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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031479
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】積層型セラミック電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20250228BHJP
【FI】
H01G4/30 511
H01G4/30 512
H01G4/30 513
H01G4/30 201C
H01G4/30 201K
H01G4/30 201G
H01G4/30 201F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024021598
(22)【出願日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2023-0110261
(32)【優先日】2023-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、セフン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ムンチュル
(72)【発明者】
【氏名】チョ、スン-ミン
(72)【発明者】
【氏名】パク、タエジュン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC04
5E001AC10
5E001AD04
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF06
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH06
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E001AJ02
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC31
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE23
5E082EE35
5E082FG03
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外部衝撃に強い積層型セラミック電子部品を提供する。
【解決手段】積層型セラミック電子部品1000は、第1方向に積層された複数の誘電体層および複数の内部電極を含む積層体100および前記積層体の外部に配置される第1外部電極210、第2外部電極220、第3外部電極230、第4外部電極240を含み、前記複数の内部電極は、前記第1外部電極210および前記第2外部電極220に接続される複数の第1内部電極310および前記第3外部電極230および前記第4外部電極240に接続される複数の第2内部電極320を含み、前記第1方向と交差する前記積層体の断面(cross section)の縁は、曲線であることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に積層された複数の誘電体層および複数の内部電極を含む積層体、および
前記積層体の外部に配置される第1外部電極、第2外部電極、第3外部電極、第4外部電極を含み、
前記複数の内部電極は、
前記第1外部電極および前記第2外部電極に接続される複数の第1内部電極、および
前記第3外部電極および前記第4外部電極に接続される複数の第2内部電極を含み、
前記第1方向と交差する前記積層体の断面(cross section)の縁は曲線である、積層型セラミック電子部品。
【請求項2】
前記積層体は、前記第1方向に対向する第1面と第2面、および前記第1面と前記第2面を接続する第3面を含み、
前記第3面は曲面である、請求項1に記載の積層型セラミック電子部品。
【請求項3】
前記第1面と前記第3面の境界および前記第2面と前記第3面の境界のうち少なくとも一つは丸い形状である、請求項2に記載の積層型セラミック電子部品。
【請求項4】
前記積層体は、円柱または楕円柱形状を有する、請求項2に記載の積層型セラミック電子部品。
【請求項5】
前記第1外部電極、前記第2外部電極、前記第3外部電極および前記第4外部電極は、前記積層体の前記第3面に配置される、請求項2に記載の積層型セラミック電子部品。
【請求項6】
前記第1外部電極、前記第2外部電極、前記第3外部電極および前記第4外部電極のうち少なくとも一つは、前記積層体の前記第1面および前記第2面のうち少なくとも一つの面の一部まで延びる、請求項5に記載の積層型セラミック電子部品。
【請求項7】
前記第1外部電極、前記第2外部電極、前記第3外部電極および前記第4外部電極は、同じ間隔で配置される、請求項5に記載の積層型セラミック電子部品。
【請求項8】
前記積層体は、前記複数の第1内部電極と前記複数の第2内部電極が前記複数の誘電体層のそれぞれを挟んで積層された構造を含む、請求項1又は2に記載の積層型セラミック電子部品。
【請求項9】
前記複数の第1内部電極のそれぞれは、
第1電極本体および、
前記第1電極本体の縁に配置され、互いに離隔される第1引き出し部および第2引き出し部を含み、
前記複数の第2内部電極のそれぞれは、
第2電極本体および
前記第2電極本体の縁に配置され、互いに離隔される第3引き出し部および第4引き出し部を含む、請求項1又は2に記載の積層型セラミック電子部品。
【請求項10】
前記第1引き出し部は前記第1外部電極に接続され、前記第2引き出し部は前記第2外部電極に接続され、
前記第3引き出し部は前記第3外部電極に接続され、前記第4引き出し部は前記第4外部電極に接続される、請求項9に記載の積層型セラミック電子部品。
【請求項11】
前記第1引き出し部と前記第2引き出し部は、同じ間隔で配置される、請求項9に記載の積層型セラミック電子部品。
【請求項12】
前記第3引き出し部と前記第4引き出し部は、同じ間隔で配置される、請求項11に記載の積層型セラミック電子部品。
【請求項13】
前記複数の第1内部電極のそれぞれは、前記第1電極本体の縁に配置され、前記第1引き出し部および前記第2引き出し部と離隔される第5引き出し部および第6引き出し部をさらに含み、
前記第5引き出し部に接続される第5外部電極および前記第6引き出し部に接続される第6外部電極をさらに含む、請求項10に記載の積層型セラミック電子部品。
【請求項14】
前記第1方向から見たとき、前記第1電極本体と前記第2電極本体は、円または楕円形状である、請求項9に記載の積層型セラミック電子部品。
【請求項15】
前記第1外部電極および前記第2外部電極は、それぞれ、前記複数の第1内部電極に接続される第1金属層、前記第1金属層を覆う第2金属層、および前記第2金属層を覆う第3金属層を含み、
前記第3外部電極および前記第4外部電極は、それぞれ、前記複数の第2内部電極に接続される第1金属層、前記第1金属層を覆う第2金属層、および前記第2金属層を覆う第3金属層を含む、請求項1又は2に記載の積層型セラミック電子部品。
【請求項16】
前記第1金属層は、銅(Cu)を含み、
前記第2金属層は、ニッケル(Ni)を含み、
前記第3金属層は、錫(Sn)を含む、請求項15に記載の積層型セラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層型セラミック電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック材料を使用する電子部品として、キャパシター、インダクタ、圧電素子、バリスタまたはサーミスターなどがある。これらのセラミック電子部品のうち、積層セラミックキャパシター(Multilayer Ceramic Capacitor、MLCC)は、小型でありながら高容量が保障され、実装が容易であるという長所により、様々な電子装置に使用することができる。
【0003】
例えば、積層セラミックキャパシターは、液晶表示装置(liquid crystal displayay、LCD)、プラズマ表示装置パネル(plasma display panel、PDP)、有機発光ダイオード(organic light emitting diode、OLED)などの映像機器、コンピュータ、個人携帯用端末器およびスマートフォンのような様々な電子製品の基板に装着され、電気を充電させたり放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサに使用することができる。
【0004】
積層セラミックキャパシターは、概して直方体形状を有するが、この構造は角部や頂点など外部衝撃に弱い部分を含むため、クラック(crack)が発生したり、割れる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施例の一側面は、外部衝撃に強い積層型セラミック電子部品を提供しようとする。
【0006】
しかし、本発明の実施例が解決しようとする課題は、上述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲内で多様に拡張することができる。
【0007】
一実施例による積層型セラミック電子部品は、第1方向に積層された複数の誘電体層および複数の内部電極を含む積層体、および前記積層体の外部に配置される第1外部電極、第2外部電極、第3外部電極、第4外部電極を含み、前記複数の内部電極は、前記第1外部電極および前記第2外部電極に接続される複数の第1内部電極、および前記第3外部電極および前記第4外部電極に接続される複数の第2内部電極を含み、前記第1方向と交差する前記積層体の断面(cross section)の縁は曲線であることができる。
【0008】
また、前記積層体は、前記第1方向に対向する第1面と第2面および前記第1面と前記第2面を連結する第3面を含み、前記第3面は曲面であることができる。
【0009】
また、前記第1面と前記第3面の境界および前記第2面と前記第3面の境界のうち少なくとも一つは丸い形状であることができる。
【0010】
また、前記積層体は円柱または楕円柱形状を有することができる。
【0011】
また、前記第1外部電極、前記第2外部電極、前記第3外部電極および前記第4外部電極は、前記積層体の前記第3面に配置することができる。
【0012】
また、前記第1外部電極、前記第2外部電極、前記第3外部電極および前記第4外部電極のうち少なくとも一つは、前記積層体の前記第1面および前記第2面のうち少なくとも一つの面の一部まで延びることができる。
【0013】
また、前記第1外部電極、前記第2外部電極、前記第3外部電極および前記第4外部電極は、同じ間隔で配置することができる。
【0014】
また、前記積層体は、前記第1内部電極と前記第2内部電極が前記誘電体層を挟んで積層された構造を含むことができる。
【0015】
また、それぞれの前記第1内部電極は、第1電極本体および前記第1電極本体の縁に配置され、互いに離隔される第1引き出し部および第2引き出し部を含み、それぞれの前記第2内部電極は、第2電極本体および前記第2電極本体の縁に配置され、互いに離隔される第3引き出し部および第4引き出し部を含むことができる。
【0016】
また、前記第1引き出し部は前記第1外部電極に接続され、前記第2引き出し部は前記第2外部電極に接続され、前記第3引き出し部は前記第3外部電極に接続され、前記第4引き出し部は前記第4外部電極に接続されることができる。
【0017】
また、前記第1引き出し部と前記第2引き出し部は、同じ間隔で配置することができる。
【0018】
また、前記第3引き出し部と前記第4引き出し部は、同じ間隔で配置することができる。
【0019】
また、前記第1内部電極は、前記第1電極本体の縁に配置され、前記第1引き出し部および前記第2引き出し部と離隔される第5引き出し部および第6引き出し部をさらに含み、前記第5引き出し部に接続される第5外部電極および前記第6引き出し部に接続される第6外部電極をさらに含むことができる。
【0020】
また、前記第1方向から見たとき、前記第1電極本体と前記第2電極本体は、円または楕円形状であることができる。
【0021】
また、前記第1外部電極および前記第2外部電極は、それぞれ、前記複数の第1内部電極に接続される第1金属層、前記第1金属層を覆う第2金属層、および前記第2金属層を覆う第3金属層を含み、前記第3外部電極および前記第4外部電極は、それぞれ、前記複数の第2内部電極に接続される第1金属層、前記第1金属層を覆う第2金属層、および前記第2金属層を覆う第3金属層を含むことができる。
【0022】
また、前記第1金属層は、銅(Cu)を含み、前記第2金属層は、ニッケル(Ni)を含み、前記第3金属層は、錫(Sn)を含むことができる。
【0023】
実施例による積層型セラミック電子部品によると、積層体が外部衝撃に耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施例による積層型セラミック電子部品を概略的に示す斜視図である。
図2図1のII-II'線に沿った断面図である。
図3図1のIII-III'線に沿った断面図である。
図4図2のIV-IV'線に沿った断面図である。
図5図2のV-V'線に沿った断面図である。
図6図1の積層型セラミック電子部品で内部電極の積層構造を概略的に示す分解斜視図である。
図7】比較例による積層型セラミック電子部品を概略的に示す斜視図である。
図8】他の実施例による積層型セラミック電子部品を概略的に示す斜視図である。
図9図8の積層型セラミック電子部品の第1内部電極を概略的に示す断面図である。
図10図8の積層型セラミック電子部品の第2内部電極を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例を詳しく説明する。図面で本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似する構成要素については同じ参照符号を付ける。また、添付図面において一部構成要素は誇張されたり省略されたりまたは概略的に示されたし、各構成要素の大きさは実際大きさを全面的に反映するのではない。
【0026】
添付図面は、本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものであり、添付図面によって本明細書に開示された技術思想が限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物又は代替物を含むものと理解されるべきである。
【0027】
第1、第2などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために使用することができるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0028】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」または「上に」あるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという時には、中間に別の部分がないことを意味する。また、基準となる部分「の上に」または「上に」あるというのは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向けて「の上に」または「上に」位置するのを意味するものではない。
【0029】
明細書全体において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数値、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数値、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0030】
また、明細書全体において、「平面上」という時、これは対象の部分を上から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象の部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0031】
また、明細書全体において、「接続される」とするとき、これは、二つ以上の構成要素が直接的に接続されることだけを意味するのではなく、二つ以上の構成要素が他の構成要素を通じて間接的に接続されること、物理的に接続されるだけでなく、電気的に接続されること、または位置や機能に応じて異なる名称で言及されたが一体であることを意味することができる。
【0032】
図1は、一実施例による積層型セラミック電子部品を概略的に示す斜視図であり、図2は、図1のII-II'線に沿った断面図であり、図3は、図1のIII-III'線 に沿った断面図であり、図4は、図2のIV-IV'線に沿った断面図であり、図5は、図2のV-V'線に沿った断面図であり、図6は、図1の積層型セラミック電子部品で内部電極の積層構造を概略的に示す分解斜視図である。
【0033】
図1図2図3図4図5および図6を参照すると、本実施例による積層型セラミック電子部品1000は、積層体100および外部電極200を含む。
【0034】
積層体100は、第1面(S1)、第2面(S2)および第3面(S3)を含む。
【0035】
第1面(S1)と第2面(S2)は積層方向(z軸方向)に対向し、第3面(S3)は第1面(S1)と第2面(S2)を連結する曲面である。第3面(S3)が曲面であるため、積層方向(z軸方向)と交差する積層体100の断面の縁は、曲線であることができる。
【0036】
例えば、積層方向(z軸方向)から見ると、第1面(S1)と第2面(S2)は、円または楕円形状であることができる。この場合、積層体100は、円柱または楕円柱形状であることができる。第1面(S1)と第3面(S3)の境界は、明確に区分されることもあり、第1面(S1)の縁と第3面(S3)の縁が曲面を形成する場合には、その境界が明確に区分されないこともある。例えば、図2を参照すると、積層体100は長方形の形状であるが、頂点が丸い形状であるため、第1面(S1)と第3面(S3)の境界が明確に区分されない。これは第2面(S2)と第3面(S3)の境界にも同一に適用される。例えば、第1面(S1)と第3面(S3)の境界と第2面(S2)と第3面(S3)の境界を研磨して、前述した丸い形状を作ることができる。
【0037】
積層体100は、積層方向(z軸方向)に積層された複数の誘電体層110を含むことができる。誘電体層110の間の境界は不明確な場合がある。例えば、誘電体層110の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を利用しなければ確認が難しいほどであり、複数の誘電体層110は一体型構造体に見えることがある。
【0038】
誘電体層110は、高誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料は、BaTiO、CaTiO、SrTiO、またはCaZrOなどの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これら成分にマンガン(Mn)化合物、鉄(Fe)化合物、クロム(Cr)化合物、コバルト(Co)化合物、ニッケル(Ni)化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、誘電体層は、BaTiOにカルシウム(Ca)、ジルコニウム(Zr)等が一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)OまたはBa(Ti1-yZr)O等があるが、本発明がこれに限定されるものではない。他の例として、誘電体層は、TiO、HfO、Al、AlN、AlScN、ZrO、SiO、MgO、Siなどを含むこともできる。
【0039】
また誘電体層110には、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤および分散剤のうち一つ以上をさらに含むことができる。セラミック添加剤は、例えば、遷移金属酸化物または炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などであることができる。
【0040】
一例に、誘電体層110の平均厚さは、0.1μm~10μmであることができるが、本実施例がこれに限定されるものではない。
【0041】
積層体100は、積層方向(z軸方向)に積層された複数の内部電極300を含むことができる。複数の内部電極300は、複数の第1内部電極310と複数の第2内部電極320を含むことができる。第1内部電極310と第2内部電極320は、誘電体層110を挟んで交互に積層されることができる。このような積層構造は、積層体100内で繰り返すことができ、積層体100の第1面(S1)と第2面(S2)に最も近い内部電極は、第1内部電極310であっでもよく、第2内部電極320であってもよい。
【0042】
第1内部電極310と第2内部電極320は、互いに異なる極性を有し、その間に配置された誘電体層110によって互いに電気的に絶縁することができる。
【0043】
第1内部電極310は、第1電極本体311、第1引き出し部313および第2引き出し部315を含むことができる。
【0044】
第1電極本体311は、誘電体層110の表面に配置され、誘電体層110の縁と離隔する。
【0045】
第1電極本体311の縁は、曲線を形成することができ、積層方向(z軸方向)から見た時、円形や楕円形状であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0046】
第1引き出し部313は、第1電極本体311の縁に配置され、誘電体層110の縁に接する。つまり、第1引き出し部313は、第1電極本体311から延びて誘電体層110の縁に接する部分である。第1引き出し部313が誘電体層110の縁に接する部分は、積層体100の第3面(S3)を構成する。
【0047】
第2引き出し部315は、第1電極本体311の縁に配置され、誘電体層110の縁に接する。つまり、第2引き出し部315は、第1電極本体311から延びて誘電体層110の縁に接する部分である。第2引き出し部315が誘電体層110の縁に接する部分は、積層体100の第3面(S3)を構成する。
【0048】
第2引き出し部315は、第1引き出し部313と離隔する。第1引き出し部313と第2引き出し部315は、同じ間隔で配置することができる。例えば、第1電極本体311が円形の場合、第1引き出し部313と第2引き出し部315をつなぐ線分は、その円の直径であることができる。他の例として、第1電極本体311が楕円形の場合、第1引き出し部313と第2引き出し部315をつなぐ線分は、その楕円の長軸(major axis)や短縮(minor axis)であることができる。
【0049】
第1引き出し部313は、第1外部電極210に電気的に接続され、第2引き出し部315は、第2外部電極220に電気的に接続される。
【0050】
一方、必要に応じて、第1内部電極310には一対以上の引き出し部が追加され、それに対応する数の外部電極が積層体100の第3面(S3)にさらに配置されることができる。
【0051】
第2内部電極320は、第2電極本体321、第3引き出し部323および第4引き出し部325を含むことができる。
【0052】
第2電極本体321は、誘電体層110の表面に配置され、誘電体層110の縁と離隔する。
【0053】
第2電極本体321の縁は、曲線を形成することができ、積層方向(z軸方向)から見ると、円形や楕円形状であることができるが、これに限定されるものではない。
【0054】
第3引き出し部323は、第2電極本体321の縁に配置され、誘電体層110の縁に接する。つまり、第3引き出し部323は、第2電極本体321から延びて誘電体層110の縁に接する部分である。第3引き出し部323が誘電体層110の縁に接する部分は、積層体100の第3面(S3)を構成する。
【0055】
第4引き出し部325は、第2電極本体321の端部に配置され、誘電体層110の端部に接する。つまり、第4引き出し部325は、第2電極本体321から延びて誘電体層110の端部に接する部分である。第4引き出し部325が誘電体層110の端部に接する部分は、積層体100の第3面(S3)を構成する。
【0056】
第4引き出し部325は、第3引き出し部323と離隔する。第3引き出し部323と第4引き出し部325は、同じ間隔で配置することができる。例えば、第2電極本体321が円形の場合、第3引き出し部323と第4引き出し部325をつなぐ線分は、その円の直径であることができる。他の例として、第2電極本体321が楕円形の場合、第3引き出し部323と第4引き出し部325をつなぐ線分は、その楕円の長軸(major axis)や短縮(minor axis)であることができる。
【0057】
第3引き出し部323は、第3外部電極230に電気的に接続され、第4引き出し部325は、第4外部電極240に電気的に接続される。
【0058】
一方、必要に応じて、第2内部電極320には一対以上の引き出し部が追加され、それに対応する数の外部電極が積層体100の第3面(S3)にさらに配置することができる。
【0059】
内部電極300は、導電性金属を含む導電性ペーストを誘電体層110表面に印刷して形成することができる。例えば、ニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金を含む導電性ペーストをスクリーン印刷法(screen printing)やグラビア印刷法(gravure printing)で誘電体層表面に印刷して内部電極を形成することができる。ただし、本実施例がこれに限定されるものではない。
【0060】
一例として、内部電極300の平均厚さは、ほぼ数nm~数um範囲内にあることができる。
【0061】
前記のような構成により、第1外部電極210、第2外部電極220、第3外部電極230および第4外部電極240に電圧を印加すると、互いに対向する第1内部電極310と第2内部電極320との間に電荷が蓄積される。つまり、第1外部電極210および第2外部電極220に電気的に接続された第1内部電極310と第3外部電極230、および第4外部電極240に電気的に接続された第2内部電極320との間で静電容量を得ることができる。積層型セラミック電子部品1000の静電容量は、積層方向(z軸方向)に沿って互いに重複する第1内部電極310と第2内部電極320の重なった面積に比例する。
【0062】
第1内部電極310と第2内部電極320が積層方向(z軸方向)に重複する領域をアクティブ(active)領域といい、アクティブ領域外側にはカバー層120が配置されることができる。
【0063】
カバー層120は、第1カバー層121および第2カバー層123を含むことができる。
【0064】
第1カバー層121は、積層体100の第1面(S1)とそれに最も近い内部電極300との間に配置される。第2カバー層123は、積層体100の第2面(S2)とそれに最も近い内部電極300との間に配置される。
【0065】
第1カバー層121および第2カバー層123は、誘電体層110と同じ組成を有することができる。最上側内部電極の外表面と最下側内部電極の外表面に誘電体層をそれぞれ1つ以上積層してカバー層を形成することができる。
【0066】
第1カバー層121および第2カバー層123は、物理的または化学的ストレスによる内部電極300の損傷を防止する役割をすることができる。
【0067】
外部電極200は、積層体100の外部に配置される。
【0068】
外部電極200は、第1外部電極210、第2外部電極220、第3外部電極230および第4外部電極240を含むことができる。
【0069】
第1外部電極210、第2外部電極220、第3外部電極230および第4外部電極240は、積層体100の第3面(S3)に互いに離隔した状態で配置することができる。例えば、第1外部電極210、第2外部電極220、第3外部電極230および第4外部電極240は、第3面(S3)上で同じ間隔で配置することができる。
【0070】
第1外部電極210、第2外部電極220、第3外部電極230および第4外部電極240のうち少なくとも一つは、積層体100の第1面(S1)および第2面(S2)のうち少なくとも一つの面の一部まで延びることができる。つまり、外部電極200は、積層体100の第1面(S1)の一部および第2面(S2)の一部まで延びることもでき、第1面(S1)の一部まで延びることもでき、第2面(S2)の一部まで延びることもできる。
【0071】
第1外部電極210は、第1金属層211、第2金属層213および第3金属層215を含むことができる。第1金属層211は、第1内部電極310に接続され、第2金属層213は第1金属層211を覆い、第3金属層215は第2金属層213を覆うことができる。第1金属層211は、銅(Cu)を含むことができ、第2金属層213は、ニッケル(Ni)を含むことができ、第3金属層215は、錫(Sn)を含むことができる。ただし、本実施例がこれに限定されるものではない。一方、第2外部電極220、第3外部電極230および第4外部電極240は、前述した第1外部電極210の構造および組成と同じ構造および組成を有することができる。
【0072】
図7は、比較例による積層型セラミック電子部品を概略的に示す斜視図である。
【0073】
図7を参照すると、比較例による積層型セラミック電子部品10は、積層体20と外部電極30を含む。積層体20は直方体形状であり、外部電極30は第1外部電極31、第2外部電極32、第3外部電極33および第4外部電極34を含む。積層体20は直方体形状を有するので、8つの頂点と12つの角部を有する。頂点と角部は面積が非常に小さい部分であるため、外部圧力が作用するときに容易に破損することがある。
【0074】
一方、本実施例による積層型セラミック電子部品1000の積層体100は、円柱または楕円柱形状であることができる。このような構造は、直方体の頂点に相当する部分を持たず、角部の数がより少ない。従って、本実施例による積層型セラミック電子部品に外部衝撃が加えられても、破損の危険性は高くない。さらに、積層体の角部を研磨して丸い形状にした場合には、破損危険性がさらに低くなる可能性がある。
【0075】
図8は、他の実施例による積層型セラミック電子部品を概略的に示す斜視図であり、図9は、図8の積層型セラミック電子部品の第1内部電極を概略的に示す断面図であり、図10は、8の積層型セラミック電子部品の第2内部電極を概略的に示す断面図である。
【0076】
図8図9および図10を参照すると、積層型セラミック電子部品2000は、積層体2100および外部電極2200を含むことができる。
【0077】
第1内部電極2300は、第1電極本体2310、第1引き出し部2311、第2引き出し部2312、第5引き出し部2315および第6引き出し部2316を含むことができる。
【0078】
第1引き出し部2311は第1外部電極2210に電気的に接続され、第2引き出し部2312は第2外部電極2220に電気的に接続される。また、第5引き出し部2315は第5外部電極2250に電気的に接続され、第6引き出し部2316は第6外部電極2260に電気的に接続される。
【0079】
一方、必要に応じて、第1内部電極2300には一対以上の引き出し部が追加され、それに対応する数の外部電極がさらに配置されることができる。
【0080】
第2内部電極2400は、第2電極本体2410、第3引き出し部2413および第4引き出し部2414を含むことができる。
【0081】
第3引き出し部2413は第3外部電極2230に電気的に接続され、第4引き出し部2414は第4外部電極2240に電気的に接続される。
【0082】
一方、必要に応じて、第2内部電極2400には一対以上の引き出し部が追加され、それに対応する数の外部電極がさらに配置されることができる。
【0083】
以上を除いた残りの構成要素は、図1に示した積層型セラミック電子部品の構成要素と同じであるため、それに関する重複する説明は省略する。
【0084】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で様々に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0085】
1000、2000 積層型セラミック電子部品
100、2100 積層体
110 誘電体層
120 カバー層
200、2200 外部電極
210、2210 第1外部電極
211、221、231、241 第1金属層
213、223、233、243 第2金属層
215、225、235、245 第3金属層
220、2220 第2外部電極
230、2230 第3外部電極
240、2240 第4外部電極
300 内部電極
310、2300 第1内部電極
311、2310 第1電極本体
313、2311 第1引き出し部
315、2312 第2引き出し部
320、2400 第2内部電極
321、2410 第2電極本体
323、2413 第3引き出し部
325、2414 第4引き出し部
2250 第5外部電極
2260 第6外部電極
2315 第5引き出し部
2316 第6引き出し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10