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特開2025-31482高電子移動度トランジスタ及びそれを製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031482
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】高電子移動度トランジスタ及びそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H10D 30/87 20250101AFI20250228BHJP
   H10D 30/47 20250101ALI20250228BHJP
   H10D 64/01 20250101ALI20250228BHJP
   H10D 64/64 20250101ALI20250228BHJP
【FI】
H01L29/80 F
H01L29/80 H
H01L21/28 E
H01L29/48 D
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024025334
(22)【出願日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】112132022
(32)【優先日】2023-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522054178
【氏名又は名称】國立陽明交通大學
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】チャン、 エドワード イー
(72)【発明者】
【氏名】リン、 ユー・チン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 フー・ユー
(72)【発明者】
【氏名】ツェン、 ハウィー
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104AA07
4M104BB05
4M104BB14
4M104CC01
4M104CC03
4M104DD08
4M104DD12
4M104DD17
4M104DD68
4M104DD71
4M104EE06
4M104EE17
4M104FF08
4M104GG12
4M104HH20
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GV06
5F102GV08
5F102HC16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】部品製造効率を向上し、プロセスコスト低減する高電子移動度トランジスタ(HEMT)及びその製造方法を提供する。
【解決手段】HEMTの製造方法は、基板11を提供するステップと、基板上に半導体層13を形成し、半導体層上にソース電極14及びドレイン電極15を形成し、ソース電極とドレイン電極上にパッシベーション層16を形成するステップと、半導体層の領域R1をスルーホールを通じて露出するために、パッシベーション層をエッチングしてソース電極とドレイン電極の間にスルーホール151を形成するステップと、パッシベーション層上にフォトレジスト層を形成し、前記領域の第1の小領域R11をフォトレジスト層で覆い、当該領域の第2の小領域R12はフォトレジスト層に覆わないステップと、第2の小領域上に金属層19を形成してゲート電極191を形成するステップと、パッシベーション層を除去するステップと、を備える。
【選択図】図1F
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電子移動度トランジスタを製造する方法であって、以下の、
基板を提供するステップであって、該基板上に半導体層が形成され、該半導体層上にソース電極及びドレイン電極が形成される、ステップと、
前記ソース電極及び前記ドレイン電極上にパッシベーション層を形成するステップと、
前記パッシベーション層をエッチングして前記ソース電極と前記ドレイン電極の間にスルーホールを形成するステップであって、前記半導体層のうちのある領域が前記スルーホールを通じて露出される、ステップと、
前記パッシベーション層上にフォトレジスト層を形成するステップであって、前記半導体層の前記領域の第1の小領域が前記フォトレジスト層に覆われ、前記半導体層の前記領域の第2の小領域は前記フォトレジスト層に覆われない、ステップと、
前記第2の小領域上に金属層を形成してゲート電極を形成するステップと、
前記パッシベーション層を除去するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記半導体層は、GaN層及びAlGaN層を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パッシベーション層は、SiN層である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属層の厚さは、前記パッシベーション層の厚さ未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属層の厚さと前記パッシベーション層の厚さとの差は、0.01μm~0.7μmの範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ゲート電極のゲート長は、0.05μm~0.5μmの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲート電極は下面及び該下面に対向する上面を有し、前記下面は前記半導体層に接触する前記ゲート電極の表面であり、前記上面の幅は前記下面の幅以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記上面の幅と前記下面の幅との差は、10nm以下である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スルーホールの側壁と前記半導体層の前記領域の表面とのなす角は、90度未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記パッシベーション層を除去するステップの後に、前記ゲート電極、前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記半導体層を覆う保護層を形成するステップをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ソース電極及び前記ドレイン電極上に前記パッシベーション層を形成するステップと前記パッシベーション層をエッチングするステップとの間に、前記パッシベーション層上にエッチング用フォトレジストマスキング層を形成するステップをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記エッチング用フォトレジストマスキング層及び前記フォトレジスト層は、同じマスクを用いて形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記パッシベーション層上に前記フォトレジスト層を形成するステップにおいて、前記第2の小領域に隣接する前記パッシベーション層の部分は前記フォトレジスト層に覆われない、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の小領域上に前記金属層を形成するステップにおいて、前記フォトレジスト層に覆われない前記パッシベーション層の前記部分上に前記金属層がさらに形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
高電子移動度トランジスタであって、
基板と、
前記基板上に配置された半導体層と、
前記半導体層上に配置されたソース電極と、
前記半導体層上に配置されたドレイン電極と、
前記半導体層上でかつ前記ソース電極と前記ドレイン電極の間に配置されたゲート電極であって、前記ゲート電極は下面及び該下面に対向する上面を有し、前記下面は前記半導体層に接触する前記ゲート電極の表面であり、前記上面の幅は前記下面の幅以下である、ゲート電極と、
を備える高電子移動度トランジスタ。
【請求項16】
前記半導体層は、GaN層及びAlGaN層を備える、請求項15に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項17】
前記ゲート電極のゲート長は、0.05μm~0.5μmの範囲である、請求項15に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項18】
前記上面の幅と前記下面の幅との差は、10nm以下である、請求項15に記載の高電子移動度トランジスタ。
【請求項19】
前記ゲート電極、前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記半導体層を覆う保護層をさらに備える請求項15に記載の高電子移動度トランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2023年8月25日出願の台湾特許出願第112132022号の利益を主張し、その主題が参照によりここに取り込まれる。
【0002】
本発明は、高電子移動度トランジスタ(HEMT;a high electron mobility transistor)及びそれを製造する方法に関する。より具体的には、本発明は、I字形ゲート電極のHEMT及びそれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、高いスイッチング速度、高い電子移動度、高い降伏電力及び広いエネルギーギャップの利点を有し、高圧電子部品又は高周波電子部品に適用可能である。現在のところ、短いゲート長を有するゲート電極のHEMTを準備するのに電子ビームリソグラフィが利用可能であることが知られている。
【0004】
電子ビームリソグラフィプロセスは、種々のパターニング構造を形成するのに広く用いられており、高い解像度、高いプロセス信頼性、高精度の位置決め又は配列及び高い自由度のパターン再生などの利点を有する。しかし、電子ビームリソグラフィプロセスは、それでも欠点を有し、その主な1つは長い作業時間及び高コストであることである。
【0005】
したがって、電子ビームリソグラフィプロセスの上記欠点を改善する新規なプロセスを開発することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の課題は、部品製造効率を効果的に向上するとともにプロセスコストを低減することができる、HEMTを製造する方法を提供することである。
【0007】
本発明によって提供されるHEMTを製造する方法は、以下の、基板を提供するステップであって、基板上に半導体層が形成され、半導体層上にソース電極及びドレイン電極が形成される、ステップと、ソース電極及びドレイン電極上にパッシベーション層を形成するステップと、パッシベーション層をエッチングしてソース電極とドレイン電極の間にスルーホールを形成するステップであって、半導体層のうちのある領域がスルーホールを通じて露出(expose)される、ステップと、パッシベーション層上にフォトレジスト層を形成するステップであって、半導体層の当該領域の第1の小領域がフォトレジスト層に覆われ、半導体層の当該領域の第2の小領域はフォトレジスト層に覆われない、ステップと、第2の小領域上に金属層を形成してゲート電極を形成するステップと、パッシベーション層を除去するステップと、を備える。
【0008】
本発明の方法では、ゲート電極の領域は、短いゲート長を有するゲート電極のHEMTを準備するようにパッシベーション層及びフォトレジスト層のシールドによって画定される。特に、本発明の方法は、電子ビームリソグラフィプロセスの短所を改善し、デバイス製造効率を向上し、プロセスコストを低減することができる。
【0009】
本発明の方法では、方法は、ソース電極及びドレイン電極上にパッシベーション層を形成するステップとパッシベーション層をエッチングするステップとの間に、パッシベーション層上にエッチング用フォトレジストマスキング層を形成するステップをさらに備え得る。エッチング用フォトレジストマスキング層を形成することによって、半導体層を露出させるスルーホールが画定可能となり、スルーホールはソース電極とドレイン電極の間に位置する。
【0010】
本発明の方法では、エッチング用フォトレジストマスキング層及び金属層の蒸着領域を画定するのに使用されるフォトレジスト層は、同じマスクを用いて形成可能である。
【0011】
本発明の方法では、パッシベーション層上にフォトレジスト層を形成するステップにおいて、(フォトレジスト層に覆われない領域である)半導体層の第2の小領域に隣接するパッシベーション層の一部分は、フォトレジスト層に覆われない。本発明の方法では、(フォトレジスト層に覆われない領域である)半導体層の第2の小領域上に金属層を形成するステップにおいて、フォトレジスト層に覆われないパッシベーション層の部分上に金属層がさらに形成される。
【0012】
本発明の方法では、ゲート電極の位置は、パッシベーション層のシールドによって、異なる位置において2段階露光及び現像によって画定可能である。より詳細には、第1の位置での露光及び現像プロセスは、エッチング用フォトレジストマスキング層を形成して、ソース電極とドレイン電極の間の半導体層を露出させるスルーホールを画定することができる。これは、第1のリソグラフィプロセスである。第2の位置での露光及び現像プロセスは、他のフォトレジスト層を形成して金属層の蒸着位置を画定することができる。これは、第2のリソグラフィプロセスである。第1の位置及び第2の位置での露光及び現像プロセスは、ステッパー露光機を用いて実行可能である。さらに、第2の位置は、第1の位置と比較してソース電極又はドレイン電極に向けてオフセットされる。したがって、第2のリソグラフィプロセス中に、スルーホールを通じて露出した半導体層の第1の小領域はフォトレジスト層に覆われることになり、スルーホールを通じて露出した半導体層の第2の小領域はフォトレジスト層に覆われない。したがって、金属層が形成されると、第2のリソグラフィプロセス及びパッシベーション層のシールドによって形成されたフォトレジスト層を通じて、金属層が、フォトレジスト層に覆われない半導体層の第2の小領域に蒸着されてゲート電極を形成することができる。
【0013】
さらに、第1の位置及び第2の位置での露光及び現像プロセスにおいて使用されるマスクが同じマスクである場合、第2の位置を第1の位置と比較してソース電極又はドレイン電極に向けてシフトすることによって、(フォトレジスト層に覆われない領域である)半導体層の第2の小領域に隣接するパッシベーション層の一部分はフォトレジスト層に覆われず、その後に蒸着される金属層が、フォトレジスト層に覆われないパッシベーション層の部分上にさらに形成され得る。パッシベーション層がその後に除去されると、パッシベーション層上に蒸着された金属層も同時に除去可能であり、半導体層上に位置する金属層のゲート電極のみが残る。
【0014】
本発明の方法では、金属層の厚さは、パッシベーション層の厚さ未満であり得る。したがって、その後に蒸着される金属層が、フォトレジスト層に覆われないパッシベーション層の部分上に同時に形成されると、パッシベーション層の部分上に形成された金属層及びゲート電極となる金属層は相互に接続されない。パッシベーション層がその後に除去される際に、形成されたゲート電極は影響を受けない。
【0015】
本発明の一実施形態では、金属層の厚さとパッシベーション層の厚さとの差は、0.01μm~0.7μm、例えば、0.01μm~0.6μm、0.01μm~0.5μm、0.01μm~0.3μm、0.01μm~0.2μm、0.01μm~0.1μm又は0.03μm~0.1μmの範囲であり得る。
【0016】
本発明の方法では、パッシベーション層は、ソース電極とドレイン電極の間にスルーホールを形成するようにドライエッチング又はウェットエッチングによってエッチングされ得る。本発明の一実施形態では、パッシベーション層は、誘導結合プラズマ(ICP)エッチングを用いてエッチングされ得るが、本発明はこれに限定されない。本発明の一実施形態では、パッシベーション層をエッチングする際に、側方エッチングが起こり得る。この時、スルーホールの側壁と半導体層の領域の露出面とのなす角は、90度未満であり得る。例えば、その角度は、40度~85度、50度~85度又は60度~85度の範囲であり得るが、本発明はこれに限定されない。形成される角度は、プロセス又は材料(例えば、パッシベーション層の材料)に応じる。
【0017】
本発明の方法では、方法は、パッシベーション層を除去するステップの後に、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極及び半導体層を覆う保護層を形成して水分が構成要素に浸透するのを防止するステップをさらに備える。
【0018】
本発明はさらに、上記方法によって準備されたHEMTを提供し、そのHEMTは、基板と、基板上に配置された半導体層と、半導体層上に配置されたソース電極と、半導体層上に配置されたドレイン電極と、半導体層上でかつソース電極とドレイン電極の間に配置されたゲート電極であって、ゲート電極は下面及び下面に対向する上面を有し、下面は半導体層に接触するゲート電極の表面であり、上面の幅は下面の幅以下である、ゲート電極と、を備える。
【0019】
本発明のHEMTでは、ゲート電極の上面の幅は、ゲート電極の下面の幅以下である。好ましくは、ゲート電極の上面の幅はゲート電極の下面の幅に実質的に等しいため、本発明のHEMTはI字形ゲート電極のHEMTである。本発明の一実施形態では、ゲート電極の上面の幅とゲート電極の下面の幅との差は、10nm未満であり得る。
【0020】
本発明のHEMTでは、ゲート電極のゲート長は、0.05μm~0.5μm、例えば、0.05μm~0.4μm、0.1μm~0.4μm又は0.1μm~0.3μmの範囲であり得る。本発明の一実施形態では、ゲート電極のゲート長は、約0.2μmであり得る。本発明では、ゲート電極のゲート長とは、HEMTの断面視においてゲート電極の下面上で測定されたゲート電極の幅のことをいう。
【0021】
本発明のHEMTは、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極及び半導体層を覆う保護層をさらに備えていてもよい。本発明のHEMTは、基板と半導体層の間に配置されたバッファ層をさらに備えていてもよい。
【0022】
本発明では、基板は、硬質の基板であってもよいし、柔軟な基板であってもよい。基板の材料は、石英、ガラス、ウェハ、サファイア、樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、他のプラスチック材料又はこれらの組合せを含み得るが、本発明はこれらに限定されない。
【0023】
本発明では、半導体層は、GaN層及びAlGaN層を備え得る。ただし、本発明はこれらに限定されず、HEMTに使用可能な他の材料も本発明に含まれる。
【0024】
本発明では、第1のリソグラフィプロセスによって形成されるエッチング用フォトレジストマスキング層及び第2のリソグラフィプロセスによって形成されるフォトレジスト層は、それぞれポジティブ又はネガティブフォトレジストであり得る。
【0025】
本発明では、パッシベーション層、保護層及びバッファ層の材料は、それぞれ酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化アルミニウム又はこれらの組合せを含み得る。パッシベーション層、保護層及びバッファ層は、それぞれ単層又は多層構造を有し得る。本発明の一実施形態では、パッシベーション層は、SiN層である。本発明の一実施形態では、保護層は、SiN層である。ただし、本発明は、これらに限定されない。
【0026】
本発明では、ゲート電極(金属層)、ソース電極及びドレイン電極の材料は、それぞれインジウム(In)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、銀(Ag)、鉛(Pb)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、金ベリリウム(AuBe)、ベリリウムゲルマニウム(BeGe)、ニッケル(Ni)、鉛スズ(PbSn)、クロミウム(Cr)、金亜鉛(AuZn)、チタン(Ti)、タングステン(W)、チタンタングステン(TiW)、これらの合金又はこれらの組合せを含み得る。さらに、ゲート電極(金属層)、ソース電極及びドレイン電極は、それぞれ単層又は多層構造を有し得る。
【0027】
本発明では、パッシベーション層、保護層、バッファ層、フォトレジスト層、ゲート電極(金属層)、ソース電極及びドレイン電極は、それぞれ任意の適宜の方法を用いて準備され得る。適宜の方法は電気めっき、化学めっき、化学気相蒸着、スパッタリング、コーティング、フォトリソグラフィ又はこれらの組合せを含むが、本発明はこれらに限定されない。コーティング法は、例えば、浸漬コーティング法、スピンコーティング法、ローラーコーティング法、ブレードコーティング法、スプレーコーティング法又は上記の組合せであり得るが、本発明はこれらに限定されない。
【0028】
本発明の他の新規な特徴は、添付図面との関連で解釈されると、以下の詳細な説明から一層明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A図1Aは、本発明の一実施形態に係るHEMTを製造する方法の模式断面図を示す。
図1B図1Bは、本発明の一実施形態に係るHEMTを製造する方法の模式断面図を示す。
図1C図1Cは、本発明の一実施形態に係るHEMTを製造する方法の模式断面図を示す。
図1D図1Dは、本発明の一実施形態に係るHEMTを製造する方法の模式断面図を示す。
図1E図1Eは、本発明の一実施形態に係るHEMTを製造する方法の模式断面図を示す。
図1F図1Fは、本発明の一実施形態に係るHEMTを製造する方法の模式断面図を示す。
図1G図1Gは、本発明の一実施形態に係るHEMTを製造する方法の模式断面図を示す。
図1H図1Hは、本発明の一実施形態に係るHEMTを製造する方法の模式断面図を示す。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るHEMTのDC特性を示す。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るHEMTの高周波特性を示す。
図4図4は、本発明の一実施形態に係るHEMTのロードプル測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下は、本発明の実施例を示す具体的実施形態である。本技術に精通する者は、本明細書に開示される内容から本発明の他の有利な効果を容易に理解するはずである。本発明は他の様々な具体的実施形態によっても実施又は適用可能であり、本明細書における種々の詳細は本発明の主旨から逸脱することなく様々な視点及び用途に従って変形及び変更可能でもある。
【0031】
なお、本明細書において、構成要素/部品が要素を有するものと記載される場合、それは当該構成要素/部品が1以上の当該要素を有し得ることを意味し、特に断りがない限り、当該構成要素/部品が1つのみの当該要素を有することを意味するものではない。さらに、「第1」、「第2」など、明細書及び特許請求の範囲に記載される序数は、特許請求される要素を記載することのみを意図し、特許請求される要素がいずれかの進行順序を有することを示唆又は表現するものでもなければ、1つの特許請求される要素と他の特許請求される要素との間又は製造方法のステップ間の順列を示唆又は表現するものでもない。これらの序数の使用は、単に特定の指定を有する1つの特許請求される要素を同じ指定を有する他の特許請求される要素から区別するものである。
【0032】
本発明の明細書及び付随する特許請求の範囲において、特定の文言が、具体的要素に言及するのに使用される。当業者は、電子デバイスの製造業者が同じ構成要素/部品を異なる名称で言及し得ることを理解すべきである。本明細書は、同じ機能を有するが異なる名称を有する要素間を区別するものではない。以下の説明及び特許請求の範囲において「備える」、「含む」、「包含する」及び「有する」などの文言はオープンエンドの文言であるので、それらは「包含するがそれに限定されない」という意味として解釈されるべきである。したがって、用語「備える」、「含む」、「包含する」及び/又は「有する」が本発明の説明で使用される場合、それらは対応する特徴、領域、ステップ、動作及び/又は構成要素/部品の存在を特定するが、1以上の対応する特徴、領域、ステップ、動作及び/又は構成要素/部品の存在を排除するものではない。
【0033】
「約」、「等しい」、「同等」若しくは「同じ」、「実質的に」又は「おおよそ」などの用語は、所与の値又は範囲の10%、5%、3%、2%、1%又は0.5%以内として一般に解釈される。ここに与えられる量は、おおよその量であり、すなわち、「約」、「おおよそ」、「実質的に」及び「おおよそ」を指定しなくても、「約」、「おおよそ」、「実質的に」及び「おおよそ」が示唆され得る。さらに、値が「第1の値から第2の値の範囲にある」又は「第1の値と第2の値の間の範囲にある」場合、その値は第1の値、第2の値、又は第1の値と第2の値の間の他の値であり得る。
【0034】
本明細書では、特に断りがない限り、ここに使用される用語(技術用語及び科学用語を含む)は、当業者によって一般に知られている意味を有する。なお、特に断りがない限り、本発明の実施形態では、これらの用語(例えば、一般に使用される辞書に定義される用語)は、本技術、本発明の背景又は本明細書のコンテキストにおいて知られているものと同一の意味を有するものであり、理想的な態様又は過度に形式的な態様で読まれるべきではない。
【0035】
さらに、「下方(below)」又は「下部(under)」及び「上(on)」、「上方(above)」又は「上部(over)」などの相対的用語は、実施形態において、図面におけるある要素と他の要素との間の相対関係を記載するのに使用され得る。図面中のデバイスを上下逆にした場合には、「下(lower)」側に対して記載されていた要素は「上(upper)」側に対して記載される要素となることが理解されるはずである。あるユニット(例えば、層又は領域)が他のユニット「上(on)」にあるものとして言及される場合、それは当該他のユニット上に直接存在し得るものであり、又はそれらの間に多のユニットが存在してもよい。さらに、あるユニットが「他のユニット上に直接」存在するという場合、それらの間にユニットは存在しない。さらに、あるユニットが「他のユニット上」に存在するという場合、それら2つは上面視において上下の関係にあり、当該ユニットは当該他のユニットの上方又は下方に配置され得る。上下関係は、デバイスの向きに応じる。
【0036】
本発明において、距離及び厚さは光学顕微鏡を用いることによって又は電子顕微鏡での断面画像によって測定され得るが、本発明はこれに限定されない。さらに、比較のために用いられる任意の2つの値又は方向は、一定の誤差を有し得る。第1の値が第2の値に等しい場合、それは、第1の値と第2の値の間には約10%の誤差があり得ることを示唆する。
【0037】
図1A図1Hは、本発明の一実施形態に係るHEMTを製造する方法の模式断面図を示す。
【0038】
図1Aに示すように、まず、基板11が提供され、半導体層13が基板11上に形成され、ソース電極14及びドレイン電極15が半導体層13上に形成される。本実施形態では、基板11と半導体層13の間にバッファ層12がさらに配置される。さらに、半導体層13は、GaN層131及びGaN層131上に配置されたAlGaN層132を備える。さらに、ソース電極14及びドレイン電極15はそれぞれTi/Al/Ni/Au金属層であり、Ti層、Al層、Ni層及びAu層の厚さはそれぞれ20nm、120nm、25nm及び100nmであるが、本発明はこれに限定されない。したがって、構成要素のオーミックコンタクトの準備が完了し、活性領域が画定される。
【0039】
次に、パッシベーション層16は、ソース電極14及びドレイン電極15上に形成される。ここで、パッシベーション層16は、プラズマエンハンスト化学気相蒸着システム(PECVD)を用いて形成可能であり、パッシベーション層16はSiN層であり、その厚さは250nm~800nmの範囲となる。本実施形態では、パッシベーション層16の厚さは約250nmである。
【0040】
図1Bに示すように、エッチング用フォトレジストマスキング層17が、パッシベーション層16上に形成される。ここで、第1のリソグラフィプロセスを実行してゲート電極の領域を画定するのにステッパー露光機が使用可能である。
【0041】
図1Cに示すように、パッシベーション層16がエッチングされてソース電極14とドレイン電極15の間にスルーホール151が形成され、半導体層13の領域R1がスルーホール151を通じて露出(expose)される。ここで、パッシベーション層16をエッチングしてゲート電極の金属が半導体層13と接触可能な領域R1を生成するのに誘導結合プラズマ(ICP)ドライエッチングが使用可能である。さらに、スルーホール151の側壁151aと半導体層13の領域R1の表面13aとのなす角は、90度未満である。そして、図1Dに示すように、エッチング用フォトレジストマスキング層17が除去される。
【0042】
図1Eに示すように、マスクのパターンはドレイン電極15に向けてシフトされ、パッシベーション層16上にフォトレジスト層18を形成するように第2のフォトリソグラフィプロセスが実行される。ここで、第1のリソグラフィプロセスで形成された(図1Cに示す)エッチング用フォトレジストマスキング層17及び第2のリソグラフィプロセスで形成されたフォトレジスト層18は、同じマスクを用いて形成可能である。第2のリソグラフィプロセスの後、半導体層13の領域R1の第1の小領域R11はフォトレジスト層18に覆われ、半導体層13の領域R1の第2の小領域R12はフォトレジスト層18に覆われない。さらに、第2の小領域R12に隣接するパッシベーション層16の部分R2は、フォトレジスト層18に覆われない。
【0043】
図1Fに示すように、金属層19が第2の小領域R12上に形成されてゲート電極191が形成される。さらに、金属層19の他の部分192が、(図1Eに示すように)フォトレジスト層18に覆われないパッシベーション層16の部分R2上にさらに形成される。本実施形態では、金属層19はNi/Au金属層であり、Ni層及びAu層の厚さはそれぞれ50nm及び150nmであるが、本発明はこれに限定されない。
【0044】
本実施形態では、第1のリソグラフィプロセス及び第2のリソグラフィプロセスを実行するのにステッパー露光機が使用される。マスクのパターンをドレイン電極15に向けてシフトすることによって(本発明の他の実施形態では、マスクのパターンはソース電極14に向けてシフトされ得る)、第2のリソグラフィ領域と第1のエッチング領域との重なり領域が、ゲート電極191の領域である。
【0045】
図1F及び図1Gに示すように、パッシベーション層16が除去される。本実施形態では、パッシベーション層16のシールドを用いて、パッシベーション層16上に蒸着された金属層19の他の部分192は、HF溶液を用いてパッシベーション層16とともに除去される。さらに、金属層19の厚さT1はパッシベーション層16の厚さT2未満であるので、金属層19は蒸着時に2つの非接続片(例えば、ゲート電極191及び部分192)に分割してパッシベーション層16上の金属層19の余剰部分192の除去を促進することができる。ここで、金属層19の厚さT1とパッシベーション層16の厚さT2との差は、必要に応じて調整可能であり、例えば、0.01μm~0.7μmの範囲であり得る。
【0046】
図1Hに示すように、ゲート電極191、ソース電極14、ドレイン電極15及び半導体層13を覆う保護層20が形成される。本実施形態では、ゲート電極191、ソース電極14、ドレイン電極15及び半導体層13の表面を覆う保護層20として厚さ100nmのSiN層が蒸着され得るが、本発明はこれに限定されない。
【0047】
図1Hに示すように、上記プロセスの後に、基板11、基板11上に配置された半導体層13、半導体層13上に配置されたソース電極14、半導体層13上に配置されたドレイン電極15、及び半導体層13上に配置されるとともにソース電極14とドレイン電極15の間に位置するゲート電極191を備える本実施形態のHEMTが取得され得る。さらに、本実施形態のHEMTは、ゲート電極191、ソース電極14、ドレイン電極15及び半導体層13を覆う保護層20をさらに備える。
【0048】
ここで、半導体層13は、GaN層131及びGaN層131上に配置されたAlGaN層132を備える。さらに、ゲート電極191は、下面191a及び下面191aに対向する上面191bを有し、下面191aは半導体層13に接触するゲート電極191の表面である。上面191bの幅W1は下面191aの幅W2以下であり、例えば、上面191bの幅W1と下面191aの幅W2との差は10nm以下である。本実施形態では、上面191bの幅W1及び下面191aの幅W2は、実質的に同じである。さらに、ゲート電極191のゲート長は、0.05μm~0.5μmの範囲であり得る。ゲート電極191のゲート長は、下面191aの幅W2である。本実施形態では、ゲート電極191のゲート長は、約0.2μmである。
【0049】
ここで、上記実施形態で準備されたHEMTの電気特性が測定される。
【0050】
図2は、本発明の一実施形態に係るHEMTのDC特性を示す。図面から、本発明のHEMTの定常状態電流密度(Idss)は1050mA/mmに達し、最大トランスコンダクタンス(gm、max)は365mS/mmに達し得ることが分かる。
【0051】
図3は、本発明の一実施形態に係るHEMTの高周波特性を示す。図面から、本発明のHEMTのカットオフ周波数(f)は27GHzに達し、最大発振周波数(fmax)は106GHzに達し得ることが分かる。
【0052】
図4は、本発明の一実施形態に係るHEMTのロードプル測定結果を示す。図面から、本発明のHEMTの電力付加効率(PAE)は34.23%に達し、最大出力電力密度(Pout、max)は2.39W/mmに達し得ることが分かる。
【0053】
従来的な電子ビームリソグラフィプロセスはより短いゲート長をより高い精度で露光し得るが、これには長い時間消費及び高いコストの不利益がある。上述したように、本発明は、より低コストのステッパー露光機を用いて、露光位置をシフトすることによって2段階露光を実行する。2回の露光の重なり領域がゲート電極の領域として使用され、ゲート電極のゲート長がさらに短縮可能となる。同時に、本発明は、パッシベーション層の厚さを増加させるので、ゲート電極の金属が蒸着されると、それはパッシベーション層の上方及び下方の2つの非接続片に分割可能となる。したがって、ゲート電極構造体を形成する成功率が向上し、ゲート電極の金属の高さ許容差がパッシベーション層の厚さの増加によって増加可能となる。さらに、本発明によって生成されたゲート電極の構造体により、機械的安定性を向上するために、ゲート電極の下方に窒化ケイ素を使用する必要がなく、これにより、寄生容量をさらに低減することができる。
【0054】
本発明をその実施形態との関連で説明したが、多数の他の可能な変形及び変更が、以下に特許請求される本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2
図3
図4