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特開2025-31327汚物処理装置、汚物抜き取り装置およびタンク給水装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031327
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】汚物処理装置、汚物抜き取り装置およびタンク給水装置
(51)【国際特許分類】
   B61D 35/00 20060101AFI20250228BHJP
【FI】
B61D35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137483
(22)【出願日】2023-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】597096644
【氏名又は名称】株式会社JR東日本テクノハートTESSEI
(71)【出願人】
【識別番号】592145268
【氏名又は名称】JR東日本コンサルタンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003982
【氏名又は名称】弁理士法人来知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(72)【発明者】
【氏名】安田 満治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 泰時
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 恵理子
(72)【発明者】
【氏名】原田 素規
(57)【要約】
【課題】従来、作業員による手作業で行っていた汚物抜き取り作業およびタンク給水作業を代替する装置を提供する。
【解決手段】列車の汚物タンクの汚物を処理する装置3であって、前記汚物タンクの排出口6または給水口7の位置を特定する位置特定機構10と、列車進行方向に移動可能な移動機構20と、前記汚物タンクから汚物を抜き取る汚物抜き取り機構30,40,50と、前記汚物タンクへ給水するタンク給水機構70,80,90と、各機構の動作を制御する制御部120と、を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の汚物タンクの汚物を処理する装置であって、
前記汚物タンクの排出口または給水口の位置を特定する位置特定機構と、
列車進行方向に移動可能な移動機構と、
前記汚物タンクから汚物を抜き取る汚物抜き取り機構と、
前記汚物タンクへ給水するタンク給水機構と、
各機構の動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする汚物処理装置。
【請求項2】
前記汚物抜き取り機構は、
汚物抜き取りホースを排出口方向前後に移動させる汚物抜き取りホース移動機構と、
前記汚物抜き取りホースの先端に設けられ、前記排出口と接続する接続機構と、
前記排水口のコックを開閉するコック開閉機構と、
を有する
ことを特徴とする請求項1記載の汚物処理装置。
【請求項3】
前記タンク給水機構は、
前記給水口のキャップを取り外すキャップ取り外し機構と、
給水ホースを給水口方向前後に移動させる給水ホース移動機構と、
前記給水ホースの先端を加締める加締め機構と、
前記給水ホースを介して給水する給水機構と、
を有する
ことを特徴とする請求項1記載の汚物処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記位置特定機構に排出口または給水口の位置を特定させる処理と、
前記排出口または給水口に対応するように移動機構に移動させる処理と、
前記汚物抜き取り機構に汚物タンクから汚物を抜き取らせる処理と、
前記汚物抜き取り機構の処理に連動させて、前記タンク給水機構に前記汚物タンクへ給水させる処理と、
を実行する
ことを特徴とする請求項1記載の汚物処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記汚物抜き取りホース移動機構に前記汚物抜き取りホースを排出口方向に前進させる処理と、
前記接続機構に前記汚物抜き取りホース先端と前記排出口とを接続させる処理と、
前記コック開閉機構に前記排水口のコックを開閉させる処理と、
を実行する
ことを特徴とする請求項2記載の汚物処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記キャップ取り外し機構に前記給水口のキャップを取り外させる処理と、
前記給水ホース移動機構に前記給水ホースを給水口方向に前進させる処理と、
前記加締め機構に前記給水ホース先端を加締めさせる処理と、
前記給水機構に、給水させる処理と、
を実行する
ことを特徴とする請求項3記載の汚物処理装置。
【請求項7】
列車の汚物タンクから汚物を抜き取る装置であって、
前記汚物タンクの排出口の位置を特定する位置特定機構と、
列車進行方向に移動可能な移動機構と、
ホースを排出口方向前後に移動させるホース移動機構と、
前記ホースの先端に設けられ、前記排出口と接続する接続機構と、
前記排水口のコックを開閉するコック開閉機構と、
各機構の動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする汚物抜き取り装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記位置特定機構に排出口の位置を特定させる処理と、
前記排出口と前記ホース先端が対向するように移動機構に移動させる処理と、
前記ホース移動機構に前記ホースを排出口方向に前進させる処理と、
前記接続機構に前記ホース先端と前記排出口とを接続させる処理と、
前記コック開閉機構に前記排水口のコックを開閉させる処理と、
を実行する
ことを特徴とする請求項7記載の汚物抜き取り装置。
【請求項9】
列車の汚物タンクに給水する装置であって、
前記汚物タンクの給水口の位置を特定する位置特定機構と、
列車進行方向に移動可能な移動機構と、
前記給水口のキャップを取り外すキャップ取り外し機構と、
ホースを給水口方向前後に移動させるホース移動機構と、
前記ホースの先端を加締める加締め機構と、
前記ホースを介して給水する給水機構と、
各機構の動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするタンク給水装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記位置特定機構に給水口の位置を特定させる処理と、
前記給水口と前記キャップ取り外し機構が対向するように移動機構に移動させる処理と、
前記キャップ取り外し機構に前記給水口のキャップを取り外させる処理と、
前記ホース移動機構に前記ホースを給水口方向に前進させる処理と、
前記加締め機構に前記ホース先端を加締めさせる処理と、
前記給水機構に、給水させる処理と、
を実行する
ことを特徴とする請求項9記載のタンク給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は汚物処理装置に関り、主に鉄道車両用汚物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機・バス・鉄道などの長距離移動に提供されている交通機関にはトイレおよび汚物タンクが備えられており、移動中の乗客の排泄物等(汚水含む)を汚物タンクに溜めておく(例えば特許文献1)。汚水タンクには排出口と給水口を有する。
【0003】
鉄道車両では、車両基地に設備された給排水設備にて、汚物を抜き取るとともに、タンクに給水し洗浄する。抜き取られた汚物は地上側に整備された汚水処理層へ放流される。
【0004】
従来技術において、汚物抜き取り作業およびタンク給水作業は作業員による手作業により行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許7011693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、鉄道車両では、複数の車両が連結しており、車両軸方向に長く、複数の汚物タンクが車両軸方向に存在する。その結果、作業エリアも車両軸方向に長く、相対的に、車両軸直交方向に短くなり、狭くなりがちである。
【0007】
狭い作業エリアにおいて、特にホースの取り回し等は困難であり、作業員の負担となっている。その他、汚物の臭い、夏場の高温下での作業等も作業員の負担となっている。
【0008】
本発明は上記課題を解決するものであり、従来、作業員による手作業で行っていた汚物抜き取り作業およびタンク給水作業を代替する装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は、列車の汚物タンクの汚物を処理する汚物処理装置である。前記汚物タンクの排出口または給水口の位置を特定する位置特定機構と、列車進行方向に移動可能な移動機構と、前記汚物タンクから汚物を抜き取る汚物抜き取り機構と、前記汚物タンクへ給水するタンク給水機構と、各機構の動作を制御する制御部と、を備える。
【0010】
これにより、従来、作業員による手作業で行っていた汚物抜き取り作業およびタンク給水作業を代替できる。
【0011】
上記発明において好ましくは、前記汚物抜き取り機構は、汚物抜き取りホースを排出口方向前後に移動させる汚物抜き取りホース移動機構と、前記汚物抜き取りホースの先端に設けられ、前記排出口と接続する接続機構と、前記排水口のコックを開閉するコック開閉機構と、を有する。
【0012】
これにより、従来、作業員による手作業で行っていた汚物抜き取り作業を代替できる。
【0013】
上記発明において好ましくは、前記タンク給水機構は、前記給水口のキャップを取り外すキャップ取り外し機構と、給水ホースを給水口方向前後に移動させる給水ホース移動機構と、前記給水ホースの先端を加締める加締め機構と、前記給水ホースを介して給水する給水機構と、を有する。
【0014】
これにより、従来、作業員による手作業で行っていたタンク給水作業を代替できる。
【0015】
上記発明において好ましくは、前記制御部は、前記位置特定機構に排出口または給水口の位置を特定させる処理と、前記排出口または給水口に対応するように移動機構に移動させる処理と、前記汚物抜き取り機構に汚物タンクから汚物を抜き取らせる処理と、前記汚物抜き取り機構の処理に連動させて、前記タンク給水機構に前記汚物タンクへ給水させる処理と、を実行する。
【0016】
これにより、従来では別々の作業であった汚物抜き取り作業とタンク給水作業とを一連の作業で行うことができる。
【0017】
上記発明において好ましくは、前記制御部は、前記汚物抜き取りホース移動機構に前記汚物抜き取りホースを排出口方向に前進させる処理と、前記接続機構に前記汚物抜き取りホース先端と前記排出口とを接続させる処理と、前記コック開閉機構に前記排水口のコックを開閉させる処理と、を実行する。
【0018】
これにより、汚物抜き取り作業に係る一連の処理を実行できる。
【0019】
上記発明において好ましくは、前記制御部は、前記キャップ取り外し機構に前記給水口のキャップを取り外させる処理と、前記給水ホース移動機構に前記給水ホースを給水口方向に前進させる処理と、前記加締め機構に前記給水ホース先端を加締めさせる処理と、前記給水機構に、給水させる処理と、を実行する。
【0020】
これにより、タンク給水作業に係る一連の処理を実行できる。
【0021】
上記課題を解決する本発明は、列車の汚物タンクから汚物を抜き取る汚物抜き取り装置である。前記汚物タンクの排出口の位置を特定する位置特定機構と、列車進行方向に移動可能な移動機構と、ホースを排出口方向前後に移動させるホース移動機構と、前記ホースの先端に設けられ、前記排出口と接続する接続機構と、前記排水口のコックを開閉するコック開閉機構と、各機構の動作を制御する制御部と、を備える。
【0022】
これにより、従来、作業員による手作業で行っていた汚物抜き取り作業を代替できる。
【0023】
上記発明において好ましくは、前記制御部は、前記位置特定機構に排出口の位置を特定させる処理と、前記排出口と前記ホース先端が対向するように移動機構に移動させる処理と、前記ホース移動機構に前記ホースを排出口方向に前進させる処理と、前記接続機構に前記ホース先端と前記排出口とを接続させる処理と、前記コック開閉機構に前記排水口のコックを開閉させる処理と、を実行する。
【0024】
これにより、汚物抜き取り作業に係る一連の処理を実行できる。
【0025】
上記課題を解決する本発明は、列車の汚物タンクに給水するタンク給水装置であって、前記汚物タンクの給水口の位置を特定する位置特定機構と、列車進行方向に移動可能な移動機構と、前記給水口のキャップを取り外すキャップ取り外し機構と、ホースを給水口方向前後に移動させるホース移動機構と、前記ホースの先端を加締める加締め機構と、前記ホースを介して給水する給水機構と、各機構の動作を制御する制御部と、を備える。
【0026】
これにより、従来、作業員による手作業で行っていたタンク給水作業を代替できる。
【0027】
上記発明において好ましくは、前記制御部は、前記位置特定機構に給水口の位置を特定させる処理と、前記給水口と前記キャップ取り外し機構が対向するように移動機構に移動させる処理と、前記キャップ取り外し機構に前記給水口のキャップを取り外させる処理と、前記ホース移動機構に前記ホースを給水口方向に前進させる処理と、前記加締め機構に前記ホース先端を加締めさせる処理と、前記給水機構に、給水させる処理と、を実行する。
【0028】
これにより、タンク給水作業に係る一連の処理を実行できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の装置によれば、従来、作業員による手作業で行っていた汚物抜き取り作業およびタンク給水作業を代替できる。その結果、作業員の負担を大幅に軽減できるととともに、作業時間を大幅に短縮できる。
【0030】
なお、鉄道車両側の改造は不要であり、直ちに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】汚物抜き取り装置構成図(第1実施形態)
図2】排出口接続機構構成図
図3】コック開閉機構構成図
図4】機能ブロック図
図5】制御フロー図
図6】タンク給水装置構成図(第2実施形態)
図7】キャップ取り外し機構動作説明図
図8】キャップ取り外し機構動作説明図
図9】加締機構構成図
図10】機能ブロック図
図11】制御フロー図
図12】汚物処理装置構成図(第3実施形態)
図13】機能ブロック図
図14】制御フロー図
図15】汚物タンク外観図
【発明を実施するための形態】
【0032】
<第1実施形態>
~構成~
【0033】
図1は汚物抜き取り装置の構成図である。正面図と側面図である。
【0034】
汚物抜き取り装置1は、位置特定機構10と、下部移動機構20と、上部移動機構30と、排出口接続機構40と、コック開閉機構50と、制御部100とから構成される。
【0035】
位置特定機構10は、汚物タンクの排出口6の位置を特定する。図示の例では、2つのアーム11,11とリンク機構からなる。アームが開き汚物タンクボックス内壁にて反力を取ると、排出口6中心と汚物抜き取りホースの中心とが一致する。
【0036】
近年は、カメラにより画像解析技術が進んでおり、これを利用して、汚物タンクの排出口6の位置を特定してもよい。
【0037】
下部移動機構20は、装置全体を移動可能とする。図示の例では、2つのアームが汚物タンクボックス内壁にて反力を取ると、アームの動作に従動して、車輪が列車長手方向に移動する。下部移動機構20は制止部を有する。制止部が作動すると、装置自重との相互作用により、移動は制限される。また、基本的に列車直交(列車短手)方向には移動しない。
【0038】
上部移動機構30は下部移動機構に対し、上部機構(汚物抜き取りホース、排出口接続機構40、コック開閉機構50を含む)を排出口方向(列車直交方向)前後に移動させる。例えば、下部移動機構20から立設された支柱の上部にレール31が設けられ、レール31を介して上部機構が移動する。
【0039】
排出口接続機構40は、汚物抜き取りホースの先端に設けられ、排出口6と接続する。
【0040】
図2は、排出口接続機構40の構成図である。正面図と側面図である。排出口接続機構40は、回動部41と、回転打撃部42と、打撃受け部43と、螺号部44とからなる。
【0041】
回動部41は、ホースに対しホース周りに、回転打撃部42を回動させる。打撃受け部43は螺号部44と一体に設けられている。回転打撃部42は回動し、打撃受け部43に衝突する。その反力により、打撃受け部43は回動し、螺号部44は排出口6内の螺号部と螺号する。
【0042】
これにより、汚物抜き取りホースと排出口6とが接続する。他の手段により接続してもよい。
【0043】
また、回動部41が回転打撃部42を逆方向に回動させることにより、螺号が解除され、接続は解除される。
【0044】
コック開閉機構50は排水口6のコックを開閉する。
【0045】
図3は、コック開閉機構50の動作説明図である。コック開状態とコック閉状態の正面図と側面図である。コック開閉機構50は、往復運動部51と、リンク部52と、回動部53とからなる。
【0046】
往復運動部51はシリンダに往復運動させる。往復運動部51はリンク部52を介して回動部53と連動する。すなわち、リンクを介して往復運動が回動に変換される。
【0047】
回動部53はコック把持部を有し、コック開状態からコック閉状態へ、または、コック閉状態からコック開状態へ回動する。
【0048】
制御部100は、位置特定機構10、下部移動機構20、上部移動機構30、排出口接続機構40、コック開閉機構50の動作を制御する。
【0049】
図4は、制御部100の機能ブロック図である。制御部100は、位置特定部101と下部移動部102と上部移動部103と排出口接続部104とコック開閉部105とを有する。
【0050】
位置特定部101は位置特定機構10の動作を制御する。下部移動部102は位置特定部101処理と連動して、下部移動機構20の動作を制御する。上部移動部103は下部移動部102の処理後、上部移動機構30の動作を制御する。排出口接続部104は上部移動部103の処理後または連動して、排出口接続機構40の動作を制御する。コック開閉部105は排出口接続部104の処理後、コック開閉機構50の動作を制御する。
【0051】
~動作~
図5は、制御部100による動作制御フロー図である。フローに基づき動作を説明する。
【0052】
位置特定機構10は、汚物タンクの排出口6の位置を特定する(ステップS11)。
【0053】
位置特定後、排出口6中心と汚物抜き取りホースの中心とが一致するように、下部移動機構20は列車長手方向に移動し、制止する(ステップS12)。
【0054】
下部移動機構制止後、上部移動機構30は、汚物抜き取りホースを含む上部機構を排出口方向に前進させる(ステップS13)。これにより、汚物抜き取りホース先端と排出口6とが近接する。
【0055】
汚物抜き取りホースを所定位置に配置した後、排出口接続機構40は、汚物抜き取りホースと排出口6とを接続する(ステップS14)。
【0056】
接続完了後、コック開閉機構50は、コック閉状態からコック開状態へとする(ステップS15)。
【0057】
これにより、汚物タンク内外が連通し、汚物抜き取りホースを介して、汚物タンク内の汚物は自然流下する。
【0058】
過去の経験に基づく適正時間経過、タンクに設けられた残量センサ(付番省略)、排出口に設けられた流量計(付番省略)等による判断指標に基づき、汚物抜き取り作業は終了する(ステップS16)。
【0059】
コック開閉機構50は、コック開状態からコック閉状態へとする(ステップS17)。これにより、汚物タンク内外は遮断される。
【0060】
コック閉状態後、排出口接続機構40は、汚物抜き取りホースと排出口6との接続を解除する(ステップS18)。
【0061】
接続解除後、上部移動機構30は、汚物抜き取りホースを含む上部機構を排出口から後退させる(ステップS19)。
【0062】
次の汚物抜き取りのためこのまま待機してもよいが、下部移動機構20は制止を解除し、列車長手方向に適切な位置に移動してもよい。
【0063】
~効果~
従来、作業員による手作業であった汚物抜き取り作業に係る一連の動作を本願装置は実行できる。これにより作業員の負担を大幅に軽減できる。その結果、作業時間を短縮できる。
【0064】
本願装置において、列車長手方向へ移動は限定的である。一方、上部移動機構30とコック開閉機構50とは列車直交に動作する。特に、コック開閉機構50は往復運動を回動に変換する。排出口接続機構40はホース軸回りの回動である。これら一連の動作は、狭い範囲であっても互いに干渉しない。
【0065】
これによりホース取り回し等は不要であり、狭い作業エリアを有効活用できる。
【0066】
<第2実施形態>
~構成~
図6はタンク給水装置の構成図である。正面図と側面図である。
【0067】
タンク給水装置2は、位置特定機構(付番省略)と、下部移動機構60と、キャップ取り外し機構70と、上部移動機構80と、加締機構90と、制御部110と、給水機構(付番省略)から構成される。
【0068】
位置特定機構は、汚物タンクの給水口7の位置を特定する。汚物抜き取り装置1の位置特定機構10を転用できるため、詳細を省略する。
【0069】
下部移動機構60は、装置全体を移動可能とする。位置特定機構と連動して、車輪が列車長手方向に移動する。下部移動機構20は制止部を有する。制止部が作動すると、装置自重との相互作用により、移動は制限される。また、基本的に列車直交(列車短手)方向には移動しない。
【0070】
キャップ取り外し機構70は、給水ホースと上下平行に設けられ、給水口7のキャップ8を取り外す。
【0071】
図7は、キャップ取り外し機構70の構成図および動作説明図であり、側面図である。上図は取り外し直前であり、下図はキャップ保持時である。
【0072】
キャップ取り外し機構70は、往復運動部71と、リンク部72と、下顎部73と、上顎部74とからなる。
【0073】
往復運動部71はシリンダに往復運動させる。往復運動部71はリンク部72を介して上顎部74と連動する。すなわち、リンクを介して往復運動が回動に変換される。
【0074】
下顎部73と上顎部74とは上下に併設される。下顎部73は固定されているのに対し、上顎部74は回動する。下顎部73がキャップ8下側を抑えた状態で上顎部74が回動し、キャップ8上側を抑えることにより、キャップ8を挟み込む。
【0075】
図8は、キャップ取り外し機構70の別の動作説明図である。上下動作及び前後動作を矢印で示す。キャップ取り外し機構70と給水ホースとは、上下平行に設けられ、それぞれ給水口7と対向するように上下動可能である。また、下顎部73がキャップ8下側位置となるように、また、挟持したキャップ8を抜き取るように、前後に移動可能である。
【0076】
なお、キャップ取り外し機構70の上下移動や前後移動は上部移動機構80と連動してもよいし、キャップ取り外し機構70単独動作でもよい。
【0077】
上部移動機構80は下部移動機構に対し、上部機構(給水ホース、キャップ取り外し機構70、加締機構90を含む)を給水口方向(列車直交方向)前後に移動させる。例えば、下部移動機構60から立設された支柱の上部にレール81が設けられ、レール81を介して上部機構が移動する。
【0078】
加締機構90は、ホース先端側に設けられ、ホースの先端を加締める。
【0079】
図9は、加締機構90の構成図である。正面図と平面図を示す。加締機構90は、往復運動部91とリンク部92と締部93とからなる。
【0080】
往復運動部91はシリンダに往復運動させる。往復運動部91はリンク部92を介して締部93と連動する。すなわち、リンクを介して往復運動が回動に変換される。
【0081】
締部93は右半体と左半体からなり、2つの半体が回動することにより、半体の先端同士が遠ざかったり近づいたりする。先端同士が近づくと締部93はホース先端を締め、先端同士が遠ざかると締部93はホース先端を緩める。
【0082】
制御部110は、位置特定機構(付番省略)、下部移動機構60、キャップ取り外し機構70、上部移動機構80、加締機構90の動作を制御する。
【0083】
図10は、制御部110の機能ブロック図である。制御部110は、位置特定部111と下部移動部112とキャップ取り外し部113と上部移動部114と加締部115と給水部116とを有する。
【0084】
位置特定部111は位置特定機構の動作を制御する。下部移動部112は位置特定部101処理と連動して、下部移動機構60の動作を制御する。キャップ取り外し部113は下部移動部112の処理後、キャップ取り外し機構70の動作を制御する。上部移動部114はキャップ取り外し部113の処理後または連動して、上部移動機構80の動作を制御する。加締部115は上部移動部114の処理後、加締機構90の動作を制御する。給水部116は加締部115の処理後、給水機構の動作を制御する。
【0085】
~動作~
図11は、制御部110による動作制御フロー図である。フローに基づき動作を説明する。
【0086】
位置特定機構(付番省略)は、汚物タンクの給水口7の位置を特定する(ステップS21)。
【0087】
位置特定後、給水口7とキャップ取り外し機構70とが対向するように、下部移動機構60は列車長手方向に移動し、制止する(ステップS22)。
【0088】
下部移動機構制止後、キャップ取り外し機構70は、給水口7のキャップまで移動し、キャップを取り外す(ステップS23)。キャップ取り外し機構70は、キャップを保持したまま下降し、給水口7の前から去る。
【0089】
キャップ取り外し後、上部移動機構30は、給水口7と給水ホースとが対向するように、給水ホースを下降させ、さらに、給水ホースを給水口方向に前進させ、給水口にホースを取り付ける(ステップS24)。
【0090】
給水口にホースを取り付けた後、加締機構90はホース先端を加締め(ステップS25)、これにより、汚物タンク内外が連通し、給水ホースを介して、給水機構は給水を開始する。
【0091】
過去の経験に基づく適正時間経過、タンクに設けられた容量センサ(付番省略)、給水口に設けられた流量計(付番省略)等による判断指標に基づき、給水作業は終了する(ステップS26)。
【0092】
給水作業終了に伴い、加締機構90はホース先端の加締めを緩め(ステップS27)、上部移動機構30は、給水ホースを給水口から後退させ、給水口からホースを取り外す。さらに、給水ホースを上昇させる(ステップS28)。ホースは給水口7の前から去る。
【0093】
キャップ取り外し機構70は、給水口7のキャップまで移動し、キャップを取りつける(ステップS29)。
【0094】
次の汚物抜き取りのためこのまま待機してもよいが、下部移動機構60は制止を解除し、列車長手方向に適切な位置に移動してもよい。
~効果~
【0095】
従来、作業員による手作業であったタンク給水作業に係る一連の動作を本願装置は実行できる。これにより作業員の負担を大幅に軽減できる。その結果、作業時間を短縮できる。
【0096】
本願装置において、列車長手方向へ移動は限定的である。一方、キャップ取り外し機構70と、上部移動機構80と、加締機構90とは列車直交に動作する。特に、キャップ取り外し機構70と、加締機構90は往復運動を回動に変換する。これら一連の動作は、狭い範囲であっても互いに干渉しない。
【0097】
これによりホース取り回し等は不要であり、狭い作業エリアを有効活用できる。
【0098】
<第3実施形態>
~構成~
図12は汚物処理装置の構成図である。正面図と側面図である。
【0099】
汚物処理装置3は、汚物抜き取り装置1の主要機能とタンク給水装置2の主要機能を併せ持つ。具体的には、位置特定機構10と、下部移動機構20と、上部移動機構30と、排出口接続機構40と、コック開閉機構50と、キャップ取り外し機構70と、上部移動機構80と、加締機構90と、制御部120と、給水機構(付番省略)から構成される。
【0100】
第1実施形態及び第2実施形態と同じ構成(近似含む)は同じ付番とする。特に言及しない限り、各構成の詳細は第1実施形態及び第2実施形態を参照する。
【0101】
制御部120は、位置特定機構10、下部移動機構20、上部移動機構30、排出口接続機構40、コック開閉機構50、キャップ取り外し機構70、上部移動機構80、加締機構90の動作を制御する。
【0102】
図13は、制御部120の機能ブロック図である。制御部120は、位置特定部101と下部移動部102と上部移動部103と排出口接続部104とコック開閉部105とキャップ取り外し部113と上部移動部114と加締部115と給水部116とを有する。
【0103】
位置特定部101は位置特定機構10の動作を制御する。下部移動部102は位置特定部101処理と連動して、下部移動機構20の動作を制御する。上部移動部103は下部移動部102の処理後、上部移動機構30の動作を制御する。排出口接続部104は上部移動部103の処理後または連動して、排出口接続機構40の動作を制御する。コック開閉部105は排出口接続部104の処理後、コック開閉機構50の動作を制御する。
【0104】
キャップ取り外し部113はコック開閉部105の処理後、キャップ取り外し機構70の動作を制御する。上部移動部114はキャップ取り外し部113の処理後または連動して、上部移動機構80の動作を制御する。加締部115は上部移動部114の処理後、加締機構90の動作を制御する。給水部116は加締部115の処理後、給水機構の動作を制御する。
【0105】
制御部120は、汚物抜き取り機構30,40,50に係る制御に連動させて、タンク給水機構70,80,90の係る制御処置を行う。
【0106】
上記の例では、コック開閉部105によるコック開閉機構50の動作制御と、キャップ取り外し部113によるキャップ取り外し機構70の動作制御が連動している。例えば、コック開閉部105はキャップ取り外し部113に開始信号を送信する。
【0107】
また、上記の例では、コック開閉部105によるコック開閉機構50の動作制御と、給水部116による給水機構の動作制御が連動している。例えば、コック開閉部105は給水部116に停止信号を送信する。
【0108】
~動作~
図14は、制御部120による動作制御フロー図である。フローに基づき動作を説明する。
【0109】
位置特定機構10は、汚物タンクの排出口6の位置を特定する(ステップS11)。
【0110】
なお、排出口6と給水口7との位置関係は不変であるため、排出口6の位置が特定されれば、結果的に、給水口7の位置も特定される。図15は、鉄道車両に設けられる汚物タンクの外観図である。鉄道車両側面のシャッターを開けると、汚物タンクの側面にホースがアクセス可能に排出口6と給水口7都が設けられている。したがって、給水口7の位置を特定することにより、排出口6の位置を特定してもよい。
【0111】
位置特定後、排出口6中心と汚物抜き取りホースの中心とが一致するように、下部移動機構20は列車長手方向に移動し、制止する(ステップS12)。
【0112】
なお、下部移動機構20が適切に移動することにより、結果的に、タンク給水機構70,80,90も適切な位置に配置される。
【0113】
下部移動機構制止後、上部移動機構30は、汚物抜き取りホースを含む上部機構を排出口方向に前進させる(ステップS13)。これにより、汚物抜き取りホース先端と排出口6とが近接する。
【0114】
汚物抜き取りホースを所定位置に配置した後、排出口接続機構40は、汚物抜き取りホースと排出口6とを接続する(ステップS14)。
【0115】
接続完了後、コック開閉機構50は、コック閉状態からコック開状態へとする(ステップS15)。
【0116】
これにより、汚物タンク内外が連通し、汚物抜き取りホースを介して、汚物タンク内の汚物は自然流下する。
【0117】
一方、コック開閉機構50の動作に連動して、キャップ取り外し機構70も動作を開始する(後述)。
【0118】
過去の経験に基づく適正時間経過、タンクに設けられた残量センサ(付番省略)、排出口に設けられた流量計(付番省略)等による判断指標に基づき、汚物抜き取り作業は終了する(ステップS16)。
【0119】
コック開閉機構50は、コック開状態からコック閉状態へとする(ステップS17)。これにより、汚物タンク内外は遮断される。
【0120】
一方、コック開閉機構50の動作に連動して、給水機構も動作を終了する(後述)。
【0121】
コック閉状態後、排出口接続機構40は、汚物抜き取りホースと排出口6との接続を解除する(ステップS18)。
【0122】
接続解除後、上部移動機構30は、汚物抜き取りホースを含む上部機構を排出口から後退させる(ステップS19)。
【0123】
タンク給水機構70,80,90は、位置特定機構10および下部移動機構20が適切に動作することにより、適切な位置に配置される(ステップS11、ステップS12)。
【0124】
コック開閉機構50の動作(ステップS15)に連動して、キャップ取り外し機構70は、給水口7のキャップまで移動し、キャップを取り外す(ステップS23)。例えば、コック開き動作より所定時間経過後、キャップを取り外す。キャップ取り外し機構70は、キャップを保持したまま下降し、給水口7の前から去る。
【0125】
キャップ取り外し後、上部移動機構30は、給水口7と給水ホースとが対向するように、給水ホースを下降させ、さらに、給水ホースを給水口方向に前進させ、給水口にホースを取り付ける(ステップS24)。
【0126】
給水口にホースを取り付けた後、加締機構90はホース先端を加締め(ステップS25)、これにより、汚物タンク内外が連通し、給水ホースを介して、給水機構は給水を開始する。
【0127】
なお、汚物抜き取り作業と給水作業が併存するが、排出口6は給水口7より径が大きく、給水してもタンク内の汚物は減っていく。給水により汚物濃度は低下し、タンク内は洗浄される。
【0128】
コック開閉機構50の動作(ステップS17)に連動して、給水作業は終了する(ステップS26)。例えば、コック閉じ動作より所定時間経過後、給水を停止する。
【0129】
コック閉後、一定量給水されるが、タンク内に少量残ってもよい。
【0130】
給水作業終了に伴い、加締機構90はホース先端の加締めを緩め(ステップS27)、上部移動機構30は、給水ホースを給水口から後退させ、給水口からホースを取り外す。さらに、給水ホースを上昇させる(ステップS28)。ホースは給水口7の前から去る。
【0131】
キャップ取り外し機構70は、給水口7のキャップまで移動し、キャップを取りつける(ステップS29)。
【0132】
次の汚物抜き取りのためこのまま待機してもよいが、下部移動機構20は制止を解除し、列車長手方向に適切な位置に移動してもよい。
【0133】
~効果~
従来、作業員による手作業であった汚物抜き取り作業およびタンク給水作業に係る一連の動作を本願装置は実行できる。これにより作業員の負担を大幅に軽減できる。その結果、作業時間を短縮できる。
【0134】
本願装置において、列車長手方向へ移動は限定的である。一方、上部移動機構30と、コック開閉機構50と、キャップ取り外し機構70と、上部移動機構80と、加締機構90は列車直交に動作する。特に、コック開閉機構50と、キャップ取り外し機構70と、加締機構90は往復運動を回動に変換する。排出口接続機構40はホース軸回りの回動である。これら一連の動作は、狭い範囲であっても互いに干渉しない。
【0135】
汚物抜き取り作業およびタンク給水作業を作業員による手作業でおこなう場合、汚物抜き取りホースとタンク給水ホースの取り回しにより、狭い作業エリアでの作業性は著しく悪かった。
【0136】
本願装置によれば、ホース取り回し等は不要であり、狭い作業エリアを有効活用できる。
【0137】
汚物抜き取り作業およびタンク給水作業を作業員による手作業でおこなう場合、汚物抜き取り作業とタンク給水作業は別々であり、作業員の熟練差により、作業手順に混乱が生じていた。
【0138】
本願装置によれば、汚物抜き取り作業とタンク給水作業とを連動させ一連の作業とできる。
【符号の説明】
【0139】
1 汚物抜き取り装置
2 タンク給水装置
3 汚物処理装置
6 排出口
7 給水口
8 キャップ
10 位置特定機構
11 アーム
20 下部移動機構
30 上部移動機構
31 レール
40 排出口接続機構
41 回動部
42 回転打撃部
43 打撃受け部
44 螺号部
50 コック開閉機構
51 往復運動部
52 リンク部
53 回動部
60 下部移動機構
70 キャップ取り外し機構
71 往復運動部
72 リンク部
73 下顎部
74 上顎部
80 上部移動機構
81 レール
90 加締機構
91 往復運動部
92 リンク部
93 締部
100 制御部
101 位置特定部
102 下部移動部
103 上部移動部
104 排出口接続部
105 コック開閉部
110 制御部
111 位置特定部
112 下部移動部
113 キャップ取り外し部
114 上部移動部
115 加締部
116 給水部
120 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15