(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031470
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】より大きな比表面積を有する導体材料の製造方法及びその構造
(51)【国際特許分類】
H01G 11/86 20130101AFI20250228BHJP
H01G 11/36 20130101ALI20250228BHJP
H01G 11/32 20130101ALI20250228BHJP
H01M 4/62 20060101ALN20250228BHJP
【FI】
H01G11/86
H01G11/36
H01G11/32
H01M4/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024012144
(22)【出願日】2024-01-30
(31)【優先権主張番号】112132092
(32)【優先日】2023-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】524040605
【氏名又は名称】智匯達投資有限公司
【氏名又は名称原語表記】Talent Hub Investment Company
【住所又は居所原語表記】No. 142, Duxing Rd., West Dist., Taichung City 403009, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】林廷鏗
(72)【発明者】
【氏名】呉志文
【テーマコード(参考)】
5E078
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AB02
5E078BA15
5E078BA30
5E078BB23
5E078BB32
5E078BB33
5H050AA12
5H050BA17
5H050DA10
5H050DA18
5H050FA16
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA10
5H050GA22
5H050HA02
5H050HA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より大きな比表面積を有する導体材料の製造方法を提供する。
【解決手段】方法は、混合前駆体を生成するために、支持体前駆体(例えば、導電性ナノファイバー)の外面にブロック層を形成するステップと、混合前駆体を圧延して複数のクラックギャップを形成するために前記ブロック層の外面の一部にクラックを入れ、複数のクラックギャップから支持体前駆体の外面の一部を露出させるステップと、導体材料が複数のクラックギャップを介して支持体前駆体に接触し、電気的に接続されるように、混合前駆体に導体材料を添加し、より大きな比表面積を有する導体材料を製造するステップと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
より大きな比表面積を有する導体材料の製造方法であって、
混合前駆体を生成するために、支持体前駆体の外面にブロック層を形成するステップと、
混合前駆体を圧延して複数のクラックギャップを形成するために前記ブロック層の外面の一部にクラックを入れ、複数のクラックギャップから支持体前駆体の外面の一部を露出させるステップと、
導体材料が複数のクラックギャップを介して支持体前駆体に接触し、電気的に接続されるように、混合前駆体に導体材料を添加し、より大きな比表面積を有する導体材料を製造するステップと、を含む、ことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記混合前駆体を生成するために、支持体前駆体の外面にブロック層を形成するステップにおいて、前記混合前駆体を生成し、前記支持体前駆体の外面にブロック層を形成するために、前記支持体前駆体を四塩化チタン溶液に添加する、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記混合前駆体を生成するために、支持体前駆体の外面にブロック層を形成するステップにおいて、
前記混合前駆体を酢酸バリウム溶液に添加し、前記酢酸バリウム溶液中の酢酸バリウムは、前記ブロック層中の酸化チタンと反応してチタン酸バリウムを形成する、ことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記導体材料が複数のクラックギャップを介して支持体前駆体に接触し、電気的に接続されるように、混合前駆体に導体材料を添加し、より大きな比表面積を有する導体材料を製造するステップにおいて、
前記導体材料は、ポリビニルブチラール溶液、導電性ゲル、及びチタン酸バリウム粒子を含み、圧延中に、前記ブロック層にクラックを入れて複数のクラックギャップを形成し、
前記導電性ゲル及び前記チタン酸バリウム粒子は、前記複数のクラックギャップを介して前記支持体前駆体に接触し、電気的に接続され、前記より大きな比表面積を有する導体材料を製造する、ことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記導体材料が複数のクラックギャップを介して支持体前駆体に接触し、電気的に接続されるように、混合前駆体に導体材料を添加し、より大きな比表面積を有する導体材料を製造するステップの後に、更に、
前記より大きな比表面積を有する導体材料を基板の上面及び下面にコーティングし、焼結温度まで加熱するステップと、
キャパシタを形成するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記支持体前駆体は、カーボンナノチューブ(CNT)又はナノメートル金属繊維を含む、請求項1又は4に記載の製造方法。
【請求項7】
前記ポリビニルブチラール溶液は、接着剤又は溶媒としてのポリビニルブチラール(PVB)、トルエン(C7H8)及びエタノール(CH3CH2OH)を含む、請求項4に記載の製造方法。
【請求項8】
混合前駆体を生成するために、支持体前駆体の外面にブロック層を形成するステップにおいて、
前記支持体前駆体の外面に前記ブロック層を形成するために、水熱合成法、無電解めっき法、電気めっき法及び物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)のいずれか又は上記のいずれかの方法の組み合わせを採用する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記焼結温度は、1000℃~1350℃である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項10】
より大きな比表面積を有する導体材料の構造であって、
前記構造は、基板と、前記基板上に配置される第1大比表面積導電性スラリー層とを含み、
前記第1大比表面積導電性スラリー層は、第1支持体前駆体、第1ブロック層、及び複数の第1粒子を含み、
前記第1ブロック層は、前記第1支持体前駆体を覆い、前記第1ブロック層は、複数の第1クラックギャップを含み、前記複数の第1粒子は、前記複数の第1クラックギャップに対応して配置される、ことを特徴とする導体材料の構造。
【請求項11】
更に、前記基板の下方に配置される第2大比表面積導電性スラリー層を含み、
前記第2大比表面積導電性スラリー層は、第2支持体前駆体、第2ブロック層、及び複数の第2粒子を含み、
前記第2ブロック層は、前記第2支持体前駆体を覆い、前記第2ブロック層は、複数の第2クラックギャップを含み、前記複数の第2粒子は、前記複数の第2クラックギャップに対応して配置される、ことを特徴とする請求項10に記載の導体材料の構造。
【請求項12】
前記第1支持体前駆体は、カーボンナノチューブ(CNT)又はナノメートル金属繊維を含む、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の導体材料の構造。
【請求項13】
前記第1ブロック層及び前記第2ブロック層は、チタン酸バリウムである、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の導体材料の構造。
【請求項14】
前記複数の第1粒子及び前記複数の第2粒子は、金属粒子である、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の導体材料の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
大表面積材料とは、比表面積が極めて大きい材料であり、その産業の発展が急速に進んでいる。このタイプの材料の利点は、体積に対する表面積の比が大きいことにあり、多くの分野で広く使用されている。
【0002】
大表面積材料の産業的応用には、触媒、吸着剤、エネルギー貯蔵などの多くの分野が含まれる。
【0003】
大表面積材料は、多くの場合、効率的な触媒として機能する。表面積が大きいため、より活性な表面が得られ、それによって反応速度及び効率が向上する。このような材料は、化学合成、環境保護、例えば、自動車排気ガス浄化、化学反応触媒、燃料電池などのエネルギー変換の分野で重要な用途がある。
【0004】
大表面積材料は、多数の微細な細孔を有することができ、吸着や分離プロセスにおいて優れた性能を発揮することが多い。このため、大表面積材料は気液分離、水処理、廃棄物処理などの分野で広く使用されている。例えば、活性炭は一般的な大表面積吸着材で、水から有機物や重金属イオンを除去するために用いられる。
【0005】
大表面積材料は、エネルギー貯蔵の分野で重要な役割を果たす。例えば、スーパーキャパシタやリチウムイオン電池の電極材料には、電荷移動速度と静電容量を高めるために表面積の大きな多孔質材料が用いられることがある。その中でも、スーパーキャパシタ技術が注目されている。
【0006】
キャパシタ(Capacitor)の外観や構造はその種類によって異なり、一般的に使用されている数多くのキャパシタが市販されている。ほとんどのキャパシタは、少なくとも2枚の金属板又は金属導体の表面を絶縁体の層で分離した構造になっている。導体には、金属箔、フィルム、焼結金属ビーズ、又は電解質などがある。非導電性の絶縁材料は、キャパシタのエネルギー貯蔵容量を向上させることができる。一般的な絶縁材料には、ガラス、セラミック、プラスチックフィルム、紙、雲母、金属酸化物などがある。キャパシタは、多くの電子回路やエネルギー貯蔵用途で重要な役割を果たす。
【0007】
キャパシタは、電子回路に広く使われている。エネルギー貯蔵の用途では、一部の応用分野で電池の代用として使用できる。高出力が要求される場合、キャパシタは電池よりも適している。
【0008】
全体的に、キャパシタは、重要な電子部品及び電力エネルギー貯蔵部品として、電気エネルギーを貯蔵し、回路特性を調整する機能を有する。電子機器から電力システムに至るまで、様々な種類のキャパシタが様々な用途で重要な役割を果たしており、それらはすべてキャパシタの応用に不可欠なものである。科学と技術の継続的な発展に伴い、キャパシタは電子分野の進歩と革新を促進する上で重要な役割を果たし続けている。
【0009】
25~200℃の温度範囲での高誘電率の強誘電体材料には、チタン酸バリウム、マグネシウムニオブ酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛などがある。しかし、鉛含有材料は、高温で揮発しやすく、電極と反応しやすく、本質的に有毒であるため、その開発が制限されている。したがって、チタン酸バリウムセラミックは、現在、電子セラミックキャパシタに最も広く使用されている誘電体材料の1つとなっている。
【0010】
産業の発展に伴い、触媒、吸着剤、エネルギー貯蔵の分野において、より効率的で表面積の大きな材料に対するニーズが高まっている。特に、エネルギー貯蔵分野では、高付加価値の電力貯蔵市場やパワーエレクトロニクス機器市場は徐々に小型化・高性能化が進んでいる。誘電体材料は、高いエネルギー貯蔵密度、高い充放電効率、容易な加工及び成形、安定した性能の方向に向かって開発が進められている。したがって、産業界は、上述したような触媒、吸着剤及びエネルギー貯蔵の分野での用途のための高比表面積を有する導電性材料を製造するために、より大きな比表面積を有する導体材料を調製する方法を必要としている。
【0011】
従来技術による上記の問題を解決するために、本発明は、より大きな比表面積を有する導体材料を製造する方法及びその構造を提供し、この方法は、支持体前駆体の外面にブロック層を形成するステップと、支持体前駆体の外面の一部を露出させるために、ブロック層の外面の一部にクラックを入れる圧延を行うステップと、より大きな比表面積を有する導体材料を製造するために、支持体前駆体の一部に電気的に接続する導体材料を添加するステップとを含む。
【発明の概要】
【課題を解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、支持体前駆体の外面にブロック層を形成するステップと、前記ブロック層の外面の一部を圧延してクラックを入れ、支持体前駆体の外面の一部を露出させるステップと、支持体前駆体一部に電気的に接続されるように、混合前駆体に導体材料を添加し、より大きな比表面積を有する導体材料を製造するステップと、を含む、より大きな比表面積を有する導体材料の製造方法を提供することである。
【0013】
上記の目的及び効果を達成するために、本発明は、より大きな比表面積を有する導体材料の製造方法であって、混合前駆体を生成するために、支持体前駆体の外面にブロック層を形成するステップと、混合前駆体を圧延して複数のクラックギャップ(Crack-gap)を形成するために前記ブロック層の外面の一部にクラックを入れ、複数のクラックギャップから支持体前駆体の外面の一部を露出させるステップと、導体材料が複数のクラックギャップを介して支持体前駆体に接触し、電気的に接続されるように、混合前駆体に導体材料を添加し、より大きな比表面積を有する導体材料を製造するステップと、を含む、ことを特徴とする方法を提供する。この方法を用いることにより、より大きな比表面積を有する導体材料を製造することができる。
【0014】
上記の目的及び効果を達成するために、本発明は、基板と、第1大比表面積導電性スラリー層とを含む、より大きな比表面積を有する導体材料の構造を提供する。第1大比表面積導電性スラリー層は、第1支持体前駆体、第1ブロック層、及び第1複数の粒子を含む。第1ブロック層は、第1支持体前駆体を覆う。第1ブロック層は、複数の第1クラックギャップを含む。複数の第1粒子は、複数の第1クラックギャップに対応して配置される。この構造を用いることにより、より大きな比表面積を有する導体材料を提供することができる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、混合前駆体を生成するために、支持体前駆体の外面にブロック層を形成するステップにおいて、混合前駆体を生成し、支持体前駆体の外面にブロック層を形成するために、支持体前駆体を四塩化チタン溶液に添加する。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、混合前駆体を生成するために、支持体前駆体の外面にブロック層を形成するステップにおいて、前記混合前駆体を酢酸バリウム溶液に添加し、前記酢酸バリウム溶液中の酢酸バリウムは、前記ブロック層中の酸化チタンと反応してチタン酸バリウムを形成する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記導体材料が複数のクラックギャップを介して支持体前駆体に接触し、電気的に接続されるように、混合前駆体に導体材料を添加し、より大きな比表面積を有する導体材料を製造するステップにおいて、前記導体材料は、ポリビニルブチラール溶液、導電性ゲル、及びチタン酸バリウム粒子を含む。圧延中に、複数のクラックギャップを形成するために、前記ブロック層にクラックされる。導電性ゲルとチタン酸バリウム粒子が接触し、複数のクラックギャップを介して支持体前駆体に電気的に接続され、より大きな比表面積を有する導体材料が製造される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記導体材料が複数のクラックギャップを介して支持体前駆体に接触し、電気的に接続されるように、混合前駆体に導体材料を添加し、より大きな比表面積を有する導体材料を製造するステップの後に、前記方法は、更に、前記より大きな比表面積を有する導体材料を基板の上面及び下面にコーティングし、焼結温度まで加熱するステップと、キャパシタを形成するステップと、を含む。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、支持体前駆体は、カーボンナノチューブ(CNT)又はナノメートル金属繊維を含む。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、前記ポリビニルブチラール溶液は、接着剤又は溶媒としてのポリビニルブチラール(PVB)、トルエン(C7H8)及びエタノール(CH3CH2OH)を含む
【0021】
本発明の一実施形態によれば、混合前駆体を生成するために、支持体前駆体の外面にブロック層を形成するステップにおいて、前記支持体前駆体の外面に前記ブロック層を形成するために、水熱合成法、無電解めっき法、電気めっき法及び物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)のいずれか又は上記のいずれかの方法の組み合わせを採用する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、前記焼結温度は、1000℃~1350℃である。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、前記構造は、更に、前記基板の下方に配置される第2大比表面積導電性スラリー層を含む。前記第2大比表面積導電性スラリー層は、第2支持体前駆体、第2ブロック層、及び複数の第2粒子を含む。前記第2ブロック層は、前記第2支持体前駆体を覆う。前記第2ブロック層は、複数の第2クラックギャップを含む。前記複数の第2粒子は、前記複数の第2クラックギャップに対応して配置される。
【0024】
前記第1支持体前駆体は、カーボンナノチューブ(CNT)又はナノメートル金属繊維を含む。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前記第1ブロック層及び前記第2ブロック層は、チタン酸バリウムである。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、前記複数の第1粒子及び前記複数の第2粒子は、金属粒子である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態による材料製造のフローチャートである。
【
図2A】本発明の一実施形態による材料構造の概略図である。
【
図2B】本発明の一実施形態による材料構造の概略図である。
【
図2C】本発明の一実施形態による材料構造の概略図である。
【
図2D】本発明の一実施形態による材料構造の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるキャパシタ材料の製造のフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態による応用のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態によるキャパシタ構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の構成及び特徴並びに有効性をより一層理解及び認識させるために、以下に実施形態とともに本発明を詳細に説明する。
【0029】
従来技術による上記問題を解決するために、本発明は、より大きな比表面積を有する導体材料を製造する方法及びその構造を提供し、この方法は、支持体前駆体の外面にブロック層を形成するステップと、支持体前駆体の外面の一部を露出させるためのクラックギャップを形成するように、ブロック層の外面の一部にクラックを入れるために圧延するステップと、より大きな比表面積を有する導体材料を製造するために、支持体前駆体の一部に電気的に接続するための導体材料を添加するステップとを含む。そうすれば、産業界における用途で大きい比表面積を有する材料のニーズを満たすことができる。
【0030】
本発明の実施形態による材料製造のフローチャートである
図1を参照されたい。
図1に示すように、本実施形態は、より大きな比表面積を有する導体材料を製造する方法を提供するものであり、以下のステップを含む。
【0031】
ステップS02:混合前駆体を製造するために、支持体前駆体の外面にブロック層を形成する。
【0032】
ステップS04:混合前駆体を圧延して複数のクラックギャップを形成するためにブロック層の外面の一部にクラックを入れ、複数のクラックギャップから支持体前駆体の外面の一部を露出させる。
【0033】
ステップS06:導体材料が複数のクラックギャップを介して支持体前駆体に接触し、電気的に接続されるように、混合前駆体に導体材料を添加し、より大きな比表面積を有する導体材料を製造する。
【0034】
再び
図1を参照されたい。また、
図2A~
図2Dは、本発明の実施形態による材料構造の概略図である。
図2A~
図2Bに示すように、本実施形態のステップS02では、支持体前駆体12の外面にブロック層14を形成する。すなわち、ブロック層14は、混合前駆体16を製造するために、支持体前駆体12の外面を覆う。ブロック層14は、支持体前駆体12中の繊維が絡み合ったり、潰れたり、相互に結合したりして、支持体前駆体12の表面積が減少することを防止することができる。
【0035】
一実施形態によれば、支持体前駆体12は、カーボンナノチューブ(CNT)又はナノメートル金属繊維を含む。ナノメートル金属繊維の金属は、銅、銀、又はニッケルであってもよい。但し、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0036】
一実施形態によれば、支持体前駆体12の外面にブロック層14を形成するために、水熱合成法、無電解めっき法、電気めっき及び物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)のいずれか又は上記のいずれかの方法の組み合わせを採用してもよい。但し、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0037】
再び
図1及び
図2A~
図2Dを参照されたい。図示するように、本実施形態のステップS04では、これまでのステップを用いて混合前駆体16を形成した後、混合前駆体16に力を加えるために、混合前駆体16を圧延する。その結果、混合前駆体16及びブロック層14内の支持体前駆体12が曲げられて変形し、ブロック層14の外面にクラックが入り、ブロック層14の一部の外面に複数のクラックギャップ142が生じ、その結果、複数のクラックギャップ142において支持体前駆体12の外面の一部が露出する。
【0038】
本実施形態によれば、ブロック層14を変形、復元させることにより、複数のクラックギャップ142が形成され、露出する。
【0039】
再び
図1及び
図2A~
図2Dを参照されたい。図示するように、本実施形態のステップS06では、混合前駆体16に導体材料18を添加し、導体材料18が複数のクラックギャップ142を介して支持前駆体12に接触し、電気的に接続されるようにする。導体材料18はブロック層14の内の支持体前駆体12と電気的に接続されているため、外側に接触する支持体前駆体12の表面積を増加させることにより、より大きな比表面積を有する導体材料を製造することができる。
【0040】
本実施形態によれば、導体材料18は、金属導電性ゲルである。導体材料18は、さらに相互に接続され、支持体前駆体12の繊維が相互に接続され、これにより、より大きな比表面積を有する導体材料の大きい比表面積を与える。
【0041】
本実施形態によるより大きな比表面積を有する導体材料の製造方法は、大きい比表面積を有する導体材料を製造することができ、触媒材料やスーパーキャパシタ(Super Capacitor)などの異なる産業に適用可能である。
【0042】
本発明の実施形態に係るキャパシタ材料の製造フローチャートを示す
図3を参照されたい。図示するように、本実施形態は、前述の実施形態に基づいている。本実施形態は、以下のステップを含むキャパシタ用材料の製造方法に用いられる。
【0043】
ステップS11:支持体前駆体を四塩化チタン溶液に添加し、第1温度で第1時間加熱し、支持体前駆体の外面にブロック層を形成し、混合前駆体を製造する。
【0044】
ステップS13: 混合前駆体を洗浄、乾燥する。
【0045】
ステップS15:混合前駆体を酢酸バリウム溶液に添加し、第2温度で第2時間加熱することにより、酢酸バリウム溶液中の酢酸バリウムがブロック層中の酸化チタンと反応してチタン酸バリウムを形成する。
【0046】
ステップS17:混合前駆体を洗浄、乾燥する。
【0047】
ステップS19:チタン酸バリウム粒子、導電性ゲル、及び混合前駆体をポリビニルブチラール溶液に添加し、圧延及び混合してブロック層をクラックし、複数のクラックギャップを生成し、導電性ゲル及びチタン酸バリウム粒子を複数のクラックギャップに充填する。チタン酸バリウム粒子は、複数のクラックギャップを介して支持体前駆体に接触し、電気的に接続され、より大きな比表面積を有する導体材料を製造する。
【0048】
再び
図3を参照されたい。図に示すように、本実施形態のステップS11では、四塩化チタン溶液中に支持体前駆体を添加した後、支持体前駆体と四塩化チタン溶液とを混合し、第1温度で加熱する。第1時間加熱した後、四塩化チタン溶液が酸素と反応し、支持体前駆体の外面に酸化チタンが形成されることにより、ブロック層が形成され、混合前駆体が製造される。
【0049】
本実施形態によれば、支持体前駆体としてカーボンナノチューブ(CNT)が採用されている。支持体前駆体は、複数のカーボンナノチューブを含む。複数のカーボンナノチューブ、酸性溶液、及び四塩化チタンを均一に混合し、加熱して第1混合物を形成する。酸性溶液は、カーボンナノチューブを軟化させ、表面活性を増加させ、それによりチタンがカーボンナノチューブの表面に付着できるようにする。
【0050】
本実施形態によれば、支持体前駆体は、銅、銀、又はニッケルなどのナノメートル金属で作られた複数のナノメートル金属フィラメントによって形成されるナノメートル金属繊維であってもよい。なお、複数のナノメートル金属繊維、酸性溶液、及び四塩化チタンを均一に混合し、加熱して第1混合物を形成する。酸性溶液は、ナノメートル金属の表面活性を高め、チタンがナノメートル金属繊維の表面に付着できるようにする。
【0051】
一実施形態によれば、支持体前駆体は、支持体前駆体の外面の不純物を除去するために、酸性溶液によって最初に洗浄されてもよい。酸性溶液は、硝酸であってもよいが、これに限定されない。支持体前駆体の材料に応じて、異なる酸性溶液を用いてもよい。
【0052】
本実施形態によれば、四塩化チタン(TiCl4)は、酸化チタン及びその化合物の中間体を生成するために使用される。
【0053】
本実施形態によれば、第1温度及び第1時間は、支持体前駆体及び四塩化チタン溶液の材料特性に応じて変化する。例えば、カーボンナノチューブと四塩化チタンの実施形態では、第1温度は80℃~100℃であり、第1時間は0.5~10時間である。例えば、支持体前駆体と四塩化チタン溶液の混合物を90℃で0.5~10時間加熱する。
【0054】
実施形態によれば、均一な混合を達成するために、超音波振動機で酸性溶液、支持体前駆体、及び四塩化チタンの混合物を1~2時間振動させてもよい。
【0055】
再び
図3を参照されたい。図示するように、本実施形態のステップS13では、混合前駆体を、pH値が中性となるように、脱イオン水及びエタノールでさらに洗浄する。例えば、四塩化チタンから酸化チタンを製造する反応時に生成した塩酸を取り除く。その後、オーブンを用いて混合前駆体を乾燥させる。
【0056】
カーボンナノチューブと四塩化チタンの上記の実施形態では、混合前駆体は、酸化チタン-カーボンナノチューブ(TiO2-CNT)の前駆体である。
【0057】
本実施形態によれば、混合前駆体は50℃~70℃で乾燥される。
【0058】
再び
図3を参照されたい。図示するように、本実施形態のステップS15では、混合前駆体を酢酸バリウム溶液に添加し、第2温度で第2時間加熱することにより、酢酸バリウム溶液中の酢酸バリウムがブロック層中の酸化チタンと反応してチタン酸バリウムを形成する。
【0059】
本実施形態によれば、第2温度及び第2時間は、酢酸バリウム溶液及び混合前駆体の材料特性に応じて変化する。例えば、酢酸バリウム溶液と混合前駆体の実施形態では、第2温度は150℃~170℃であり、第2時間は0.5~10時間である。例えば、酢酸バリウム溶液と混合前駆体の混合物は、混合前駆体と酢酸バリウム溶液の完全な反応を確実にするために、160℃で0.5~10時間加熱してもよい。
【0060】
一実施形態によれば、均一な混合を達成するために、超音波振動機で酢酸バリウム溶液と混合前駆体の混合物を1~2時間振動させてもよい。
【0061】
一実施形態によれば、混合前駆体は、pH値が中性になるように、脱イオン水及びエタノールによってさらに洗浄されてもよい。
【0062】
再び
図3を参照されたい。図示するように、本実施形態のステップS17では、オーブンを用いて混合前駆体を乾燥させる。
【0063】
酢酸バリウム溶液と混合前駆体の上記実施形態では、酢酸バリウム溶液と混合前駆体の反応により、チタン酸バリウム-カーボンナノチューブ(BaTiO3-CNT)前駆体が生成される。
【0064】
本実施形態によれば、混合前駆体は50℃~70℃で乾燥される。
【0065】
再び
図3を参照されたい。図示するように、本実施形態のステップS19において、導体材料は、ポリビニルブチラール溶液、導電性ゲル、及びチタン酸バリウム粒子を含む。ポリビニルブチラール溶液に、チタン酸バリウム粒子、導電性ゲル及び混合前駆体を添加する。圧延及び混合してブロック層をわずかにクラックさせ、複数のクラックギャップを形成する。導電性ゲルの粒子は、
図2Dに示すように、混合前駆体のブロック層の複数のクラックギャップを充填する。これにより、導電性繊維(本実施形態では、カーボンナノチューブ)は、複数のクラックギャップを介して支持体前駆体の外面に接触し、電気的に接続され、より大きな比表面積を有する導体材料を製造する。
【0066】
本実施形態によれば、ポリビニルブチラール溶液は、ポリビニルブチラール(PVB)、トルエン(C7H8)及びエタノール(CH3CH2OH)を含む。C7H8とCH3CH2OHは、体積比3:2の溶液を形成する。この溶液にPVBを加え、ポリビニルブチラール溶液とする。
【0067】
本発明の一実施形態による応用のフローチャートを示す
図4を参照されたい。図示するように、混合前駆体に導体材料を添加するステップと、より大きな比表面積を有する導体材料を製造するために、圧延・混合して導体材料を複数のクラックギャプを介して支持体前駆体に接触して電気的に接続させるステップの後、本方法はさらに以下のステップを含む。
【0068】
ステップS22:基板上により大きな比表面積を有する導体材料をコーティングし、焼結温度まで加熱する。
【0069】
ステップS24:キャパシタを形成する。
【0070】
再び
図4を参照されたい。図示するように、本実施形態のステップS22では、より大きな比表面積を有する導体材料が基板10上にコーティングされる。
【0071】
再び
図4を参照されたい。図示するように、本実施形態のステップS24では、より大きな比表面積を有する導体材料が基板10の下にコーティングされる。焼結温度まで加熱した後、キャパシタが形成される。
【0072】
本発明の一実施形態によるキャパシタ構造の概略図を示す
図5を参照されたい。図示するように、本実施形態は、キャパシタの製造への応用を開示する。本実施形態によれば、粘度計を用いて混合前駆体を試験する。適切な粘度に達した場合、複数のクラックギャップを形成するために、支持体前駆体の外側のブロック層をわずかに破壊するために、混合前駆体を圧延及び混合する。
【0073】
一実施形態によれば、キャパシタスラリーを圧延して混合するために3本ロールミル(トリプルロールミル
)が採用される。
【0074】
再び
図5を参照されたい。図示するように、本実施形態によれば、基板10の上面及び下面にキャパシタスラリーがコーティングされる。キャパシタスラリーは、基板10の上面に塗工され、第1大比表面積導電性スラリー層20を形成する。キャパシタスラリーは基板10の底面に塗布され、第2大比表面積導電性スラリー層30を形成する。基板10、第1大比表面積導電性スラリー層20、第2大比表面積導電性スラリー層30をキャパシタ前駆体とする。高温での焼結後、キャパシタ製品が製造される。
【0075】
本実施形態によれば、基板10は、チタン酸バリウム又は金属酸化物セラミック基板であり、例えば、バリウム又は他の誘電体材料を含む基板であり、大比表面積導電性スラリーとの結合に使用される。
【0076】
本実施形態によれば、第1大比表面積導電性スラリー層20は、複数の第1支持体前駆体22、第1ブロック層23及び複数の第1粒子24を含む。一実施形態によれば、複数の第1支持体前駆体22は、カーボンナノチューブ(CNT)である。複数の第1支持体前駆体22は、第1ブロック層23、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)を覆う。複数の第1粒子24は、導電性スラリーの金属粒子である。但し、本発明は実施形態に限定されるものではない。
【0077】
本実施形態によれば、第2大比表面積導電性スラリー層30は、複数の第2支持体前駆体32、第2ブロック層33及び複数の第2粒子34を含む。一実施形態によれば、複数の第2支持体前駆体32は、カーボンナノチューブ(CNT)である。複数の第2支持体前駆体32は、第2ブロック層33、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)を覆う。複数の第2粒子34は、導電性スラリーの金属粒子である。 但し、本発明は実施形態に限定されるものではない。
【0078】
再び
図5を参照されたい。図示するように、本実施形態によれば、中間生成物を、第2混合物及び基板10の焼結温度である第3温度まで加熱する。
【0079】
チタン酸バリウム-カーボンナノチューブ(BaTiO3-CNT)の上記実施形態では、第3温度は、1000℃~1350℃である。中間生成物は、まず240℃~260℃で2~2.5時間加熱される。その後、さらに1000℃~1350℃で2~2.5時間加熱する。
【0080】
本発明の目的は、支持体前駆体の外面にブロック層を形成するステップと、支持体前駆体の外面の一部を露出させるために、ブロック層の外面の一部を圧延してクラックを入れるステップと、より大きな比表面積を有する導体材料を製造するために、支持体前駆体の一部に電気的に接続する導体材料を添加するステップとを含む、より大きな比表面積を有する導体材料の製造方法及びその構造を提供することである。
【0081】
したがって、本発明は、その新規性、非自明性、及び有用性により、法的要件に適合する。しかしながら、前述の説明は本発明の実施形態に過ぎず、本発明の範囲及び範囲を限定するために使用されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載された形状、構造、特徴、又は精神に従ってなされた同等の変更又は修正は、本発明の添付の特許請求の範囲に含まれる。