用いて前記符号化情報を検出する
ことを特徴とする付記1又は2記載の画像読取装置。
【符号の説明】
【0064】
1 画像読取装置
10 装置本体
20 原稿カバー
30 原稿台
40 キャリッジ
41 ラインセンサ
42 光源
51,52 副走査サイズ検知センサ
61 制御部
62 記憶部
63 インターフェース部
70 キャリッジ駆動部
80 操作パネル
81 表示部
82 入力部
90 カバー角度センサ
C 設定用カード
Ca バーコード
P 用紙