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特開2025-31448警備システム及び警備システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031448
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】警備システム及び警備システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20250228BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
G08B25/00 510E
G08B21/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023199020
(22)【出願日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2023136874
(32)【優先日】2023-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000101400
【氏名又は名称】アツミ電氣株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130281
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 道幸
(72)【発明者】
【氏名】松島 正和
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA01
5C086AA02
5C086AA27
5C086BA01
5C086BA20
5C086CA06
5C086CA25
5C086DA08
5C086DA20
5C087AA21
5C087BB20
5C087DD04
5C087DD05
5C087DD07
5C087DD23
5C087DD25
5C087DD26
5C087DD27
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087GG46
(57)【要約】
【課題】
警戒開始や警戒解除の設定忘れを防止できる警備システム及び警備システムの制御方法を提供することにある。
【解決手段】
警備装置による警戒開始又は警戒解除の起源となる警戒状態変更対象者が居る場所を示す位置情報又は警戒状態変更対象者の警備対象施設からの離間距離情報を把握するための警戒状態変更対象者位置把握手段と、警戒状態変更対象者の位置情報又は離間距離情報に基づき、警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促す設定喚起手段とを備え、警戒状態変更対象者の居る位置によって、警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
警備対象施設の警備状況を監視する警備装置からなる警備システムにおいて、
該警備装置による警戒開始又は警戒解除の起源となる警戒状態変更対象者が居る場所を示す位置情報又は該警戒状態変更対象者の該警備対象施設からの離間距離情報を把握するための警戒状態変更対象者位置把握手段と、
該警戒状態変更対象者の該位置情報又は該離間距離情報に基づき、該警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促す設定喚起手段とを備え、
該警戒状態変更対象者の居る位置によって、該警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする警備システム。
【請求項2】
前記警戒状態変更対象者位置把握手段が、
前記警備対象施設の位置の情報である警備対象施設位置情報を把握でき、且つ、それ自身の位置の情報を取得可能な携帯情報端末であって、
該警戒状態変更対象者が該携帯情報端末を所持することで、前記位置情報又は前記離間距離情報を把握可能であることを特徴とする請求項1記載の警備システム。
【請求項3】
前記携帯情報端末が、前記設定喚起手段の機能を有していることを特徴とする請求項2記載の警備システム。
【請求項4】
前記警戒状態変更対象者位置把握手段が、
該警備対象施設の域内又は所定の場所に設けられた特定の電波を発信する送信機と、
該特定の電波を受信する受信機とから構成され、
前記警戒状態変更対象者が該受信機を所持することで、
該受信機が、該送信機からの該特定の電波を受信できなくなった場合、又は、該特定の電波を受信できるようになった場合に、前記設定喚起手段が前記警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする請求項1記載の警備システム。
【請求項5】
前記特定の電波が、識別情報を含む電波であることを特徴とする請求項4記載の警備システム。
【請求項6】
前記受信機が、携帯情報端末であって、
該携帯情報端末が、前記設定喚起手段の機能も有していることを特徴とする請求項4記載の警備システム。
【請求項7】
前記受信機が、携帯情報端末であって、
該携帯情報端末が、前記設定喚起手段の機能も有していることを特徴とする請求項5記載の警備システム。
【請求項8】
前記警備装置に、警戒の開始の予定時間が予め記録されており、
前記警戒状態変更対象者位置把握手段が、該予定時間になっても警戒の開始設定がなされなかった場合に、該警備対象施設内にある前記携帯情報端末を把握し、
前記設定喚起手段が、該警戒状態変更対象者位置把握手段が把握した該携帯情報端末に対して、該予定時間であることを知らせる通知を行うことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項6又は請求項7のいずれか1項に記載の警備システム。
【請求項9】
前記警備装置が、警戒がなされている状態で、人が所定の入口から前記警備対象施設に入ったとき、該警備装置が、該警備対象施設への不正侵入の警報を発するタイミングに所定の猶予時間を与える入室タイマーを起動させ、
前記警戒状態変更対象者位置把握手段が、該警備対象施設内にある前記携帯情報端末を把握し、
前記設定喚起手段が、該警戒状態変更対象者位置把握手段が把握した該携帯情報端末に対して、該猶予時間内に警戒の解除設定を行うように促す通知を行うことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項6又は請求項7のいずれか1項に記載の警備システム。
【請求項10】
前記設定喚起手段が、
前記警戒状態変更対象者の前記位置情報又は前記離間距離情報に加え、
日時の情報に基づき、前記警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の警備システム。
【請求項11】
前記設定喚起手段が、
複数の前記警戒状態変更対象者の前記位置情報又は前記離間距離情報に基づき、前記警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の警備システム。
【請求項12】
警備対象施設の警備状況を監視する警備装置からなる警備システムの制御方法において、
該警備装置による警戒開始又は警戒解除の起源となる警戒状態変更対象者が居る場所を示す位置情報又は該警戒状態変更対象者の該警備対象施設からの離間距離情報を把握し、
該警戒状態変更対象者の該位置情報又は該離間距離情報に基づき、該警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする警備システムの制御方法。
【請求項13】
前記警備対象施設の位置の情報である警備対象施設位置情報を把握でき、且つ、それ自身の位置の情報を取得可能な携帯情報端末を、該警戒状態変更対象者が所持することで、前記位置情報又は前記離間距離情報を把握可能であることを特徴とする請求項12記載の警備システムの制御方法。
【請求項14】
前記携帯情報端末が、前記警戒状態変更対象者の前記位置情報又は前記離間距離情報に基づき、前記警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする請求項13記載の警備システムの制御方法。
【請求項15】
前記警備対象施設の域内又は所定の場所に設けられた特定の電波を発信する送信機からの該特定の電波を、前記警戒状態変更対象者が所持する該特定の電波を受信する受信機が受信できなくなった場合、又は、該特定の電波を受信できるようになった場合に、前記警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする請求項12記載の警備システムの制御方法。
【請求項16】
前記特定の電波が、識別情報を含む電波であることを特徴とする請求項15記載の警備システムの制御方法。
【請求項17】
前記受信機が、携帯情報端末であって、
該携帯情報端末が、前記警戒状態変更対象者の前記位置情報又は前記離間距離情報に基づき、前記警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする請求項15記載の警備システムの制御方法。
【請求項18】
前記受信機が、携帯情報端末であって、
該携帯情報端末が、前記警戒状態変更対象者の前記位置情報又は前記離間距離情報に基づき、前記警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする請求項16記載の警備システムの制御方法。
【請求項19】
前記警備装置に、警戒の開始の予定時間が予め記録されており、
該警備装置が該予定時間になっても警戒の開始設定がなされなかった場合に、該警備対象施設内にある前記携帯情報端末を把握し、
該把握した該携帯情報端末に対して、該予定時間であることを知らせる通知を行うことを特徴とする請求項13、請求項14、請求項17又は請求項18のいずれか1項に記載の警備システムの制御方法。
【請求項20】
前記警備装置が、警戒がなされている状態で、人が所定の入口から前記警備対象施設に入ったとき、該警備装置が、該警備対象施設への不正侵入の警報を発するタイミングに所定の猶予時間を与える入室タイマーを起動させ、
該警備対象施設内にある前記携帯情報端末を把握し、
該把握した該携帯情報端末に対して、該猶予時間内に警戒の解除設定を行うように促す通知を行うことを特徴とする請求項13、請求項14、請求項17又は請求項18のいずれか1項に記載の警備システムの制御方法。
【請求項21】
前記警戒状態変更対象者の前記位置情報又は前記離間距離情報に加え、
日時の情報に基づき、前記警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする請求項12~請求項18のいずれか1項に記載の警備システムの制御方法。
【請求項22】
複数の前記警戒状態変更対象者の前記位置情報又は前記離間距離情報に基づき、前記警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする請求項12~請求項18のいずれか1項に記載の警備システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備対象施設の警備状況を監視する警備装置からなる警備システム及び警備システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、警備システムでは、警備対象施設の警備状況を監視する警備装置やその他の装置により構成されている。警備装置は、警備対象施設の警戒開始や警戒解除を設定されることで、警備対象施設の監視を開始したり、監視を解除したりすることになる。
【0003】
多くの場合、その警備装置の警戒開始や警戒解除は、特定の者及び特定の警備に関する権限を与えられた者が行うことになる。しかしながら、例えば、特定の者が、本来警戒開始の設定を警備装置に対して行わなければならない状況で、警戒開始の設定を失念してしまって警備装置が警備状況の監視が開始されない状況が生じる場合がある。これは、警戒解除の場合も、同様である。
【0004】
このような、警備関係の機器の警戒開始や警戒解除のミスを防ぐ方法としては、例えば、特許文献1のような機械警備設備が提案されている。特許文献1の機械警備設備は、警備機器による警備を解除しないまま開閉部から警備領域へ入ることを阻止する。特許文献1の機械警備設備は、警備領域に出入りする開閉部に錠前を備えると共に、警備領域の警備機器による警備状態を警備解除中または警備中に切換える警備操作端末を警備領域の外に備えた機械警備設備において、錠前の鍵穴への鍵の差し込みを阻止する差し込み阻止手段を具備させ、警備操作端末による警備解除中は前記差し込み阻止手段を無効として鍵穴への鍵の差し込みを可能とし、警備中は前記差し込み阻止手段を有効として鍵穴への鍵の差し込みを不能とする鍵穴操作制御装置を設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-196370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示される機械警備設備のような従来の警備システムでは、錠前等の特定の機器に対しての警戒開始や警戒解除のミスしか防ぐことができず、警備システムの全体としては不十分である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、警戒開始や警戒解除の設定忘れを防止できる警備システム及び警備システムの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の警備システムは、警備装置による警戒開始又は警戒解除の起源となる警戒状態変更対象者が居る場所を示す位置情報又は警戒状態変更対象者の警備対象施設からの離間距離情報を把握するための警戒状態変更対象者位置把握手段と、警戒状態変更対象者の位置情報又は離間距離情報に基づき、警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促す設定喚起手段とを備え、警戒状態変更対象者の居る位置によって、警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の警備システムは、請求項1の構成に加え、警戒状態変更対象者位置把握手段が、警備対象施設の位置の情報である警備対象施設位置情報を把握でき、且つ、それ自身の位置の情報を取得可能な携帯情報端末であって、警戒状態変更対象者が携帯情報端末を所持することで、位置情報又は離間距離情報を把握可能であることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の警備システムは、請求項2の構成に加え、携帯情報端末が、設定喚起手段の機能を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の警備システムは、請求項1の構成に加え、警戒状態変更対象者位置把握手段が、警備対象施設の域内又は所定の場所に設けられた特定の電波を発信する送信機と、特定の電波を受信する受信機とから構成され、警戒状態変更対象者が受信機を所持することで、受信機が、送信機からの特定の電波を受信できなくなった場合、又は、特定の電波を受信できるようになった場合に、設定喚起手段が警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の警備システムは、請求項4の構成に加え、特定の電波が、識別情報を含む電波であることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の警備システムは、請求項4の構成に加え、受信機が、携帯情報端末であって、携帯情報端末が、設定喚起手段の機能も有していることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の警備システムは、請求項5の構成に加え、受信機が、携帯情報端末であって、携帯情報端末が、設定喚起手段の機能も有していることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の警備システムは、請求項2、請求項3、請求項6又は請求項7のいずれか1項に記載の構成に加え、警備装置に、警戒の開始の予定時間が予め記録されており、警戒状態変更対象者位置把握手段が、予定時間になっても警戒の開始設定がなされなかった場合に、警備対象施設内にある携帯情報端末を把握し、設定喚起手段が、警戒状態変更対象者位置把握手段が把握した携帯情報端末に対して、予定時間であることを知らせる通知を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の警備システムは、請求項2、請求項3、請求項6又は請求項7のいずれか1項に記載の構成に加え、警備装置が、警戒がなされている状態で、人が所定の入口から警備対象施設に入ったとき、警備装置が、警備対象施設への不正侵入の警報を発するタイミングに所定の猶予時間を与える入室タイマーを起動させ、警戒状態変更対象者位置把握手段が、警備対象施設内にある携帯情報端末を把握し、設定喚起手段が、警戒状態変更対象者位置把握手段が把握した携帯情報端末に対して、猶予時間内に警戒の解除設定を行うように促す通知を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の警備システムは、請求項1~請求項7のいずれか1項の構成に加え、設定喚起手段が、警戒状態変更対象者の位置情報又は離間距離情報に加え、日時の情報に基づき、警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする。
【0018】
請求項11記載の警備システムは、請求項1~請求項7のいずれか1項の構成に加え、設定喚起手段が、複数の警戒状態変更対象者の位置情報又は離間距離情報に基づき、警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする。
【0019】
請求項12記載の警備システムの制御方法は、警備装置による警戒開始又は警戒解除の起源となる警戒状態変更対象者が居る場所を示す位置情報又は警戒状態変更対象者の警備対象施設からの離間距離情報を把握し、警戒状態変更対象者の位置情報又は離間距離情報に基づき、警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする。
【0020】
請求項13記載の警備システムの制御方法は、請求項12の構成に加え、警備対象施設の位置の情報である警備対象施設位置情報を把握でき、且つ、それ自身の位置の情報を取得可能な携帯情報端末を、警戒状態変更対象者が所持することで、位置情報又は離間距離情報を把握可能であることを特徴とする。
【0021】
請求項14記載の警備システムの制御方法は、請求項13の構成に加え、携帯情報端末が、警戒状態変更対象者の位置情報又は離間距離情報に基づき、警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする。
【0022】
請求項15記載の警備システムの制御方法は、請求項12の構成に加え、警備対象施設の域内又は所定の場所に設けられた特定の電波を発信する送信機からの特定の電波を、警戒状態変更対象者が所持する特定の電波を受信する受信機が受信できなくなった場合、又は、特定の電波を受信できるようになった場合に、警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする。
【0023】
請求項16記載の警備システムの制御方法は、請求項15の構成に加え、特定の電波が、識別情報を含む電波であることを特徴とする。
【0024】
請求項17記載の警備システムの制御方法は、請求項15の構成に加え、受信機が、携帯情報端末であって、携帯情報端末が、警戒状態変更対象者の位置情報又は離間距離情報に基づき、警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする。
【0025】
請求項18記載の警備システムの制御方法は、請求項16の構成に加え、受信機が、携帯情報端末であって、携帯情報端末が、警戒状態変更対象者の位置情報又は離間距離情報に基づき、警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする。
【0026】
請求項19記載の警備システムの制御方法は、請求項13、請求項14、請求項17又は請求項18のいずれか1項に記載の構成に加え、警備装置に、警戒の開始の予定時間が予め記録されており、警備装置が予定時間になっても警戒の開始設定がなされなかった場合に、警備対象施設内にある携帯情報端末を把握し、把握した携帯情報端末に対して、予定時間であることを知らせる通知を行うことを特徴とする。
【0027】
請求項20記載の警備システムの制御方法は、請求項13、請求項14、請求項17又は請求項18のいずれか1項に記載の構成に加え、警備装置が、警戒がなされている状態で、人が所定の入口から警備対象施設に入ったとき、警備装置が、警備対象施設への不正侵入の警報を発するタイミングに所定の猶予時間を与える入室タイマーを起動させ、警備対象施設内にある携帯情報端末を把握し、把握した携帯情報端末に対して、猶予時間内に警戒の解除設定を行うように促す通知を行うことを特徴とする。
【0028】
請求項21記載の警備システムの制御方法は、請求項12~請求項18のいずれか1項の構成に加え、警戒状態変更対象者の位置情報又は離間距離情報に加え、日時の情報に基づき、警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする。
【0029】
請求項22記載の警備システムの制御方法は、請求項12~請求項18のいずれか1項の構成に加え、複数の警戒状態変更対象者の位置情報又は離間距離情報に基づき、警備装置における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本願の発明によれば、警備システムにおける警戒開始や警戒解除の設定忘れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る警備システムの第1の実施例の構成及び動作を示す構成図である。
図2】同警備システムの第1の実施例のネットワークにおける動作を示す説明図である。
図3】同警備システムの第1の実施例の動作を示す説明図である。
図4】同警備システムの第1の実施例の動作を示す説明図である。
図5】本発明に係る警備システムの第2の実施例の構成及び動作を示す説明図である。
図6】同警備システムの第2の動作を示す説明図である。
図7】同警備システムの第2の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。尚、図1は、本発明に係る警備システムの第1の実施例の構成及び動作を示す構成図である。図2は、同警備システムの第1の実施例のネットワークにおける動作を示す説明図である。図3及び図4は、同警備システムの第1の実施例の動作を示す説明図である。図5は、本発明に係る警備システムの第2の実施例の構成及び動作を示す説明図である。図6及び図7は、同警備システムの第2の動作を示す説明図である。
【0033】
図に示す警備システム1,2は、警備対象施設4,6の警備状況を監視する警備装置10,50からなるものである。警備装置10,50は、警備対象施設4,6に設けられたセンサ等により、警備対象施設4,6内に不審者等が侵入する等の発見や火災やガス漏れ等の異常の検知を行うもので、いわゆる機械警備装置である。尚、警備対象施設4,6は、事業用のビル、工場、店舗、集合住宅、戸建て住宅等様々で、また、単に建物だけでなく土地(敷地)を含むものである。
【0034】
警備装置10,50は、常時異常を検知する警戒の状態にあるわけではなく、所定の者が警戒の開始設定を行ったり、警戒の解除設定を行ったりすることで、その切り替えを行っている。但し、警備装置10,50の警戒の開始設定や警戒の解除設定は、所定の者のみが行えるとは限らず、また、所定の条件により、警備システム1,2に関係する装置が自動で行うことも可能で、警備装置10,50の警戒の開始設定や警戒の解除設定を誰が(何が)どのように行うかは制限されない。
【0035】
但し、警備対象施設4,6に居ることを許された人が誰も警備対象施設4,6から居なくなった場合には警備対象施設4,6の警戒の開始設定を行う必要があり、また、警戒の状態にある警備対象施設4,6に警備対象施設4,6に入ることを許された人が入った場合や入ろうとした場合には警備対象施設4,6の警戒の解除設定を行う必要がある。ここで、このような警備装置10,50による警戒開始又は警戒解除の起源となる者を、警戒状態変更対象者100と呼ぶこととする。尚、1つの警備対象施設4,6に関係する警戒状態変更対象者100が一人とは限らない。以下の説明では、警戒状態変更対象者100が一人の場合で説明するが、必要に応じて複数人の場合の説明も行う。
【0036】
尚、警備システム1,2は、少なくとも警備対象施設4,6の警備状況を監視する警備装置10,50及び警備装置10,50に異常を検知して知らせるセンサ等から構成されるのが、最低の構成要素であり、それに、後述する各装置的要素が付加されることになる。
【0037】
本願の警備システム1,2は、警備装置10,50による警戒開始又は警戒解除の起源となる警戒状態変更対象者100が居る場所を示す位置情報又は警戒状態変更対象者100の警備対象施設4,6からの離間距離情報を把握するための警戒状態変更対象者位置把握手段と、警戒状態変更対象者100の位置情報又は離間距離情報に基づき、警備装置10,50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促す設定喚起手段とを備えている。そして、警備システム1,2は、警戒状態変更対象者100の居る位置によって、警備装置10,50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すことをその機能としている。
【0038】
尚、警戒状態変更対象者位置把握手段及び設定喚起手段は、電子的なハードウェア又はソフトウェアで構成され、それらは各種の実現手段が想定されるが、具体的には実施例1及び実施例2で説明する。また、警戒状態変更対象者位置把握手段及び設定喚起手段は、警備システム1,2を構成する最低限の装置的要素及びそれに付加される装置的要素のいずれか又は組み合わせによって実現され、警戒状態変更対象者位置把握手段及び設定喚起手段がいずれの装置的構成要素で実現されるかについては限定されない。尚、装置的構成要素は、警備装置10,50に加え、後述する電気通信回線8、サーバ20、警備会社30側の装置(例えば、センター装置等)、携帯情報端末100a,100b,110a,120aが含まれる。
【0039】
警戒状態変更対象者位置把握手段は、警備装置10,50による警戒開始又は警戒解除の起源となる警戒状態変更対象者100が居る場所を示す位置情報又は警戒状態変更対象者100の警備対象施設4,6からの離間距離情報を把握するためのものであるが、具体的には、スマートフォンや携帯電話やタブレット端末等の携帯情報端末100a,100bによって実現可能である。そして、警戒状態変更対象者100が携帯情報端末100a,100bを所持することで、位置情報又は離間距離情報が把握可能となる。
【0040】
また、設定喚起手段は、警戒状態変更対象者位置把握手段が把握した警戒状態変更対象者100の位置情報又は離間距離情報に基づき、警備装置10,50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すものであるが、具体的には、スマートフォンや携帯電話やタブレット端末等の携帯情報端末100a,100b,110a、120aによって実現可能である。
【0041】
尚、設定喚起手段が、携帯情報端末100a,100bによって実現されている場合に、携帯情報端末100a,100bが警備装置10,50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行うとは、携帯情報端末100a,100bが、電気通信回線8を介して直接警備装置10,50の警戒の開始設定や警戒の解除設定を行う場合に限らず、サーバ20や警備会社30側の機器に指示して、それらに警備装置10,50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行わせるように指示する場合も含まれる。さらに、設定喚起手段としては、警戒状態変更対象者100が所持している携帯情報端末100a,100bに限られず、他の者が取り扱い可能な又は所持している他の携帯情報端末110a,120a等であっても良いし、サーバ20や警備会社30側の機器等であってもよく、装置によって限定されるものではない。
【0042】
設定喚起手段が、警備装置10,50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すわけであるが、具体的には、具体的な位置情報、離間距離情報に基づき、警戒状態変更対象者100が、警備対象施設4,6から出た場合、警備対象施設4,6から出ようとしている場合、警備対象施設4,6に入った場合、警備対象施設4,6に入ろうとしている状況を把握し、警備装置10,50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すわけである。
【0043】
尚、設定喚起手段が所定の者に促すとは、所定の者に対して、警戒の開始設定又は警戒の解除設定を行うように促すということであり、実際に警戒の開始設定又は警戒の解除設定を行うのは、促された所定の者である必要はない。ここで、促される所定の者は、警戒状態変更対象者100である場合もあれば、警戒状態変更対象者100以外の別の人である警戒状態変更対象者でもよく、警備会社30の関係者でも、また、遠隔地に居る警戒状態変更対象者100の家族等でもよく、予め定められた者であれば限定されるものではない。
【0044】
警戒状態変更対象者位置把握手段としては、警備対象施設6の域内又は所定の場所に設けられた特定の電波を発信する送信機60と、特定の電波を受信する受信機とから構成とし、警戒状態変更対象者100が受信機を所持することで、受信機が、送信機60からの特定の電波を受信できなくなった場合、又は、特定の電波を受信できるようになった場合に、設定喚起手段が警備装置50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すようにすることも可能である。
【0045】
送信機60が発信する特定の電波とは、本願発明の機能を達成させるためのもので、他の目的で用いられているものを併用することも可能である。
【0046】
尚、送信機60が設けられる所定の場所とは、警備対象施設6の域内以外の設定喚起手段が警備装置50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すようにする必要性を判断するに足りる場所である。送信機60が設けられる所定の場所としては、例えば、警備対象施設6のすぐ外側や、警備対象施設6の域外にある駐車場等が想定される。
【0047】
また、送信機60が発信する特定の電波に識別情報を含ませることも可能である。そして、受信機側も、単に特定の電波を受信できていることのみを持って受信できているとするのではなく、送信機60が発信する特定の電波の識別情報を読み取って、読み取った識別情報が所望のものである場合に特定の電波を受信できているとするようにすることができる。
【0048】
そして、受信機が、携帯情報端末100bであって、携帯情報端末100bを設定喚起手段の機能も有しているように構成させることもできる。
【0049】
上述の構成の他、設定喚起手段が、警戒状態変更対象者100の位置情報又は離間距離情報に加え、日時の情報に基づき、警備装置10,50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すようにしてもよい。
【0050】
以上のように、本願発明の警備システム1,2の動作すなわち制御方法としては、警備装置10,50による警戒開始又は警戒解除の起源となる警戒状態変更対象者が居る場所を示す位置情報又は警戒状態変更対象者100の警備対象施設4,6からの離間距離情報を把握し、警戒状態変更対象者100の位置情報又は離間距離情報に基づき、警備装置10,50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すという手順になる。
【0051】
このような構成及び動作の本願の警備システム1,2によれば、警戒開始や警戒解除の設定忘れを防止できる。
【実施例0052】
次に、警備システム1のより具体的な実施例を、図1図4により説明する。実施例1の警備システム1は、上述の警備対象施設4に設けられた警備装置10に加え、図2に示すように、警備装置10が、電気通信回線8を介して、警備システム1を構成するサーバ20、携帯情報端末100a,110a,120a、警備会社30と接続されている。尚、本願の発明の実施においては、警備装置10、電気通信回線8及び携帯情報端末100aは必須であるが、他のものに関しては、警備システム1の構成の仕方により、任意に用いるようにすればよい。
【0053】
電気通信回線8は、例えば、不特定多数の利用者によって共有して接続可能なインターネット回線(公衆インターネット網)であり、接続方法としては有線でも無線でもよく、電気通信回線の形態により限定されるものではない。サーバ20は、電気通信回線8上に向けられたハードウェア又はソフトウェアにより構成されるサービスや機能を提供する電子計算機の一種で、後述の機能を有している。警備会社30は、警備会社30側の装置を示しており、具体的には、例えば、センター装置であり、警備装置10と電気通信回線8で接続され、警備装置10に係る設定を変更したり警備に関係する情報を警備装置10から取得したりできる装置である。
【0054】
次に、本実施例1における警備システム1の構成や動作について説明する。尚、本実施例1の説明では、警戒状態変更対象者100が一人の場合で説明する。そして、その警戒状態変更対象者100が、携帯情報端末100aを所持していることを前提に説明する。そして、携帯情報端末100aが、後述のように、警戒状態変更対象者位置把握手段及び設定喚起手段として機能する。
【0055】
まず、携帯情報端末100aが、警戒状態変更対象者位置把握手段として機能するため、携帯情報端末100aの所在位置を客観的(例えば、具体的な経緯・緯度の情報)に把握できる必要がある。具体的には、携帯情報端末100aは各種の基地局と無線接続されており、電波の授受が行われている複数の基地局の所在場所から三角測量的にその位置を自身で特定できる場合が一般的である。それ以外にも、携帯情報端末100aがGPS機能を有していれば、GPS衛星からの情報で、携帯情報端末100aの客観的な位置を随時取得することができる。
【0056】
そして、警戒状態変更対象者100が携帯情報端末100aを所持していることで、警戒状態変更対象者位置把握手段として機能する携帯情報端末100aが、警戒状態変更対象者100の位置情報を、把握することができる。
【0057】
警戒状態変更対象者100の位置情報を随時把握する携帯情報端末100aは、この位置情報に基づき、設定喚起手段としての機能を発揮することになる。具体的には、携帯情報端末100aには、自身位置が、どの位置にある場合に警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促す必要があるのかを、記憶させておく。この警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促す必要のある位置とは、ピンポイント的な位置の他、警備対象施設4の域内以外であればすべて、というように自由に設定することが可能である。
【0058】
具体的な動作としては、図1に示すように、警備装置10の警戒の開始設定をしないまま、警戒状態変更対象者100が警備対象施設4から出たような場合に、携帯情報端末100aがその位置から警戒状態変更対象者100が警備対象施設4から出たことを把握し、警備装置10における警戒の開始設定を行う又は所定の者に促すようにする。但し、既に、警備装置10で警戒の開始設定がなされている場合には、再度の警戒の開始設定を行う必要はないが、繰り返し警戒の開始設定を行ってはいけないというものでもない。
【0059】
ここで、携帯情報端末100aが、警備装置10における警戒の開始設定を行う方法には、いくつかの方法が考えられる。これは、警備装置10における警戒の解除設定を行う方法においても同様であるので合わせて説明する。1つの方法として、携帯情報端末100aが、直接、警備装置10を制御して、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う場合である。この場合には、自動的に、電気通信回線8を介して、リモート操作的に、携帯情報端末100aが、直接、警備装置10を制御して、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う。
【0060】
他の方法としては、警戒状態変更対象者100が所持する携帯情報端末100aから、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う必要がある旨の情報が、電気通信回線8を通じてサーバ20や警備会社30に送られ、サーバ20や警備会社30の側が、設定喚起手段として、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すように動作してもよい。
【0061】
さらには、警戒状態変更対象者100が所持する携帯情報端末100aから、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う必要がある旨の情報が、電気通信回線8を通じて、他の人(例えば、遠隔地にする家族等)の携帯情報端末110a、120aに送られ、設定喚起手段として、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すように動作してもよい。このように、その装置に設定喚起手段としての機能を持たせるかは、任意である。
【0062】
尚、設定喚起手段が、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行うことを所定の者に促すとは、例えば、警戒状態変更対象者100が所持する携帯情報端末100aが、警戒状態変更対象者100に対して、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う必要があることを示して、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行うように促すということである。促された者は、なんらかの方法で、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行うようにする。
【0063】
図1は、携帯情報端末100aを所持する警戒状態変更対象者100が、警備対象施設4から出た場合であるが、図3のケースは、警備装置10の警戒の解除設定を行わないままに、警戒状態変更対象者100が、警備対象施設4に入った場合の例である。この場合には、携帯情報端末100aが、この状況を把握し、警備装置10における警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すようにする。
【0064】
尚、警戒状態変更対象者100の位置情報としては、位置情報の変化も含まれる。例えば、図4の例で示すように、携帯情報端末100aを所持する警戒状態変更対象者100が、警備対象施設4から遠ざかったり、近づいたりした場合、位置情報の変化により、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すようにしてもよい。
【0065】
次に、警戒状態変更対象者100の警備対象施設4からの離間距離情報について説明する。警戒状態変更対象者位置把握手段が、離間距離情報を把握することで、この離間距離情報に基づいて、設定喚起手段が、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すようにしてもよい。
【0066】
警戒状態変更対象者位置把握手段としての携帯情報端末100aが、警戒状態変更対象者100の警備対象施設4からの離間距離情報を把握するためには、警備対象施設4の位置の情報(警備対象施設位置情報)を得る必要がある。例えば、警戒状態変更対象者100が携帯情報端末100aに警備対象施設4の位置の情報を直接入力してもよい。また、例えば、携帯情報端末100aが、電気通信回線8を介して、警備装置10やサーバ20や警備会社30や、他の携帯情報端末110a,120a等から得ることも可能である。
【0067】
離間距離情報は、携帯情報端末100aの情報と警備対象施設4の位置の情報から算出すればよい。そして、予め、警戒状態変更対象者位置把握手段としての携帯情報端末100aに、離間距離情報がどのような値になった場合に、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すかを記憶させて、その値になった場合に、設計喚起手段として機能させるようにする。
【0068】
尚、1つの警戒状態変更対象者位置把握手段と1つの設定喚起手段で、警戒状態変更対象者100の位置情報と、警戒状態変更対象者100の警備対象施設4からの離間距離情報との両方を同時に取り扱えるようにしてもよい。
【0069】
尚、上述の実施例1では、一人の警戒状態変更対象者100の行動により、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すようにしているが、一人に限ったものではなく、例えば、警戒状態変更対象者を複数人に設定し、この複数の警戒状態変更対象者のそれぞれの居る場所によって、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すようにしてもよい。
【0070】
さらに、実施例1では、1つの携帯情報端末100aに、警戒状態変更対象者位置把握手段と設定喚起手段との機能を担わせているが、携帯情報端末100aの客観的な位置情報を警備装置10が電気通信回線8を介して受領し、警備装置10を警戒状態変更対象者位置把握手段と設定喚起手段との機能を担わせることも可能である。このように、警戒状態変更対象者位置把握手段と設定喚起手段との機能を、どこに担わせるかは、任意であってよい。
【0071】
さらに、日々の警戒開始の予定時間を予め警備装置10に記憶させる機能が、従来から警備装置10に設けられており、その機能と本願の警戒開始の設定忘れを防止する機能を組み合わせることも可能である。
【0072】
具体的には、警備装置10に、警戒の開始の予定時間が予め記録されており、警戒状態変更対象者位置把握手段が、予定時間になっても警戒の開始設定がなされなかった場合に、警備対象施設4内にある警戒状態変更対象者100が保持する携帯情報端末100aを把握し、設定喚起手段が、警戒状態変更対象者位置把握手段が把握した携帯情報端末100aに対して、予定時間であることを知らせる通知を行うようにする。
【0073】
ここで、警戒状態変更対象者位置把握手段及び設定喚起手段は、必ずしも警戒状態変更対象者100が保持する携帯情報端末100aにより実現させる必要はないが、予定時間であることを知らせる通知は、警戒状態変更対象者100が保持する携帯情報端末100aに対して行うようにする。尚、予定時間であることを知らせる通知を行う警戒状態変更対象者100が保持する携帯情報端末100a自体が、警戒状態変更対象者位置把握手段及び設定喚起手段として機能するような構成でもよい。
【0074】
さらに、警戒解除の設定を忘れることを防止する方法として、入室タイマーを活用する方法もある。
【0075】
具体的には、警備装置10が、警戒がなされている状態で、人が所定の入口から警備対象施設4に入ったとき、警備装置10が、警備対象施設4への不正侵入の警報を発するタイミングに所定の猶予時間を与える入室タイマーを起動させる。そして、警戒状態変更対象者位置把握手段が、警備対象施設内にある警戒状態変更対象者100が所持する携帯情報端末100aを把握し、設定喚起手段が、警戒状態変更対象者位置把握手段が把握した携帯情報端末100aに対して、猶予時間内に警戒の解除設定を行うように促す通知を行うようにする。
【0076】
警備対象施設4に入った人が、警戒状態変更対象者100であれば、警戒状態変更対象者100が所持する携帯情報端末100aに対して、猶予時間内に警戒の解除設定を行うように促す通知が行われ、その通知を受けた警戒状態変更対象者100が警戒の解除設定を行うようにする。これにより、警戒解除の設定忘れによる誤報を防止することができる。
【0077】
警備対象施設4に入った人が、警戒状態変更対象者100でなかった場合には、猶予時間内に警戒の解除設定を行うように促す通知は行われず、入室タイマーがタイムアップすると、警備対象施設4に不正な侵入があったとして警戒の機能として通報等がなされることになる。
【0078】
ここで、警戒状態変更対象者位置把握手段及び設定喚起手段は、必ずしも警戒状態変更対象者100が保持する携帯情報端末100aにより実現させる必要はない。尚、警戒状態変更対象者100が保持する携帯情報端末100a自体が、警戒状態変更対象者位置把握手段及び設定喚起手段として機能するような構成でもよい。
【0079】
さらに、設定喚起手段が、警戒状態変更対象者100の位置情報又は離間距離情報に加え、日時の情報に基づき、警備装置10における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すようにしても良い。具体的には、例えば、警備対象施設4が店舗で、店舗の開店時間中は設定喚起手段が機能しないようにしたり、店舗の休日になる曜日に限って設定喚起手段を機能させる等の日時の情報に基づいて機能させたりすることもできる。
【実施例0080】
次に、警備システム2のより具体的な実施例を、図5図7及び図2により説明する。実施例2の警備システム2は、実施例1と同様に、警備対象施設6に設けられた警備装置50に加え、図2に示すように、警備装置50が、電気通信回線8を介して、警備システム2を構成するサーバ20、携帯情報端末100b,110a,120a、警備会社30と接続されている。尚、本願の発明の実施においては、警備装置50、電気通信回線8及び携帯情報端末100bは必須であるが、他のものに関しては、警備システム2の構成の仕方により、任意に用いるようにすればよい。尚、図2において図1と同一の符号で説明されるものは、基本的には上述と同様のものであるが、他の実施例を説明する。
【0081】
次に、本実施例2における警備システム2の構成や動作について説明する。尚、本実施例2の説明では、警戒状態変更対象者100が一人の場合で説明する。そして、その警戒状態変更対象者100が、携帯情報端末100bを所持していることを前提に説明する。
【0082】
警備システム2の警備装置50には、送信機60が接続されている。送信機60は、特定の電波を発信するものである。本実施例2の特定の電波は、識別情報を含むものである。この識別情報は、後述する受信機との間で通信上のリンクを確立できる情報であればよく、例えば、警備装置50のユニークなIDが考えられる。尚、送信機60が設置されている場所は、図5~7では、警備対象施設6の域内であるが、上述のように所定の場所であってもよい。送信機60の具体的な例としては、Bluetooth(登録商標)や無線LANの送信機である。
【0083】
尚、警備システム2では、送信機60の識別情報を含む電波を受信する受信機として、携帯情報端末100bを用いた場合を説明する。すなわち、携帯情報端末100bは、無線により、Bluetooth(登録商標)や無線LANでの電話の受信が可能な機能を有するものである必要がある。受信機側である携帯情報端末100bは、送信機60からの電波が届いているか否かを把握できる機能を有していればよい。しかしながら、送信機60からの電波が届いているような場合であっても、他の警備装置に接続された送信機からの電波である可能性もあり、本願の警備システム2としての機能を確実に機能させるためには、その電波が目的とする警備装置50からのものであるかを特定できるようにすることが好ましい。具体的には、予め、例えば、送信機60と携帯情報端末100bとの間で、Bluetooth(登録商標)や無線LANのプロトコルにより相互認証を行い、一対一の認証接続を行えるようにすることが考えられる。
【0084】
そして、携帯情報端末100bは、送信機60からの電波を受信できなくなった場合(認証された有効な接続が切断された場合を含む)、又は、電波を受信できるようになった場合(認証された有効な接続がされた場合を含む)に、警備装置50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促す。このように、実施例2の警備システム2では、携帯情報端末100bが、警戒状態変更対象者位置把握手段の機能の一部を担い、また設定喚起手段としても機能する。
【0085】
具体的な動作としては、図5に示すように、警備装置50の警戒の開始設定をしないまま、警戒状態変更対象者100が警備対象施設6から出たような場合に、携帯情報端末100bが送信機60からの電波を受信できなくなり警備対象施設6から出たことを把握し、警備装置50における警戒の開始設定を行う又は所定の者に促すようにする。但し、既に、警備装置50で警戒の開始設定がなされている場合には、再度の警戒の開始設定を行う必要はないが、繰り返し警戒の開始設定を行ってはいけないというものでもない。
【0086】
尚、携帯情報端末100bが、警備装置50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促す方法には、いくつかの方法が考えられるが、実施例1の場合と同様である。
【0087】
図5は、携帯情報端末100bを所持する警戒状態変更対象者100が、警備対象施設6から出た場合であるが、図6のケースは、警備装置50の警戒の解除設定を行わないままに、警戒状態変更対象者100が、警備対象施設6に入った場合の例である。この場合には、携帯情報端末100bが、警戒状態変更対象者100が警備対象施設6に入った状況を把握し、警備装置50における警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すようにする。
【0088】
尚、送信機60が警備対象施設6の域内に設けられている例で説明したが、例えば、警備対象施設6の近隣の駐車場(所定の場所)に送信機60が設けられている場合にも、その駐車場から出たり入ったりすることが、すなわち警備対象施設6から出たり入ったりしたことと同義に捉えることが可能であり、警備システム2は、上述の様に警備装置50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促す動作をする。
【0089】
尚、実施例2では、一人の警戒状態変更対象者100の行動により、警備装置50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すようにしているが、一人に限ったものではなく、例えば、警戒状態変更対象者を複数人に設定し、この複数の警戒状態変更対象者のそれぞれの行動によって、警備装置50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すようにしてもよい。
【0090】
さらに、日々の警戒開始の予定時間を予め警備装置50に記憶させる機能が、従来から警備装置50に設けられており、その機能と本願の警戒開始の設定忘れを防止する機能を組み合わせることも可能である。
【0091】
具体的には、警備装置50に、警戒の開始の予定時間が予め記録されており、警戒状態変更対象者位置把握手段が、予定時間になっても警戒の開始設定がなされなかった場合に、警備対象施設6内にある警戒状態変更対象者100が保持する携帯情報端末100bを把握し、設定喚起手段が、警戒状態変更対象者位置把握手段が把握した携帯情報端末100bに対して、予定時間であることを知らせる通知を行うようにする。
【0092】
ここで、警戒状態変更対象者位置把握手段及び設定喚起手段は、必ずしも警戒状態変更対象者100が保持する携帯情報端末100bにより実現させる必要はないが、予定時間であることを知らせる通知は、警戒状態変更対象者100が保持する携帯情報端末100bに対して行うようにする。尚、予定時間であることを知らせる通知を行う警戒状態変更対象者100が保持する携帯情報端末100b自体が、警戒状態変更対象者位置把握手段及び設定喚起手段として機能するような構成でもよい。
【0093】
さらに、警戒解除の設定を忘れることを防止する方法として、入室タイマーを活用する方法もある。
【0094】
具体的には、警備装置50が、警戒がなされている状態で、人が所定の入口から警備対象施設6に入ったとき、警備装置50が、警備対象施設6への不正侵入の警報を発するタイミングに所定の猶予時間を与える入室タイマーを起動させる。そして、警戒状態変更対象者位置把握手段が、警備対象施設6内にある警戒状態変更対象者100が所持する携帯情報端末100bを把握し、設定喚起手段が、警戒状態変更対象者位置把握手段が把握した携帯情報端末100bに対して、猶予時間内に警戒の解除設定を行うように促す通知を行うようにする。
【0095】
警備対象施設6に入った人が、警戒状態変更対象者100であれば、警戒状態変更対象者100が所持する携帯情報端末100bに対して、猶予時間内に警戒の解除設定を行うように促す通知が行われ、その通知を受けた警戒状態変更対象者100が警戒の解除設定を行うようにする。これにより、警戒解除の設定忘れによる誤報を防止することができる。
【0096】
警備対象施設6に入った人が、警戒状態変更対象者100でなかった場合には、猶予時間内に警戒の解除設定を行うように促す通知は行われず、入室タイマーがタイムアップすると、警備対象施設6に不正な侵入があったとして警戒の機能として通報等がなされることになる。
【0097】
ここで、警戒状態変更対象者位置把握手段及び設定喚起手段は、必ずしも警戒状態変更対象者100が保持する携帯情報端末100bにより実現させる必要はない。尚、警戒状態変更対象者100が保持する携帯情報端末100b自体が、警戒状態変更対象者位置把握手段及び設定喚起手段として機能するような構成でもよい。
【0098】
さらに、設定喚起手段が、警戒状態変更対象者100の位置情報又は離間距離情報に加え、日時の情報に基づき、警備装置50における警戒の開始設定若しくは警戒の解除設定を行う又は所定の者に促すようにしても良い。具体的には、例えば、警備対象施設6が店舗で、店舗の開店時間中は設定喚起手段が機能しないようにしたり、店舗の休日になる曜日に限って設定喚起手段を機能させる等の日時の情報に基づいて機能させたりすることもできる。
【0099】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように、本発明によれば、警戒開始や警戒解除の設定忘れを防止できる警備システム及び警備システムの制御方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0101】
1・・・・・・警備システム
2・・・・・・警備システム
4・・・・・・警備対象施設
6・・・・・・警備対象施設
8・・・・・・電気通信回線
10・・・・・警備装置
20・・・・・サーバ
30・・・・・警備会社
50・・・・・警備装置
60・・・・・送信機
100・・・・警戒状態変更対象者
100a・・・携帯情報端末
100b・・・携帯情報端末
110a・・・携帯情報端末
120a・・・携帯情報端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7