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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031611
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】セラミックサセプタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/458 20060101AFI20250228BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20250228BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20250228BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20250228BHJP
   C22C 1/10 20230101ALI20250228BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20250228BHJP
   B32B 15/04 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
C23C16/458
C23C14/50 A
H01L21/68 N
H01L21/31 F
C22C1/10 E
C22C1/10 Z
B32B9/00 A
B32B15/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024134601
(22)【出願日】2024-08-09
(31)【優先権主張番号】10-2023-0110990
(32)【優先日】2023-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520139620
【氏名又は名称】ミコ セラミックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ソ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ビョン ギル
【テーマコード(参考)】
4F100
4K020
4K029
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4F100AA01
4F100AA01A
4F100AA01C
4F100AB00
4F100AB00A
4F100AB00C
4F100AB10
4F100AB10D
4F100AB10E
4F100AB12
4F100AB12A
4F100AB12C
4F100AB19
4F100AB19A
4F100AB19C
4F100AD00
4F100AD00A
4F100AD00C
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA07
4F100DE00
4F100DE00B
4F100GB41
4F100YY00A
4F100YY00C
4K020AA24
4K020AC01
4K029DA08
4K029JA01
4K030GA02
4K030KA26
4K030KA46
5F045AA06
5F045AA08
5F045EB03
5F045EC05
5F045EM05
5F045EM09
5F131AA02
5F131AA32
5F131AA33
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131BA23
5F131CA17
5F131CA70
5F131EA03
5F131EA04
5F131EB11
5F131EB16
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB82
(57)【要約】      (修正有)
【課題】MMC(Metal Matric Composite)金属セラミック複合材ベースボディーの上板及び下板の結合力が向上したセラミックサセプタの製造方法、およびセラミックサセプタを提供する。
【解決手段】セラミックサセプタのベースボディーは、それぞれ金属セラミック複合材からなる下板210及び上板220の接合体を含み、セラミックサセプタのベースボディーの製造方法は、前記上板の接合面に第1活性金属層321、第1アルミニウム層322及びブレージングフィラー層323を順次積層する段階、前記下板の接合面上に第2活性金属層311及び第2アルミニウム層312を順次積層する段階、及び前記ブレージングフィラー層によって前記下板と前記上板とをブレージング接合する段階を含む。
【選択図】図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックサセプタのベースボディーの製造方法であって、
前記ベースボディーはそれぞれ金属セラミック複合材からなる下板及び上板の接合体を含み、
前記上板の接合面に第1活性金属層、第1アルミニウム層及びブレージングフィラー層を順次積層する段階と、
前記下板の接合面上に第2活性金属層及び第2アルミニウム層を順次積層する段階と、
前記ブレージングフィラー層を介した前記第1アルミニウム層及び前記第2アルミニウム層の接合がなされるように前記下板と前記上板とをブレージング接合する段階と、
を含むセラミックサセプタのベースボディーの製造方法。
【請求項2】
前記下板の接合面の間に溝部を含む、請求項1に記載のセラミックサセプタのベースボディーの製造方法。
【請求項3】
前記第1活性金属層及び前記第2活性金属層は、Ti、Zr、Nb、Hf、又はTaのいずれか一つ以上を含む、請求項1に記載のセラミックサセプタのベースボディーの製造方法。
【請求項4】
前記第1活性金属層及び前記第2活性金属層の厚さは、1~5μmである、請求項1に記載のセラミックサセプタのベースボディーの製造方法。
【請求項5】
前記第1アルミニウム層及び前記第2アルミニウム層の厚さは、5~10μmである、請求項1に記載のセラミックサセプタのベースボディーの製造方法。
【請求項6】
ベースボディーと絶縁プレートとを含むセラミックサセプタであって、
前記ベースボディーはそれぞれ金属セラミック複合材からなる下板及び上板と、それらの間の接合部と、を含み、
前記接合部は、
前記上板上に順次積層された第1活性金属層、第1アルミニウム層及びブレージングフィラー層と、
前記下板上に順次積層された第2活性金属層及び第2アルミニウム層と、を含み、
前記下板と前記上板とが前記ブレージングフィラー層によってブレージング接合されている、セラミックサセプタ。
【請求項7】
前記接合部は、前記ベースボディーの冷却流路の間に形成されている、請求項6に記載のセラミックサセプタ。
【請求項8】
前記第1活性金属層及び前記第2活性金属層は、Ti、Zr、Nb、Hf、又はTaのいずれか一つ以上を含む、請求項6に記載のセラミックサセプタ。
【請求項9】
前記第1活性金属層及び前記第2活性金属層の厚さは、1~5μmである、請求項6に記載のセラミックサセプタ。
【請求項10】
前記第1アルミニウム層及び前記第2アルミニウム層の厚さは、5~10μmである、請求項6に記載のセラミックサセプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックサセプタに関し、特に、MMC(Metal Matric Composite)金属セラミック複合材ベースボディーの上板及び下板の結合力の向上のためのブレージング接合に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置又はディスプレイ装置は、誘電体層及び金属層を含む複数の薄膜層をガラス基板、フレキシブル基板、又は半導体ウエハー基板上に順次に積層した後、パターニングする方式で製造される。これらの薄膜層は、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition,CVD)工程又は物理気相蒸着(Physical Vapor Deposition,PVD)工程によって基板上に順次に蒸着される。前記CVD工程には、低圧化学気相蒸着(Low Pressure CVD,LPCVD)工程、プラズマ強化化学気相蒸着(Plasma Enhanced CVD,PECVD)工程、有機金属化学気相蒸着(Metal Organic CVD,MOCVD)工程などがある。
【0003】
このようなCVD装置及びPVD装置には、ガラス基板、フレキシブル基板、半導体ウエハー基板などを保持し、半導体工程を処理するためのセラミックサセプタが配置される。前記セラミックサセプタは、CVD装置及びPVD装置に設置され、基板を保持するためのチャック電極と、熱処理工程などで基板を加熱するための発熱線を備えることができる。また、前記セラミックサセプタは、発熱線の代わりに高周波(RF)電極を備えるか、高周波(RF)電極をさらに備え、基板上に形成された薄膜層のエッチング工程(etching process)などでプラズマを形成するためにも用いられてよい。
【0004】
図1A及び図1Bは、従来のセラミックサセプタの問題点を説明するための図である。図1Aは、Al系のベースボディーのブレージングフィラー(brazing filler)による上下板接合を示し、図1Bは、MMC(Metal Matric Composite)金属セラミック複合材ベースボディーのブレージングフィラー(brazing filler)による上下板接合を示す。
【0005】
図1Aに示すように、従来のセラミックサセプタのAl系のベースボディーの上下板接合は、一般のアルミニウムブレージング接合方式によって可能である。このとき、ベースボディーとブレージングフィラーの材質が同一系列の素材であるので、ブレージング接合が良好になされ得る。
【0006】
現在、極限工程環境変化により、特に低温変形を補完するために、Alとセラミック粉末を複合化させたMMC(Metal Matric Composite)素材、すなわち、金属セラミック複合材をセラミックサセプタのベースボディーに適用している。しかし、図1Bに示すように、従来のセラミックサセプタのMMC金属セラミック複合材ベースボディーでは、一般のアルミニウムブレージング接合方式で上下板を接合するとき、金属セラミック複合素材の間におけるブレージングフィラーの材質が異なる系列の素材であるため、接合不良によって、半導体装備内での工程中にHeガスなどの工程ガスのリーク(Leak)、冷却流路での冷却水のリーク、及び真空度不良が発生する問題点があり、工程自体の不良又は収率低下の原因となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、上述した問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、MMC(Metal Matric Composite)金属セラミック複合材ベースボディーの上板及び下板の結合力の向上のために、ベースボディープレートとブレージングフィラーとの間に多層(活性金属層とアルミニウム層)の表面処理を適用するセラミックサセプタのベースボディーの製造方法及び該ベースボディーが適用されたセラミックサセプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、本発明の特徴を要約すれば、上記の目的を達成するための本発明の一面に係る、セラミックサセプタのベースボディーの製造方法は、前記ベースボディーはそれぞれ金属セラミック複合材からなる下板及び上板の接合体を含み、前記上板の接合面に第1活性金属層、第1アルミニウム層及びブレージングフィラー層を順次積層する段階;前記下板の接合面上に第2活性金属層及び第2アルミニウム層を順次積層する段階;及び、前記ブレージングフィラー層を介した前記第1アルミニウム層及び前記第2アルミニウム層の接合がなされるように前記下板と前記上板とをブレージング接合する段階を含む。
【0009】
前記下板の接合面の間に溝部を含む。
【0010】
前記第1活性金属層及び前記第2活性金属層は、Ti、Zr、Nb、Hf、又はTaのいずれか一つ以上を含んでよい。
【0011】
前記第1活性金属層及び前記第2活性金属層の厚さは、1~5μmであってよい。
【0012】
前記第1アルミニウム層及び前記第2アルミニウム層の厚さは、5~10μmであってよい。
【0013】
そして、本発明の他の一面に係る、ベースボディーと絶縁プレートを含むセラミックサセプタは、前記ベースボディーがそれぞれ金属セラミック複合材からなる下板及び上板と、それらの間の接合部と、を含み、前記接合部は、前記上板上に順次積層された第1活性金属層、第1アルミニウム層及びブレージングフィラー層;及び、前記下板上に順次積層された第2活性金属層及び第2アルミニウム層を含み、前記下板と前記上板とが前記ブレージングフィラー層によってブレージング接合されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るセラミックサセプタ及びその製造方法によれば、ベースボディーの上板と下板の各プレートとブレージングフィラーとの間に多層(活性金属層とアルミニウム層)の表面処理を適用することにより、MMC金属セラミック複合材ベースボディーの上板と下板との結合力を向上させることができ、これにより、半導体装備内での工程中にHeガスなどのリークレート(Leak rate)を減少させて真空度を向上させることができ、冷却流路での冷却媒のリークを低減でき、よって、安定した工程を維持して収率向上に寄与することができる。実施例において、前記Heガスのリークレートは、従前の1.0E-03(mbar*l/s)から、改善後に2.0.E-08(mbar*l/s)レベルまで低くなることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明に関する理解を助けるために詳細な説明の一部として含まれる添付の図面は、本発明に係る実施例を提供し、詳細な説明と共に本発明の技術的思想を説明する。
【0016】
図1A】従来のセラミックサセプタの問題点を説明するための図である。
図1B】従来のセラミックサセプタの問題点を説明するための図である。
図2A-2C】本発明の一実施例に係るセラミックサセプタの製造方法を説明するためのベースボディー下板と上板の断面図である。
図3】本発明の一実施例に係るセラミックサセプタのベースボディーへの絶縁プレートの接合構造を説明するための図である。
図4】本発明の一実施例に係るセラミックサセプタのベースボディーの実際製作下板の写真の一例である。
図5】本発明の一実施例に係るセラミックサセプタのベースボディーの実際製作上板の上から見た写真の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、添付の図面を参照して本発明について詳しく説明する。ここで、各図において同一の構成要素には可能な限り同一の符号を付する。また、既に公知の機能及び/又は構成に関する詳細な説明は省略する。以下に開示する内容は、様々な実施例に係る動作を理解する上で必要な部分を重点的に説明し、その説明の要旨を曖昧にし得る要素に関する説明は省略する。また、図面の一部の構成要素は、誇張して、省略して、又は概略して図示可能である。各構成要素の大きさは実の大きさを全的に反映するものではなく、したがって、各図に描かれている構成要素の相対的な大きさや間隔によってここに記載の内容が限定されることはない。
【0018】
本発明の実施例を説明するとき、本発明と関連している公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を却って曖昧にさせ得ると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は本発明における機能を考慮して定義された用語であり、それらは使用者、運用者の意図又は慣例などによって変更可能である。したがって、その定義は本明細書全般にわたる内容に基づいて下されるべきであろう。詳細な説明で使われる用語は、単に本発明の実施例を記述するためのものであり、決して制限的であってはならない。特に断らない限り、単数形態の表現は複数形態の意味を含む。本説明において、「含む」又は「備える」のような表現は、ある特性、数字、段階、動作、要素、それらの一部又は組合せを示すためのものであり、記述された以外の一つ又はそれ以上の特性、数字、段階、動作、要素、それらの一部又は組合せの存在又は可能性を排除するように解釈されてはならない。
【0019】
なお、第1、第2などの用語は様々な構成要素を説明するために使われてよいが、これらの用語によって前記様々な構成要素が限定されるものではなく、これらの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使われるだけである。
【0020】
まず、本発明において、セラミックサセプタは、半導体ウエハー、ガラス基板、フレキシブル基板などのような様々な目的の加工対象基板を処理するための半導体装置であり、当該加工対象基板を保持するために静電チャックとして用いるための静電チャック電極を備えることもでき、当該加工対象基板を所定の温度に加熱するために発熱線(又は、発熱体)を備えることもでき、又は、当該加工対象基板のプラズマ強化化学気相蒸着などの工程処理のために高周波電極をさらに備えるか又は発熱線の代わりに備えることもできる。
【0021】
したがって、以下に言及される導電体(又は、電極)は、前記発熱線(又は、発熱体)であるとして説明するが、これに限定されず、前記高周波電極や前記静電チャック電極にもそのまま適用可能であることをあらかじめ明らかにしておきたい。
【0022】
例えば、前記導電体(又は、電極)として発熱線(又は、発熱体)は、所定の抵抗を有する抵抗線による板状コイルの形態又は平らなプレートの形態で形成されてよい。また、発熱線(又は、発熱体)は、精密な温度制御のために多層構造で形成されてもよい。このような発熱線(又は、発熱体)は、電源の供給を受け、半導体製造工程において円滑な蒸着工程及びエッチング工程を行うために、セラミックサセプタの上部面に位置する基板を一定の温度に加熱する機能を有してよい。
【0023】
また、例えば、前記導電体(又は、電極)として前記静電チャック電極又は高周波電極は、伝導性金属材質である銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)及びチタニウム(Ti)など又はこれらの合金で構成されてよい。前記静電チャック電極は、半導体製造工程において電源のバイアスを印加されて静電気力を発生させ、セラミックサセプタの上部面に位置する基板をチャッキングでき、基板をアンローディングする時には、反対のバイアスを印加されて放電がなされ、デチャッキングができる。前記高周波電極は、半導体製造工程で電源を供給され、セラミックサセプタの上部面に位置する基板に対してプラズマ強化化学気相蒸着などの工程処理を可能にすることができる。
【0024】
このような本発明のセラミックサセプタ1000は、下板(図3の210)と上板(図3の220)の接合を含むベースボディー(図3の1100)と、その上に接合された絶縁プレート(図3の1200)と、を含み、上記のような導電体(又は、電極)1210,1220が絶縁プレート(図3の1200)内に配置/埋設されている。
【0025】
以下、図2A図2C、及び図3図5を参照して、本発明の一実施例に係るセラミックサセプタ1000の製造方法及びそれによって製造されたセラミックサセプタ1000の構造について詳しく説明する。
【0026】
図2A図2Cは、本発明の一実施例に係るセラミックサセプタの製造方法を説明するためのベースボディーの下板と上板の断面図である。
【0027】
まず、図2Aを参照すると、本発明の一実施例に係るセラミックサセプタ1000の製造のために、まず、上板220の接合面、すなわち、上板220の一側表面に、第1活性金属層321、第1アルミニウム層322及びブレージングフィラー層323を順次積層する。
【0028】
また、図2Bを参照すると、下板210の接合面、すなわち、下板210の冷却流路(図3の215)となる溝部(groove)211(図4参照)の間の基材上に、第2活性金属層311及び第2アルミニウム層312を順次積層する。
【0029】
また、図2Cを参照すると、前記ブレージングフィラー層323によって下板210と上板220とをブレージング接合することにより、下板210と上板220との接合体からなる本発明のセラミックサセプタ1000のベースボディー1100が製作される。
【0030】
前記ブレージング(brazing)接合のために、下板210と上板220とを密着させた後、高温加熱し、冷却させる方法により、前記ブレージングフィラー層323の導電性フィラー(filler)が下板210と上板220とを接合させることができる。例えば、前記ブレージングフィラー層323の導電性フィラーとしてAu-Ni金属フィラー、Al系金属フィラーなどが使用されてよい。上板220の一側は下板210と接合されるし、図5に示すように、上板220の他側には絶縁プレート(図3の1200)のホールに対応するホール225が備えられ、ホール225は冷却ガスなどを提供するための流路と連結され、必要によって絶縁プレート(図3の1200)の上に冷却ガスを提供するように構成されてよい。
【0031】
上記において、前記下板210と上板220は、極限工程環境変化により、特に低温変形に対応して変形が発生しないように補完するために、金属セラミック複合材、すなわち、Al-セラミック複合粉末のMMC(Metal Matric Composite)素材からなり、例えば、AlにSiC、Si、B(Boron)、Al2O3(アルミナ)、グラファイトなどが複合化された粉末を用いて製造されてよい。
【0032】
また、上板220の第1活性金属層321及び下板210の第2活性金属層311は、Ti、Zr、Nb、Hf、又はTaのいずれか一つ又はこれらの合金を含んでよく、その厚さは1~5μmに形成されてよい。
【0033】
また、上板220の第1アルミニウム層322及び下板210の第2アルミニウム層312は、5~10μmの厚さに形成されてよい。
【0034】
前記上板220の第1活性金属層321及び下板210の第2活性金属層311は、前記ブレージング接合時に、前記導電性フィラーと前記第1アルミニウム層322及び第2アルミニウム層312と共に溶融されながら接合性を向上させるように働き得る。物理的・化学的性質が異なる界面で両側の接合性を向上させるように酸化還元反応を起こし、界面生成物を形成することができる(「活性金属ブレージングを用いたセラミックと金属との接合」、Journal of the Microelectronics & Packaging Society,Vol.18,No.3,p.1-7.2011、参照)。
【0035】
上記のような本発明の一実施例に係るセラミックサセプタ1000の製造方法によってベースボディー1100が得られると、絶縁プレート1200と接合させることで、本発明の一実施例に係るセラミックサセプタ1000が製作され得る。
【0036】
図3は、本発明の一実施例に係るセラミックサセプタ1000のベースボディー1100と絶縁プレート1200との接合構造を説明するための図である。
【0037】
図3を参照すると、本発明の一実施例に係るセラミックサセプタ1000は、下板210と上板220の接合を含むベースボディー1100と、その上に接合された絶縁プレート1200と、を含む。
【0038】
上記のような絶縁プレート1200内には導電体(又は、電極)1210,1220が配置/埋設されている。上述したように、セラミックサセプタ1000は、半導体ウエハー、ガラス基板、フレキシブル基板などのような様々な目的の加工対象基板を処理するための半導体装置であり、導電体(又は、電極)1210,1220は、当該加工対象基板を保持するために静電チャックとして用いられるための静電チャック電極と、当該加工対象基板を所定の温度に加熱するための発熱線(又は、発熱体)、又は当該加工対象基板をプラズマ強化化学気相蒸着などの工程処理をするための高周波電極などであってよい。
【0039】
ベースボディー1100は、ブレージングフィラー層323による下板210と上板220とのブレージング接合によって溝部211に形成された冷却流路215を含む。冷却流路215は、冷却媒、例えば、冷却水、冷却油などの循環のための流路であり、半導体工程中にセラミックサセプタ1000の温度を一定レベルに維持させるために冷却流路215を通じて冷却媒が循環してよい。
【0040】
一方、冷却流路215の間に下板210と上板220との接合部230,240が形成され、下板210と上板220との間の接合部230,240は、上板220上に順次積層された第1活性金属層321、第1アルミニウム層322及びブレージングフィラー層323を含む上板接合部240を含み、下板210上に順次積層された第2活性金属層311及び第2アルミニウム層312を含む下板接合部230を含んでよい。下板210と上板220はブレージングフィラー層323によってブレージング接合されている。
【0041】
<実施例>
【0042】
下記の[表1]は、金属セラミック複合材(MMC)素材の下板210と上板220を使用し、ブレージングフィラー層323にAl系金属フィラーを適用した場合に、接合部230,240の表面処理条件として活性金属層311,321及びアルミニウム(Al)層312,322を適用したか否か(適用:O、非適用:X)による、Heガス漏洩、及び冷却水漏出の有無に対するベースボディー1100の製作結果である。
【0043】
【表1】
【0044】
上記の[表1]のように、活性金属層311,321及びアルミニウム(Al)層312,322が適用されていない場合と、活性金属層311,321は適用しているが、アルミニウム(Al)層312,322を適用していない場合に、冷却水が漏出される不良と、Heガス漏洩基準1.0E-04(mbar*l/s)以上と接合部でのHeガス漏洩が発生する不良を確認した。これに対し、本発明のように、金属セラミック複合材(MMC)素材の下板210と上板220を使用し、接合部230,240の表面処理条件として、活性金属層311,321及びアルミニウム(Al)層312,322を全て適用してブレージング接合した場合には、接合部230,240の接合が優秀であるので、冷却水の漏出がなく、Heガス漏洩基準1.0E-04(mbar*l/s)未満であって、ガス漏洩が僅かなレベルへと改善されることを確認した。
【0045】
下記の[表2」は、金属セラミック複合材(MMC)素材の下板210と上板220を使用し、ブレージングフィラー層323にAl系金属フィラーを適用した場合に、接合部230,240の表面処理条件として活性金属層311,321及びアルミニウム(Al)層312,322を適用したか否か(適用:O、非適用:X)による、製作されたベースボディー1100の不良率の比較結果である。
【0046】
【表2】
【0047】
上記の[表2]のように、活性金属層311,321、アルミニウム(Al)層312,322が適用されていない場合と、活性金属層311,321は適用したが、アルミニウム(Al)層312,322を適用していない場合に、冷却水が漏出される不良と、Heガス漏洩基準1.0E-04(mbar*l/s)以上と接合部でのHeガス漏洩が発生する不良率が、平均して77%と現れた。
【0048】
これに対し、本発明のように、金属セラミック複合材(MMC)素材の下板210と上板220を使用し、接合部230,240の表面処理条件として活性金属層311,321及びアルミニウム(Al)層312,322を全て適用してブレージング接合した場合には、接合部230,240の接合が優秀であるので、不良率がゼロ(zero)と現れた。
【0049】
このような本発明に係るセラミックサセプタ及びその製造方法によれば、ベースボディーの上板220と下板210の各プレートとブレージングフィラーとの間に多層(活性金属層とアルミニウム層)の表面処理を適用することにより、MMC金属セラミック複合材ベースボディー1100の上板220と下板210との結合力を向上させることができ、これにより、半導体装備内での工程中にHeガスなどのリークレート(Leak rate)を減少させ、真空度を向上させることができ、冷却流路での冷却媒のリークを低減でき、結果として安定した工程を維持して収率向上に寄与することができる。実施例において、前記Heガスのリークレートは、従前の1.0E-03(mbar*l/s)から、改善後に2.0.E-08(mbar*l/s)レベルまで低くなることを確認した。
【0050】
以上のように、本発明が具体的な構成要素などのような特定事項、限定された実施例、及び図面によって説明されてきたが、これは、本発明のより全般的な理解を助けるために提供されただけであり、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能であろう。したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等又は等価の変形がある技術思想はいずれも本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきであろう。
【符号の説明】
【0051】
220 上板
321 第1活性金属層
322 第1アルミニウム層
323 ブレージングフィラー層
210 下板
215 冷却流路
211 溝部
311 第2活性金属層
312 第2アルミニウム層
1100 ベースボディー
1200 絶縁プレート
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5