(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003160
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】作業機および作業機の制御方法
(51)【国際特許分類】
E02F 3/43 20060101AFI20241226BHJP
E02F 3/36 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
E02F3/43 J
E02F3/36 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103673
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森 裕也
【テーマコード(参考)】
2D003
2D012
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003BA01
2D003BA02
2D003BA07
2D003DA04
2D003FA02
2D012DB01
2D012EA01
2D012EA02
2D012FA01
(57)【要約】
【課題】把持対象物を把持するアタッチメントを用いて作業を行う際の安全性を向上させる
【解決手段】作業機1は、機体2と、機体2に設けられた作業装置20とを有し、作業装置20に把持対象物を把持するアタッチメント100を取付可能な作業機1であって、アタッチメント100によって把持対象物を把持する作業を行う場合に、作業機1の作業範囲および作業速度の一方または両方を制限する作業制限を行う制御装置51を備える。
【選択図】
図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、前記機体に設けられた作業装置とを有し、前記作業装置に把持対象物を把持するアタッチメントを取付可能な作業機であって、
前記アタッチメントによって把持対象物を把持する作業を行う場合に、前記作業機の作業範囲および作業速度の一方または両方を制限する作業制限を行う制御装置を備えている作業機。
【請求項2】
前記アタッチメントによる把持対象物の把持を検出する検出部を備え、
前記制御装置は、前記検出部にて前記把持対象物の把持が検出された場合に前記作業制限を行う請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記検出部は、前記作業装置に作用する荷重を検出する荷重センサを有し、前記荷重が前記把持対象物を把持していない状態よりも所定以上重くなったか否かにより前記把持対象物の把持を検出する請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記作業装置に前記アタッチメントが取り付けられていることを検出、または前記アタッチメントを用いる作業モードである把持作業モードの選択指示を検出するアタッチメント検出部を備え、
前記制御装置は、前記アタッチメント検出部によって前記アタッチメントが取り付けられていることが検出された場合、または把持作業モードの選択指示が検出された場合に前記作業制限を行う請求項1に記載の作業機。
【請求項5】
前記検出部は、前記アタッチメントに対する把持動作の実行指示を検出し、
前記制御装置は、前記検出部にて前記実行指示が検出された場合に前記作業制限を行う請求項2に記載の作業機。
【請求項6】
前記アタッチメントは、前記把持動作を行うための油圧アクチュエータを備え、
前記検出部は、前記実行指示の有無を、前記油圧アクチュエータに供給される作動油の圧力又は前記油圧アクチュエータに作動油を供給する制御弁への制御信号に基づいて判定する請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
前記アタッチメントが把持している把持対象物を認識する第1センシング装置を備え、
前記検出部は、前記第1センシング装置の認識結果に基づいて把持対象物の把持を検出する請求項2に記載の作業機。
【請求項8】
前記アタッチメントにより前記把持対象物を把持する作業を行う把持モードと、吊り作業を行うクレーンモードとを切換可能であり、
前記クレーンモードでは前記作業制限を行わないか、或いは、前記把持モードにおける前記作業制限の程度を前記クレーンモードにおける前記作業制限よりも大きくする請求項1に記載の作業機。
【請求項9】
前記把持対象物の重量を検出する重量センサを有し、
前記制御装置は、前記アタッチメントが把持している把持対象物の重量に応じて前記作業制限の程度を変更する請求項1に記載の作業機。
【請求項10】
前記アタッチメントの高さ位置を検出する位置検出部を備え、
前記制御装置は、前記アタッチメントの高さ位置に応じて前記作業制限の程度を変更する請求項1に記載の作業機。
【請求項11】
前記第1センシング装置は、前記アタッチメントが把持している前記把持対象物における前記アタッチメントから突出した部分の端部を認識し、
前記制御装置は、前記把持対象物における前記端部の移動範囲が所定範囲内に収まるように前記作業機の作業範囲を制限する請求項7に記載の作業機。
【請求項12】
前記第1センシング装置は、前記アタッチメントが把持している前記把持対象物における前記アタッチメントから突出した部分の端部を認識し、
前記制御装置は、前記アタッチメントから前記把持対象物における前記端部までの長さが長いほど前記作業機の作業速度の上限値を低く制限する請求項7に記載の作業機。
【請求項13】
機体と、前記機体に設けられた作業装置とを有し、前記作業装置に把持対象物を把持するアタッチメントを取付可能な作業機の制御方法であって、
前記アタッチメントによって把持対象物を把持する作業を行う場合に、前記作業機の作業範囲および作業速度の一方または両方を制限する作業機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機および作業機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された作業機は、下部走行体と、上部旋回体と、上部旋回体に設けられた作業装置とを備えている。作業装置は、上下方向に揺動可能なブームと、ブームの先端部に設けられ、且つ、前後方向又は上下方向に揺動可能なアームと、アーム先端部に接続され、且つ、管を把持する管接合用アタッチメントとを備えている。この作業機では、操作者による操作によって、管接合用アタッチメントにて管が把持され、把持している管が、地中の溝内に配置された被接合管に接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の作業機では、管接合用アタッチメントが管を把持している状態では、バケット等のアタッチメントを用いて作業している状態よりも安定性が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、把持対象物を把持するアタッチメントを用いて作業を行う際の安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る作業機は、機体と、前記機体に設けられた作業装置とを有し、前記作業装置に把持対象物を把持するアタッチメントを取付可能な作業機であって、前記アタッチメントによって把持対象物を把持する作業を行う場合に、前記作業機の作業範囲および作業速度の一方または両方を制限する作業制限を行う制御装置を備えている。
【発明の効果】
【0007】
上記作業機によれば、把持対象物を把持するアタッチメントを用いて作業を行う際の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1B】作業機の作業装置の一部を省略した平面図である。
【
図2A】作業機の油圧システム及び制御システムの概略構成図である。
【
図2B】第1実施形態の作業機の電気ブロック図である。
【
図3A】管接合用のアタッチメントを幅方向の一方から見た図である。
【
図3B】管接合用のアタッチメントの平面図である。
【
図3C】管接合用のアタッチメントを軸線方向の一方から見た図である。
【
図4A】各種の座標系及び管接合用のアタッチメントによる管の把持接合作業を説明するための図である。
【
図4B】管を被接合管に接合した状態を示す図である。
【
図4C】管接合用のアタッチメントを把持前位置に位置させた状態を示す図である。
【
図4D】把持前位置において把持部の向きが調整されることを示す図である。
【
図5A】作業機による管接合用のアタッチメントの自動把持接合処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5B】管の把持制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5C】把持位置への移動制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5D】把持している管の作業開始位置制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5E】フロントの各部材の速度制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5F】把持している管の接合開始位置制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5G】フロントの各部材の速度制御の一例を示すフローチャートである。
【
図6A】管接合用のアタッチメントが把持している管を作業開始位置から接合開始位置に移動させる様子を示す図である。
【
図6B】管接合用のアタッチメントが把持している管が接合開始位置に位置した様子を示す図である。
【
図6C】管接合用のアタッチメントが把持している管を被接合管に接合させた様子を示す図である。
【
図7A】第2実施形態の作業機の電気ブロック図である。
【
図7B】第2実施形態における管の把持中の作業制限処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9A】第3実施形態の作業機の電気ブロック図である。
【
図9B】第3実施形態における管の把持中の周辺監視処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】管の位置検出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】管の周辺の対象検出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】把持中の管とその周辺の対象との相対位置に基づいて作業機の周辺に設定された許可範囲を説明するための図である。
【
図13】表示装置における相対位置情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
[第1実施形態]
まず、作業機1の全体構成について説明する。
図1Aは、作業機の全体側面図である。
図1Bは、作業機の作業装置の一部を省略した平面図である。
【0011】
(作業機1の全体構成について)
第1実施形態の作業機1は、バックホーであるが、バケットに替えて管接合用のアタッチメント100が装着されている。作業機1は、走行可能な本体30と、本体30に設けられた作業装置20とを備える。本体30は、機体(旋回台)2と、機体(旋回台)2を走行させる走行装置10と、を備える。機体2の上には、運転者が着座する運転席4と、運転席4を前後、左右、及び上から保護する保護機構6が設けられている。
【0012】
保護機構6は、キャビンとも呼ばれている。保護機構6は、機体2に取り付けられたフレームと、フレームの上部に取り付けられたルーフと、フレームの前部、後部、及び左右
側部にそれぞれ取り付けられた複数の側壁とを有している(詳細図示省略)。各側壁には、運転席4から周囲を目視可能な透明部分(いわゆる窓)が設けられている。このような保護機構6は、運転席4の周囲の空間と外部とを仕切っている。即ち、保護機構6により、運転席4を有する運転室4Rが形成されている。なお、保護機構6は、キャビン以外のキャノピなどであってもよい。
【0013】
保護機構6の内部(運転室4R)の運転席4の周囲には、作業機1を操作するための操作装置5が設けられている。運転者は、運転席4に着座した状態で、操作装置5を操作可能である。
【0014】
なお、本実施形態においては、運転席4に着座した運転者(操作者)が向く方向(
図1A、
図1Bの矢印A1方向)を前方、その反対方向(
図1A、
図1B等の矢印A2方向)を後方、運転者の左側(
図1Aの手前側、
図1Bの矢印B1方向)を左方、運転者の右側(
図1Aの奥側、
図1Bの矢印B2方向)を右方として説明する。また、前後方向A3に直交する方向である水平方向を幅方向B3(
図1Bを参照)として説明する。機体2の幅方向B3の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を幅方向外方として説明する。
【0015】
走行装置10は、機体2を走行させる装置であって、走行フレーム11と走行機構12とを有する。走行フレーム(トラックフレーム)11は、周囲に走行機構12を取り付け、且つ上部に機体2を支持する構造体である。
【0016】
走行機構12は、例えばクローラ式の走行機構である。走行機構12は、走行フレーム11の左側と右側にそれぞれ設けられている。走行機構12は、アイドラ13と、駆動輪14と、複数の転輪15と、無端状のクローラベルト16と、走行モータ(左用走行モータML、右用走行モータMR)とを有している。
【0017】
アイドラ13は、走行フレーム11の前部に配置されている。駆動輪14は、走行フレーム11の後部に配置されている。複数の転輪15は、アイドラ13と駆動輪14との間に設けられている。クローラベルト16は、アイドラ13、駆動輪14、及び転輪15に亘って巻掛けられている。
【0018】
左用走行モータMLは、走行フレーム11の左側にある走行機構12に含まれている。右用走行モータMRは、走行フレーム11の右側にある走行機構12に含まれている。左用走行モータML及び右用走行モータMRは、油圧モータから構成されている。各走行機構12では、左用走行モータML及び右用走行モータMRの動力により、駆動輪14が回転駆動して、クローラベルト16を周方向に循環回走させる。
【0019】
走行装置10の前部には、ドーザ装置18が装着されている。ドーザ装置18は、ドーザシリンダC3の伸縮によって上下に揺動する。ドーザシリンダC3は、走行フレーム11に取り付けられている。ドーザシリンダC3は、油圧シリンダから構成されている。
【0020】
機体2は、走行フレーム11上に旋回ベアリング3を介して、軸Zm(上下の方向に延伸する軸心:Z軸)回りに旋回可能に支持されている。旋回モータMTは、油圧モータ(油圧機器に含まれる油圧アクチュエータ)から構成されている。機体2は、旋回モータMTの動力により軸Zm回りに旋回する。
【0021】
作業装置20は、機体2に設けられている。例えば、作業装置20は、機体2の前部に支持されている。作業装置20は、ブーム21と、アーム22と、管接合用のアタッチメント100(以下、適宜にアタッチメント100と呼ぶ)と、油圧アクチュエータ(ブームシリンダC1、アタッチメント揺動シリンダC2、ドーザシリンダC3、スイングシリ
ンダC4、アームシリンダC9)とを備えている。ブーム21の基端部は、スイングブラケット24に第1回転軸J1(機体2の幅方向に延伸する軸心)廻りに回動可能に枢着されている。このため、ブーム21は上下方向(鉛直方向)に揺動可能になっている。アーム22は、ブーム21の先端部に第1回転軸J1と平行な第2回転軸J2(ブーム21の幅方向に延伸する軸心)廻りに回動可能に枢着されている。このため、アーム22は、前後方向或いは上下方向に揺動可能になっている。
【0022】
アタッチメント100は、バケット(作業具)に替えて、アーム22の先端部に揺動可能に設けられている。アタッチメント100は、
図1Aに示すように、把持対象物Wの一例である接合部材(例えば、管W1)を把持し、この把持している管W1を、対象領域(例えば、溝G)に配置された被接合部材(例えば、被接合管W2)に接合させる作業を行うための作業具である。溝Gは、地表面より下方に形成された溝(地中内の溝)であり、例えば、地面を掘削して形成された平底溝などである。なお、対象領域は、溝以外であってもよく、例えば、上面に被接合管W2が配置され、少なくとも一部が地表面よりも上方に形成した受台(例えば、地上に露出したコンクリート受台、場内では鋼製受台など)であってもよい。
図1Aに示すように、アタッチメント100は、アーム接続部111と、把持部112と、軸線方向移動機構113と、水平方向回動機構114と、接合機能部115(被接合管接触部)とを備えている。なお、アタッチメント100の詳細については後述する。
【0023】
作業機1は、アタッチメント100に替えて、油圧アクチュエータにより駆動可能なバケットおよびそれ以外の他の作業具(油圧アタッチメント)を装着することが可能である。この他の作業具としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノーブロア等が例示できる。
【0024】
スイングブラケット24は、機体2内に備えられたスイングシリンダC4の伸縮によって、第4回転軸J4(機体2の上下の方向に延伸する軸心)廻りに回動することにより、左右に揺動する。ブーム21は、ブームシリンダC1の伸縮によって上下(前後)に揺動する。アーム22は、アームシリンダC9の伸縮によって上下(前後)に揺動する。アタッチメント100は、アタッチメント揺動シリンダC2の伸縮によって上下(前後)に揺動する。なお、アタッチメント揺動シリンダC2は、アーム22の先端側にバケットが装着されている場合であれば、バケットシリンダと呼ばれる。スイングシリンダC4、ブームシリンダC1、アームシリンダC9、及びアタッチメント揺動シリンダC2は、油圧シリンダによって構成されている。
【0025】
(作業機1の油圧システム及び制御システムの構成について)
図2Aは、作業機の油圧システム及び制御システムの概略構成図である。作業機1の油圧システムは、第1油圧ポンプP1と、第2油圧ポンプP2と、第3油圧ポンプP3と、複数の制御弁V1~V10を有している。第1油圧ポンプP1及び第2油圧ポンプP2は、可変容量型の油圧ポンプである。第3油圧ポンプP3は、定容量型の油圧ポンプである。第1油圧ポンプP1、第2油圧ポンプP2及び第3油圧ポンプP3は、原動機E1の動力によって駆動して、作動油タンクに貯留された作動油を吐出する。この実施形態では、作業機1の油圧システムは、3つの油圧ポンプ(第1油圧ポンプP1、第2油圧ポンプP2、第3油圧ポンプP3)を備えているが、台数は限定されない。
【0026】
複数の制御弁V1~V10は、それぞれ油圧アクチュエータ(作業系油圧アクチュエータ、走行系油圧アクチュエータ)に供給する作動油の流量を制御する弁(電磁制御弁)である。複数の制御弁V1~V10は、第3油圧ポンプP3から供給された作動油(パイロット油)によって、スプールの位置が切り換わる電磁式の3位置切換弁である。即ち、複数の制御弁V1~V10は、電磁弁を有していて当該電磁弁の開度によってスプールへ作
用するパイロット油の圧力が変化し、スプールの位置を変更することができる。なお、この実施形態では、電磁弁を組み込んだ電磁式の3位置切換弁を示しているが、電磁弁は別体に構成されていてもよい。また、複数の制御弁V1~V10は、3位置切換弁以外の2位置切換弁、4位置切換弁などであってもよく限定されない。
【0027】
ブーム制御弁V1は、ブームシリンダC1を制御する。揺動制御弁V2(=バケット制御弁)は、アタッチメント揺動シリンダC2(=バケットシリンダ)を制御する。ドーザ制御弁V3は、ドーザシリンダC3を制御する。スイング制御弁V4は、スイングシリンダC4を制御する。右走行制御弁V5は、第1走行装置10Rの走行系油圧アクチュエータ(右用走行モータMR)を制御する。左走行制御弁V6は、第2走行装置10Lの走行系走行油圧アクチュエータ(左用走行モータML)を制御する。第1予備制御弁V7は、予備アクチュエータを制御する。
図2Aでは、第1予備制御弁V7は、予備アクチュエータとしてのアタッチメント100(即ち、管接合用の油圧アクチュエータ)に供給する作動油の流量を制御する。第2予備制御弁V8は、予備アクチュエータを制御する。アーム制御弁V9は、アームシリンダC9を制御する。旋回制御弁V10は、旋回モータMTを制御する。
【0028】
ブーム制御弁V1、揺動制御弁V2、ドーザ制御弁V3、スイング制御弁V4及び右走行制御弁V5は、第1油圧ポンプP1に接続された第1吐出油路41が接続されている。左走行制御弁V6、第1予備制御弁V7、第2予備制御弁V8、アーム制御弁V9及び旋回制御弁V10は、第2油圧ポンプP2に接続された第2吐出油路42が接続されている。
【0029】
以降、説明の便宜上、ブーム制御弁V1、揺動制御弁V2、ドーザ制御弁V3、スイング制御弁V4及び右走行制御弁V5のグループを第1ブロックBL1といい、左走行制御弁V6、第1予備制御弁V7、第2予備制御弁V8、アーム制御弁V9及び旋回制御弁V10のグループを第2ブロックBL2ということがある。
【0030】
第1ブロックBL1と第2ブロックBL2との間には、連通弁V11が設けられている。連通弁V11は、第1位置と第2位置とに切り換わる切換弁であって、第1吐出油路41と第2吐出油路42とがそれぞれ接続されている。連通弁V11が第1位置である場合には、第1吐出油路41と第2吐出油路42とが連通弁V11を介して繋がり、連通弁V11が第2位置である場合には、第1吐出油路41と第2吐出油路42との連通が連通弁V11によって遮断される。なお、連通弁V11は、2位置切換弁以外の3位置切換弁、4位置切換弁などであってもよく限定されない。なお、作業機の油圧システムは、連通弁V11を備えない構成であってもよい。
【0031】
作業機1は旋回装置25(
図2A参照)を備えている。旋回装置25は、旋回ベアリング3、旋回モータMT、油圧ポンプ(第1油圧ポンプP1、第2油圧ポンプP2)を含む装置である。
【0032】
図2Aに示すように、アタッチメント100は、第1予備制御弁V7からの作動油が3つに分岐されて供給される第1制御弁V71、第2制御弁V72及び第3制御弁V73を備えている。第1制御弁V71は、把持部112の開閉を制御するための電磁制御弁である。第2制御弁V72は、軸線方向移動機構113を制御するための電磁制御弁である。第3制御弁V73は、水平方向回動機構114を制御するための電磁制御弁である。
【0033】
(作業機1の制御システムの構成)
次に、作業機1の制御システムの構成について、
図2A、
図2Bを用いて説明する。
図2Bは、作業機の電気ブロック図である。
【0034】
図2A、
図2Bに示すように、作業機1の制御システムは、制御装置51を備えている。制御装置51は、油圧システムを制御する油圧制御部53を備えている。油圧制御部53は、作業装置20及び走行装置10の油圧システムを制御する作業制御装置である。油圧制御部53は、制御装置51に設けられたCPU(プロセッサ)、電子電気回路、プログラム等から構成されている。油圧制御部53は、作業機1に設けられた油圧機器、例えば、複数の制御弁V1~V10、連通弁V11、油圧ポンプ(第1油圧ポンプP1、第2油圧ポンプP2)を制御する。なお、油圧制御部53は、油圧機器を制御するものであれば何でもよく、制御対象はこの実施形態に限定されない。
【0035】
制御装置51には、操作装置5が接続されている。操作装置5は、作業操作部材(作業操作部材19L、作業操作部材19R、作業操作部材19D)と、走行操作部材(走行操作部材20L、走行操作部材20R)とを備えている。
【0036】
制御装置51には、作業操作部材(作業操作部材19L、作業操作部材19R、作業操作部材19D)が接続されている。作業操作部材19Lは運転者(操作者)が左手で操作可能な位置に配置され、作業操作部材19Rは運転者が右手で操作可能な位置に配置され、作業操作部材19Dは作業操作部材19Rとは別に運転席4の右側で運転者が右手で操作可能な位置に配置されている。作業操作部材19L及び作業操作部材19Rは、揺動量(操作量)を検出するポテンショメータ(検出装置)を有するレバーであって、前、後、右、左に揺動自在なレバーである。作業操作部材19Dは、揺動量(操作量)を検出するポテンショメータ(検出装置)を有するレバーであって、前、後に揺動可能なレバーである。
【0037】
作業操作部材19Lを運転者が操作すると、作業操作部材19Lの操作量及び操作方向がポテンショメータにより検出され、検出された操作量及び操作方向は制御装置51に入力される。油圧制御部53は、作業操作部材19Lの操作量及び操作方向に応じて、旋回制御弁V10の旋回電磁弁のソレノイドを励磁し、当該旋回電磁弁の開度を制御するか、あるいはアーム制御弁V9のアーム電磁弁のソレノイドを励磁し、当該アーム電磁弁の開度を制御する。その結果、旋回制御弁V10の受圧部にパイロット圧が作用し、当該旋回制御弁V10の位置が切り換えられ、当該位置に応じて旋回モータMTの回転方向が切り換えられるか、あるいは、アーム制御弁V9の受圧部にパイロット圧が作用し、当該アーム制御弁V9の位置が切り換えられ、位置に応じてアームシリンダC9が伸縮する。
【0038】
作業操作部材19Rを運転者が操作すると、作業操作部材19Rの操作量及び操作方向がポテンショメータにより検出され、検出された操作量及び操作方向は制御装置51に入力される。油圧制御部53は、作業操作部材19Rの操作量及び操作方向に応じて、ブーム制御弁V1のブーム電磁弁のソレノイドを励磁し、当該ブーム電磁弁の開度を制御するか、あるいは、作業操作部材19Rの操作量及び操作方向に応じて、揺動制御弁V2の電磁弁(バケット装着状態ではバケット電磁弁と呼ばれる)のソレノイドを励磁し、当該電磁弁(バケット電磁弁)の開度を制御する。その結果、ブーム制御弁V1の受圧部にパイロット圧が作用し、当該ブーム制御弁V1の位置が切り換えられ、当該位置に応じてブームシリンダC1が伸縮するか、あるいは揺動制御弁V2の受圧部にパイロット圧が作用し、当該揺動制御弁V2の位置が切り換えられ、位置に応じてアタッチメント揺動シリンダC2が伸縮する。
【0039】
作業操作部材19Dを運転者が操作すると、作業操作部材19Dの操作量及び操作方向がポテンショメータにより検出され、検出された操作量及び操作方向は制御装置51に入力される。油圧制御部53は、作業操作部材19Dの操作量及び操作方向に応じて、ドーザ制御弁V3のドーザ電磁弁のソレノイドを励磁し、当該ドーザ電磁弁の開度を制御する
。その結果、ドーザ制御弁V3の受圧部にパイロット圧が作用し、当該ドーザ制御弁V3の位置が切り換えられ、当該位置に応じてドーザシリンダC3が伸縮する。
【0040】
以上のように、作業操作部材(作業操作部材19L、作業操作部材19R、作業操作部材19D)を操作することによって、機体2、ブーム21、アーム22、アタッチメント100(揺動のみ)、ドーザ装置18を操作することができる。
【0041】
制御装置51には、走行操作部材(走行操作部材20L、走行操作部材20R)が接続されている。走行操作部材20L及び走行操作部材20Rは、運転席4の前方に配置されている。走行操作部材20L及び走行操作部材20Rは、揺動量(操作量)を検出するポテンショメータ(検出装置)を有するレバーであって、前、後に揺動自在なレバーである。なお、走行操作部材20L及び走行操作部材20Rは、レバーに限るものではなく、例えばペダルであってもよい。
【0042】
走行操作部材20L及び走行操作部材20Rを運転者が操作すると、走行操作部材20L及び走行操作部材20Rの操作量及び操作方向がポテンショメータにより検出され、検出された操作量及び操作方向は制御装置51に入力される。油圧制御部53は、走行操作部材20Lの操作量及び操作方向に応じて、左走行制御弁V6の左走行電磁弁のソレノイドを励磁すると共に、走行操作部材20Rの操作量及び操作方向に応じて、右走行制御弁V5の右走行電磁弁のソレノイドを励磁する。その結果、右走行制御弁V5及び左走行制御弁V6の受圧部にパイロット圧が作用し、当該右走行制御弁V5及び左走行制御弁V6のそれぞれが切り換えられ、右用走行モータMR及び左用走行モータMLの回転方向が決定される。
【0043】
以上のように、作業操作部材(作業操作部材19L、作業操作部材19R、作業操作部材19D)及び走行操作部材(走行操作部材20L、走行操作部材20R)の操作時には、制御装置51がソレノイドの励磁及び消磁の制御信号を出力することによって、機体2、ブーム21、アーム22、アタッチメント100、ドーザ装置18、第1走行装置10R及び第2走行装置10Lを制御することができる。
【0044】
(管接合用のアタッチメント100について)
アタッチメント100について、
図3A~
図3Cを用いて説明する。
図3Aは、管接合用のアタッチメントを幅方向の一方から見た図である。
図3Bは、管接合用のアタッチメントの平面図である。
図3Cは、管接合用のアタッチメントを軸線方向の一方から見た図である。
【0045】
管W1及び被接合管W2は、例えば、所定の角度で屈曲可能な耐震型継手を有する耐震管である。なお、管W1及び被接合管W2は、耐震管以外の配管であってもよい。
【0046】
アタッチメント100は、
図3A~
図3Cに示すように、管W1を把持可能に構成されているとともに、把持した管W1を、上下方向に延びる回転軸線Qを中心として水平方向に回転可能であり且つ管W1の軸線方向に移動可能である。アタッチメント100は、アーム接続部111と、把持部112と、軸線方向移動機構113と、水平方向回動機構114と、接合機能部115とを備えている。
【0047】
アーム接続部111は、アタッチメント100の上端部に位置し、作業機1のアーム22の他端側に接続されている。アーム接続部111は、アーム22の他端側にボルトまたはピンによって接続されていてもよいし、嵌合部によって嵌合されていてもよい。アーム接続部111は、アーム22の他端側に対してどのような構成によって接続されていてもよい。
【0048】
把持部112は、軸線方向移動機構113によって、軸線方向に移動可能に支持されている。把持部112は、管W1を把持する。把持部112は、一対の把持爪121と、把持駆動部122とを有する。
【0049】
一対の把持爪121は、管W1を把持可能なように、軸線方向に直交する幅方向に並んで位置する。一対の把持爪121の基端側は、把持駆動部122に接続されている。一対の把持爪121は、把持駆動部122に対し、この基端側を中心として先端側が互いに近づく方向と離れる方向とに回転可能である。一対の把持爪121は、管W1を幅方向に挟み込む。
【0050】
本実施形態では、把持部112は、一対の把持爪121を2組有する。2組の一対の把持爪121は、把持駆動部122に対して、管W1の軸線方向に並んで配置されている。
【0051】
把持駆動部122は、一対の把持爪121の基端側に、この基端側を中心として一対の把持爪121の先端側が互いに近づく方向と離れる方向とに回転するような駆動力を与える。把持駆動部122は、例えば、作業機1の第1予備制御弁V7から第1制御弁V71を経て出力される油圧を用いて駆動力を生じさせているが、電動モータ等によって駆動力を生じさせてもよい。
【0052】
軸線方向移動機構113は、水平方向回動機構114によって、回転軸線Qを中心として水平方向に回転可能に支持されている。軸線方向移動機構113は、把持部112を、把持部112によって把持される管W1の軸線方向に移動させる。軸線方向移動機構113は、ガイド部131と、スライダ132と、軸線方向駆動部133とを有する。
【0053】
ガイド部131は、水平方向回動機構114に、回転軸線Qを中心として水平方向に回転可能に接続されている。ガイド部131は、例えば、管W1の軸線Lに沿って延びる一対のガイドレール131aを有する。すなわち、一対のガイドレール131aは、軸線方向に延びている。よって、本実施形態では、一対のガイドレール131aの長手方向は、軸線方向と一致している。ガイドレール131aは、軸線方向に見て、上下に幅方向に突出したフランジを有するH形鋼である。なお、ガイドレール131aは、H形鋼以外の部材であってもよい。
【0054】
スライダ132は、ガイド部131に対して、ガイド部131の長手方向、すなわち軸線方向に移動可能に設けられている。スライダ132は、ガイド部131の一対のガイドレール131aの下面及び側面を覆うように、断面略U字状に形成されている。すなわち、スライダ132は、底面132aと、底面132aから上方向に延びる一対の側面132bとを有する。スライダ132の一対の側面132bには、ローラ132cが回転可能に支持されている。ローラ132cは、一対のガイドレール131aのフランジ上を転がって移動する。
【0055】
軸線方向駆動部133は、ガイド部131に対して、スライダ132を、ガイド部131の長手方向、すなわち軸線方向に移動可能である。例えば、軸線方向駆動部133は、油圧シリンダである。この油圧シリンダには、例えば作業機1の第1予備制御弁V7から第2制御弁V72を経て出力される油圧が供給される。特に図示しないが、油圧シリンダのシリンダチューブは、接合機能部115を支持する支持部116を介して、ガイド部131に固定されている。油圧シリンダのピストンロッドは、スライダ132に固定されている。油圧シリンダは、ガイド部131の長手方向、すなわち軸線方向に延びるように配置されている。よって、油圧シリンダのピストンロッドがシリンダチューブに対して軸線方向に移動することにより、スライダ132をガイド部131に対して移動させることが
できる。
【0056】
これにより、アタッチメント100の把持部112によって把持された管W1を、軸線方向に移動させることができる。したがって、アタッチメント100によって、管W1の挿し口W1aを被接合管W2の受口W2a(
図6A~
図6C参照)に対して容易に位置決めできるとともに、管W1の挿し口W1aを被接合管W2の受口W2a内に容易に挿入することができる。
【0057】
水平方向回動機構114は、アーム接続部111を介して、作業機1のアーム22に接続されている。すなわち、水平方向回動機構114の上部には、アーム接続部111が固定されている。水平方向回動機構114の下部には、軸線方向駆動部133が回転軸線Qを中心として水平方向に回転可能に接続されている。水平方向回動機構114は、例えば、作業機1の第1予備制御弁V7から第3制御弁V73を経て出力される油圧を用いて、軸線方向駆動部133を、回転軸線Qを中心として水平方向に回転させる駆動力を生じさせている。
【0058】
これにより、水平方向回動機構114は、作業機1のアーム22に対して、アタッチメント100を、回転軸線Qを中心として水平方向に回転させることができる。したがって、作業機1を移動及び旋回させることなく、アタッチメント100の把持部112によって把持された管W1を地中の溝G内などに移動させることができる。
【0059】
接合機能部115は、把持部112に対して管W1の挿し口W1aの軸線方向に位置するように、支持部116によって、軸線方向移動機構113に固定されている。接合機能部115は、後述する
図6Bに示すように、把持部112によって把持された管W1の挿し口W1aを被接合管W2の受口W2aに対して位置決めする際に、被接合管W2の受口W2a側に接触する。
【0060】
支持部116は、例えば、軸線方向移動機構113のガイド部131に固定されている。支持部116は、支持本体116aと、接続支持部116bとを有する。支持本体116aは、平板状であり、軸線方向移動機構113のガイド部131に固定されている。接続支持部116bは、支持本体116aから下方に向かって延びている。接続支持部116bは、接合機能部115を支持している。
【0061】
接合機能部115は、軸線方向に見て、下方に向かって直線部115a同士の間隔が拡がる逆V字状に形成されている。具体的には、接合機能部115は、上端側が接続されているとともに下端側が幅方向に離間している一対の直線部115aを有する。一対の直線部115aの上端側は、支持部116の接続支持部116bの下端部に固定されている。接合機能部115がこのような構成を有することにより、被接合管W2の受口W2a側の外径が異なる場合でも、被接合管W2の受口W2a側の外周面に接合機能部115の直線部115aを接触させることができる。
【0062】
接合機能部115の一対の直線部115aは、被接合管W2の受口W2aを軸線方向に見て、被接合管W2の受口W2a側の外周面のうち、幅方向に対して斜め方向(例えば、幅方向に対して45度の方向)に位置する部分に接触する。これにより、アタッチメント100は、被接合管W2の受口W2aに対して幅方向及び該幅方向に直交する方向に位置決めされる。
【0063】
なお、接合機能部115の一対の直線部115aは、被接合管W2の受口W2a側の外周面のうち幅方向の一方または他方に位置する部分に接触してもよいし、被接合管W2の受口W2a側の外周面のうち前記幅方向に直交する方向に位置する部分に接触してもよい
。すなわち、接合機能部115は、受口W2aを被接合管W2の軸方向(軸線M)に見て、被接合管W2の受口W2a側の外周面のうち、幅方向及び前記幅方向に直交する方向の少なくとも一方に位置する部分に接触すればよい。接合機能部115の一対の直線部115aのうち一方が被接合管W2の受口W2a側の外周面に接触してもよい。
【0064】
上述のようにアタッチメント100が被接合管W2に対して幅方向及び該幅方向に直交する方向に位置決めされることにより、アタッチメント100の把持部112によって把持された管W1の挿し口W1aを、被接合管W2の受口W2aに対して幅方向及び該幅方向に直交する方向に位置決めできる。
【0065】
(操作装置5の把持作業操作部材について)
操作装置5は、
図2Bに示すように、把持作業操作部材(把持ボタン5a、操作レバー5b、自動把持作業ボタン5c、停止ボタン5d、モード設定ボタン5e)を備えている。把持作業操作部材は制御装置51に接続されている。
【0066】
操作レバー5bは、作業操作部材19Lとは別に運転席4の左側で運転者が左手で操作可能な位置に配置されている。操作レバー5bは、揺動量(操作量)を検出するポテンショメータ(検出装置)を有するレバーであって、前、後、右、左に揺動自在なレバーである。
【0067】
操作レバー5bが運転者によって操作されると、操作レバー5bの操作量及び操作方向がポテンショメータにより検出され、検出された操作量及び操作方向が制御装置51に入力される。油圧制御部53は、操作レバー5bの操作量及び操作方向(例えば、前方向又は後方向)に応じて、第2制御弁V72の電磁弁のソレノイドを励磁し、当該電磁弁の開度を制御する。その結果、第2制御弁V72の受圧部にパイロット圧が作用し、当該第2制御弁V72の位置が切り換えられ、当該位置に応じて軸線方向移動機構113が前方向又は後方向に移動する。また、油圧制御部53は、操作レバー5bの操作量及び操作方向(例えば、左方向又は右方向)に応じて、第3制御弁V73の電磁弁のソレノイドを励磁し、当該電磁弁の開度を制御する。その結果、第3制御弁V73の受圧部にパイロット圧が作用し、当該第3制御弁V73の位置が切り換えられ、当該位置に応じて水平方向回動機構114の回転方向が左回転又は右回転に切り換えられる。
【0068】
把持ボタン5a、自動把持作業ボタン5c、及び、停止ボタン5dは、操作レバー5bの上部に配置され、操作レバー5bを握っている左手の親指で押下可能な押しボタンである。
【0069】
把持ボタン5aを運転者が押下する毎に、把持ON信号又は把持OFF信号が制御装置51に入力される。油圧制御部53は、把持ON信号又は把持OFF信号に応じて、第1制御弁V71の電磁弁のソレノイドを励磁し、当該電磁弁の開度を制御する。その結果、第1制御弁V71の受圧部にパイロット圧が作用し、当該第1制御弁V71の位置が切り換えられ、当該位置に応じて把持部112(一対の把持爪121)が閉状態(管W1を把持する状態)又は開状態(管W1を把持していない状態)となる。
【0070】
モード設定ボタン5eは、操作レバー5bの上部に設けられたダイヤルスイッチであり、運転者による操作に従って、把持作業モード、クレーンモード、及び、バケットモードのいずれか一つが選択される。制御装置51には、モード設定ボタン5eにて選択されたモードを示すモード信号が入力される。把持作業モードは、アタッチメント100にて管W1の被接合管W2への接合作業を行うためのモードである。クレーンモードは、作業装置20が備える吊りフックによる吊り作業が可能なモードである。バケットモードは、バケットによる作業が可能なモードである。
【0071】
また、把持作業モードにおいて自動把持作業ボタン5cを運転者が押下すると、自動把持作業を指示する自動作業信号が自動把持作業ボタン5cから制御装置51に入力される。制御装置51は、自動作業信号に基づいて、アタッチメント100の自動把持作業を実行するように油圧制御部53を制御する。このアタッチメント100の自動把持作業は、アタッチメント100の管W1の把持作業(つまり、把持しようとする管W1の方に移動させて当該管W1を把持する作業)、アタッチメント100の寄せ目標位置PSへの移動作業(つまり、把持している管W1を作業開始位置PSwに移動させる作業)、アタッチメント100の目標位置PTへの移動作業(つまり、把持している管W1を作業開始位置PSwから接合開始位置PTwに降下させる作業)、及び、アタッチメント100の接合作業(つまり、管W1を被接合管W2に接合させる作業)がその順番に自動で実行される一連の作業である。
【0072】
なお、把持作業モードの作業を行う場合には、第1予備制御弁V7は開状態に操作される。例えば、把持作業モードが選択されたときに制御装置51が第1予備制御弁V7を開状態に制御するようにしてもよく、操作者がペダルや作業操作部材19に設けられているスライダー(図示せず)を操作することで第1予備制御弁V7を開操作するようにしてもよい。
【0073】
アタッチメント100の自動把持作業中に停止ボタン5dを運転者が押下すると、停止信号が停止ボタン5dから制御装置51に入力される。制御装置51は、停止信号に応じて、アタッチメント100の自動把持作業を停止させる。なお、制御装置51は、停止ボタン5dの再度の操作(つまり、再実行を指示する操作)があった場合に、アタッチメント100の自動把持作業を再開させてもよい。つまり、アタッチメント100の自動把持作業のうちで停止された作業を再開させて一連の作業を完遂させることができる。
【0074】
以上のように、運転者による把持ボタン5a及び操作レバー5bの手動操作時及び把持作業モードでの自動把持作業時には、制御装置51が、第1制御弁V71、第2制御弁V72及び第3制御弁V73のソレノイドの励磁及び消磁の制御信号を出力することによって、アタッチメント100の把持部112の開閉、軸線方向移動機構113の前後移動、水平方向回動機構114の回転を制御することができる。
【0075】
(表示装置70及び報知装置75について)
図2A、
図2Bに示すように、作業機1は、表示装置70を備えている。表示装置70は、表示部71を有し、作業機1に関する情報及び周辺情報などを表示可能である。表示部71は、液晶等のパネルから構成されている。例えば、表示部71は、
図2Cに示すように、作業機1の作業状態を示す画像を表示可能である。また、モード設定ボタン5eによって把持作業モード、クレーンモード、及び、バケットモードの何れか1つが選択されると、表示部71は、選択されたモードを表示してもよい。
図2Cでは、表示部71は、把持作業モードであることを示すメッセージM2を表示している。
【0076】
図2Cに示すように、表示装置70は、アタッチメント100の自動把持作業中であれば、自動把持の各制御状態の何れであるかを表示する。例えば、アタッチメント100の把持制御、寄せ目標位置PSへの移動制御、目標位置PTへの移動制御、及び、被接合管W2への接合制御の何れであるかが表示される。
図2Cでは、状態表示部71aが、自動把持の各制御状態に応じて変位可能であり、ここではアタッチメント100の寄せ目標位置PSへの移動制御(管W1の作業開始位置PSwへの移動制御)であることを表示している。なお、表示装置70は、停止ボタン5dの操作で停止又は再開があった場合に、その旨を表示部71に表示してもよい。
【0077】
作業機1は、報知装置75を備えている。報知装置75は、運転者に対して報知を行うための装置であり、例えば音出力装置(スピーカ、ブザーなど)、ライト(警告灯、室内灯、ブーム灯、前後照灯など)などである。報知装置75は、運転者だけでなく、作業機1の周辺にいる人などに音又は光による報知を行う装置であってもよい。
【0078】
(回転数制御部55及び速度制御部56について)
図2Aに示すように、制御装置51には、第1設定部材61と第2設定部材62とが接続されている。第1設定部材61は、原動機E1の回転数設定に関する選択を受け付ける部材(原動機E1の回転数を設定する部材)である。第2設定部材62は、油圧アクチュエータの速度設定に関する選択を受け付ける部材(油圧アクチュエータの速度を設定する部材)である。制御装置51は、回転数制御部55と、速度制御部56と、記憶部54とを備えている。
【0079】
回転数制御部55は、制御装置51に設けられたCPU(プロセッサ)、電子電気回路、プログラム等から構成されている。回転数制御部55は、第1設定部材61の操作信号に基づいて原動機E1の回転数を設定する。即ち、回転数制御部55は、第1設定部材61の操作に基づいて原動機E1の回転数を増減させる。
【0080】
速度制御部56は、制御装置51に設けられたCPU(プロセッサ)、電子電気回路、プログラム等から構成されており、第1設定部材61および第2設定部材62から入力される操作信号に基づいて作業速度を設定する。速度制御部56は、記憶部54から読み込んだ作業速度に基づいて、作業操作部材19L、19R、19Dの操作量に対応する制御信号を制御弁V1~V10の電磁弁に励磁して当該制御弁V1~V10を制御する。具体的には、速度制御部56は、制御弁V1~V10の開度を変更することで、各制御弁V1~V10に接続された油圧アクチュエータの最大速度を制御する。
【0081】
(座標系について)
図4Aは、各種の座標系及びアタッチメントによる管の把持接合作業を説明するための図である。作業機1に関しては、グローバル座標系と、作業機座標系と、後述する第1センシング装置81の座標系と、アタッチメント100の座標系とが存在する。
【0082】
グローバル座標系は、地球に固定された原点を基準とした、(Xg,Yg,Zg)で示される3次元の座標系である。グローバル座標系は、例えば、GNSS又はGPSにおける座標系である。
【0083】
作業機座標系は、作業機1を基準とした、(Xm,Ym,Zm)で示される3次元の座標系である。実施形態において、作業機座標系の原点位置PL1は、機体2の回転中心軸である軸Zmと、機体2のスイングサークル内において軸Zmと直交する平面との交点であるがこれに限定されない。軸Ymは、機体2の前後方向に延び、かつ軸Zmと直交する軸である。軸Ymは、機体2の前後方向における基準軸である。軸Xmは、軸Zm及び軸Ymと直交する、機体2の幅方向に延びる軸である。
【0084】
実施形態において、第1センシング装置81の座標系(カメラ座標系)は、カメラの撮像面の中心を原点とした、(Xc,Yc,Zc)で示される3次元の座標系である。カメラ座標系(Xc,Yc,Zc)のZc軸は、第1センシング装置81(カメラ)の光学中心を通り、かつ撮像面と直交する方向に延びる軸である。Yc軸は、Zc軸と直交する軸である。Xc軸は、Zc軸及びYc軸の両方と直交する軸である。
【0085】
アタッチメント100の座標系は、アタッチメント100を基準とした、(Xa,Ya,Za)で示される3次元の座標系である。実施形態において、アタッチメント100の
座標系の原点位置PL2は、アタッチメント100の回転軸線Qである軸Zaと、軸Zaと直交し且つ水平方向回動機構114による回動中心との交点であるがこれに限定されない。軸Yaは、アタッチメント100の前後方向に延び、かつ軸Zaと直交する軸である。軸Xaは、軸Za及び軸Yaと直交する、アタッチメント100の幅方向に延びる軸である。
【0086】
(管W1及び被接合管W2の位置検出する装置について)
さて、作業機1は、
図2Bに示すように、第1センシング装置81、第2センシング装置82、及び、位置取得装置83を備え、これらが制御装置51に接続されている。
【0087】
第1センシング装置81は、
図1に示すように、アタッチメント100に設けられている。第1センシング装置81は、アタッチメント100が把持している接合部材(管W1)における被接合部材(被接合管W2)に対する接合部の位置(つまり、管W1の一端部W1bの位置)を認識する。この実施形態では、第1センシング装置81は、カメラ(例えば、CCDカメラ)としているが、LiDAR(ライダー:Laser Imaging Detection and Ranging)、TOF(Time Of Flight)カメラなどであってもよい。
【0088】
図3A~
図3Cに示すように、第1センシング装置81(カメラ)は、例えば、支持部116の支持本体116aの下面に設けられている。このカメラの撮像範囲には、把持部112の外側で且つ管W1と同程度の高さ位置に設けられた基線マークMK(既知の長さを示すマーク)と、把持部112が把持している管W1の一端部W1bの位置とが含まれる。即ち、撮像画像には、基線マークMKの画像と把持している管W1の一端部W1bの画像とが含まれる。このため、基線マークMKの両端に位置する基点と把持部112の端部と把持している管W1の一端部W1bとを用いて三角測量方式により、把持部112が把持している管W1の一端部W1bの位置を検出することができる。また、基線マークMKの画像と管W1の一端部W1bの画像との相対距離を画像処理にて演算することにより、把持している管W1の一端部W1bの位置を検出してもよい。また、カメラの撮像範囲には、接合機能部115と、把持部112の少なくとも一部(接合機能部115に近い側の端部)とが含まれ、撮像された接合機能部115と把持部112とを結ぶ軸線方向長さ(既知の長さ)と、把持部112が把持している管W1の一端部W1bとの関係に基づいて、把持部112が把持している管W1の一端部W1bの位置を検出してもよい。この場合には、把持部112に基線マークMKを設けなくてもよい。
【0089】
また、第1センシング装置81がTOF(Time Of Flight)カメラ又はLiDARである場合には、測距機能により、把持部112が把持している管W1の一端部W1bの位置を検出することができる。なお、第1センシング装置81は、アタッチメント100に設けられているが、これに限定されず、ブーム21又はアーム22に設けられてもよい。
【0090】
位置取得装置83は、
図1A、
図4Aに示すように、被接合部材(被接合管W2)における接合部(管W1の一端部W1b)が接合される被接合部(つまり、被接合管W2の一端部W2b)の位置を取得する。位置取得装置83は、例えば、LiDAR、TOFカメラ、カメラ(CCDカメラ)などであり、アタッチメント100に設けられている。例えば、位置取得装置83は、第1センシング装置81と同じ場所に配置(横並びに近接して配置)されている。なお、位置取得装置83は、アタッチメント100に設けられているが、これに限定されず、ブーム21又はアーム22に設けてもよい。また、位置取得装置83は、撮像手段の撮像結果に基づいて被接合管W2の一端部W2bの位置を取得するものに限らず、例えば、レーザー光、ミリ波等の電磁波、或いは超音波を利用して距離を計測する測距センサであってもよい。
【0091】
第2センシング装置82は、本体30及びアタッチメント100の姿勢を検出する。第
2センシング装置82は、例えば、慣性計測ユニット(IMU)、ポテンショメータである。また、ポテンショメータに替えてシリンダストロークセンサを用いてもよい。慣性計測ユニット(IMU)は、例えば、本体30に設けられ、作業機1(本体30)のロール角、ピッチ角、及び、ヨー角を求めることができる。ポテンショメータは、ブーム角度センサ91、アーム角度センサ92、作業具角度センサ93、及び、スイング角度センサ94であり、作業装置20又は機体2の各位置に設けられている。
【0092】
図1Aに示すように、ブーム角度センサ91は、ブーム21の揺動角度θ2(回動位置)を検出する。アーム角度センサ92は、アーム22の揺動角度θ3(回動位置)を検出する。作業具角度センサ93は、アーム22の先端部に対するアタッチメント100(或いはバケット)の第3回転軸J3の周りの揺動角度θ4(回動位置)を検出する。スイング角度センサ94は、スイングブラケット24の揺動角度θ1(回動位置)を検出する(揺動角度θ1については、
図4Aを参照)。
図2Aに示すように、制御装置51には、ブーム角度センサ91とアーム角度センサ92と作業具角度センサ93とスイング角度センサ94とが接続されている。
【0093】
本実施形態では、ブーム角度センサ91、アーム角度センサ92、作業具角度センサ93、及びスイング角度センサ94としてポテンショメータを用いているが、これに限らず、他の角度センサを用いてもよい。また、シリンダストロークセンサを用いて、ブームシリンダC1、アームシリンダC9、アタッチメント揺動シリンダC2、及びスイングシリンダC4のストローク(伸長位置)を検出し、その検出結果からブーム21、アーム22、アタッチメント100(或いはバケット)、及びスイングブラケット24の揺動角度を算出するようにしてもよい。
【0094】
記憶部54は、作業機1に関するデータ(作業機データ)を記憶している。作業機データには、
図1Aに示されるように、ブーム21の長さL11、アーム22の長さL12、アタッチメント100の長さL13、及びスイングブラケット24の長さL14が含まれる。ブーム21の長さL11は、第1回転軸J1から第2回転軸J2までの長さに相当する。アーム22の長さL12は、第2回転軸J2から第3回転軸J3までの長さに相当する。アタッチメント100の長さL13は、第3回転軸J3からアタッチメント100の座標系の原点位置PL2までの長さに相当する。スイングブラケット24の長さL14は、第1回転軸J1からスイングブラケット24の回動中心までの長さに相当する。さらに、作業機データには、作業機座標系の原点位置PL1(例えば旋回軸心位置)に対するスイングブラケット24の回動中心までの位置の情報と、アタッチメント100の座標系の原点位置PL2から把持部112の軸線方向の先端位置PRまでの位置の情報とが含まれる。把持部112の先端位置PRは、接合機能部115に近い先端である。制御装置51は、長さL11、L12、L13、L14、各位置の情報、揺動角度θ1、θ2、θ3、θ4及び原点位置PL1、PL2を用いて、原点位置PL1に対する把持部112の先端位置PRを求めることができる。つまり、作業機座標系における把持部112の先端位置PRを求めることができる。
【0095】
なお、スイングブラケット24を軸Ym(機体2の前後方向)に固定して使用する場合又はスイング機能を有しない作業機1であれば、制御装置51は、長さL11、L12、L13、各位置の情報(但し、作業機座標系の原点位置PL1に対するスイングブラケット24の回動中心までの位置の情報に替えて、作業機座標系の原点位置PL1に対する第1回転軸J1までの位置の情報を用いる)、揺動角度θ1、θ2、θ3及び原点位置PL1、PL2を用いて、原点位置PL1に対する把持部112の先端位置PRを求めることができる。
【0096】
詳述すると、第1センシング装置81は、アタッチメント100が把持している管W1
の一端部W1bの位置、即ち、第1センシング装置81の座標系における位置を認識するが、
図1に示す原点位置PL2から第1センシング装置81の座標系の原点までの位置の情報と作業機座標系とに基づいて、作業機座標系における当該一端部W1bの位置を認識してもよい。
【0097】
また、位置取得装置83は、被接合管W2の一端部W2bの位置、即ち、位置取得装置83の座標系(第1センシング装置81の座標系とほぼ同じ)における位置を認識するが、
図1に示す原点位置PL2から位置取得装置83の座標系(=第1センシング装置81の座標系)の原点までの位置の情報と作業機座標系とに基づいて、作業機座標系における当該被接合管W2の一端部W2bの位置を認識してもよい。
【0098】
(作業機1の測位構成について)
作業機1は、測位装置85を備えている。測位装置85は、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、測位装置85は、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)をアンテナ等によって受信する受信装置を備え、衛星信号に基づいて、作業機1の位置(例えば、緯度、経度)、即ち、車体位置を検出する。測位装置85の受信装置は、保護機構6の上面(例えば
図1Bに示す軸Zm上の位置)に取付けられている。なお、受信装置の取付箇所は、実施形態に限定されない。なお、グローバル座標系における作業機1の位置を取得(検出)する必要がない場合には、作業機1は、測位装置85を備えてなくてもよい。
【0099】
制御装置51は、設定部57及び座標算出部58を備えている。設定部57は、相対位置算出部59を備えているが、設定部57とは別に相対位置算出部59を設けてもよい。設定部57、座標算出部58、及び相対位置算出部59は、制御装置51に設けられたCPU(プロセッサ)、電子電気回路、プログラム等から構成されている。設定部57、座標算出部58、及び相対位置算出部59について、管W1の把持制御、把持している管W1の作業開始位置PSwへの移動制御、把持している管W1の作業開始位置PSwから接合開始位置PTwへの降下作業ごとに分けて以下に説明する。
【0100】
(管W1の把持制御に関する構成)
ここでは、
図4Aに示すように、溝G以外の置き場所に置かれた管W1をアタッチメント100にて把持しようとする場合に、運転者の操作により作業装置20(例えばブーム21及びアーム22など)及び機体(旋回台)2が駆動されることで、第1センシング装置81が管W1の認識可能な範囲に位置し、第1センシング装置81によって管W1が認識されているとする。第1センシング装置81によって管W1が認識されている場合には、運転者の操作は不要である。また、第1センシング装置81が広角カメラ、TOF(Time Of Flight)カメラ、LiDARなどであって、認識エリアが広範囲である場合には、第1センシング装置81を管W1の認識可能な範囲に位置させるための運転者の操作は不要である。
【0101】
例えば、第1センシング装置81は、把持しようとする管W1の一端部W1bの位置PW1bを認識する。位置PW1bは、グローバル座標系では座標(Xgw1b,Ygw1b,Zgw1b)であり、作業機座標系では座標(Xmw1b,Ymw1b,Zmw1b)である。このとき、他端の位置PW1cも認識してもよい。なお、管W1’を把持しようとする場合には、第1センシング装置81は、把持しようとする管W1’の一端部の位置PW1b’を認識する。このとき、他端の位置PW1c’も認識してもよい。
【0102】
設定部57は、第1センシング装置81による認識結果に基づいて、アタッチメント100による管W1の把持位置PGを設定する。例えば、設定部57は、第1センシング装
置81にて認識された管W1の一端部W1bの位置から所定距離離れた位置(所定距離手前の位置)を把持位置PGとして設定する。詳述すると、設定部57は、第1センシング装置81(カメラ)が撮像した撮像画像を用いて、管W1の一端部W1bの位置から所定距離手前の位置を把持位置PGに設定する。
【0103】
なお、設定部57は、アタッチメント100にて管W1を把持した状態で当該管W1の一端部W1bを第1センシング装置81によって認識可能な位置に、把持位置PGを設定してもよい。
【0104】
また、設定部57は、把持部112が管W1を把持している状態において当該管W1の一端部W1bの位置と接合機能部115とが所定の離間距離となる位置に、把持位置PGを設定してもよい。離間距離は、軸線方向移動機構113のスライダ132が前方向に移動する距離(つまり、管W1を被接合管W2に接合させるための移動距離)よりも短い距離である。
【0105】
設定部57は、把持部112で管W1を把持したときに当該管W1の一端部W1bの位置と接合機能部115との距離が所定の離間距離となる位置に、把持位置PGを設定してもよい。
【0106】
図4Cは、管接合用のアタッチメントを把持前位置に位置させた状態を示す図である。
図4Dは、把持前位置において把持部の向きが調整されることを示す図である。制御装置51は、
図4Cに示すように、把持しようとする管W1の設定された把持位置PGの上方の把持前位置PPGにアタッチメント100を位置させて、第1センシング装置81による認識結果に基づいて、把持しようとする管W1の管軸方向を取得し、
図4Dに示すように、当該取得した管軸方向と直交する方向ADに把持部112の把持方向GDを一致させるように水平方向回動機構114を制御して把持部112を水平方向に回動させる。つまり、把持部112が角度θだけ水平方向に回動されることにより、管W1の管軸方向に直交する方向ADと把持部112の把持方向GDとが一致した状態(
図4Dに実線で示す把持部112の状態)になる。
【0107】
座標算出部58は、第1センシング装置81での認識結果と第2センシング装置82での検出結果とに基づいて、作業機座標系における、アタッチメント100にて把持しようとする管W1の一端部W1bの位置の座標と、アタッチメント100の位置の座標とを算出する。
【0108】
相対位置算出部59は、アタッチメント100の位置の座標から把持しようとする管W1の一端部W1bの位置の座標までの相対位置を算出する。
【0109】
設定部57は、把持しようとする管W1の設定された把持位置PGに対向する位置(例えば、上方の位置)の座標を、把持前位置PPGに設定し、把持しようとする管W1の一端部W1bの位置に対して所定距離手前の位置の座標を、把持位置PGに設定する。
【0110】
例えば、制御装置51は、相対位置算出部59が算出した相対位置と、設定部57が設定した把持位置PG及び把持前位置PPGとに基づいて、アタッチメント100を、把持しようとする管W1の把持位置PGとその直前の把持前位置PPGに移動させるための、走行装置10、旋回モータMT、スイングシリンダC4、ブームシリンダC1及びアームシリンダC9の各アクチュエータの移動制御量をそれぞれ演算し、演算した移動制御量で各アクチュエータを駆動させることにより、アタッチメント100を、把持しようとする管W1の把持前位置PPGを経て把持位置PGに移動させる。
【0111】
図4Aの場合では、制御装置51は、
図4Aに示すアタッチメント100の位置から、管W1の把持位置PGの上方の把持前位置PPGまで移動させるために、スイングブラケット24の揺動角度θ1から把持位置PGに向かう揺動角度に変更するためのスイングシリンダC4の伸縮制御量(移動制御量)と、
図4Aに示す状態のブーム21及びアーム22を、把持位置PGの上方の把持前位置PPGに位置させるためのブームシリンダC1及びアームシリンダC9の各の伸縮制御量(移動制御量)とを演算する。なおここでは、走行装置10及び旋回モータMTを駆動する必要がないので、これらの移動制御量はゼロである。なお、スイングシリンダC4に替えて旋回モータMTを駆動させることで、スイングブラケット24を把持位置PGに向かう揺動角度に変更してもよい。
【0112】
制御装置51は、把持部112を閉状態にしてアタッチメント100を把持前位置PPGに移動させ、アタッチメント100が把持前位置PPGに移動されると把持部112を開状態にし、把持部112が開状態とされるとアタッチメント100を把持位置PGに移動させ、アタッチメント100が把持位置PGに移動されると把持部112を閉状態にするように、アタッチメント100及び作業装置20を制御する。
【0113】
把持部112の閉状態は、一対の把持爪121同士の間隔を開状態よりも狭くして一対の把持爪121で管W1を挟んだ状態である。
【0114】
なお、把持部112の閉状態は、一対の把持爪121を完全に閉じた状態であり、且つ、一対の把持爪121が完全に閉じた状態において把持しようとする管W1が保持可能な状態であるとしてもよい。また、把持部112の閉状態は、一対の把持爪121による把持力が、把持しようとする管W1を保持するための規定値に到達した状態であるとしてもよい。また、把持部112の閉状態は、一対の把持爪121の角度又は位置が、把持しようとする管W1を保持するための閾値に到達した状態であるとしてもよい。
【0115】
また、第1センシング装置81は、アタッチメント100が把持位置PGに移動されて把持部112が閉状態になると、当該把持部112にて把持されている管W1の一端部W1bの位置を認識する。制御装置51は、第1センシング装置81にて把持後に認識された、把持部112が把持している管W1の一端部W1bの位置が、設定部57にて設定された把持位置PGにて把持されている場合の管W1の一端部W1bの位置に対して規定値以上のずれがある場合に、把持部112による管W1の再把持を実行する。
【0116】
制御装置51は、把持部112を開状態にし、そのずれを低減する方向にアタッチメント100を移動させてから、把持部112を閉状態にする。第1センシング装置81は、把持部112が閉状態になると、当該把持部112にて把持されている管W1の一端部W1bの位置を認識する。
【0117】
(把持している管W1の作業開始位置PSwへの移動制御に関する構成)
設定部57は、第1センシング装置81による認識結果に基づいて、
図1A、
図4Aに示すように、アタッチメント100の寄せ目標位置PSを溝Gの上方に設定する。具体的には、設定部57は、第1センシング装置81による認識結果に基づいて、アタッチメント100の移動先である寄せ目標位置PSを、アタッチメント100が把持している管W1の一端部W1bが被接合管W2の近傍に設定される作業開始位置PSwに配置されるように当該管W1を移動させるための位置に設定する。例えば、設定部57は、寄せ目標位置PSを、被接合管W2の近傍の地表面上、被接合管W2が配設された溝Gの近傍の地表面上、又は被接合管W2の近傍の地表面上に配置された載置台上などに設定する。
【0118】
例えば、設定部57は、第1センシング装置81による認識結果に基づいて、
図1A、
図6Aに示すように、アタッチメント100が把持している管W1の作業開始位置PSw
を、被接合管W2が配置されている対象領域(例えば、溝G)に対応する位置に設定する。例えば
図4Aに示す仮置き場所に置かれた管W1を把持した後に、把持している管W1を、溝Gの上方の作業開始位置PSwに移動させるための設定及び移動制御が行われる。
【0119】
制御装置51は、管W1を把持しているアタッチメント100を、設定部57にて設定された寄せ目標位置PSに移動させるように、作業装置20を制御する。
【0120】
アタッチメント100が寄せ目標位置PSに位置すると、アタッチメント100が把持している管W1の一端部W1bが、溝Gの上方の作業開始位置PSwに位置することになる。作業開始位置PSwは、アタッチメント100が把持している管W1を被接合管W2に接合する接合動作を開始するための位置である接合開始位置PTwよりも上方の目標上方位置PUよりも上方の位置である。設定部57は、第1センシング装置81による認識結果と、位置取得装置83にて取得した被接合管W2の一端部W2bの位置とに基づいて、作業開始位置PSwを、管W1の一端部W1bが被接合管W2の一端部W2bの近傍に配置される位置に設定する。
【0121】
位置取得装置83は、溝Gにおける被接合管W2の一端部W2bを検出して当該被接合管W2の一端部W2bの位置を取得する。例えば、位置取得装置83は、撮像手段による被接合管W2の撮像結果、又は測距センサによる測距結果に基づいて被接合管W2の位置を取得する。
【0122】
なお、位置取得装置83は、被接合管W2の位置を示す3次元設計データに基づいて被接合管W2の位置を取得してもよい。例えば、位置取得装置83は、溝Gに対する管W1の施工を定めた3次元設計データを用いてグローバル座標系における被接合管W2の一端部W2bの位置の座標(例えば
図4Aでは、グローバル座標系での座標(Xgw2b,Ygw2b,Zgw2b))を特定することにより、当該被接合管W2の一端部W2bの位置を取得する。また、位置取得装置83は、地中レーダにより、地中に埋設された被接合管W2の位置を検出した結果に基づいて被接合管W2の位置を取得してもよい。
【0123】
位置取得装置83は、前記被接合部材(前回の管W1)を第2被接合部材(被接合管W2)に接合し、被接合管W2に接合された前記被接合部材(前回の管W1)に前記接合部材(次の管W1)を接合する場合に、前記第2被接合部材(被接合管W2)における前記被接合部材(前回の管W1)が接合される部位である第2被接合部の位置と、前記被接合部材(前回の管W1)における前記第2被接合部材と接合される部位である前記第2被接合部から前記被接合部までの寸法情報とに基づいて前記被接合部(前回の管W1)の位置を取得してもよい。
【0124】
例えば、位置取得装置83は、
図4に示すように、グローバル座標系における前回の接合先である被接合管W2の一端部W2bの位置(つまり、第2座標PB1の位置)に、前回に接合した管W1の管軸寸法を加算した位置を、今回の被接合管W2の一端部W2bの位置PB2として取得するとしてもよい。
図4Bは、管を被接合管に接合した状態を示す図である。
図4Bに示すように、管軸寸法として、実効管軸寸法L3(=L1-L2)、つまり、管W1の管軸寸法L1から、当該管W1の被接合管W2に挿入された部分の管軸方向長さL2を引いた寸法を用いる場合には、今回の被接合管W2の一端部W2bの位置をさらに正確に算出することができる。
【0125】
座標算出部58は、第1センシング装置81での認識結果と第2センシング装置82での検出結果とに基づいて、作業機座標系における、アタッチメント100が把持している管W1の一端部W1bの位置の座標を示す第1座標PA1(
図1Aを参照)を算出する。
【0126】
位置取得装置83は、被接合管W2の一端部W2bの位置の座標を示す第2座標PB1を取得する(
図1Aを参照)。設定部57は、作業開始位置PSwを、位置取得装置83が取得した第2座標PB1の上方の位置の座標を示す第3座標PC1(
図6Aを参照)に設定する。位置取得装置83は、例えば、作業機座標系における第2座標PB1及び第3座標PC1を設定する。
【0127】
相対位置算出部59は、第1座標PA1を基準として第3座標PC1までの相対位置を算出する。設定部57は、第2センシング装置82により検出したアタッチメント100の位置と前記相対位置とに基づいて寄せ目標位置PSを設定する。制御装置51は、設定部57にて設定された寄せ目標位置PSに、アタッチメント100を移動させるように、作業装置20を制御する。
【0128】
制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1を作業開始位置PSwに移動させるための、走行装置10、旋回モータMT、スイングシリンダC4、ブームシリンダC1及びアームシリンダC9の各アクチュエータの移動制御量をそれぞれ演算し、演算した移動制御量で各アクチュエータを駆動させることにより、アタッチメント100が把持している管W1を作業開始位置PSwに移動させる。
【0129】
制御装置51は、アタッチメント100を、仮置き場で管W1を把持した位置から寄せ目標位置PSに移動させる場合に、各アクチュエータのうちで駆動対象となっている複数のアクチュエータの各移動速度を、移動開始から移動終了まで、同一速度又は所定範囲内の速度でそれぞれ動作させるように制御する。
【0130】
制御装置51は、アタッチメント100を寄せ目標位置PSに移動させる場合に、駆動対象となっている各アクチュエータのうちの一部または全部の移動終了タイミングが略一致する(予め定めた終了時間幅内に含まれる)ように当該各アクチュエータの移動速度をそれぞれ設定する。例えば、制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1を作業開始位置PSwに移動させる場合に、駆動対象となっている複数のアクチュエータの一方が他方よりも先に移動終了となると判定すると、当該一方の移動速度を低減して駆動対象となっている複数のアクチュエータの移動期間を揃える。例えば、各アクチュエータの移動制御量には、移動距離と移動速度(又は移動角度と角速度)とがそれぞれ含まれる。制御装置51は、アクチュエータごとに移動時間(=移動距離÷移動速度、又は移動角度÷角速度)を算出し、他のアクチュエータよりも移動時間が小さいアクチュエータを先に移動終了となるアクチュエータとして判定し、先に移動終了となるアクチュエータの移動時間を他のアクチュエータの移動時間に合わせることで、各アクチュエータの移動期間を揃えることができる。
【0131】
制御装置51は、アタッチメント100が寄せ目標位置PSに到達する直前の位置に設定される手前位置から、アタッチメント100の移動速度を低下(例えば、速度制御部56が、駆動対象のアクチュエータの移動速度を低下)させ、アタッチメント100を寄せ目標位置PSで停止させるように作業装置20を制御する。
【0132】
(把持している管W1の接合開始位置PTwへの移動制御に関する構成)
図6Aは、管接合用のアタッチメントが把持している管を作業開始位置から接合開始位置に移動させる様子を示す図である。つまり、
図6Aでは、アタッチメント100が寄せ目標位置PSから目標位置PTに移動されることを示している。
【0133】
設定部57は、第1センシング装置81による認識結果に基づいて、アタッチメント100の移動先である目標位置PTを、管W1の一端部W1bを被接合管W2に接合する接合動作を開始するための位置である接合開始位置PTwに移動させるための位置に設定す
る。接合開始位置PTwは、軸線方向移動機構113のスライダ132が前方向に移動することで、把持部112が把持している管W1の一端部W1bを被接合管W2の一端部W2bに接合できる位置である。別の言い方をすれば、接合開始位置PTwは、被接合管W2の一端部W2bから軸線方向移動機構113の移動範囲内の位置である。
【0134】
座標算出部58は、第1センシング装置81での認識結果と第2センシング装置82での検出結果とに基づいて、作業機座標系における、アタッチメント100が把持している管W1の一端部W1bの位置の座標を示す第1座標PA1を算出する。位置取得装置83は、作業機座標系における、被接合管W2の一端部W2bの位置の座標を示す第2座標PB1を取得する。設定部57は、第2座標PB1に基づいて作業機座標系における接合開始位置PTwの座標である接合開始位置座標PA2を設定する。設定部57の相対位置算出部59は、第1座標PA1を基準として接合開始位置座標PA2までの相対位置を算出する。設定部57は、第2センシング装置82により検出したアタッチメント100の位置と相対位置算出部59が算出した相対位置とに基づいて、アタッチメント100の目標位置PTを設定する。アタッチメント100の目標位置PTは、アタッチメント100が把持している管W1の一端部W1bが接合開始位置PTwとなる位置である。
【0135】
制御装置51は、アタッチメント100を寄せ目標位置PSから目標位置PTに移動させる(つまり、アタッチメント100が把持している管W1を作業開始位置PSwから接合開始位置PTwに移動させる)ための、ブームシリンダC1及びアームシリンダC9の各アクチュエータの移動制御量をそれぞれ演算し、演算した移動制御量で各アクチュエータを駆動させることにより、アタッチメント100を寄せ目標位置PSから目標位置PTに移動させる。言い換えれば、アタッチメント100が把持している管W1を作業開始位置PSwから接合開始位置PTwに降下させるだけであるので、走行装置10、旋回モータMT、及び、スイングシリンダC4の各アクチュエータの移動制御量はゼロである。つまり、これらのアクチュエータは駆動されない。
【0136】
制御装置51は、アタッチメント100を寄せ目標位置PSから目標位置PTに移動させるように、作業装置20を制御する。
【0137】
また、制御装置51は、アタッチメント100を寄せ目標位置PSから目標位置PTに移動させる場合に、ブーム21及びアーム22の各移動速度を、移動開始から移動終了まで、同一速度又は所定範囲内の速度でそれぞれ動作させるように制御する。また、制御装置51は、アタッチメント100を寄せ目標位置PSから目標位置PTに移動させる場合に、ブーム21及びアーム22の各移動速度に替えて、ブームシリンダC1及びアームシリンダC9の各シリンダ速度を、移動開始から移動終了まで、同一速度又は所定範囲内の速度でそれぞれ動作させるように制御してもよい。
【0138】
制御装置51は、アタッチメント100を目標位置PTに移動させる場合に、移動終了タイミングが略一致する(予め定めた終了時間幅内に含まれる)ようにブーム21及びアーム22の移動速度をそれぞれ設定する。例えば、制御装置51は、アタッチメント100を寄せ目標位置PSから目標位置PTに移動させる場合に、ブーム21及びアーム22の一方が他方よりも先に移動終了となると判定すると、当該一方の移動速度を低減してブーム21及びアーム22の移動期間を揃えるように制御する。また、制御装置51は、アタッチメント100を寄せ目標位置PSから目標位置PTに移動させる場合に、ブームシリンダC1及びアームシリンダC9の一方が他方よりも先に移動終了となると判定すると、当該一方の移動速度を低減してブームシリンダC1及びアームシリンダC9の移動期間を揃えるように制御してもよい。
【0139】
設定部57は、目標位置PTの略鉛直上方に目標上方位置PU(
図6Aを参照)を設定
する。例えば、設定部57は、相対位置算出部59が算出した相対位置に基づいて、目標位置PTの上方で且つ被接合管W2よりも高い位置である目標上方位置PU(
図6Aを参照)を設定する。制御装置51は、アタッチメント100を目標上方位置PUから目標位置PTに略鉛直方向に降下させるように、作業装置20を制御する。即ち、制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1を、上方位置PUwに位置させた後に、上方位置PUwから接合開始位置PTwに略鉛直方向に降下させるように、作業装置20を制御する。
【0140】
制御装置51は、アタッチメント100が目標位置PTに到達する直前の位置に設定される手前位置から、アタッチメント100の移動速度を徐々に低下させ、アタッチメント100を目標位置PTで停止させる。例えば、制御装置51は、目標位置PTの予め定められた手前位置から、アタッチメント100の移動速度を低下させて目標位置PTで停止させるように、作業装置20を制御する。即ち、制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1の移動速度を低下(例えば、速度制御部56が、駆動対象のアクチュエータの移動速度を低下)させ、当該管W1を接合開始位置PTwで停止させるように、作業装置20を制御する。
【0141】
なお、制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1の一端部W1bが、接合開始位置PTwよりも被接合管W2の一端部W2bに近い超過位置PT1wに位置する場合、当該管W1の一端部W1bを超過位置PT1wから接合開始位置PTw(アタッチメント100で言えば目標位置PT)に戻す方向に移動又は当該管W1の一端部W1bを超過位置PT1wで停止させるように、作業装置20を制御する。
【0142】
設定部57は、相対位置算出部59が算出した相対位置に基づいて、被接合管W2に対して目標位置PTよりも所定距離だけ離間した位置である事前目標位置を設定してもよい。この場合には、制御装置51は、アタッチメント100を、事前目標位置に位置させた後に、事前目標位置から目標位置PTに移動させるように、作業装置20を制御する。
【0143】
なお、記憶部54は、設定部57が設定した各種の位置(把持位置PG、寄せ目標位置PS、目標上方位置PU、及び目標位置PTなど)、管W1の各種の位置(作業開始位置PSw、接合開始位置PTw、超過位置PT1wなど)、各種の座標データ(第1座標PA1、第2座標PB1、第3座標PC1、接合開始位置座標PA2など)を記憶している。
【0144】
(把持している管W1の被接合管W2への接合制御に関する構成)
図6Bは、管接合用のアタッチメントが把持している管が接合開始位置に位置した様子を示す図である。
図6Cは、管接合用のアタッチメントが把持している管を被接合管に接合させた様子を示す図である。
図6Bに示すように、把持している管W1が接合開始位置PTwに位置している状態にあれば、アタッチメント100のみを駆動させることで、
図6Cに示すように、把持している管W1を接合開始位置PTwから被接合管W2に接合することができる。具体的には、軸線方向移動機構113のスライダ132が前方向に移動することで、把持部112が把持している管W1の一端部W1bが被接合管W2の一端部W2bに挿入され、当該管W1が被接合管W2に接合される。
【0145】
ここで、作業機1による管接合用のアタッチメント100の自動把持接合処理について、
図5A~
図5Gを用いて説明する。
図5Aは、作業機による管接合用のアタッチメントの自動把持接合処理の一例を示すフローチャートである。把持作業モードにおいて運転者により自動把持作業ボタン5cが押下されると、制御装置51は、
図5Aに示すように、管W1の把持、把持している管W1の作業開始位置PSwを経て目標位置PTへの移動、管W1の被接合管W2への接合という一連の作業を実行させる。
【0146】
まず、制御装置51は、管W1の把持制御を行う(S1)。把持制御(S1)は、
図5Bに示すフローチャートに従って実行される。
図5Bは、管の把持制御の一例を示すフローチャートである。
【0147】
第1センシング装置81は、把持しようとする管W1の一端部W1bの位置を認識する(S10)。なお、報知装置75は、第1センシング装置81による管W1の一端部W1bの位置を認識に失敗した場合に、音、光、または表示により報知する。詳述すると、制御装置51は、第1センシング装置81が仮置き場に向けられていない場合(例えば、カメラ画像に管W1の一端部W1bを示す画像が含まれていない場合)、管W1が含まれているが一端部W1bが隠れて見えない場合、又は、管W1bが仮置き場に置かれていない場合には、運転者にその旨を報知装置75又は表示装置70によって報知させる。そして、制御装置51は、第1センシング装置81が仮置き場に向けられるように作業装置20(例えばブーム21及びアーム22など)及び機体(旋回台)2の駆動させる操作を促したり(つまり、第1センシング装置81が仮置き場を検出するように駆動させる)、仮置き場に管W1があるがその一端部W1bが隠れて見えないことを報知したり、管W1が仮置き場に配置されていないことを報知したりしてもよい。
【0148】
第2センシング装置82は、本体30及びアタッチメント100の姿勢を検出する(S11)。座標算出部58は、第1センシング装置81での管W1の一端部W1bの位置の認識結果と第2センシング装置82での検出結果とに基づいて、作業機座標系における、アタッチメント100にて把持しようとする管W1の一端部W1bの位置の座標を算出する(S12)。
【0149】
座標算出部58は、第2センシング装置82での検出結果に基づいて、作業機座標系における、アタッチメント100の位置の座標を算出する(S13)。相対位置算出部59は、アタッチメント100の位置の座標から把持しようとする管W1の一端部W1bの位置の座標までの相対位置を算出する(S14)。
【0150】
設定部57は、把持しようとする管W1の設定された把持位置PGの上方の位置の座標を、把持前位置PPGに設定し、把持しようとする管W1の一端部W1bの位置に対して所定距離手前の位置の座標を、把持位置PGに設定する(S15)。
【0151】
制御装置51は、相対位置算出部59が算出した相対位置と、設定部57が設定した把持位置PG及び把持前位置PPGとに基づいて、アタッチメント100を、把持しようとする管W1の把持位置PGとその直前の把持前位置PPGに移動させるための、走行装置10、旋回モータMT、スイングシリンダC4、ブームシリンダC1及びアームシリンダC9の各アクチュエータの移動制御量をそれぞれ算出する(S16)。
【0152】
制御装置51は、把持位置PGへの移動制御を行う(S17)。制御装置51は、演算した移動制御量で各アクチュエータを駆動させることにより、アタッチメント100を、把持しようとする管W1の把持前位置PPGを経て把持位置PGに移動させるように、アタッチメント100及び作業装置20を制御する。把持位置PGへの移動制御は、
図5Cに示すフローチャートに従って実行される。
図5Cは、把持位置への移動制御の一例を示すフローチャートである。
【0153】
図5Cに示すように、制御装置51は、アタッチメント100の移動開始前に把持部112が閉状態であるか否かを判定し(S171)、把持部112が閉状態でなければ(S171、No)、把持部112を閉状態にする(S172)。一方、制御装置51は、把持部112が閉状態であれば(S171、Yes)、S173に進む。
【0154】
制御装置51は、把持部112を閉状態にしてアタッチメント100を把持前位置PPGに移動させる(S173)。制御装置51は、アタッチメント100が把持前位置PPGに移動したか否かを判定する(S174)。制御装置51は、アタッチメント100が把持前位置PPGに移動していない場合(S174、No)、S174の処理に戻る。一方、制御装置51は、アタッチメント100が把持前位置PPGに移動されると(S174、Yes)、把持部112の姿勢制御を行う(S175)。制御装置51は、把持しようとする管W1の管軸方向に直交する方向ADと、把持部112の把持方向GDとが一致した状態になるように、水平方向回動機構114を制御する。
【0155】
制御装置51は、把持部112を開状態にし(S176)、把持部112が開状態とされるとアタッチメント100を把持位置PGに移動させる(S177)。制御装置51は、アタッチメント100が把持位置PGに移動したか否かを判定する(S178)。制御装置51は、アタッチメント100が把持位置PGに移動していない場合(S178、No)、S178の処理に戻る。一方、制御装置51は、アタッチメント100が把持位置PGに移動されると(S178、Yes)、把持部112を閉状態にし(S179)、
図5Bに示すS18に進む。
【0156】
制御装置51は、管W1が把持位置PGにて把持されているか否かを確認する(S18)。第1センシング装置81は、アタッチメント100が把持位置PGに移動されて把持部112が閉状態になると、当該把持部112にて把持されている管W1の一端部W1bの位置を認識する。制御装置51は、第1センシング装置81にて把持後に認識された、把持部112が把持している管W1の一端部W1bの位置と、設定部57にて設定された把持位置PGに対応する管W1の一端部W1bの想定位置とのずれ量が規定値以上である場合(S18、No)、把持部112による管W1の再把持を実行する(S19)。
【0157】
制御装置51は、把持部112を開状態にし、そのずれ量を低減する方向にアタッチメント100を移動させてから、把持部112を閉状態にする。第1センシング装置81は、把持部112が閉状態になると、当該把持部112が把持している管W1の一端部W1bの位置を認識する(S18)。
【0158】
制御装置51は、把持部112が管W1の把持位置PGで把持している場合(S18、Yes)、
図5Aに示すS2に進む。
【0159】
次に、
図5Aに示すように、制御装置51は、把持している管W1の作業開始位置制御(つまり、アタッチメント100の仮置き場での管W1を把持状態から寄せ目標位置PSへの移動制御)を行う(S2)。この作業開始位置制御(S2)は、
図5Dに示すフローチャートに従って実行される。
図5Dは、把持している管の作業開始位置制御の一例を示すフローチャートである。
【0160】
第1センシング装置81は、把持している管W1の一端部W1bの位置を認識する(S20)。なお、S20を省略して、
図5Dに示すS18で認識した、把持している管W1の一端部W1bの位置を用いてもよい。
【0161】
第2センシング装置82は、本体30及びアタッチメント100の姿勢を検出する(S21)。座標算出部58は、第1センシング装置81での管W1の一端部W1bの位置の認識結果と第2センシング装置82での検出結果とに基づいて、作業機座標系における、アタッチメント100が把持している管W1の一端部W1bの位置の座標を算出する(S22)。
【0162】
位置取得装置83は、溝Gにおける被接合管W2の一端部W2bを検出して当該被接合管W2の一端部W2bの位置を取得する(S23)。位置取得装置83は、被接合管W2の一端部W2bの位置の座標を示す第2座標PB1を取得する(S24)。設定部57は、作業開始位置PSwを、位置取得装置83が取得した第2座標PB1の上方の位置の座標を示す第3座標PC1に設定する(S25)。
【0163】
相対位置算出部59は、第1座標PA1を基準として第3座標PC1までの相対位置を算出する(S26)。
【0164】
制御装置51は、相対位置算出部59が算出した相対位置と、設定部57が設定した作業開始位置PSwとに基づいて、アタッチメント100が把持している管W1を作業開始位置PSwに移動させるための、走行装置10、旋回モータMT、スイングシリンダC4、ブームシリンダC1及びアームシリンダC9の各アクチュエータの移動制御量をそれぞれ算出する(S27)。
【0165】
制御装置51は、アタッチメント100の寄せ目標位置PSへの移動制御を行う(S28)。制御装置51は、演算した移動制御量で各アクチュエータを駆動させることにより、設定部57にて設定された寄せ目標位置PSに、アタッチメント100を移動させるように、作業装置20を制御する。つまり、アタッチメント100が把持している管W1の一端部W1bを作業開始位置PSwに移動させる制御が行われる。作業開始位置PSwへの移動制御は、
図5Eに示すフローチャートに従って実行される。
図5Eは、フロントの各部材の速度制御の一例を示すフローチャートである。
【0166】
図5Eに示すように、制御装置51は、アタッチメント100を寄せ目標位置PSに移動させる場合に、各アクチュエータのうちで駆動対象となっている複数のアクチュエータの各移動速度を、移動開始から移動終了まで、同一速度又は所定範囲内の速度で制御する(S281)。
【0167】
制御装置51は、駆動対象となっている複数のアクチュエータの一方が他方よりも先に移動終了となるか否かを判定する(S282)。制御装置51は、例えば一方のアクチュエータの移動制御量が他方のアクチュエータの移動制御量よりも小さい場合に、一方が他方よりも先に移動終了となると判定し(S282、Yes)、当該一方の移動速度を低減して一方の移動期間を他方の移動期間に揃える(S283)。つまり、制御装置51は、移動終了タイミングが略一致するように複数のアクチュエータ(例えばブームシリンダC1及びアームシリンダC9など)の移動速度をそれぞれ設定する。
【0168】
制御装置51は、S283のあと、又は、S282でNoの場合、寄せ目標位置PSの手前位置であるか否かを判定する(S284)。制御装置51は、手前位置であると判定すると(S284、Yes)、この手前位置から、アタッチメント100の移動速度を低下させ(S285)、アタッチメント100が寄せ目標位置PSであれば(S286、Yes)、
図5Aに示すS3に進む。
図6Aに示すように、アタッチメント100が寄せ目標位置PSにあれば(
図1Aに示す把持部112の先端位置PRが寄せ目標位置PSに一致している状態)、アタッチメント100が把持している管W1が作業開始位置PSwにある。
【0169】
次に、
図5Aに示すように、制御装置51は、把持している管W1の接合開始位置制御(つまり、アタッチメント100の寄せ目標位置PSから目標位置PTへの移動制御)を行う(S3)。この接合開始位置制御(S3)は、
図5Fに示すフローチャートに従って実行される。
図5Fは、把持している管の接合開始位置制御の一例を示すフローチャートである。
【0170】
第1センシング装置81は、把持している管W1の一端部W1bの位置を認識する(S30)。例えば、
図6Aに示すように、管W1が作業開始位置PSwに位置しているときに、当該管W1の一端部W1bの位置を認識する。
【0171】
第2センシング装置82は、本体30及びアタッチメント100の姿勢を検出する(S31)。座標算出部58は、第1センシング装置81での管W1の一端部W1bの位置の認識結果と第2センシング装置82での検出結果とに基づいて、作業機座標系における、アタッチメント100が把持している管W1の一端部W1bの位置の第1座標PA1を算出する(S32)。
【0172】
位置取得装置83は、溝Gにおける被接合管W2の一端部W2bを検出して当該被接合管W2の一端部W2bの位置を取得する(S33)。位置取得装置83は、被接合管W2の一端部W2bの位置の座標を示す第2座標PB1を取得する(S34)。なお、S33、S34を省略して、
図5Dに示すS24で取得した第2座標PB1を用いてもよい。設定部57は、第2座標PB1に基づいて作業機座標系における接合開始位置PTwの座標である接合開始位置座標PA2を設定する。設定部57の相対位置算出部59は、第1座標PA1を基準として接合開始位置座標PA2までの相対位置を算出する(S35)。
【0173】
設定部57は、第2センシング装置82により検出したアタッチメント100の位置と相対位置算出部59が算出した相対位置とに基づいて、アタッチメント100の目標位置PT(
図6Aを参照)を設定する(S36)。つまり、目標位置PTは、
図6Aに示すように、アタッチメント100が把持している管W1の一端部W1bが接合開始位置PTwに移動するための位置である。
【0174】
設定部57は、相対位置算出部59が算出した相対位置に基づいて、目標位置PTの略鉛直上方に目標上方位置PU(
図6Aを参照)を設定する(S37)。なお、設定部57は、相対位置算出部59が算出した相対位置に基づいて、被接合管W2に対して目標位置PTよりも所定距離だけ離間した位置である事前目標位置を設定してもよい(S37)。
【0175】
制御装置51は、アタッチメント100を寄せ目標位置PSから目標位置PTに移動させる(言い換えれば、アタッチメント100が把持している管W1を作業開始位置PSwから接合開始位置PTwに移動させる)ための、ブームシリンダC1及びアームシリンダC9の各アクチュエータの移動制御量をそれぞれ算出する(S38)。
【0176】
制御装置51は、アタッチメント100の目標位置PTへの移動制御を行う(S39)。制御装置51は、演算した移動制御量で各アクチュエータを駆動させることにより、設定部57にて設定された目標位置PTに、アタッチメント100を移動させるように、作業装置20を制御する。目標位置PTへの移動制御は、
図5Gに示すフローチャートに従って実行される。
図5Gは、フロントの各部材の速度制御の一例を示すフローチャートである。
【0177】
図5Gに示すように、制御装置51は、アタッチメント100を寄せ目標位置PSから目標位置PTに移動させる場合に、ブームシリンダC1及びアームシリンダC9の各移動速度を、移動開始から移動終了するか後述する減速条件になる(S394、Yes)まで、同一速度又は所定範囲内の速度で駆動させる(S391)。
【0178】
制御装置51は、ブームシリンダC1及びアームシリンダC9の一方が他方よりも先に移動終了となるか否かを判定する(S392)。制御装置51は、例えばブームシリンダC1及びアームシリンダC9の一方の移動制御量が他方の移動制御量よりも小さい場合に
、一方が他方よりも先に移動終了となると判定し(S392、Yes)、当該一方の移動速度を低減して一方の移動期間を他方の移動期間に揃える(S393)。つまり、制御装置51は、移動終了タイミングが略一致するようにブームシリンダC1及びアームシリンダC9の移動速度をそれぞれ設定する。
【0179】
制御装置51は、S393のあと、又は、S392でNoの場合、アタッチメント100が把持している管W1が、目標位置PTの手前位置にあるか否かを判定する(S394)。制御装置51は、手前位置にあると判定すると(S394、Yes)、この手前位置から、アタッチメント100が把持している管W1の移動速度を低下させ(S395)、目標位置PTにあるか否かを判定する(S396)。
【0180】
制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1が目標位置PTでないと判定すると(S396、No)、目標位置PTを超えていなければ(S397、No)、S395に戻る。制御装置51は、目標位置PTを超えていれば(S397、Yes)、アタッチメント100が把持している管W1を目標位置PTに戻すか又はアタッチメント100を停止させ(S398)、S391の処理に戻る。なお、目標位置PT以外での停止となった場合には、制御装置51は、表示装置70及び報知装置75の少なくとも一方を用いて、その旨を運転者に知らせる。
【0181】
一方、制御装置51は、
図6Bに示すように、アタッチメント100が目標位置PTにあれば(S396、Yes)、
図5Aに示すS4に進む。
図6Bに示すように、アタッチメント100が目標位置PTにあれば(
図1Aに示す把持部112の先端位置PRが目標位置PTに一致している状態)、アタッチメント100が把持している管W1が接合開始位置PTwにある。
【0182】
次に、
図5Aに示すように、制御装置51は、把持している管W1の被接合管W2への接合制御を行う(S4)。具体的には、制御装置51は、アタッチメント100のみを駆動させる。つまり、軸線方向移動機構113のスライダ132が前方向に移動することで、把持部112が把持している管W1の一端部W1bが、
図6Bに示す目標位置PT(接合開始位置)から被接合管W2の一端部W2bに挿入される。このため、
図6Cに示すように、管W1が被接合管W2に接合される。
【0183】
なお、上記の第1実施形態では、スイング機能を有する機種の作業機1としているが、スイング装置(スイングシリンダC4)を備えない作業機1、つまり、スイング機能を有さない機種(超小旋回機など)の作業機1であってもよい。また、スイング機能の有無にかかわらず、2ピースブーム仕様の作業機1であってもよい。
【0184】
以上説明した第1実施形態における作業機1の主な特徴的な項目及び効果は、以下の通りである。
【0185】
<把持しようとする管W1の把持位置PGを設定>
(項目A1)機体2と、前記機体2に設けられた作業装置20とを有し、前記作業装置20に設けられ、長尺の把持対象物Wを把持するアタッチメント100と、を備える作業機1であって、前記把持対象物Wの一端部W1bの位置を認識する第1センシング装置81と、前記第1センシング装置81による認識結果に基づいて、前記アタッチメント100による前記把持対象物Wの把持位置PGを設定する設定部57と、前記作業装置20を制御する制御装置51と、を備え、前記制御装置51は、前記作業装置20を制御して前記設定部57が設定した前記把持位置PGを前記アタッチメント100で把持させる作業機1である。
【0186】
この作業機1によれば、把持しようとする把持対象物W(例えば管W1)の把持位置PGを適切に設定することができ、把持対象物W(例えば管W1)の把持作業のばらつきを低減することができる。なお、設定部57が設定した把持位置PGに基づいて制御装置51がアタッチメント100を制御し、アタッチメント100に把持位置PGを把持させるようにしてもよく、設定部57が設定した把持位置PGを示す画面、あるいはアタッチメント100を把持位置PGに移動させるための操作ガイド画面を表示装置70に表示させ、アタッチメント100に把持位置PGを把持させる操作を操作者が手動で行うようにしてもよい。
【0187】
(項目A2)前記設定部57は、前記第1センシング装置81にて認識された前記把持対象物Wの前記一端部W1bから所定距離離れた位置を前記把持位置PGとして設定する項目A1に記載の作業機1である。
【0188】
この作業機1によれば、管W1の一端部W1bから所定距離離れた把持位置PGで常に管W1を把持することができる。したがって、管W1の把持位置PGのばらつきを低減することができる。
【0189】
(項目A3)前記設定部57は、前記アタッチメント100にて前記把持対象物Wを把持した状態で当該把持対象物Wの前記一端部W1bを前記第1センシング装置81によって認識可能な位置に前記把持位置PGを設定する項目A1又はA2に記載の作業機1である。
【0190】
この作業機1によれば、アタッチメント100にて把持対象物Wを把持しようとする場合に、当該把持対象物Wの一端部W1bの位置を第1センシング装置81によって認識しながら、当該把持対象物Wをアタッチメント100によって把持することができる。このため、把持対象物Wの把持作業をより確実に行うことができる。
【0191】
(項目A4)前記アタッチメント100は、前記把持対象物Wを把持する把持部112と、前記把持部112にて把持される前記把持対象物Wの長手方向の前記一端部W1b側の延長線上に位置し、前記把持対象物Wの前記一端部W1bが接合される被接合部材(例えば被接合管W2)に対して、前記把持対象物Wの前記一端部W1bを接合するときに接触または近接する接合機能部115と、を備え、前記設定部57は、前記把持部112で前記把持対象物Wを把持したときに当該把持対象物Wの前記一端部W1bと前記接合機能部115との距離が所定の離間距離となる位置に、前記把持位置PGを設定する項目A1~A3のいずれかに記載の作業機1である。
【0192】
この作業機1によれば、把持部112が把持位置PGにて管W1を把持している状態において、当該管W1の一端部W1bの位置と接合機能部115とが所定の離間距離となっているので、把持している管W1の被接合管W2への接合作業をスムーズに行うことができる。なお、接合作業は、被接合管W2の近接位置にある管W1を当該被接合管W2に接合させる作業のことであり、例えばアタッチメント100のみを駆動させて、アタッチメント100が把持している管W1を被接合管W2に接合させる作業である。
【0193】
また、設定部57は、把持部112が管W1を把持している状態において当該管W1の一端部W1bの位置と接合機能部115とが所定の離間距離となる位置であって且つ当該管W1の一端部W1bの位置を第1センシング装置81が認識可能な位置に、把持位置PGを設定してもよい。
【0194】
この場合には、把持部112が把持位置PGにて管W1を把持している状態において、当該管W1の一端部W1bの位置と接合機能部115とが所定の離間距離となっているの
で、把持している管W1の被接合管W2への接合作業をスムーズに行うことができる。また、把持している管W1の一端部W1bの位置を第1センシング装置81が認識することができ、把持している管W1の一端部W1bの位置をいつでも確認することができ、管W1の把持状態を把握することができる。
【0195】
(項目A5)前記アタッチメント100は、前記把持部112を水平方向に回動可能な水平方向回動機構114を備え、前記制御装置51は、前記把持対象物Wの長手方向と直交する方向ADに前記把持部112の把持方向GDを一致させるように前記水平方向回動機構114の動作を制御する項目A4に記載の作業機1である。
【0196】
この作業機1によれば、把持しようとする管W1の管軸方向と直交する方向ADを把持部112の把持方向GDとすることができ、管W1を把持する際に管軸方向に位置ずれして把持されることを低減することができる。このため、管W1を正確に把持位置PGにて把持することができる。また、把持部112によって把持される管W1の向きが水平方向に振られることを低減でき、把持前の向きのまま管W1を把持することができる。例えば、管W1の管軸方向に対して水平方向で斜め方向から把持してしまうと、把持部112によって把持される管W1の向きがそれに伴って水平方向で斜め方向に振られてしまうことなるが、そのようなことを低減することができる。
【0197】
(項目A6)前記設定部57は、前記把持位置PGに対向する位置を把持前位置PPGとして設定し、前記制御装置51は、前記アタッチメント100を前記把持前位置PPGに移動させ、前記把持部112が開状態である状態で前記アタッチメント100を前記把持前位置PPGから前記把持位置PGに移動させ、前記アタッチメント100が前記把持位置PGに移動すると前記把持部112を閉状態にして前記把持対象物Wを把持するように前記アタッチメント100及び前記作業装置20を制御する項目A1~A5のいずれかに記載の作業機1である。
【0198】
この作業機1によれば、把持しようとする管W1の設定された把持位置PGの上方の把持前位置PPGにおいて把持部112を開状態とし、当該把持前位置PPGから下降した把持位置PGにて把持部112を閉状態にするので、把持しようとする管W1の把持位置PGを把持部112によって適切に把持することができる。このため、作業者の操作技能の如何に関わらず、把持しようとする管W1の把持位置PGに自動でアタッチメント100を移動させ把持することができる。したがって、把持しようとする管W1の把持のための操作が作業者によってばらつくことを解消することができ、作業者の操作負担を低減することができる。
【0199】
(項目A7)前記把持部112は、一対の把持爪を121有し、前記把持部112の閉状態は、前記一対の把持爪121同士の間隔を前記開状態より狭くして前記一対の把持爪121で前記把持対象物Wを挟んだ状態である項目A4~A6のいずれかに記載の作業機1である。
【0200】
この作業機1によれば、把持部112の閉状態は、把持しようとする管W1を挟んだ状態であるので、管W1を保持することができる。
【0201】
また、把持部112は、一対の把持爪121を有し、把持部112の閉状態は、一対の把持爪121を完全に閉じた状態であり、且つ、一対の把持爪121が完全に閉じた状態において把持しようとする管W1が保持可能な状態である。この構成によれば、把持部112の閉状態は、把持しようとする管W1を保持し、且つ、一対の把持爪121を完全に閉じた状態であるので、確実に管W1を保持することができる。
【0202】
また、把持部112は、一対の把持爪121を有し、把持部112の閉状態は、一対の把持爪121による把持力が、把持しようとする管W1を保持するための規定値に到達した状態である。この構成によれば、把持部112の閉状態は、一対の把持爪121による把持力が、把持しようとする管W1を保持するための規定値に到達した状態であるので、適切な力で管W1を保持することができる。
【0203】
また、把持部112は、一対の把持爪121を有し、把持部112の閉状態は、一対の把持爪121の角度又は位置が、把持しようとする管W1を保持するための閾値に到達した状態である。この構成によれば、把持部112の閉状態は、一対の把持爪121の角度又は位置が、把持しようとする管W1を保持するための閾値に到達した状態であるので、適切な力で管W1を保持することができる。
【0204】
(項目A8)前記作業装置20は、基端部が前記機体2に回動可能に枢支されたブーム21と、前記ブーム21の先端部に回動可能に枢支されたアーム22と、前記アーム22の先端部に設けられた前記アタッチメント100とを備えている項目A1~A7のいずれかに記載の作業機1である。
【0205】
この作業機1によれば、ブーム21とアーム22とアタッチメント100とを備えるにおいて、把持しようとする把持対象物W(例えば管W1)の把持位置PGを適切に設定することができ、把持対象物W(例えば管W1)の把持作業のばらつきを低減することができる。
【0206】
(項目A9)前記制御装置51は、前記設定部57にて設定された前記把持位置PGに基づいて前記作業装置20及び前記アタッチメント100を制御して前記把持対象物Wを把持した状態で前記第1センシング装置81にて認識した前記把持対象物Wの前記一端部W1bの位置と、前記設定部57にて設定された前記把持位置PGに対応する前記把持対象物Wの前記一端部W1bの想定位置とのずれ量が規定値以上である場合に、前記ずれ量が前記規定値未満になるように前記作業装置20を制御して前記把持対象物Wの再把持を実行する項目A1~A8のいずれかに記載の作業機1である。
【0207】
この作業機1によれば、把持部112が把持している管W1の位置が把持位置PGとは異なっている場合には、把持部112による再把持が実行されるので、管W1が把持位置PGにて把持されることを徹底することができる。
【0208】
(項目A10)前記制御装置51は、前記把持部112を開状態にし、前記ずれ量を低減する方向に前記アタッチメント100を移動させてから、前記把持部112を閉状態にすることで前記再把持を実行する項目A9に記載の作業機1である。
【0209】
この作業機1によれば、把持部112が把持している管W1の位置が把持位置PGとは異なっている場合には、ずれ量を低減する方向にアタッチメント100が移動されてから把持部112を閉状態にする。このため、管W1を把持位置PGにて把持することができる。また、第1センシング装置81は、把持部112が閉状態になると、当該把持部112にて把持されている管W1の一端部W1bの位置を認識する。このため、管W1が把持位置PGにて把持されているか否かを確認することができる。
【0210】
(項目A11)前記第1センシング装置81による前記把持対象物Wの一端部W1bの位置を認識に失敗した場合に音、光、または表示により報知する報知装置75を備える項目A1~A10のいずれかに記載の作業機1である。
【0211】
この作業機1によれば、把持対象物Wの一端部W1bの位置を認識できないこと、又は
、把持対象物Wが無いことを知らせることができ、把持対象物Wの自動把持作業を支援することができる。
【0212】
(項目A12)機体2と、前記機体2に設けられた作業装置20と、前記作業装置20に設けられ、長尺の把持対象物Wを把持するアタッチメント100と、を備える作業機1の制御方法であって、前記把持対象物Wの一端部W1bの位置を認識する位置認識ステップ(S10)と、前記位置認識ステップの認識結果に基づいて、前記アタッチメントによる前記把持対象物の把持位置PGを設定する把持位置設定ステップ(S15)と、前記把持位置設定ステップで設定した前記把持位置PGに基づいて前記把持対象物Wを把持する把持ステップ(S17)と、を含む作業機1の制御方法である。
【0213】
この作業機1の制御方法によれば、把持しようとする把持対象物W(例えば管W1)の把持位置PGを適切に設定することができ、把持対象物W(例えば管W1)の把持作業のばらつきを低減することができる。
【0214】
<把持している管W1の作業開始位置PSwを対象領域の対応位置に設定>
(項目B1)機体2と、前記機体2に設けられた作業装置20とを有し、前記作業装置20に設けられ、接合部材(例えば管W1)を把持するアタッチメント100と、を備えた作業機1であって、前記アタッチメント100が把持している接合部材における被接合部材(例えば被接合管W2)に対する接合部(例えば一端部W1b)の位置を認識する第1センシング装置81と、前記第1センシング装置81による認識結果に基づいて、前記アタッチメント100の移動先である寄せ目標位置PSを、前記接合部が前記被接合部材の近傍に設定される作業開始位置PSwに配置されるように前記接合部材を移動させるための位置に設定する設定部57と、前記アタッチメント100を、前記設定部57にて設定された前記寄せ目標位置PSに移動させるように、前記作業装置20を制御する制御装置51と、を備える作業機1である。
【0215】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している接合部材(例えば管W1)における接合部(例えば一端部W1b)の位置を認識し、当該接合部を作業開始位置PSwに移動させる処理を制御装置51に行わせることができるので、接合部を作業開始位置PSwに移動させる処理を容易に行うことができる。したがって、アタッチメント100が把持している接合部材を作業開始位置PSwに容易に移動させることができる。
【0216】
さらに言えば、制御装置51は、作業装置20を制御して、アタッチメント100が把持している管W1を作業開始位置PSwに移動させる。このため、作業者の操作技能の如何に関わらず、把持している管W1を作業開始位置PSwに自動で且つ確実に移動させることができる。したがって、把持している管W1の作業開始位置PSwへの移動操作が作業者によってばらつくことを解消することができ、作業者の操作負担を低減することができる。また、常に作業開始位置PSwから対象領域の被接合管W2に近づけることができ、対象領域の被接合管W2への移動ルートのばらつきを低減することができる。このため、把持している管W1の対象領域への移動作業を効率よく行うことができる。
【0217】
(項目B2)前記被接合部材は、地表面より下方に形成された溝G内、又は少なくとも一部が地表面よりも上方に形成された受台に配置され、前記設定部57は、前記寄せ目標位置PSを、前記被接合部材の近傍の地表面上、又は前記被接合部材の近傍の地表面上に配置された載置台上に設定する項目B1に記載の作業機1である。
【0218】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している接合部材を、被接合部材の近傍の地表面上、又は前記被接合部材の近傍の地表面上に配置された載置台上に適切に寄せることができる。
【0219】
(項目B3)前記被接合部材は、地表面より下方に形成された溝G内に配置され、前記設定部57は、前記寄せ目標位置PSを、前記溝Gの近傍の地表面上に設定する項目B1又はB2に記載の作業機1である。
【0220】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している接合部材を、溝Gの近傍の地表面上に適切に寄せることができる。
【0221】
さらに言えば、設定部57は、寄せ目標位置PSを、対象領域(溝G)の上方位置に設定している。つまり、作業開始位置PSwが対象領域の上方位置に設定されている。このため、アタッチメント100が把持している管W1を降下させるだけで、対象領域の被接合管W2に近づけることができ、対象領域の被接合管W2への降下ルートのばらつきを低減することができる。このため、把持している管W1の対象領域への降下作業を効率よく行うことができる。
【0222】
(項目B4)前記被接合部材における前記接合部が接合される被接合部の位置を取得する位置取得装置83を備え、前記設定部57は、前記第1センシング装置81による認識結果と、前記位置取得装置83にて取得した前記被接合部の位置とに基づいて、前記作業開始位置PSwを、前記接合部が前記被接合部の近傍に配置される位置に設定する項目B1~B3のいずれかに記載の作業機1である。
【0223】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している接合部材を作業開始位置PSwにより正確に移動させることができる。
【0224】
(項目B5)前記位置取得装置83は、撮像手段による前記被接合部の撮像結果、又は測距センサによる測距結果に基づいて前記被接合部の位置を取得する項目B4に記載の作業機1である。
【0225】
この作業機1によれば、作業開始位置PSwを好適に設定することができる。
【0226】
(項目B6)前記位置取得装置83は、前記被接合部材の位置を示す3次元設計データ、または地中レーダにより地中に埋設された前記被接合部材の位置を検出した結果に基づいて前記被接合部の位置を取得する項目B4に記載の作業機1である。
【0227】
この作業機1によれば、3次元設計データを用いて被接合管W2の一端部W2bの位置を取得する場合には、対象領域の被接合管W2の一端部W2bを計測する作業を行う必要がない。よって、作業効率を向上させることができる。また、地中レーダにより地中に埋設された前記被接合部材の位置を検出した結果に基づいて前記被接合部の位置を取得する場合には、実際の被接合管W2の一端部W2bを特定することができ、実際の被接合管W2の一端部W2bを露出させるための掘削作業を効率よく実行することができる。よって、作業効率を向上させることができる。
【0228】
(項目B7)前記位置取得装置83は、前記被接合部材(前回の管W1)を第2被接合部材(被接合管W2)に接合し、被接合管W2に接合された前記被接合部材(前回の管W1)に前記接合部材(次の管W1)を接合する場合に、前記第2被接合部材(被接合管W2)における前記被接合部材(前回の管W1)が接合される部位である第2被接合部の位置と、前記被接合部材(前回の管W1)における前記第2被接合部材と接合される部位である前記第2被接合部から前記被接合部までの寸法情報とに基づいて前記被接合部(前回の管W1)の位置を取得する項目B4に記載の作業機1である。
【0229】
この作業機1によれば、被接合部の位置を計測する作業を行う必要がない。よって、作業効率を向上させることができる。
【0230】
例えば、位置取得装置83は、グローバル座標系における前回の接合先である被接合管W2の一端部W2bの位置に、前回に接合した管W1の管軸寸法を加算した位置を、今回の被接合管W2の一端部W2bの位置として取得してもよい。
【0231】
この場合には、位置取得装置83は、グローバル座標系における前回の接合先である被接合管W2の一端部W2bの位置に、前回に接合した管W1の管軸寸法を加算した位置を、今回の被接合管W2の一端部W2bの位置として取得する。つまり、前回の被接合管W2の一端部W2bの位置に、前回の被接合管W2に接合した管W1の寸法を加算するだけで、今回の被接合管W2の一端部W2bの位置を特定することができる。このため、対象領域の被接合管W2の一端部W2bを計測する作業を行う必要がない。よって、作業効率を向上させることができる。
【0232】
(項目B8)所定の座標系における前記機体2及び前記アタッチメント100の姿勢を検出する第2センシング装置82と、前記第1センシング装置81の認識結果と前記第2センシング装置82の検出結果とに基づいて、前記所定の座標系における前記接合部の位置の座標を示す第1座標PA1を算出する座標算出部58と、を備え、前記位置取得装置83は、前記所定の座標系における前記被接合部の位置の座標を示す第2座標PB1を取得し、前記設定部57は、前記作業開始位置PSwを前記第2座標PB1の近傍の座標を示す第3座標PC1に設定し、前記第1座標PA1を基準として前記第3座標PC1までの相対位置を算出し、前記第2センシング装置82により検出した前記アタッチメント100の位置と前記相対位置とに基づいて前記寄せ目標位置PSを設定する項目B4~B7のいずれかに記載の作業機1である。
【0233】
この作業機1によれば、把持している管W1から被接合管W2の上方に位置する作業開始位置PSwまでの相対位置を算出するので、把持している管W1の位置から作業開始位置PSwまでの移動量を特定することができ、把持している管W1を作業開始位置PSwに効率よく移動させるように駆動制御することができる。
【0234】
(項目B9)前記機体2を走行可能に支持する走行装置10と、前記機体2を前記走行装置10に対して旋回させる旋回装置25と、を備え、前記作業装置20は、基端部が前記機体2に第1回転軸回りに回動可能に枢支されたブーム21と、前記ブーム21を前記第1回転軸回りに回動させるブーム駆動装置(ブームシリンダC1)と、前記ブーム21の先端部に第2回転軸回りに回動可能に枢支されたアーム22と、前記アーム22を前記第2回転軸回りに回動させるアーム駆動装置(アームシリンダC9)と、前記アームの先端部に設けられた前記アタッチメント100と、を備え、前記制御装置51は、前記アタッチメント100を前記寄せ目標位置PSに移動させるための、前記走行装置10、前記旋回装置25、前記ブーム駆動装置(ブームシリンダC1)及び前記アーム駆動装置(アームシリンダC9)の各アクチュエータの駆動量をそれぞれ演算し、演算した前記駆動量に基づいて前記各アクチュエータを駆動させることにより、前記アタッチメント100を前記寄せ目標位置PSに移動させる項目B1~B8のいずれかに記載の作業機1である。
【0235】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している管W1を作業開始位置PSwに適切に移動させることができる。例えば、スイング機能を有さない機種(超小旋回機など)の作業機1において、アタッチメント100が把持している管W1を作業開始位置PSwに適切に移動させることができる。
【0236】
(項目B10)前記作業装置20を前記機体2に対して水平方向に回動させるスイング
装置(スイングシリンダC4)をさらに備え、前記制御装置51は、前記アタッチメント100を前記寄せ目標位置PSに移動させるための、前記走行装置10、前記旋回装置25、前記スイング装置(スイングシリンダC4)、前記ブーム駆動装置(ブームシリンダC1)及び前記アーム駆動装置(アームシリンダC9)の各アクチュエータの駆動量をそれぞれ演算し、演算した前記駆動量に基づいて前記各アクチュエータを駆動させることにより、前記アタッチメント100を前記寄せ目標位置PSに移動させる項目B9に記載の作業機1である。
【0237】
この作業機1によれば、スイング機能を有する機種の作業機1において、アタッチメント100が把持している管W1を作業開始位置PSwに適切に移動させることができる。
【0238】
(項目B11)前記ブーム21は、基端部が前記機体2に第1回転軸回りに回動可能に枢支された第1ブームと、前記第1ブームを前記第1回転軸回りに回動させる第1ブーム駆動装置と、前記第1ブームの先端部に第3回転軸回りに回動可能に枢支された第2ブームと、前記第2ブームを前記第3回転軸回りに回動させる第2ブーム駆動装置とを備え、前記アーム22は、前記第2ブームの先端部に前記第2回転軸回りに回動可能に枢支されており、前記制御装置51は、前記アタッチメント100を前記寄せ目標位置PSに移動させるための、前記走行装置10、前記旋回装置25、前記第1ブーム駆動装置、前記第2ブーム駆動装置、及び前記アーム駆動装置(アームシリンダC9)の各アクチュエータの駆動量をそれぞれ演算し、演算した前記駆動量に基づいて前記各アクチュエータを駆動させることにより、前記アタッチメント100を前記寄せ目標位置PSに移動させる項目B9又はB10に記載の作業機1である。
【0239】
この作業機1によれば、2ピースブーム仕様の作業機1において、アタッチメント100が把持している管W1を作業開始位置PSwに適切に移動させることができる。
【0240】
(項目B12)前記制御装置51は、前記アタッチメント100を前記寄せ目標位置PSに移動させる場合に、前記各アクチュエータのうちで駆動対象となっている各アクチュエータのうちの一部または全部を、移動開始から移動終了まで、同一速度又は所定範囲内の速度でそれぞれ動作させる項目B9~B11のいずれかに記載の作業機1である。
【0241】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している管W1を作業開始位置PSwに移動させる場合の当該管W1の揺れを低減することができる。このように、作業開始位置PSwに移動された管W1の揺れが低減されているので、管W1の揺れが収まるまで待ったり、管W1の揺れを収める処置を行ったりする必要がない。したがって、対象領域の被接合管W2に向けた降下作業を迅速に実行することができる。
【0242】
(項目B13)前記制御装置51は、前記アタッチメント100を前記寄せ目標位置PSに移動させる場合に、前記駆動対象となっている各アクチュエータのうちの一部または全部の移動終了タイミングが略一致するように当該各アクチュエータの移動速度をそれぞれ設定する項目B9~B11のいずれかに記載の作業機1である。
【0243】
この作業機1によれば、駆動対象となっている各アクチュエータがばらばらに停止することに起因する揺れの発生を低減することができる。
【0244】
(項目B14)前記制御装置51は、前記アタッチメント100が前記寄せ目標位置PSに到達する直前の位置に設定される手前位置から、前記アタッチメント100の移動速度を低下させ、当該アタッチメント100を前記寄せ目標位置PSで停止させるように前記作業装置20を制御する項目B1~B13のいずれかに記載の作業機1である。
【0245】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している管W1を緩やかに作業開始位置PSwに停止させることができる。よって、作業開始位置PSwに停止された際の管W1の揺れを低減することができる。
【0246】
(項目B15)前記作業装置20は、基端部が前記機体2に第1回転軸回りに回動可能に枢支されたブーム21と、前記ブーム21の先端部に第2回転軸回りに回動可能に枢支されたアーム22と、前記アーム22の先端部に設けられた前記アタッチメント100とを備え、前記第1センシング装置81は、前記ブーム21、前記アーム22及び前記アタッチメント100のいずれかに設けられ、前記位置取得装置83は、前記ブーム21、前記アーム22及び前記アタッチメント100のいずれかに設けられている項目B1~B14のいずれかに記載の作業機1である。
【0247】
この作業機1によれば、第1センシング装置81又は位置取得装置83がブーム21に配置されている場合、アーム22及びアタッチメント100に配置されている場合に比べて、作業装置20の駆動による振動の影響が少ないため、第1センシング装置81又は位置取得装置83は振動の影響が少ない状態で計測を行うことができる。一方、第1センシング装置81又は位置取得装置83がアタッチメント100に配置されている場合、ブーム21及びアーム22に配置されている場合に比べて、作業装置20の駆動による振動の影響が多くなるものの、アタッチメント100が把持している管W1、又は、被接合管W2に近い位置で第1センシング装置81又は位置取得装置83は計測を行うことができる。また、第1センシング装置81又は位置取得装置83がアーム22に配置されている場合、作業装置20の駆動による振動の影響が中程度であり、且つ、アタッチメント100が把持している管W1、又は、被接合管W2に中程度に近い位置で第1センシング装置81又は位置取得装置83は計測を行うことができる。
【0248】
(項目B16)機体2と、前記機体2に設けられた作業装置20と、接合部材を把持するアタッチメント100とを備える作業機1の制御方法であって、前記アタッチメント100が把持している接合部材における被接合部材に対する接合部の位置を認識する位置認識ステップ(S20)と、前記位置認識ステップの認識結果に基づいて、前記アタッチメント100の移動先である寄せ目標位置PSを、前記接合部が前記被接合部材の近傍に設定される作業開始位置PSwに配置されるように前記接合部材を移動させるための位置に設定するステップ(S25)と、を備える作業機の制御方法である。
【0249】
この作業機1の制御方法によれば、接合部を作業開始位置PSwに移動させる処理を容易に行うことができる。したがって、アタッチメント100が把持している接合部材を作業開始位置PSwに容易に移動させることができる。
【0250】
<アタッチメント100が把持している管W1の下ろし自動化>
(項目C1)機体2と、前記機体2に設けられた作業装置20とを備える作業機1であって、前記作業装置20に設けられ、且つ、接合部材(例えば管W1)を把持するアタッチメント100と、前記アタッチメント100が把持している接合部材における被接合部材(例えば被接合管W2)に対する接合部(例えば一端部W1b)の位置を認識する第1センシング装置81と、前記第1センシング装置81による認識結果に基づいて、前記アタッチメント100の移動先である目標位置PTを、前記接合部材の前記接合部を前記被接合部材に接合する接合動作を開始するための位置である接合開始位置PTwに移動させるための位置に設定する設定部57と、前記アタッチメント100を、前記設定部57にて設定された前記目標位置PTに移動させるように、前記作業装置20を制御する制御装置51と、を備えている作業機1である。
【0251】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している接合部材(例えば管W1
)における接合部(例えば一端部W1b)の位置を認識し、当該接合部を接合開始位置PTwに移動させる処理を制御装置51に行わせることができるので、接合部材(例えば管W1)の接合部(例えば一端部W1b)を被接合部材(例えば被接合管W2)に接合可能な位置に精度よく近づけることができる。
【0252】
(項目C2)前記被接合部材における前記接合部が接合される被接合部(例えば一端部W2b)の位置を取得する位置取得装置83を備え、前記設定部57は、前記位置取得装置83にて取得した前記被接合部の位置に基づいて前記接合開始位置PTwを設定する項目C1に記載の作業機1である。
【0253】
この作業機1によれば、接合開始位置PTwを好適に設定することができる。また、アタッチメント100が把持している管W1の一端部W1bを接合開始位置PTwに位置させることができるので、アタッチメント100が把持している管W1を被接合管W2にスムーズに接合させることができ、接合作業を容易且つ確実に行うことができる。
【0254】
(項目C3)所定の座標系における前記機体2及び前記アタッチメント100の姿勢を検出する第2センシング装置82と、前記第1センシング装置81の認識結果と前記第2センシング装置82の検出結果とに基づいて、前記所定の座標系における前記接合部の位置の座標を示す第1座標PA1を算出する座標算出部58と、を備え、前記位置取得装置83は、前記所定の座標系における、前記被接合部の位置の座標を示す第2座標PB1を取得し、前記設定部57は、前記第2座標PB1に基づいて前記所定の座標系における前記接合開始位置PTwの座標である接合開始位置座標PA2を設定し、前記第1座標PA1を基準として前記接合開始位置座標PA2までの相対位置を算出し、前記第2センシング装置82により検出した前記アタッチメント100の位置と前記相対位置とに基づいて前記目標位置PTを設定する項目C2に記載の作業機1である。
【0255】
この作業機1によれば、把持している管W1から接合開始位置PTwまでの相対位置を算出するので、把持している管W1の位置から接合開始位置PTwまでの移動量を特定することができ、把持している管W1を接合開始位置PTwに効率よく移動させるように駆動制御することができる。つまり、アタッチメント100を目標位置PTに効率よく移動させることができる。
【0256】
また、設定部57は、第1センシング装置81による認識結果と、作業機座標系以外の例えばグローバル座標系における被接合管W2の一端部W2bの位置の座標とに基づいて、目標位置PTを設定してもよい。この場合には、位置取得装置83にて被接合管W2の一端部W2bの位置を取得できない場合であっても、グローバル座標系における被接合管W2の一端部W2bの位置の座標を用いて目標位置PTを設定することができ、目標位置PTを正確に設定することができる。
【0257】
(項目C4)前記作業装置20は、基端部が前記機体2に回動可能に枢支されたブーム21と、前記ブーム21の先端部に回動可能に枢支されたアーム22と、前記アーム22の先端部に設けられた前記アタッチメント100と、を備え、前記制御装置51は、前記アタッチメント100を前記目標位置PTに移動させる場合に、前記ブーム21及び前記アーム22を、移動開始から移動終了まで、同一速度又は所定範囲内の速度でそれぞれ動作させる項目C1~C3のいずれかに記載の作業機1である。
【0258】
この作業機1によれば、制御装置51は、アタッチメント100を目標位置PTに移動させる場合に、ブームの移動速度とアームの移動速度とを、移動開始から移動終了まで、同一速度又は所定範囲内の速度でそれぞれ動作させる。このため、アタッチメント100が把持している管W1を接合開始位置PTwに移動させる場合の当該管W1の揺れを低減
することができる。このように、接合開始位置PTwに移動された管W1の揺れが低減されているので、管W1の揺れが収まるまで待ったり、管W1の揺れを収める処置を行ったりする必要がない。したがって、被接合管W2への接合作業を迅速に実行することができる。
【0259】
また、制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1を目標位置PTに移動させる場合に、ブームシリンダC1及びアームシリンダC9の各シリンダ速度を、移動開始から移動終了まで、同一速度又は所定範囲内の速度でそれぞれ動作させてもよい。この場合も上記と同様の効果を有する。
【0260】
(項目C5)前記作業装置20は、基端部が前記機体2に回動可能に枢支されたブーム21と、前記ブーム21の先端部に回動可能に枢支されたアーム22と、前記アーム22の先端部に設けられた前記アタッチメント100と、を備え、前記制御装置51は、前記アタッチメント100を前記目標位置PTに移動させる場合に、前記ブーム21及び前記アーム22の移動終了タイミングが略一致するように前記ブーム21及び前記アーム22の移動速度をそれぞれ設定する項目C1~C4のいずれかに記載の作業機1である。
【0261】
この作業機1によれば、ブーム21及びアーム22の一方が他方よりも先に停止することによる揺れの発生を低減することができる。
【0262】
また、制御装置51は、アタッチメント100を目標位置PTに移動させる場合に、ブームシリンダC1及びアームシリンダC9の移動終了タイミングが略一致するようにブームシリンダC1及びアームシリンダC9の移動速度をそれぞれ設定してもよい。この場合も上記と同様の効果を有する。
【0263】
(項目C6)前記設定部57は、前記目標位置PTの略鉛直上方に目標上方位置PUを設定し、前記制御装置51は、前記アタッチメント100を、前記目標上方位置PUに移動させた後に、前記目標上方位置PUから前記目標位置PTに略鉛直方向に降下させる項目C1~C5のいずれかに記載の作業機1である。
【0264】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している管W1を、上方位置PUwから接合開始位置PTwに降下させるので、アタッチメント100が把持している管W1又はアタッチメント100自体が他の物体(例えば、被接合管W2又は被接合管W2が埋設されている溝Gなど)に接触することを低減することができる。また、アタッチメント100が把持している管W1が上方位置PUwにある状態では、把持している管W1を降下させる前に、管W1又はアタッチメント100が上記の他の物体に接触するか否か、及び、目標位置PTの設定が適切であるか否かを、作業者が確認できる。
【0265】
(項目C7)前記制御装置51は、前記アタッチメント100が前記目標位置PTに到達する直前の位置に設定される手前位置から、前記アタッチメント100の移動速度を徐々に低下させ、当該アタッチメント100を前記目標位置PTで停止させる項目C1~C6のいずれかに記載の作業機1である。
【0266】
この作業機1によれば、目標位置PTの手前位置から、アタッチメント100が把持している管W1の移動速度が低下されて、アタッチメント100が目標位置PTで停止する。このため、アタッチメント100が把持している管W1を緩やかに接合開始位置PTwに停止させることができる。よって、アタッチメント100が目標位置PTに停止された際の管W1の揺れを低減することができる。
【0267】
(項目C8)前記制御装置51は、前記接合部が、前記接合開始位置PTwよりも前記
被接合部に近い超過位置PT1wに位置する場合、当該接合部を前記超過位置PT1wから前記接合開始位置PTwに戻す方向に移動又は当該接合部を前記超過位置PT1wで停止させるように、前記作業装置20を制御する項目C1~C7のいずれかに記載の作業機1である。
【0268】
この作業機1によれば、管W1が超過位置PT1wから接合開始位置PTwに戻された場合には、接合作業を適切に行うことができる。また、把持されている管W1が超過位置PT1wで停止された場合には、当該管W1が被接合管W2などに接触することを低減することができる。
【0269】
(項目C9)前記設定部57は、前記目標位置PTから所定距離だけ離間した位置に事前目標位置を設定し、前記制御装置51は、前記アタッチメント100を、前記事前目標位置に移動させた後、前記事前目標位置から前記目標位置PTに移動させる項目C1~C8のいずれかに記載の作業機1である。
【0270】
この作業機1によれば、アタッチメント100を、目標位置PTよりも手前の事前目標位置に位置させるので、アタッチメント100が把持している管W1又はアタッチメント100自体が他の物体(例えば、被接合管W2又は被接合管W2が埋設されている溝など)に接触することを低減することができる。また、アタッチメント100が事前目標位置にある状態では、把持している管W1を接合開始位置PTwに移動させる直前に、管W1又はアタッチメント100が上記の他の物体に接触するか否か、及び、目標位置PTの設定が適切であるか否かを、作業者が確認できる。
【0271】
(項目C10)前記作業装置20は、基端部が前記機体2に回動可能に枢支されたブーム21と、前記ブーム21の先端部に回動可能に枢支されたアーム22と、前記アーム22の先端部に設けられた前記アタッチメント100と、を備え、前記第1センシング装置81は、前記ブーム21、前記アーム22及び前記アタッチメント100のいずれかに設けられ、前記位置取得装置83は、前記ブーム21、前記アーム22及び前記アタッチメント100のいずれかに設けられている項目C2又はC3に記載の作業機1である。
【0272】
この作業機1によれば、第1センシング装置81又は位置取得装置83がブームに配置されている場合、アーム及びアタッチメント100に配置されている場合に比べて、作業装置20の駆動による振動の影響が少ないため、第1センシング装置81又は位置取得装置83は振動の影響が少ない状態で計測を行うことができる。一方、第1センシング装置81又は位置取得装置83がアタッチメント100に配置されている場合、ブーム及びアームに配置されている場合に比べて、作業装置20の駆動による振動の影響が多くなるものの、アタッチメント100が把持している管W1、又は、被接合管W2に近い位置で第1センシング装置81又は位置取得装置83は計測を行うことができる。また、第1センシング装置81又は位置取得装置83がアームに配置されている場合、作業装置20の駆動による振動の影響が中程度であり、且つ、アタッチメント100が把持している管W1、又は、被接合管W2に中程度に近い位置で第1センシング装置81又は位置取得装置83は計測を行うことができる。
【0273】
(項目C11)前記被接合部材は地表面より下方に形成された溝G内に配置され、前記制御装置51は、前記地表面よりも上方に配置され前記接合部材を前記アタッチメント100で把持して前記溝G内に設定される前記接合開始位置PTwに移動させる項目C1~C10のいずれかに記載の作業機1である。
【0274】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している管W1を溝G内に設定された接合開始位置PTwに好適に近づけることができる。
【0275】
(項目C12)前記接合部材は長尺の部材であり、前記接合部は前記接合部材における長手方向の一端であって前記アタッチメント100で把持されたときに前記アタッチメント100から離間した位置に配置される項目C1~C11のいずれかに記載の作業機1である。
【0276】
この作業機1によれば、長尺の部材である接合部材(例えば管W1)の接合部(例えば一端部W1b)を被接合部材(例えば被接合管W2)に接合可能な位置に精度よく近づけることができる。
【0277】
(項目C13)前記制御装置51は、前記接合部を前記接合開始位置に移動させた後、前記接合部が前記被接合部に近づく方向に前記アタッチメント100を移動させることにより、前記接合部を前記被接合部に嵌合させる項目C1~C12のいずれかに記載の作業機1である。
【0278】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している管W1を被接合管W2にスムーズに接合させることができ、接合作業を容易且つ確実に行うことができる。
【0279】
(項目C14)機体2と、前記機体2に設けられた作業装置20と、接合部材(例えば管W1)を把持するアタッチメント100とを備える作業機1の制御方法であって、前記アタッチメント100が把持している接合部材における被接合部材(例えば被接合管W2)に対する接合部(例えば一端部W1b)の位置を認識する位置認識ステップ(S30)と、前記位置認識ステップの認識結果に基づいて、前記アタッチメント100の移動先である目標位置PTを、前記接合部材の前記接合部(例えば一端部W1b)を前記被接合部材に接合する接合動作を開始するための位置である接合開始位置PTwに移動させるための位置に設定する目標位置設定ステップ(S36)と、を含む作業機の制御方法。
【0280】
この作業機1の制御方法によれば、接合部材(例えば管W1)の接合部(例えば一端部W1b)を被接合部材(例えば被接合管W2)に接合可能な位置に精度よく近づけることができる。
【0281】
[第2実施形態]
第2実施形態の作業機1は、把持対象物W(例えば、管W1)の把持中に作業制限が可能な構成としている点が、第1実施形態とは異なっている。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。第2実施形態では、把持対象物Wが管W1である場合を例に挙げて説明するが、当該把持対象物Wとしては、直線状の管以外にU字、S字、L字形状などの各種形状の管であってもよいし、管以外で把持可能な全ての物品(例えば、木材、鉄棒、鋼材、部品など)が含まれる。
【0282】
図7Aは、第2実施形態の作業機の電気ブロック図である。第2実施形態の制御装置51は、アタッチメントによって把持対象物W(例えば、管W1)を把持する作業を行う場合に、作業機1の作業範囲および作業速度の一方または両方を制限する作業制限を行う。
【0283】
第2実施形態の作業機1は、
図7Aに示すように、アタッチメント100(把持アタッチメント)による管W1の把持を検出する検出部80を備えている。制御装置51は、検出部80にて管W1の把持が検出されると、作業機1の作業を制限する。記憶部54は、
図8A~
図8Fに示す6個の記憶テーブルTB1~TB6を備えているが、少なくとも1つ以上備えてもよい。
【0284】
検出部80は、作業装置20に作用する荷重(例えば、アタッチメント100側の荷重
)を検出する荷重センサ84を有し、荷重センサ84にて検出された荷重が把持対象物Wを把持していない状態よりも所定以上重くなったか否かにより把持対象物Wの把持を検出する。なお、検出部80は、荷重センサ84に限定されず、以下のような構成であってもよい。
【0285】
作業機1は、作業装置20にアタッチメント100が取り付けられていることを検出、またはアタッチメント100を用いる作業モードである把持作業モードの選択指示を検出するアタッチメント検出部80Aを備え、制御装置51は、アタッチメント検出部80Aによってアタッチメントが取り付けられていることが検出された場合、または把持作業モードの選択指示が検出された場合に作業制限を行うとしてもよい。例えば、アタッチメント検出部80Aは、アタッチメント100の着脱を検出する着脱検出センサとすることで、作業装置20にアタッチメント100が取り付けられていることを検出できる。また、アタッチメント検出部80Aは、モード設定ボタン5eにて把持作業モードの選択指示が検出されたことで、把持作業モードであることが検出できる。
【0286】
また、検出部80は、アタッチメント100に対する把持動作の実行指示を検出してもよい。具体的には、アタッチメント100は、前記把持動作を行うための油圧アクチュエータ(例えば把持駆動部122)を備える。検出部80は、アタッチメント100への把持動作の実行指示の有無を、アタッチメント100の油圧アクチュエータ(把持駆動部122)に供給される作動油の圧力(第1制御弁V71の受圧部へのパイロット圧)又はアタッチメント100の油圧アクチュエータ(把持駆動部122)に作動油を供給する制御弁への制御信号(第1制御弁V71の電磁弁のソレノイドに供給される電気信号)に基づいて検出する。制御装置51は、検出部80にて前記実行指示が検出された場合に前記作業制限を行う。
【0287】
また、検出部80は、アタッチメント100が把持している管W1を認識する第1センシング装置81であってもよい。第1センシング装置81であるカメラの撮像画像を画像解析処理し、アタッチメント100が管W1を把持している画像が含まれていることを、パターンマッチングにより認識された場合に、管W1の把持を検出できる。
【0288】
作業機1は、アタッチメント100により把持対象物W(例えば、管W1)を把持する作業を行う把持モードと、吊りフックによる吊り作業を行うクレーンモードとを切り換え可能である。クレーンモードでは、作業制限を行わないか、或いは、把持モードにおける作業制限の程度をクレーンモードにおける作業制限よりも大きくする。
【0289】
また、作業機1は、把持対象物W(例えば、管W1)の重量を検出する重量センサ80Bを有し、制御装置51は、アタッチメント100が把持している把持対象物Wの重量に応じて前記作業制限の程度を変更するとしてもよい。
【0290】
また、作業機1は、アタッチメント100の高さ位置を検出する位置検出部80Cを有し、制御装置51は、アタッチメント100の高さ位置に応じて前記作業制限の程度を変更するとしてもよい。例えば、位置検出部80Cは、アタッチメント100の高さ検出センサであってもよいし、ブーム角度センサ91で検出したブーム21の揺動角度θ2と、アーム角度センサ92で検出したアーム22の揺動角度θ3とに基づいてアタッチメント100の高さを検出してもよい。
【0291】
管W1の把持中の作業制限処理、
図7Bに示すフローチャートに従って実行される。
図7Bは、第2実施形態における管W1の把持中の作業制限処理の一例を示すフローチャートである。
【0292】
制御装置51は、クレーンモードであるか否かを判定する(S61)。制御装置51は、クレーンモードであると判定すると(S61、Yes)、検出部80にて管W1の把持が検出されているか否かを判定する(S62)。
【0293】
検出部80にて管W1の把持が検出されている場合には(S62、Yes)、制御装置51は、作業機1の作業を制限する(S63)。具体的には、制御装置51は、検出部80にて管W1の把持が検出されると、作業機1の作業範囲又は作業速度を制限する作業制限を行うが、作業機1の作業範囲および作業速度の両方を制限する作業制限を行ってもよい。
【0294】
制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1の重量に基づいて、作業機1の作業範囲を変更する。例えば、
図8Aに示すように、制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1の重量が、規定重量以下の場合、作業範囲の制限を行わず、規定重量を超えている場合、作業範囲の制限を行う。つまり、作業範囲を小さくする。なお、管W1の重さが大きくなるに連れて、作業機1の作業範囲(例えば作業半径、作業幅など)を徐々に或いは段階的に小さくするとしてもよい。言い換えれば、管W1の重さが大きくなるに連れて、作業機1の作業範囲における制限範囲が徐々に或いは段階的に大きくなるとしてもよい。
【0295】
制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1の重量に基づいて、作業機1の作業速度を変更する。例えば、
図8Bに示すように、制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1の重量が、規定重量以下の場合、作業速度の制限を行わず、規定重量を超えている場合、作業速度の制限を行う。つまり、作業速度を小さくする。なお、管W1の重さが大きくなるに連れて、作業機1の作業速度を徐々に或いは段階的に小さくするとしてもよい。言い換えれば、管W1の重さが大きくなるに連れて、作業機1の作業速度における制限範囲が徐々に或いは段階的に大きくなるとしてもよい。
【0296】
制御装置51は、アタッチメント100の高さ位置に基づいて、作業機1の作業範囲を変更する。例えば、
図8Cに示すように、制御装置51は、アタッチメント100の高さ位置が地平から上下方向に所定距離である地平範囲については作業半径を制限し、当該地平範囲よりも上方の範囲又は下方の範囲については作業半径を制限しないとする。なお、アタッチメント100の高さ位置が地平から上方又は下方に移動するに連れて、作業機1の作業範囲における制限範囲が徐々に小さくなるとしてもよい。
【0297】
制御装置51は、アタッチメント100の高さ位置に基づいて、作業機1の作業速度を変更する。例えば、
図8Dに示すように、制御装置51は、アタッチメント100の高さ位置が地平範囲については作業速度を制限し、上方の範囲又は下方の範囲については作業速度を制限しないとする。なお、アタッチメント100の高さ位置が地平から上方又は下方に移動するに連れて、作業機1の作業速度における制限範囲が徐々に或いは段階的に小さくなるとしてもよい。つまり、地平が最も作業速度が小さく、最上方及び最下方が最も作業速度が大きいとしてもよい。
【0298】
制御装置51は、アタッチメント100による管W1の把持位置に基づいて、作業機1の作業範囲を変更する。例えば、
図8Eに示すように、制御装置51は、アタッチメント100による管W1の把持位置が、管W1の管軸方向の端部範囲であれば、作業機1の作業範囲を制限し、管W1の管軸方向の中央範囲であれば、作業機1の作業範囲を制限しない。なお、アタッチメント100による管W1の把持位置が端部である場合に、当該端部の方に移動させる場合に作業範囲を制限せず、当該端部とは反対の端部の方に移動させる場合に作業範囲を制限してもよい。また、アタッチメント100による管W1の把持位置が管W1の端部近づくに連れて、作業機1の作業範囲における制限範囲が大きくなるとし
てもよい。
【0299】
制御装置51は、アタッチメント100の高さ位置に基づいて、作業機1の作業速度を変更する。例えば、
図8Fに示すように、制御装置51は、アタッチメント100の高さ位置が地平から上下方向に所定距離である地平範囲については作業速度を制限し、当該地平範囲よりも上方の範囲又は下方の範囲については作業速度を制限しないとする。なお、アタッチメント100の高さ位置が地平から上方又は下方に移動するに連れて、作業機1の作業速度における制限範囲が徐々に小さくなるとしてもよい。
【0300】
なお、制御装置51は、把持対象物Wにおける端部W1cの移動範囲が所定範囲内に収まるように作業機1の作業範囲を制限するとしてもよい。また、制御装置51は、アタッチメント100から把持対象物Wにおける端部W1cまでの長さが長いほど作業機1の作業速度の上限値を低く制限するとしてもよい。
【0301】
以上説明した第2実施形態における作業機1の主な特徴的な項目及び効果は、以下の通りである。
(項目D1)機体2と、前記機体2に設けられた作業装置20とを有し、前記作業装置20に把持対象物Wを把持するアタッチメント100を取付可能な作業機1であって、前記アタッチメント100によって把持対象物Wを把持する作業を行う場合に、前記作業機1の作業範囲および作業速度の一方または両方を制限する作業制限を行う制御装置51を備える作業機1である。
【0302】
この作業機1によれば、把持対象物Wを把持するアタッチメント100を用いて作業を行う際の安全性を向上させることができる。
【0303】
(項目D2)前記アタッチメント100による把持対象物Wの把持を検出する検出部80を備え、前記制御装置51は、前記検出部80にて前記把持対象物Wの把持が検出された場合に前記作業制限を行う項目D1に記載の作業機1である。
【0304】
この作業機1によれば、検出部80にてアタッチメント100による把持対象物Wの把持が検出される(つまり、把持状態になる)と、作業機1の操作者が特段の操作をすることなく、作業機1の作業を自動で制限することができる。このため、作業機1の操作者によらず、把持対象物Wの把持中の作業機1による作業の安全性を確保することができる。
【0305】
(項目D3)前記検出部80は、前記作業装置20に作用する荷重を検出する荷重センサ84を有し、前記荷重が前記把持対象物Wを把持していない状態よりも所定以上重くなったか否かにより前記把持対象物Wの把持を検出する項目D2に記載の作業機1である。
【0306】
この作業機1によれば、アタッチメント100側の荷重が当該アタッチメント100よりも所定以上重くなった場合に、アタッチメント100が把持対象物Wを把持していると判定することができる。このため、アタッチメント100による把持対象物Wの把持を間接的に検出することができる。
【0307】
(項目D4)前記作業装置20に前記アタッチメント100が取り付けられていることを検出、または前記アタッチメントを用いる作業モードである把持作業モードの選択指示を検出するアタッチメント検出部80Aを備え、前記制御装置51は、前記アタッチメント検出部80Aによって前記アタッチメント100が取り付けられていることが検出された場合、または把持作業モードの選択指示が検出された場合に前記作業制限を行う項目D1~項目D3のいずれかに記載の作業機1である。
【0308】
この作業機1によれば、アタッチメント検出部80Aは、アタッチメント100の取り付けられていることが検出された場合、又は、把持作業モードの選択指示を検出された場合、アタッチメント100による把持対象物Wの把持作業が行われる蓋然性が高いので、把持対象物Wの把持が検出されたとする。このため、アタッチメント100が実際に把持対象物Wを把持する直前及び把持対象物Wの把持中において、作業機1の作業を制限することができる。
【0309】
(項目D5)前記検出部80は、アタッチメント100に対する把持動作の実行指示を検出し、前記制御装置51は、前記検出部80にて前記実行指示が検出された場合に前記作業制限を行う項目D2に記載の作業機1である。
【0310】
この作業機1によれば、アタッチメント100への把持動作の実行指示があれば、アタッチメント100が把持対象物Wを把持する。このため、アタッチメント100が実際に把持対象物Wを把持している状態を直接的に検出することに替えて、把持対象物Wの把持を間接的に検出することができる。
【0311】
(項目D6)前記アタッチメント100は、前記把持動作を行うための油圧アクチュエータ(把持駆動部122)を備え、前記検出部80は、前記実行指示の有無を、前記油圧アクチュエータに供給される作動油の圧力又は前記油圧アクチュエータに作動油を供給する制御弁への制御信号に基づいて判定する項目D5に記載の作業機1である。
【0312】
この作業機1によれば、アタッチメント100の油圧アクチュエータ(把持駆動部122)に供給される作動油の圧力又はアタッチメント100の油圧アクチュエータ(把持駆動部122)に作動油を供給する制御弁への制御信号に基づいて、アタッチメント100への把持指示の有無を判定するので、把持対象物Wの把持の検出を好適に行うことができる。
【0313】
(項目D7)前記アタッチメント100が把持している把持対象物Wを認識する第1センシング装置81を備え、前記検出部80は、前記第1センシング装置81の認識結果に基づいて把持対象物Wの把持を検出する項目D2に記載の作業機1である。
【0314】
この作業機1によれば、第1センシング装置81によってアタッチメント100が実際に把持対象物Wを把持している状態を直接的に検出することができ、アタッチメント100による把持対象物Wの把持の検出を好適に行うことができる。
【0315】
(項目D8)前記アタッチメント100により前記把持対象物Wを把持する作業を行う把持モードと、吊り作業を行うクレーンモードとを切換可能であり、前記クレーンモードでは前記作業制限を行わないか、或いは、前記把持モードにおける前記作業制限の程度を前記クレーンモードにおける前記作業制限よりも大きくする項目D1~項目D7のいずれかに記載の作業機1である。
【0316】
この作業機1によれば、吊りフックによる吊り作業が可能なクレーンモードでは、把持対象物Wの把持が検出されず、且つ、把持対象物Wの把持に基づく作業機1の作業の制限を行わない。このため、クレーンモードを、把持作業モードとは別とすることができ、クレーンモードを適切に実行することができる。また、把持モードでは、クレーンモードの作業制限に比べて、作業制限の程度を大きくすることができ、把持モードでの安全性を向上させることができる。
【0317】
(項目D9)前記把持対象物Wの重量を検出する重量センサ80Bを有し、前記制御装置51は、前記アタッチメント100が把持している把持対象物Wの重量に応じて前記作
業制限の程度を変更する項目D1~項目D8のいずれかに記載の作業機1である。
【0318】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している把持対象物Wの重量に応じて作業制限の程度が変更されるので、アタッチメント100が把持している把持対象物Wの重量を考慮して安全性を設定することができる。例えば、把持対象物Wの重量が増加するに連れて、作業機1の作業制限の程度を大きくすることができ、把持している把持対象物Wの重量が増加する場合であっても、作業の安全性を確保することができる。
【0319】
例えば、アタッチメント100が把持している管W1の重量に基づいて、作業機1の作業範囲(例えば作業半径、作業幅など)および作業速度の一方または両方を変更することができる。このため、管W1の重量に応じて適切に作業範囲および作業速度の一方または両方を設定することができる。例えば、管W1の重さが大きくなるに連れて、作業機1の作業範囲を小さくしたり、作業機1の作業速度を小さくしたりすることができる。このため、管W1の重量に応じて適切に作業範囲および作業速度の一方または両方を設定することができる。
【0320】
(項目D10)前記アタッチメント100の高さ位置を検出する位置検出部80Cを備え、前記制御装置51は、前記アタッチメント100の高さ位置に応じて前記作業制限の程度を変更する項目D1~項目D9のいずれかに記載の作業機1である。
【0321】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している把持対象物Wの高さ位置に応じて作業制限の程度が変更されるので、把持している把持対象物Wの高さを考慮して作業の安全性を確保することができる。
【0322】
例えば、アタッチメント100の高さ位置に基づいて、作業機1の作業範囲を変更する。このため、アタッチメント100の高さ位置に応じて適切に作業範囲を設定することができる。また、アタッチメント100の高さ位置に基づいて、作業機1の作業速度を変更する。このため、アタッチメント100の高さ位置に応じて適切に作業速度を設定することができる。
【0323】
(項目D11)前記第1センシング装置81は、前記アタッチメント100が把持している前記把持対象物Wにおける前記アタッチメント100から突出した部分の端部W1cを認識し、前記制御装置51は、前記把持対象物Wにおける前記端部W1cの移動範囲が所定範囲内に収まるように前記作業機1の作業範囲を制限する項目D7に記載の作業機1である。
【0324】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している把持対象物Wの移動を所定範囲内に止めるので、所定範囲以外を安全地帯とすることができる。このため、把持対象物Wの把持中の作業機1による作業の安全性を確保することができる。
【0325】
(項目D12)前記第1センシング装置81は、前記アタッチメント100が把持している前記把持対象物Wにおける前記アタッチメント100から突出した部分の端部W1cを認識し、前記制御装置51は、前記アタッチメント100から前記把持対象物Wにおける前記端部W1cまでの長さが長いほど前記作業機1の作業速度の上限値を低く制限する項目D7に記載の作業機1である。
【0326】
この作業機1によれば、アタッチメント100から突出した把持対象物Wの長さが長い場合にも作業の安全性を確保することができる。即ち、アタッチメント100から突出した把持対象物Wの長さに関わらず作業の安全性を確保することができる。
【0327】
(項目D13)機体2と、前記機体2に設けられた作業装置20とを有し、前記作業装置20に把持対象物Wを把持するアタッチメント100を取付可能な作業機1の制御方法であって、前記アタッチメント100によって把持対象物Wを把持する作業を行う場合に、前記作業機1の作業範囲および作業速度の一方または両方を制限する(S63)作業機1の制御方法である。
【0328】
この作業機1の制御方法によれば、把持対象物Wを把持するアタッチメント100を用いて作業を行う際の安全性を向上させることができる。
【0329】
[第3実施形態]
第3実施形態の作業機1は、把持対象物W(例えば管W1)の把持中に周辺監視が可能な構成としている点が、第2実施形態とは異なっている。なお、第2実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0330】
図9Aは、第3実施形態の作業機の電気ブロック図である。第1センシング装置81は、アタッチメント100が把持している把持対象物W(例えば管W1)におけるアタッチメント100から張り出した部分の端部(少なくとも端部W1c)の位置を認識する。
【0331】
第3実施形態の作業機1は、アタッチメント100が把持している把持対象物W(例えば管W1)の周辺に位置する接触回避対象の位置を検出する周辺監視装置88を備えている。ここで言う「接触回避対象」は、後述するように、人HM又は障害物、作業機1自体、作業不可領域IAなどであり、アタッチメント100が把持している把持対象物Wが接触、近接又は進入することを許容できない物、領域又は空間のことを含む。周辺監視装置88は、例えば、カメラ、TOF(Time Of Flight)カメラ、LiDAR、ミリ波レーダー・センサなどであり、人HM又は障害物、作業機1自体を検出可能である。また、グローバル座標系、作業機座標系などにおける作業不可領域IAを示す位置データが記憶部54に予め記憶されている。周辺監視装置88は、記憶部54に記憶された作業不可領域IAを示す位置データに基づいて、グローバル座標系、作業機座標系などにおける作業不可領域IAを取得することが可能である。
【0332】
第3実施形態の相対位置算出部59は、さらに、第1センシング装置81にて認識された管W1の端部W1cの位置と、周辺監視装置88にて検出された接触回避対象の位置との相対位置を算出する。相対位置算出部59は、検出部80にて管W1の把持が検出されている場合に、相対位置を算出する。
【0333】
図12は、把持中の管とその周辺の接触回避対象との相対位置に基づいて作業機の周辺に設定された許可範囲を説明するための図である。第3実施形態の制御装置51は、相対位置算出部59が算出した相対位置に基づいて、アタッチメント100が把持している管W1が、接触回避対象に接触しない許可範囲WAを設定する。許可範囲WAは、基本的には、アタッチメント100が把持している把持対象物Wに関する作業を行うための土地、道路及び現場、把持対象物Wを把持中の作業機1が移動可能な道路及び路地、作業機1を待機させる待機場所などが含まれる作業可能領域である。
【0334】
制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1が許可範囲WA内に位置するように、作業機1の動作を制御する。
【0335】
表示装置70は、相対位置を示す相対位置情報を表示する。報知装置75は、相対位置を示す相対位置情報を報知する。報知装置75は、相対位置が所定距離未満になったときに発報する。
【0336】
周辺監視装置88は、アタッチメント100が把持している管W1の周辺に位置する人HM又は障害物の位置PH1を、接触回避対象の位置として検出する。例えば、位置PH1は、作業機座標系では座標(Xmh1,Ymh1,Zmh1)であり、グローバル座標系の座標であってもよい。相対位置算出部59は、第1センシング装置81にて認識された管W1の位置と、周辺監視装置88にて検出された人HM又は障害物の位置PH1との相対位置を算出する。位置PH1を原点し、半径RK1(半径RK1は例えば1mなど)とする円の領域を禁止領域FA1としてもよい。
【0337】
また、周辺監視装置88は、アタッチメント100が把持している管W1の周辺に位置する当該作業機1の位置を、接触回避対象の位置として検出する。相対位置算出部59は、第1センシング装置81にて認識された管W1の位置と、周辺監視装置88にて検出された当該作業機1の位置との相対位置を算出する。
【0338】
周辺監視装置88は、
図12に示すように、アタッチメント100が把持している管W1の周辺に位置する、作業機1による作業不可領域IAの境界BDの位置(境界BDを構成する複数の位置PBD1~PBDn)を、接触回避対象の位置として検出する。例えば、位置PBD1、PBDnは、作業機座標系では座標(Xmb1,Ymb1,Zmb1)、座標(Xmbn,Ymbn,Zmbn)であり、グローバル座標系の座標であってもよい。作業不可領域IAは、アタッチメント100が把持している管W1及び作業機1の進入が不可である禁止領域FA2である。相対位置算出部59は、第1センシング装置81にて認識された管W1の位置と、周辺監視装置88にて検出された境界BDの位置(位置PBD1~PBDn)との相対位置を算出する。
【0339】
なお、周辺監視装置88は、アタッチメント100が把持している管W1の周辺に位置する、作業機1による作業不可空間の境界の位置を、接触回避対象の位置として検出してもよい。作業不可空間は、アタッチメント100が把持している管W1及び作業機1が進入してはいけない空間であり、作業不可領域IAを含む空間である。なお、許可空間(許可範囲WAを含む空間)は、例えば、アタッチメント100が把持している把持対象物W(例えば、管W1)に関する作業を行うための土地、道路及び現場の上下に広がる空間、把持対象物W(例えば、管W1)を把持中の作業機1が移動可能な道路及び路地の上下に広がる空間、作業機1を待機させる待機場所の上下に広がる空間などが含まれる作業可能空間である。相対位置算出部59は、第1センシング装置81にて認識された管W1の位置と、周辺監視装置88にて検出された作業不可空間の境界の位置との相対位置を算出する。
【0340】
第1センシング装置81は、アタッチメント100が把持している管W1の端部の位置PM12を認識する。例えば、位置PM12は、作業機座標系では座標(Xmw2,Ymw2,Zmw2)であり、グローバル座標系の座標であってもよい。相対位置算出部59は、第1センシング装置81にて認識された管W1の端部のうちで接触回避対象に最も近接する端部W1cの位置PM12と、当該管W1の周辺に位置する接触回避対象の位置との相対位置を算出する。
【0341】
第1センシング装置81は、アタッチメント100が把持している長尺形状の管W1の長手方向両端部W1b、W1cの位置PM11、PM12を認識する。例えば、位置PM11は、作業機座標系では座標(Xmw1,Ymw1,Zmw1)であり、グローバル座標系の座標であってもよい。相対位置算出部59は、第1センシング装置81にて認識された管W1の両端部W1b、W1cの各位置PM11、PM12と、当該管W1の周辺に位置する接触回避対象の位置との相対位置を算出する。
【0342】
第1センシング装置81は、アタッチメント100が把持している管W1の両端部W1
b、W1cを含む複数の外面の位置(例えば、管W1の外周面で長手方向に並ぶ複数の位置、当該両端部W1b、W1cの間の複数の中間位置など)を認識する。相対位置算出部59は、第1センシング装置81にて認識された各位置と、接触回避対象の位置との相対位置をそれぞれ算出する。なお、相対位置算出部59は、第1センシング装置81にて認識された管W1の両端部W1b、W1cを結ぶ線分の各位置と、接触回避対象の位置との相対位置をそれぞれ算出してもよい。
【0343】
相対位置算出部59は、第1センシング装置81にて認識された管W1の両端部W1b、W1cを結ぶ線分の各位置に当該管W1の所定厚みを加算した各位置と、当該管W1の周辺に位置する接触回避対象の位置との相対位置をそれぞれ算出してもよい。
【0344】
記憶部54は、把持している管W1の一端部W1bを検出する設定、両端部W1b、W1cを検出する設定、両端部W1b、W1cを検出する場合に両端部W1b、W1c間の線分を検出する設定、及び、線分を検出する場合に線分について厚みを加算する設定を予め記憶している。また、運転者による操作装置5又は設定部57への操作によって、記憶部54が記憶するこれらの設定を適宜に変更することが可能である。
【0345】
管W1の把持中の周辺監視処理、
図9Bに示すフローチャートに従って実行される。
図9Bは、管の把持中の周辺監視処理の一例を示すフローチャートである。
【0346】
制御装置51は、検出部80にて管W1の把持が検出されているか否かを判定する(S71)。管W1の把持が検出されている場合には(S71、Yes)、制御装置51は、第1センシング装置81による、把持している管W1の位置の認識を行う(S72)。
【0347】
管W1の位置認識処理(S72)は、
図10に示すフローチャートに従って実行される。
図10は、管の位置認識処理の一例を示すフローチャートである。
【0348】
制御装置51は、管W1の一端部W1bのみを検出する設定が記憶部54に記憶されている場合(S721、Yes)、管W1の一端部W1bの位置のみを検出する(S722)。一方、管W1の一端部W1bのみを検出する設定でない場合(S721、No)、制御装置51は、管W1の両端部W1b、W1cの位置を検出する(S723)。
【0349】
制御装置51は、管W1の両端部W1b、W1c間の線分を検出する設定が記憶部54に記憶されている場合(S724、Yes)、管W1の両端部W1b、W1c間の線分の各位置を検出する(S725)。
【0350】
制御装置51は、S725のあと、管W1の両端部W1b、W1c間の線分に厚みを加算する設定が記憶部54に記憶されている場合(S726、Yes)、管W1の両端部W1b、W1c間の線分に厚みを加算する(S727)。制御装置51は、S727のあと、S722のあと、S724でNoの場合、又は、S726でNoの場合、本処理を終了し、
図9BのS73に進む。
【0351】
周辺監視装置88は、アタッチメント100が把持している把持対象物W(例えば管W1)の周辺に位置する接触回避対象の位置を検出する(S73)。
【0352】
管W1の周辺の接触回避対象検出処理(S73)は、
図11に示すフローチャートに従って実行される。
図11は、管の周辺の接触回避対象検出処理の一例を示すフローチャートである。
【0353】
制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1の周辺に接触回避対象あ
りと周辺監視装置88にて検出された場合(S731、Yes)、接触回避対象が人HM又は障害物であるか否かを判定する(S732)。制御装置51は、接触回避対象が人HM又は障害物であると判定した場合(S732、Yes)、人HM又は障害物の位置PH1を記憶部54に記憶する(S733)。
【0354】
制御装置51は、接触回避対象が作業機自体(例えばブーム21、本体30、保護機構6など)であるか否かを判定する(S734)。制御装置51は、接触回避対象が作業機自体であると判定した場合(S734、Yes)、作業機1の位置を記憶部54に記憶する(S735)。
【0355】
制御装置51は、接触回避対象が作業不可領域IA又は作業不可空間であるか否かを判定する(S736)。制御装置51は、接触回避対象が作業不可領域IA又は作業不可空間であると判定した場合(S736、Yes)、作業不可領域IA又は作業不可空間の位置を記憶部54に記憶する(S737)。
【0356】
制御装置51は、S731でNoの場合、S732でNoの場合、S736でNoの場合、又は、S737のあと、本処理を終了し、
図9BのS74に進む。
【0357】
相対位置算出部59は、第1センシング装置81にて認識された管W1の位置と、周辺監視装置88にて検出された境界BDの位置(位置PBD1~PBDn)との相対位置を算出する(S74)。
【0358】
相対位置算出部59は、把持している管W1の一端部W1bを検出する設定であれば、管W1の端部のうちで当該アタッチメント100から最も遠い端部W1cの位置PM12と、当該管W1の周辺に位置する接触回避対象の位置との相対位置を算出する。相対位置算出部59は、両端部W1b、W1cを検出する設定であれば、管W1の両端部W1b、W1cの各位置PM11、PM12と、当該管W1の周辺に位置する接触回避対象の位置との相対位置を算出する。相対位置算出部59は、両端部W1b、W1cを検出する場合に両端部W1b、W1c間の線分を検出する設定であれば、管W1の両端部W1b、W1cを結ぶ線分の各位置と、当該管W1の周辺に位置する接触回避対象の位置との相対位置をそれぞれ算出する。相対位置算出部59は、線分を検出する場合に線分について厚みを加算する設定であれば、管W1の両端部W1b、W1cを結ぶ線分の各位置に当該管W1の所定厚みを加算した各位置と、当該管W1の周辺に位置する接触回避対象の位置との相対位置をそれぞれ算出する。
【0359】
制御装置51は、相対位置算出部59が算出した相対位置に基づいて、アタッチメント100が把持している管W1が、接触回避対象に接触しない許可範囲WAを設定する(S75)。
【0360】
図13は、表示装置における相対位置情報の表示例を示す図である。表示装置70は、相対位置を示す相対位置情報を表示部71に表示する(S75)。表示部71には、相対位置情報として、作業機1のアタッチメント100が把持している管W1と、その周辺に存する禁止領域FA1、FA2との相対位置関係を示す情報と、「周辺に注意して下さい」とのメッセージM1とを表示する。報知装置75は、相対位置を示す相対位置情報を報知する(S75)。例えば、報知装置75は、「周辺に注意して下さい」との報知音声を出力する。
【0361】
制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1が許可範囲WA内に位置するように、当該作業機1を制御する(S77)。例えば、制御装置51は、アタッチメント100が把持している管W1が許可範囲WA内に位置する場合に、運転者による把持
ボタン5a及び操作レバー5bの手動操作、又は、把持作業モードでのアタッチメント100の自動把持作業を行う。なお、制御装置51は、相対位置算出部59が算出した相対位置が所定距離未満になったときに作業機1の作業速度を制限してもよい。例えば、作業装置20(ブームシリンダC1、アタッチメント揺動シリンダC2、スイングシリンダC4、アームシリンダC9など)、走行装置10(左用走行モータML、右用走行モータMR)、旋回装置25(旋回モータMT)などの少なくとも1つ以上の作業速度が制限される。制御装置51は、相対位置が所定距離未満になったときに、当該相対位置が近いほど作業機1の作業速度の上限値を低く制限する。
【0362】
制御装置51は、接触回避対象の位置が変化したか否かを判定し(S78)、変化したと判定した場合(S78、Yes)、S72に進む。一方、制御装置51は、接触回避対象の位置が変化していないと判定した場合(S78、No)、管W1の把持が終了したか否かを判定する(S79)。制御装置51は、管W1の把持が終了していない場合(S79、No)、S72に戻る。一方、制御装置51は、管W1の把持が終了した場合(S79、Yes)、本処理を終了する。
【0363】
以上説明した第3実施形態における作業機1の主な特徴的な項目及び効果は、以下の通りである。
【0364】
(項目E1)機体2と、前記機体2に設けられた作業装置20とを有し、前記作業装置20に把持対象物Wを把持するアタッチメント100を取付可能な作業機1であって、前記アタッチメント100が把持している把持対象物Wにおける前記アタッチメント100から張り出した部分の端部の位置を認識する第1センシング装置81と、前記把持対象物Wの周辺に位置する接触回避対象の位置を検出する周辺監視装置88と、前記第1センシング装置81にて認識された前記把持対象物Wの前記端部の位置と、前記周辺監視装置88にて検出された前記接触回避対象の位置との相対位置を算出する相対位置算出部59と、を備える作業機1である。
【0365】
この作業機1によれば、把持対象物Wと接触回避対象との相対位置を容易に把握できるので、把持対象物Wを把持するアタッチメント100を用いて作業を行う際の安全性を向上させることができる。さらに言えば、相対位置算出部59は、アタッチメント100が把持している把持対象物Wの位置と、当該把持対象物Wの周辺に位置する接触回避対象の位置との相対位置を算出する。このため、種類の異なる把持対象物Wをアタッチメント100が把持している場合、アタッチメント100による把持対象物Wの把持状態が前回の把持状態又は規定の状態と異なっている場合であっても、アタッチメント100が把持している把持対象物Wの位置と、当該把持対象物Wの周辺に位置する接触回避対象の位置との相対位置を正確に取得することができる。したがって、アタッチメント100による把持の実状を踏まえて、アタッチメント100が把持している把持対象物Wと当該把持対象物Wの周辺に位置する接触回避対象との相対位置関係を正確に把握することができる。
【0366】
(項目E2)前記相対位置に基づいて、前記把持対象物Wが前記接触回避対象に接触しない許可範囲WA内に位置するように、当該作業機1の動作を制御する制御装置51を備える項目E1に記載の作業機1である。
【0367】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している把持対象物Wが当該把持対象物Wの周辺の接触回避対象に接触又は進入することを防止できる。したがって、把持対象物Wを把持している状態の作業装置20の駆動制御を安全に行うことができる。
【0368】
(項目E3)前記相対位置を示す相対位置情報を表示する表示装置70を備える項目E1又はE2に記載の作業機1である。
【0369】
この作業機1によれば、表示装置70は、相対位置を示す相対位置情報を表示するので、作業機1の操縦者に対して、アタッチメント100が把持している把持対象物Wとその周辺に位置する接触回避対象との相対位置関係を知らせることができる。
【0370】
(項目E4)前記相対位置が所定距離未満になったときに発報する報知装置75を備える項目E1~E3のいずれかに記載の作業機1である。
【0371】
この作業機1によれば、報知装置75は、相対位置を示す相対位置情報を報知するので、作業機1の操縦者に対して、アタッチメント100が把持している把持対象物Wとその周辺に位置する接触回避対象との相対位置関係を報知することができる。
【0372】
(項目E5)前記周辺監視装置88は、前記把持対象物Wの周辺に位置する人HM又は障害物の位置PH1を、前記接触回避対象の位置として検出する項目E1~E4のいずれかに記載の作業機1である。
【0373】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している把持対象物Wと、当該把持対象物Wの周辺に位置する人HM又は障害物との相対位置関係を取得することができる。よって、アタッチメント100による把持の実状を踏まえて、アタッチメント100が把持している把持対象物Wと当該把持対象物Wの周辺に位置する人HM又は障害物との相対位置関係を正確に把握することができる。
【0374】
(項目E6)前記周辺監視装置88は、当該作業機1の位置を、前記接触回避対象の位置として検出する項目E1~E5のいずれかに記載の作業機1である。
【0375】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している把持対象物Wと、当該把持対象物Wの周辺に位置する当該作業機1との相対位置関係を取得することができる。よって、アタッチメント100による把持の実状を踏まえて、アタッチメント100が把持している把持対象物Wと当該把持対象物Wの周辺に位置する当該作業機1との相対位置関係を正確に把握することができる。
【0376】
(項目E7)前記周辺監視装置88は、前記把持対象物Wの周辺に設定される、前記作業機1による作業不可領域IAの境界BDの位置(位置PBD1~PBDn)を、前記接触回避対象の位置として検出する項目E1~E6のいずれかに記載の作業機1である。
【0377】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している把持対象物Wと、当該把持対象物Wの周辺に位置する、作業機1による作業不可領域IAの境界BDとの相対位置関係を取得することができる。よって、アタッチメント100による把持の実状を踏まえて、アタッチメント100が把持している把持対象物Wと当該把持対象物Wの周辺に位置する作業不可領域IAの境界BDとの相対位置関係を正確に把握することができる。作業可能領域としては、例えば、アタッチメント100が把持している把持対象物Wに関する作業を行うための土地、道路及び現場、把持対象物Wを把持中の作業機1が移動可能な道路及び路地、作業機1を待機させる待機場所などが含まれる。
【0378】
また、アタッチメント100が把持している把持対象物Wと、当該把持対象物Wの周辺に位置する、作業機1による作業不可空間の境界BDとの相対位置関係を取得することができる。よって、アタッチメント100による把持の実状を踏まえて、アタッチメント100が把持している把持対象物Wと当該把持対象物Wの周辺に位置する作業不可空間の境界BDとの相対位置関係を正確に把握することができる。作業可能空間としては、例えば、アタッチメント100が把持している把持対象物Wに関する作業を行うための土地、道
路及び現場の上下に広がる空間、把持対象物Wを把持中の作業機1が移動可能な道路及び路地の上下に広がる空間、作業機1を待機させる待機場所の上下に広がる空間などが含まれる。
【0379】
(項目E8)前記相対位置算出部59は、前記第1センシング装置81にて認識された前記把持対象物Wの端部のうちで前記接触回避対象に最も近接する端部W1cの位置PM12と、前記接触回避対象の位置との相対位置を算出する項目E1~E7のいずれかに記載の作業機1である。
【0380】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している把持対象物Wのうちで前記接触回避対象に最も近接する端部W1cと接触回避対象との相対位置を算出するだけでよい。つまり、必要最低限の相対位置のみを算出するだけでよい。このため、相対位置の算出処理負担を低減することができる。
【0381】
(項目E9)前記第1センシング装置は、長尺形状の前記把持対象物Wの長手方向両端部W1b、W1cの位置を認識し、前記相対位置算出部59は、前記第1センシング装置81にて認識された前記両端部W1b、W1cの各位置PM11、PM12と、前記接触回避対象の位置との相対位置を算出する項目E1~E8のいずれかに記載の作業機1である。
【0382】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している把持対象物Wの両端部W1b、W1cの各位置PM11、PM12と、当該把持対象物Wの周辺に位置する接触回避対象の位置との相対位置とを取得することができる。即ち、2つの相対位置を取得することができ、且つ、2つの相対位置の算出に抑えているので、相対位置の算出処理負担を低く維持することができる。
【0383】
(項目E10)前記第1センシング装置81は、前記把持対象物Wにおける前記両端部W1b、W1cを含む複数の外面の位置を認識し、前記相対位置算出部59は、前記第1センシング装置81にて認識された前記各位置と、前記接触回避対象の位置との相対位置をそれぞれ算出する項目E9に記載の作業機1である。
【0384】
この作業機1によれば、アタッチメント100が把持している把持対象物Wの両端部W1b、W1cを含む複数の外面の各位置と、接触回避対象の位置との相対位置がそれぞれ算出される。把持対象物Wの両端部W1b、W1cを含む複数の外面の各位置と接触回避対象との相対位置とを取得することができる。このため、さらに詳細に相対位置を取得することができる。
【0385】
例えば、把持対象物Wの両端部W1b、W1cを結ぶ線分の各位置と接触回避対象との相対位置とを取得してもよい。この場合には、アタッチメント100が把持している把持対象物Wの両端部W1b、W1cを結ぶ線分の各位置について相対位置を取得することができる。このため、さらに詳細に相対位置を取得することができる。
【0386】
また、相対位置算出部59は、第1センシング装置81にて認識された把持対象物Wの両端部W1b、W1cを結ぶ線分の各位置に当該把持対象物Wの所定厚みを加算した各位置と、当該把持対象物Wの周辺に位置する接触回避対象の位置との相対位置をそれぞれ算出するとしてもよい。
【0387】
この場合には、アタッチメント100が把持している把持対象物Wの両端部W1b、W1cを結ぶ線分の各位置に当該把持対象物Wの所定厚みを加算した各位置と、当該把持対象物Wの周辺に位置する接触回避対象の位置との相対位置がそれぞれ算出される。つまり
、把持対象物Wの両端部W1b、W1cを結ぶ線分であって当該把持対象物Wの厚みを考慮した各位置と接触回避対象との相対位置とを取得することができる。即ち、アタッチメント100が把持している把持対象物Wの両端部W1b、W1cを結ぶ線分の当該把持対象物Wの厚みを考慮した各位置について相対位置を取得することができる。このため、より一層詳細に相対位置を取得することができる。
【0388】
(項目E11)前記アタッチメント100による把持対象物Wの把持を検出する検出部80を備え、前記相対位置算出部59は、前記検出部80にて前記把持対象物Wの把持が検出されている場合に、前記相対位置を算出する項目E1~E10のいずれかに記載の作業機1である。
【0389】
この作業機1によれば、相対位置算出部59は、検出部80にて把持対象物Wの把持が検出されている場合(つまり、アタッチメント100が把持対象物Wを把持している場合)に、相対位置を算出する。このため、アタッチメント100が把持対象物Wを把持している作業装置20による作業中において、アタッチメント100が把持している把持対象物Wとその周辺に位置する接触回避対象との相対位置を取得することができる。つまり、相対位置を適切なタイミングで取得することができる。
【0390】
(項目E12)前記相対位置が所定距離未満になったときに前記作業機の作業速度を制限する制御装置を備える項目E1~E11のいずれかに記載の作業機1である。
【0391】
この作業機1によれば、把持対象物Wを把持するアタッチメント100による作業の制限を適切なタイミングで行うことができる。
【0392】
(項目E13)前記制御装置は、前記相対位置が近いほど前記作業機の作業速度の上限値を低く制限する項目E12に記載の作業機1である。
【0393】
この作業機1によれば、把持対象物Wを把持するアタッチメント100による作業の安全性を、相対位置との距離に応じて適切に確保することができる。
【0394】
(項目E14)機体2と、前記機体2に設けられた作業装置20と、前記作業装置20に把持対象物Wを把持するアタッチメント100とを備える作業機1の制御方法であって、前記作業機1は、前記アタッチメント100が把持している把持対象物Wの位置を認識する第1センシング装置81と、前記把持対象物Wの周辺に位置する接触回避対象の位置を検出する周辺監視装置88と、前記把持対象物Wと前記接触回避対象との相対位置を算出する相対位置算出部59とを備え、前記第1センシング装置81に前記アタッチメント100が把持している前記把持対象物Wにおける前記アタッチメント100から張り出した部分の端部の位置を認識させる第1ステップ(S72)と、前記周辺監視装置88に前記把持対象物Wの周辺に位置する接触回避対象の位置を検出させる第2ステップ(S73)と、前記第1ステップにて認識された前記把持対象物Wの位置と、前記第2ステップにて検出された前記接触回避対象の位置との相対位置を前記相対位置算出部59に算出させる第3ステップ(S74)と、を含む作業機1の制御方法である。
【0395】
この作業機1の制御方法によれば、把持対象物Wと接触回避対象との相対位置を容易に把握できるので、把持対象物Wを把持するアタッチメント100を用いて作業を行う際の安全性を向上させることができる。
【0396】
また、各実施形態において、座標算出部58及び相対位置算出部59は、作業機座標系の位置に限らず、第1センシング装置81の座標系の位置、グローバル座標系の位置を用いてもよい。既知の座標変換演算により、相互に座標系を変更することが可能である。
【0397】
また、各実施形態では、第1センシング装置81と位置取得装置83とを備えているが、第1センシング装置81が位置取得装置83を兼用してもよい。つまり、第1センシング装置81が、被接合管W2の一端部W2bの位置も検出(取得)してもよい。
【0398】
また、各実施形態では、作業機1は、原動機E1の動力によって、第1油圧ポンプP1、第2油圧ポンプP2及び第3油圧ポンプP3を駆動する構成としているが、原動機E1に替えて或いは加えて、駆動バッテリ及び電動モータを備える電動タイプ又はハイブリッドタイプの作業機であってもよい。この場合には、作業機1は、駆動バッテリからの電力で電動モータを駆動させ、電動モータの動力で第1油圧ポンプP1、第2油圧ポンプP2及び第3油圧ポンプP3を駆動させ、第1油圧ポンプP1、第2油圧ポンプP2から吐出される作動油により油圧アクチュエータ(ブームシリンダC1、アタッチメント揺動シリンダC2、ドーザシリンダC3、スイングシリンダC4、アームシリンダC9)、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTを駆動させ、油圧アクチュエータ(ブームシリンダC1、アタッチメント揺動シリンダC2、ドーザシリンダC3、スイングシリンダC4、アームシリンダC9)、左用走行モータML、右用走行モータMR、旋回モータMTの動力で作業装置20、走行装置10を駆動させることができる。
【0399】
また、作業装置20、走行装置10に備えるアクチュエータのうち一部又は全部を電動アクチュエータで構成し、当該電動アクチュエータをバッテリの電力で駆動させて、当該電動アクチュエータの動力で作業装置20、走行装置10を駆動させる構成にしてもよい。例えば、全アクチュエータを電動アクチュエータにする構成の他、油圧ポンプ駆動用の電動モータ及び旋回電動モータの少なくとも1つを有する構成であってもよい。
【0400】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0401】
上述した各実施形態では、本発明をバックホー等の作業機1に適用する場合の例について説明したが、本発明の適用対象はこれに限らず、例えば、ホイールローダ、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ等の他の建設機械に適用してもよい。
【符号の説明】
【0402】
1 作業機
2 機体
10 走行装置
20 作業装置
21 ブーム
22 アーム
24 スイングブラケット
25 旋回装置
30 本体
51 制御装置
57 設定部
58 座標算出部
59 相対位置算出部
80 検出部
80A アタッチメント検出部
80B 重量センサ
80C 位置検出部
81 第1センシング装置(検出部)
82 第2センシング装置
83 位置取得装置
84 荷重センサ(検出部)
100 アタッチメント
112 把持部
114 水平方向回動機構
115 接合機能部
121 把持爪
C1 ブームシリンダ
C2 アタッチメント揺動シリンダ
C4 スイングシリンダ
C9 アームシリンダ
MT 旋回モータ
W 把持対象物(接合部材)
W1 管(接合部材)
W2 被接合管(被接合部材)