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特開2025-31243電動パワーステアリング装置、および制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031243
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】電動パワーステアリング装置、および制御方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20250228BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20250228BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D119:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137335
(22)【出願日】2023-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】523207386
【氏名又は名称】NSKステアリング&コントロール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】須田 好紀
(72)【発明者】
【氏名】新里 剛
(72)【発明者】
【氏名】中村 文俊
【テーマコード(参考)】
3D232
【Fターム(参考)】
3D232CC08
3D232DA15
3D232DB11
3D232DC07
3D232DC09
3D232DC10
3D232DD02
3D232DE12
3D232EA01
3D232EB11
3D232EC22
3D232GG01
(57)【要約】
【課題】非同期通信を用いる電動パワーステアリング装置の構成において、操作者による操舵感への影響が抑制された制御を実現する。
【解決手段】電動パワーステアリング装置は、機構部の操舵軸回りのトルク値を検出するトルクセンサと、検出したトルク値を含む通信メッセージを、非同期通信を用いて受信する受信回路と、受信した通信メッセージと当該受信に係る時刻を示すタイムスタンプとが対応付けられたデータが転送され記憶するメモリと、記憶されている通信メッセージのうち、周期的に実行されるアシスト力演算処理に用いるトルク値を導出する導出処理の時刻を基準として設定される所定のタイミングの前後の値を有するタイムスタンプに対応付けられた2つの通信メッセージを用いて内挿補間を行うことより、所定のタイミングにおけるトルク値を導出する導出手段と、導出されたトルク値を用いて機構部に対するアシスト力演算処理を行う処理手段と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動パワーステアリング装置であって、
機構部の操舵軸回りのトルク値を検出するトルクセンサと、
前記トルクセンサにて検出したトルク値を含む通信メッセージを、非同期通信を用いて受信する受信回路と、
前記受信回路にて受信した通信メッセージと、当該受信に係る時刻を示すタイムスタンプとが対応付けられたデータが転送され記憶するメモリと、
前記メモリにて記憶されている通信メッセージのうち、周期的に実行されるアシスト力演算処理に用いるトルク値を導出する導出処理の時刻を基準として設定される所定のタイミングの前後の値を有するタイムスタンプに対応付けられた2つの通信メッセージを用いて内挿補間を行うことより、前記所定のタイミングにおけるトルク値を導出する導出手段と、
前記導出手段にて導出されたトルク値を用いて、前記機構部に対する前記アシスト力演算処理を行う処理手段と、
を有する電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
前記所定のタイミングは、以下の式にて定義される、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
所定のタイミング=(t-T1-T2)
T2=Smax×2+α (Smax×2<T2<Smax×3)
t:導出処理の時刻
T1:データのメモリ転送記憶処理の時刻と導出処理の時刻との時間間隔
α:固定値
Smax:非同期通信の最大通信時間
【請求項3】
前記受信回路は、前記非同期通信を用いて1つの通信メッセージの受信が完了した時点で、当該1つの通信メッセージと、当該1つの通信メッセージの受信に係る時刻を示すタイムスタンプと対応付けてレジスタに記憶し、
前記レジスタに記憶された情報は、周期的に実行される入力処理により、前記メモリに転送される、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項4】
前記メモリは、通信メッセージとタイムスタンプとの対のデータを少なくとも3つ記憶可能なデータ領域を含むように構成される、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項5】
前記非同期通信は、SENT(Single Edge Nibble Transmission)通信である、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項6】
前記トルクセンサは多重化され、
前記導出手段は、
多重化により検出された複数の通信メッセージそれぞれを用いて複数のトルク値を導出し、
さらに前記複数のトルク値を用いてノイズ除去および平均化処理の少なくともいずれかを行うことにより、前記アシスト力演算処理に用いられるトルク値を導出する、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項7】
機構部の操舵軸回りのトルク値を検出するトルクセンサと、
前記トルクセンサにて検出したトルク値を含む通信メッセージを、非同期通信を用いて受信する受信回路と、
前記受信回路にて受信した通信メッセージと、当該受信に係る時刻を示すタイムスタンプとが対応付けられたデータが転送され記憶するメモリと、
を含む電動パワーステアリング装置の制御方法であって、
前記メモリにて記憶されている通信メッセージのうち、周期的に実行されるアシスト力演算処理に用いるトルク値を導出する導出処理の時刻を基準として設定される所定のタイミングの前後の値を有するタイムスタンプに対応付けられた2つの通信メッセージを用いて内挿補間を行うことより、前記所定のタイミングにおけるトルク値を導出する導出工程と、
前記導出工程にて導出されたトルク値を用いて、前記機構部に対する前記アシスト力演算処理を行う処理工程と、
を有する電動パワーステアリング装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動パワーステアリング装置、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な装置においてセンサにより状態を検出し、その検出信号に基づいて制御を行う構成が普及している。そのような装置の一例として、車両の操舵に係るアシスト制御を行う電動パワーステアリング装置などがある。電動パワーステアリング装置(EPS:Electric Power Steering)では、操舵軸回りのトルクを検出し、そのトルク値に応じてハンドル操作のアシスト制御を、モータを用いて行う。このとき、トルクセンサからの検出信号の送受信に係るタイミングと、操舵に係る制御値の導出処理のタイミングに一定のズレが生じる。特に、信号の送受信において非同期通信を用いる場合、その特性上、信号の取得タイミングに揺らぎが生じてしまう。そして、その揺らぎを考慮せずに操舵力の導出を行った場合、ユーザの操舵感に影響を与える可能性がある。
【0003】
例えば、特許文献1では、モータ制御に関し、シリアル信号通信の受信タイミングと、電流制御周期の開始との時間差を監視して、制御周期の同期を行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4491083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
EPSなどの装置では、コスト面などから非同期通信による回路構成とすることがあり、このような構成においても、信号の取得タイミングのズレ(遅れ)を考慮して、操作者による操舵感への影響が抑制された制御が求められる。
【0006】
上記課題を鑑み、本発明は、非同期通信を用いる電動パワーステアリング装置の構成において、操作者による操舵感への影響が抑制された制御を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、電動パワーステアリング装置であって、
機構部の操舵軸回りのトルク値を検出するトルクセンサと、
前記トルクセンサにて検出したトルク値を含む通信メッセージを、非同期通信を用いて受信する受信回路と、
前記受信回路にて受信した通信メッセージと、当該受信に係る時刻を示すタイムスタンプとが対応付けられたデータが転送され記憶するメモリと、
前記メモリにて記憶されている通信メッセージのうち、周期的に実行されるアシスト力演算処理に用いるトルク値を導出する導出処理の時刻を基準として設定される所定のタイミングの前後の値を有するタイムスタンプに対応付けられた2つの通信メッセージを用いて内挿補間を行うことより、前記所定のタイミングにおけるトルク値を導出する導出手段と、
前記導出手段にて導出されたトルク値を用いて、前記機構部に対する前記アシスト力演算処理を行う処理手段と、
を有する。
【0008】
また、本発明の別の形態は以下の構成を有する。すなわち、
機構部の操舵軸回りのトルク値を検出するトルクセンサと、
前記トルクセンサにて検出したトルク値を含む通信メッセージを、非同期通信を用いて受信する受信回路と、
前記受信回路にて受信した通信メッセージと、当該受信に係る時刻を示すタイムスタンプとが対応付けられたデータが転送され記憶するメモリと、
を含む電動パワーステアリング装置の制御方法であって、
前記メモリにて記憶されている通信メッセージのうち、周期的に実行されるアシスト力演算処理に用いるトルク値を導出する導出処理の時刻を基準として設定される所定のタイミングの前後の値を有するタイムスタンプに対応付けられた2つの通信メッセージを用いて内挿補間を行うことより、前記所定のタイミングにおけるトルク値を導出する導出工程と、
前記導出工程にて導出されたトルク値を用いて、前記機構部に対する前記アシスト力演算処理を行う処理工程と、
を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、非同期通信を用いる電動パワーステアリング装置の構成において、操作者による操舵感への影響が抑制された制御を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の処理部周りの構成例を示すブロック図。
図2】本発明の一実施形態に係る非同期通信における信号の例を説明するための図。
図3】本発明の一実施形態に係る信号処理のタイミングを説明するためのタイミングチャート。
図4】本発明の一実施形態に係る制御結果を説明するためのグラフ図。
図5】本発明の一実施形態に係る制御結果を説明するためのグラフ図。
図6】本発明の一実施形態に係る制御結果を説明するためのグラフ図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面などを参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を説明するための一実施形態であり、本発明を限定して解釈されることを意図するものではなく、また、各実施形態で説明されている全ての構成が本発明の課題を解決するために必須の構成であるとは限らない。また、各図面において、同じ構成要素については、同じ参照番号を付すことにより対応関係を示す。
【0012】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について説明を行う。なお、本発明は、非同期通信を用いた信号制御に係る装置に広く適用可能であるが、本実施形態では、車両に搭載される電動パワーステアリング装置(EPS:Electric Power Steering)を例に挙げて説明する。また、回路間もしくは装置間の非同期通信の規格は特に限定するものではないが、ここでは公知の非同期通信の規格であるSENT(Single Edge Nibble Transmission)通信を用いた構成を例に挙げて説明する。
【0013】
[構成概要]
図1は、本実施形態に係るEPS100の構成例を示す概略図である。本実施形態に係るEPS100は、操舵軸回りの機構部101、トルクセンサ102、およびECU(Electronic Control Unit)200を含んで構成される。EPS100には、ECU200の制御信号に従って操舵に係るアシスト力を提供するためのモータ103が備えられる。また、EPS100には、そのほか各種部位が備えられてよいが、ここでは省略し、本実施形態に係る構成に着目して説明する。図1ではEPS100は、車両(不図示)に搭載され、車両に別途備えられたECUやそのほかの機構と連携して、車両の走行を実現する。
【0014】
図1において、トルクセンサ102は、検出回路102a,102bによって二重化されており、それぞれが操舵軸(より具体的には、トーションバー)回りのトルク値を検出する。なお、トルクセンサ102は二重化に限定するものではなく、更なる多重化された構成を有してもよい。この場合、一部の検出回路の検出結果を不具合時などに用いるバックアップ用として構成してもよい。本実施形態では、トルクセンサ102としては、TOS(Torque Only Sensor)やTAS(Torque Angle Sensor)などが挙げられる。トルクセンサ102は、検出した信号を非同期通信であるSENT通信によりECU200へ送信する。つまり、本実施形態において、検出回路102a,102bはそれぞれ、SENT通信に対応した送信回路としても動作する。
【0015】
ECU200は、受信回路201、レジスタ202、タイマー203、処理部204、およびメモリ205を含んで構成される。受信回路201は、トルクセンサ102からSENT通信にて送信されてくる信号(通信メッセージ)を受信する。受信回路201は、受信した通信メッセージをレジスタ202に、タイムスタンプと対応付けて記憶する。タイムスタンプとして示される時刻情報は、タイマー203を参照することで得られる。レジスタ202は、受信回路201が受信した通信メッセージとタイムスタンプを一時的に記憶し、所定のタイミングにてメモリ205に渡す。レジスタ202およびメモリ205への各種データの記憶タイミング等については図3を用いて後述する。
【0016】
レジスタ202は、一次記憶領域であり、本実施形態では、SENT通信にて受信した通信メッセージを少なくとも複数記憶できるように構成される。タイマー203は、時間の計測を行い、要求に応じて時刻情報を提供する。処理部204は、例えば、メモリ205に記憶されたプログラムやデータを読み出して実行することにより、各種機能を提供する。本実施形態では、処理部204は、少なくとも後述する制御処理を実現するように構成される。メモリ205は、キャッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)等を含んでよい。本実施形態では、メモリ205は、データの記憶領域として後述するSENT通信の通信メッセージを少なくとも複数記憶できるように構成される。
【0017】
上述したように、図1に示すトルクセンサ102は二重化されており、処理部204等は、いずれの通信信号に対しても同様の処理を実行するように構成してよい。ここでは、一方の信号に着目して説明を行う。
【0018】
[通信構成]
本実施形態では、トルクセンサ102とECU200との間において、非同期通信であるSENT通信を行う。図2は、本実施形態におけるSENT通信の通信メッセージおよび通信時間を説明するための概略図である。SENT通信は公知の規格であるため、詳細な説明は省略し、概略のみを示す。SENT通信では、1つの通信メッセージがSyncパルスから始まり、32ビット長であるステータスニブル(不図示)、Dataニブル及びCRC、とオプションのPauseパルスを含んで構成される。通常、非同期通信の送信側と受信側とは、同等の演算周期が設定されるが、それらにおいてクロック誤差が生じ得る。この場合の誤差として、10%程度が生じ得る。より具体的には、1つの通信メッセージの送受信に際し、以下のような通信時間となりうる。
【0019】
最小通信時間:439[μs](以下、「Smin」と記載する)
標準通信時間:484[μs]
最大通信時間:539[μs](以下、「Smax」と記載する)
【0020】
受信した通信メッセージを用いて処理を行う場合、処理に用いる通信メッセージの入力処理、入力された通信メッセージの信号処理、信号処理がなされた信号を用いたアシスト力演算処理が、所定の周期に従って行われる。一方、SENT通信のような非同期通信においては、送受信を行う装置間において同期がとれないため、上述したような範囲で周期ごとに通信時間の揺らぎが生じ得る。信号処理では、その時点でメモリに保持されている通信メッセージを対象として行われるが、上記のように通信時間に差異が生じている場合、タイミングによっては、処理対象となる通信メッセージにバラツキが生じてしまう。そのため、通信メッセージに基づいて操舵トルクのアシスト力を導出する際にも揺らぎが生じ、特に操舵トルクの変動速度が高い場合には揺らぎによる影響が大きくなる。つまり、トルクセンサではある一定間隔でトルク値を検出しているにもかかわらず、通信時間の揺らぎによって、トルクセンサにて検出されたトルク値を当該一定間隔にて安定して取得することが困難となる。言い換えると、アシスト力の導出処理のタイミングによって、当該導出処理に利用しようとするトルク値の検出タイミングが変動し得る。その結果、導出されたアシスト力をEPS100の機構部101にフィードバックしてアシスト制御した場合、操作者の操舵のフィーリングに影響を生じさせ得る。
【0021】
より具体的に説明する。例えば、入力処理を500μs周期で実施し、信号処理を1ms周期で実施する構成とする。受信回路201は、1つの通信メッセージの受信が完了した時点で、一時的にレジスタ202に格納される。このとき、当該通信メッセージの受信を開始した時点の時刻情報を特定しておく。レジスタ202に格納された情報は、入力処理によりメモリ205へと転送される。
【0022】
メモリ205に記憶されている最新の通信メッセージは、入力処理を開始するタイミングを基準とした場合、最小では439μs前のタイムスタンプが対応付けられた通信メッセージであり、最大では1078(=539×2)μs前のタイムスタンプが対応付けられた通信メッセージとなる。また、メモリ205に記憶されている最新から1つ前の通信メッセージは、入力処理を開始するタイミングを基準とした場合、最小では878(=439×2)μs前のタイムスタンプが受信側にて対応付けられた通信メッセージであり、最大では1617(=539×3)μs前のタイムスタンプが受信側にて対応付けられた通信メッセージとなる。
【0023】
本実施形態では、このような非同期通信における通信時間の差異の発生を考慮して、正確にアシスト制御を行うための信号の特定を行う。特に、タイムスタンプの最大と最小のタイミングを考慮して、疑似的に常に同じタイミングとなる通信メッセージを特定してアシスト力演算に用いる。これにより、非同期通信における通信時間の揺らぎの影響を抑制する。
【0024】
[タイミングチャート]
以下、本実施形態に係る通信メッセージの処理タイミングを、図3のタイミングチャートを用いて説明する。ここでは、3つのケース(ケースA,B,C)を例に挙げて説明する。まず、本実施形態に係る非同期通信の前提について説明する。
【0025】
まず、EPS100の制御のために、処理部204では、入力処理、演算処理(=信号処理+アシスト力演算処理)、電流制御処理、および診断処理が行われるものとする。入力処理は、受信回路201にて受信されてレジスタ202に格納された通信メッセージを、メモリ205に転送する処理である。図3の例では、入力処理(下段の対角ストライブ部)の所要時間は25μsとしている。
【0026】
演算処理は、信号処理とアシスト力演算処理を含み、これらは連続して行われるものとしてまとめて説明する。信号処理は、メモリ205に格納された通信メッセージの中から、アシスト力演算処理に用いる通信メッセージを特定し、アシスト力演算処理にて用いる形式に変換する。本実施形態では、信号処理は、2つの通信メッセージにて示されるデータ(トルク値)を用いて線形補間(内挿補間)を行って、所定のタイミングのトルク値を推定する。アシスト力演算処理は、モータ103を用いたトルク制御のための制御値を信号処理で推定したトルク値を用いて演算する。図3の例では、演算処理(下段のA部)の所要時間は150μsとしている。
【0027】
電流制御処理は、演算処理にて得られたアシスト力に基づいて、モータ103を制御するための電流を制御する。図3の例では、電流制御処理(下段のC部)の所要時間は75μsとしている。
【0028】
診断処理(下段のD1~D6)は、EPS100の動作に係る各種診断処理を含み、ここでは6種類の異なる診断処理を例に挙げて示している。図3の例では、診断処理の所要時間は0.5msとし、演算処理の間に6種類の診断処理が実行されるものとする。なお、診断処理の種類や数、各診断処理の所要時間は一例であり、これに限定するものではない。
【0029】
そして、本実施形態では、処理部204側での各処理の処理周期を以下のように定義する。
入力処理:500μs周期
演算処理(=信号処理+アシスト力演算処理):1ms周期
電流制御処理:250μs周期
診断処理:1ms周期
【0030】
図3では、横軸を時間[μs]とし、入力処理の開始タイミングを基準時間「0」として示している。また、基準時間「0」直後の演算処理(信号処理)の開始タイミングt(=75μs)とした場合、その入力処理と演算処理(信号処理)との時間間隔をT1とする。つまり、入力処理の開始タイミングは、(t-T1)となる。また、時刻における負の値は、基準時刻「0」を基準として過去の値を示す。入力処理において、レジスタ202に格納された通信メッセージおよびタイムスタンプを、メモリ205へ転送し記憶する時刻は、入力処理の開始タイミングからわずかに遅れる。基準時間「0」を入力処理の開始タイミングではなく、通信メッセージをメモリ205への転送記憶する時刻としてよい。時刻tに関しても、演算処理(信号処理)の開始タイミングではなく、開始タイミングからわずかに遅れ、タイマー203から時刻を収得する時刻としてよい。これらタイミングを、入力処理(通信メッセージおよびタイムスタンプのメモリ転送記憶処理)の時刻及び信号処理の時刻と表記する。
【0031】
また、メモリ205では、アシスト力演算のために利用可能なSENT通信の通信メッセージを3つ格納可能なデータ領域が設けられているものとする。便宜上、3つのデータ領域をメモリ[0]、[1]、[2]として示す。データ領域には、SENT通信の通信メッセージと、当該通信メッセージを受信し始めた時点のタイムスタンプが対応付けて格納される。図3では、通信メッセージに対応するタイムスタンプが示すタイミングを△にて示している。また、通信メッセージに含まれるトルク値は、受信を始めた時点に対して前後どちらかにわずかにずれた時点でトルクセンサ102が検出したトルク値である。すなわち、△で示したタイミングに近いタイミングにおけるトルク値が通信メッセージに含まれる。また、図3では、矢印により、各通信メッセージとこれに対応するタイムスタンプがレジスタ202からメモリ205のデータ領域に転送されることを示している。なお、図3においては、タイムスタンプをTimestampとして図示し、通信メッセージをDataとして図示している。次に3つのケースそれぞれについて説明する。なお、以下に示すタイムスタンプの時刻はおおよその値にて示す。
【0032】
(ケースA)
図3に示すケースAの上の例では、3つの通信メッセージ(k-2)~(k)、および、受信中の通信メッセージが示されている。下の例では、4つの通信メッセージ(k-3)~(k)、および、受信中の通信メッセージが示されている。基準時間「0」において、直近のトルクセンサ102にて検出されたトルク値に対応する通信メッセージは受信が未完了、すなわち、レジスタ202に保持される前の状態である。ここでは、各通信メッセージがいずれも通信時間がSmaxである場合と、いずれも通信時間がSminである場合を示している。
【0033】
いずれも通信時間がSmaxである場合、基準時間「0」の入力処理において、メモリの3つのデータ領域には、以下のようにデータが格納されている。
メモリ[0]:通信メッセージ(k-2),タイムスタンプ(k-2)=-2150[μs]
メモリ[1]:通信メッセージ(k-1),タイムスタンプ(k-1)=-1620[μs]
メモリ[2]:通信メッセージ(k),タイムスタンプ(k)=-1080[μs]
【0034】
いずれも通信時間がSminである場合、基準時間「0」の入力処理において、メモリの3つのデータ領域には、以下のようにデータが格納されている。
メモリ[0]:通信メッセージ(k-2),タイムスタンプ(k-2)=-1750[μs]
メモリ[1]:通信メッセージ(k-1),タイムスタンプ(k-1)=-1310[μs]
メモリ[2]:通信メッセージ(k),タイムスタンプ(k)=-880[μs]
【0035】
(ケースB)
図3に示すケースBでは、4つの通信メッセージ(k-3)~(k)、および、受信中の通信メッセージが示されている。基準時間「0」において、直近のトルクセンサ102にて検出されたトルク値に対応する通信メッセージは受信が未完了、すなわち、レジスタ202に保持される前の状態である。ここでは、各通信メッセージがいずれも通信時間が時間S(Smax>S>Smin)である場合を示している。
【0036】
この場合、基準時間「0」の入力処理において、メモリの3つのデータ領域には、以下のようにデータが格納されている。
メモリ[0]:通信メッセージ(k-2),タイムスタンプ(k-2)=-1800[μs]
メモリ[1]:通信メッセージ(k-1),タイムスタンプ(k-1)=-1300[μs]
メモリ[2]:通信メッセージ(k),タイムスタンプ(k)=-800[μs]
【0037】
(ケースC)
図3に示すケースCの上の例では、4つの通信メッセージ(k-3)~(k)が示されている。基準時間「0」において、直近のトルクセンサ102にて検出されたトルク値に対応する通信メッセージ(k)は受信が完了してレジスタ202に保持されており、直後の入力処理にてメモリ205に転送可能な状態である。すなわち、レジスタ202に保持される前の状態である。この場合、基準時間「0」の入力処理において、メモリの3つのデータ領域には、以下のようにデータが格納されている。
メモリ[0]:通信メッセージ(k-2),タイムスタンプ(k-2)=-1620[μs]
メモリ[1]:通信メッセージ(k-1),タイムスタンプ(k-1)=-1080[μs]
メモリ[2]:通信メッセージ(k),タイムスタンプ(k)=-540[μs]
【0038】
図3に示すケースCの下の例では、5つの通信メッセージ(k-4)~(k)が示されている。基準時間「0」において、直近のトルクセンサ102にて検出されたトルク値に対応する通信メッセージ(k)は受信が完了してレジスタ202に保持されており、直後の入力処理にてメモリ205に転送可能な状態である。すなわち、レジスタ202に保持される前の状態である。この場合、基準時間「0」の入力処理において、メモリの3つのデータ領域には、以下のようにデータが格納されている。
メモリ[0]:通信メッセージ(k-2),タイムスタンプ(k-2)=-1320[μs]
メモリ[1]:通信メッセージ(k-1),タイムスタンプ(k-1)=-880[μs]
メモリ[2]:通信メッセージ(k),タイムスタンプ(k)=-440[μs]
【0039】
上記のような各ケースを参照すると、メモリ205に格納されている通信メッセージに対応付けられたタイムスタンプが示す時刻(△の位置)はそれぞれ異なっている。つまり、時刻tにおける演算処理にて用いるセンサ値が取得された時刻は、通信時間の揺らぎや受信側の処理周期によって変動してしまっている。
【0040】
本実施形態では、基準時間「0」直後に開始される演算処理(信号処理)において利用する通信メッセージに対し、基準時間に基づいてある所定のタイミングを設定する。そして、この所定のタイミングの直近前後のタイムスタンプを有する通信メッセージに基づいて内挿補間することで、当該所定のタイミングに対応するデータ(トルク値)を特定する。
【0041】
本実施形態において、所定のタイミングを以下のように定義する。
所定のタイミング=(t-T1-T2)
T2=Smax×2+α (Smax×2<T2<Smax×3)
t:信号処理の時刻
T1:入力処理(通信メッセージおよびタイムスタンプのメモリ転送記憶処理)の時刻と信号処理の時刻との時間間隔
α:固定パラメータ
Smax:非同期通信(SENT通信)の最大通信時間
なお、αは、処理タイミングの遅れやバラツキを考慮して設定してよい。
【0042】
図3の例の場合、(t-T1)=0とした場合、各パラメータは以下のように設定できる。
T1:75[μs]
α:22[μs]
Smax:539[μs]
T2=Smax×2+α=539×2+22=1100[μs]
所定のタイミング=-T2=-1100[μs]
【0043】
上記の所定のタイミングに基づいて、メモリ205に保持されている通信メッセージの特定を行う。メモリの3つのデータ領域に格納されたタイムスタンプと所定のタイミングを比較し、所定のタイミングの直近前後となる2つのメモリが特定される。上記の各ケースにおいてはそれぞれ以下のように通信メッセージが特定される。
【0044】
(ケースAの上の例の場合)
通信メッセージ(k-1)のData(k-1),タイムスタンプ(k-1)=-1620[μs]
通信メッセージ(k)のData(k),タイムスタンプ(k)=-1080[μs]
【0045】
(ケースAの下の例の場合)
通信メッセージ(k-1)のData(k-1),タイムスタンプ(k-1)=-1310[μs]
通信メッセージ(k)のData(k),タイムスタンプ(k)=-880[μs]
【0046】
(ケースBの場合)
通信メッセージ(k-1)のData(k-1),タイムスタンプ(k-1)=-1300[μs]
通信メッセージ(k)のData(k),タイムスタンプ(k)=-800[μs]
【0047】
(ケースCの上の例の場合)
通信メッセージ(k-2)のData(k-2),タイムスタンプ(k-2)=-1620[μs]
通信メッセージ(k-1)のData(k-1),タイムスタンプ(k-1)=-1080[μs]
【0048】
(ケースCの下の例の場合)
通信メッセージ(k-2)のData(k-2),タイムスタンプ(k-2)=-1320[μs]
通信メッセージ(k-1)のData(k-1),タイムスタンプ(k-1)=-880[μs]
【0049】
更に、基準時間「0」直後に開始される演算処理(信号処理)において、選択された上記の2つの通信メッセージのデータを用いて線形補間(内挿補間)を行うことにより、上記の所定のタイミングに対応するトルク値Dataを導出する。ここでの線形補間は以下の式のように定義することができる。
【0050】
【数1】
【0051】
つまり、図3に示すようなアシスト力演算処理では、上記の内挿補間により得られたトルク値を用いてアシスト力を導出する。なお、図1に示したようにトルクセンサ102は二重化されているため、それぞれの検出値に対応して、所定のタイミングにおけるトルク値を導出する。そしてこれらのトルク値を用いて、平均化やノイズ除去などを行って、最終的なアシスト力に対する制御値を導出してよい。
【0052】
[演算例]
図4図6を用いて、本実施形態に係る制御の例を説明する。図4図6において、横軸は時刻[s]を示し、縦軸は信号値を示す。各図では、受信データにて示されるトルク値と、受信データに基づいて内挿補間によるトルク値とを示している。各データを取得したタイミング(タイムスタンプが示す時刻及び所定のタイミング)にてプロットし、それぞれを直線で結んでいる。
【0053】
図4は、ある特定の基本周波数と基本振幅をもつ正弦波に、ノイズを模擬した基本周波数より高い周波数と基本振幅より小さい振幅を持つ正弦波を重畳した信号を例としている。図4に示すように、受信データにて示されるトルク値と、内挿補間によるトルク値はほぼ同様の値を示すことができている。そのため、内挿補間に基づいてアシスト力を導出した際には、受信データ、すなわち、トルクセンサ102にて検出した値そのものに基づいてアシスト力を導出した場合と同等の制御量を実現することができる。
【0054】
図5および図6は、受信データにて示されるトルク値と、内挿補間によるトルク値との関係を示す別の例を示す。図6は、図5におけるt1周りを拡大した図である。一例として、t1の時点をアシスト力演算処理のタイミングとする。また、この時点t1において、受信データ601は、データの受信が完了していないため、アシスト力演算処理には利用できないものとする。
【0055】
この場合において、まず、上述した処理により、受信データ602と受信データ603を特定した上で、内挿補間によりトルク値604を導出する。そして、時点t1におけるアシスト力演算処理では、トルク値604を用いてアシスト力を演算する。その結果、図5にも示すように、受信データにて示されるトルク値を同等の値を内挿補間により導出しつつ、非同期通信による通信の遅れを安定化、すなわち、ほぼ一定とすることが可能となる。
【0056】
以上、本実施形態により、非同期通信における通信時間の揺らぎの影響を抑制した上で、制御値を導出することが可能となる。例えば、電動パワーステアリング装置においては、通信時間の揺らぎによる制御値の遅れ(ズレ)を抑制することが可能となり、操作者の操舵に係る違和感を抑制することが可能となる。また、トルクセンサにて検出した値をそのまま用いた場合と同等の精度で制御値、すなわち、アシスト力を導出することが可能となる。
【0057】
<その他の実施形態>
上記の実施形態では、モータ制御装置の例として、EPSを例に挙げて説明した。しかし、本発明は他の装置にも適用可能であり、例えば、直動機構の電動アクチュエータ装置などモータを含む装置を対象としてもよい。また例えば、車両のブレーキを制御する電動アクチュエータ装置に用いてもよい。
【0058】
また、本発明において、上述した実施形態の機能を実現するためのプログラムやアプリケーションを、ネットワーク又は記憶媒体等を用いてシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。
【0059】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0060】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 電動パワーステアリング装置(例えば、100)であって、
機構部(例えば、101)の操舵軸回りのトルク値を検出するトルクセンサ(例えば、102)と、
前記トルクセンサにて検出したトルク値を含む通信メッセージを、非同期通信を用いて受信する受信回路(例えば、201)と、
前記受信回路にて受信した通信メッセージと、当該受信に係る時刻を示すタイムスタンプとが対応付けられたデータが転送され記憶するメモリ(例えば、205)と、
前記メモリにて記憶されている通信メッセージのうち、周期的に実行されるアシスト力演算処理に用いるトルク値を導出する導出処理の時刻を基準として設定される所定のタイミングの前後の値を有するタイムスタンプに対応付けられた2つの通信メッセージを用いて内挿補間を行うことより、前記所定のタイミングにおけるトルク値を導出する導出手段(例えば、204)と、
前記導出手段にて導出されたトルク値を用いて、前記機構部に対する前記アシスト力演算処理を行う処理手段(例えば、204)と、
を有する電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、非同期通信を用いる電動パワーステアリング装置の構成において、操作者による操舵感への影響が抑制された制御を実現することが可能となる。
【0061】
(2) 前記所定のタイミングは、以下の式にて定義される、(1)に記載の電動パワーステアリング装置。
所定のタイミング=(t-T1-T2)
T2=Smax×2+α (Smax×2<T2<Smax×3)
t:導出処理の時刻
T1:データのメモリ転送記憶処理の時刻と導出処理の時刻との時間間隔
α:固定値
Smax:非同期通信の最大通信時間
この構成によれば、所定のタイミングにおいて安定してアシスト力演算のための通信メッセージを特定して利用することができ、非同期通信の通信時間の揺らぎを抑制することが可能となる。
【0062】
(3) 前記受信回路は、前記非同期通信を用いて1つの通信メッセージの受信が完了した時点で、当該1つの通信メッセージと、当該1つの通信メッセージの受信に係る時刻を示すタイムスタンプと対応付けてレジスタ(例えば、202)に記憶し、
前記レジスタに記憶された情報は、周期的に実行される入力処理により、前記メモリに転送される、(1)または(2)に記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、レジスタからメモリへの通信メッセージの周期的な転送処理のタイミングを考慮して、電動パワーステアリング装置の制御を実現することが可能となる。
【0063】
(4) 前記メモリは、通信メッセージとタイムスタンプとの対のデータを少なくとも3つ記憶可能なデータ領域を含むように構成される、(1)から(3)のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、通信メッセージとタイムスタンプとの対のデータを少なくとも3つ記憶可能なデータ領域を備えた最小限でのメモリの記憶領域により、電動パワーステアリング装置の制御が可能となる。
【0064】
(5) 前記非同期通信は、SENT(Single Edge Nibble Transmission)通信である、(1)から(4)のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、非同期通信としてのSENT通信を対象として、電動パワーステアリング装置の制御が可能となる。
【0065】
(6) 前記トルクセンサは多重化され、
前記導出手段は、
多重化により検出された複数の通信メッセージそれぞれを用いて複数のトルク値を導出し、
さらに前記複数のトルク値を用いてノイズ除去および平均化処理の少なくともいずれかを行うことにより、前記アシスト力演算処理に用いられるトルク値を導出する、(1)から(5)のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、多重化されたトルクセンサの値を用いてより精度の高いアシスト力演算処理のためのトルク値を導出することが可能となる。
【0066】
(7) 機構部(例えば、101)の操舵軸回りのトルク値を検出するトルクセンサ(例えば、102)と、
前記トルクセンサにて検出したトルク値を含む通信メッセージを、非同期通信を用いて受信する受信回路(例えば、201)と、
前記受信回路にて受信した通信メッセージと、当該受信に係る時刻を示すタイムスタンプとが対応付けられたデータが転送され記憶するメモリ(例えば、205)と、
を含む電動パワーステアリング装置(例えば、100)の制御方法であって、
前記メモリにて記憶されている通信メッセージのうち、周期的に実行されるアシスト力演算処理に用いるトルク値を導出する導出処理の時刻を基準として設定される所定のタイミングの前後の値を有するタイムスタンプに対応付けられた2つの通信メッセージを用いて内挿補間を行うことより、前記所定のタイミングにおけるトルク値を導出する導出工程と、
前記導出工程にて導出されたトルク値を用いて、前記機構部に対する前記アシスト力演算処理を行う処理工程と、
を有する電動パワーステアリング装置の制御方法。
この構成によれば、非同期通信を用いる電動パワーステアリング装置の構成において、操作者による操舵感への影響が抑制された制御を実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0067】
100…EPS(Electric Power Steering)
101…機構部
102…トルクセンサ
103…モータ
200…ECU(Electronic Control Unit)
201…受信回路
202…レジスタ
203…タイマー
204…処理部
205…メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6