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  • 特開-根菜類の皮むき洗浄装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031424
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】根菜類の皮むき洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 12/02 20060101AFI20250228BHJP
   A23N 7/02 20060101ALI20250228BHJP
   B08B 1/32 20240101ALI20250228BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
A23N12/02 J
A23N12/02 A
A23N7/02
B08B1/04
B08B3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023147979
(22)【出願日】2023-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】523347648
【氏名又は名称】株式会社タガミ
(74)【代理人】
【識別番号】230115602
【弁護士】
【氏名又は名称】長友 慶徳
(72)【発明者】
【氏名】田上 秀昭
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
4B061
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB03
3B116BA02
3B116BA15
3B116BB02
3B201AA46
3B201AB03
3B201BA02
3B201BA15
3B201BB02
3B201BB92
4B061AA06
4B061AA07
4B061AA10
4B061BA08
4B061CA10
4B061CA34
4B061CB02
4B061CB18
(57)【要約】
【課題】大量の根菜類を同時に効率良く洗浄・皮むき処理することができるとともに、栄養価が高い薄皮が残った状態で皮を剥くことができる根菜類の皮むき洗浄装置を提供する。
【解決手段】
内部に根菜類を入れる空間が形成された処理槽2と、前記処理槽2の内部に水を供給する給水手段3と、横方向に長く設けられた芯部の周囲に放射状に多数の毛を突設したブラシ毛を有し該芯部の回転軸周りに回転する回転ブラシ4であって、前記処理槽の内部に略U字状又は略J字状に互いに近接して円弧状配列された複数の回転ブラシ4と、前記回転ブラシ4を軸回り回転駆動させる駆動手段5と、を備え、前記複数の回転ブラシ4の回転速度を210回転/分以上に設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に根菜類を入れる空間が形成された処理槽と、
前記処理槽の内部に水を供給する給水手段と、
横方向に長く設けられた芯部の周囲に放射状に多数の毛を突設したブラシ毛を有し該芯部の中心軸周りに回転する回転ブラシであって、前記処理槽の内部に略U字状又は略J字状に互いに近接して円弧状配列された複数の回転ブラシと、
前記回転ブラシを軸回り回転駆動させる駆動手段と、を備え、
前記複数の回転ブラシの回転速度を210回転/分以上に設定したことを特徴とする根菜類の皮むき洗浄装置。
【請求項2】
前記回転ブラシのブラシ毛はナイロン製であり、各ブラシ毛の直径が0.45mm以上0.55mm以下に設定されたことを特徴とする請求項1記載の根菜類の皮むき洗浄装置。
【請求項3】
前記回転ブラシのブラシ毛はナイロン製であり、各ブラシ毛の芯部からの突出長さが74mm以上78mm以下に設定されたことを特徴とする請求項1又は2記載の根菜類の皮むき洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、里芋等の根菜類を洗浄しながら薄皮を残した状態で皮むきする根菜類の皮むき洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
里芋等の根菜類は、土中から掘り起こして収穫されることから、周囲に泥が付着しており、出荷等する前に泥をきれいに落として清潔にし扱いやすくするために洗浄処理が行われる場合も多い。
【0003】
多数の根菜類を洗浄するのに手作業で行うのは時間、労力がかかることから、従来、例えば、多数の根菜類を連続して洗浄する連続洗浄機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の根菜類の連続洗浄機は、互いに近接し、しかも平行となってフレームに軸支されて、被洗浄物の移送方向に駆動回転される複数本のブラシロールと、該複数本のブラシロールの上方にこれらと相対向して配置されて、前記フレームに支持された上ブラシと、前記複数本のブラシロールの下方に配設されて、内部に収容された洗浄水の中に該ブラシロールの下半部が浸された状態を維持するための水槽とを備え、駆動回転している複数のブラシロールと上ブラシとの間を通過させながら被洗浄物を連続的に洗浄し、排出側にシャワー装置を配設したものであった。
【0005】
洗浄された根菜類は、そのまま商品として出荷されるものもあるが、近年では、購入後の調理の手間を省略したり家庭ごみを減らすことができるように、皮を剥いた状態で真空パック等を施したり、冷凍状態としたりして販売する商品も流通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-38136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のような根菜類の連続洗浄機では、例えば、里芋のように独特で大小様々なサイズ・形状の根菜類の場合には、その表面を確実に洗浄することが困難な場合があった。
【0008】
また、根菜類の皮を剥いた商品とする場合には、特許文献1のような洗浄機での洗浄後に、皮を剥く作業が必要であるが、手作業では時間・労力がかかり、人手不足となっている等の問題があった。
【0009】
さらに、里芋等の根菜類は、皮部分に近い薄皮部分が可食部よりも栄養や旨味成分が多いことが知られているが、従来の手作業等での皮むきでは、大量の根菜類を薄皮を残した状態での皮むきは極めて困難であり、皮に近い可食部も一緒にカットされたり削り取られたりして、多くの廃棄ロスが生じている。
【0010】
よって、食べられる根菜類の可食部のロスが比較的多く、歩留まりが悪いとともに、産業廃棄物の量も多くなり環境負荷が大きい問題があった。
【0011】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、大量の根菜類を同時に効率良く洗浄・皮むき処理することができるとともに、栄養価が高い薄皮が残った状態で皮を剥くことができる根菜類の皮むき洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明に係る根菜類の皮むき洗浄装置は、内部に根菜類を入れる空間が形成された処理槽と、前記処理槽の内部に水を供給する給水手段と、横方向に長く設けられた芯部の周囲に放射状に多数の毛を突設したブラシ毛を有し該芯部の中心軸周りに回転する回転ブラシであって、前記処理槽の内部に略U字状又は略J字状に互いに近接して円弧状配列された複数の回転ブラシと、前記回転ブラシを軸回り回転駆動させる駆動手段と、を備え、前記複数の回転ブラシの回転速度を210回転/分以上に設定した根菜類の皮むき洗浄装置から構成される。
【0013】
また、前記回転ブラシのブラシ毛はナイロン製であり、各ブラシ毛の直径が0.45mm以上0.55mm以下に設定されたこととしてもよい。
【0014】
また、前記回転ブラシのブラシ毛はナイロン製であり、各ブラシ毛の芯部からの突出長さが74mm以上78mm以下に設定されたこととしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の根菜類の皮むき洗浄装置によれば、内部に根菜類を入れる空間が形成された処理槽と、前記処理槽の内部に水を供給する給水手段と、横方向に長く設けられた芯部の周囲に放射状に多数の毛を突設したブラシ毛を有し該芯部の中心軸周りに回転する回転ブラシであって、前記処理槽の内部に略U字状又は略J字状に互いに近接して円弧状配列された複数の回転ブラシと、前記回転ブラシを軸回り回転駆動させる駆動手段と、を備え、前記複数の回転ブラシの回転速度を210回転/分以上に設定したことから、大量の里芋等の根菜類を処理槽の中で同時洗浄しながら、薄皮が残った状態で皮を剥くことができる。その結果、根菜類を栄養価を高い状態で保持し旨味も多い皮むき根菜類商品を提供ができるとともに、歩留まりもよく、同時に、廃棄物の排出も少なく環境負荷が少ない状態で洗浄および皮剥き処理を行える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る根菜類の皮むき洗浄装置の斜視説明図である。
図2図1の根菜類の皮むき洗浄装置の正面図である。
図3図1の根菜類の皮むき洗浄装置の側面拡大図である。
図4図1の根菜類の皮むき洗浄装置のA-A線断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下添付図面を参照しつつ、好適な実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施の形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
本発明の根菜類の皮むき洗浄装置は、里芋などの根菜類を多数個同時に洗浄して薄皮を残した状態で皮剥き処理を行うのに好適に適用できる洗浄兼皮むき装置である。
【0019】
図1ないし図4は、本発明の根菜類の皮むき洗浄装置の一実施形態を示している。本実施形態に係る根菜類の皮むき洗浄装置1は、図1図2図3図4に示すように、処理槽2と、給水手段3と、複数の回転ブラシ4と、駆動手段5と、を備えている。
【0020】
なお、本実施形態では、処理対象物となる根菜類は、里芋とした例で説明する。里芋以外の根菜類を処理することとしてもよい。
【0021】
処理槽2は、内部に里芋を入れる空間が形成された中空容器状の収容体である。本実施形態では、処理槽2は、バッチ処理で多数の里芋を同時に洗浄および皮むき処理を行うことができるように、多数の里芋を同時に収容できる大きさで形成される。
【0022】
図1図2図3図4に示すように、処理槽2は、例えば、外形形状が横長の略直方体状に形成されており、上面側が開口されて中空の内部空間に連通された有底箱状に形成されている。処理槽2は、例えば、長手方向の横幅が2010mm、短辺方向の前後幅が750mm、高さが720mmに形成されている。本実施形態では、処理槽2の内部に80kg~90kgの里芋Rを一度に収容できる大きさとなっている。なお、処理槽の形状や大きさは任意でもよい。
【0023】
処理槽2は、内部に里芋Rとともに洗浄するための水も保持できるようになっているとともに、底壁又は側壁に排水するための排水口が設けられている。すなわち、処理槽2は、里芋と水を内部に収容し、同時にバッチ処理による洗浄および皮むき処理が完了するまでの間、泥や里芋から剥離した皮等が混じった汚水・廃液も収容する。
【0024】
なお、処理槽2は、洗浄および皮むき処理中、給水手段3からの水を常時溜めておくこととしてもよいし、連続して又は完結的に排水することとしてもよい。
【0025】
処理槽2の外側の4つの隅部には、該処理槽2を所定の高さで支持する支持脚21が設けられている。支持脚21の下端には、縦軸回りに360度回転自在として移動方向を自在に変更できるストッパ付きの自在キャスタ22が取り付けられている。
【0026】
処理槽2の長手方向の一端側の側壁には、処理した里芋を取り出すための開閉扉23が設けられている。本実施形態では、開閉扉23は、例えば、略U字状に形成された上開き扉からなり、上辺側に設けられた連結部材23aを介して回転軸24回りに回動して処理槽2の該側壁を開閉する。
【0027】
開閉扉23の回転軸24は、処理槽2の側壁に固定された2個1対の軸支部28に軸支されている。該回転軸24の一端側には、該開閉扉23を開閉するためのレバー25が設けられており、レバー25を介して手動操作することにより、該開閉扉23を開閉動作することができる。なお、レバー25の近傍位置には、該レバー25で開閉扉23の開き位置でレバー25に係合し、その開閉扉が開いた状態を保持するためのストッパを設けることとしてもよい。
【0028】
さらに、処理槽2の開閉扉23が設けられた側壁には、外側に向けて突出されたホッパー26が設けられている。ホッパー26は、処理後に処理槽2から開閉扉23を介して排出される里芋Rを受ける手段である。ホッパー26は、例えば、開閉扉23の下側の円弧状輪郭に沿って略U字板状に形成されている。
【0029】
図4に示すように、処理槽2の内部には、後述の回転ブラシ4が設置されていない側に傾斜壁27が設けられている。傾斜壁27は、複数の回転ブラシ4と協働して投入される里芋Rを受ける。
【0030】
給水手段3は、処理槽2の内部に里芋を洗浄するための水を供給するための洗浄水供給手段である。本実施形態では、給水手段3は、図1図2図3図4に示すように、例えば、処理槽2の上面側の開口から内部に給水するようになっている。
【0031】
具体的には、給水手段3は、下面側に多数の散水孔32が設けられた横長い給水パイプ31を含む。給水パイプ31は、処理槽2の開口上に該処理槽2の長手方向に沿って架設されて、その両端を処理槽2の側壁の上端でパイプ支持部33を介して固定されている。給水パイプ31の一端は閉鎖されるとともに、他端側に接続される接続パイプ34(又は接続ホース)を介して水道の蛇口等に接続される。
【0032】
給水手段3は、処理槽2の上方側から散水状に給水することにより、処理槽2の内部の里芋の表面の泥や汚れを水で洗い流すとともに、里芋から剥離した皮等も洗い流して、処理後の皮むき里芋として清潔に洗浄する。
【0033】
なお、給水手段3は、前記した構造に限らない。例えば、給水パイプ31を複数設けることとしてもよいし、処理槽の側壁側から水を所定の圧力で流す構造等、任意の構成でもよい。
【0034】
回転ブラシ4は、処理対象の里芋を洗浄および皮むきするためのロールブラシであると同時に処理槽内の里芋どうしをこすり合わせるように対流状に移動または撹拌する手段である。
【0035】
すなわち、回転ブラシ4は、その軸回り回転により、直接的にブラシ毛の毛先を里芋に接触させて、里芋表面に付着しているごみや泥等を落としたり皮をむいたりするとともに、複数の回転ブラシ4が協動して、処理槽2の内部で多数の該里芋を受けとめ保持しながら撹拌状に移動させて、里芋同士を互いに接触、こすり合わせる等ことにより、洗浄と皮むきを同時に行いうる。
【0036】
本実施形態では、図2図4に示すように、複数(例えば、本実施形態では7本)の回転ブラシ4が互いにブラシ毛42の先端どうしを近接させた状態で、かつ回転軸41を互いに平行にした状態で、略J字状となる円弧状配列で設置されている。よって、処理槽2の内部では、投入された里芋は、円弧状配列された複数の回転ブラシ4に受けられた状態となる。
【0037】
前述のような回転ブラシ4の配置により、回転ブラシ4は、略J字状に円弧状配列されているので、処理槽2の内部で左右非対象の配列となっている。図4では、図上、処理槽2の内部で側壁に沿って、右方側が左方側よりも高い位置まで回転ブラシ4が配置されている。
【0038】
回転ブラシ4が処理槽2の内部の高さ中間位置までしか設置されていない左方側では、前述のように傾斜壁27が設置され、里芋Rを受けるようになっている。
【0039】
一方、回転ブラシ4が処理槽2の内部の上端近傍位置まで設置される左方側では、該回転ブラシ4の直上部分を閉鎖するように保護板29が設置されている。保護板29により、高速で回転する回転ブラシ4に作業者等が触れないようにし、安全性を確保している。
【0040】
なお、回転ブラシ4は、左右対称となるように略U字状に配置することとしてもよい。また、回転ブラシ4の個数は、処理対象の根菜類を受けるような略U字状又は略J字状の円弧状配列構成であれば任意の数でよい。
【0041】
回転ブラシ4は、中心軸を回転軸41とした横方向に長い円柱状の芯部42の周面に放射状に突設するように多数のブラシ毛43が植設されて形成されている。回転ブラシ4は、例えば、軸方向の長さが1500mm程度に設定されて、回転軸41の両端が処理槽4の側壁に取り付けられた軸受部44を介して架設状に回転自在に支持されている。
【0042】
回転ブラシ4の回転軸41の一端側には、例えば、ギヤが固定されており、他のギヤ又はチェーン等の回転伝達機構52を介して駆動手段5に連動されている。複数の回転ブラシ4は、全ての回転ブラシ4の回転方向が同一方向に設定されるとともに、回転速度も同一速度で設定される。図4に示すように、回転ブラシ4の回転方向は、図上、右回転に設定されており、底側の回転ブラシ4では里芋Rを右側へ、右側方の回転ブラシ4列では里芋Rを上方側へ移動させるような回転方向となっている。
【0043】
本実施形態では、回転ブラシ4の回転速度は、比較的早い速度で設定されており、例えば、216回転/分に設定されている。複数の回転ブラシ4を円弧状配列して、同一方向に比較的高速で回転させることにより、処理槽2の内部の里芋は、回転ブラシ4の円弧状配列にそって一方向に向けて上昇するように移動し、処理槽2の上端側で横方向又は下方向に移動するような対流状に撹拌される。
【0044】
各回転ブラシ4のブラシ毛43は、例えば、ナイロンで形成されており、長さが76mm、直径が0.5mmに設定されている。
【0045】
複数の回転ブラシ4による上記のような処理槽2内部での里芋Rの撹拌と、各回転ブラシ4のブラシ毛43の長さおよび直径に応じた毛の硬さおよび弾力等が相乗的に協働することにより、大量の里芋を洗浄しながら薄皮を残した状態での皮剥きを具体的に実現することができる。
【0046】
なお、回転ブラシ4のブラシ毛43の長さは、例えば、74mm以上78mm以下に設定するとよい。ブラシ毛を74mmよりも短くすると、様々な大きさ形状の里芋にあたりにくくなり、皮剥き効率および確実性が劣るおそれがある。一方、ブラシ毛を78mmよりも長くすると、ブラシ毛がたわみやすくなって様々な大きさ形状の里芋にあたりにくくなったり剥離した汚れや皮がブラシ毛に残りやすく里芋に再付着してしまったりし、やはり皮剥き効率および確実性が劣るおそれがある。
【0047】
また、回転ブラシ4のブラシ毛43の直径は、0.45mm以上0.55mm以下に設定するとよい。ブラシ毛43の直径を0.45mmよりも細くすると、ブラシ毛が柔らかくなり、里芋の皮を剥く力が弱くなり、皮剥き効率および確実性が悪くなるおそれがある。一方、ブラシ毛43の直径を0.55mmよりも太くすると、ブラシ毛が硬くなり、里芋の皮を剥く力が強く薄皮まで剥いてしまい、歩留まりの悪化や廃棄ロスが増加するおそれが生じる。
【0048】
また、回転ブラシ4の回転速度は、210回転/分以上に設定するとよい。回転ブラシ4の回転速度を210回転/分よりも遅くすると、里芋とブラシ毛に接触時間や処理槽内での対流状の移動が遅くなる等のことから、洗浄および皮むき処理の時間が長くなるとともに、里芋どうしの接触力が大きく里芋の皮を剥く力が大きく、薄皮まで剥いてしまう結果、歩留まりの悪化や廃棄ロスが増加するおそれが生じる。
【0049】
駆動手段5は、複数の回転ブラシ4を所定の設定された回転速度で回転駆動させるための回転駆動手段である。本実施形態では、図1図2に示すように、駆動手段5は、例えば、処理槽2の開閉扉23とは反対側の側壁側に取り付けられており、電動モータ51と、電動モータ51の出力軸の回転力を複数の回転ブラシ4に伝達する回転伝達機構52と、を有する。
【0050】
本実施形態では、電動モータ51は、例えば、三相モータであり、電圧200Vで出力0.75kwのものが使用される。
【0051】
回転伝達機構52は、電動モータ51の出力軸に固定されたギヤ等により回転数を1/10に減速する減速機と、該減速機によって減速された回転数を複数の回転ブラシ4に伝達するギヤ又はチェーンと、を含み、処理槽2の一端に取り付けられるボックス状の筐体内に収容されている。回転伝達機構52のギヤ比等を所定に設計することにより、電動モータ51の出力回転を変換して、前述のような複数の回転ブラシ4が216回転/分の回転速度で同一方向に回転するように設定されている。
【0052】
次に、本実施形態に係る根菜類の皮むき洗浄装置1の使用例について説明する。処理槽2の上面側の開口から内部に処理対象の里芋Rを大量に(例えば、80kg~90kg程度)投入する。駆動手段5により複数の回転ブラシ4を回転駆動させるとともに、給水手段3の給水パイプ31から処理槽2の内部の里芋Rに向けて散水する。
【0053】
処理槽2の内部では、円弧状配列の複数の回転ブラシ4により、回転ブラシ4が直接的に里芋にあたるとともに、複数の回転ブラシ4による里芋の対流状の撹拌・移動により里芋どうしが互いに接触したりこすりあったりしつつ、それらが協働しながら里芋を洗浄しながら皮むきする。さらに、上方側から処理槽2に給水手段3により散水状に給水されることで里芋表面の泥やごみ、および里芋から剥離した皮が水で洗い落される。
【0054】
回転ブラシのブラシ毛の長さ、直径や、回転速度を前述のように設定したことにより、大量の里芋を効率よく、かつ良好に薄皮が残った状態で皮を剥くことができる。
【0055】
本実施形態では、例えば、処理時間が50~60分程度で、投入した80kg~90kgの里芋のすべてがむらなく均一に洗浄されるとともに、薄皮が残った状態できれいに皮むきされる。その結果、処理された里芋の歩留まりは、60~70%となり、廃棄ロスが比較的少ない状態で洗浄および皮むき処理することが実現できる。
【0056】
洗浄および皮むき処理された里芋は、処理槽2の開閉扉23からホッパー26を介して排出される。処理後の里芋は、薄皮が残った状態で皮むきされるので、栄養価も高く、旨味成分も多く含まれた健康にもよい皮むき里芋商品を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の根菜類の皮むき洗浄装置は、根菜類、特に里芋を薄皮を残した状態で皮を剥いて洗浄する際に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 根菜類の皮むき洗浄装置
2 処理槽
3 給水手段
4 回転ブラシ
41 回転軸
42 芯部
43 ブラシ毛
5 駆動手段
図1
図2
図3
図4