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特開2025-31001無線通信ネットワークシステム及び無線通信機
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031001
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】無線通信ネットワークシステム及び無線通信機
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/40 20150101AFI20250228BHJP
   H04W 76/45 20180101ALI20250228BHJP
【FI】
H04B1/40
H04W76/45
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136927
(22)【出願日】2023-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000234937
【氏名又は名称】八重洲無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089956
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 利和
(72)【発明者】
【氏名】飯束 嘉庸
【テーマコード(参考)】
5K011
5K067
【Fターム(参考)】
5K011DA02
5K011EA01
5K011GA02
5K011JA01
5K011KA12
5K067AA21
5K067BB12
5K067DD17
5K067FF05
5K067JJ35
(57)【要約】
【課題】単信方式の無線通信ネットワーク(NW)で、一部端末が圏外等になった間にNWの使用チャネルが変更され、逸れ端末が生じた場合に自動的にNWに復帰させる。
【解決手段】各端末は、受信モードで現状設定チャネルを時間的に優先させて使用可能な全チャネルを巡回走査する。各端末はNWの使用チャネル変更に際しG-ID(グループ識別信号)とチャネル変更要求信号を送受信し、各端末はその送受信回数をカウントする。各端末は通話時に自機のカウント値も付加送信し、他の端末では巡回走査でのG-IDの受信チャネルが現状設定チャネル以外の場合、その受信チャネルとカウント値(N)を更新記憶し、自機のカウント値(M)とカウント値(N)を比較する。M>NではG-IDとMを現状設定チャネルで送信し、N>Mでは自機の現状設定チャネルを受信チャネルへ変更し、M=Nでは現状を維持する。
【選択図】図15A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末である無線通信機が、変調送信部及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、一の端末がグループ識別信号(以下、「G-ID」という)とチャネル変更要求信号(以下、「CCR」という)を指定変更先チャネルで送信する一方、他の端末が前記受信復調部による前記指定変更先チャネルの走査段階で前記G-IDと前記CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CCR」という)を受信することによりネットワークチャネルの変更が行われるグループ無線通信ネットワークシステムにおいて、
前記ネットワークの各端末が、前記G-ID・CCRの送受信回数をインクリメント方式でカウントしてそのカウント値情報を更新記憶する機能Aと、送信モードにおいて、前回の通信での使用チャネルである現状設定チャネルにより、前記G-IDと通話信号と共に、前記機能Aにより更新記憶している自機の前記カウント値情報を付加して送信する機能Bと、受信モードにおいて、前記現状設定チャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する一方、前記現状設定チャネル以外の使用可能なチャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、復調信号に含まれている送信元端末でのカウント値情報を検出し、その受信チャネル情報と共に更新記憶する機能Cと、前記機能Cにより情報の更新記憶がなされる度に、前記機能Aにより更新記憶している自機のカウント値情報(M回)と前記機能Cにより更新記憶した前記送信元端末でのカウント値情報(N回)を比較する機能Dと、前記機能Dによる比較の結果、M>Nの場合には、前記現状設定チャネルの送信モードを自動設定して前記G-IDと前記自機のカウント値情報(M回)を送信し、N>Mの場合には、前記現状設定チャネルを前記機能Cにより更新記憶した受信チャネル情報が示すチャネルに変更すると共に、前記自機のカウント値情報(M回)を前記送信元端末での前記カウント値情報(N回)に書き替え、M=Nの場合には、何も実行せず現状を保持する機能Eとを備え、
前記ネットワークの各端末はそれぞれ前記機能Aを実行しており、いずれか一の端末による前記機能Bの実行に対して、他の端末が前記機能C、D及びEを実行し、その際の前記機能Dの実行においてM>Nとなった場合の前記他の端末による機能Eでの情報送信に対して、前記一の端末が機能C、D及びEを実行することを特徴とするグループ無線通信ネットワークシステム。
【請求項2】
前記ネットワークの各端末の機能Bにおける自機の前記カウント値情報の送信を、通信フレームにおける音声信号部の末尾に付加する態様で行うこととした請求項1に記載のグループ無線通信ネットワークシステム。
【請求項3】
単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末である無線通信機が、変調送信部及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、一の端末がグループ識別信号(以下、「G-ID」という)とチャネル変更要求信号(以下、「CCR」という)を指定変更先チャネルで送信する一方、他の端末が前記受信復調部による前記指定変更先チャネルの走査段階で前記G-IDと前記CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CCR」という)を受信することによりネットワークチャネルの変更が行われるグループ無線通信ネットワークシステムにおいて、
前記ネットワークの各端末が、前記G-ID・CCRの送受信が検出された時にその検出時刻情報を更新記憶する機能Aと、送信モードにおいて、前回の通信での使用チャネルである現状設定チャネルにより、前記G-IDと通話信号と共に、前記機能Aにより更新記憶している自機の前記検出時刻情報を付加して送信する機能Bと、受信モードにおいて、前記現状設定チャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する一方、前記現状設定チャネル以外の使用可能なチャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、復調信号に含まれている送信元端末での検出時刻情報を検出し、その受信チャネル情報と共に更新記憶する機能Cと、前記機能Cにより情報の更新記憶がなされる度に、前記機能Aにより更新記憶している自機の検出時刻情報(T1)と前記機能Cにより更新記憶した前記送信元端末での検出時刻情報(T2)を比較する機能Dと、前記機能Dによる比較の結果、T1がT2より後の場合には、前記現状設定チャネルの送信モードを自動設定して前記G-IDと前記自機の検出時刻情報(T1)を送信し、T2がT1より後の場合には、前記現状設定チャネルを前記機能Cにより更新記憶した受信チャネル情報が示すチャネルに変更すると共に、前記自機の検出時刻情報(T1)を前記送信元端末での前記検出時刻情報(T2)に書き替え、T1とT2が同時である場合には、何も実行せず現状を保持する機能Eとを備え、
前記ネットワークの各端末はそれぞれ前記機能Aを実行しており、いずれか一の端末による前記機能Bの実行に対して、他の端末が前記機能C、D及びEを実行し、その際の前記機能Dの実行においてT1がT2より後となった場合の前記他の端末による機能Eでの情報送信に対して、前記一の端末が機能C、D及びEを実行することを特徴とするグループ無線通信ネットワークシステム。
【請求項4】
前記ネットワークの各端末の機能Bにおける自機の前記検出時刻情報の送信を、通信フレームにおける音声信号部の末尾に付加する態様で行うこととした請求項3に記載のグループ無線通信ネットワークシステム。
【請求項5】
前記受信復調部による前記ネットワークで使用可能な全チャネルの巡回走査方式が、当該無線通信機における前記現状設定チャネルに対する走査時間を他の各チャネルに対する走査時間よりも長く設定した方式である請求項1、2、3又は4に記載のグループ無線通信ネットワークシステム。
【請求項6】
前記受信復調部による前記ネットワークで使用可能な全チャネルの巡回走査方式が、前記現状設定チャネルと他の1つのチャネルが交互に同一時間だけ走査され、且つ前記他の1つのチャネルは順次異なるチャネルが選択される方式である請求項5に記載のグループ無線通信ネットワークシステム。
【請求項7】
単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末である無線通信機が、変調送信部並びに周波数制御チャネル及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、一の端末がグループ識別信号(以下、「G-ID」という)と変更先チャネル指定を伴うチャネル変更要求信号(以下、「CH-CCR」という)を前記周波数制御チャネルで送信する一方、他の端末が前記受信復調部による前記周波数制御チャネルの走査段階で前記G-IDと前記CH-CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CH-CCR」という)を受信することによりネットワークチャネルの変更が行われるグループ無線通信ネットワークシステムにおいて、
前記ネットワークの各端末が、前記G-ID・CH-CCRの送受信回数をインクリメント方式でカウントしてそのカウント値情報を更新記憶する機能Aと、所定の指示操作により通常の送信モードを設定して前記G-IDと通話信号を送信する機能Bと、受信モードにおいて、前記受信復調部が所定時間に亘って前記G-IDを含む受信復調信号を検出しない場合に、一時的に前記送信変調部を前回の通信の使用チャネル(但し、周波数制御チャネルを除く)である現状設定チャネルから前記周波数制御チャネルに切り替えた送信モードを自動設定して、前記G-IDと前記現状設定チャネル情報と前記機能Aにより更新記憶している自機の前記カウント値情報を送信する機能Cと、受信モードにおいて、前記受信復調部が前記現状設定チャネルで前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する一方、前記周波数制御チャネルで前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、さらにその復調信号に含まれている送信元端末での現状設定チャネル情報とカウント値情報を検出して更新記憶する機能Dと、前記機能Dにより情報の更新記憶がなされる度に、前記機能Aにより更新記憶している自機のカウント値情報(M回)と前記機能Dにより更新記憶した前記送信元端末でのカウント値情報(N回)を比較する機能Eと、前記機能Eによる比較の結果、M>Nの場合には、前記変調送信部を一時的に現状設定チャネルから前記周波数制御チャネルへ変更した送信モードを自動設定して、前記G-IDと自機の現状設定チャネル情報とカウント値情報(M回)を送信し、N>Mの場合には、自機の前記現状設定チャネルを前記送信元端末での現状設定チャネルに変更すると共に、自機の前記カウント値情報(M回)を前記送信元端末でのカウント値情報(N回)に書き替え、M=Nの場合には、何も実行せず現状を保持する機能Fとを備え、
前記ネットワークの各端末はそれぞれ前記機能Aを実行していると共に適宜前記機能Bを実行し、いずれか一の端末による前記機能Cの実行に対して、他の端末が前記機能D、E及びFを実行し、その際の前記機能Eの実行においてM>Nとなった場合の前記他の端末による機能Fでの情報送信に対して、前記一の端末が前記機能D、E及びFを実行することを特徴とするグループ無線通信ネットワークシステム。
【請求項8】
前記ネットワークの各端末の機能Cにおいて、前記受信復調部が所定時間に亘って前記G-IDを含む受信復調信号を検出しない場合に、自機が逸れ端末状態にある可能性が高いことを表示手段に表示させる動作及び/又は前記状態にあることを音声出力手段により所定音を出力させて通知する動作をも併せて実行することとした請求項7に記載のグループ無線通信ネットワークシステム。
【請求項9】
単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末である無線通信機が、変調送信部並びに周波数制御チャネル及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、一の端末がグループ識別信号(以下、「G-ID」という)と変更先チャネル指定を伴うチャネル変更要求信号(以下、「CH-CCR」という)を前記周波数制御チャネルで送信する一方、他の端末が前記受信復調部による前記周波数制御チャネルの走査段階で前記G-IDと前記CH-CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CH-CCR」という)を受信することによりネットワークチャネルの変更が行われるグループ無線通信ネットワークシステムにおいて、
前記ネットワークの各端末が、前記G-ID・CH-CCRの送受信が検出された時にその検出時刻情報を更新記憶する機能Aと、所定の指示操作により通常の送信モードを設定して前記G-IDと通話信号を送信する機能Bと、受信モードにおいて、前記受信復調部が所定時間に亘って前記G-IDを含む受信復調信号を検出しない場合に、一時的に前記送信変調部を前回の通信の使用チャネル(但し、周波数制御チャネルを除く)である現状設定チャネルから前記周波数制御チャネルに切り替えた送信モードを自動設定して、前記G-IDと前記現状設定チャネル情報と前記機能Aにより更新記憶されている検出時刻情報を送信する機能Cと、受信モードにおいて、前記受信復調部が前記現状設定チャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する一方、前記周波数制御チャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、さらにその復調信号に含まれている送信元端末での現状設定チャネル情報とカウント値情報を検出して更新記憶する機能Dと、前記機能Dにより情報の更新記憶がなされる度に、前記機能Aにより更新記憶している自機の検出時刻情報(T1)と前記機能Dにより更新記憶した前記送信元端末での検出時刻情報(T2)を比較する機能Eと、前記機能Eによる比較の結果、T1がT2より後の場合には、前記変調送信部を一時的に現状設定チャネルから前記周波数制御チャネルへ変更した送信モードを自動設定して、前記G-IDと自機の現状設定チャネル情報と検出時刻情報(T1)を送信し、T2がT1より後の場合には、自機の前記現状設定チャネルを前記送信元端末での現状設定チャネルに変更すると共に、自機の前記検出時刻情報(T1)を前記送信元端末での検出時刻情報(T2)に書き替え、T1とT2が同時である場合には、何も実行せず現状を保持する機能Fとを備え、
前記ネットワークの各端末はそれぞれ前記機能Aを実行していると共に適宜前記機能Bを実行し、いずれか一の端末による前記機能Cの実行に対して、他の端末が前記機能D、E及びFを実行し、その際の前記機能Eの実行においてT1がT2より後となった場合の前記他の端末による機能Fでの情報送信に対して、前記一の端末が前記機能D、E及びFを実行することを特徴とするグループ無線通信ネットワークシステム。
【請求項10】
前記ネットワークの各端末の機能Cにおいて、前記受信復調部が所定時間に亘って前記G-IDを含む受信復調信号を検出しない場合に、自機が逸れ端末状態にある可能性が高いことを表示手段に表示させる動作及び/又は前記状態にあることを音声出力手段により所定音を出力させて通知する動作をも併せて実行することとした請求項9に記載のグループ無線通信ネットワークシステム。
【請求項11】
前記受信復調部による前記周波数制御チャネルと前記ネットワークで使用可能な全チャネルの巡回走査方式が、前記周波数制御チャネルに対する走査時間を他の各チャネルに対する走査時間よりも長く設定した方式である請求項7、8、9又は10に記載のグループ無線通信ネットワークシステム。
【請求項12】
前記受信復調部による前記周波数制御チャネルと前記ネットワークで使用可能な全チャネルの巡回走査方式が、前記周波数制御チャネルと他の1つのチャネルが交互に同一時間だけ走査され、且つ前記他の1つのチャネルは順次異なるチャネルが選択される方式である請求項11に記載のグループ無線通信ネットワークシステム。
【請求項13】
単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末として、変調送信部及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、前記変調送信部からグループ識別信号(以下、「G-ID」という)とチャネル変更要求信号(以下、「CCR」という)を指定変更先チャネルで送信する一方、前記受信復調部の巡回走査過程で他の端末から指定変更先チャネルで送信された前記G-IDと前記CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CCR」という)を受信することによりネットワークチャネルの変更を可能にする無線通信機であって、
前記G-ID・CCRの送受信回数をインクリメント方式でカウントしてそのカウント値情報を更新記憶する計数記憶手段と、
送信モードにおいて、前回の通信での使用チャネルである現状設定チャネルで、前記G-IDと通話信号と共に、前記計数記憶手段が更新記憶している自機での前記カウント値情報を付加して送信する情報送信手段と、
受信モードにおいて、前記現状設定チャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する通話再生手段と、
受信モードにおいて、前記現状設定チャネル以外の使用可能なチャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、その復調信号に含まれている送信元端末でのカウント値情報をその受信チャネル情報と共に検出する情報検出手段と、
前記情報検出手段が検出した受信チャネル情報とカウント値情報を更新記憶する情報記憶手段と、
前記情報記憶手段で情報の更新記憶がなされる度に、前記計数記憶手段が更新記憶している自機のカウント値情報(M回)と前記情報記憶手段が更新記憶している前記送信元端末でのカウント値情報(N回)を比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果、M>Nの場合には、前記現状設定チャネルの送信モードを自動設定して前記G-IDと前記計数記憶手段のカウント値情報(M回)を送信し、N>Mの場合には、前記現状設定チャネルを前記情報記憶手段の受信チャネル情報が示すチャネルに変更すると共に、前記計数記憶手段のカウント値情報(M回)を前記情報記憶手段のカウント値情報(N回)に書き替え、M=Nの場合には、何も実行せず現状を保持する対応処理手段と
を具備したことを特徴とする無線通信機。
【請求項14】
単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末として、変調送信部及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、前記変調送信部からグループ識別信号(以下、「G-ID」という)とチャネル変更要求信号(以下、「CCR」という)を指定変更先チャネルで送信する一方、前記受信復調部の巡回走査過程で他の端末から指定変更先チャネルで送信された前記G-IDと前記CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CCR」という)を受信することによりネットワークチャネルの変更を可能にする無線通信機であって、
前記G-ID・CCRの送受信が検出された時にその検出時刻情報を更新記憶する時刻記憶手段と、
送信モードにおいて、前回の通信での使用チャネルである現状設定チャネルで、前記G-IDと通話信号と共に、前記時刻記憶手段が更新記憶している自機での検出時刻情報を付加して送信させる情報送信手段と、
受信モードにおいて、前記現状設定チャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する通話再生手段と、
受信モードにおいて、前記現状設定チャネル以外の使用可能なチャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、その復調信号に含まれている送信元端末での検出時刻情報をその受信チャネル情報と共に検出する情報検出手段と、
前記情報検出手段が検出した受信チャネル情報と検出時刻情報を更新記憶する情報記憶手段と、
前記情報記憶手段で情報の更新記憶がなされる度に、前記時刻記憶手段が更新記憶している自機での検出時刻情報(T1)と前記情報記憶手段が更新記憶している前記送信元端末での検出時刻情報(T2)を比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果、T1がT2より後の場合には、前記現状設定チャネルの送信モードを自動設定して前記G-IDと前記時刻記憶手段の検出時刻情報(T1)を送信し、T2がT1より後の場合には、前記現状設定チャネルを前記情報記憶手段の受信チャネル情報が示すチャネルに変更すると共に、前記時刻記憶手段の検出時刻情報(T1)を前記情報記憶手段の検出時刻情報(T2)に書き替え、T1とT2が同時である場合には、何も実行せず現状を保持する対応処理手段と
を具備したことを特徴とする無線通信機。
【請求項15】
単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末として、変調送信部並びに周波数制御チャネル及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、前記変調送信部からグループ識別信号(以下、「G-ID」という)と変更先チャネル指定を伴うチャネル変更要求信号(以下、「CH-CCR」という)を前記周波数制御チャネルで送信する一方、前記受信復調部の巡回走査過程で他の端末から前記周波数制御チャネルで送信された前記G-IDと前記CH-CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CH-CCR」という)を受信することによりネットワークチャネルの変更を可能にする無線通信機であって、
前記G-ID・CH-CCRの送受信回数をインクリメント方式でカウントしてそのカウント値情報を更新記憶する計数記憶手段と、
所定の指示操作により通常の送信モードを設定して前記G-IDと通話信号を送信する通常送信手段と、
受信モードにおいて、前記受信復調部が所定時間に亘って前記G-IDを含む受信復調信号を検出しない場合に、一時的に前記送信変調部を前回の通信の使用チャネル(但し、周波数制御チャネルを除く)である現状設定チャネルから前記周波数制御チャネルに切り替えた送信モードを自動設定して、前記G-IDと前記現状設定チャネル情報と前記計数記憶手段のカウント値情報を送信する情報送信手段と、
受信モードにおいて、前記受信復調部が前記現状設定チャネルで前記G-IDを含む信号を受信復調した場合に、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する通話再生手段と、
受信モードにおいて、前記周波数制御チャネルで前記G-IDを含む信号を受信復調した場合に、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、さらにその復調信号に含まれている送信元端末での現状設定チャネル情報とカウント値情報を検出する情報検出手段と、
前記情報検出手段が検出した送信元端末での現状設定チャネル情報とカウント値情報を更新記憶する情報記憶手段と、
前記情報記憶手段により情報の更新記憶がなされる度に、前記計数記憶手段が更新記憶している自機の前記カウント値情報(M回)と前記情報記憶手段が更新記憶した前記送信元端末でのカウント値情報(N回)を比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果、M>Nの場合には、前記変調送信部を一時的に現状設定チャネルから周波数制御チャネルへ変更した送信モードを設定して、前記G-IDと現状設定チャネル情報と前記計数記憶手段のカウント値情報(M回)を送信し、N>Mの場合には、前記現状設定チャネルを前記情報記憶手段の受信チャネル情報が示すチャネルに変更すると共に、前記計数記憶手段のカウント値情報(M回)を前記情報記憶手段のカウント値情報(N回)に書き替え、M=Nの場合には、何も実行せず現状を保持する対応処理手段と
を具備したことを特徴とする無線通信機。
【請求項16】
単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末として、変調送信部並びに周波数制御チャネル及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、前記変調送信部からグループ識別信号(以下、「G-ID」という)と変更先チャネル指定を伴うチャネル変更要求信号(以下、「CH-CCR」という)を前記周波数制御チャネルで送信する一方、前記受信復調部の巡回走査過程で他の端末から前記周波数制御チャネルで送信された前記G-IDと前記CH-CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CH-CCR」という)を受信することによりネットワークチャネルの変更を可能にする無線通信機であって、
前記G-ID・CCRの送受信が検出された時にその検出時刻情報を更新記憶する時刻記憶手段と、
所定の指示操作により通常の送信モードを設定して前記G-IDと通話信号を送信する通常送信手段と、
受信モードにおいて、前記受信復調部が所定時間に亘って前記G-IDを含む受信復調信号を検出しない場合に、一時的に前記送信変調部を前回の通信の使用チャネル(但し、周波数制御チャネルを除く)である現状設定チャネルから前記周波数制御チャネルに切り替えた送信モードを自動設定して、前記G-IDと前記現状設定チャネル情報と前記時刻記憶手段の検出時刻情報を送信する情報送信手段と、
受信モードにおいて、前記受信復調部が前記現状設定チャネルで前記G-IDを含む信号を受信復調した場合に、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する通話再生手段と、
受信モードにおいて、前記周波数制御チャネルで前記G-IDを含む信号を受信復調した場合に、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、さらにその復調信号に含まれている送信元端末での現状設定チャネル情報と検出時刻情報を検出する情報検出手段と、
前記情報検出手段が検出した送信元端末での現状設定チャネル情報と検出時刻情報を更新記憶する情報記憶手段と、
前記情報記憶手段により情報の更新記憶がなされる度に、前記時刻記憶手段が更新記憶している自機での検出時刻情報(T1)と前記情報記憶手段が更新記憶した前記送信元端末での検出時刻情報(T2)を比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果、T1がT2より後の場合には、前記変調送信部を一時的に現状設定チャネルから周波数制御チャネルへ変更した送信モードを設定して、前記G-IDと現状設定チャネル情報と前記時刻記憶手段の検出時刻情報(T1)を送信し、T2がT1より後の場合には、前記現状設定チャネルを前記情報記憶手段の受信チャネル情報が示すチャネルに変更すると共に、前記時刻記憶手段の検出時刻情報(T1)を前記情報記憶手段の検出時刻情報(T2)に書き替え、T1とT2が同時である場合には、何も実行せず現状を保持する対応処理手段と
を具備したことを特徴とする無線通信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単信方式によるグループ無線通信ネットワークにおいて、混信回避等の理由で通信チャネルが変更された場合に、ネットワークの構成端末(無線通信機)の一部が諸々の理由で変更後のチャネルから逸れてしまうことがあるが、そのような“逸れ端末”をネットワークへ自動的に復帰させることを可能にするネットワークシステム及び無線通信機に関する。
【背景技術】
【0002】
単信方式の業務用無線通信機は屋外の場合は建設現場などの様々な工事現場において、屋内の場合は比較的大きな飲食店や広いスペースのホームセンター等において、それぞれ従業者相互間の業務上の連絡に利用されている。
そして、特定小電力規格の無線通信機は400MHz帯を使用した近距離での音声通信を行うものであるが、各種業務で広範に利用されるようになった今日では無線ゾーンが近接ないし重複してしまうようなことが少なくない。
【0003】
下記非特許文献1では前記無線通信機の運用に係るシステムの技術的条件として電波の型式、通信方式、使用周波数及び空中線電力を定めており、通信方式が単信の場合の使用周波数については、422.0500~422.1750MHzを12.5kHz間隔で区分してチャネル番号をCH20~30とした11チャネル分と、422.2000~422.3000MHzを12.5kHz間隔で区分してチャネル番号をCH41~49とした9チャネル分とからなる20チャネル分が割り当てられている。また、チャネル番号:CH31(422.1875 MHz)は周波数制御チャネルとして割り当てられており、0.5秒以内の範囲で使用できることになっている。
【0004】
したがって、前記無線通信機を用いた単信方式でのグループ通信を行う場合には、前記20チャネル、又はそれらから予め選択したいくつかのチャネルの中から空きチャネルを選択して通信を行うことになるが、前記のように無線ゾーンが密になると途中から混信が発生することがあり、業務に支障が生じるようなときにはネットワーク運用中であっても通信チャネルを変更する必要がある。
【0005】
この点について、市販されている無線通信機には自動チャネル選択機能を有する機種が多く見受けられる。
自動チャネル選択モードにおいては、グループ通信を行うネットワーク中の特定の無線通信機が送信側となり、他の無線通信機は受信側となる。
送信側の無線通信機では、受信復調部でキャリアセンスを実行して送信不可であった場合に、チャネル番号等に従ってチャネルを1つ移動させてキャリアセンスを実行するという手順を送信可になるまで繰り返して、送信可となったチャネルで送信モードとなり、一方、受信側の無線通信機は、受信復調部で常時全チャネルの走査を実行し、グループコードが一致した信号を受信した時点で走査を停止させて音声再生回路を開き、受信が終了すればまた走査を再開させる。
【0006】
また、特許文献での提案技術としては次のようなものがある。
下記特許文献1には、交信中の一方の無線通信機が、不要電波による混信を検出すると、空きチャネルを検索して、検出した空きチャネル情報に切換信号を付したチャネル切換信号を作成する手段を備え、交信中のチャネルの不要電波のレベルが降下して交信可能なレベルになった状態が検出されると、前記チャネル切換信号を送信すると共に、自機の使用チャネルを前記チャネル切換信号で指定されている空きチャネルに設定し、交信中の他方の無線通信機は前記チャネル切換信号を受信検出すると切換了解信号を送信してチャネル切換信号で指定されたチャネルに切り換わり、また、交信中以外の他の待受状態にある無線通信機は前記切換了解信号を受信して前記チャネル切換信号で指定されたチャネルに切り換わることとした無線通信ネットワークが開示されている。
【0007】
下記特許文献2においては、データ通信を行う子局と、各子局の制御を行う親局からなる無線ネットワークにあって、親局が立ち上がり時に使用可能な全無線チャネルの電波状況を判断して最適チャネルを決定すると共に(親局は空きチャネル情報をビーコンの中に含めて送信)、定期的にネットワークの送信を停止させて(親局が一定時間子局の送信を禁止する監視ビーコンを送信)、各子局が分散して近隣の電波状態を監視することにより(監視ビーコンを受信した子局が送信停止期間中に受信電界強度を測定してその結果を親局へ送信して通知)、無線ネットワークに最適チャネルを選択する(親局が各子局から受信した受信電界強度の測定結果に基づいて最適チャネルを選択し、その最適チャネル情報をビーコン中に含めて各子局へ送信)方式が開示されている。
【0008】
さらに、本願出願人は、単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける通信チャネルの変更に関連して、『単信方式の無線通信ネットワークシステムであって、何れかの構成端末が、送信モードへ移行してキャリアセンスにより現状使用チャネルに混信がある場合に、受信・待受モードの間にネットワークで使用可能な全てのチャネルを走査して、空きチャネルであった各チャネルをその受信信号強度が昇順になるように作成してあるチャネル選択順位データを用い、その最上位チャネルから所定順位のチャネルまで順次キャリアセンスを行う中で最先に検出された混信の無いチャネルを送受信チャネルとして設定すると共に、前記グループネットワークのグループ識別コードとチャネル変更コマンドを送信する一方、前記構成端末以外の各構成端末が、受信・待受モードの状態にあって前記グループネットワークで使用可能な全チャネルを繰り返し走査している過程において、混信状態と判定されたチャネルから前記グループネットワークのグループ識別コードとチャネル変更コマンドを受信・検出した場合に、送受信チャネルを前記混信状態と判定されたチャネルに変更設定するようにした無線通信ネットワークシステム』を提案している(特願2023-074015)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10-75194号公報
【特許文献2】特開2002-158667号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】社団法人電波産業会、「特定小電力無線局/無線電話用無線設備/標準規格」,RCR STD-20 5.1版、令和3年10月29日改定
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のように、グループ無線通信ネットワークにおけるネットワークチャネルの変更方式については種々提案がなされているが、ネットワークチャネルが変更されたときにたまたま圏外に位置していたり、電源が投入されていなかった等の理由により、その変更プロセスに関与できなかった端末(無線通信機)が発生することがあり、そのような端末(以下、「逸れ端末」という)は変更後の新しいネットワークチャネルへ移行できていないため、グループの他の端末と通信ができない状態になる。
【0012】
そして、そのようにネットワークから外れてしまった逸れ端末が生じたことは、ネットワーク圏内の他の無線通信機からは検知し難く、また、逸れ端末においても自機がネットワークから外れていることは即座に確認できないことが多いため、業務用途のネットワークである場合には業務連絡が徹底できない等の不都合な事態が生じる。
【0013】
そこで、本発明は、単信方式のグループ無線通信ネットワークにおいて、逸れ端末が発生しても、通話送信イベント又は一定条件下での自動的な情報送信イベントを契機に、逸れ端末を自動的に変更後の通信チャネルに移行させてネットワークに復帰できるようにしたネットワークシステムとその構成端末である無線通信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
<<第1の発明>>
この発明は、単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末である無線通信機が、変調送信部及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、一の端末がグループ識別信号(以下、「G-ID」という)とチャネル変更要求信号(以下、「CCR」という)を指定変更先チャネルで送信する一方、他の端末が前記受信復調部による前記指定変更先チャネルの走査段階で前記G-IDと前記CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CCR」という)を受信することによりネットワークチャネルの変更が行われるグループ無線通信ネットワークシステムにおいて、前記ネットワークの各端末が、前記G-ID・CCRの送受信回数をインクリメント方式でカウントしてそのカウント値情報を更新記憶する機能Aと、送信モードにおいて、前回の通信での使用チャネルである現状設定チャネルにより、前記G-IDと通話信号と共に、前記機能Aにより更新記憶している自機の前記カウント値情報を付加して送信する機能Bと、受信モードにおいて、前記現状設定チャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する一方、前記現状設定チャネル以外の使用可能なチャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、その受信チャネル情報と共に、その復調信号に含まれている送信元端末でのカウント値情報を検出して更新記憶する機能Cと、前記機能Cにより情報の更新記憶がなされる度に、前記機能Aにより更新記憶している自機のカウント値情報(M回)と前記機能Cにより更新記憶した前記送信元端末でのカウント値情報(N回)を比較する機能Dと、前記機能Dによる比較の結果、M>Nの場合には、前記現状設定チャネルの送信モードを自動設定して前記G-IDと前記自機のカウント値情報(M回)を送信し、N>Mの場合には、前記現状設定チャネルを前記機能Cにより更新記憶した受信チャネル情報が示すチャネルに変更すると共に、前記自機のカウント値情報(M回)を前記送信元端末での前記カウント値情報(N回)に書き替え、M=Nの場合には、何も実行せず現状を保持する機能Eとを備え、前記ネットワークの各端末はそれぞれ前記機能Aを実行しており、いずれか一の端末による前記機能Bの実行に対して、他の端末が前記機能C、D及びEを実行し、その際の前記機能Dの実行においてM>Nとなった場合の前記他の端末による機能Eでの情報送信に対して、前記一の端末が機能C、D及びEを実行することを特徴とするグループ無線通信ネットワークシステムに係る。
【0015】
この発明は、単信方式のグループ無線通信ネットワークを構成する各端末(無線通信機)がそれぞれ共通な機能を備え、ネットワークチャネルから逸れた端末が発生しても、通信が実行される中で各端末の機能が相互に共働し合うことによりネットワークへ復帰させるシステムに係る。
ネットワークを構成する各端末は送受信部として変調送信部と受信復調部を備えているが、その受信復調部は受信モードにおいてネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査しており、G-IDが検出されて通話信号の再生する場合や所要情報の取得と対応処理を実行する場合にはその巡回走査は停止される。
【0016】
この発明におけるネットワークでは、現在使用中のネットワークチャネルに混信が生じた場合などには、一の端末が別の空きチャネルでG-ID・CCRを送信する一方、他の端末が受信復調部の巡回走査過程でそれを受信復調し、自機の送受信チャネルをG-ID・CCRを受信したチャネルへ変更することでネットワークチャネルが変更される。
そして、ネットワークの各端末では、機能Aにより、G-ID・CCRの送信/受信がある度にそれを検出し、その送受信回数を逐次インクリメント方式でカウントしてそのカウント値情報を更新記憶する。
【0017】
ところで、このネットワークでは、通話のために送信モードとなった一の端末が、機能Bにより、現状設定チャネル(前回の通信での使用チャネル)でG-IDと通話信号と共に自機の前記カウント値情報を付加して送信し、他の端末へ自機のカウント値情報を伝達する。
それに対して、受信モードにある他の各端末においては、機能Cにより、受信復調部が現状設定チャネルの巡回走査段階でG-IDを受信復調した場合は、そのチャネルで巡回走査を停止させて通話信号を受信復調して音声再生させ、現状設定チャネル以外の巡回走査段階でG-IDを受信した場合は、同様に巡回走査を停止させて復調信号から送信元端末でのカウント値情報を検出し、その受信チャネル情報と共に更新記憶する。
【0018】
ここで、現状設定チャネルでG-IDが受信復調された場合とは、自機と送信元端末の通信チャネルがネットワークチャネルである状態か、又は双方の端末が逸れ端末で同一の通信チャネルの状態にある場合に相当するが、この発明はそれらの状態には関与せず、前記各他の端末では受信復調部が復調した通話信号を再生するだけである。
一方、現状設定チャネル以外のチャネルでG-IDが受信復調された場合は、自機又は送信元端末のいずれか一方が逸れ端末である状態か、又は双方が通信チャネルの異なる逸れ端末である場合に相当する。
この発明では、この状態に対して関与し、逸れ端末をネットワークチャネルに戻すためのアルゴリズムを実行する。
【0019】
まず、機能Cにより、他の端末側では一の端末側のカウント値情報を更新記憶しているが、機能Dにより、他の端末は自機のカウント値情報(M回)と更新記憶した一の端末のカウント値情報(N回)を比較する。
その場合、各端末では、ネットワーク内に留まっている期間が長いほどネットワークチャネルの変更に係るカウント値は大きくなり、逆に、ネットワークチャネルから逸れた期間があるとネットワークチャネルの変更時に立ち会えずにカウント値が小さくなる傾向があり、逸れることなくネットワーク内に留まっていた端末は当然に最大のカウント値になる。
したがって、端末で更新記憶しているカウント値が大きいほどその現状設定チャネルがネットワークチャネルに設定されている推定確率が高く、また逆に逸れ端末である推定確率は低いということが言える。
【0020】
この発明ではその事情を合理的に利用し、機能Eにより、他の端末ではMとNの比較結果に基づいて次のように対応処理手順を実行する。
M>Nの場合は、他の端末の方が一の端末よりも現状のネットワークチャネルに設定されている推定確率が高いため、他の端末は一の端末の設定チャネルを自機のチャネルに変更するべく、送信/受信が逆転して、他の端末がG-IDとカウント値情報(M回)を自機の現状設定チャネルで送信する。
そして、他の端末からの送信情報はネットワーク内の各端末の受信復調部の走査過程で受信復調されるが、今度は逆に受信側端末となる一の端末においては、機能C及びDに基づいて、自機のカウント値情報(N回)と復調したカウント値情報(M回)とを比較することになる。
その場合、一の端末からみると、次述のN>Mの場合の対応処理でNとMが逆転した関係となり、一の端末の送受信チャネルが他の端末のチャネルに変更され、併せて一の端末のカウント値情報(N回)も他の端末のカウント値情報(M回)に書き替えられる。
したがって、一の端末が逸れ端末であって、他の端末の送受信部がネットワークチャネルである場合には、一の端末の送受信部がネットワークチャネルへ変更されてネットワークに復帰できることになり、また、双方の端末が逸れ端末である場合には、自機のカウント値情報が大きい方の端末の設定チャネルとカウント値情報に揃えられることになる。
なお、ネットワークとしてみると、複数の他の端末による応答送信が重複することになるが、キャリアセンスが要求される場合は最先に送信可となった端末だけが応答送信可能となる。
【0021】
N>Mの場合は、前記とは逆に、一の端末の方が他の端末よりもネットワークチャネルに設定されている推定確率が高いため、他の端末は自機の送受信チャネルを機能Cで更新記憶した受信チャネル(一の端末側の現状設定チャネル)に変更し、併せて自機でのカウント値情報(M回)を一の端末側のカウント値情報(N回)に書き替えておくことにより、自機を形式的に一の端末と同一の履歴状態にしておく。
すなわち、一の端末の現状設定チャネルがネットワークチャネルの設定状態にあり、他の端末が逸れ端末の状態であれば、他の端末の通信チャネルがネットワークチャネルへ変更されてネットワークに復帰でき、カウント値情報についても形式的にネットワーク内に留まっていた端末に揃えられる。
【0022】
N=Mの場合については、一の端末と他の端末の現状設定チャネルが共にネットワークチャネルである場合、又は一の端末と他の端末がたまたま逸れ状態にあってG-ID・CCRの送受信回数が同一であった場合に相当するが、前者の場合については関与する必要がなく、後者の場合は逸れ端末状態を解消させる術がなく、逸れ状態にない端末との通信機会を待たざるを得ず、結局のところ、対応処理としては何も実行せず現状を保持する。
【0023】
以上のネットワークの構成端末が有する機能を前提として、各端末がそれぞれ機能Aを実行している中で、いずれか一の端末による機能Bの実行に対して、他の端末が機能C、D及びEを実行し、その際の機能Dの実行においてM>Nとなった場合の他の端末による機能Eでの情報送信に対して、一の端末が機能C、D及びEを実行することにより、通話通信が実行される中で、各端末の通信チャネルは常に更新記憶しているカウント値情報が大きい方の端末の現状設定チャネルに揃えられるため、カウント値情報が小さい傾向にある逸れ端末は必然的にネットワークチャネルに復帰できることになる。
【0024】
前記ネットワークの各端末の機能Bにおける自機の前記カウント値情報の送信は、通信フレームにおける音声信号部の末尾に付加する態様で行うことが望ましい。
音声信号中に情報信号を混入させると再生音に歪が生じて聴きづらくなるからであり、例えば、PTTボタンをOFFにした際にカウント値情報を付加送信させ、その後に通信終了信号を送信するようにすることで、前記不具合を回避させる。
【0025】
また、前記受信復調部による前記ネットワークで使用可能な全チャネルの巡回走査方式については、当該無線通信機における前記現状設定チャネルに対する走査時間を他の各チャネルに対する走査時間よりも長く設定しておくことが望ましく、特に、前記現状設定チャネルと他の1つのチャネルが交互に同一時間だけ走査され、且つ前記他の1つのチャネルは順次異なるチャネルが選択される方式とすることは合理的で好適といえる。
前記ネットワークでは、端末同士がネットワークチャネルを現状設定チャネルとして通話を行っている状態が通常であり、逸れ端末が発生した状態はむしろ稀なケースであることから、前者の通常の通話状態への移行が優先的に実行されるようにするためである。
【0026】
なお、この第1の発明に係る前記グループ無線通信ネットワークシステムに適用できる無線通信機としては、次のような構成にすることができる。
単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末として、変調送信部及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、前記変調送信部からグループ識別信号(以下、「G-ID」という)とチャネル変更要求信号(以下、「CCR」という)を指定変更先チャネルで送信する一方、前記受信復調部の巡回走査過程で他の端末から指定変更先チャネルで送信された前記G-IDと前記CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CCR」という)を受信することによりネットワークチャネルの変更を可能にする無線通信機であって、前記G-ID・CCRの送受信回数をインクリメント方式でカウントしてそのカウント値情報を更新記憶する計数記憶手段と、送信モードにおいて、前回の通信での使用チャネルである現状設定チャネルで、前記G-IDと通話信号と共に、前記計数記憶手段が更新記憶している自機での前記カウント値情報を付加して送信する情報送信手段と、受信モードにおいて、前記現状設定チャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する通話再生手段と、受信モードにおいて、前記現状設定チャネル以外の使用可能なチャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、その復調信号に含まれている送信元端末でのカウント値情報をその受信チャネル情報と共に検出する情報検出手段と、前記情報検出手段が検出した受信チャネル情報とカウント値情報を更新記憶する情報記憶手段と、前記情報記憶手段で情報の更新記憶がなされる度に、前記計数記憶手段が更新記憶している自機のカウント値情報(M回)と前記情報記憶手段が更新記憶している前記送信元端末でのカウント値情報(N回)を比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果、M>Nの場合には、前記現状設定チャネルの送信モードを自動設定して前記G-IDと前記計数記憶手段のカウント値情報(M回)を送信し、N>Mの場合には、前記現状設定チャネルを前記情報記憶手段の受信チャネル情報が示すチャネルに変更すると共に、前記計数記憶手段のカウント値情報(M回)を前記情報記憶手段のカウント値情報(N回)に書き替え、M=Nの場合には、何も実行せず現状を保持する対応処理手段とを具備したことを特徴とする無線通信機。
【0027】
<<第2の発明>>
この発明は、単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末である無線通信機が、変調送信部及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、一の端末がグループ識別信号(以下、「G-ID」という)とチャネル変更要求信号(以下、「CCR」という)を指定変更先チャネルで送信する一方、他の端末が前記受信復調部による前記指定変更先チャネルの走査段階で前記G-IDと前記CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CCR」という)を受信することによりネットワークチャネルの変更が行われるグループ無線通信ネットワークシステムにおいて、前記ネットワークの各端末が、前記G-ID・CCRの送受信が検出された時にその検出時刻情報を更新記憶する機能Aと、送信モードにおいて、前回の通信での使用チャネルである現状設定チャネルにより、前記G-IDと通話信号と共に、前記機能Aにより更新記憶している自機の前記検出時刻情報を付加して送信する機能Bと、受信モードにおいて、前記現状設定チャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する一方、前記現状設定チャネル以外の使用可能なチャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、復調信号に含まれている送信元端末での検出時刻情報を検出し、その受信チャネル情報と共に更新記憶する機能Cと、前記機能Cにより情報の更新記憶がなされる度に、前記機能Aにより更新記憶している自機の検出時刻情報(T1)と前記機能Cにより更新記憶した前記送信元端末での検出時刻情報(T2)を比較する機能Dと、前記機能Dによる比較の結果、T1がT2より後の場合には、前記現状設定チャネルの送信モードを自動設定して前記G-IDと前記自機の検出時刻情報(T1)を送信し、T2がT1より後の場合には、前記現状設定チャネルを前記機能Cにより更新記憶した受信チャネル情報が示すチャネルに変更すると共に、前記自機の検出時刻情報(T1)を前記送信元端末での前記検出時刻情報(T2)に書き替え、T1とT2が同時である場合には、何も実行せず現状を保持する機能Eとを備え、前記ネットワークの各端末はそれぞれ前記機能Aを実行しており、いずれか一の端末による前記機能Bの実行に対して、他の端末が前記機能C、D及びEを実行し、その際の前記機能Dの実行においてT1がT2より後となった場合の前記他の端末による機能Eでの情報送信に対して、前記一の端末が機能C、D及びEを実行することを特徴とするグループ無線通信ネットワークシステムに係る。
【0028】
この発明も、第1の発明と同様に、単信方式のグループ無線通信ネットワークを構成する各端末(無線通信機)がそれぞれ共通な機能を備え、ネットワークチャネルから逸れた端末が発生しても、通信が実行される中で各端末の機能が相互に共働し合うことによりネットワークへ復帰させるシステムに係るものであり、各端末は送受信部として変調送信部と受信復調部を備えているが、その受信復調部は、受信モードにおいてネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査しており、G-IDが検出されて通話信号の再生する場合や所要情報の取得と対応処理を実行する場合にその巡回走査が停止される。
【0029】
また、この発明におけるネットワークでは、第1の発明と同様に、現在使用中のネットワークチャネルに混信が生じた場合などには、一の端末が別の空きチャネルでG-ID・CCRを送信する一方、他の端末が受信復調部の巡回走査過程でそれを受信復調し、自機の送受信チャネルをG-ID・CCRを受信したチャネルへ変更することでネットワークチャネルが変更される。
そして、ネットワークの各端末では、機能Aにより、G-ID・CCRの送信/受信がある度にそれを検出し、その検出時刻情報を更新記憶する。
【0030】
ところで、この発明では、機能Bにより、通話のために送信モードとなった一の端末は、現状設定チャネル(前回の通信での使用チャネル)でG-IDと通話信号と共に自機の前記検出時刻情報を付加して送信し、他の端末へ自機の検出時刻情報を伝達する。
それに対して、受信モードにある他の端末においては、機能Cにより、受信復調部が現状設定チャネルの巡回走査段階でG-IDを受信復調した場合は、そのチャネルで巡回走査を停止させて通話信号を受信復調して音声再生させ、現状設定チャネル以外の巡回走査段階でG-IDを受信した場合は、同様に巡回走査を停止させて復調信号から一の端末側の検出時刻情報を検出し、その受信チャネル情報と共に更新記憶する。
【0031】
ここで、現状設定チャネルでG-IDが受信復調された場合とは、他の端末と一の端末の現状設定チャネルがネットワークチャネルである状態か、又は双方の端末が逸れ端末で同一の現状設定チャネルの状態にある場合に相当するが、この発明はそれらの状態には関与せず、他の端末では受信復調部が復調した通話信号を再生するだけである。
一方、現状設定チャネル以外のチャネルでG-IDが受信復調された場合は、他の端末又は一の端末のいずれか一方が逸れ端末である状態か、又は双方が通信チャネルの異なる逸れ端末である場合に相当する。
この発明では、この状態に対して関与し、逸れ端末をネットワークチャネルに戻すためのアルゴリズムを実行する。
【0032】
まず、機能Cにより、他の端末では一の端末側の検出時刻情報を更新記憶するが、機能Dにより、他の端末は自機での検出時刻情報(T1)と更新記憶した一の端末側の検出時刻情報(T2)を比較する。
その場合、時間的により遅いネットワークチャネルの変更時にネットワークに属している端末ほど、現状でのネットワークチャネルに設定されている推定確率が高く、また逆に逸れ端末である推定確率は低いということが言える。
【0033】
この発明ではその事情を合理的に利用し、機能Eにより、他の端末ではT1とT2の比較結果に基づいて次のように対応処理手順を実行する。
T1がT2より後の場合は、他の端末の方が一の端末よりもネットワークチャネルに設定されている推定確率が高いことになるため、他の端末は、一の端末の現状設定チャネルを自機の現状設定チャネルに変更するべく、G-IDと自機での検出時刻情報(T1)を自機の現状設定チャネルで送信する。
そして、他の端末からの送信情報はネットワーク内の各端末の受信復調部の走査過程で受信復調されるが、今度は逆に受信側端末となる一の端末においては、機能C及びDに基づいて、自機の検出時刻情報(T2)と受信復調した検出時刻情報(T1)とを比較することになる。
その場合、一の端末からみると、受信復調した他の端末の検出時刻情報(T1)の方が自機の検出時刻情報(T2)より後になるため、次述のT2がT1より後の場合の対応処理でT2とT1が逆転した関係となり、一の端末の現状設定チャネルが他の端末の現状設定チャネルに変更され、併せて一の端末の検出時刻情報(T2)も他の端末の検出時刻情報(T1)に書き替えられる。
したがって、一の端末が逸れ端末であって、他の端末の通信チャネルがネットワークチャネルの場合には、一の端末の送受信部がネットワークチャネルへ変更されてネットワークに復帰できることになり、また、双方の端末が逸れ端末である場合には、検出時刻情報が示す時刻がより後の方の端末の通信チャネルと検出時刻情報に揃えられることになる。
なお、ネットワークとしてみると、複数の他の端末による応答送信が重複することがあり得るが、キャリアセンスが要求される場合には最先に送信可となった端末だけが応答送信可能となる。
【0034】
T2がT1より後の場合は、前記とは逆に、一の端末の方が他の端末よりもネットワークチャネルに設定されている推定確率が高いことになるため、他の端末は自機の通信チャネルを機能Cにより更新記憶した受信チャネル(一の端末側の現状設定チャネル)に変更し、併せて自機での検出時刻情報(T1)を一の端末側の検出時刻情報(T2)に書き替えておくことにより、自機を形式的に一の端末と同一の履歴状態にしておく。
すなわち、一の端末の現状設定チャネルがネットワークチャネルの設定状態にあり、他の端末が逸れ端末の状態であれば、他の端末の通信チャネルがネットワークチャネルへ変更されてネットワークに復帰でき、検出時刻情報についても形式的にネットワーク内に留まっていた端末に揃えられる。
【0035】
T1とT2が同時の場合については、一の端末と他の端末の現状設定チャネルが共にネットワークチャネルである場合、又は一の端末と他の端末がたまたま逸れ状態にあってG-ID・CCRの最終検出時刻が同時であった場合に相当するが、前者の場合については関与する必要がなく、後者の場合は逸れ端末状態を解消させる術がなく、逸れ状態にない端末との通信機会を待たざるを得ず、結局のところ、対応処理としては何も実行せず現状を保持する。
【0036】
以上のネットワークの構成端末が有する機能を前提として、各端末がそれぞれ機能Aを実行している中で、いずれか一の端末による機能Bの実行に対して、他の端末が機能C、D及びEを実行し、その際の機能Dの実行においてT1がT2より後になった場合の他の端末による機能Eでの情報送信に対して、一の端末が機能C、D及びEを実行することにより、通話通信が実行される中で、各端末の通信チャネルは常に更新記憶している検出時刻情報の示す時刻がより後になっている方の端末の現状設定チャネルに揃えられるため、検出時刻情報の示す時刻が先となる傾向にある逸れ端末は必然的にネットワークチャネルに復帰できることになる。
【0037】
前記ネットワークの各端末の機能Bにおける自機の前記検出時刻情報の送信は、通信フレームにおける音声信号部の末尾に付加する態様で行うことが望ましい。
音声信号中に情報信号を混入させると再生音に歪が生じて聴きづらくなるからであり、例えば、PTTボタンをOFFにした際にカウント値情報を付加送信させ、その後に通信終了信号を送信するようにすることで、前記不具合を回避させる。
【0038】
また、前記受信復調部による前記ネットワークで使用可能な全チャネルの巡回走査方式については、当該無線通信機における前記現状設定チャネルに対する走査時間を他の各チャネルに対する走査時間よりも長く設定しておくことが望ましく、特に、前記現状設定チャネルと他の1つのチャネルが交互に同一時間だけ走査され、且つ前記他の1つのチャネルは順次異なるチャネルが選択される方式とすることは合理的で好適といえる。
前記ネットワークでは、端末同士がネットワークチャネルを現状設定チャネルとして通話を行っている状態が通常であり、逸れ端末が発生した状態はむしろ稀なケースであることから、前者の通常の通話状態への移行が優先的に実行されるようにするためである。
【0039】
なお、この第2の発明に係る前記グループ無線通信ネットワークシステムに適用できる無線通信機としては、次のような構成にすることができる。
単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末として、変調送信部及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、前記変調送信部からグループ識別信号(以下、「G-ID」という)とチャネル変更要求信号(以下、「CCR」という)を指定変更先チャネルで送信する一方、前記受信復調部の巡回走査過程で他の端末から指定変更先チャネルで送信された前記G-IDと前記CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CCR」という)を受信することによりネットワークチャネルの変更を可能にする無線通信機であって、前記G-ID・CCRの送受信が検出された時にその検出時刻情報を更新記憶する時刻記憶手段と、送信モードにおいて、前回の通信での使用チャネルである現状設定チャネルで、前記G-IDと通話信号と共に、前記時刻記憶手段が更新記憶している自機での検出時刻情報を付加して送信させる情報送信手段と、受信モードにおいて、前記現状設定チャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する通話再生手段と、受信モードにおいて、前記現状設定チャネル以外の使用可能なチャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、その復調信号に含まれている送信元端末での検出時刻情報をその受信チャネル情報と共に検出する情報検出手段と、前記情報検出手段が検出した受信チャネル情報と検出時刻情報を更新記憶する情報記憶手段と、前記情報記憶手段で情報の更新記憶がなされる度に、前記時刻記憶手段が更新記憶している自機での検出時刻情報(T1)と前記情報記憶手段が更新記憶している前記送信元端末での検出時刻情報(T2)を比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果、T1がT2より後の場合には、前記現状設定チャネルの送信モードを自動設定して前記G-IDと前記時刻記憶手段の検出時刻情報(T1)を送信し、T2がT1より後の場合には、前記現状設定チャネルを前記情報記憶手段の受信チャネル情報が示すチャネルに変更すると共に、前記時刻記憶手段の検出時刻情報(T1)を前記情報記憶手段の検出時刻情報(T2)に書き替え、T1とT2が同時である場合には、何も実行せず現状を保持する対応処理手段とを具備したことを特徴とする無線通信機。
【0040】
<<第3の発明>>
この発明は、単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末である無線通信機が、変調送信部並びに周波数制御チャネル及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、一の端末がグループ識別信号(以下、「G-ID」という)と変更先チャネル指定を伴うチャネル変更要求信号(以下、「CH-CCR」という)を前記周波数制御チャネルで送信する一方、他の端末が前記受信復調部による前記周波数制御チャネルの走査段階で前記G-IDと前記CH-CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CH-CCR」という)を受信することにより、ネットワークチャネルの変更が行われるグループ無線通信ネットワークシステムにおいて、前記ネットワークの各端末が、前記G-ID・CH-CCRの送受信回数をインクリメント方式でカウントしてそのカウント値情報を更新記憶する機能Aと、所定の指示操作により通常の送信モードを設定して前記G-IDと通話信号を送信する機能Bと、受信モードにおいて、前記受信復調部が所定時間に亘って前記G-IDを含む受信復調信号を検出しない場合に、一時的に前記送信変調部を前回の通信の使用チャネル(但し、周波数制御チャネルを除く)である現状設定チャネルから前記周波数制御チャネルに切り替えた送信モードを自動設定して、前記G-IDと前記現状設定チャネル情報と前記機能Aにより更新記憶している自機の前記カウント値情報を送信する機能Cと、受信モードにおいて、前記受信復調部が前記現状設定チャネルで前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する一方、前記周波数制御チャネルで前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、さらにその復調信号に含まれている送信元端末での現状設定チャネル情報とカウント値情報を検出して更新記憶する機能Dと、前記機能Dにより情報の更新記憶がなされる度に、前記機能Aにより更新記憶している自機のカウント値情報(M回)と前記機能Dにより更新記憶した前記送信元端末でのカウント値情報(N回)を比較する機能Eと、前記機能Eによる比較の結果、M>Nの場合には、前記変調送信部を一時的に現状設定チャネルから前記周波数制御チャネルへ変更した送信モードを自動設定して、前記G-IDと自機の現状設定チャネル情報とカウント値情報(M回)を送信し、N>Mの場合には、自機の前記現状設定チャネルを前記送信元端末での現状設定チャネルに変更すると共に、自機の前記カウント値情報(M回)を前記送信元端末でのカウント値情報(N回)に書き替え、M=Nの場合には、何も実行せず現状を保持する機能Fとを備え、前記ネットワークの各端末はそれぞれ前記機能Aを実行していると共に適宜前記機能Bを実行し、いずれか一の端末による前記機能Cの実行に対して、他の端末が前記機能D、E及びFを実行し、その際の前記機能Eの実行においてM>Nとなった場合の前記他の端末による機能Fでの情報送信に対して、前記一の端末が前記機能D、E及びFを実行することを特徴とするグループ無線通信ネットワークシステムに係る。
【0041】
この発明も、第1及び第2の発明と同様に、単信方式のグループ無線通信ネットワークを構成する各端末(無線通信機)がそれぞれ共通な機能を備え、ネットワークチャネルから逸れた端末が発生しても、通信が実行される中で各端末の機能が相互に共働し合うことによりネットワークへ復帰させるものである。
ネットワークを構成する各端末は送受信部として変調送信部と受信復調部を備えているが、その受信復調部は受信モードにおいてネットワークで使用可能な全チャネルと周波数制御チャネルを巡回走査しており、G-IDが検出されて通話信号の再生する場合や所要情報の取得と対応処理を実行する場合にはその巡回走査は停止される。
【0042】
この発明におけるネットワークでは、現在使用中のネットワークチャネルに混信が生じた場合などには、一の端末が周波数制御チャネルでG-ID・CH-CCRを送信する一方、他の端末が受信復調部の巡回走査過程でそれを受信復調し、自機の送受信チャネルをCH-CCRで指定されたチャネルへ変更することでネットワークチャネルが変更される。
そして、ネットワークの各端末では、機能Aにより、G-ID・CH-CCRの送信/受信がある度にそれを検出し、その送受信回数を逐次インクリメント方式でカウントしてそのカウント値情報を更新記憶する。
【0043】
一方、各端末は、機能Bにより、PTTボタン等の指示操作に基づく通常の送信モードで現状設定チャネルを使用したG-IDと通話信号の送信を行うが、それとは別に、機能C及び機能Fによる送信モードでの周波数制御チャネルを使用した制御情報の送信も行う。
機能Cの送信モードでは、受信モードにおいて受信復調部が所定時間に亘ってG-IDの受信復調信号が検出されなかった場合、すなわち、所定時間継続してグループの他の端末からの受信がなく、自機が逸れ端末の状態にあることが疑われる場合には、一時的に現状設定チャネルを周波数制御チャネルに切り替えた自動送信モードを設定し、G-IDと現状設定チャネル情報と前記カウント値情報(自機におけるG-ID・CH-CCRの送受信検出回数)を送信して他の端末へ伝達する。
なお、この場合の「所定時間」は、各端末において自機が逸れ端末になった可能性があると想定される無通信時間として決定されるものであり、ネットワークの通信頻度に応じて定めればよい。
【0044】
これは、第1及び第2の発明においては、受信復調部が通信用チャネルの走査方式になっているために、通話信号の送信がある都度、制御情報を付加して送信することで各端末に伝達されるシステムになっているが、この発明では受信復調部が通信用チャネルと周波数制御チャネルを走査する方式になっており、制御情報の送信は特定小電力無線で頻繁に使用される周波数制御チャネルを使用して行うため、逸れ端末の発生が予測される条件下でのみ前記カウント値情報が伝達されるようにしている。
また、送信される制御情報にはG-IDと前記カウント値情報だけでなく自機の現状設定チャネル情報も含まれるが、これは、第1及び第2の発明では制御情報を現状設定チャネルで送信しているために受信チャネルから送信元端末の現状設定チャネルが確認できるのに対して、この発明では制御情報が周波数制御チャネルで送信されるため、現状設定チャネルを具体的に情報として示す必要があるからである。
【0045】
機能Dは受信モードでの機能に係る。
受信復調部がその巡回走査過程の現状設定チャネルでG-IDを含む信号を受信復調した場合は、その送信元端末はグループに属した端末で且つ自機と同一の現状設定チャネルが設定されたものであり、同送信元端末が機能Bで送信した通話信号の受信であるため、その現状設定チャネルがネットワークチャネルであるかどうかはともかく、受信復調部が復調した通話信号を再生する。

一方、一の端末が所定時間に亘ってG-IDの受信復調信号を検出せず、機能CによりG-IDと自機の現状設定チャネル情報とカウント値情報を周波数制御チャネルで送信した場合、他の端末では機能Dによりその受信復調部が周波数制御チャネルの巡回走査過程でそれらの制御信号を受信復調して更新記憶する。
したがって、他の端末(受信側端末)では、機能Aにより更新記憶している自機のカウント値情報(M)と、機能Dにより更新記憶した一の端末(送信側端末)のカウント値情報(N)を有することになるが、機能Eによりそれらのカウント値情報を比較する。
【0046】
その場合、各端末では、ネットワーク内に留まっている期間が長いほどネットワークチャネルの変更に係るカウント値が大きくなり、逆に、ネットワークチャネルから逸れた期間が長くなるとネットワークチャネルの変更時に立ち会えずにカウント値が小さくなる傾向があり、逸れることなくネットワーク内に留まっていた端末は当然に最大のカウント値情報を記憶していることから、端末で更新記憶しているカウント値が大きいほどその送受信部が現状のネットワークチャネルに設定されている推定確率が高く、また逸れ端末である推定確率は低いということが言える。
【0047】
この発明では、その事情を合理的に利用し、機能Eでのカウント値情報の比較結果に基づいて、機能Fによる対応処理が実行される。
M>Nの場合は、他の端末の方が一の端末よりも現状のネットワークチャネルに設定されている推定確率が高いため、他の端末は、一の端末の設定チャネルを自機のチャネルに変更するべく、一時的に送信変調部を現状設定チャネルから周波数制御チャネルに切り替えた自動送信モードを設定して、G-IDと自機の現状設定チャネル情報とカウント値情報(M回)を送信する。
そして、他の端末からの前記送信情報はネットワーク内の各端末の受信復調部が周波数制御チャネルを走査した段階で受信復調されるが、一の端末においては、機能D及びEに基づいて、自機のカウント値情報(N回)と復調したカウント値情報(M回)を比較することになる。
その場合、一の端末からみると次述のN>Mの場合の対応処理でNとMが逆転した関係となり、機能Fに基づいて、一の端末の通信チャネルが他の端末の現状設定チャネル情報に変更され、併せて一の端末でのカウント値情報(N回)も他の端末でのカウント値情報(M回)に書き替えられる。
したがって、一の端末が逸れ端末であって、他の端末の送受信部がネットワークチャネルである場合には、一の端末の送受信部がネットワークチャネルへ変更されてネットワークに復帰できることになり、また、双方の端末が逸れ端末である場合には、自機のカウント値情報が大きい方の端末の設定チャネルとカウント値情報に揃えられることになる。
なお、ネットワークとしてみると、複数の他の端末による応答送信が重複することになるが、キャリアセンスが要求される場合は最先に送信可となった端末だけが応答送信可能となる。
【0048】
N>Mの場合は、前記とは逆に他の端末よりも一の端末の方がネットワークチャネルに設定されている推定確率が高いため、他の端末は、受信復調して更新記憶している情報を用いて、自機の送受信チャネルを一の端末側の現状設定チャネルに変更し、併せて自機でのカウント値情報(M回)を一の端末側のカウント値情報(N回)に書き替えておくことにより、自機を形式的に一の端末と同一の履歴状態にしておく。
【0049】
N=Mの場合については、一の端末と他の端末の現状設定チャネルが共にネットワークチャネルである場合、又は一の端末と他の端末がたまたま逸れ状態にあってG-ID・CH-CCRの送受信回数が同一であった場合に相当するが、前者の場合については関与する必要がなく、後者の場合は逸れ端末状態を解消させる術がないため逸れ状態にない端末との通信機会を待たざるを得ず、結局のところ、対応処理としては何もしないことになることになる。
【0050】
以上のネットワークの構成端末が有する機能を前提として、各端末がそれぞれ機能Aを実行している中で、いずれか一の端末による機能Bの実行に対して、他の端末が機能C、D及びEを実行し、その際の機能Dの実行においてM>Nとなった場合の他の端末による機能Eでの情報送信に対して、一の端末が機能C、D及びEを実行することにより、通話通信が実行される中で、各端末の通信チャネルは常に更新記憶しているカウント値情報が大きい方の端末の現状設定チャネルに揃えられるため、カウント値情報が小さい傾向にある逸れ端末は必然的にネットワークチャネルに復帰できることになる。
【0051】
前記ネットワークの各端末の機能Cにおいては、前記受信復調部が所定時間に亘って前記G-IDを含む受信復調信号を検出しない場合に、自機が逸れ端末状態にある可能性が高いことを表示手段に表示させる動作及び/又は前記状態にあることを音声出力手段により所定音を出力させて通知する動作をも併せて実行することが望ましい。
【0052】
なお、この第3の発明に係る前記グループ無線通信ネットワークシステムに適用できる無線通信機としては、次のような構成にすることができる。
単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末として、変調送信部並びに周波数制御チャネル及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、前記変調送信部からグループ識別信号(以下、「G-ID」という)と変更先チャネル指定を伴うチャネル変更要求信号(以下、「CH-CCR」という)を前記周波数制御チャネルで送信する一方、前記受信復調部の巡回走査過程で他の端末から前記周波数制御チャネルで送信された前記G-IDと前記CH-CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CH-CCR」という)を受信することによりネットワークチャネルの変更を可能にする無線通信機であって、前記G-ID・CH-CCRの送受信回数をインクリメント方式でカウントしてそのカウント値情報を更新記憶する計数記憶手段と、所定の指示操作により通常の送信モードを設定して前記G-IDと通話信号を送信する通常送信手段と、受信モードにおいて、前記受信復調部が所定時間に亘って前記G-IDを含む受信復調信号を検出しない場合に、一時的に前記送信変調部を前回の通信の使用チャネル(但し、周波数制御チャネルを除く)である現状設定チャネルから前記周波数制御チャネルに切り替えた送信モードを自動設定して、前記G-IDと前記現状設定チャネル情報と前記計数記憶手段のカウント値情報を送信する情報送信手段と、受信モードにおいて、前記受信復調部が前記現状設定チャネルで前記G-IDを含む信号を受信復調した場合に、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する通話再生手段と、受信モードにおいて、前記周波数制御チャネルで前記G-IDを含む信号を受信復調した場合に、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、さらにその復調信号に含まれている送信元端末での現状設定チャネル情報とカウント値情報を検出する情報検出手段と、前記情報検出手段が検出した送信元端末での現状設定チャネル情報とカウント値情報を更新記憶する情報記憶手段と、前記情報記憶手段により情報の更新記憶がなされる度に、前記計数記憶手段が更新記憶している自機の前記カウント値情報(M回)と前記情報記憶手段が更新記憶した前記送信元端末でのカウント値情報(N回)を比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果、M>Nの場合には、前記変調送信部を一時的に現状設定チャネルから周波数制御チャネルへ変更した送信モードを設定して、前記G-IDと現状設定チャネル情報と前記計数記憶手段のカウント値情報(M回)を送信し、N>Mの場合には、前記現状設定チャネルを前記情報記憶手段の受信チャネル情報が示すチャネルに変更すると共に、前記計数記憶手段のカウント値情報(M回)を前記情報記憶手段のカウント値情報(N回)に書き替え、M=Nの場合には、何も実行せず現状を保持する対応処理手段とを具備したことを特徴とする無線通信機。
【0053】
<<第4の発明>>
第4の発明は、単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末である無線通信機が、変調送信部並びに周波数制御チャネル及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、一の端末がグループ識別信号(以下、「G-ID」という)と変更先チャネル指定を伴うチャネル変更要求信号(以下、「CH-CCR」という)を前記周波数制御チャネルで送信する一方、他の端末が前記受信復調部による前記周波数制御チャネルの走査段階で前記G-IDと前記CH-CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CH-CCR」という)を受信することにより、ネットワークチャネルの変更が行われるグループ無線通信ネットワークシステムにおいて、前記ネットワークの各端末が、前記G-ID・CH-CCRの送受信が検出された時にその検出時刻情報を更新記憶する機能Aと、所定の指示操作により通常の送信モードを設定して前記G-IDと通話信号を送信する機能Bと、受信モードにおいて、前記受信復調部が所定時間に亘って前記G-IDを含む受信復調信号を検出しない場合に、一時的に前記送信変調部を前回の通信の使用チャネル(但し、周波数制御チャネルを除く)である現状設定チャネルから前記周波数制御チャネルに切り替えた送信モードを自動設定して、前記G-IDと前記現状設定チャネル情報と前記機能Aにより更新記憶されている検出時刻情報を送信する機能Cと、受信モードにおいて、前記受信復調部が前記現状設定チャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する一方、前記周波数制御チャネルの走査段階で前記G-IDを含む信号を受信復調した場合には、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、さらにその復調信号に含まれている送信元端末での現状設定チャネル情報とカウント値情報を検出して更新記憶する機能Dと、前記機能Dにより情報の更新記憶がなされる度に、前記機能Aにより更新記憶している自機の検出時刻情報(T1)と前記機能Dにより更新記憶した前記送信元端末での検出時刻情報(T2)を比較する機能Eと、前記機能Eによる比較の結果、T1がT2より後の場合には、前記変調送信部を一時的に現状設定チャネルから前記周波数制御チャネルへ変更した送信モードを自動設定して、前記G-IDと自機の現状設定チャネル情報と検出時刻情報(T1)を送信し、T2がT1より後の場合には、自機の前記現状設定チャネルを前記送信元端末での現状設定チャネルに変更すると共に、自機の前記検出時刻情報(T1)を前記送信元端末での検出時刻情報(T2)に書き替え、T1とT2が同時である場合には、何も実行せず現状を保持する機能Fとを備え、前記ネットワークの各端末はそれぞれ前記機能Aを実行していると共に適宜前記機能Bを実行し、いずれか一の端末による前記機能Cの実行に対して、他の端末が前記機能D、E及びFを実行し、その際の前記機能Eの実行においてT1がT2より後となった場合の前記他の端末による機能Fでの情報送信に対して、前記一の端末が前記機能D、E及びFを実行することを特徴とするグループ無線通信ネットワークシステムに係る。
【0054】
この発明も、第1及び第2の発明と同様に、単信方式のグループ無線通信ネットワークを構成する各端末(無線通信機)がそれぞれ共通な機能を備え、ネットワークチャネルから逸れた端末が発生しても、通信が実行される中で各端末の機能が相互に共働し合うことによりネットワークへ復帰させるものである。
ネットワークを構成する各端末は送受信部として変調送信部と受信復調部を備えているが、その受信復調部は受信モードにおいてネットワークで使用可能な全チャネルと周波数制御チャネルを巡回走査しており、G-IDが検出されて通話信号の再生する場合や所要情報の取得と対応処理を実行する場合にはその巡回走査は停止される。
【0055】
この発明におけるネットワークでは、現在使用中のネットワークチャネルに混信が生じた場合などには、一の端末が周波数制御チャネルでG-ID・CH-CCRを送信する一方、他の端末が受信復調部の巡回走査過程でそれを受信復調し、自機の送受信チャネルをCH-CCRで指定されたチャネルへ変更することでネットワークチャネルが変更される。
そして、ネットワークの各端末では、機能Aにより、G-ID・CH-CCRの送信/受信がある度にそれを検出し、その検出時刻情報を更新記憶する。
【0056】
一方、各端末は、機能Bにより、PTTボタン等の指示操作に基づく通常の送信モードで現状設定チャネルを使用したG-IDと通話信号の送信を行うが、それとは別に、機能C及び機能Fによる送信モードでの周波数制御チャネルを使用した制御情報の送信も行う。
機能Cの送信モードでは、受信モードにおいて受信復調部が所定時間に亘ってG-IDの受信復調信号が検出されなかった場合、すなわち、所定時間継続してグループの他の端末からの受信がなく、自機が逸れ端末の状態にあることが疑われる場合には、一時的に現状設定チャネルを周波数制御チャネルに切り替えた自動送信モードを設定し、G-IDと現状設定チャネル情報と前記検出時刻情報(自機におけるG-ID・CH-CCRの送受信検出時刻)を送信して他の端末へ伝達する。
なお、この場合の「所定時間」は、各端末において自機が逸れ端末になった可能性があると想定される無通信時間として決定されるものであり、ネットワークの通信頻度に応じて定めればよい。
【0057】
これは、第1及び第2の発明においては、受信復調部が通信用チャネルの走査方式になっているために、通話信号の送信がある都度、制御情報を付加して送信することで各端末に伝達されるシステムになっているが、この発明では受信復調部が通信用チャネルと周波数制御チャネルを走査する方式になっており、制御情報の送信は特定小電力無線で頻繁に使用される周波数制御チャネルを使用して行うため、逸れ端末の発生が予測される条件下でのみ前記検出時刻情報が伝達されるようにしている。
また、送信される制御情報にはG-IDと前記検出時刻情報だけでなく自機の現状設定チャネル情報も含まれるが、これは、第1及び第2の発明では制御情報を現状設定チャネルで送信しているために受信チャネルから送信元端末の現状設定チャネルが確認できるのに対して、この発明では制御情報が周波数制御チャネルで送信されるため、現状設定チャネルを具体的に情報として示す必要があるからである。
【0058】
機能Dは受信モードでの機能に係る。
受信復調部がその巡回走査過程の現状設定チャネルでG-IDを含む信号を受信復調した場合は、その送信元端末はグループに属した端末で且つ自機と同一の現状設定チャネルが設定されたものであり、同送信元端末が機能Bで送信した通話信号の受信であるため、その現状設定チャネルがネットワークチャネルであるかどうかはともかく、受信復調部が復調した通話信号を再生する。
一方、一の端末が所定時間に亘ってG-IDの受信復調信号を検出せず、機能CによりG-IDと自機の現状設定チャネル情報と検出時刻情報を周波数制御チャネルで送信した場合、他の端末では機能Dによりその受信復調部が周波数制御チャネルの巡回走査過程でそれらの制御信号を受信復調して更新記憶する。
したがって、他の端末では、機能Aにより更新記憶している自機の検出時刻情報(T1)と、機能Dにより更新記憶した一の端末の検出時刻情報(T2)を有することになるが、機能Eによりそれらの検出時刻情報を比較する。
【0059】
その場合、時間的により遅いネットワークチャネルの変更時にネットワークに属している端末ほど、現状でのネットワークチャネルに設定されている推定確率が高く、また逆に逸れ端末である推定確率は低いということが言える。
【0060】
この発明では、その事情を合理的に利用し、機能Eでの検出時刻情報の比較結果に基づいて、機能Fによる対応処理が実行される。
T1がT2より後の場合は、他の端末の方が一の端末よりも現状のネットワークチャネルに設定されている推定確率が高いため、他の端末は、一の端末の設定チャネルを自機のチャネルに変更するべく、一時的に送信変調部を現状設定チャネルから周波数制御チャネルに切り替えた自動送信モードを設定して、G-IDと自機の現状設定チャネル情報と検出時刻情報(T1)を送信する。
そして、他の端末からの前記送信情報はネットワーク内の各端末の受信復調部が周波数制御チャネルを走査した段階で受信復調されるが、一の端末においては、機能D及びEに基づいて、自機の検出時刻情報(T2)と復調した検出時刻情報(T1)を比較することになる。
その場合、一の端末からみると、受信復調した他の端末の検出時刻情報(T1)の方が自機の検出時刻情報(T2)より後になるため、次述のT2がT1より後の場合の対応処理でT2とT1が逆転した関係となり、機能Fに基づいて、一の端末の通信チャネルが他の端末の現状設定チャネル情報に変更され、併せて一の端末での検出時刻情報(T2)も他の端末での検出時刻情報(T1)に書き替えられる。
したがって、一の端末が逸れ端末であって、他の端末の送受信部がネットワークチャネルである場合には、一の端末の送受信部がネットワークチャネルへ変更されてネットワークに復帰できることになり、また、双方の端末が逸れ端末である場合には、自機の検出時刻情報がより後の方の端末の設定チャネルと検出時刻情報に揃えられることになる。
なお、ネットワークとしてみると、複数の他の端末による応答送信が重複することになるが、キャリアセンスが要求される場合は最先に送信可となった端末だけが応答送信可能となる。
【0061】
T2がT1より後の場合は、前記とは逆に他の端末よりも一の端末の方がネットワークチャネルに設定されている推定確率が高いため、他の端末は、受信復調して更新記憶している情報を用いて、自機の通信チャネルを一の端末側の現状設定チャネルに変更し、併せて自機での検出時刻情報(T1)を一の端末側の検出時刻情報(T2)に書き替えておくことにより、自機を形式的に一の端末と同一の履歴状態にしておく。
【0062】
T1とT2が同時の場合については、一の端末と他の端末の現状設定チャネルが共にネットワークチャネルである場合、又は一の端末と他の端末がたまたま逸れ状態にあってG-ID・CH-CCRの検出時刻情報が同一であった場合に相当するが、前者の場合については関与する必要がなく、後者の場合は逸れ端末状態を解消させる術がないため逸れ状態にない端末との通信機会を待たざるを得ず、結局のところ、対応処理としては何もしないことになることになる。
【0063】
以上のネットワークの構成端末が有する機能を前提として、各端末がそれぞれ機能Aを実行している中で、いずれか一の端末による機能Bの実行に対して、他の端末が機能C、D及びEを実行し、その際の機能Dの実行においてM>Nとなった場合の他の端末による機能Eでの情報送信に対して、一の端末が機能C、D及びEを実行することにより、通話通信が実行される中で、各端末の通信チャネルは常に更新記憶しているカウント値情報が大きい方の端末の現状設定チャネルに揃えられるため、カウント値情報が小さい傾向にある逸れ端末は必然的にネットワークチャネルに復帰できることになる。
【0064】
前記ネットワークの各端末の機能Cにおいては、前記受信復調部が所定時間に亘って前記G-IDを含む受信復調信号を検出しない場合に、自機が逸れ端末状態にある可能性が高いことを表示手段に表示させる動作及び/又は前記状態にあることを音声出力手段により所定音を出力させて通知する動作をも併せて実行することが望ましい。
【0065】
なお、この第4の発明に係る前記グループ無線通信ネットワークシステムに適用できる無線通信機としては、次のような構成にすることができる。
単信方式のグループ無線通信ネットワークにおける共通構成の端末として、変調送信部並びに周波数制御チャネル及び前記ネットワークで使用可能な全チャネルを巡回走査する受信復調部を備え、前記変調送信部からグループ識別信号(以下、「G-ID」という)と変更先チャネル指定を伴うチャネル変更要求信号(以下、「CH-CCR」という)を前記周波数制御チャネルで送信する一方、前記受信復調部の巡回走査過程で他の端末から前記周波数制御チャネルで送信された前記G-IDと前記CH-CCR(以下、両信号を合わせて「G-ID・CH-CCR」という)を受信することによりネットワークチャネルの変更を可能にする無線通信機であって、前記G-ID・CH-CCRの送受信が検出された時にその検出時刻情報を更新記憶する時刻記憶手段と、所定の指示操作により通常の送信モードを設定して前記G-IDと通話信号を送信する通常送信手段と、受信モードにおいて前記受信復調部が所定時間に亘って前記G-IDを含む受信復調信号を検出しない場合に、一時的に前記送信変調部を前回の通信の使用チャネル(但し、周波数制御チャネルを除く)である現状設定チャネルから前記周波数制御チャネルに切り替えた送信モードを自動設定して、前記G-IDと前記現状設定チャネル情報と前記時刻記憶手段の検出時刻情報を送信する情報送信手段と、受信モードにおいて、前記受信復調部が前記現状設定チャネルで前記G-IDを含む信号を受信復調した場合に、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、通話信号を受信復調して音声再生する通話再生手段と、受信モードにおいて、前記周波数制御チャネルで前記G-IDを含む信号を受信復調した場合に、同チャネルで前記巡回走査を一時的に停止させた状態で、さらにその復調信号に含まれている送信元端末での現状設定チャネル情報と検出時刻情報を検出する情報検出手段と、前記情報検出手段が検出した送信元端末での現状設定チャネル情報と検出時刻情報を更新記憶する情報記憶手段と、前記情報記憶手段により情報の更新記憶がなされる度に、前記時刻記憶手段が更新記憶している自機での検出時刻情報(T1)と前記情報記憶手段が更新記憶した前記送信元端末での検出時刻情報(T2)を比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果、T1がT2より後の場合には、前記変調送信部を一時的に現状設定チャネルから周波数制御チャネルへ変更した送信モードを設定して、前記G-IDと現状設定チャネル情報と前記時刻記憶手段の検出時刻情報(T1)を送信し、T2がT1より後の場合には、前記現状設定チャネルを前記情報記憶手段の受信チャネル情報が示すチャネルに変更すると共に、前記時刻記憶手段の検出時刻情報(T1)を前記情報記憶手段の検出時刻情報(T2)に書き替え、T1とT2が同時である場合には、何も実行せず現状を保持する対応処理手段とを具備したことを特徴とする無線通信機。
【発明の効果】
【0066】
本発明は、単信方式によるグループ無線通信ネットワークにおいて、同ネットワークでの使用チャネルが変更された際に圏外に所在したり、電源がOFF状態にあった等の理由で新しい使用チャネルへ移行できずに、一部の端末がネットワークから逸れた状態になっても、各端末がネットワークチャネルの変更のカウント値情報やその変更の検出時刻情報を更新記憶しており、通信の中でそれらの情報を用いた所定のアルゴリズムが実行されることにより、逸れた端末の送受信チャネルを自動的にネットワークでの現状使用チャネルに切り替えさせて、ネットワークへの迅速且つ円滑な復帰を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】実施形態に係る無線通信機のブロック図である。
図2】特定小電力無線局が単信方式の無線通信で使用可能な周波数とそのチャネル番号の一覧表である。楕円で囲んだ番号のチャネルは実施形態でのネットワークにおいて選択使用されるチャネルであり、チャネル番号31(CH31)は周波数制御チャネルである。
図3】グループ無線通信ネットワークで使用される通信フレームフォーマット図の一例である。
図4】実施形態1及び2における無線通信機(各端末)の受信復調部RX1の巡回走査方式を現状設定チャネル別に示した図である。
図5】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図6】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図7】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図8】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図9】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図10】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図11】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図12】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図13】実施形態1において、ネットワークの構成端末である無線通信機によるG-ID・CCR(グループ識別信号・チャネル変更要求信号)の送受信検出回数のカウント手順を示すフローチャートである。
図14】実施形態1において、ネットワークの構成端末である無線通信機による送信モードでの動作実行手順を示すフローチャートである。
図15A】実施形態1において、ネットワークの構成端末である無線通信機による受信モードでの動作実行手順を示すフローチャートである。
図15B図15AのステップS30での動作実行手順の詳細を示すフローチャートである。
図16】実施形態1において、ネットワーク側端末からの送信を開始イベントとして逸れ端末をネットワークへ自動復帰させる場合の開始状態を示すネットワークの簡略構成図である。
図17】実施形態1において、逸れ端末側からの送信を開始イベントとして同逸れ端末をネットワークへ自動復帰させる場合の開始状態を示すネットワークの簡略構成図である。
図18】実施形態1において、逸れ端末がネットワークへ復帰した状態を示すネットワークの簡略構成図である。
図19】実施形態1において、逸れ端末がネットワークへ復帰した後の通信状態を示すネットワークの簡略構成図である。
図20】実施形態2において、ネットワークの構成端末である無線通信機によるG-ID・CCRの送受信に係る検出時刻情報を更新記憶する手順を示すフローチャートである。
図21】実施形態2において、ネットワークの構成端末である無線通信機による送信モードでの動作実行手順を示すフローチャートである。
図22A】実施形態2において、ネットワークの構成端末である無線通信機による受信モードでの動作実行手順を示すフローチャートである。
図22B図22AのステップS70での動作実行手順の詳細を示すフローチャートである。
図23】実施形態2において、ネットワーク側端末からの送信を開始イベントとして逸れ端末をネットワークへ自動復帰させる場合の開始状態を示すネットワークの簡略構成図である。
図24】実施形態2において、逸れ端末側からの送信を開始イベントとして同逸れ端末をネットワークへ自動復帰させる場合の開始状態を示すネットワークの簡略構成図である。
図25】実施形態2において、逸れ端末がネットワークへ復帰した状態を示すネットワークの簡略構成図である。
図26】実施形態3及び4における無線通信機(各端末)の受信復調部RX1の巡回走査方式を現状設定チャネル別に示した図である。
図27】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図28】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図29】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図30】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図31】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図32】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図33】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図34】単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図である。
図35】実施形態3において、ネットワークの構成端末である無線通信機によるG-ID・CH-CCR(グループ識別信号・変更先チャネル指定を伴うチャネル変更要求信号)の送受信検出回数のカウント手順を示すフローチャートである。
図36】実施形態3において、ネットワークの構成端末である無線通信機による送信モードでの動作実行手順を示すフローチャートである。
図37A】実施形態3において、ネットワークの構成端末である無線通信機による受信モードでの動作実行手順(但し、ステップS117-S119及びステップS122中では自動送信モードでの割込み処理有り)を示すフローチャートである。
図37B図37AのステップS122での動作実行手順の詳細を示すフローチャートである。
図38】実施形態3において、ネットワーク側端末からの送信を開始イベントとして逸れ端末をネットワークへ自動復帰させる場合の開始状態を示すネットワークの簡略構成図である。
図39】実施形態3において、逸れ端末側からの送信を開始イベントとして同逸れ端末をネットワークへ自動復帰させる場合の開始状態を示すネットワークの簡略構成図である。
図40】実施形態3において、逸れ端末がネットワークへ復帰した状態を示すネットワークの簡略構成図である。
図41】実施形態4において、ネットワークの構成端末である無線通信機によるG-ID・CH-CCRの検出時刻情報を更新記憶する手順を示すフローチャートである。
図42】実施形態4において、ネットワークの構成端末である無線通信機による送信モードでの動作実行手順を示すフローチャートである。
図43A】実施形態4において、ネットワークの構成端末である無線通信機による受信モードでの動作実行手順(但し、ステップS177-S179及びステップS182中では自動送信モードでの割込み処理有り)を示すフローチャートである。
図43B図43AのステップS182での動作実行手順の詳細を示すフローチャートである。
図44】実施形態4において、ネットワーク側端末からの送信を開始イベントとして逸れ端末をネットワークへ自動復帰させる場合の開始状態を示すネットワークの簡略構成図である。
図45】実施形態4において、逸れ端末側からの送信を開始イベントとして同逸れ端末をネットワークへ自動復帰させる場合の開始状態を示すネットワークの簡略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、本発明の無線通信ネットワークシステム及び無線通信機の実施形態について、図面を用いながら詳細に説明する。
先ず、図1は下記実施形態に係る業務用無線通信機のブロック図であり、同無線通信機は図5以降における単信方式のグループ無線通信ネットワークの簡略構成図においてネットワークの構成端末51~55,61~65となる。
【0069】
この無線通信機の受信系は、アンテナ11、受信復調部RX1、増幅器12及びスピーカ(又はイヤホン)13で構成されており、アンテナ11で受信した電波の信号は受信復調部RX1に入力され、受信復調部RX1では制御された設定チャネルの受信信号を取り込むと共に、その受信信号を復調して、スケルチ機能が開いていることを条件に増幅器12へ出力し、増幅器12で復調信号が増幅されてスピーカ(又はイヤホン)13で音声再生される。
【0070】
受信復調部RX1でのチャネル制御はシステム制御部10によって実行されるが、受信モードにおいて、下記実施形態1及び2では、上記非特許文献1において特定小電力無線局/無線電話用無線設備で使用可能とされている図2のチャネル番号20~30及び41~49のチャネルから選択した5つのチャネル(チャネル番号で21,25,28,43,49)を巡回走査する方式で制御され、また、下記実施形態3及び4では、前記5つのチャンネルと制御情報の送受信用の周波数制御チャネル(チャネル番号で31)を合わせた6つのチャネルを巡回走査する方式で制御される一方、グループ識別信号を検出して通話信号や情報信号の復調を行う際には、前記巡回走査をその検出したチャネルで停止せしめ、その停止状態でスケルチ機能を開いて復調信号を増幅器12へ出力させる。
なお、巡回走査における具体的なチャネルの並び順序などについては各実施形態で詳述する。
【0071】
一方、この無線通信機の送信系は、マイクロホン15、増幅器16、変調送信部TX1、増幅器17及びアンテナ18からなる。
マイクロホン15の音声信号が増幅器16で増幅されて変調送信部TX1へ出力され、変調送信部TX1では搬送波を音声信号で変調して増幅器17へ出力し、増幅器17で電力増幅された変調後の搬送波信号がアンテナ18から無線送信される。
この送信系に係る送信チャネル等の制御もシステム制御部10によって行われる。
【0072】
システム制御部10は、操作部19のPTTボタンや各種キーからの指示入力や受信復調した各種信号の検出をイベントとして内蔵プログラムを実行することで受信復調部RX1や変調送信部TX1を制御する。また、システム制御部10は、増幅器12,16,17や液晶表示部20などを含むシステム全体の制御も担っており、下記の各実施形態での制御に際してはカウンタ21やメモリ22を用いて各種データを更新記憶しながら対応処理を実行する。
【0073】
図3は下記の各実施形態におけるグループ無線通信ネットワークで使用される通信フレームフォーマット図の一例である。
送信側端末では同フォーマットに組み込まれた音声信号部のベースバンド信号によりMSK(Minimum Shift Keying)等で変調した変調波を送信し、受信側端末ではその変調波に係る受信信号を復調して音声信号を再生する一方、音声信号に先行して受信するデータペイロードの各情報信号が分離検出されてシステム制御部10による動作制御のためのデータとされる。
データペイロードには自機識別信号(以下、「自機ID」という)や送受信チャネル情報信号がセットされていると共に、グループ識別信号(以下、「G-ID」という)とチャネル変更要求信号(以下、「CCR」という)又は変更先チャネル指定を伴うチャネル要求信号(以下、「CH-CCR」という)がセットされるようになっている。
また、下記の実施形態1及び2では、音声信号部の後にCCR又はCH-CCRの送受信回数に係るカウント値情報や送受信時刻情報に係る信号を付加するようになっている。
【0074】
<<実施形態1>>
この実施形態は図1の無線通信機とそれを構成端末とするグループ無線通信ネットワークシステムに係り、ここでは図5に示すように5台の端末51~55で構成される単信方式のグループ無線通信ネットワークを想定する。
なお、図5に代表されるネットワークの簡略構成図において、各端末51~55における「TX1-CH21」は変調送信部TX1が図2のCH21のチャネルに設定されている状態を、「RX1-SCAN」は受信復調部RX1がチャネルの巡回走査を実行している状態を示す。また、後のネットワークの簡略構成図で表現される「RX1-CH21」は受信復調部RX1が巡回動作を停止してCH21のチャネルに設定されている状態を示す。
なお、ハッチングを施していないモジュールはアクティブであり、ハッチングを施したモジュールはインアクティブであることを示しており、変調送信部TX1がアクティブな状態では受信復調部RX1はインアクティブとなる。
【0075】
この実施形態における各端末51~55の受信復調部RX1が実行する巡回走査については、図4の(1)から(5)に示すように、ネットワークで使用可能なチャネルとして選択した5つのチャネル(CH21,CH25,CH28,CH43,CH49)の内、現状設定チャネル(前回の通信チャネル)を優先させる方式を採用しており、現状設定チャネルの走査期間の間に他のチャネルの走査期間が順に介在するようになっている。
したがって、1チャネル当たりの走査時間を約100msecとすると、現状設定チャネルの合計走査時間が約400msec、他の4つのチャネルの合計走査時間が約400msecとなり、現状設定チャネルに対して他の各チャネルの4倍の走査時間が割り当てられている。
【0076】
このネットワークにおいて逸れ端末が発生する要因は、次のようなネットワーク状態の遷移による。
図5は、ネットワークチャネルがCH21で、全ての端末51~55が受信(待受)モードである状態を示し、各端末51~55の変調送信部TX1はCH21に設定されているがインアクティブ状態にあり、受信復調部RX1-SCANは図4の(1)に示す巡回走査を実行している。
【0077】
図5の状態からは、単信方式のネットワークであるため、例えば、図6に示すように、端末51がCH21でキャリアセンス(以下、「CS」という。)を実行して送信可であれば、変調送信部TX1-CH21をアクティブにしてG-IDと通話信号を送信すると、他の端末52~55では受信復調部RX1-SCANが図4の(1)の巡回走査におけるCH21の走査段階でG-IDを受信復調するため、図7に示すように、巡回走査をCH21で停止させて通話信号を復調する。
【0078】
ところで、送信モードへ移行して音声信号を送信しようとする端末は、前記のように常にその送信チャネルを受信復調部RX1に設定してCSを実行し、同チャネルに混信がないことが確認できなければ、変調送信部TX1をそのチャネルに設定した送信動作を行うことができない[平成元年郵政省告示第49号、令和3年総務省告示第308号及び上記非特許文献1における第1編1-10頁の(3)キャリアセンス]。
【0079】
図8は端末53の受信復調部RX1-CH21が前回の通信チャネルである現状設定チャネルCH21(ネットワークチャネルでもある)でCSを実行したが混信が生じている状態を示し、同端末53はCH21で送信を行うことができないため、受信復調部RX1を別のチャネルCH28に切り替えてCSを行う。
この別チャネルの選択については、任意にチャネルを選択してCSを行ってみるという方法であってもよいが、上記[背景技術]の欄に記載した本願出願人による特願2023-074015での提案のように、予めより良好な空きチャネルに優先順位を付けて候補チャネルとしておき、その順に選択してCSを行うような方法も採用できる。
【0080】
端末53は、CH28のCSで混信が無かった場合、図9に示すように、変調送信部TX1をCH28でアクティブにしてGIDとCCRを送信する。
一方、他の端末51,52,54,55は受信復調部RX1-SCANの巡回走査におけるCH28の走査段階でG-IDとCCRを受信復調することになるが、G-IDが所属グループの識別信号であり、CCRがチャネル変更要求であることに基づいて、図10に示すように、通信チャネルをCH21からG-IDとCCRの受信チャネルであるCH28へ変更する。
【0081】
その結果、図10に示すように、全ての端末51~55の通信チャネルがCH28に変更されてネットワークチャネルがCH28へ移行し、混信前のCH21の場合(図6及び図7)と同様に、各端末51~55は適宜変調送信部TX1-CH28をアクティブにして、通話信号を他の端末へ送信できることになる。
【0082】
ところで、図9の段階、すなわち端末53がCH28でG-IDとCCRを他の端末51,52,54,55へ送信する段階で、端末51,52,54,55のいずれかがたまたま圏外に位置していた場合や電源をOFFにしていた場合には、当然にその端末はG-IDとCCRを受信できず、ネットワークチャネルの変更に対応できていないことになる。
例えば、図11図9の段階で端末55が圏外等であった場合を示し、端末51,52,54は端末53からのG-IDとCCRを受信復調部RX1-SCANで受信できて自機の通信チャネルをCH28へ変更できるが、端末55はその機会を逸したことにより、図12に示すように、端末55だけがCH21のままで逸れ端末の状態となる。
したがって、端末55はたとえ圏内に戻ったとしても、また電源をONにしても、そのままでは他の端末51~54との通信を回復させることはできず、ネットワークに復帰できない。
【0083】
また、その場合において、端末51~54では、端末55からの通話が無い状態が継続しているだけでは同端末55がネットワークから逸れたと認識できず、また、逸れた端末55では、現状設定チャネルがCH21のままで他の端末51~54からの通話を受信しない状態が継続するとはいえ、通話が多くないネットワークでは相当に時間が経過しなければ自機が逸れ状態になったと認識できない。
【0084】
そこで、この実施形態での無線通信機は、前記グループ無線通信ネットワークにおける端末51~55に適用されることにより、逸れた端末が通信可能な圏内に戻り、又は圏内で電源をON状態に戻すだけで、常に自動的にネットワークへ戻って通信可能な状態に復帰できるようにする。
【0085】
まず、この実施形態の無線通信機(図1)では、グループ無線通信モードにおいて図13に示される手順を実行する。
先ず、操作部19からグループ無線通信モードが設定されると、システム制御部10はカウンタ21とメモリ22をリセットし(S1)、その後、自機の変調送信部TX1がG-IDとCCRを送信したかどうか、及び受信復調部RX1-SCANで他の端末からのG-IDとCCRを受信復調したかどうかを確認しており(S2,S3)、それが検出される度にカウンタ21のカウント値を+1インクリメントする動作を繰り返す(S4,S5→S2)。
【0086】
したがって、前記ネットワークの状態の遷移(図5から図10)を対照させると、図9の段階では、端末53が変調送信部TX1-CH28でG-IDとCCRを送信したことで同端末53のカウンタ21のカウント値が+1加算され、また端末51,52,54,55ではそれぞれの受信復調部RX1-SCANでG-IDとCCRを受信したことで各端末51,52,54,55のカウンタ21のカウント値が+1加算される。
しかし、図11のように、端末53が変調送信部TX1-CH28でG-IDとCCRを送信した時に、圏外に位置していたか電源をOFFにしていた端末55においてはG-IDとCCRを受信できていないため、カウンタ21のカウント値がインクリメントされていない。
すなわち、逸れ端末となった端末55は、図12に示すように、通信チャネルがCH21のままで他の端末51,52,54,55の通信チャネルCH28と異なっていると共に、カウンタ21のカウント値が他の端末51,52,54,55のカウンタ21のカウント値よりも小さい値になっている。
【0087】
この実施形態に係る無線通信機は、単信方式の無線通信ネットワークの構成端末として、逸れ端末が生じた場合に図13の実行手順で必然的に生じる前記カウント値の相違を利用して、図14図15A及び図15Bのフローチャートに示す手順を実行することにより、自他からを問わず逸れ端末を自動的にネットワークへ復帰させる。
先ず、図14は送信モードにおける通話信号の送信手順を示す。
受信モードにおいて、ネットワークの他の端末へ音声メッセージを送信するべく、操作部19のPTTボタンをONにして送信モードの設定があると直ちに割込みがかかり(S10,S11)、受信復調部RX1により現状設定チャネルでCSを実行させて、混信が無いことを条件に(以下、CSに係る手順の介在についての説明は省略する。)、変調送信部TX1によりG-ID等(G-ID以外に自機ID等も含む)を送信させた後、マイクロホン15からの入力音声信号でキャリア信号を変調して音声メッセージの送信を行う(S12,S13)。
【0088】
通常の無線通信機においては、音声メッセージの送信が終了してPTTボタンをOFFにすると、直ちに通信終了信号を送信して音声メッセージの送信が終ることになるが、この実施形態の無線通信機では、PTTボタンをOFFにした後に直ちには終了せず、カウンタ21の現状でのカウント値情報を読み出して付加信号として送信した後、通信終了信号を送信して割込み処理から抜けるようになっている(S14,S15,S16)。
【0089】
受信モードでは、前記送信モード設定による割込み処理がなければ、図15Aの手順を実行する。
先ず、受信復調部RX1は図4の(1)から(5)のいずれかの巡回走査を行っているが、その走査過程でG-IDが受信復調されるとその受信チャネルで走査動作を停止させる(S20~S22)。
そして、停止させたチャネルが自機の現状設定チャネルであれば、グループに属して同一の通信チャネルに設定されている他の端末が送信元であり、通常のグループ通信を実行すべき相手側端末であるので通話信号を音声再生し、通信終了信号を検出することで待受状態に戻る(S23:Y→S24,S25→S20)。
なお、この場合、受信端末である自機と送信元である相手側端末の現状設定チャネル(通信チャネル)は必ずしもネットワークチャネルであるとは限らず、双方とも逸れ端末である可能性もある。
【0090】
一方、停止させたチャネルが自機の現状設定チャネルではない場合(S23:N)は、送信元端末がグループに属してはいるが自機と現状設定チャネルが相違している状態であり、これは自機又は送信元端末のいずれかが逸れ端末である状態、又は双方が逸れ端末であってそれらの現状設定チャネルが相違している状態のいずれかに相当する。
この場合には、通話信号があればそれを復調して音声再生させると共に(S26,S27)、その通話信号の末尾に付加されているカウント値情報を受信復調する(S28)。
また、G-IDの検出で停止せしめられた受信復調部RX1のチャネル情報と共に、その復調されたカウント値情報をメモリ22に更新記憶させる(S29)。
なお、ステップ26では通話信号の無い場合も想定しているが、これは、他の端末からの図14のステップS11~S16による音声・情報信号の送信だけでなく、後述の図15Bにおいて送信モードを自動設定してG-ID等と音声情報の無い音声信号フレームの後にカウント値情報を送信する場合(S33~S36)があり、それを考慮したものである。
【0091】
そして、メモリ22のチャネル情報とカウント値情報が更新される度に、カウンタ21のカウント値情報(M回)とメモリ22の更新後のカウント値情報(N回)を比較し、その比較結果に応じて対応処理を行うことになる(S29,S30)。
これは、メモリ22のカウント値情報(N回)は送信元端末(すなわち、グループに属してはいるが、自機とは通信チャネルが相違している状態の端末)のカウント値情報に相当し、それを自機のカウンタ21のカウント値情報(M回)と比較することで、いずれの端末が逸れ端末としての推定確率が高いかを判定し、その結果に応じて対応処理を選択することになる。
【0092】
この比較結果と対応処理(S30)に係る具体的手順は図15Bに示される。
M>Nの場合:
送信モードが自動的に設定されて割込みがかかり、変調送信部TX1を現状設定チャネルとして、G-ID等とカウンタ21のカウント値情報(M回)を送信し、その終了により受信モードに自動復帰して割込み処理から抜ける(S31→S32~S36)。
N>Mの場合:
自機の現状設定チャネルをメモリ22に更新記憶されているチャネル情報に係るチャネルに変更すると共に、カウンタ21のカウント値情報(M回)をメモリ22のカウント値情報(N回)に書き替える(S31→S37→S38,S39)。
M=Nの場合:
何も実行せず、現状をそのまま保持する(S31→S40)。
【0093】
以上、単信方式のグループ無線通信ネットワークに適用される単一の無線通信機の観点からその機能について説明したが、次に、逸れ端末55が生じたネットワークの状態(図12)から如何にして逸れ端末55をグループネットワークに復帰させることができるかについて具体的に説明する。
【0094】
図16は、逸れ端末55以外の端末51~54の何れか(ここでは端末51)が送信モードとなって通話を行うことを開始イベントとして、逸れ端末55のネットワークへの復帰シーケンスが実行される場合に関するものである。
先ず、同図に示されるように、ネットワークチャネルはCH28であるが、逸れ端末55の現状設定チャネルはCH21である。
ここで、端末51が図14のステップS11~S16を実行し、送信モードに切り替えて変調送信部TX1-CH28からG-ID等と通話信号と共にカウンタ21のカウント値情報を付加して送信する。
それに対して、端末52~54では図15AのステップS20~S23を実行し、受信復調部RX1-SCANの現状設定チャネルCH28を優先した巡回走査[図4の(3)]の過程でG-IDが受信復調されると、その受信チャネルで走査動作を停止させるが、この場合、端末52~54と端末51の現状設定チャネルはネットワークチャネルCH28であるため、端末52~54において前記停止チャネルは現状設定チャネルCH28と同一である(S23:Y)。
したがって、端末52~54は図15AのステップS23→S24,S25→S20を実行することになり、受信復調部RX1が現状設定チャネルCH28で端末51からの通話信号を受信復調して再生し、通信終了信号を受信復調することで、受信復調部RX1を停止状態から巡回走査状態へ戻す。
【0095】
一方、逸れ端末55では、受信復調部RX1-SCANの現状設定チャネルCH21を優先した巡回走査[図4の(1)]におけるCH28の走査段階でG-ID等を受信復調してその走査動作を停止させるが(S20~S22)、この場合は停止チャネルC28と現状設定チャネルCH21が相違している(S23:N)。
したがって、逸れ端末55では図15AのステップS23:N→S26~S30を実行することになる。
すなわち、通話信号があれば(この場合は通話信号あり)それを受信復調して音声再生し、音声信号フレームに後続するカウント値情報を受信復調すると、受信チャネル情報(この場合はCH28)とカウント値情報をメモリ22に更新記憶させ、さらに、カウンタ21のカウント値情報(M)と更新記憶させたメモリ22のカウント値情報(N)を比較して、その比較結果に基づいて対応処理を行う。
【0096】
そして、逸れ端末55の場合には、自機のカウント値情報(M)よりも端末51のカウント値情報であるメモリ22のカウント値情報(N)の方が大きく、前記比較結果がN>Mの関係になっているため、図15AのステップS30では図15BのステップS31→S37~S39の手順が実行される。
したがって、逸れ端末55の現状設定チャネルCH21はメモリ22に更新記憶されている受信チャネル情報が示すチャネルCH28に変更され、カウンタ21のカウント値情報(M)もメモリ22のカウント値情報(N)に書き替えられて、通信チャネルとカウント値情報が端末51と同一状態になり、その結果、端末55は逸れ状態からグループ通信ネットワークに復帰することができる。
【0097】
次に、図17は、逸れ端末55側が送信モードとなって通話信号を送信することで、それが開始イベントとなってネットワークへの復帰シーケンスが実行される場合に関するものである。
先ず、同図に示されるように、ネットワークチャネルはCH28であるが、逸れ端末55の現状設定チャネルはCH21である。
この場合は、逸れ端末55が図14のステップS11~S16を実行し、送信モードに切り替えて変調送信部TX1-CH21からG-ID等と音声信号と共にカウンタ21のカウント値情報を付加して送信する。
【0098】
それに対して、受信モードの端末51~54は図15AのステップS20~S22を実行し、受信復調部RX1-SCANの現状設定チャネルCH28を優先した巡回走査[図4の(3)]の過程でG-IDが受信復調されるとその受信チャネルで走査動作を停止させるが、この場合は逸れ端末55の現状設定チャネルがCH21であるため、走査動作はCH21で停止せしめられる。
そして、この場合の端末51~54の現状設定チャネルはCH28であり、走査動作の停止チャネルCH21とは相違している(S23:N)。
【0099】
したがって、端末51~54は図15AのステップS23:N→S26~S30を実行し、受信チャネル情報と共に逸れ端末55からの音声信号に続いて受信復調されるカウント値情報をメモリ22に更新記録し、自機のカウンタ21のカウント値情報(M)とメモリ22のカウント値情報(N)を比較して、その比較結果に応じた対応処理を行う。
この場合、メモリ22のカウント値情報(N)は逸れ端末55に係るものであることからM>Nの関係になっており、端末51~54は図15AのステップS30で図15BのステップS31→S32~S36を実行することになる。
すなわち、端末51~54は、自動的に送信モードを設定し、割込みがかかった状態で変調送信部TX1-CH28から現状設定チャネル(CH28)でG-ID等とカウンタ21のカウント値情報(M)を送信して受信モードに復帰する。
ただし、実際には端末51~54の現状設定チャネル(CH28)での送信が競合するため、CSが最先に成立したいずれかの端末(以下、端末5Xという)だけが送信できることになる。
【0100】
一方、前記端末5Xからの情報送信に対して、今度は逆に逸れ端末55が図15AのステップS20~S22を実行する。
すなわち、受信復調部RX1-SCANの現状設定チャネルCH21を優先した巡回走査[図4の(1)]の過程でG-ID等が受信復調されると、その受信チャネルで走査動作を停止させるが、この場合は端末5Xの現状設定チャネルがCH28であるため、走査動作はCH28で停止せしめられる。
そして、この場合の逸れ端末55の現状設定チャネルはCH21であり、走査動作の停止チャネルCH28とは相違しているため(S23:N)、図15AのステップS23:N→S26~S30を実行することになる。
すなわち、逸れ端末55は端末5Xからのカウント値情報を受信復調すると受信チャネルCH28と共にそのカウント値情報をメモリ22に更新記憶させ、自機のカウンタ21のカウント値情報(M)とメモリ22に更新記憶したカウント値情報(N)とを比較して対応処理を実行することになる。
【0101】
前記比較の結果は、Mが逸れ端末のカウント値情報であることから、N>Mの関係となり、逸れ端末55では図15BのステップS31→S37~S39が実行され、現状設定チャネルCH21を端末5X側の現状設定チャネルであるメモリ22の受信チャネル情報が示すチャネルCH28に変更し、併せてカウンタ21のカウント値情報(M)をメモリ22のカウント値情報(N)に書き替えておく。
その結果、逸れ端末55はその通信チャネルがCH21からCH28に変更されて逸れ状態からグループネットワークに復帰でき、図18に示すように、全ての端末51~55の現状設定チャネル(通信チャネル)がネットワークチャネルCH28に設定された状態となり、各端末51~55の検出時刻情報も揃った状態になる。
そして、図19に示すように、ネットワーク内のいずれの端末(図では端末53)が送信端末になっても、他の端末(図では端末51,52,54,55)は受信復調部RX1-SCANの現状設定チャネルCH28を優先した巡回走査[図4の(3)]におけるCH28の走査段階でG-ID等を受信復調し、そのまま通話信号の再生状態へ移行することができる(図15AのS20~S25)。
【0102】
<<実施形態2>>
この実施形態は、前記実施形態1の場合と同様に、図1の無線通信機とそれを構成端末とするグループ無線通信ネットワークシステムに係るものであり、図5に示すような5台の端末51~55で構成される単信方式のグループ無線通信ネットワークを想定する。
また、この実施形態におけるネットワークで使用可能として選択された5つのチャネル、及び各端末51~55における受信復調部RX1-SCANの巡回走査条件に関しても実施形態1と同様である。
さらに、このネットワークにおける逸れ端末の発生要因についても、前記実施形態1において図5から図12を用いて説明した事情と同様である。
【0103】
この実施形態に係る無線通信機における実施形態1との相違は、グループ無線通信ネットワークの構成端末として、実施形態1がG-IDとCCRの送受信回数のカウント値情報の大小関係を逸れ端末としての推定確率の比較要素に用いているのに対し、G-IDとCCRの最新の送受信に係る検出時刻情報の先後関係を比較要素に用いる点にある。
これは、G-IDとCCRの最新の送受信時刻がより後である方がより間近までネットワーク内に留まっていたことになるため、逸れ端末である推定確率がより低いとみなし得ることに基づいている。
【0104】
したがって、実施形態1の無線通信機においては図13でG-IDとCCRの送受信回数をカウントする手順が示されているが、この実施形態では図20にG-IDとCCRの送受信に係る検出時刻情報を更新記憶する手順が示されている。
具体的には、操作部19からグループ無線通信モードが設定されると、システム制御部10はメモリ22をリセットし(S41)、その後、自機の変調送信部TX1がG-IDとCCRを送信したかどうか、及び受信復調部RX1-SCANで他の端末からのG-IDとCCRを受信復調したかどうかを検出しており(S42,S43)、その検出がある度に、システム制御部10が内蔵タイマーの時刻情報をメモリ22の[A]領域に検出時刻情報として更新記憶する動作を繰り返す(S44,S45→S42)。
【0105】
この実施形態におけるG-IDとCCRの送受信の検出時刻を更新記憶する方式によると、グループ無線通信ネットワークにおいて通信可能な状態にある端末にあっては、常にそのメモリ22の[A]領域にG-IDとCCRの送受信によるネットワークチャネルの変更に係る最新の検出時刻情報が更新記憶されるが、G-IDとCCRの送受信時に圏外に位置していたり電源をOFFにしていた逸れ端末においては、その記録が最新の検出時刻情報ではなくなる。
【0106】
この実施形態に係る無線通信機は、単信方式の無線通信ネットワークの構成端末として、逸れ端末が生じた場合に図20の実行手順で必然的に生じるメモリ22の[A]領域の検出時刻情報の相違を利用して、図21図22A及び図22Bのフローチャートに示す手順を実行することにより、自他からを問わず逸れ端末を自動的にネットワークへ復帰させる。
【0107】
先ず、図21は送信モードにおける信号の送信手順を示す。
受信モードにおいて、ネットワークの他の端末へ音声メッセージを送信するべく、操作部19のPTTボタンをONにして送信モードの設定があると直ちに割込みがかかり(S50,S51)、受信復調部RX1による現状設定チャネルでのCSの実行において混信が無いことを条件に、変調送信部TX1によりG-ID等を送信させた後、マイクロホン15からの入力音声信号でキャリア信号を変調して音声メッセージの送信を行う(S52,S53)。
【0108】
通常の無線通信機においては、音声メッセージの送信が終了してPTTボタンをOFFにすると、直ちに通信終了信号を送信して音声メッセージの送信が終ることになるが、この実施形態の無線通信機では、PTTボタンをOFFにした後に直ちには終了せず、メモリ22の[A]領域から検出時刻情報を読み出して付加信号として送信した後、通信終了信号を送信して割込み処理から抜けるようになっている(S54,S55,S56)。
【0109】
受信モードでは、前記送信モード設定による割込み処理がなければ、図22Aの手順を実行する。
先ず、受信復調部RX1は図4の(1)から(5)のいずれかの巡回走査を行っているが、その走査過程でG-IDが受信復調されるとその受信チャネルで走査動作を停止させる(S60~S62)。
そして、停止させたチャネルが自機の現状設定チャネルであれば、グループに属して同一の通信チャネルに設定されている他の端末が送信元であり、通常のグループ通信を実行すべき相手側端末であるので通話信号を音声再生し、通信終了信号を検出することで待受状態に戻る(S63:Y~S64,S65→S60)。
なお、この場合、受信端末である自機と送信元である相手側端末の現状設定チャネル(通信チャネル)は必ずしもネットワークチャネルであるとは限らず、双方とも逸れ端末である可能性もある。
【0110】
一方、停止させたチャネルが自機の現状設定チャネルではない場合(S63:N)は、送信元端末がグループに属してはいるが自機と送受信チャネルが相違している状態であり、これは自機又は送信元端末のいずれかが逸れ端末である状態、又は双方が逸れ端末であってそれらの現状設定チャネルが相違している状態のいずれかに相当する。
この場合には、通話信号があればそれを復調して音声再生させると共に(S66,S67)、その通話信号の末尾に付加されている検出時刻情報を受信復調する(S68)。
また、G-IDの検出で停止せしめられた受信復調部RX1のチャネル情報と共に、その復調された検出時刻情報をメモリ22の[B]領域に更新記憶させる(S69)。
なお、ステップ66では通話信号の無い場合も想定しているが、これは、他の端末からの図21のステップS51~S56による音声・情報信号の送信だけでなく、後述の図22Bにおいて送信モードを自動設定してG-ID等と音声情報の無い音声信号フレームの後にカウント値情報を送信する場合(S73~S76)があり、それを考慮したものである。
【0111】
そして、メモリ22の[B]領域の受信チャネル情報と検出時刻情報が更新される度に、メモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)と[B]領域の更新後の検出時刻情報(T2)を比較し、その比較結果に応じて対応処理を行うことになる(S69,S70)。
これは、メモリ22の[B]領域の検出時刻情報(T2)は送信元端末(すなわち、グループに属してはいるが、自機とは通信チャネルが相違している状態の端末)の検出時刻情報に相当し、それを自機のメモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)と比較することで、いずれの端末が逸れ端末としての推定確率が高いかを判定し、その結果に応じて対応処理を選択することになる。
【0112】
この比較と対応処理(S70)に係る具体的手順は図22Bに示される。
T1がT2より後の場合:
送信モードが自動的に設定されて割込みがかかり、変調送信部TX1を現状設定チャネルとして、G-ID等とメモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)を送信し、その終了により受信モードに自動復帰して割込み処理から抜ける(S71→S72~S76)。
T2がT1より後の場合:
自機の現状設定チャネルをメモリ22の[B]領域の更新記憶されているチャネルに変更すると共に、メモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)をメモリ22の[B]領域の検出時刻情報(T2)に書き替える(S71→S77~S79)。
T1とT2が同時(T1=T2)の場合:
何も実行せず、現状設定チャネルをそのまま維持する(S71→S80)。
【0113】
以上、単信方式のグループ無線通信ネットワークに適用される単一の無線通信機の観点からその機能について説明したが、次に、逸れ端末55が生じたネットワークの状態(図12)から如何にして逸れ端末55をグループネットワークに復帰させるかについて具体的に説明する。
【0114】
図23は、逸れ端末55以外の端末51~54の何れか(ここでは端末51)が送信モードとなって通話を行うことを開始イベントとして、逸れ端末55のネットワークへの復帰シーケンスが実行される場合に関するものである。
同図に示されるように、ネットワークチャネルはCH28であるが、逸れ端末55の現状設定チャネルはCH21である。
ここで、端末51が図21のステップS51~S56を実行し、送信モードに切り替えて変調送信部TX1-CH28からG-ID等と通話信号と共にメモリ22の[A]領域の検出時刻情報を付加して送信する。
【0115】
それに対して、端末52~54では図22AのステップS60~S63を実行し、受信復調部RX1-SCANの現状設定チャネルCH28を優先した巡回走査[図4の(3)]の過程でG-ID等が受信復調されると、その受信チャネルで走査動作を停止させるが、この場合、端末52~54と端末51の現状設定チャネルはネットワークチャネルCH28であるため、端末52~54において前記停止チャネルは現状設定チャネルCH28と同一である。
したがって、端末52~54は図22AのステップS63→S64,S65→S60を実行することになり、受信復調部RX1が現状設定チャネルCH28で端末51からの通話信号を受信復調して再生し、通信終了信号を受信復調することで、受信復調部RX1を停止状態から巡回走査状態へ戻す。
【0116】
一方、逸れ端末55では、受信復調部RX1-SCANの現状設定チャネルCH21を優先した巡回走査[図4の(1)]におけるCH28の走査段階でG-IDを受信復調してその走査動作を停止させるが(S60~S62)、この場合は停止チャネルC28と現状設定チャネルCH21が相違している(S63:N)。
したがって、逸れ端末55では図22AのステップS63→S66~S70を実行することになる。
すなわち、通話信号があれば(この場合は通話信号あり)それを受信復調して音声再生し、音声信号フレームに後続する検出時刻情報を受信復調すると、受信チャネル情報(この場合はCH28)と検出時刻情報をメモリ22の[B]領域に更新記憶させ、さらに、メモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)と更新記憶させたメモリ22の[B]領域の検出時刻情報(T2)を比較して、その比較結果に基づいて対応処理を行う。
【0117】
そして、この場合は検出時刻情報(T1)が逸れ端末55によるものであることから、前記比較結果は“T2がT1より後”の関係になり、図22AのステップS70では図22BのステップS71→S77~S79の手順が実行される。
したがって、逸れ端末55の現状設定チャネルCH21はメモリ22に更新記憶されている受信チャネル情報が示すチャネルCH28に変更され、メモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)もメモリ22の[B]領域の検出時刻情報(T2)に書き替えられて、通信チャネルと検出時刻情報が端末51と同一状態になり、その結果、端末55は逸れ状態からグループ通信ネットワークに復帰することができる。
【0118】
次に、図24は、逸れ端末55側が送信モードとなって通話信号を送信することが開始イベントとなってネットワークへの復帰シーケンスが実行される場合に関するものである。
同図に示されるように、ネットワークチャネルはCH28であるが、逸れ端末55の現状設定チャネルはCH21である。
この場合は、逸れ端末55が図21のステップS51~S56を実行し、送信モードに切り替えて変調送信部TX1-CH21からG-ID等と音声信号と共にメモリ22の[A]領域の検出時刻情報を付加して送信する。
【0119】
それに対して、受信モードの端末51~54は図22AのステップS60~S62を実行し、受信復調部RX1-SCANの現状設定チャネルCH28を優先した巡回走査[図4の(3)]の過程でG-ID等が受信復調されるとその受信チャネルで走査動作を停止させるが、この場合は逸れ端末55の現状設定チャネルがCH21であるため、走査動作はCH21で停止せしめられる。
そして、この場合の端末51~54の現状設定チャネルはCH28であり、走査動作の停止チャネルCH21とは相違しているため(S63:N)、図22AのステップS63:N→S66~S70を実行することになる。
【0120】
したがって、端末51~54では、受信チャネル情報と共に逸れ端末55からの音声信号に続いて受信復調される検出時刻情報をメモリ22の[B]領域に更新記録し、自機のメモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)とメモリ22の[B]領域の検出時刻情報(T2)を比較して、その比較結果に応じた対応処理を行う。
そして、この場合は検出時刻情報(T2)が逸れ端末55に係るものであり“T1がT2より後”の関係になっているため、図22AのステップS70で図22BのステップS71→S72~S76を実行することになる。
すなわち、端末51~54は、自動的に送信モードを設定し、割込みがかかった状態で変調送信部TX1-CH28から現状設定チャネル(CH28)でG-ID等とメモリ22の[A]領域の検出時刻情報を送信して受信モードに復帰することになる。
ただし、実際には端末51~54の現状設定チャネル(CH28)での送信が競合するため、CSが最先に成立したいずれかの端末(以下、端末5Xという)だけが送信できることになる。
【0121】
一方、前記端末5Xからの情報送信に対して、今度は逆に逸れ端末55が図22AのステップS60~S62を実行し、受信復調部RX1-SCANの現状設定チャネルCH21を優先した巡回走査[図4の(1)]の過程でG-ID等が受信復調されると、その受信チャネルで走査動作を停止させるが、この場合は、端末5Xの現状設定チャネルがCH28であるため、走査動作はCH28で停止せしめられる。
そして、この場合の逸れ端末55の現状設定チャネルはCH21であり、走査動作の停止チャネルCH28とは相違しているため(S63:N)、図22AのステップS63→S66~S70を実行することになる。
すなわち、逸れ端末55は端末5Xからの検出時刻情報を受信復調すると受信チャネルCH28と共にその検出時刻情報をメモリ22の[B]領域に更新記憶させ、自機のメモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)とメモリ22の[B]領域に更新記憶した検出時刻情報(T2)とを比較して対応処理を実行することになる。
【0122】
そして、この場合はT1が逸れ端末55の検出時刻情報に該当し、T2が端末5Xの検出時刻情報に該当することから、前記比較の結果は、図22Bにおいて“T2がT1より後”の関係となり、逸れ端末55ではステップS71→S77~S79が実行され、現状設定チャネルCH21を端末5X側の現状設定チャネルであるメモリ22の[B]領域の受信チャネル情報が示すチャネルCH28に変更し、併せてメモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)がメモリ22の[B]領域の検出時刻情報(T2)に書き替えられる。
その結果、逸れ端末55はその通信チャネルがCH21からCH28に変更されて逸れ状態からグループネットワークに復帰でき、図25に示すように、全ての端末51~55の現状設定チャネル(通信チャネル)がネットワークチャネルCH28に設定された状態となり、各端末51~55の検出時刻情報も揃った状態になる。
【0123】
<<実施形態3>>
この実施形態は、前記実施形態と同様に、図1の無線通信機とそれを構成端末とするグループ無線通信ネットワークシステムに係り、ここでは図27に示すように5台の端末61~65で構成される単信方式のグループ無線通信ネットワークを想定する。
なお、図27に代表されるネットワークの簡略構成図において、各端末61~65における「TX1-CH21」は変調送信部TX1が図2のCH21のチャネルに設定されている状態を、「RX1-SCAN」は受信復調部RX1がチャネルの巡回走査を実行している状態を示す。また、後のネットワークの簡略構成図で表現される「RX1-CH21」は受信復調部RX1が巡回動作を停止してCH21のチャネルに設定されている状態を示す。
なお、ハッチングを施していないモジュールはアクティブであり、ハッチングを施したモジュールはインアクティブであることを示しており、変調送信部TX1がアクティブな状態では受信復調部RX1はインアクティブとなる。
【0124】
この実施形態における各端末61~65の受信復調部RX1が実行する巡回走査は、図26の(1)から(5)に示すように、ネットワークで使用可能なチャネルとして選択した5つのチャネル(CH21,CH25,CH28,CH43,CH49)と周波数制御チャネル(CH31)の内、周波数制御チャネルを優先させる方式を採用しており、周波数制御チャネルの走査期間の間に現状設定チャネル(前回の通信での使用チャネル)である前記5つのチャネルの内の1チャネルの走査期間を介在させた交互走査方式になっている。
したがって、1チャネル当たりの走査時間を約100msecとすると、周波数制御チャネル(CH31)と現状設定チャネルのそれぞれの合計走査時間が約400msecであり、1サイクルの走査時間:約800msecを両チャネルに均等に割り当てている。
【0125】
このネットワークにおいて逸れ端末が発生する要因は、次のようなネットワーク状態の遷移による。
図27は、ネットワークチャネルがCH21で、全ての端末61~65が受信(待受)モードである状態を示し、各端末61~65の変調送信部TX1はCH21に設定されているがインアクティブ状態にあり、受信復調部RX1-SCANは図26の(1)に示す巡回走査を実行している。
【0126】
図27の状態からは、単信方式のネットワークであるため、例えば、図28に示すように、端末61がCH21でCSを実行して送信可であれば、変調送信部TX1-CH21をアクティブにしてG-ID等と通話信号を送信すると、他の端末62~65では受信復調部RX1-SCANが図26の(1)の巡回走査におけるCH21の走査段階でG-IDを受信復調するため、図29に示すように、巡回走査をCH21で停止させて通話信号を復調・再生する。
【0127】
ところで、送信モードへ移行して音声信号を送信しようとする端末は、前記のように常にその送信チャネルを受信復調部RX1に設定してCSを実行し、同チャネルに混信がないことが確認できなければ、変調送信部TX1をそのチャネルに設定した送信動作を行うことができない[平成元年郵政省告示第49号、令和3年総務省告示第308号及び上記非特許文献1における第1編1-10頁の(3)キャリアセンス]。
【0128】
図30は端末63の受信復調部RX1-CH21が前回の通信チャネルである現状設定チャネルCH21(ネットワークチャネルでもある)でCSを実行したが混信が生じている状態を示し、同端末63はCH21で送信を行うことができないため、受信復調部RX1を周波数制御チャネルCH31に切り替えてCSを実行する。
【0129】
端末63は、CH31のCSで混信が無かった場合、図31に示すように、変調送信部TX1を周波数制御チャネルCH31でアクティブにしてG-IDとCH-CCR(指定変更先チャネルはCH28)を送信する。
一方、他の端末61,62,64,65は受信復調部RX1-SCANの巡回走査におけるCH31の走査段階でG-IDとCH-CCRを受信復調することになるが、G-IDが所属グループの識別信号であり、CH-CCRが変更先チャネル指定を伴うチャネル変更要求であることに基づいて、通信チャネルをCH21から指定変更先チャネルであるCH28へ変更する。
【0130】
その結果、図32に示すように、全ての端末61~65の通信チャネルがCH28に変更されてネットワークチャネルがCH28へ移行し、混信前のCH21の場合(図28及び図29)と同様に、各端末61~65は適宜変調送信部TX1-CH28をアクティブにして、通話信号を他の端末へ送信できることになる。
なお、この実施形態において実施形態1及び2で用いられているCCRではなくCH-CCRが使用されているのは、実施形態1及び2では送信チャネルによって変更先チャネル情報を示せるのに対して、この実施形態では周波数制御チャネルCH31を使用して制御信号の送信を行うため、変更先チャネルを情報信号として示さざるを得ないからである。
【0131】
ところで、図31の段階、すなわち端末63がCH28でG-IDとCH-CCRを他の端末61,62,64,65へ送信する段階で、端末61,62,64,65のいずれかがたまたま圏外に位置していた場合や電源をOFFにしていた場合には、当然にその端末はG-IDとCH-CCRを受信できず、ネットワークチャネルの変更に対応できていないことになる。
例えば、図33図31の段階で端末65が圏外等であった場合を示し、端末61,62,64は端末63からのG-DIとCH-CCRを受信復調部RX1-SCANで受信できて自機の通信チャネルをCH28へ変更できるが、端末65はその機会を逸したことにより、図34に示すように、端末65だけがCH21のままで逸れ端末の状態となる。
したがって、端末65はたとえ圏内に戻ったとしても、また電源をONにしても、そのままでは他の端末61~64との通信を回復させることはできず、ネットワークに復帰できない。
【0132】
また、その場合において、端末61~64では、端末65からの通話が無い状態が継続しているだけでは同端末65がネットワークから逸れたとは認識できず、また、逸れた端末65では、現状設定チャネルがCH21のままで他の端末61~64からの通話を受信しない状態が継続するとはいえ、通話が多くないネットワークでは相当に時間が経過しなければ自機が逸れ状態になったと認識できない。
【0133】
そこで、この実施形態での無線通信機は、前記グループ無線通信ネットワークにおける端末61~65に適用されることにより、逸れ端末となった端末が圏内に戻り又は圏内で電源をON状態に戻すだけで、常に自動的にネットワークへ戻って通信可能な状態に復帰できるようにする。
【0134】
まず、この実施形態の無線通信機(図1)では、グループ無線通信モードにおいて図35に示される手順を実行する。
先ず、操作部19からグループ無線通信モードが設定されると、システム制御部10はカウンタ21とメモリ22をリセットし(S91)、その後、自機の変調送信部TX1がG-IDとCH-CCRを送信したかどうか、及び受信復調部RX1-SCANで他の端末からのG-IDとCH-CCRを受信復調したかどうかを確認しており(S92,S93)、それが検出される度にカウンタ21のカウント値を+1インクリメントする動作を繰り返す(S94,S95→S92)。
【0135】
したがって、前記ネットワークの状態の遷移(図27から図32)を対照させると、図31の段階では、端末63が変調送信部TX1-CH31でG-IDとCH-CCRを送信したことで同端末63のカウンタ21のカウント値が+1加算され、また端末61,62,64,65ではそれぞれの受信復調部RX1-SCANでG-IDとCH-CCRを受信したことで各端末61,62,64,65のカウンタ21のカウント値が+1加算される。
しかし、図33のように、端末63が変調送信部TX1-CH31でG-IDとCH-CCRを送信した時に、圏外に位置していたか電源をOFFにしていた端末65においてはG-IDとCH-CCRを受信できていないため、カウンタ21のカウント値がインクリメントされていない。
すなわち、図34に示すように、逸れ端末となった端末65は通信チャネルがCH21のままで、他の端末61,62,63,64の通信チャネルCH28と異なっていると共に、端末65のカウンタ21のカウント値が他の端末61,62,63,64のカウンタ21のカウント値よりも小さい値になっている。
【0136】
この実施形態に係る無線通信機は、単信方式の無線通信ネットワークの構成端末として、逸れ端末が生じた場合に図35の実行手順で必然的に生じる前記カウント値の相違を利用して、図36図37A及び図37Bのフローチャートに示す手順を実行することにより、自他からを問わず逸れ端末を自動的にネットワークへ復帰させる。
【0137】
先ず、図36は通常の通話送信モードの手順を示し、受信モードからネットワークの他の端末へ音声メッセージを送信するべく操作部19のPTTボタンをONにして送信モードを設定すると(S100,S101)、受信復調部RX1により現状設定チャネルでのCSを実行させ、混信が無いことを条件に、変調送信部TX1によりG-ID等(G-ID以外に自機ID等も含む)を送信させた後、マイクロホン15からの入力音声信号でキャリア信号を変調して音声メッセージの送信を行い(S102,S103)、その送信が終わるとPTTボタンをOFFにして送信モードを解除すると共に通信終了信号を送信する(S104,S105)。
これは無線通信機の送信モードで割込み処理として実行される一般的な動作であり、実施形態1及び2における図14のステップS14~S16や図21のステップS54~S56で示したように、通話信号の末尾にメモリ22のカウント値情報や検出時刻情報を付加送信させることは行わない。
【0138】
図37Aはこの実施形態の無線通信機の動作手順を示すものであり、受信モードにおいては常にインターバルタイマー(3分間)がセットされるようになっている(S110,S111)。
そして、前記インターバルの3分間内に、受信復調部RX1が現状設定チャネル(前回の通信チャネル)と周波数制御チャネルCH31のいずれにおいても、G-IDを受信復調することが無かった場合には(S112:N→S115:N)、タイムアウトにより送信モードを自動設定して割込みをかけ、変調送信部TX1を現状設定チャネルからCH31へ変更した後、同チャネルCH31でG-IDと現状設定チャネル情報とカウンタ21のカウント値情報を送信し、通信終了信号を送信した後、変調送信部TX1をCH31から現状設定チャネルへ戻して割込み処理を解除する(S116:Y→S117~S119)。
これは、ネットワークに逸れ端末が生じている可能性があるため(特に、自機が逸れ端末になっている可能性が高いため)、自機からネットワーク側へ問い合わせる手段に相当する。
したがって、図37Aには図示していないが、タイムアウトになった時点でシステム制御部10がこれを検知して、液晶表示部20に自機が逸れ端末状態になっている旨を表示させる手順及び/又は特殊な電子音をスピーカ14から出力させる手順を実行させて端末のユーザに知らせるようにしてもよい。
【0139】
一方、前記インターバルの3分間内に、受信復調部RX1が巡回走査過程における現状設定チャネル(前回の通信チャネル)の段階でG-IDの受信復調を行った場合には、その現状設定チャネルで巡回走査を停止させて受信復調された通話信号の再生を行い、通信終了信号の受信復調があると、元の受信モードでの巡回走査に戻る(S112:Y→S113,S114→S110)。
この手順は、送信元がグループに属して同一の通信チャネルに設定されている他の端末であり、通常のグループ通信を実行すべき相手側端末であることによる。ただし、受信端末である自機と送信元である相手側端末の現状設定チャネル(通信チャネル)は必ずしもネットワークチャネルであるとは限らず、双方とも逸れ端末である可能性もある。
【0140】
また、前記インターバルの3分間内に、受信復調部RX1が巡回走査過程における周波数制御チャネルCH31の段階でG-IDの受信復調を行った場合には、グループに属している他の端末による前記タイムアウトに基づく情報送信、又は後述するカウント値情報の比較結果に基づいた情報送信に係る受信であり、G-IDに後続するチャネル情報とカウント値情報を受信復調してメモリ22に更新記憶させる(S115:Y→S120,S121)。
【0141】
そして、メモリ22のチャネル情報とカウント値情報が更新される度に、カウンタ21のカウント値情報(M回)とメモリ22の更新後のカウント値情報(N回)を比較し、その結果に基づいて対応処理を行う(S121,S122)。
これは、実施形態1の場合の図15AのステップS29、S30と同様であり、メモリ22のカウント値情報(N回)は送信元端末(すなわち、グループに属してはいるが、自機と送受信チャネルが相違している状態の端末)のカウント値に相当し、それを自機のカウント値情報(M回)と比較することで、いずれの端末が逸れ端末としての推定確率が高いかを判定し、その比較結果に基づいて対応処理を行うことになる。
【0142】
この実施形態における前記比較結果と対応処理の手順は図37Bに示され、次のようになる。
M>Nの場合:
送信モードが自動的に設定されて割込みがかかり、変調送信部TX1を現状設定チャネルからCH31へ変更して、G-ID等と現状設定チャネル情報とカウンタ21のカウント値情報(M回)を送信し、その終了により変調送信部TX1をCH31から現状設定チャネルへ変更して受信モードに戻ることで割込み処理から抜ける(S131→S132~S136)。
N>Mの場合:
自機の現状設定チャネルをメモリ22に更新記憶されているチャネル情報に係るチャネルに変更すると共に、カウンタ21のカウント値情報(M回)をメモリ22のカウント値情報(N回)に書き替える(S131→S137~S139)。
M=Nの場合:
何も実行せず、送受信部のチャネルをそのまま維持する(S131→S140)。
【0143】
以上、単信方式のグループ無線通信ネットワークに適用される単一の無線通信機の観点からその機能を説明したが、次に、図34のように逸れ端末65が生じたネットワーク状態から如何にして逸れ端末65をグループネットワークに復帰させるかについて説明する。
【0144】
図38は、逸れ端末65以外の端末61~64のいずれか(ここでは端末61)が所要情報を送信することを開始イベントとして、逸れ端末65のネットワークへの復帰シーケンスが実行される場合に関するものである。
先ず、同図に示されるように、ネットワークチャネルはCH28であるが、逸れ端末65の通信チャネルはCH21である。
ここで、端末61が図37AのステップS111,S112→S115→S116:Y(タイムアウト)の条件によりステップS117~S119を実行し、変調送信部TX1を現状設定チャネルから一時的にCH31に切り替えて、G-IDと自機の現状設定チャネル情報とカウンタ21のカウント値情報を送信する。
【0145】
それに対して、逸れ端末65は図37AのS115:Y→S120~S122を実行し、受信復調部RX1-SCANの周波数制御チャネルCH31を優先した巡回走査[図26の(1)]におけるCH31の走査過程でG-ID等が受信復調されると、CH31で走査動作を停止させてチャネル情報とカウント値情報を受信復調してそれらをメモリ22に更新記憶させ、自機のカウンタ21のカウント値情報(M)とメモリ22の端末61側のカウント値情報(N)を比較する。
その比較結果は、Mが逸れ端末65のカウント値であることからN>Mとなるため、逸れ端末65はステップS122で図37BのステップS131→S137~S139を実行することになり、現状設定チャネルがCH21からCH28に変更されると共に、自機のカウンタ21のカウント値情報(M)もメモリ22のカウント値(N)に書き替えられる。
【0146】
なお、端末62,63,64についてもS115→S120~S122を実行して、同様に自機のカウンタ21のカウント値情報(M)とメモリ22の端末61側のカウント値情報(N)を比較することになるが、端末61と端末62,63,64の通信チャネルはネットワークチャネルCH28であるため、ステップS122で図37BのステップS131→S140となって対応処理はなく、現状が維持される。
その結果、図40に示すように、全ての端末61~65の現状設定チャネル(通信チャネル)がネットワークチャネルCH28に設定された状態となり、各端末61~65のカウント値情報も揃った状態になる。
【0147】
一方、図39は、逸れ端末65が所要情報を送信することを開始イベントとして、逸れ端末65のネットワークへの復帰シーケンスが実行される場合に関するものであり、実際の運用においては、図38の場合よりもこの場合の方が多いと考えられる。
同図に示されるように、ネットワークチャネルはCH28であり、逸れ端末65の通信チャネルがCH21であることは図38の場合と同様である。
ここで、逸れ端末65が図37AのステップS111,S112→S115→S116:Y(タイムアウト)の条件によりステップS117~S119を実行し、変調送信部TX1を現状設定チャネルから一時的にCH31に切り替えて、G-IDと自機の現状設定チャネル情報とカウンタ21のカウント値情報を送信する。
【0148】
それに対して、端末61~64は図37AのステップS115→S120~S122を実行し、受信復調部RX1-SCANのCH31を優先した巡回走査[図26の(3)]におけるCH31の走査過程でG-ID等が受信復調されると、CH31で走査動作を停止させてチャネル情報とカウント値情報を受信復調してそれらをメモリ22に更新記憶させ、自機のカウンタ21のカウント値情報(M)とメモリ22の逸れ端末65側のカウント値情報(N)を比較して対応処理を実行することになる。
而して、その比較結果は、Nが逸れ端末65におけるカウント値情報であることからM>Nの関係となり、端末61~64は図37AのステップS122で図37BのステップS131→S132~S136を実行し、変調送信部TX1を現状設定チャネルから一時的にCH31に切り替えて、G-IDと自機の現状設定チャネル情報とカウンタ21のカウント値情報を送信する。すなわち、逸れ端末65からの自機情報の送信に対して、逆に端末61~64が自機情報を返信することになる。
ただし、この場合の端末61~64によるCH31での送信は競合するため、CSが最先に成立したいずれかの端末(以下、端末6Xという)だけが送信できることになる。
【0149】
一方、逸れ端末65では、端末6Xからの情報の送信に対して図37AのステップS115→S120~S122を実行し、前記で端末61~64が実行したと同様の手順で、端末6X側のチャネル情報とカウント値情報を受信復調してそれらをメモリ22に更新記憶させ、自機のカウンタ21のカウント値情報(M)とメモリ22のカウント値情報(N)を比較して対応処理を実行することになる。
而して、その比較結果は、Mが逸れ端末65におけるカウント値情報であることからN>Mの関係となり、逸れ端末65は図37Aのステップ122で図37BのステップS131→S137~S139が実行し、現状設定チャネルCH21がメモリ22のチャネル情報が示すチャネル(端末5X側の現状設定チャネルCH28)に変更されることにより逸れ状態からグループネットワークに復帰でき、併せてカウンタ21のカウント値情報(M)もメモリ22の端末6X側のカウント値情報(N)に書き替えられる。
その結果、図40に示すように、全ての端末61~65の現状設定チャネル(通信チャネル)がネットワークチャネルCH28に設定された状態となり、各端末61~65のカウント値情報も揃った状態になる。
【0150】
<<実施形態4>>
この実施形態は、前記実施形態3の場合と同様に、図1の無線通信機とそれを構成端末とするグループ無線通信ネットワークシステムに係るものであり、図27に示すような5台の端末61~65で構成される単信方式のグループ無線通信ネットワークを想定する。
この実施形態におけるネットワークで使用可能として選択された5つのチャネル、及び各端末61~65における受信復調部RX1-SCANの巡回走査条件に関しても実施形態3と同様である。
また、このネットワークにおける逸れ端末の発生要因についても、前記実施形態3において図27から図34を用いて説明した事情と同様である。
【0151】
この実施形態に係る無線通信機における実施形態3の無線通信機との相違点は、グループ無線通信ネットワークの構成端末として、実施形態3がG-IDとCH-CCRの送受信回数のカウント値情報の大小関係を逸れ端末としての推定確率の比較要素に用いているのに対し、G-IDとCH-CCRの送受信に係る最新の検出時刻情報の先後関係を比較要素に用いる点にある。
これは、G-IDとCH-CCRの最新の送受信時刻がより後である方がより間近までネットワーク内に留まっていたことになるため、逸れ端末である推定確率がより低いとみなし得ることに基づいている。
【0152】
したがって、実施形態3の無線通信機においては図35にG-IDとCH-CCRの送受信を検出してその回数のカウント値情報を更新記憶する手順が示されているが、この実施形態では図41にG-IDとCH-CCRの送受信を検出してその検出時刻情報を更新記憶する手順が示されている。
具体的には、操作部19からグループ無線通信モードが設定されると、システム制御部10はメモリ22をリセットし(S151)、その後、自機の変調送信部TX1がG-IDとCH-CCRを送信したかどうか、及び受信復調部RX1-CH31で他の端末からのG-IDとCH-CCRを受信復調したかどうかを検出しており(S152,S153)、その検出がある度に、システム制御部10が内蔵タイマーの時刻情報をメモリ22の[A]領域に更新記憶する動作を繰り返す(S154,S155→S152)。
【0153】
また、この実施形態におけるG-IDとCH-CCRの送受信時刻を更新記憶する方式によると、実施形態3の場合と同様に、グループ無線通信ネットワークにおいて通信可能な状態にある端末では、常にそのメモリ22の[A]領域に対してG-IDとCH-CCRの送受信に基づくネットワークチャネルの変更に係る最新の時刻情報が更新記憶されることになるが、G-IDとCH-CCRの送受信時に圏外に位置していたり、電源をOFFにしていた逸れ端末においては、その記録が最新の時刻情報ではなくなる。
【0154】
この実施形態に係る無線通信機は、単信方式の無線通信ネットワークの構成端末として、逸れ端末が生じた場合に図41の実行手順で必然的に生じるメモリ22の[A]領域の時刻情報の相違を利用して、図42図43A及び図43Bのフローチャートに示す手順を実行することにより、自他からを問わず逸れ端末を自動的にネットワークへ復帰させる。
【0155】
図42は通常の通話送信モードの手順を示し、図36と同等の内容になるが、機能のまとまりの関係上、あえて組み込まれている。
受信(待受)モードからネットワークの他の端末へ音声メッセージを送信するべく操作部19のPTTボタンをONにして送信モードを設定すると(S160,S161)、受信復調部RX1により現状設定チャネルでのCSを実行させ、混信が無いことを条件に、変調送信部TX1によりG-ID等を送信させた後、マイクロホン15からの入力音声信号でキャリア信号を変調して音声メッセージの送信を行い(S162,S163)、その送信が終わるとPTTボタンをOFFにして送信モードを解除すると共に通信終了信号を送信する(S164,S165)。
これは無線通信機の送信モードで割込み処理として実行される一般的な動作であり、実施形態3の場合と同様に、実施形態1及び2のように通話信号の末尾にメモリ22のカウント値や検出時刻情報を付加送信させることは行わない。
【0156】
図43Aはこの実施形態の無線通信機の動作手順を示すものであり、受信モードにおいては常にインターバルタイマー(3分間)がセットされるようになっている(S170,S171)。
そして、前記インターバルの3分間内に、受信復調部RX1が現状設定チャネル(前回の通信チャネル)と周波数制御チャネルCH31のいずれにおいても、G-IDを受信復調することが無かった場合には(S172:N→S175:N)、タイムアウトにより送信モードを自動設定して割込みをかけ、変調送信部TX1を現状設定チャネルからCH31へ変更した後、同チャネルCH31でG-IDと現状設定チャネル情報とメモリ22の[A]領域の検出時刻情報を送信し、通信終了信号を送信した後、変調送信部TX1をCH31から現状設定チャネルへ戻して割込み処理を解除する(S176:Y→S177~S179)。
これは、ネットワークに逸れ端末が生じている可能性があるため(特に、自機が逸れ端末になっている可能性が高いため)、自機からネットワーク側へ問い合わせる手段に相当する。
したがって、図43Aには図示していないが、タイムアウトになった時点でシステム制御部10がこれを検知して、液晶表示部20に自機が逸れ端末状態になっている旨を表示させる手順及び/又は特殊な電子音をスピーカ14から出力させる手順を実行させて端末のユーザに知らせるようにしてもよい。
【0157】
一方、前記インターバルの3分間内に、受信復調部RX1が巡回走査過程における現状設定チャネル(前回の通信チャネル)の段階でG-IDの受信復調を行った場合には、その現状設定チャネルで巡回走査を停止させて受信復調された通話信号の再生を行い、通信終了信号の受信復調があると、元の受信モードでの巡回走査に戻る(S172:Y→S173,S174→S170)。
この手順は、送信元がグループに属して同一の通信チャネルに設定されている他の端末であり、通常のグループ通信を実行すべき相手側端末であることによる。ただし、受信端末である自機と送信元である相手側端末の現状設定チャネル(通信チャネル)は必ずしもネットワークチャネルであるとは限らず、双方とも逸れ端末である可能性もある。
【0158】
また、前記インターバルの3分間内に、受信復調部RX1が巡回走査過程における周波数制御チャネルCH31の段階でG-IDの受信復調を行った場合には、グループに属している他の端末による前記タイムアウトに基づく情報送信、又は後述する検出時刻情報の比較結果に基づいた情報送信に係る受信であり、G-IDに後続するチャネル情報と検出時刻情報を受信復調してメモリ22の[B]領域に更新記憶させる(S175:Y→S180,S181)。
【0159】
そして、メモリ22のチャネル情報と検出時刻情報が更新される度に、メモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)とメモリ22の[B]領域の更新後の検出時刻情報(T2)を比較し、その結果に基づいて対応処理を行う(S181,S182)。
これは、実施形態2の場合の図22AのステップS69、S70と同様であり、メモリ22の[B]領域の検出時刻情報(T2)は送信元端末(すなわち、グループに属してはいるが、自機と送受信チャネルが相違している状態の端末)の検出時刻情報に相当し、それを自機の検出時刻情報(T1)と比較することで、いずれの端末が逸れ端末としての推定確率が高いかを判定し、その比較結果に基づいて対応処理を行うことになる。
【0160】
この実施形態における前記比較結果と対応処理の手順は図43Bに示され、次のようになる。
T1がT2より後の場合:
送信モードが自動的に設定されて割込みがかかり、変調送信部TX1を現状設定チャネルからCH31へ変更して、G-ID等と現状設定チャネル情報とメモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)を送信し、その終了により変調送信部TX1をCH31から現状設定チャネルへ変更して受信モードに戻ることで割込み処理から抜ける(S191→S192~S196)。
T2がT1より後の場合:
自機の現状設定チャネルをメモリ22に更新記憶されているチャネル情報に係るチャネルに変更すると共に、メモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)をメモリ22の[B]領域の検出時刻情報(T2)に書き替える(S191→S197~S199)。
T1とT2が同時(T1=T2)の場合:
何も実行せず、現状設定チャネルをそのまま維持する(S191→S200)。
【0161】
以上、単信方式のグループ無線通信ネットワークに適用される単一の無線通信機の観点からその機能を説明したが、次に、図34のように逸れ端末65が生じたネットワーク状態から如何にして逸れ端末65をグループネットワークに復帰させるかについて説明する。
【0162】
図44は、逸れ端末65以外の端末61~64のいずれか(ここでは端末61)が所要情報を送信することを開始イベントとして、逸れ端末65のネットワークへの復帰シーケンスが実行される場合に関するものである。
先ず、同図に示されるように、ネットワークチャネルはCH28であるが、逸れ端末65の通信チャネルはCH21である。
ここで、端末61が図43AのステップS171,S172→S175→S176:Y(タイムアウト)の条件によりステップS177~S179を実行し、変調送信部TX1を現状設定チャネルから一時的にCH31に切り替えて、G-IDと自機の現状設定チャネル情報とメモリ22の[A]領域の検出時刻情報を送信する。
【0163】
それに対して、逸れ端末65は図43AのS175→S180~S182を実行し、受信復調部RX1-SCANの周波数制御チャネルCH31を優先した巡回走査[図26の(1)]におけるCH31の走査過程でG-ID等が受信復調されると、CH31で走査動作を停止させてチャネル情報と検出時刻情報を受信復調してそれらをメモリ22の[B]領域に更新記憶させ、自機のメモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)と[B]領域の検出時刻情報(T2)を比較する。
その比較結果は、T1が逸れ端末65での検出時刻情報でありT2が端末61での検出時刻情報であることから“T2がT1より後”の関係になるため、逸れ端末65はステップS182で図43BのステップS191→S197~S199を実行することになり、現状設定チャネルがCH21からCH28に変更されると共に、自機のメモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)が[B]領域の検出時刻情報(T2)に書き替えられる。
【0164】
なお、端末62,63,64についてもS175→S180~S182を実行して、同様に自機のメモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)と[B]領域の検出時刻情報(T2)を比較することになるが、端末61と端末62,63,64の通信チャネルはネットワークチャネルCH28であるため、ステップS182で図43BのステップS191→S200となって対応処理はなく、現状が維持される。
その結果、全ての端末61~65の現状設定チャネル(通信チャネル)がネットワークチャネルCH28に設定された状態となり、各端末61~65のカウント値情報も揃った状態になる。
【0165】
一方、図45は、逸れ端末65が所要情報を送信することを開始イベントとして、逸れ端末65のネットワークへの復帰シーケンスが実行される場合に関するものであり、実際の運用においては、図44の場合よりもこの場合の方が多いと考えられる。
同図に示されるように、ネットワークチャネルはCH28であり、逸れ端末65の通信チャネルがCH21であることは図44の場合と同様である。
ここで、逸れ端末65が図43AのステップS171,S172→S175→S176:Y(タイムアウト)の条件によりステップS177~S179を実行し、変調送信部TX1を現状設定チャネルから一時的にCH31に切り替えて、G-IDと自機の現状設定チャネル情報とメモリ22の[A]領域の検出時刻情報を送信する。
【0166】
それに対して、端末61~64は図43AのステップS175→S180~S182を実行し、受信復調部RX1-SCANのCH31を優先した巡回走査[図26の(3)]におけるCH31の走査過程でG-ID等が受信復調されると、CH31で走査動作を停止させてチャネル情報と逸れ端末65側の検出時刻情報を受信復調してそれらをメモリ22の[B]領域に更新記憶させ、メモリ22の[A]領域の検出時刻情報(T1)と[B]領域の検出時刻情報(T2)を比較する。
而して、その比較結果は、T2が逸れ端末65の検出時刻情報であることから“T1がT2より後”の関係となるため、端末61~64はステップS182で図43BのステップS191→S192~S196を実行し、変調送信部TX1を現状設定チャネルから一時的にCH31に切り替えて、G-IDと自機の現状設定チャネル情報と検出時刻情報を送信する。すなわち、逸れ端末65からの自機情報の送信に対して、逆に端末61~64が自機情報を返信することになる。
もっとも、この場合の端末61~64によるCH31での送信は競合するため、CSが最先に成立したいずれかの端末(以下、端末6Xという)だけが送信できることになる。
【0167】
一方、逸れ端末65では、端末6Xからの自機情報の送信に対して図43AのステップS175→S180~S182を実行し、前記で端末61~64が実行したと同様の手順で、端末6X側のチャネル情報と検出時刻情報を受信復調してそれらをメモリ22の[B]領域に更新記憶させ、メモリ22の[A]領域の自機の検出時刻情報(T1)と[B]領域の検出時刻情報(T2)を比較する。
而して、その比較結果は、T1が逸れ端末65における検出時刻情報になることから“T2がT1より後”の関係となり、逸れ端末65では図43BのステップS191→S197~S199が実行され、現状設定チャネルCH21がメモリ22のチャネル情報が示すチャネル(端末6X側の現状設定チャネルCH28)に変更されることにより逸れ状態からグループネットワークに復帰でき、併せてメモリ22の[A]領域の自機の検出時刻情報(T1)も端末6X側の検出時刻情報(T2)に書き替えられる。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本願の発明は、単信方式のグループ無線通信ネットワーク及びそのネットワークの構成端末に利用することができる。
【符号の説明】
【0169】
10…システム制御部、11…アンテナ、12…増幅器、13…スピーカ、15…マイクロホン、16…増幅器、17…増幅器、18…アンテナ、19…操作部、20…液晶表示部、21…カウンタ、22…メモリ、RX1…受信復調部、TX1…変調送信部、51~55…ネットワークの構成端末(無線通信機)、61~65…ネットワークの構成端末(無線通信機)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37A
図37B
図38
図39
図40
図41
図42
図43A
図43B
図44
図45