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  • 特開-積層鉄心の製造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031574
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】積層鉄心の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/22 20060101AFI20250228BHJP
   B21D 28/02 20060101ALI20250228BHJP
   H02K 15/02 20250101ALI20250228BHJP
【FI】
B21D43/22 D
B21D28/02 C
B21D28/02 D
H02K15/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024122461
(22)【出願日】2024-07-29
(62)【分割の表示】P 2023136883の分割
【原出願日】2023-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000128175
【氏名又は名称】株式会社エフ・シー・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】北村 直正
(72)【発明者】
【氏名】宮野 直人
(72)【発明者】
【氏名】上田 展行
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB01
5H615PP06
5H615SS03
5H615SS05
5H615SS10
5H615SS19
(57)【要約】
【課題】金属板を打ち抜いて鉄心部材を形成するときに適切な背圧を付与すると共に、載置台に載置された鉄心部材の突き上げを抑制すること。
【解決手段】製造装置10は、下型20と、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成する外形打ち抜き用パンチ45を有する上型40と、鉄心部材5が順次載置される載置台30を昇降可能に支持する支持部材32と、載置台30を昇降させる昇降用モータ36と、昇降用モータ36を制御する制御装置90と、を備え、制御装置90は、金属板Wを打ち抜かないときには昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクに設定し、かつ、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときには昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクよりも高い第2の出力トルクに設定し、かつ、第1の出力トルクと第2の出力トルクとの差を変更可能に構成されたトルク制御部94を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鉄心部材が積層されて相互に結合された積層鉄心の製造装置であって、
ダイ穴が形成されたダイを有する下型と、
前記ダイ穴に対応するパンチであって、帯状の金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するパンチを有する上型と、
昇降可能に設けられ、かつ、形成された前記鉄心部材が順次載置される載置台と、
前記載置台を昇降可能に支持する支持部材と、
前記支持部材を介して前記載置台を昇降させる昇降用モータと、
前記上型および前記昇降用モータを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記パンチによって前記金属板を打ち抜かないときには前記載置台による前記鉄心部材の突き上げを抑制するように前記昇降用モータの出力トルクを第1の出力トルクに設定し、かつ、前記パンチによって前記金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するときには前記載置台によって前記鉄心部材に背圧を付与するように前記昇降用モータの前記出力トルクを前記第1の出力トルクよりも高い第2の出力トルクに設定し、かつ、前記第1の出力トルクを変更可能に構成されたトルク制御部を備えている、製造装置。
【請求項2】
前記トルク制御部は、前記金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するときの前記パンチから前記載置台に加わる荷重に応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
前記トルク制御部は、前記金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するときの前記パンチから前記載置台に加わる荷重が小さいほど、前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項2に記載の製造装置。
【請求項4】
前記トルク制御部は、前記パンチの下面が下死点から前記下死点と上死点との中間点に到達するまでの間に、前記昇降用モータの前記出力トルクを前記第2の出力トルクから前記第1の出力トルクに変更するように構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項5】
前記トルク制御部は、前記パンチの前記下面が前記下死点から上昇を開始したときに、前記昇降用モータの前記出力トルクを前記第2の出力トルクから前記第1の出力トルクに変更する、請求項4に記載の製造装置。
【請求項6】
前記トルク制御部は、前記鉄心部材の厚みに応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項7】
前記トルク制御部は、前記鉄心部材の厚みが薄いほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項6に記載の製造装置。
【請求項8】
前記トルク制御部は、前記鉄心部材の外径に応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項9】
前記トルク制御部は、前記鉄心部材の外径が小さいほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項8に記載の製造装置。
【請求項10】
前記積層鉄心は、積層された前記鉄心部材同士がかしめによって相互に結合されており、
前記トルク制御部は、1枚の前記鉄心部材をかしめるときのかしめ部分の数に応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項11】
前記トルク制御部は、前記かしめ部分の数が少ないほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項10に記載の製造装置。
【請求項12】
前記積層鉄心は、積層された前記鉄心部材同士が接着によって相互に結合されており、
前記トルク制御部は、1枚の前記鉄心部材を接着するときの接着箇所の数に応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項13】
前記トルク制御部は、前記接着箇所の数が少ないほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項12に記載の製造装置。
【請求項14】
前記ダイの下方に配置され、かつ、形成された前記鉄心部材を側方から保持し、かつ、前記鉄心部材に側圧を付与するスクイズリングを備え、
前記トルク制御部は、前記スクイズリングによって前記鉄心部材に付与される前記側圧に応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項15】
前記トルク制御部は、前記側圧が小さいほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項14に記載の製造装置。
【請求項16】
前記ダイの下方に配置され、かつ、形成された前記鉄心部材を側方から保持し、かつ、前記鉄心部材に側圧を付与するスクイズリングを備え、
前記トルク制御部は、前記スクイズリングによって前記鉄心部材に付与される前記側圧によって生じた前記鉄心部材の反りに応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項17】
前記トルク制御部は、前記鉄心部材の前記反りが小さいほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項16に記載の製造装置。
【請求項18】
前記トルク制御部は、前記パンチによって前記金属板を打ち抜くときの前記金属板のせん断抵抗に応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項19】
前記トルク制御部は、前記金属板の前記せん断抵抗が小さいほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項18に記載の製造装置。
【請求項20】
前記トルク制御部は、前記鉄心部材の1枚当たりの重量に応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項21】
前記トルク制御部は、前記鉄心部材の1枚当たりの重量が軽いほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項20に記載の製造装置。
【請求項22】
前記トルク制御部は、1つの前記第2の出力トルクを設定するように構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層鉄心の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ等に用いられる積層鉄心は、帯状の金属板(例えば帯状の鋼板)を所定の形状に打ち抜いて鉄心部材(コア)を形成し、形成された鉄心部材を積層して一体化することによって形成されている。例えば、かしめ、溶接、または、接着等によって、鉄心部材を積層して一体化することによって積層鉄心が形成されている。例えば、特許文献1には、接着剤を用いて複数の鉄心部材を積層し、相互に接着された積層鉄心を製造する製造装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献1の製造装置は、鉄心部材が順次載置される受け台と、受け台の昇降動作を行う昇降用モータと、昇降用モータの回転動作を制御する制御装置と、を備えている。そして、積層鉄心の積層をより効果的に実施するために、鉄心部材の打ち抜き時には、昇降用モータのトルク制限値を「高」に設定し、積層鉄心が順次積層される受け台によって上向きの圧力(背圧)を付与するとともに、鉄心部材の非打ち抜き時には、受け台によって鉄心部材が突き上げられてしまうことを抑制するために、昇降用モータのトルク制限値を「低」に設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5859715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、昇降用モータの出力トルクの設定が適切でない場合には、十分な背圧を付与することができないことによって鉄心部材の打ち抜きや鉄心部材の積層が適切に行われなかったり、受け台によって鉄心部材が突き上げられたりする虞がある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属板を打ち抜いて鉄心部材を形成するときに適切な背圧を付与すると共に、載置台に載置された鉄心部材の突き上げを抑制することができる積層鉄心の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る積層鉄心の製造装置は、複数の鉄心部材が積層されて相互に結合された積層鉄心の製造装置であって、ダイ穴が形成されたダイを有する下型と、前記ダイ穴に対応するパンチであって、帯状の金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するパンチを有する上型と、昇降可能に設けられ、かつ、形成された前記鉄心部材が順次載置される載置台と、前記載置台を昇降可能に支持する支持部材と、前記支持部材を介して前記載置台を昇降させる昇降用モータと、前記上型および前記昇降用モータを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記パンチによって前記金属板を打ち抜かないときには前記載置台による前記鉄心部材の突き上げを抑制するように前記昇降用モータの出力トルクを第1の出力トルクに設定し、かつ、前記パンチによって前記金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するときには前記載置台によって前記鉄心部材に背圧を付与するように前記昇降用モータの前記出力トルクを前記第1の出力トルクよりも高い第2の出力トルクに設定し、かつ、前記第1の出力トルクと前記第2の出力トルクとの差を変更可能に構成されたトルク制御部を備えている。
【0008】
本発明に係る積層鉄心の製造装置によると、トルク制御部は、第1の出力トルクと第2の出力トルクとの差を変更可能に構成されている。上記態様によれば、金属板および形成される鉄心部材に応じて、第1の出力トルクおよび第2の出力トルクを適切に設定することができる。このため、載置台に載置された鉄心部材の突き上げの発生を抑制しつつ、金属板を打ち抜いて鉄心部材を形成するときに適切な背圧を付与することができる。
【0009】
また、本発明に係る他の積層鉄心の製造装置は、複数の鉄心部材が積層されて相互に結合された積層鉄心の製造装置であって、ダイ穴が形成されたダイを有する下型と、前記ダイ穴に対応するパンチであって、帯状の金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するパンチを有する上型と、昇降可能に設けられ、かつ、形成された前記鉄心部材が順次載置される載置台と、前記載置台を昇降可能に支持する支持部材と、前記支持部材を介して前記載置台を昇降させる昇降用モータと、前記上型および前記昇降用モータを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記パンチによって前記金属板を打ち抜かないときには前記載置台による前記鉄心部材の突き上げを抑制するように前記昇降用モータの出力トルクを第1の出力トルクに設定し、かつ、前記パンチによって前記金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するときには前記載置台によって前記鉄心部材に背圧を付与するように前記昇降用モータの前記出力トルクを前記第1の出力トルクよりも高い第2の出力トルクに設定し、かつ、前記第1の出力トルクを変更可能に構成されたトルク制御部を備えている。
【0010】
本発明に係る他の積層鉄心の製造装置によると、トルク制御部は、第1の出力トルクを変更可能に構成されている。上記態様によれば、金属板および形成される鉄心部材に応じて、第1の出力トルクを適切に設定することができる。このため、載置台に載置された鉄心部材の突き上げの発生をより確実に抑制することができる。また、第2の出力トルクを適宜設定することによって、金属板を打ち抜いて鉄心部材を形成するときに適切な背圧を付与することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金属板を打ち抜いて鉄心部材を形成するときに適切な背圧を付与すると共に、載置台に載置された鉄心部材の突き上げを抑制することができる積層鉄心の製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る積層鉄心の製造装置の一部を示す断面図である。
図2図2は、一実施形態に係る上型の上下方向の位置と載置台の位置および昇降用モータの出力トルクとの関係を示すグラフの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る積層鉄心の製造装置の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の積層鉄心の製造装置10(以下製造装置10とする)は、複数の鉄心部材5が積層されて相互に結合された積層鉄心8を製造する。製造装置10は、順送型のプレス金型である。製造装置10において、帯状の金属板Wが順送り方向Dに間欠搬送される。帯状の金属板Wは、例えば、コイル材(帯状薄鋼板)である。製造装置10は、下型20と、上型40と、ストリッパプレート60と、制御装置90と、を備えている。
【0015】
下型20は、床面に固定される。図1に示すように、下型20には、外形打ち抜きステージ25が設けられている。外形打ち抜きステージ25は、後述するダイプレート22と、ダイ23と、外形打ち抜き用ダイ穴26と、スクイズリング27と、外形打ち抜き用パンチ45とを含む。外形打ち抜き用ダイ穴26は、ダイ穴の一例である。外形打ち抜き用パンチ45は、パンチの一例である。
【0016】
下型20は、下型本体21と、ダイプレート22と、ダイ23とを有する。ダイプレート22およびダイ23は、下型本体21上に載置されている。ダイプレート22は、ダイ23を保持する。ダイ23は、外形打ち抜きステージ25を含む。ダイ23には、外形打ち抜き用ダイ穴26が形成されている。ダイプレート22の上面22Tとダイ23の上面23Tとは同じ高さに位置する。
【0017】
図1に示すように、スクイズリング27は、ダイ23の下方に配置されている。スクイズリング27は、形成された鉄心部材5を側方から保持する。スクイズリング27は、積層された鉄心部材5に側圧(即ち締め付け力)を付与する。スクイズリング27は、後述する外形打ち抜き用パンチ45によって外形打ち抜き用ダイ穴26内に打ち抜かれた鉄心部材5を所定の側圧をもって保持する。
【0018】
帯状の金属板Wは、製造装置10の近傍に設けられた搬送装置(図示せず)によって、下型20に間欠搬送される。帯状の金属板Wは、外形打ち抜きステージ25に間欠搬送される。搬送装置は、巻かれた状態で帯状の金属板Wを保持する。搬送装置の図示しない巻き出し装置によって帯状の金属板Wは下型20に搬送され、プレス加工された帯状の金属板Wの端材は、搬送装置の図示しない巻取り装置によって下型20から搬送されて、巻取り装置に巻き取られる。なお、搬送装置の巻き出し装置および巻取り装置に代えて、製造装置10の上流側および下流側にそれぞれ配置した上下一対の回転ロールに帯状の金属板Wを挟んで搬送してもよい。
【0019】
図1に示すように、製造装置10は、載置台30と、支持部材32と、昇降用モータ36と、を備えている。載置台30は、昇降可能に設けられている。載置台30には、形成された鉄心部材5が順次載置される。載置台30は、鉄心部材5が載置される載置面30Fを有する。載置面30Fは、ダイ23およびスクイズリング27の内方に位置し得る。載置面30F上において、積層鉄心8が製造される。
【0020】
図1に示すように、支持部材32は、載置台30を昇降可能に支持する。支持部材32は、支持軸33と、ボールねじ35とを備えている。支持軸33は、上下方向Zに延びる。支持軸33の上端は、載置台30の下端に接続されている。支持軸33は、載置台30を支持する。支持軸33の下端は、ボールねじ35の後述するナット35Aに接続されている。ボールねじ35は、ナット35Aおよびねじ軸35Bを備えている。ナット35Aは、ねじ軸35Bに螺合している。ねじ軸35Bは、昇降用モータ36の回転軸に接続している。昇降用モータ36が回転してねじ軸35Bが回転することによって、ナット35Aが昇降する。これにより、載置台30も昇降する。
【0021】
図1に示すように、昇降用モータ36は、支持部材32を介して載置台30を昇降させる。昇降用モータ36としては、例えば、サーボモータやステッピングモータ等が挙げられる。昇降用モータ36は、制御装置90に制御される。昇降用モータ36は、支持部材32および載置台30を介して載置面30Fに載置された鉄心部材5を上方に向けて押圧可能に構成されている。これにより、鉄心部材5に背圧が付与される。後述するように、載置台30に載置された鉄心部材5には、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクとすることによる背圧と、昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクとすることによる背圧とが付与され得る。なお、第1の出力トルクとすることによって鉄心部材5に付与される背圧は、スクイズリング27によって鉄心部材5に付与される側圧よりも小さい。これにより、鉄心部材5の突き上げを抑制することができる。
【0022】
図1に示すように、製造装置10は、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときの外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に加わる荷重を検出するセンサ38を備えている。センサ38は、載置台30に設けられている。センサ38は、制御装置90に接続されている。センサ38は、例えば、圧力センサである。なお、センサ38は、外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に加わる荷重を直接的に検出しているが、他の方法により上記荷重を間接的に検出するセンサであってもよい。
【0023】
図1に示すように、上型40は、下型20の上方に配置されている。上型40は、昇降可能(上下方向Zに移動可能)に構成されている。上型40は、下型20に接近および離隔可能に構成されている。上型40は、外形打ち抜き用ダイ穴26に対応する外形打ち抜き用パンチ45を有する。上型40と外形打ち抜き用パンチ45とは一体となって昇降する。外形打ち抜き用パンチ45は、外形打ち抜き用ダイ穴26の上方に位置する。外形打ち抜き用パンチ45は、外形打ち抜き用ダイ穴26に挿通可能に構成されている。外形打ち抜きステージ25において、上型40が下降して下型20に近接した後、外形打ち抜き用パンチ45および外形打ち抜き用ダイ穴26によって、帯状の金属板Wが打ち抜かれる。これにより、帯状の金属板Wに鉄心部材5の外形が形成されて鉄心部材5が完成し、鉄心部材5は載置台30に順次積層される。帯状の金属板Wが打ち抜かれるときには、後述するように昇降用モータ36の出力トルクが第2の出力トルクに変更され、鉄心部材5に背圧が付与される。ここでは、積層された鉄心部材5はかしめによって相互に結合される。例えば、上下方向Zに積層された2枚の鉄心部材5にそれぞれ形成されたかしめ部分(結合部分)をかしめによって相互に結合させることを繰り返し行うことによって、積層鉄心8が形成される。
【0024】
図1に示すように、ストリッパプレート60は、上型40に設けられている。ストリッパプレート60は、下型20のダイプレート22に対向する位置に配置されている。ストリッパプレート60は、上型40と共に上下方向Zに移動可能に構成されている。ストリッパプレート60は、最も下方の位置である最下降位置(図示せず)まで下方に移動可能に構成されている。ストリッパプレート60は、外形打ち抜き用パンチ45によって帯状の金属板Wを打ち抜く際に、最下降位置において金属板Wが上下方向Zに移動することを規制する。ストリッパプレート60は、最下降位置まで移動した際に、間欠搬送される帯状の金属板Wを下型20(ここではダイプレート22およびダイ23)に押さえ付けて下型20(ここではダイプレート22およびダイ23)と共に帯状の金属板Wを挟持可能に構成されている。ストリッパプレート60は、帯状の金属板Wをダイプレート22の上面22Tおよびダイ23の上面23Tに押さえ付ける。ストリッパプレート60には、外形打ち抜き用パンチ45が挿通されるパンチ挿通孔60Aが形成されている。上型40が下降して、ストリッパプレート60が帯状の金属板Wをダイプレート22に押さえ付けた状態で、さらに上型40が下降すると、パンチ挿通孔60Aから外形打ち抜き用パンチ45が突出し、外形打ち抜き用パンチ45は外形打ち抜き用ダイ穴26に挿通される。
【0025】
図2は、上死点に位置する上型40が下死点を通過して再び上死点に戻るまでの1サイクルにおいて、上型40の上下方向Zの位置と載置台30の上下方向Zの位置および昇降用モータ36の出力トルクとの関係を示すグラフの一例である。なお、上型40の上下方向Zの位置と載置台30の上下方向Zの位置および昇降用モータ36の出力トルクとの関係は図2に示すものに限定されない。図2の縦軸は上型40の上下方向Zの位置および載置台30の上下方向Zの位置を示し、図2の横軸は上型40の角度(クランク角)を示す。また、図1において、上型40の上下方向Zの位置を実線で示し、昇降用モータ36の出力トルクを一点鎖線で示し、載置台30の上下方向Zの位置を二点鎖線で示す。
【0026】
図2に示すように、上型40が上死点に位置するタイミングT0のとき、帯状の金属板Wは順送り方向D(図1参照)に搬送されている。このとき、昇降用モータ36の出力トルクは後述するトルク制御部94によって第1の出力トルクに設定されている。上型40が下方に移動してタイミングT1で上死点と下死点との中間点を通過し、タイミングT2に達すると、帯状の金属板Wの搬送が完了する。即ち、タイミングT2から後述するタイミングT9までの間は、帯状の金属板Wの搬送は停止している。上型40がさらに下方に移動してタイミングT3に達すると、ストリッパプレート60が金属板Wに接触する。上型40がさらに下方に移動してタイミングT4に達すると、外形打ち抜き用パンチ45によって、金属板Wの打ち抜きが開始される。即ち、外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bが金属板Wの上面WT(図1参照)に接触する。図2に示す例では、タイミングT4において、昇降用モータ36の出力トルクはトルク制御部94によって第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更されている。上型40がさらに下方に移動してタイミングT5に達すると、金属板Wが打ち抜かれて形成された鉄心部材5が下方に落下し始める。そして、タイミングT6では、打ち抜かれて落下した鉄心部材5が載置台30に載置された鉄心部材5の上面5Tに当接する。上型40がさらに下方に移動してタイミングT7に達すると、外形打ち抜き用パンチ45によって、形成された鉄心部材5と積層された鉄心部材5とがかしめられて相互に結合される。また、タイミングT7では、上型40は下死点に位置する。図2に示す例では、タイミングT7において、昇降用モータ36の出力トルクはトルク制御部94によって第2の出力トルクから第1の出力トルクに変更されている。ここでは、トルク制御部94は、タイミングT4からタイミングT7までの間は昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクに保持し、タイミングT7からタイミングT0を経過してタイミングT4までの間は昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクを保持する。そして、上型40は上方に向けて移動を開始する。上型40が下死点から上方に移動してタイミングT8に達すると、ストリッパプレート60による金属板Wの押さえ付けが完了する。上型40がさらに上方に移動してタイミングT9に達すると、帯状の金属板Wの搬送が開始される。即ち、タイミングT9からタイミングT0を経過してタイミングT2までの間は、帯状の金属板Wは順送り方向Dに搬送されている。そして、上型40は上方に移動してタイミングT10で中間点を通過し、タイミングT0で上死点に到達する。このように、上型40が繰り返し下降および上昇すること(即ち外形打ち抜き用パンチ45が繰り返し下降および上昇すること)によって、予め設定した厚みを有する積層した積層鉄心8を製造することができる。積層鉄心8が製造されると、昇降用モータ36を駆動して載置台30を下降させた後、図示しないプッシャーによって積層鉄心8を製造装置10から外部に排出する。なお、上型40が上死点に位置するときには外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bは上死点に位置し、上型40が中間点に位置するときには外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bは中間点に位置し、上型40が下死点に位置するときには外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bは下死点に位置する。
【0027】
図1に示すように、制御装置90は、上型40および昇降用モータ36を制御する。制御装置90は、例えば、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROMと、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAMと、上記プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置とを備えている。制御装置90は、上型制御部92と、トルク制御部94とを有する。制御装置90の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えば、インターネットを通じてダウンロードされるものである。なお、このプログラムは、例えばCDやDVDなどの記録媒体から読み込まれてもよい。また、制御装置90の各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。
【0028】
上型制御部92は、上型40の昇降移動(上下方向Zの移動)を制御する。本実施形態では、上型制御部92は、上型40を上下方向Zに移動させることによって、外形打ち抜き用パンチ45およびストリッパプレート60の上下方向Zの移動を制御する。上型制御部92は、上型40の下型20への接近および下型20からの離隔を制御する。
【0029】
トルク制御部94は、昇降用モータ36を制御する。トルク制御部94は、昇降用モータ36を制御することによって、載置台30の昇降移動(上下方向Zの移動)を制御する。トルク制御部94は、昇降用モータ36の出力トルクを制御する。トルク制御部94は、昇降用モータ36の出力トルクを変更可能に設けられている。出力トルクが変更されることによって、鉄心部材5に付与される背圧が変更される。トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45によって金属板Wを打ち抜かないときには載置台30による鉄心部材5の突き上げを抑制するように昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクに設定する。トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45によって金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときには載置台30によって鉄心部材5に背圧を付与するように昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクよりも高い第2の出力トルクに設定する。第1の出力トルクおよび第2の出力トルクは、打ち抜き工程時(金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成する工程時。例えば上型40が昇降しているとき。)における昇降用モータ36の出力トルクである。即ち、載置台30に形成された積層鉄心8を製造装置10の外部に搬出するときや、載置台30を初期位置に移動させるときの昇降用モータ36の出力トルクは第1の出力トルクおよび第2の出力トルクに含まれない。
【0030】
トルク制御部94は、第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、第1の出力トルクを一定に保持可能に構成されていてもよい。即ち、トルク制御部94は、第1の出力トルクを変更不能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。例えば、第2の出力トルクの変更量は、第1の出力トルクの変更量よりも大きい。トルク制御部94は、第1の出力トルクと第2の出力トルクとの差を変更可能に構成されていてもよい。
【0031】
トルク制御部94は、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときの外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に加わる荷重に応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときの外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に加わる荷重が小さいほど、第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。
【0032】
トルク制御部94は、鉄心部材5の厚みに応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、鉄心部材5の厚みが薄いほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。
【0033】
トルク制御部94は、鉄心部材5の外径に応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、鉄心部材5の外径が小さいほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。
【0034】
トルク制御部94は、1枚の鉄心部材5をかしめるときのかしめ部分の数に応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。1枚の鉄心部材5をかしめるとは、載置台30に既に載置された鉄心部材5上に、金属板Wを打ち抜いて形成された鉄心部材5を積層してかしめることである。トルク制御部94は、かしめ部分の数が少ないほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。
【0035】
トルク制御部94は、スクイズリング27によって鉄心部材5に付与される側圧に応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、側圧が小さいほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。
【0036】
トルク制御部94は、スクイズリング27によって鉄心部材5に付与される側圧によって生じた鉄心部材5の反りに応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、鉄心部材5の反りが小さいほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。
【0037】
トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45によって金属板Wを打ち抜くときの金属板Wのせん断抵抗に応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、金属板Wのせん断抵抗が小さいほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。
【0038】
トルク制御部94は、鉄心部材5の1枚当たりの重量に応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、鉄心部材5の1枚当たりの重量が軽いほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。
【0039】
トルク制御部94は、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときの外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に加わる荷重に応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときの外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に加わる荷重が大きいほど、第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。
【0040】
トルク制御部94は、センサ38によって検出された荷重に基づいて第2の出力トルクを変更するように構成されていてもよい。トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bが金属板Wの上面WTに接触する前(例えば図2のタイミングT4より前)に、外形打ち抜き用パンチ45によって検出された荷重に基づいて第2の出力トルクを変更するように構成されていてもよい。即ち、トルク制御部94は、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成する前に、先に鉄心部材5を形成したときの荷重に基づいて後に形成する鉄心部材5の第2の出力トルクを変更するように構成されていてもよい。トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45によって金属板Wを打ち抜いている途中(例えば図2のタイミングT4~タイミングT5)に、センサ38によって検出された荷重に基づいて第2の出力トルクを変更するように構成されていてもよい。即ち、トルク制御部94は、金属板Wを打ち抜いている途中に、先に鉄心部材5を形成したときの荷重に基づいて後に形成する鉄心部材5の第2の出力トルクを変更するように構成されていてもよい。
【0041】
トルク制御部94は、鉄心部材5の厚みに応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、鉄心部材5の厚みが厚いほど第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。
【0042】
トルク制御部94は、鉄心部材5の外径に応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、鉄心部材5の外径が大きいほど第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。
【0043】
トルク制御部94は、1枚の鉄心部材5をかしめるときのかしめ部分の数に応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、かしめ部分の数が多いほど第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。
【0044】
トルク制御部94は、スクイズリング27によって鉄心部材5に付与される側圧に応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、側圧が大きいほど第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。
【0045】
トルク制御部94は、スクイズリング27によって鉄心部材5に付与される側圧によって生じた鉄心部材5の反りに応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、鉄心部材5の反りが大きいほど第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。
【0046】
トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45によって金属板Wを打ち抜くときの金属板Wのせん断抵抗に応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、金属板Wのせん断抵抗が大きいほど第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。
【0047】
トルク制御部94は、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更する。トルク制御部94は、所定の時間だけ昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクに保持する。図2に示す例では、トルク制御部94は、タイミングT4からタイミングT7までの間、昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクに保持する。
【0048】
トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45の下面45B(図1参照)が上死点と下死点との中間点を通過してから下死点に到達するまでの間(例えば図2のタイミングT1~タイミングT7)に、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更してもよい。トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bが中間点を通過してから金属板Wの上面WBに接触するまでの間(例えば図2のタイミングT1~タイミングT4)に、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更してもよい。トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bが金属板Wの上面WBに接触したとき(例えば図2のタイミングT4)に、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更してもよい。トルク制御部94は、ストリッパプレート60が金属板Wの上面WTに接触してからパンチ45の下面45Bが下死点に到達するまでの間(例えば図2のタイミングT3~タイミングT7)に、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更してもよい。トルク制御部94は、パンチ45の下面45Bが金属板Wの上面WTに接触してから金属板Wが打ち抜かれて形成された鉄心部材5が載置台30に載置された鉄心部材5の上面5Tに当接するまでの間(例えば図2のタイミングT3~タイミングT6)に、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更してもよい。トルク制御部94は、金属板Wが打ち抜かれて形成された鉄心部材5が下方に落下し始めてからパンチ45の下面45Bが下死点に到達するまでの間(例えば図2のタイミングT5~タイミングT7)に、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更してもよい。トルク制御部94は、金属板Wが打ち抜かれて形成された鉄心部材5が下方に落下し始めてから形成された鉄心部材5が載置台30に載置された鉄心部材5の上面5Tに当接するまでの間(例えば図2のタイミングT5~タイミングT6)に、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更してもよい。トルク制御部94は、金属板Wが打ち抜かれて形成された鉄心部材5が載置台30に載置された鉄心部材5の上面5Tに当接してからパンチ45の下面45Bが下死点に到達するまでの間(例えば図2のタイミングT6~タイミングT7)に、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更してもよい。なお、昇降用モータ36の出力トルクを変更するときには、出力トルクを変更するための信号が制御装置90から昇降用モータ36に送信される。ここで、「昇降用モータ36の出力トルクを変更する」には、昇降用モータ36の出力トルクを変更するタイミングよりも前に、制御装置90から出力トルクを変更するための信号が昇降用モータ36に送信され、昇降用モータ36の出力トルクを変更するタイミングで、出力トルクの変更が完了する場合と、昇降用モータ36の出力トルクを変更するタイミングよりも前に、制御装置90から出力トルクを変更するための信号が昇降用モータ36に送信され、昇降用モータ36の出力トルクを変更するタイミングで、出力トルクの変更が継続している場合と、を含む。
【0049】
トルク制御部94が昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更するタイミングは、金属板Wを外形打ち抜き用パンチ45によって打ち抜いてn枚目(nは自然数)の鉄心部材5を形成する第n打ち抜き工程と、金属板Wを外形打ち抜き用パンチ45によって打ち抜いて(n+1)枚目の鉄心部材5を形成する第(n+1)打ち抜き工程とにおいて同じであってもよい。例えば、第1打ち抜き工程と、第2打ち抜き工程とにおいて、出力トルクを変更するタイミングは同じであってもよい。
【0050】
トルク制御部94は、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更するタイミングを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、第2の出力トルクが高いほど昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更するタイミングを早くするように構成されていてもよい。トルク制御部94は、第1の出力トルクと第2の出力トルクとの差が大きいほど昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更するタイミングを早くするように構成されていてもよい。トルク制御部94は、金属板Wの厚みが厚いほど昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更するタイミングを早くするように構成されていてもよい。
【0051】
トルク制御部94は、昇降用モータ36の出力トルクを矩形波形状(図2参照)で第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更する。トルク制御部94は、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに徐々に変更してもよい。トルク制御部94は、昇降用モータ36の出力トルクを台形波形状、正弦波形状、三角波形状またはのこぎり波形状で第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更してもよい。
【0052】
トルク制御部94は、昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクから第1の出力トルクに変更する。トルク制御部94は、所定の時間だけ昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクに保持する。図2に示す例では、トルク制御部94は、タイミングT7からタイミングT0を通過してタイミングT4までの間、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクに保持する。
【0053】
トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45の下面45B(図1参照)が下死点から中間点に到達するまでの間(例えば図2のタイミングT7~タイミングT10)に、昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクから第1の出力トルクに変更してもよい。トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45の下面45B(図1参照)が下死点から上昇を開始したとき(例えば図2のタイミングT7)に、昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクから第1の出力トルクに変更してもよい。
【0054】
トルク制御部94が昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクから第1の出力トルクに変更するタイミングは、金属板Wを外形打ち抜き用パンチ45によって打ち抜いてn枚目(nは自然数)の鉄心部材5を形成する第n打ち抜き工程と、金属板Wを外形打ち抜き用パンチ45によって打ち抜いて(n+1)枚目の鉄心部材5を形成する第(n+1)打ち抜き工程とにおいて同じであってもよい。例えば、第1打ち抜き工程と、第2打ち抜き工程とにおいて、出力トルクを変更するタイミングは同じであってもよい。
【0055】
トルク制御部94は、昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクから第1の出力トルクに変更するタイミングを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、第1の出力トルクが低いほど昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクから第1の出力トルクへの変更が完了するタイミングを遅くするように構成されていてもよい。トルク制御部94は、第1の出力トルクと第2の出力トルクとの差が大きいほど昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクから第1の出力トルクへの変更を完了するタイミングを遅くするように構成されていてもよい。
【0056】
トルク制御部94は、昇降用モータ36の出力トルクを矩形波形状(図2参照)で第2の出力トルクから第1の出力トルクに変更する。トルク制御部94は、昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクから第1の出力トルクに徐々に変更してもよい。トルク制御部94は、昇降用モータ36の出力トルクを台形波形状、正弦波形状、三角波形状またはのこぎり波形状で第2の出力トルクから第1の出力トルクに変更してもよい。
【0057】
以上のように、本実施形態の積層鉄心の製造装置10によると、トルク制御部94は、第1の出力トルクと第2の出力トルクとの差を変更可能に構成されている。上記態様によれば、金属板Wおよび形成される鉄心部材5に応じて、第1の出力トルクおよび第2の出力トルクを適切に設定することができる。このため、載置台30に載置された鉄心部材5の突き上げの発生を抑制しつつ、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときに適切な背圧を付与することができる。
【0058】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、第2の出力トルクの変更量は、第1の出力トルクの変更量よりも大きくてもよい。上記態様によれば、金属板Wおよび形成される鉄心部材5に応じて第2の出力トルクを適切に設定することができる。
【0059】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、第2の出力トルクを変更可能に構成され、かつ、第1の出力トルクを一定に保持可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、金属板Wおよび形成される鉄心部材5に応じて第2の出力トルクを適切に設定することができる。
【0060】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときの外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に加わる荷重に応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第2の出力トルクを適切に設定することができるため、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときに適切な背圧を付与することができる。
【0061】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときの外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に加わる荷重が大きいほど、第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときに適切な背圧を付与することができる。
【0062】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、センサ38によって検出された荷重に基づいて第2の出力トルクを変更するように構成されていてもよい。上記態様によれば、第2の出力トルクをより正確に設定することができる。
【0063】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bが金属板Wの上面WTに接触する前に、センサ38によって検出された荷重に基づいて第2の出力トルクを変更するように構成されていてもよい。上記態様によれば、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときに適切な背圧を付与することができる。
【0064】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45によって金属板Wを打ち抜いている途中に、センサ38によって検出された荷重に基づいて第2の出力トルクを変更するように構成されていてもよい。上記態様によれば、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときに適切な背圧を付与することができる。
【0065】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bが上死点と下死点との中間点を通過してから下死点に到達するまでの間に、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更するように構成されていてもよい。上記態様によれば、トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bが中間点を通過してから下死点に到達するまでのわずかな時間に第2の出力トルクに変更するため、載置台30に載置された鉄心部材5の突き上げの発生を抑制しつつ、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときに適切な背圧を付与することができる。
【0066】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bが中間点を通過してから金属板Wの上面WTに接触するまでの間に、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更してもよい。上記態様によれば、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときにより適切なタイミングで背圧を付与することができる。
【0067】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bが金属板Wの上面WTに接触したときに、昇降用モータ36の出力トルクを第1の出力トルクから第2の出力トルクに変更してもよい。上記態様によれば、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときにより適切なタイミングで背圧を付与することができる。
【0068】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、鉄心部材5の厚みに応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第2の出力トルクをより正確に設定することができる。
【0069】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、鉄心部材5の厚みが厚いほど第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材を形成するときにより適切な背圧を付与することができる。
【0070】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、鉄心部材5の外径に応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第2の出力トルクをより正確に設定することができる。
【0071】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、鉄心部材5の外径が大きいほど第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときにより適切な背圧を付与することができる。
【0072】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、1枚の鉄心部材5をかしめるときのかしめ部分の数に応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第2の出力トルクをより正確に設定することができる。また、鉄心部材5同士をかしめによって適切に結合することができる。
【0073】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、かしめ部分の数が多いほど第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときにより適切な背圧を付与することができる。また、鉄心部材5同士をかしめによってより確実に結合することができる。
【0074】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、1枚の鉄心部材5を接着するときの接着箇所の数に応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第2の出力トルクをより正確に設定することができる。また、鉄心部材5同士を接着によって適切に結合することができる。
【0075】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、接着箇所の数が多いほど第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときにより適切な背圧を付与することができる。また、鉄心部材5同士を接着によってより確実に結合することができる。
【0076】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、スクイズリング27によって鉄心部材5に付与される側圧に応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第2の出力トルクをより正確に設定することができる。
【0077】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、側圧が大きいほど第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときにより適切な背圧を付与することができる。
【0078】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、スクイズリング27によって鉄心部材5に付与される側圧によって生じた鉄心部材5の反りに応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第2の出力トルクをより正確に設定することができる。
【0079】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、鉄心部材5の反りが大きいほど第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときにより適切な背圧を付与することができる。
【0080】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45によって金属板Wを打ち抜くときの金属板Wのせん断抵抗に応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第2の出力トルクをより正確に設定することができる。
【0081】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、金属板Wのせん断抵抗が大きいほど第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときにより適切な背圧を付与することができる。
【0082】
また、本実施形態の積層鉄心の製造装置10によると、トルク制御部94は、第1の出力トルクを変更可能に構成されている。上記態様によれば、金属板Wおよび形成される鉄心部材5に応じて、第1の出力トルクを適切に設定することができる。このため、載置台30に載置された鉄心部材5の突き上げの発生をより確実に抑制することができる。また、第2の出力トルクを適宜設定することによって、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときに適切な背圧を付与することができる。
【0083】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときの外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に加わる荷重に応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第1の出力トルクを適切に設定することができるため、載置台30に載置された鉄心部材5の突き上げの発生をより確実に抑制することができる。
【0084】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときの外形打ち抜き用パンチ45から載置台30に加わる荷重が小さいほど、第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、載置台30に載置された鉄心部材5の突き上げの発生を適切に抑制することができる。
【0085】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bが下死点から下死点と上死点との中間点に到達するまでの間に、昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクから第1の出力トルクに変更するように構成されていてもよい。上記態様によれば、トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bが下死点から中間点に到達するまでのわずかな時間に第1の出力トルクに変更するため、金属板Wを打ち抜いて鉄心部材5を形成するときに適切な背圧を付与しつつ、載置台30に載置された鉄心部材5の突き上げの発生を抑制することができる。
【0086】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45の下面45Bが下死点から上昇を開始したときに、昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクから第1の出力トルクに変更してもよい。上記態様によれば、載置台30に載置された鉄心部材5の突き上げの発生をより確実に抑制することができる。
【0087】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、鉄心部材5の厚みに応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第1の出力トルクをより正確に設定することができる。
【0088】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、鉄心部材5の厚みが薄いほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、載置台30に載置された鉄心部材5により適切な背圧を付与して、鉄心部材5の突き上げの発生を抑制することができる。
【0089】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、鉄心部材5の外径に応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第1の出力トルクをより正確に設定することができる。
【0090】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、鉄心部材5の外径が小さいほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、載置台30に載置された鉄心部材5により適切な背圧を付与して、鉄心部材5の突き上げの発生を抑制することができる。
【0091】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、1枚の鉄心部材5をかしめるときのかしめ部分の数に応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第1の出力トルクをより正確に設定することができる。また、鉄心部材5同士をかしめによって適切に結合することができる。
【0092】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、かしめ部分の数が少ないほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、載置台30に載置された鉄心部材5により適切な背圧を付与することができる。また、鉄心部材5同士をかしめによってより確実に結合することができる。
【0093】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、1枚の鉄心部材5を接着するときの接着箇所の数に応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第1の出力トルクをより正確に設定することができる。また、鉄心部材5同士を接着によって適切に結合することができる。
【0094】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、接着箇所の数が少ないほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、載置台30に載置された鉄心部材5により適切な背圧を付与することができる。また、鉄心部材5同士を接着によってより確実に結合することができる。
【0095】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、スクイズリング27によって鉄心部材5に付与された側圧に応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第1の出力トルクをより正確に設定することができる。
【0096】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、側圧が小さいほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、載置台30に載置された鉄心部材5により適切な背圧を付与して、鉄心部材5の突き上げの発生を抑制することができる。
【0097】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、スクイズリング27によって鉄心部材5に付与される側圧によって生じた鉄心部材5の反りに応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第1の出力トルクをより正確に設定することができる。
【0098】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、鉄心部材5の反りが小さいほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、載置台30に載置された鉄心部材5により適切な背圧を付与して、鉄心部材5の突き上げの発生を抑制することができる。
【0099】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、外形打ち抜き用パンチ45によって金属板Wを打ち抜くときの金属板Wのせん断抵抗に応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第1の出力トルクをより正確に設定することができる。
【0100】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、金属板Wのせん断抵抗が小さいほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、載置台30に載置された鉄心部材5により適切な背圧を付与して、鉄心部材5の突き上げの発生を抑制することができる。
【0101】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、鉄心部材5の1枚当たりの重量に応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。上記態様によれば、第1の出力トルクをより正確に設定することができる。
【0102】
本実施形態の積層鉄心の製造装置10では、トルク制御部94は、鉄心部材5の1枚当たりの重量が軽いほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。上記態様によれば、載置台30に載置された鉄心部材5により適切な背圧を付与して、鉄心部材5の突き上げの発生を抑制することができる。
【0103】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0104】
上述した実施形態では、積層された鉄心部材5同士は、かしめによって相互に結合されていたが、結合する方法はかしめに限定されない。積層された鉄心部材5同士は、例えば、溶接や接着等によって相互に結合されてもよい。積層された鉄心部材5同士が接着によって相互に結合されるとき、トルク制御部94は、1枚の鉄心部材5を接着するときの接着箇所の数に応じて第1の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。1枚の鉄心部材5を接着するとは、載置台30に既に載置された鉄心部材5上に、金属板Wを打ち抜いて形成された鉄心部材5を積層して接着することである。トルク制御部94は、接着箇所の数が少ないほど第1の出力トルクを低くするように構成されていてもよい。また、トルク制御部94は、1枚の鉄心部材5を接着するときの接着箇所の数に応じて第2の出力トルクを変更可能に構成されていてもよい。トルク制御部94は、接着箇所の数が多いほど第2の出力トルクを高くするように構成されていてもよい。
【0105】
積層された鉄心部材5同士が接着によって相互に結合されるとき、製造装置10は、金属板Wの下面WL(図1参照)に接着剤を塗布する接着剤塗布装置を備えていてもよい。このとき、制御装置90は、接着剤塗布装置を制御する塗布制御部を備えている。塗布制御部は、トルク制御部94が昇降用モータ36の出力トルクを第2の出力トルクにしている期間の少なくとも一部において、金属板Wの下面WLに接着材を塗布するように接着剤塗布装置を制御してもよい。
【0106】
上述した実施形態では、下型20の下型本体21とダイプレート22とダイ23とは、別体で構成されているが、適宜一体に構成されていてもよい。例えば、ダイプレート22とダイ23とを一体で構成してもよいし、ダイプレート22とダイ23と下型本体21とを一体で構成してもよい。
【0107】
上述した実施形態では、ダイ23の上面23Tとダイプレート22の上面22Tとは同じ高さに位置するが、これに限定されない。例えば、ダイ23の上面23Tは、ダイプレート22の上面22Tよりも下方に位置していてもよい。この場合、ストリッパプレート60は、帯状の金属板Wをダイプレート22の上面22Tに押し付ける。
【0108】
上述した実施形態では、製造装置10は、外形打ち抜き用パンチ45および外形打ち抜き用ダイ穴26を備えていたが、内形打ち抜き用パンチおよび内形打ち抜き用ダイ穴やパイロット孔形成用パンチおよびパイロット孔形成用ダイ穴等をさらに備えていてもよい。
【0109】
1枚目の鉄心部材5の打ち抜きを開始してから積層鉄心8を製造装置10の外部に排出するまでの一連の製造工程において、特許請求の範囲に記載のように第1の出力トルクあるいは第2の出力トルクを変更してもよい。また、異なる製造工程において、特許請求の範囲に記載のように第1の出力トルクあるいは第2の出力トルクを変更してもよい。
【符号の説明】
【0110】
5 鉄心部材
8 積層鉄心
10 製造装置(積層鉄心の製造装置)
20 下型
23 ダイ
26 外形打ち抜き用ダイ穴(ダイ穴)
27 スクイズリング
30 載置台
32 支持部材
36 昇降用モータ
38 センサ
40 上型
45 外形打ち抜き用パンチ(パンチ)
90 制御装置
94 トルク制御部
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2025-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鉄心部材が積層されて相互に結合された積層鉄心の製造装置であって、
ダイ穴が形成されたダイを有する下型と、
前記ダイ穴に対応するパンチであって、帯状の金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するパンチを有する上型と、
昇降可能に設けられ、かつ、形成された前記鉄心部材が順次載置される載置台と、
前記載置台を昇降可能に支持する支持部材と、
前記支持部材を介して前記載置台を昇降させる昇降用モータと、
前記上型および前記昇降用モータを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記パンチによって前記金属板を打ち抜かないときには前記載置台による前記鉄心部材の突き上げを抑制するように前記昇降用モータの出力トルクを第1の出力トルクに設定し、かつ、前記パンチによって前記金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するときには前記載置台によって前記鉄心部材に背圧を付与するように前記昇降用モータの前記出力トルクを前記第1の出力トルクよりも高い第2の出力トルクに設定し、かつ、前記第1の出力トルクを変更可能かつ前記第2の出力トルクから前記第1の出力トルクに変更するタイミングを変更可能に構成されたトルク制御部を備えている、製造装置。
【請求項2】
前記トルク制御部は、前記金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するときの前記パンチから前記載置台に加わる荷重に応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
前記トルク制御部は、前記金属板を打ち抜いて前記鉄心部材を形成するときの前記パンチから前記載置台に加わる荷重が小さいほど、前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項2に記載の製造装置。
【請求項4】
前記トルク制御部は、前記パンチの下面が下死点から前記下死点と上死点との中間点に到達するまでの間に、前記昇降用モータの前記出力トルクを前記第2の出力トルクから前記第1の出力トルクに変更するように構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項5】
前記トルク制御部は、前記パンチの前記下面が前記下死点から上昇を開始したときに、前記昇降用モータの前記出力トルクを前記第2の出力トルクから前記第1の出力トルクに変更する、請求項4に記載の製造装置。
【請求項6】
前記トルク制御部は、前記鉄心部材の厚みに応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項7】
前記トルク制御部は、前記鉄心部材の厚みが薄いほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項6に記載の製造装置。
【請求項8】
前記トルク制御部は、前記鉄心部材の外径に応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項9】
前記トルク制御部は、前記鉄心部材の外径が小さいほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項8に記載の製造装置。
【請求項10】
前記積層鉄心は、積層された前記鉄心部材同士がかしめによって相互に結合されており、
前記トルク制御部は、1枚の前記鉄心部材をかしめるときのかしめ部分の数に応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項11】
前記トルク制御部は、前記かしめ部分の数が少ないほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項10に記載の製造装置。
【請求項12】
前記積層鉄心は、積層された前記鉄心部材同士が接着によって相互に結合されており、
前記トルク制御部は、1枚の前記鉄心部材を接着するときの接着箇所の数に応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項13】
前記トルク制御部は、前記接着箇所の数が少ないほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項12に記載の製造装置。
【請求項14】
前記ダイの下方に配置され、かつ、形成された前記鉄心部材を側方から保持し、かつ、前記鉄心部材に側圧を付与するスクイズリングを備え、
前記トルク制御部は、前記スクイズリングによって前記鉄心部材に付与される前記側圧に応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項15】
前記トルク制御部は、前記側圧が小さいほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項14に記載の製造装置。
【請求項16】
前記ダイの下方に配置され、かつ、形成された前記鉄心部材を側方から保持し、かつ、前記鉄心部材に側圧を付与するスクイズリングを備え、
前記トルク制御部は、前記スクイズリングによって前記鉄心部材に付与される前記側圧によって生じた前記鉄心部材の反りに応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項17】
前記トルク制御部は、前記鉄心部材の前記反りが小さいほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項16に記載の製造装置。
【請求項18】
前記トルク制御部は、前記パンチによって前記金属板を打ち抜くときの前記金属板のせん断抵抗に応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項19】
前記トルク制御部は、前記金属板の前記せん断抵抗が小さいほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項18に記載の製造装置。
【請求項20】
前記トルク制御部は、前記鉄心部材の1枚当たりの重量に応じて前記第1の出力トルクを変更可能に構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項21】
前記トルク制御部は、前記鉄心部材の1枚当たりの重量が軽いほど前記第1の出力トルクを低くするように構成されている、請求項20に記載の製造装置。
【請求項22】
前記トルク制御部は、1つの前記第2の出力トルクを設定するように構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項23】
前記トルク制御部は、前記第1の出力トルクが低いほど前記昇降用モータの前記出力トルクを前記第2の出力トルクから前記第1の出力トルクへの変更が完了するタイミングを遅くするように構成されている、請求項1に記載の製造装置。
【請求項24】
前記トルク制御部は、前記第1の出力トルクと前記第2の出力トルクとの差が大きいほど前記昇降用モータの前記出力トルクを前記第2の出力トルクから前記第1の出力トルクへの変更を完了するタイミングを遅くするように構成されている、請求項1に記載の製造装置。