(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031484
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】擁壁用ブロック
(51)【国際特許分類】
E02D 29/02 20060101AFI20250228BHJP
E02D 17/20 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
E02D29/02 303
E02D17/20 103H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026119
(22)【出願日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】P 2023136958
(32)【優先日】2023-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501407263
【氏名又は名称】有限会社 創友
(71)【出願人】
【識別番号】522386965
【氏名又は名称】株式会社Kei corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 洋一
(72)【発明者】
【氏名】森 有央
【テーマコード(参考)】
2D044
2D048
【Fターム(参考)】
2D044DB54
2D048AA23
2D048AA30
(57)【要約】
【課題】
複数の擁壁用ブロックを設置する土壌の斜面が部分的に張り出していたり窪んでいたりしても、複数の擁壁用ブロックの表面壁がおおよそ一つの平坦な面として形成しやすい擁壁用ブロックを提供することを目的とする。
【解決手段】
外部に露出する表面を有する表面壁部(1)と、前記表面壁部(1)における前記表面とは反対側である裏面(1a)より突設し、使用時における前記表面壁(1)の上下方向の高さよりも低い高さである控え壁部(2)を備える擁壁用ブロック、そして、使用時における前記控え壁部(2)の上側の面である上面(2a)又は下側の面である下面(2b)のうち少なくとも一つの面に、前記控え壁部(2)の長手方向に沿って、互いに係合可能な形状である窪み部(21)及び突起部(22)が設けられている前記擁壁用ブロックにより解決することができた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に露出する表面を有する表面壁部(1)と、
前記表面壁部(1)における前記表面とは反対側である裏面(1a)より突設し、使用時における前記表面壁部(1)の上下方向の高さよりも低い高さである控え壁部(2)を備えることを特徴とする擁壁用ブロック。
【請求項2】
使用時における前記控え壁部(2)の上側の面である上面(2a)又は下側の面である下面(2b)のうち少なくとも一つの面に、前記控え壁部(2)の長手方向に沿って、互いに係合可能な形状である窪み部(21)及び突起部(22)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の擁壁用ブロック。
【請求項3】
前記窪み部(21)及び前記突起部(22)がそれぞれ複数設けられている形態、
又は前記窪み部(21)が複数設けられており前記突起部(22)が1つ設けられている形態のいずれか一方であることを特徴とする請求項2に記載の擁壁用ブロック。
【請求項4】
前記窪み部(21)が複数設けられており、前記窪み部(21)に係合可能である少なくとも1つの別体の係合ピン(4)が前記窪み部(21)に係合することにより前記突起部(22)を形成していることを特徴とする請求項2に記載の擁壁用ブロック。
【請求項5】
前記窪み部(21)及び前記突起部(22)が、角錐台状、円錐台状、角錐状、円錐状、角柱状、円柱状、略半円柱状、略半球状のいずれか一つであることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の擁壁用ブロック。
【請求項6】
前記窪み部(21)及び前記突起部(22)の上面(2a)又は下面(2b)のうち少なくとも一つの側面視における稜線が、周期性を有する曲線状、周期性を有する三角形状、周期性を有する四角形状のいずれか一つであることを特徴とする請求項2に記載の擁壁用ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌の斜面の崩壊を防止するために、法面に対して設置される擁壁用ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土壌の斜面の崩壊を防止するために法面に対して擁壁用コンクリートが設置されている。土壌の斜面に対して、斜面の幅方向や高さ方向に複数の擁壁用コンクリートを並べたり積み重ねたりするなどして、斜面を覆っている。
【0003】
例えば、特許文献1には、起立した表面板と、表面板の後方に離間して起立した控板と、表面板及び控板の左右方向中間部どうしを繋ぐ2つの繋ぎ板とを含み構成された、箱型擁壁の屈曲部に配される擁壁用ブロックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の擁壁用ブロックは、予め所定の大きさ型枠を用いて成型されていることから、表面板の後方より突設している繋ぎ板の長さが固定されているため、設置する土壌の斜面が部分的に張り出していたり窪んでいたりすると、複数の擁壁用ブロックの表面板がおおよそ一つの平坦な面とするためには、表面板の後方より突設している繋ぎ板の長さが異なる複数の種類の擁壁用ブロックを用意しておく必要があり、非常に手間であるという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、複数の擁壁用ブロックを設置する土壌の斜面が部分的に張り出していたり窪んでいたりしても、複数の擁壁用ブロックの表面壁がおおよそ一つの平坦な面として形成しやすい擁壁用ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔1〕すなわち、本発明は、外部に露出する表面を有する表面壁部(1)と、前記表面壁部(1)における前記表面とは反対側である裏面(1a)より突設し、使用時における前記表面壁(1)の上下方向の高さよりも低い高さである控え壁部(2)を備えることを特徴とする擁壁用ブロックである。
【0008】
〔2〕そして、使用時における前記控え壁部(2)の上側の面である上面(2a)又は下側の面である下面(2b)のうち少なくとも一つの面に、前記控え壁部(2)の長手方向に沿って、互いに係合可能な形状である窪み部(21)及び突起部(22)が設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載の擁壁用ブロックである。
【0009】
〔3〕そして、前記窪み部(21)及び前記突起部(22)がそれぞれ複数設けられている形態、又は前記窪み部(21)が複数設けられており前記突起部(22)が1つ設けられている形態のいずれか一方であることを特徴とする前記〔2〕に記載の擁壁用ブロックである。
【0010】
〔4〕そして、前記窪み部(21)が複数設けられており、前記窪み部(21)に係合可能である少なくとも1つの別体の係合ピン(4)が前記窪み部(21)に係合することにより前記突起部(22)を形成していることを特徴とする請求項2に記載の擁壁用ブロックである。
【0011】
〔5〕そして、前記窪み部(21)及び前記突起部(22)が、角錐台状、円錐台状、角錐状、円錐状、角柱状、円柱状、略半円柱状、略半球状のいずれか一つであることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の擁壁用ブロックである。
【0012】
〔6〕そして、前記窪み部(21)及び前記突起部(22)の上面(2a)又は下面(2b)のうち少なくとも一つの側面視における稜線が、周期性を有する曲線状、周期性を有する三角形状、周期性を有する四角形状のいずれか一つであることを特徴とする請求項2に記載の擁壁用ブロックである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の擁壁用ブロックによれば、複数の擁壁用ブロックを設置する土壌の斜面が部分的に張り出していたり窪んでいたりしても、複数の擁壁用ブロックの表面壁がおおよそ一つの平坦な面として形成しやすいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の擁壁用ブロックの第一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の擁壁用ブロックの第一実施形態を示す右側面図である。
【
図3】本発明の擁壁用ブロックの第一実施形態を2つ組み合せようとする途中状態を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の擁壁用ブロックの第一実施形態を2つ組み合せた状態を示す一の右側面図である。
【
図5】本発明の擁壁用ブロックの第一実施形態を2つ組み合せた状態を示す他の右側面図である。
【
図6】本発明の擁壁用ブロックの第一実施形態を2つ組み合せた一組を上下に3つ積層して地盤の法面に対して設置した状態を示す右側面図である。
【
図7】本発明の擁壁用ブロックの第二実施形態を示す斜視図である。。
【
図8】本発明の擁壁用ブロックの第二実施形態を2つ組み合せた状態を示す一の右側面図である。
【
図9】本発明の擁壁用ブロックの第三実施形態を示す右側面図である。
【
図10】本発明の擁壁用ブロックの第四実施形態を示す右側面図である。
【
図11】本発明の擁壁用ブロックの第五実施形態を示す右側面図である。
【
図12】本発明の擁壁用ブロックの第六実施形態を示す斜視図である。
【
図13】本発明の擁壁用ブロックの第七実施形態を示す斜視図である。
【
図14】本発明の擁壁用ブロックの第八実施形態を示す斜視図である。
【
図15】本発明の擁壁用ブロックの第九実施形態を示す斜視図である。
【
図16】本発明の擁壁用ブロックの第十実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る擁壁用ブロックに関する実施形態について詳しく説明する。また、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この形態に限定されるものではない。なお、擁壁用ブロックBの上下方向は、第一実施形態における
図2における上下方向であり、道路側や宅地側である前方向、表方向や前面方向は、
図2における左側方向であり、地盤Gの法面側である後方向、裏方向や背面方向は、
図2における右側方向であり、擁壁用ブロックBの幅方向や左右方向は、
図2における前後方向である。第二実施形態から第十実施形態の上下方向、前後方向、左右方向も、第一実施形態における
図2と同様に対応している。
【0016】
本発明の擁壁用ブロックBにおいて、表面壁部1、控え壁部2などを備えている。そして、その二つの擁壁用ブロックBを一組として使用することができるため、その一組の擁壁用ブロックBを特許文献1のような箱型のブロックとして使用できるともに、表面壁部1の略垂直方向に沿った長さを調整し変更することができる。
【0017】
〔第一実施形態〕
図1及び
図2に示すように、擁壁用ブロックBは、道路側や宅地側などの外部に露出する表面を有する板状の表面壁部1と、表面壁部1の裏面1aより略平行に突設し、使用時における表面壁部1の上下方向の高さよりも低い高さである板状の控え壁部2を有する。
図2などに示すように、控え壁部2の高さH2は、表面壁部1の上下方向の高さH1の略半分が好ましく、より具体的には40~60%であることが好ましく、45~55%であることがもっとも好ましい。そして、擁壁用ブロックBは、砂、砂利、セメント、水などが混練され成型されたコンクリート、砂、セメント、水などが混練され成型されたモルタル、鉄など比重が1より重い材料からなっていることが好ましく、運搬の利便性や風雨に晒されても劣化しにくいという長期安定性からコンクリート又はモルタルであることがより好ましい。
【0018】
表面壁部1が、擁壁用ブロックBが設置されたときに、道路や宅地などの平地側に露出する。表面壁部1には、意匠性を高める為に模様などが付されていてもよい。また、表面壁部1の上面側及び下面側には係合穴11が設けられ、複数の擁壁用ブロックBを上下に配設するときに、棒状の部材を上の擁壁用ブロックBの下面側の係合穴11と下の擁壁用ブロックBの上面側の係合穴11に係合することで、複数の擁壁用ブロックBの位置がずれたり落下したりしないようにすることができる。さらに、表面壁部1の下面側には係合穴11を設け、上面側にはその係合穴11と係合可能である台形状などの係合突起を設けるなどとして、複数の擁壁用ブロックBを上下方向に積み重ねるときに、係合穴と係合突起を係合させて、複数の擁壁用ブロックBの位置がずれたり落下したりしないようにすることもできる。また、表面壁部1において、左右方向に貫通する結合孔12が穿設されている。複数の擁壁用ブロックBを左右に配設するときに、棒状の部材を隣接する擁壁用ブロックBの結合孔12同士に挿入して係合したり、金属ワイヤーを隣接する擁壁用ブロックBの挿入孔23同士に挿通したりすることで、複数の擁壁用ブロックBの位置がずれたり落下したりしないようにすることができる。なお、
図3から
図5に示すように、一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBを一組として用意し、一の擁壁用ブロックBに対して、他の擁壁用ブロックBを上下反転させて、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21と、他の擁壁用ブロックBの控え壁部2における突起部22を係合させると、一の擁壁用ブロックBにおける表面壁部1は、道路や宅地などの平地側に露出するが、他の擁壁用ブロックBにおける表面壁部1は、地盤Gの法面側に対向するため道路や宅地などの平地側に露出しない。
【0019】
二つの控え壁部2が、前後方向が長手方向となるように略平行に表面壁部1の下部における表面とは反対側である裏面1aより突設している。本実施形態において、控え壁部2は、細長い略直方体形状を有している。また、本実施形態において、控え壁部2が、表面壁部1より2つ突設しているが、他の実施形態において、擁壁用ブロックBの幅方向に長さに応じて、表面壁部1より1つ又は3つ以上突設するようにすることができ、擁壁用ブロックBの幅方向に沿って二つの控え壁部2を繋ぐ梁部を設けることもできる。
【0020】
そして、使用時における控え壁部2の上側の面である上面2aに、控え壁部2の長手方向に沿って、互いに係合可能な形状である窪み部21及び突起部22が設けられている。具体的には、
図1及び
図2に示すように、二つの控え壁部2のうち一方には、控え壁部2の上面2aに、表面壁部1の裏面1a側より、四角錐台形状の窪み部21及び四角柱台形状の突起部22が、交互に略等間隔にそれぞれ3個設けられている。さらに、二つの控え壁部2のうち他方には、控え壁部2の上面2aに、表面壁部1の裏面1a側より、四角柱台形状の突起部22が、そして、四角錐台形状の窪み部21が、交互に略等間隔にそれぞれ3個設けられている。窪み部21及び突起部22がこのように設けられていることにより、
図3に示すように、一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBを一組として用意し、一の擁壁用ブロックBに対して、他の擁壁用ブロックBを上下反転させて、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21と、他の擁壁用ブロックBの控え壁部2における突起部22を係合させることで、1つの箱型の擁壁用ブロックとして使用することができる。さらに、
図4及び
図5に示すように、一組の擁壁用ブロックBとしての長さを控え壁部2の前後方向に3段階調整して変更することができる。そして、一組の擁壁用ブロックBにおいて、二つの表面壁部1と互いに係合された二つの控え壁部2にて囲まれた空間にモルタルやコンクリートなどが流し込まれ、擁壁用ブロックBとしての強度を上げることができる。本実施形態において、窪み部21及び突起部22がそれぞれ3個設けられているが、他の実施形態において、それぞれ2個、また、4個以上設けることができる。そして、窪み部21及び突起部22は、一の控え壁部2の上面2aの左右方向である幅方向において、他の控え壁2と近い側である内側に形成されており、他の控え壁2と遠い側である外側には形成されていない。具体的には、窪み部21及び突起部22は、一の控え壁部2の上面2aの左右方向である幅方向において、内側方向の80~90%の範囲に設けられており外側方向の10~20%に設けられていない。このように、窪み部21及び突起部22が上面2aの外側に設けられない箇所を有することで、
図4及び
図5に示すように、一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBを一組として用意し、一の擁壁用ブロックBに対して、他の擁壁用ブロックBを上下反転させて、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21と、他の擁壁用ブロックBの控え壁部2における突起部22を係合させてから、内側に空洞にモルタル等を注入したとき、係合した窪み部21及び突起部22から少しモルタル等が漏れ出したとしても、見栄えが悪くなったりなどしないように、控え壁部2の上面2aにとどまり控え壁部2の側面に流れ落ちないようにしている。そして、本実施形態において、窪み部21及び突起部22は、四角柱台状の形状を有しているが、他の実施形態において、互いに係合することができる凹凸状である限りにおいて、円錐台状、角錐状、円錐状、角柱状、円柱状、略半円柱状、略半球状とすることができる。なお、略半円柱状とは、ある円柱を中心軸又はその近傍の軸に沿う平面によって切り取られた形状であり、略半球状とは、ある球を中心又はその近傍の点を通る平面によって切り取られた形状である。さらに、本実施形態において、窪み部21は、控え壁部2の上面2aと壁部2の内側に対して開口するように設けられているが、他の実施形態において、窪み部21及び突起部22が互いに係合することができる凹凸状である限りにおいて、控え壁部2の上面2aにおいてのみ開口しておりその他の面において開口していない穴の形状として設けることができる。なお、他の実施形態において、控え壁部2の下側の面である下面2b、又は上面2aと下面2bの両方の面に、控え壁部2の長手方向に沿って、互いに係合可能な形状である窪み部21及び突起部22が設けられていてもよく、一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBを一組として用意し、その一組ずつを上下に積層させるときに、一組ごとの擁壁用ブロックBの前後方向の長さを調整して変更することもできる。
【0021】
さらに、それぞれの控え壁部2において、左右方向に貫通する挿入孔23が穿設されている。複数の擁壁用ブロックBを左右に配設するときに、棒状の部材を隣接する擁壁用ブロックBの挿入孔23同士に挿入して係合したり、金属ワイヤーを隣接する擁壁用ブロックBの挿入孔23同士に挿通したりすることで、複数の擁壁用ブロックBの位置がずれたり落下したりしないようにすることができ、又は、
図6に示すように、パネルP1を配設するときにボルトBoを介してパネルP1を固定することもできる。なお、本実施形態において、挿入孔23が控え壁部2の左右方向に貫通しているが、他の実施形態において、隣接する擁壁用ブロックBの挿入孔23同士に棒状の部材を係合することができる限りにおいて貫通していない窪みとすることができる。
【0022】
また、擁壁用ブロックBの左右方向には隣接する他の擁壁用ブロックBが配設され、左右方向及び上下方向に複数設置することで、地盤Gの法面に応じた所定の大きさの擁壁が構築される。このとき、土壌の斜面が部分的に張り出していたり窪んでいたりしても、擁壁用ブロックBを二つ一組として使用することで、前後方向の長さを調整することができることから、複数の擁壁用ブロックBの表面壁1がおおよそ一つの平坦な面として形成しやすいという効果を奏する。また、擁壁用ブロックBを二つ一組として使用することで、作業現場で前後方向の長さを調整することができることから、長さの異なる控え壁部2を有する一つの擁壁用ブロックBを複数種類用意しておく必要がないため擁壁用ブロックBの管理が容易にもなる。例えば、
図6に示すように、地盤Gの法面に対して、擁壁用ブロックBを二つ一組として使用し、上下に三組などの複数組を積層して、巨大な擁壁を形成することができる。その形成方法としては、まず、
図6に示すように、一の擁壁用ブロックBの表面壁部1の裏面1aと他の擁壁用ブロックBの控え壁部2の端部に隙間が生じるときには、その隙間を埋めるようにコンクリート製、金属製や木製などの板状のパネルP1を配設して、ボルトBoを挿入孔23にて止着してパネルP1を固定する。なお、このとき、パネルP1を補強するために、パネルP1に沿って前後方向にL字状などのアングルなどを配設してボルトBoを挿入孔23にて止着してパネルP1及びアングルを固定してもよい。そして、表面壁部1、控え壁部2及びパネルP1にて囲まれた空間にモルタルやコンクリートを流し込んで巨大な擁壁を形成する。併せて、擁壁用ブロックBを二つ一組として使用している上側に位置する他の擁壁用ブロックBにおいて、表面壁部1と地盤Gの法面との隙間を埋めるようにコンクリート製、金属製や木製などの板状のパネルP2を配設して、ボルトBoを結合孔12にて止着してパネルP2を固定し、表面壁部1、地盤Gの法面及びパネルP2にて囲まれた空間に砕石STなどで埋めて完成させる。
【0023】
〔第二実施形態〕
図7に示すように、擁壁用ブロックBは、第一実施形態とおおよそ同様に、外部に露出する表面を有する表面壁部1と、前後方向が短手方向となるように略平行に表面壁部1の下部における表面とは反対側である裏面1aより突設している二つの控え壁部2が、設けられている。そして、第一実施形態と同様に、控え壁部2の上面2aに、四角錐台形状の窪み部21及び突起部22が、交互に略等間隔にそれぞれ2個設けられている。本実施形態では、第一実施形態と異なり、二つの控え壁部2の後端側に、二つの控え壁部2を繋ぐ略四角柱状の後端部3を備えている。後端部3により、運搬時における二つの控え壁部2における特に後端側における上下方向の振動などを抑制することができ、控え壁部2が表面壁部1から折れたりすることを防止することができる。後端部3の材質は、表面壁部1と二つの控え壁部2と同様にコンクリートであることが好ましいが、表面壁部1と二つの控え壁部2と異なり鋼材を用いて控え壁部2の端部に配設することもできる。そして、第一実施形態と同様に、控え壁部2の高さは、表面壁部1の上下方向の高さの略半分が好ましく、より具体的には40~60%であることが好ましく、45~55%であることがもっとも好ましい。また、本実施形態において、後端部3は、略四角柱状であるが、他の実施形態において、三角柱状、六角柱状などの角柱状としたり、円柱状などの形状としたりすることができる。さらに、本実施形態において、後端部3は、1本であるが、他の実施形態において、2本、3本などの複数本としたりすることができる。
【0024】
そして、窪み部21及び突起部22がこのように設けられていることにより、
図8に示すように、一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBを一組として用意し、一の擁壁用ブロックBに対して、他の擁壁用ブロックBを上下反転させて、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21と、他の擁壁用ブロックBの控え壁部2における突起部22を係合させることで、1つの箱型の擁壁用ブロックとして使用することができる。さらに、
図8に示すように、一組の擁壁用ブロックBとしての長さを控え壁部2の前後方向に2段階調整して変更することができる。また、図示していないが、
図8に示すように、2つの擁壁用ブロックBを一組としたときに、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21と、他の擁壁用ブロックBの控え壁部2における突起部22を係合させている数が少ないと不安定となることがあるので、積層されている一の擁壁用ブロックBの控え壁部2と他の擁壁用ブロックBの控え壁部2を貫通する細長いボルトを追加で設けることにより、積層されている一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBをしっかりと固定することもできる。
【0025】
〔第三実施形態〕
図9に示すように、擁壁用ブロックBは、第一実施形態と同様に、外部に露出する表面を有する表面壁部1と、前後方向が長手方向となるように略平行に表面壁部1の下部における表面とは反対側である裏面1aより突設している二つの控え壁部2が、設けられている。そして、第一実施形態とは異なり、
図9に示すように、側面視において、控え壁部2の上面2aの稜線がサインカーブ又はコサインカーブ或いは円弧状のように、滑らかに連続し周期性を有する曲線状となっていることから、控え壁部2の上面2aに緩やかで周期性を有する曲線状の窪み部21及び突起部22が、交互に略等間隔にそれぞれ5個設けられている。本実施形態では、第一実施形態と異なり、窪み部21及び突起部22が緩やかな曲線状となっていることから、一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBを一組として用意し、一の擁壁用ブロックBに対して、他の擁壁用ブロックBを上下反転させて、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21と、他の擁壁用ブロックBの控え壁部2における突起部22を係合させることで、1つの箱型の擁壁用ブロックとして使用することができる。そして、第一実施形態と同様に、周期性を有する曲線状の窪み部21及び突起部22の平均の高さである控え壁部2の高さは、表面壁部1の上下方向の高さの略半分が好ましく、より具体的には40~60%であることが好ましく、45~55%であることがもっとも好ましい。さらに、第一実施形態の
図4及び
図5、第二実施形態の
図7と同様に、一組の擁壁用ブロックBとしての長さを控え壁部2の前後方向に5段階調整して変更することができる。
【0026】
〔第四実施形態〕
図10に示すように、擁壁用ブロックBは、第一実施形態と同様に、外部に露出する表面を有する表面壁部1と、前後方向が長手方向となるように略平行に表面壁部1の下部における表面とは反対側である裏面1aより突設している二つの控え壁部2が、設けられている。そして、第一実施形態とは異なり、
図10に示すように、側面視において、控え壁部2の上面2aの稜線が折れ線状のように、直線がジグザグに折れ曲がり周期性を有する形状となっていることから、控え壁部2の上面2aに二等辺三角形状の波型の窪み部21及び突起部22が、交互に略等間隔にそれぞれ5個設けられている。本実施形態では、第一実施形態と異なり、窪み部21及び突起部22が二等辺三角形状の波型となっていることから、一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBを一組として用意し、一の擁壁用ブロックBに対して、他の擁壁用ブロックBを上下反転させて、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21と、他の擁壁用ブロックBの控え壁部2における突起部22を係合させることで、1つの箱型の擁壁用ブロックとして使用することができる。そして、第一実施形態と同様に、周期性を有する三角形状の窪み部21及び突起部22の平均の高さである控え壁部2の高さは、表面壁部1の上下方向の高さの略半分が好ましく、より具体的には40~60%であることが好ましく、45~55%であることがもっとも好ましい。さらに、第一実施形態の
図4及び
図5、第二実施形態の
図7と同様に、一組の擁壁用ブロックBとしての長さを控え壁部2の前後方向に5段階調整して変更することができる。本実施形態において、窪み部21及び突起部22は、
図9に示すように、側面視において二等辺三角形状の波型であるが、他の実施形態において、対向する窪み部21と突起部22が係合することできる限りにおいて、側面視において、直角三角形状や四角形状とすることもできる。
【0027】
〔第五実施形態〕
図11に示すように、擁壁用ブロックBは、第一実施形態と同様に、外部に露出する表面を有する表面壁部1と、前後方向が長手方向となるように略平行に表面壁部1の上部における表面とは反対側である裏面1aより突設している二つの控え壁部2が、設けられている。そして、第一実施形態とは異なり、二つの控え壁部2の下面2bに、それぞれ四角錐台形状の窪み部21及び突起部22が、交互に略等間隔にそれぞれ3個設けられている。本実施形態では、第一実施形態とは異なり、二つの控え壁部2の下面2bに、窪み部21及び突起部22が設けられているが、一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBを一組として用意し、一の擁壁用ブロックBに対して、他の擁壁用ブロックBを上下反転させて、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21と、他の擁壁用ブロックBの控え壁部2における突起部22を係合させることで、第一実施形態と同様に1つの箱型の擁壁用ブロックとして使用することができる。そして、第一実施形態と同様に、控え壁部2の高さは、表面壁部1の上下方向の高さの略半分が好ましく、より具体的には40~60%であることが好ましく、45~55%であることがもっとも好ましい。さらに、第一実施形態の
図4及び
図5、第二実施形態の
図7と同様に、一組の擁壁用ブロックBとしての長さを控え壁部2の前後方向に3段階調整して変更することができる。なお、本実施形態において、窪み部21及び突起部22は、控え壁部2の下面2bに設けられているが、さらに他の実施形態において、表面壁部1の上下方向の中間部の裏面1aより突設している控え壁部2の上面2a及び下面2bの両方に設けることもできる。
【0028】
〔第六実施形態〕
図12に示すように、擁壁用ブロックBは、第一実施形態と同様に、外部に露出する表面を有する表面壁部1と、前後方向が長手方向となるように略平行に表面壁部1の下部における表面とは反対側である裏面1aより突設している二つの控え壁部2が、設けられている。そして、第一実施形態とは異なり、二つの控え壁部2の上面2aに、それぞれ5個の四角柱形状の窪み部21及び控え壁部2の後端側に1個の四角柱形状の突起部22が、略等間隔に設けられている。すなわち、5個の窪み部21及び1個の突起部22において、1個の突起部22が最も後端側に位置しており、5個の窪み部21が、突起部22と表面壁部1の間に位置している。本実施形態では、第一実施形態とは異なり、二つの控え壁部2の上面2aに、5個の窪み部21及び1個の突起部22が設けられていることから、一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBを一組として用意し、一の擁壁用ブロックBに対して、他の擁壁用ブロックBを上下反転させて、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21と、他の擁壁用ブロックBの控え壁部2における突起部22を係合させることで、第一実施形態と同様に1つの箱型の擁壁用ブロックとして使用することができる。そして、第一実施形態と同様に、控え壁部2の高さは、表面壁部1の上下方向の高さの略半分が好ましく、より具体的には40~60%であることが好ましく、45~55%であることがもっとも好ましい。さらに、第一実施形態の
図4及び
図5、第二実施形態の
図7と同様に、一組の擁壁用ブロックBとしての長さを控え壁部2の前後方向に5段階調整して変更することができる。そして、本実施形態において、窪み部21及び突起部22が、略等間隔に設けられているが、突起部22が一つしかないことから、他の実施形態において、一の窪み部21と他の窪み部21の間隔や一の窪み部21と突起部22の間隔が異なる不等間隔とすることもできる。また、本実施形態において、5個の窪み部21及び1個の突起部22において、1個の突起部22が最も後端側に位置しているが、他の実施形態において、1個の突起部22が最も後端側から2番目など必ずしも最も後端側に位置していなくてもよい。
【0029】
〔第七実施形態〕
図13に示すように、擁壁用ブロックBは、第一実施形態と同様に、外部に露出する表面を有する表面壁部1と、前後方向が長手方向となるように略平行に表面壁部1の下部における表面とは反対側である裏面1aより突設している二つの控え壁部2などが、設けられている。そして、第一実施形態とは異なり、二つの控え壁部2の上面2aに、それぞれ5個の円錐台形状の窪み部21及び5個の円錐台形状の突起部22が、それぞれ隣接して設けられている。すなわち、1個の窪み部21及び1個の突起部22が一組として隣接して設けられており、それが5組設けられている。本実施形態では、第一実施形態とは異なり、二つの控え壁部2の上面2aに、隣接した窪み部21及び突起部22が五組が設けられていることから、一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBを一組として用意し、一の擁壁用ブロックBに対して、他の擁壁用ブロックBを上下反転させて、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21と、他の擁壁用ブロックBの控え壁部2における突起部22をより強固に係合させることで、第一実施形態と同様に1つの箱型の擁壁用ブロックとして使用することができる。そして、第一実施形態と同様に、控え壁部2の高さは、表面壁部1の上下方向の高さの略半分が好ましく、より具体的には40~60%であることが好ましく、45~55%であることがもっとも好ましい。さらに、第一実施形態の
図4及び
図5、第二実施形態の
図7と同様に、一組の擁壁用ブロックBとしての長さを控え壁部2の前後方向に5段階調整して変更することができる。そして、本実施形態において、一組の窪み部21及び突起部22が、所定の間隔で隣接して設けられているが、他の実施形態において、一組の窪み部21及び突起部22の間隔を変えることもできるし、窪み部21及び突起部22の個数を変えることもできる。
【0030】
〔第八実施形態〕
図14に示すように、擁壁用ブロックBは、第一実施形態と同様に、外部に露出する表面を有する表面壁部1と、前後方向が長手方向となるように略平行に表面壁部1の下部における表面とは反対側である裏面1aより突設している二つの控え壁部2などが、設けられている。そして、第一実施形態とは異なり、二つの控え壁部2の上面2aに、それぞれ5個の円錐台形状の窪み部21が、略等間隔に設けられており、それらの窪み部21に着脱可能に係合可能であり二つの円錐台を底面で結合したような形状の係合ピン4が少なくとも1個設けられている。すなわち、5個の窪み部21の少なくとも1個に、係合ピン4が係合されることにより、壁部2の上面2aより露出する係合ピン4の一部が突起部22として形成されることとなる。このように、突起部22は、他の第一実施形態から第七実施形態のように、控え壁部2に一体的に形成されている必要はなく、本実施形態のように控え壁部2とは別部材として設けることもできる。本実施形態では、第一実施形態とは異なり、二つの控え壁部2の上面2aに、5個の窪み部21及び1個の係合ピン4が設けられていることから、一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBを一組として用意し、一の擁壁用ブロックBに対して、他の擁壁用ブロックBを上下反転させて、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21に係合ピン4を係合して形成された突起部22と、他の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21を係合させることで、第一実施形態と同様に1つの箱型の擁壁用ブロックとして使用することができる。そして、第一実施形態と同様に、控え壁部2の高さは、表面壁部1の上下方向の高さの略半分が好ましく、より具体的には40~60%であることが好ましく、45~55%であることがもっとも好ましい。さらに、第一実施形態の
図4及び
図5、第二実施形態の
図7と同様に、一組の擁壁用ブロックBとしての長さを控え壁部2の前後方向に5段階調整して変更することができる。そして、本実施形態において、窪み部21が、5個設けられているが、他の実施形態において、5個以外の複数個設けることもできる。
【0031】
〔第九実施形態〕
図15に示すように、擁壁用ブロックBは、第一実施形態とおおよそ同様に、外部に露出する表面を有する表面壁部1と、前後方向が長手方向となるように略平行に表面壁部1の下部における表面とは反対側である裏面1aより突設している二つの控え壁部2が、設けられている。そして、第一実施形態と同様に、控え壁部2の上面2aに、四角錐台形状の突起部22が所定間隔で20個設けられており、窪み部21はそれらの突起部22の隙間及び表面壁部1の裏面1aと裏面1aに最も近い突起22の隙間として相対的に窪んで20個形成されている。そして、第一実施形態と同様に、控え壁部2の高さH2は、表面壁部1の上下方向の高さH1の略半分が好ましく、より具体的には40~60%であることが好ましく、45~55%であることがもっとも好ましい。そして、窪み部21及び突起部22は、一の控え壁部2の上面2aの左右方向である幅方向において、他の控え壁2と近い側である内側に形成されており、他の控え壁2と遠い側である外側には形成されていない。具体的には、窪み部21及び突起部22は、一の控え壁部2の上面2aの左右方向である幅方向において、内側方向の80~90%の範囲に設けられており外側方向の10~20%に設けられていない。このように、窪み部21及び突起部22が上面2aの外側に設けられない箇所を有することで、
図4及び
図5と同様に、一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBを一組として用意し、一の擁壁用ブロックBに対して、他の擁壁用ブロックBを上下反転させて、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21と、他の擁壁用ブロックBの控え壁部2における突起部22を係合させてから、内側に空洞にモルタル等を注入したとき、係合した窪み部21及び突起部22から少しモルタル等が漏れ出したとしても、見栄えが悪くなったりなどしないように、控え壁部2の上面2aにとどまり控え壁部2の側面に流れ落ちないようにしている。
【0032】
そして、窪み部21及び突起部22がこのように設けられていることにより、
図3及び
図4と同様に、一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBを一組として用意し、一の擁壁用ブロックBに対して、他の擁壁用ブロックBを上下反転させて、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21と、他の擁壁用ブロックBの控え壁部2における突起部22を係合させることで、1つの箱型の擁壁用ブロックとして使用することができる。さらに、
図4、
図5と同様に、一組の擁壁用ブロックBとしての長さを控え壁部2の前後方向に複数階調整して変更することができる。また、図示していないが、
図4や
図5と同様に、2つの擁壁用ブロックBを一組としたときに、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における窪み部21と、他の擁壁用ブロックBの控え壁部2における突起部22を係合させている数が少ないと不安定となることがあるので、積層されている一の擁壁用ブロックBの控え壁部2と他の擁壁用ブロックBの控え壁部2を貫通する細長いボルトを追加で設けることにより、積層されている一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBをしっかりと固定することもできる。そして、本実施形態において、窪み部21及び突起部22は、四角柱台状の形状を有しているが、他の実施形態において、互いに係合することができる凹凸状である限りにおいて、円錐台状、角錐状、円錐状、角柱状、円柱状、略半円柱状、略半球状とすることができる。
【0033】
〔第十実施形態〕
図16に示すように、擁壁用ブロックBは、第一実施形態と同様に、外部に露出する表面を有する表面壁部1と、前後方向が長手方向となるように略平行に表面壁部1の下部における表面とは反対側である裏面1aより突設している二つの控え壁部2などが、設けられている。そして、第一実施形態などとは異なり、二つの控え壁部2の上面2a及び下面2bのいずれにも、窪み部21及び突起部22が形成されていない。本実施形態では、第一実施形態から第八実施形態とは異なり、二つの控え壁部2の上面2a及び下面2bのいずれにも、窪み部21及び突起部22が形成されていないが、一の擁壁用ブロックBと他の擁壁用ブロックBを一組として用意し、一の擁壁用ブロックBに対して、他の擁壁用ブロックBを上下反転させて、一の擁壁用ブロックBの控え壁部2における上面2a同士を当接させることで、第一実施形態と同様に1つの箱型の擁壁用ブロックとして使用することができる。第一実施形態から第八実施形態に示されるような窪み部21と突起部22による係合の力ほどはではないが、本実施形態の擁壁用ブロックBでは、上面2a同士の摩擦力より、一組の擁壁用ブロックBの位置がずれにくくなっている。そして、第一実施形態と同様に、控え壁部2の高さは、表面壁部1の上下方向の高さの略半分が好ましく、より具体的には40~60%であることが好ましく、45~55%であることがもっとも好ましい。さらに、第一実施形態の
図4及び
図5、第二実施形態の
図7とは異なり、一組の擁壁用ブロックBとしての長さを控え壁部2の前後方向に連続的に無限段階調整して変更することができる。
【符号の説明】
【0034】
1・・・表面壁部
1a・・・裏面
11・・・係合穴
12・・・結合穴
2・・・控え壁部
2a・・・上面
2b・・・下面
21・・・窪み部
22・・・突起部
23・・・挿入孔
3・・・後端部
4・・・係合ピン
B・・・擁壁用ブロック
P1,P2・・・パネル
ST・・・砕石
G・・・地盤