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特開2025-31338搬送機の制御システム、搬送機の制御方法、及び搬送機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031338
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】搬送機の制御システム、搬送機の制御方法、及び搬送機
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20250228BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137495
(22)【出願日】2023-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】米竹 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】夏川 忠士
(72)【発明者】
【氏名】田中 千春
(72)【発明者】
【氏名】馬込 恭子
(72)【発明者】
【氏名】細川 明彦
(72)【発明者】
【氏名】黒木 雄敏
(72)【発明者】
【氏名】片岡 英俊
(72)【発明者】
【氏名】土屋 佑典
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA06
5H301BB05
5H301BB07
5H301BB14
5H301BB20
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301DD17
5H301HH01
(57)【要約】
【課題】遠隔または自律で制御される搬送機が電波を受信できなくなった場合、受信はしたがメッセージが壊れて読めない場合またはメッセージから動作が特定できなければ動作できない場合など受信が不完全な場合に、物体を搬送できるように動作する搬送機の制御システムを提供する。
【解決手段】物体を保持して移動する第1の搬送機に送信される制御情報の受信状態を判定する判定手段と、第1の搬送機が物体を保持して移動する進捗を把握する進捗把握手段と、受信状態の判定結果と前記進捗とに応じて、第1の搬送機の第1の動作を決定する決定手段と、第1の動作を実行するための制御情報を送信する制御手段と、を備える、搬送機の制御システムを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を保持して移動する第1の搬送機に送信される制御情報の受信状態を判定する判定手段と、
前記第1の搬送機が前記物体を保持して移動する進捗を把握する進捗把握手段と、
前記受信状態の判定結果と前記進捗とに応じて、前記第1の搬送機の第1の動作を決定する決定手段と、
前記第1の動作を実行するための制御情報を送信する制御手段と、
を備える、搬送機の制御システム。
【請求項2】
さらに前記決定手段は、前記物体に応じて前記第1の動作を決定する、請求項1に記載の搬送機の制御システム。
【請求項3】
前記物体を保持して移動する第2の搬送機を選択する選択手段を備え、
前記決定手段は、前記物体を保持して移動することを継続するために前記第2の搬送機が実施する第2の動作を決定する、請求項1に記載の搬送機の制御システム。
【請求項4】
前記第1の動作は、前記第2の搬送機が前記物体を容易に保持できる位置に前記物体を置くための動作である、請求項3に記載の搬送機の制御システム。
【請求項5】
前記第1の動作は、前記第1の搬送機の使用が予定されていない空き領域に前記物体を置く、請求項3に記載の搬送機の制御システム。
【請求項6】
前記選択手段は、稼働している搬送機の中から、搬送可能な状態にある搬送機を前記第2の搬送機として選択する、請求項3に記載の搬送機の制御システム。
【請求項7】
前記判定手段は、通信の切断、通信のロス率、映像配信の停止に応じて前記受信状態を判定する、請求項1に記載の搬送機の制御システム。
【請求項8】
第1の搬送機に送信される制御情報の受信状態を判定し、
前記第1の搬送機が物体を保持して搬送する進捗を把握し、
前記受信状態の判定結果と前記進捗に応じて、前記第1の搬送機の第1の動作を決定し、
前記第1の動作を実行するための制御情報を送信する、搬送機の制御方法。
【請求項9】
さらに、前記物体に応じて前記第1の動作を決定する、請求項8に記載の搬送機の制御方法。
【請求項10】
第2の搬送機を選択し、
前記物体を保持して移動することを継続するために前記第2の搬送機が実施する第2の動作を決定する、請求項9に記載の搬送機の制御方法。
【請求項11】
前記第1の動作は、前記第2の搬送機が前記物体を容易に保持できる位置に前記物体を置くための動作である、請求項10に記載の搬送機の制御方法。
【請求項12】
前記第1の動作は、前記第1の搬送機の使用が予定されていない空き領域に前記物体を置く、請求項10に記載の搬送機の制御方法。
【請求項13】
前記選択は、稼働している搬送機の中から、搬送可能な状態にある搬送機を第2の搬送機として選択する、請求項10に記載の搬送機の制御方法。
【請求項14】
前記判定は、通信の切断、通信のロス率、映像配信の停止に基づいて前記受信状態を判定する、請求項8に記載の搬送機の制御方法。
【請求項15】
制御装置から送信される制御情報の受信状態を判定する判定手段と、
物体を保持して搬送する進捗を把握する進捗把握手段と、
前記受信状態の判定結果と前記進捗とに応じて、第1の動作を決定する決定手段と、
前記第1の動作を実行するための制御情報を特定する制御手段と、
を備える、物体を保持して移動する搬送機。
【請求項16】
さらに前記決定手段は、前記物体に応じて前記第1の動作を決定する、請求項15に記載の搬送機。
【請求項17】
前記物体を保持して移動する第2の搬送機を選択する選択手段を備え、
前記決定手段は、前記物体を保持して移動することを継続するために前記第2の搬送機が実施する第2の動作を決定する、請求項15に記載の搬送機。
【請求項18】
前記第1の動作は、第2の搬送機が前記物体を容易に保持するできる位置に前記物体を置くための動作である、請求項15に記載の搬送機。
【請求項19】
前記第1の動作は、前記第1の搬送機の使用が予定されていない空き領域に前記物体を置く、請求項15に記載の搬送機。
【請求項20】
前記判定手段は、通信の切断、通信のロス率、映像配信の停止に基づいて前記受信状態を判定する、請求項15に記載の搬送機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送機の制御システム、搬送機の制御方法、及び搬送機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業現場において、自律で動作する、または遠隔制御する搬送機が導入されつつある。搬送機は、ネットワークに接続され、ネットワークを介して情報を受信し、受信した情報に基づいて動作する。これにより、オペレータが搭乗しない搬送機であっても動作が可能になる。
【0003】
特許文献1は、無線リモコン装置と動作制御装置を備える遠隔操縦システムが開示されている。動作制御装置は、油圧ショベルの位置および姿勢を計測すると共に記憶しておく。無線リモコン装置から送信される電波が受信できないときは、記憶された位置姿勢記録情報に基づいて油圧ショベルの姿勢を、電波を受信できた時点まで戻す。これによって、油圧ショベルの姿勢変化が原因で電波が途切れた場合には、その姿勢を戻すだけで効率的に通信を回復できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-191249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自装置の外部から収集した情報に基づいて動作する搬送機において、何らかの理由で適切な情報を受信しなかった場合に、リスク回避のために動作を停止させることが多い。例えば、特許文献1に記載の遠隔操縦システムは、搬送機が電波を受信できない場合に停止し、物体を搬送することができなくなってしまった。動作の停止は、作業効率を低下させてしまい、事業の運営に影響を与えかねない。そこで本開示の目的は、遠隔または自律で制御される搬送機が搬送を継続するための搬送機の制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の搬送機の制御システムは、
物体を保持して移動する第1の搬送機に送信される制御情報の受信状態を判定する判定手段と、
前記第1の搬送機が前記物体を保持して移動する進捗を把握する進捗把握手段と、
前記受信状態の判定結果と前記進捗とに応じて、前記第1の搬送機の第1の動作を決定する決定手段と、
前記第1の動作を実行するための制御情報を送信する制御手段と、
を備える、搬送機の制御システムである。
【0007】
本開示の搬送機の制御方法は、
第1の搬送機に送信される制御情報の受信状態を判定し、
前記第1の搬送機が物体を保持して搬送する進捗を把握し、
前記受信状態の判定結果と前記進捗に応じて、前記第1の搬送機の第1の動作を決定し、
前記第1の動作を実行するための制御情報を送信する、搬送機の制御方法である。
【0008】
本開示の搬送機は、
制御装置から送信される制御情報の受信状態を判定する判定手段と、
物体を保持して搬送する進捗を把握する進捗把握手段と、
前記受信状態の判定結果と前記進捗とに応じて、第1の動作を決定する決定手段と、
前記第1の動作を実行するための制御情報を特定する制御手段と、
を備える、物体を保持して移動する搬送機である。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、遠隔または自律で制御される搬送機が搬送を継続するための搬送機の制御システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1の搬送機の制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】本開示の搬送機の制御方法のフローチャートである。
図3】本開示の搬送機の構成を示すブロック図である。
図4】本開示の搬送機の制御システムの構成を示す概略図である。
図5】本開示の搬送機の制御システムに用いられる制御装置の制御方法のフローチャートである。
図6】本開示の情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施の形態に限定するものではない。また、実施の形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
(実施の形態にかかる搬送機の制御システムの説明)
図1は、本開示の第1の搬送機の制御システムの構成を示すブロック図である。以下、本開示の第1の搬送機の制御システムを図1を参照しながら説明する。搬送機の制御システム100は、例えば遠隔または自律で動作するフォークリフト、AGV(Automated Guided Vehicle)、自律移動ロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)、重機建機、重機、またはドローンを制御するシステムである。
【0013】
図1に示されるように、搬送機の制御システム100は、判定手段101と、進捗把握手段102と、決定手段103と、制御手段104と、を備える。
【0014】
第1の搬送機は、物体を保持して移動する装置である。第1の搬送機は、例えばフォークリフト、AGV(Automated Guided Vehicle)、自律移動ロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)、重機建機、またはドローンであるが、これに限定されない。搬送機は、自律または遠隔制御で動作する。第1の搬送機は、通信装置を備え、例えば5G(5th Generation)、ローカル5G、WiFi(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)で通信される。第1の搬送機は、通信装置を用いて制御情報を受信する。
【0015】
物体は、搬送機によって搬送される対象物であり、パレットに載置された荷物、搬送物または商品、部品、食器に載置された食事、土砂、木、郵便物などであるが、これらに限定されるものではない。パレットに載置されることに限られず、箱やコンテナに梱包されたものであってもよい。物体は、ある場所から別の場所に移動させる必要があるものである。そのため、第1の搬送機は、物体を保持して移動する。
【0016】
判定手段101は、搬送機に受信される制御情報の受信状態を判定する。受信状態とは、搬送機が受信する制御情報の状態であり、通信の切断の有無、切断時間、パケットロス率及び通信の遅延等によって判断される。また例えば、受信状態は、第1の搬送機から送る映像配信が停止、遅延または映像の品質が低下したことによって判断されてもよい。さらに、例えば受信したメッセージデータの破損または欠落によりメッセージが正しく表示、特定できない場合またはメッセージから動作が特定できなければ動作できない場合など受信が不完全な場合を受信状態不良と判断してもよい。
【0017】
進捗把握手段102は、第1の搬送機が物体を保持して移動する進捗を把握する。例えば進捗把握手段102は、第1の搬送機が、どの物体を保持し、どこを移動しているかを把握する。そのため、例えば進捗把握手段102を用いて、倉庫内の第1の搬送機の近くのスペースを探すことが可能である。近くのスペースとは、例えば、第1の搬送機が最小の移動距離で移動できるスペースや、所定の時間以内に移動できるスペース、所定のコスト(燃料や電力等の搬送機の動作によって消費される物体の総称)で移動できるスペースを指す。
【0018】
決定手段103は、受信状態の判定結果と進捗とに応じて、第1の搬送機の第1の動作を決定する。第1の動作とは、第1の搬送機によって行われる、物体の搬送を継続するための動作である。または、第1の動作とは、安全に第1の搬送機の稼働を停止することである。
【0019】
決定手段103は、例えば、受信状態が悪いと判定された場合、近くのスペースに第1の搬送機を移動させる第1の動作を決定する。受信状態の判定結果は、例えば、自律または遠隔制御ができないほど受信状態が悪いか否かを判定する結果である。例えば、受信状況が悪いと判定される事象としては、搬送装置と他の装置との通信が切断される、または電波強度が所定値以下になる場合がある。進捗とは、搬送機が物体を搬送する進捗である。例えば、搬送機が物体を搬送元から搬送先まで移動させる動作において、どの程度完了しているのかを示す情報であり、所定のフローの工程を示してもよいし、進捗率として数値で表されてもよい。
【0020】
第1の動作とは、例えば他の搬送機が物体を保持するために第1の搬送機がスペースのある場所に移動する動作である。スペースとは、第1の搬送機の保持する物体を配置することが可能な領域のことであり、物体の面積または体積以上の広さの空間に他の物体や搬送機がいない領域である。第1の動作によって、第1の搬送機が保持した物体を他の搬送機に引き継ぐ。
【0021】
第1の動作とは、例えば第1の搬送機が停止位置に停止して第2の搬送機が保持しやすい位置に物体を置くことである。第1の動作とは、例えば物体を引き継ぎやすいようにパレットを置くことである。倉庫内で絶対軸を決めておくことにより、第1及び第2の搬送機の構造に合わせて、取りやすい物体の角度を事前に決めることができる。例えば物体がパレットに載った物体であれば、パレットの穴に対して搬送機が器具を挿入することが容易な角度を特定し、第2の搬送機が当該停止位置に来る経路(侵入方向)に合わせて物体を設置する。このように第2の搬送機を考慮した第1の動作を決定することで、第2の搬送機に対してスムーズに物体を引き渡し、搬送を継続することが可能になる。
【0022】
また、第1の動作とは、例えば第1の搬送機の使用が予定されていない空き領域に物体を置くことである。第1の動作によって、保持した物体を適した場所へ移動する。使用が予定されていない空き領域とは、空き棚、通路脇のスペースなどの物体の置場を含む。使用が予定されていない空き領域は、データベース及びマップの参照、またはカメラ映像から特定する。この第1の動作は、例えば他の搬送機を探せなかったが、退避できそうな場所を見つけられた場合、第2の搬送機が探し出せて物体を棚に入れて受け渡す場合にとられる。
【0023】
また、第1の動作とは、例えばそのまま物体を保持し、当該第1の搬送機の稼働を停止することである。この第1の動作は、例えばスペースまで距離が遠い、周囲の映像が取得できないなど周りの安全が確保できない場合に実施される。
【0024】
また、物体を保持していない場合は、第1の動作は、退避場所を選定して移動することである。決定手段103は、物体の取り扱いに応じて第1の動作を決定してもよい。決定手段103は、例えば、冷蔵物で物体がすぐに搬送される必要があるかに応じて第1の動作を決定してもよい。また、決定手段103は、物体の壊れやすさに応じて第1の動作を決定してもよい。物体が壊れやすい場合、引継ぎによって物体が壊れてしまう場合もある。したがって、物体が壊れやすい場合、例えば第1の動作として、物体を保持したまま停止または特定の場所に物体を格納することを決定する。また、決定手段103は、優先度、重要度の高さなどに応じて第1の動作を決定してもよい。物体を搬送する優先度または物体の事業における重要度が高い場合、即座に引き継ぐ必要があるため、例えば第1の動作として、第2の搬送機に引き継ぎやすい場所に物体を置くことを決定する。このように物体に応じて第1の動作を決定することで、物体の事情に合わせた柔軟な搬送が実行可能になる。
【0025】
制御手段104は、第1の動作を実行するための制御情報を送信する。制御手段104は、第1の搬送機にあってもよいし、制御装置にあってもよい。制御手段104が第1の搬送機にある場合は、制御情報を特定するともいう。制御情報は、搬送の優先度、事業に与える重要度、物体が壊れやすい、冷蔵物であるなどの物体の情報、搬送元・先の位置情報や識別情報、搬送機の速度、具体的なタイヤの動き、搬送ルート、及び動作スケジュールなどの動作に関する情報である。
【0026】
これら、判定手段101、進捗把握手段102、決定手段103、制御手段104の一部または全部は、制御装置にあってもよいし、第1の搬送機にあってもよい。
【0027】
上記構成により、遠隔または自律で制御される搬送機が搬送を継続するための搬送機の制御システムが提供される。
【0028】
(実施の形態にかかる搬送機の制御方法の説明)
図2は、本開示の搬送機の制御方法のフローチャートである。以下、本開示の搬送機の制御方法を図2を参照しながら、説明する。
【0029】
図2に示されるように、まず受信状態を判定する(ステップ201)。受信状態は、上記したように第1の搬送機に送信される制御情報の受信状態である。次に搬送の進捗を把握する(ステップS202)。搬送機の制御システム100は、第1の搬送機が物体を保持して搬送する進捗を把握する。次に第1の動作を決定する(ステップS203)。受信状態の判定結果と進捗に応じて、搬送機の制御システム100は、第1の動作を決定する。次に制御情報を送信する(ステップS204)。搬送機の制御システム100は、第1の動作を実行するための制御情報を送信する。
【0030】
上記構成により、遠隔または自律で制御される搬送機が搬送を継続するための搬送機の制御方法が提供される。
【0031】
(実施の形態にかかる搬送機の説明)
図3は、本開示の搬送機の構成を示すブロック図である。以下、本開示の搬送機を図3を参照しながら、説明する。搬送機300は、遠隔または自律で動作するフォークリフト、AGV(Automated Guided Vehicle)、自律移動ロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)、重機建機、またはドローンなどである。
【0032】
図3に示されるように、実施の形態にかかる搬送機300は、判定手段301と、進捗把握手段302と、決定手段303と、制御手段304とを備える。
【0033】
判定手段301は、制御装置から送信される制御情報の受信状態を判定する。判定手段301は、上記搬送機の制御システム100の判定手段101と同じである。
【0034】
進捗把握手段302は、物体を保持して搬送する進捗を把握する。進捗把握手段302は、上記搬送機の制御システム100の進捗把握手段102と同じである。
【0035】
決定手段303は、受信状態の判定結果と進捗に応じて、第1の動作を決定する。決定手段303は、上記搬送機の制御システム100の決定手段103と同じである。
【0036】
制御手段304は、第1の動作を実行するための制御情報を特定する。制御手段304は、上記搬送機の制御システム100の制御手段304と同じである。
【0037】
上記構成により、遠隔または自律で制御される搬送機が搬送を継続するための搬送機が提供される。
【0038】
(実施の形態1にかかる搬送機の制御システムと制御方法の説明)
図4は、本開示の搬送機の制御システムの構成を示す概略図である。図5は、本開示の搬送機の制御システムに用いられる制御装置の制御方法のフローチャートである。以下、本開示の搬送機の制御システムを、図4及び図5を参照しながら、説明する。搬送機の制御システム400は、例えば遠隔または自律で動作するフォークリフトを制御するシステムである。
【0039】
実施の形態1では、実施の形態より詳細に第1の搬送機から第2の搬送機への物体の引継ぎについて説明する。また、搬送機の制御システム400は、第1の搬送機401とは別に制御装置402を備える。図4に示されるように、搬送機の制御システム400は、第1の搬送機401と、制御装置402と、記憶部403と、を備える。第1の搬送機401は、実施の形態にかかる第1の搬送機と同じであるため説明を省略する。
【0040】
ここで、遠隔操縦者と制御装置402の間で通信の断絶があったとする。操縦は、人によってなされるものに限らず、AI、クラウドサーバにより行われてもよい。
【0041】
制御装置402は、通信判定部404と、動作確定部405と、制御部406と、を備える。動作確定部405はさらに、物体対応確定部407と、引継ぎ対応確定部408と、選択部409と、を備える。制御装置402は、第1の搬送機401が備えていても、別の場所に存在してもよい。
【0042】
通信判定部404は、遠隔操縦者と制御装置402の間の受信状態が悪くなったことを判定する。通信判定部404は、実施の形態の判定手段101と同じであるため説明を省略する。また、制御部406は、実施の形態の制御手段104と同じであるため説明を省略する。
【0043】
図5に示されるように、通信判定部404は、復旧の見込みがあるか否か判定する(ステップS501)。復旧の見込みがある場合(ステップS501のYESの場合)、遠隔制御を続行する(ステップS502)。復旧の見込みがあるかとは、制御装置と第1の搬送機の間の通信が継続して行える状態であるかを判断するものである。例えば、制御装置と第1の搬送機の間の通信が途切れて所定の時間経っても制御情報が受信できない場合や、エラーメッセージまたは通信が不可能であることを伝える緊急メッセージを受領した場合に、復旧の見込みがないと判断する。当該所定の時間は、搬送システムが稼働する現場の運用管理者が定めてもよいし、過去の復旧に要した時間から搬送システムが算出した値を用いてもよい。
【0044】
運用管理者が設定した時間(60秒等)が経過した場合など、復旧の見込みがないと判断した場合(ステップS501のNOの場合)、物体対応確定部407は、第1の搬送機401が物体を保持しているかを判定する(ステップS503)。物体対応確定部407が物体を搬送しているかを判定する方法について、例えば、第1の搬送機401に搭載されたセンサを用いて物体の保持を判定してもよいし、制御情報を参照して判定してもよいが、所定の判定方法に限定されるものではない。
【0045】
物体を保持している場合(ステップS503のYESの場合)、物体対応確定部407は、後続のフォークリフトに当該物体の搬送を引継ぐかを判定する(ステップS504)。第1の搬送機は、例えば第2の搬送機が、カメラに映っているなど近くにいたら引継ぐと判定する。また、第1の搬送機は、例えば搬送している荷物が冷蔵である、優先度が高い場合に引継ぐと判定する。
【0046】
物体を引継ぐ場合(ステップS504のYESの場合)、引継ぎ対応確定部408は、引継ぎ方法を検討する(ステップS505)。そして引継ぎ対応確定部408は、引継ぎ方法の実施を指示する(ステップS506)。
【0047】
物体を保持していない場合(ステップS503のNOの場合)、後続のフォークリフトに引継がない場合(ステップS504のNOの場合)、または引継ぎ動作を終了した場合(ステップS506の後)は次のステップを実行する。引継ぎ対応確定部408は、記憶部403から周辺の格納状況及びスペースのマップ情報を取得して停止するための退避できる場所を検討する(ステップS507)。
【0048】
最後に制御部406から退避場所への指示を受けた第1の搬送機401は、退避場所で稼働を停止する(ステップS508)。
【0049】
ステップS505では、物体を引継ぐ第2の搬送機であるフォークリフトを選択する選択部409が、搬送機が稼働しているエリア(倉庫や、走行している格納庫など)で稼働している搬送機の中から、搬送可能な状態にある搬送機を第2の搬送機の候補として抽出する。選択部409は、例えば、物体を保持していない、または間もなく搬送を終了する搬送機を第2の搬送機の候補として抽出する。このように抽出することで、第1の搬送機は物体の引継ぎを迅速に実行することが可能になる。また、選択部409は、制御情報を受信できている、自律で稼働できる、または搭乗者を乗せている搬送機を第2の搬送機の候補として抽出する。このように抽出することで、搬送機と同様に遠隔操縦者と通信できない状態にある搬送機を除外することが可能になる。また、選択部409は、電池残量が十分に確保されている搬送機を第2の搬送機の候補として抽出する。このように抽出することで、搬送機が物体を引き継いだ後、継続して搬送を実行できる可能性を高めることができる。なお、本願に記載の抽出条件は、それぞれで実行されてもよいし、複数の条件を組み合わせて実行されてもよい。選択部409は、抽出された第2の搬送機の候補の中から、第2の搬送機を選択する。
【0050】
なお、実施の形態1の変形例として、第1の搬送機401が第2の搬送機を選択してもよい。例えば、第2の搬送機は、第1の搬送機401と距離が近い、第1の搬送機401の撮像装置からとらえられる、または第1の搬送機401の所定の半径の中にいる搬送機である。第2の搬送機の適格性は、搬送機の撮像装置からランプまたはQRコード(登録商標)を見て判断してもよい。所定の半径の中にいる搬送機は、Bluetooth(登録商標)による通信など、途絶えた通信と異なる通信方法を用いて信号を送って探してもよい。
【0051】
また、第1の搬送機401が走行するエリアに設置されているまたは第1の搬送機401に搭載されているデータベースや、管理装置の記憶部403が参照可能な場合には、これらに記憶されている第2の搬送機を選択してもよい。こうすることで、第1の搬送機401が撮影装置でとらえることのできない搬送機や、あらかじめ第1の搬送機が記憶していない搬送機を第2の搬送機として選択することが可能となる。
【0052】
また、選択される第2の搬送機は、搬送条件を変更しないために、第1の搬送機401とスペックが近いものが好ましい。こうすることで、搬送機を変更したことによる物体への影響を低減することが可能となる。
【0053】
引継ぎ方法の実施(ステップS506)は、第1の搬送機401が実施の形態で示した第1の動作を実施する及び第2の搬送機が第2の動作を行うことで実施される。第2の動作とは、第2の搬送機が、物体を引き継ぐために取りに来る動作である。すなわち、引継ぎ方法の実施(ステップS506)は、第1の搬送機が、周辺のスペースに物体を配置または棚に物体を格納し、第2の搬送機が取りに来ることで実施される。実施の形態にかかる搬送機の制御システム100の決定手段103は、このような第2の搬送機が物体の搬送を継続するために実施する第2の動作である物体を取りに来る動作を決定してもよい。
【0054】
退避場所は、予め運用管理者によって設定されていてもよいし、搬送機が搭載されたカメラで判断してもよい。また、退避場所は、第1の搬送機401が稼働を開始した位置(初期位置)でもよい。例えば、第1の搬送機401が所定の時点で位置していた場所でもよいし、充電、給油または待機位置として設定された位置であってもよい。例えば、第1の搬送機401は、周辺のスペースを第1の搬送機401のカメラで認識し、そこに退避してもよい。
【0055】
上記構成により、遠隔または自律で制御されるフォークリフトが電波を受信できなくなった場合に、パレットなどの物体を搬送できるフォークリフトの制御システムが提供される。
【0056】
また、上述した搬送機の制御システム100、搬送機300、及び制御装置402における処理の一部又は全部は、コンピュータプログラムとして実現可能である。このようなプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0057】
上述した搬送機の制御システム100、搬送機300、制御装置402は、情報処理装置600を備える。図6に示されるように、情報処理装置600は、プログラムを記憶するメモリ601と、プログラムを実行し処理を行う例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ602と、を備える。情報処理装置600は、1つの装置で構成されてもよいし、複数の装置で構成されてもよい。情報処理装置600は、機能の一部または全部を分散したクラウドサーバであってもよい。
【0058】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。例えば、通信判定部404の判定は、通信の切断に限られずパケットのロス率の高さや、映像配信の停止などに基づいてもよい。第1の搬送機401は、フォークリフトに限られず、けん引車、ドローン、レストランの搬送ロボット、AGV、重機建機、などでもよい。また、倉庫における運搬に限られず、レストランの食事、工事現場の土砂、資材置き場の棒など運搬にも用いられることができる。そして、各実施の形態は、適宜他の実施の形態と組み合わせることができる。
【0059】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
物体を保持して移動する第1の搬送機に送信される制御情報の受信状態を判定する判定手段と、
前記第1の搬送機が前記物体を保持して移動する進捗を把握する進捗把握手段と、
前記受信状態の判定結果と前記進捗とに応じて、前記第1の搬送機の第1の動作を決定する決定手段と、
前記第1の動作を実行するための制御情報を送信する制御手段と、
を備える、搬送機の制御システム。
(付記2)
さらに前記決定手段は、前記物体に応じて前記第1の動作を決定する、付記1に記載の搬送機の制御システム。
(付記3)
前記物体を保持して移動する第2の搬送機を選択する選択手段を備え、
前記決定手段は、前記物体を保持して移動することを継続するために前記第2の搬送機が実施する第2の動作を決定する、付記1に記載の搬送機の制御システム。
(付記4)
前記第1の動作は、前記第2の搬送機が前記物体を容易に保持できる位置に前記物体を置くための動作である、付記3に記載の搬送機の制御システム。
(付記5)
前記第1の動作は、前記搬送機の周辺の空き領域に前記物体を置く、付記3に記載の搬送機の制御システム。
(付記6)
前記選択手段は、稼働している搬送機の中から、搬送可能な状態にある搬送機を前記第2の搬送機として選択する、付記3に記載の搬送機の制御システム。
(付記7)
前記選択手段は、
物体を保持していない、または間もなく搬送を終了するか否か、
制御情報を受信できている、自律で稼働できる、または搭乗者を乗せているか否か、
電池残量が十分に確保されている否か、を考慮して搬送可能な状態にある搬送機を抽出する、付記3に記載の搬送機の制御システム。
(付記8)
前記選択手段は、
前記搬送機と距離が近い、または
前記搬送機の撮像装置にとらえられる、または
前記搬送機の所定の半径の中にいる他の搬送機に信号を送る、
ことによって、前記他の搬送機を選択する、付記3に記載の搬送機の制御システム。
(付記9)
前記判定手段は、通信の切断、通信のロス率、映像配信の停止に基づいて前記受信状態を判定する、付記1に記載の搬送機の制御システム。
(付記10)
前記搬送機は、フォークリフト、AGV、重機またはドローンである、付記1に記載の搬送機の制御システム。
(付記11)
第1の搬送機に送信される制御情報の受信状態を判定し、
前記第1の搬送機が物体を保持して搬送する進捗を把握し、
前記受信状態の判定結果と前記進捗に応じて、前記第1の搬送機の第1の動作を決定し、
前記第1の動作を実行するための制御情報を送信する、搬送機の制御方法。
(付記12)
さらに、前記物体に応じて前記第1の動作を決定する、付記11に記載の搬送機の制御方法。
(付記13)
第2の搬送機を選択し、
前記物体を保持して移動することを継続するために前記第2の搬送機が実施する第2の動作を決定する、付記12に記載の搬送機の制御方法。
(付記14)
前記第1の動作は、前記第2の搬送機が前記物体を容易に保持できる位置に前記物体を置くための動作である、付記13に記載の搬送機の制御方法。
(付記15)
前記第1の動作は、前記第1の搬送機の使用が予定されていない空き領域に前記物体を置く、付記13に記載の搬送機の制御方法。
(付記16)
前記選択は、稼働している搬送機の中から、搬送可能な状態にある搬送機を第2の搬送機として選択する、付記13に記載の搬送機の制御方法。
(付記17)
物体を保持していない、または間もなく搬送を終了するか否か、
制御情報を受信できている、自律で稼働できる、または搭乗者を乗せているか否か、
電池残量が十分に確保されている否か、を考慮して搬送可能な状態にある搬送機を抽出する、付記13に記載の搬送機の制御方法。
(付記18)
前記搬送機と距離が近い、または
前記搬送機の撮像装置にとらえられる、または
前記搬送機の所定の半径の中にいる他の搬送機に信号を送る、
ことによって、前記第2の搬送機を選択する、付記13に記載の搬送機の制御方法。
(付記19)
前記判定は、通信の切断、通信のロス率、映像配信の停止に基づいて前記受信状態を判定する、付記11に記載の搬送機の制御方法。
(付記20)
前記搬送機は、フォークリフト、AGV、重機またはドローンである、付記11に記載の搬送機の制御方法。
(付記21)
制御装置から送信される制御情報の受信状態を判定する判定手段と、
物体を保持して搬送する進捗を把握する進捗把握手段と、
前記受信状態の判定結果と前記進捗とに応じて、第1の動作を決定する決定手段と、
前記第1の動作を実行するための制御情報を特定する制御手段と、
を備える、物体を保持して移動する搬送機。
(付記22)
さらに前記決定手段は、前記物体に応じて前記第1の動作を決定する、付記21に記載の搬送機。
(付記23)
前記物体を保持して移動する第2の搬送機を選択する選択手段を備え、
前記決定手段は、前記物体を保持して移動することを継続するために前記第2の搬送機が実施する第2の動作を決定する、付記21に記載の搬送機。
(付記24)
前記第1の動作は、第2の搬送機が前記物体を容易に保持するできる位置に前記物体を置くための動作である、付記21に記載の搬送機。
(付記25)
前記第1の動作は、前記第1の搬送機の使用が予定されていない空き領域に前記物体を置く、付記21に記載の搬送機。
(付記26)
前記判定手段は、通信の切断、通信のロス率、映像配信の停止に基づいて前記受信状態を判定する、付記21に記載の搬送機。
(付記27)
前記搬送機は、フォークリフト、AGV、重機またはドローンである、付記21に記載の搬送機。
【符号の説明】
【0060】
100 搬送機の制御システム、101 判定手段、102 進捗把握手段、103 決定手段、104 制御手段、300 搬送機、301 判定手段、302 進捗把握手段、303 決定手段、304 制御手段、400 搬送機の制御システム、401 第1の搬送機、402 制御装置、403 記憶部、404 通信判定部、405 動作確定部、406 制御部、407 物体対応確定部、408 引継ぎ対応確定部、600 情報処理装置、601 メモリ、602 プロセッサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6