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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031347
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】手袋
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/10 20060101AFI20250228BHJP
   A41D 19/00 20060101ALI20250228BHJP
   A41D 19/015 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
A61F13/10 B
A41D19/00 C
A41D19/015 140
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137515
(22)【出願日】2023-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】522219135
【氏名又は名称】株式会社結心
(74)【代理人】
【識別番号】100205084
【弁理士】
【氏名又は名称】吉浦 洋一
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 岳宏
【テーマコード(参考)】
3B033
【Fターム(参考)】
3B033AA10
3B033AB08
(57)【要約】
【課題】
とくに皮膚疾患などを有する患者が手に装着することで、手と手首の皮膚を保護または治療する手袋を提供することを目的とする。
【解決手段】
手と手首の皮膚を保護または治療する手袋であって、手袋は、本体部と、手首部と、を有しており、手首部は、第1部位と第2部位とを重ね合わせて固定する手袋である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手と手首の皮膚を保護または治療する手袋であって、
前記手袋は、
本体部と、手首部と、を有しており、
前記手首部は、第1部位と第2部位とを重ね合わせて固定する、
ことを特徴とする手袋。
【請求項2】
前記手首部は、
前記本体部の長手方向の長さに対して50%以上の長さである、
ことを特徴とする請求項1に記載の手袋。
【請求項3】
前記手首部は、
前記本体部の長手方向の長さに対して150%以下の長さである、
ことを特徴とする請求項2に記載の手袋。
【請求項4】
前記手首部は、
前記第1部位と前記第2部位は一体的に形成されており、折り返し部で前記第2部位が折り返されることで、前記第1部位と前記第2部位を重ね合わせる、
ことを特徴とする請求項2に記載の手袋。
【請求項5】
前記第1部位と前記第2部位は、前記手首部の本体部側で縫い付けて固定される、
ことを特徴とする請求項4に記載の手袋。
【請求項6】
前記第1部位と前記第2部位は、ボタン、スナップボタン、面ファスナーのいずれか一以上で固定される、
ことを特徴とする請求項4に記載の手袋。
【請求項7】
前記手袋1の生地は綿または絹である、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の手袋。
【請求項8】
前記手首部は、
前記第1部位と前記第2部位が分離して形成されており、前記第1部位と前記第2部位が重ね合わせて取り付けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋に関する。とくに皮膚疾患などを有する患者が手に装着することで、手と手首の皮膚を保護または治療する手袋である。
【背景技術】
【0002】
アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患を有する患者の場合、主に手指と手首に掻痒、湿疹、擦過傷、結節などができやすい。そのため、患部が痒くなり、患部を手で掻いてしまうことがある。そして、患部を手で掻くことによって、皮膚の状態が悪化する。
【0003】
このような状況はアトピー性皮膚炎以外の皮膚疾患であっても発生しうる。
【0004】
そこで皮膚疾患を有する患者に対しては、たとえば下記特許文献1乃至特許文献5のような手袋が一例としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-59809号公報
【特許文献2】特開2004-353137号公報
【特許文献3】特開2005-54337号公報
【特許文献4】特開2012-180628号公報
【特許文献5】特開2017-14646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
皮膚疾患を有する患者が手袋を装着することで、直接、手で皮膚を掻くことを抑止できるので、その点では有益である。しかし、患者が乳幼児、小児などの子どもの場合には、手袋を装着すること自体に違和感が生じる場合があり、手袋を意識的にまたは無意識に取り外そうとすることがある。
【0007】
そこで、特許文献1乃至特許文献5に記載の手袋では、ベルトなどの紐状の固定具を設け、手袋の取り外しを防止している。
【0008】
しかし、ベルトなどの固定具により取り外しを防止する場合、ベルトなどで手袋を固定して取り外しを防止するため、細い帯状で力が加わることとなる。そのため、狭い範囲に圧力がかかり、ベルトなどの固定具の跡が残るおそれがあるほか、締め付け度合いが強いと患者に痛みを生じさせてしまう場合がある。とくに自ら状況を説明することが難しい乳幼児の場合、その痛みを説明することができず、保護者などがそれに気づかずにかえって症状を悪化させてしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題に鑑み、皮膚疾患などを有する患者が手に装着することで、手と手首の皮膚を保護または治療する手袋を発明した。
【0010】
第1の発明は、手と手首の皮膚を保護または治療する手袋であって、前記手袋は、本体部と、手首部と、を有しており、前記手首部は、第1部位と第2部位とを重ね合わせて固定する、手袋である。
【0011】
本発明のように手首部を第1部位と第2部位とで重ね合わせた二層構造とすることで、従来の手袋のように細い帯状に固定するのではなく、面状で密着させて固定することができるので、とくに乳幼児、小児などの子どもが手袋を意識的にまたは無意識に取り外すことを防止するとともに、皮膚にかかる圧力を分散することができる。
【0012】
上述の発明において、前記手首部は、前記本体部の長手方向の長さに対して50%以上の長さである、手袋のように構成することができる。
【0013】
手首部を従来の手袋よりも長く形成することで、とくに乳幼児、小児などの子どもが手袋を意識的にまたは無意識に取り外すことを防止することができる。
【0014】
上述の発明において、前記手首部は、前記本体部の長手方向の長さに対して150%以下の長さである、手袋のように構成することができる。
【0015】
手首部の長さが長すぎると、手袋を装着しにくくなる。そのため、本発明者らが実験をしたところ、本発明程度の長さまでであることが好ましい。
【0016】
上述の発明において、前記手首部は、前記第1部位と前記第2部位は一体的に形成されており、折り返し部で前記第2部位が折り返されることで、前記第1部位と前記第2部位を重ね合わせる、手袋のように構成することができる。
【0017】
本発明のように構成することで、手袋を一体的に形成することができる。
【0018】
上述の発明において、前記第1部位と前記第2部位は、前記手首部の本体部側で縫い付けて固定される、手袋のように構成することができる。
【0019】
手首部の第1部位と第2部位は縫い付けて固定することが好ましい。これによって、生地、糸以外の素材を用いないので、皮膚に疾患がある患者の皮膚の負担を軽減することができる。
【0020】
上述の発明において、前記第1部位と前記第2部位は、ボタン、スナップボタン、面ファスナーのいずれか一以上で固定される、手袋のように構成することができる。
【0021】
第1部位と第2部位の固定方法は、本発明のような方法であってもよい。
【0022】
上述の発明において、前記手袋の生地は綿または絹である、手袋のように構成することができる。
【0023】
生地を綿または絹とすることで、皮膚に疾患がある患者の皮膚の負担を軽減することができる。
【0024】
上述の発明において、前記手首部は、前記第1部位と前記第2部位が分離して形成されており、前記第1部位と前記第2部位が重ね合わせて取り付けられている、手袋のように構成することができる。
【0025】
第1部位と第2部位は、本発明のように分離して形成しておき、それを重ね合わせて固定することで二層構造としてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の手袋を皮膚疾患などを有する患者が手に装着することで、手と手首の皮膚を保護または治療することができる。従来のように、紐状の固定具を設けないので、固定具の圧力が集中することによる症状の悪化が生じない。また、手首部分が長く折り返しをした二層構造なので子どもが手袋を外すのは容易ではなく、子どもが意識的にまたは無意識に手袋を取り外すことも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の手袋の斜視図である。
図2】本発明の手袋の正面図である。
図3】本発明の手袋の底面図である。
図4】本発明の手袋の右側面図である。
図5】本発明の手袋の左側面図である。
図6】本発明の手袋のA-A断面図である。
図7図6の手首部の断面図の拡大図である。
図8】本発明の手袋の手首部を折り返す前の状態を示す図である。
図9】固定部を示す図である。
図10】本発明の手袋の一例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の手袋1の一例を図1から図6に示す。図1は本発明の手袋1の斜視図、図2は本発明の手袋1の正面図、図3は本発明の手袋1の底面図、図4は本発明の手袋1の右側面図、図5は本発明の手袋1の左側面図、図6は本発明の手袋1のA-A断面図である。図7図6の手首部11の断面図の拡大図である。
【0029】
手袋1は、本体部10と手首部11とを有している。本体部10と手首部11とが一体的に形成されており、後述するように、手首部11の折り返しが本体部10の端部の位置となる。本発明の手袋1は、皮膚疾患に対する影響を防止するため、綿100%または絹100%であることが好ましい。
【0030】
本体部10は掌、手指を収納する。本体部10は、五指に分岐させて五指をそれぞれ収納可能としてもよいし、親指とそれ以外の2箇所に分岐させて、親指は親指に、それ以外の四指はまとめて収納可能とするような形状であってもよい。本体部10は掌、手指が収納可能であれば任意の形状とすることができる。
【0031】
手首部11は、通常の手袋1よりも長めに形成されており、本体部10の長手方向の長さ(中指の先端から本体部10の端部まで)に対して50%から150%程度の長さで形成されていることが好ましい。好ましくは、本体部10の長手方向の長さに対して60%から100%程度の長さで形成されているとよく、さらに好ましくは、本体部10の長さに対して65%から80%程度の長さであるとよい。手首部11の長さは、手袋1を装着した患者が手首の患部を掻くことを抑止する程度に長く形成されていればよい。
【0032】
手首部11は、本体部10とは反対側の端部に、掌、手指を手袋1に挿入するための挿入口110が形成されている。手首部11は、本体部10から一体的に形成されており、通常の手袋1よりも長めに形成された位置で内側または外側に折り返しがされることで、挿入口110が形成される。手首部11の折り返した他端は、本体部10の端部付近に、縫い合わせるなどの方法によって固定される。
【0033】
すなわち、図8に示すように、手首部11は本体部10に近い第1部位11aと本体部10から遠い第2部位11bとがあり、第1部位11aと第2部位11bとの長手方向の中心付近の折り返し部11cで折り返しがされる。この折り返しによって、第1部位11aと第2部位11bとは重なって固定され、第2部位11bの腕側の端部と第1部位11aの本体部10側の端部とを縫い合わせるなどによって固定部11dで固定する。また折り返しをしている折り返し部11cが挿入口110を形成している。図9に固定部11dを示す。
【0034】
第1部位11aと第2部位11bとはどちらを外側に位置させてもよく、第2部位11bを折り返し部11cで外側に折り返せば第2部位11bが外側、第2部位11bを折り返し部11cで内側に折り返せば第1部位11aが外側となる。
【0035】
このように手首部11の生地を折り返して二重(二層構造)にすることで、手首部11を手首部分に密着させることができる。また手首部11が通常の手袋1よりも長く形成されているので、患者による手首の掻きむしり行為を抑止できる。また、手首部11を二重(二層構造)とすることで、手首部分の密着度合いを高め、手袋1が取り外しにくくなり、とくに乳幼児、小児が意識的にまたは無意識に手袋1を取り外すことを抑止できる。さらに、手首部分で取り外しを防止するので、従来のようにベルトなどの帯状の固定具が不要となる。そして、手首部分の幅広の面で手袋1の取り外しを防止するので圧力が分散し、皮膚に対する負荷を軽減することもできる。
【0036】
加えて、手または手首の患部または患部付近に薬剤を塗布した状態で手袋1を装着すると、手袋1によって薬剤の剥離を抑止でき、薬剤の効果をより長時間、発揮させることができる。
【0037】
図10に本発明の手袋の写真の一例を示す。
【0038】
なお、手首部11は一連に(一体的に)形成した第1部位11aと第2部位11bを折り返し部11cで折り返し、固定部11dで縫合することで形成するほか、独立した部位(一連に形成されていない部位)として形成した第1部位11aと第2部位11bとを重ねて固定部11dで縫合してもよい。この場合、第1部位11aと第2部位11bとはほぼ同じ長さで形成され、固定される。
【0039】
なお手首部11における第1部位11aと第2部位11bの固定方法は、縫い合わせに限るものではなく、第1部位11aまたは第2部位11bにボタンを取り付け、他方の対応する位置にボタン穴を設けてボタンで留める方法、第1部位11aまたは第2部位11bにスナップボタンの凹部、他方の対応する位置にスナップボタンの凸部を取り付けてスナップボタンで留める方法、第1部位11aと第2部位11bとを面ファスナーで固定する方法など、いずれか一以上の任意の方法を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の手袋1を皮膚疾患などを有する患者が手に装着することで、手と手首の皮膚を保護または治療することができる。従来のように、紐状の固定具を設けないので、固定具の圧力が集中することによる症状の悪化が生じない。また、手首部11分が長く折り返しをした二層構造なので子どもが手袋1を外すのは容易ではなく、子どもが意識的にまたは無意識に手袋1を取り外すことも防止できる。
【符号の説明】
【0041】
1:手袋
10:本体部
11:手首部
11a:第1部位
11b:第2部位
11c:折り返し部
11d:固定部
110:挿入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児、小児による手首の掻きむしり行為を抑止し、手と手首の皮膚を保護する手袋であって、
前記手袋は、
本体部手首部とが一体的に形成されており、
前記手首部は、前記本体部に近い第1部位と、前記第1部位に重なって固定される第2部位とを有しており、
前記第2部位を前記手首部における折り返し部で外側に折り返すことで、前記第1部位と前記第2部位とを重ね合わせて固定し、
前記手首部は、
前記本体部の長手方向の長さに対して50%以上から150%以下の長さである、
ことを特徴とする手袋。
【請求項2】
前記第1部位と前記第2部位は、前記手首部の本体部側で縫い付けて固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の手袋。
【請求項3】
前記第1部位と前記第2部位は、ボタン、スナップボタン、面ファスナーのいずれか一以上で固定される、
ことを特徴とする請求項2に記載の手袋。
【請求項4】
前記手袋の生地は綿または絹である、
ことを特徴とする請求項2に記載の手袋。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
第1の発明は、乳幼児、小児による手首の掻きむしり行為を抑止し、手と手首の皮膚を保護する手袋であって、前記手袋は、本体部手首部とが一体的に形成されており、前記手首部は、前記本体部に近い第1部位と、前記第1部位に重なって固定される第2部位とを有しており、前記第2部位を前記手首部における折り返し部で外側に折り返すことで、前記第1部位と前記第2部位とを重ね合わせて固定し、前記手首部は、前記本体部の長手方向の長さに対して50%以上から150%以下の長さである、手袋である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明のように手首部を第1部位と第2部位とで重ね合わせた二層構造とすることで、従来の手袋のように細い帯状に固定するのではなく、面状で密着させて固定することができるので、とくに乳幼児、小児などの子どもが手袋を意識的にまたは無意識に取り外すことを防止するとともに、皮膚にかかる圧力を分散することができる。
手首部を従来の手袋よりも長く形成することで、とくに乳幼児、小児などの子どもが手袋を意識的にまたは無意識に取り外すことを防止することができる。
手首部の長さが長すぎると、手袋を装着しにくくなる。そのため、本発明者らが実験をしたところ、本発明程度の長さまでであることが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】削除
【補正の内容】