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特開2025-31614ノズルプレート、流体吐出ヘッド、流体吐出デバイス、及びノズルプレートの改変方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031614
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】ノズルプレート、流体吐出ヘッド、流体吐出デバイス、及びノズルプレートの改変方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/16 20060101AFI20250228BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20250228BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20250228BHJP
   A61M 11/00 20060101ALN20250228BHJP
【FI】
B41J2/16 401
B41J2/16 507
B41J2/16 517
B41J2/14 613
B41J2/14 501
B05C5/00 101
A61M11/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024135519
(22)【出願日】2024-08-15
(31)【優先権主張番号】18/453,613
(32)【優先日】2023-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】デビッド エル.・バーナード
(72)【発明者】
【氏名】アダム ディー.・キャリザーズ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ティー.・ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】アンバー・タラスカ
【テーマコード(参考)】
2C057
4F041
【Fターム(参考)】
2C057AG02
2C057AG37
2C057AP12
2C057AP31
2C057AP47
2C057AP51
2C057AQ03
2C057AQ04
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA17
(57)【要約】
【課題】吐出ヘッドが非標準の方向で動作する場合、オーバーフローを阻止するか、又は隣接するノズルからオーバーフローを逸らす特徴を備えた吐出ヘッドが必要である。
【解決手段】流体吐出ヘッド用に構成されたノズルプレート、そのノズルプレートを含む流体吐出ヘッド、及びノズルプレートを改変してその上の流体のオーバーフローを低減する方法を提供する。ノズルプレートは、半導体基板上の流動特徴層に取り付けられた複数のノズル穴を含み、複数のノズル穴のそれぞれを取り囲む第1の疎水性領域を含み、第1の疎水性領域は、ノズルプレートのオーバーフローを低減するように構成される。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体吐出ヘッド用に構成されたノズルプレートであって、
前記ノズルプレートは、複数のノズル穴を含み、
前記ノズルプレートは、半導体基板上の流動特徴層に取り付けられた、
前記ノズルプレートは、前記複数のノズル穴のそれぞれを取り囲む第1の疎水性領域をさらに含む、
ノズルプレート。
【請求項2】
前記ノズルプレートは、その露出面上に第2の疎水性層をさらに含み、
前記第2の疎水性層は、前記第1の疎水性領域に対して隆起した疎水性領域を含む、
請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項3】
前記第1の疎水性領域に隣接する親水性領域をさらに含む、
請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項4】
前記親水性領域の上に隆起した第2の疎水性領域をさらに含み、
前記隆起した第2の疎水性領域は、前記複数のノズル穴のそれぞれを取り囲む前記第1の疎水性領域と流体が連通するチャネルを含み、
前記チャネルは、前記隆起した第2の疎水性領域を通って各前記複数のノズル穴から流体を流出させるように構成される、
請求項3に記載のノズルプレート。
【請求項5】
前記チャネルは、くさび形である、
請求項4に記載のノズルプレート。
【請求項6】
請求項1に記載のノズルプレートを備えた流体吐出ヘッド。
【請求項7】
複数の流体吐出器を含む半導体基板と、
前記半導体基板に取り付けられた流動特徴層と、
前記半導体基板上の前記流動特徴層に取り付けられた、複数のノズル穴を含むノズルプレートと、
を含み、
前記ノズルプレートは、前記複数のノズル穴のそれぞれを囲む第1の疎水性領域を含む、
流体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記ノズルプレートは、その露出面上に第2の疎水性層をさらに含み、
前記第2の疎水性層は、前記第1の疎水性領域に対して隆起した疎水性領域を含む、
請求項7に記載の流体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記第1の疎水性領域に隣接する親水性領域をさらに含む、
請求項7に記載の流体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記親水性領域の上に隆起した第2の疎水性領域をさらに含み、
前記隆起した第2の疎水性領域は、前記複数のノズル穴のそれぞれを取り囲む前記第1の疎水性領域と流体が連通するチャネルを含み、
前記チャネルは、前記隆起した第2の疎水性領域を通って各前記複数のノズル穴から流体を流出させるように構成される、
請求項9に記載の流体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記チャネルは、くさび形である、
請求項10に記載の流体吐出ヘッド。
【請求項12】
請求項7に記載の流体吐出ヘッドを備えた流体吐出デバイス。
【請求項13】
流体吐出デバイスのノズルプレートを改変して、その上の流体のオーバーフローを低減する方法であって、
前記ノズルプレートの露出面に犠牲層を塗布することであって、前記ノズルプレートの前記露出面は疎水性であることと、
前記犠牲層を結像及び現像し、前記ノズルプレート内の各ノズル穴の上に保護キャップを配置することであって、前記保護キャップの直径は、前記保護キャップで覆われた前記ノズル穴の直径よりも大きいことと、
前記ノズルプレートのキャップされていない表面を処理して、前記ノズルプレートのキャップされていない親水性表面領域を配置することと、
前記ノズルプレートの各ノズル穴から前記保護キャップを除去して、各ノズル穴を取り囲む第1の疎水性領域及び前記第1の疎水性領域に隣接する親水性領域を有するノズルプレートを配置することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記犠牲層は、ポジ型フォトレジスト材料層を含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ノズルプレートの前記露出面に、ネガ型フォトレジスト材料を塗布することをさらに含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
各ノズル穴を取り囲む前記第1の疎水性領域に隣接する前記親水性領域の上に隆起した第2の疎水性領域に提供されるように、ネガ型フォトレジスト材料を結像及び現像することをさらに含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
各ノズル穴から流体を遠ざけるように、前記親水性領域まで下方に延在する前記隆起した第2の疎水性領域内のチャネルを結像及び現像することをさらに含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記チャネルは、くさび形である、
請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体吐出デバイス用の改良された結像可能なノズル部材、及び流体吐出中に隣接するノズル穴に対する流体のオーバーフローを低減するための方法及び構造に関する。
【背景技術】
【0002】
オーバーフロー(flooding)、滲出(weeping)、滴下(drooling)は、流体吐出デバイス、特に、吐出流体のメニスカスがノズル穴の境界から外れてノズルプレートの面全体に広がる流体分配に関連するデバイスでよく見られる現象である。本発明の目的に鑑み、“オーバーフロー”は、吐出ヘッドの表面上における流体の望ましくない蓄積として定義される。オーバーフローは、吐出流体間の相互汚染を引き起こし、デバイスの性能を低下させ、介入なしではデバイスを動作不能にすることさえある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、オーバーフローは、特定の流体特性に対するデバイス設計が最適ではないこと、又は不適切な分配パラメータが原因で発生し、分配を不安定にする。インクなどの親水性流体用の吐出ヘッドの望ましい特性は、疎水性吐出面を有し、それによりオーバーフローを防止し、オーバーフローが発生した場合にノズルプレートの面全体に流体が広がるのを最小限に抑えることである。流体吐出デバイスが短時間のバースト(short bursts)でのみ吐出するように操作されている場合、安定した状態に回復し、流体が流体を吐出するノズルに戻ることができると、オーバーフローが自己修正(self-correct)されることがある。しかしながら、複数のノズルにわたってオーバーフローが連鎖している場合は、安定した状態に回復した後でも、デバイスが自己修正することはなく、通常、ノズルプレートの面を拭くことによって、オーバーフローを機械的に除去する必要がある。
【0004】
通常、ノズルが下向きになっている標準的な水平方向の吐出ヘッドの設計時にオーバーフローの可能性を考慮する必要がある。吐出ヘッドの向きを変えてノズルプレートが水平方向になり、ノズルが上向きになっている場合、ノズルプレートが水平方向ではない場合、及びノズルプレートが垂直で、ノズルが重力に対して垂直になっている場合に、オーバーフロー連鎖が発生する可能性が高くなる。垂直方向では、重力によって不安定なメニスカス(meniscus)が、流体が吐出されるノズルのすぐ下に隣接して位置するノズルに向かって引っ張られるため、オーバーフローがさらに悪化する。
【0005】
したがって、特に吐出ヘッドが非標準の方向で動作する場合、オーバーフローを阻止するか、又は隣接するノズルからオーバーフローを逸らす特徴を備えた吐出ヘッドが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記を考慮して、本発明の実施形態は、流体吐出ヘッド用に構成されたノズルプレート、そのノズルプレートを含む流体吐出ヘッド、及びノズルプレートを改変してその上の流体のオーバーフローを低減する方法を提供する。ノズルプレートは、半導体基板上の流動特徴層に取り付けられた、複数のノズル穴を含み、複数のノズル穴のそれぞれを取り囲む第1の疎水性領域を含み、第1の疎水性領域は、ノズルプレートのオーバーフローを低減するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態において、ノズルプレートは、その露出面上に第2の疎水性層が配置され、第2の疎水性層は、第1の疎水性領域に対して隆起した疎水性領域を有する。
【0008】
いくつかの実施形態において、ノズルプレートは、第1の疎水性領域に隣接する親水性領域を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、ノズルプレートは、親水性領域の上に隆起した第2の疎水性領域を有し、隆起した第2の疎水性領域は、複数のノズル穴のそれぞれを取り囲む第1の疎水性領域と流体が連通するチャネルが配置され、チャネルは、隆起した第2の疎水性領域を通って各複数のノズル穴から流体を流出させるように構成される。他の実施形態において、チャネルは、くさび形である。
【0010】
いくつかの実施形態において、流体吐出ヘッドが配置される。流体吐出ヘッドは、複数の流体吐出器を含む半導体基板と、半導体基板に取り付けられた流動特徴層と、半導体基板上の流動特徴層に取り付けられた、複数のノズル穴を含むノズルプレートと、を含み、ノズルプレートは、複数のノズル穴のそれぞれを囲む第1の疎水性領域を含み、第1の疎水性領域は、ノズルプレートのオーバーフローを低減するように構成される。
【0011】
他の実施形態において、流体吐出デバイスのノズルプレートを改変して(modify)、その上の流体のオーバーフローを低減する方法が提供される。この方法は、以下を含む。ノズルプレートの露出面に犠牲層を塗布することであって、ノズルプレートの露出面が疎水性である。犠牲層を結像及び現像し、ノズルプレート内の各ノズル穴の上に保護キャップを配置することであって、保護キャップの直径は、保護キャップで覆われたノズル穴の直径よりも大きい。ノズルプレートのキャップされていない表面を処理して、ノズルプレートのキャップされていない親水性表面領域を配置する。次に、ノズルプレートの各ノズル穴から保護キャップを除去して、各ノズル穴を取り囲む第1の疎水性領域及び前記第1の疎水性領域に隣接する親水性領域を有するノズルプレートを配置する。他の実施形態において、犠牲層は、ポジ型フォトレジスト材料層である。
【0012】
いくつかの実施形態において、ネガ型フォトレジスト材料をノズルプレートの露出面に塗布し、ネガ型フォトレジスト材料を結像及び現像し、各ノズル穴を取り囲む第1の疎水性領域に隣接する親水性領域の上に隆起した第2疎水性領域を配置する。他の実施形態において、各ノズル穴から流体を遠ざけるように、親水性領域まで下方に延在する隆起した第2の疎水性領域内のチャネルを結像及び現像する。
【発明の効果】
【0013】
前述の実施形態は、ノズルプレートの露出面上に流体境界領域及び流体流出領域(fluid runoff region)を備え、ノズルプレート表面に溜まる可能性のある流体の保持又は方向転換を改善することにより、オーバーフローしたノズルの自己修正を促進し、ノズルの架橋オーバーフローを抑制する特徴を有する流体吐出ヘッドを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による流体吐出デバイスの斜視図である(縮尺は正確ではない)。
図2】本発明による吐出ヘッドの一部の断面図である(縮尺は正確ではない)。
図3】本発明の第1の実施形態により製造される吐出ヘッドの断面図である(縮尺は正確ではない)。
図4】本発明の第1の実施形態により製造される吐出ヘッドの断面図である(縮尺は正確ではない)。
図5】本発明の第1の実施形態により製造される吐出ヘッドの断面図である(縮尺は正確ではない)。
図6】本発明の第1の実施形態により製造される吐出ヘッドの断面図である(縮尺は正確ではない)。
図7図6の吐出ヘッドの平面図である(縮尺は正確ではない)。
図8】本発明の第2の実施形態により製造される吐出ヘッドの一部の断面図である(縮尺は正確ではない)。
図9図8の吐出ヘッドの平面図である(縮尺は正確ではない)。
図10】本発明の第2の実施形態による完成した吐出ヘッドの断面図である(縮尺は正確ではない)。
図11図10の吐出ヘッドの平面図である(縮尺は正確ではない)。
図12】保護キャップを取り外した図8の吐出ヘッドの平面図である(縮尺は正確ではない)。
図13】本発明の第3の実施形態により製造される吐出ヘッドの断面図である(縮尺は正確ではない)。
図14】本発明の第3の実施形態により製造される吐出ヘッドの断面図である(縮尺は正確ではない)。
図15図14に示される吐出ヘッドを用いたた本発明の第4実施形態による吐出ヘッドの平面図である(縮尺は正確ではない)。
図16図14に示される吐出ヘッドを用いたた本発明の第4実施形態による吐出ヘッドの平面図である(縮尺は正確ではない)。
図17】本発明の第5の実施形態による吐出ヘッドの断面図である(縮尺は正確ではない)。
図18】本発明の第6の実施形態による吐出ヘッドの断面図である(縮尺は正確ではない)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、改良された流体吐出ヘッド、特に、流体分配デバイス用の流体吐出ヘッドのノズルプレートに関する改良に関する。流体吐出ヘッドは、プリンタ、患者に薬剤を送達するための鼻腔スプレーデバイス100(図1)、マイクロウェルプレートのウェル又はスライドガラス上に1以上の流体を堆積するためのデバイス又は類似のデバイスを含むがこれらに限定されず、さまざまな流体吐出デバイスで使用することができる。鼻腔スプレーデバイス100などのデバイスでは、デバイスの本体104内の液体カートリッジ(fluid cartridge)に取り付けられた流体吐出ヘッドを使用して、ノズル102を介して正確な量の薬剤を患者に送達する必要がある。電源ボタン106及び電源インジケータLED108は、デバイスの起動準備が完了したことを示すために配置される。投薬ボタン110は、LED112で示されるように、吐出ヘッドから所定の用量の流体を送達するために患者によって作動され得る。しかし、液体が吐出ヘッドに溜まると、薬剤の不適切な送達が発生する可能性がある。これは、流体吐出ヘッドが水平方向の下向きの流体吐出シーケンスで使用できないデバイス100では特に問題となる。このようなデバイス100は、通常、ノズルプレートの表面から余分な流体を除去するワイパーブレード(wiper blade)を備えていない。したがって、ここで説明する改良されたノズルプレート及び流体吐出ヘッドは、ノズルプレートのノズル穴に隣接するノズルプレート表面上に流体が蓄積するのを低減又は防止する手段を提供する。ここで説明するデバイス及び方法は、吐出ヘッドが複数の異なる流体を吐出するように構成されている場合に、ノズルプレート表面上の流体の相互汚染を軽減又は回避することもできる。
【0016】
図2には、流体吐出ヘッド114の一部が示されている。流体吐出ヘッド114は、流体吐出器118が配置された半導体基板116を含む。流体吐出器118は、ヒータ抵抗器又は圧電デバイスであって良い。流体は、半導体基板116を貫通してエッチングされた流体ビア120を介して、デバイス本体104内の液体カートリッジから流体吐出ヘッドに提供される。次に、流体は、流動特徴層124内の流体チャンバ122に流れ込み、流体吐出器118が作動すると、ノズルプレート128内のノズル穴126から流体が排出される。ノズルプレート128の最上層は、疎水性層130である。したがって、疎水性層130は、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン(heptadecafluorodecyltrimethoxysilane)、オクタデシルジメチルクロロシラン(octadecyldimethylchlorosilane)、オクタデシルトリクロロシラン(octadecyltricholorsilane)、メチルトリメトキシシラン(methyltrimethoxysilane)、オクチルトリエトキシシラン(octyltriethoxysilane)、フェニルトリメトキシシラン(phenyltrimethoxysilane)、t-ブチルメトキシシラン(t-butylmethoxysilane)、テトラエトキシシラン(tetraethoxysilane)、メチルシリコネートナトリウム(sodium methyl siliconate)、ビニルトリメトキシシラン(vinytrimethoxysilane)、N-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミンポリメチルメトキシシロキサン(N-(3-(trimethoxylsilyl)propyl)ethylenediamine polymethylmethoxysiloxane)、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)、ポリエチルハイドロジェンシロキサン(polyethylhydrogensiloxane)、及びジメチルシロキサン(dimethyl siloxane)などの疎水性剤を含んで良い。疎水化剤は、疎水性層130に含まれても良いし、疎水化剤がノズルプレート128上にコーティングされても良い。疎水性層130の厚さは、約3マイクロメートルから約10マイクロメートルの範囲であって良い。
【0017】
本発明の第1の実施形態では、図3に示されるように、犠牲層132(例えばポジ型フォトレジスト層)を、スピンコーティング又は疎水性層130への犠牲層132の積層により、ノズルプレート128/130の疎水性層130に塗布することができる。犠牲層132がノズル穴126を覆うのに十分な粘度を有する限り、犠牲層の厚さは特に重要ではない。したがって、犠牲層の厚さは、約5マイクロメートルから約50マイクロメートルの範囲であって良い。次に、矢印140で示される紫外線などの化学線(actinic radiation)を使用して、不透明領域136及び透明領域138を含むマスク134を介して犠牲層132を結像することができる。犠牲層132の露出部分を現像した後、図4に示されるように、ノズル穴126の上に保護キャップ142が残る。ノズルプレート128/130の露出表面144は、矢印146(図5)で示されるように酸素プラズマで処理され、図6の断面図と図7の平面図に示されるように、露出領域の表面エネルギーを変化させて、ノズルプレートのキャップされた疎水性領域(capped hydrophobic region)150を取り囲む親水性領域148を提供する。前掲のように、親水性領域は、疎水性層130と同じ厚さであって良い。
【0018】
図8図9に示される第2の実施形態において、流体吐出ヘッド114は、疎水性層130(図5を参照する)によって形成された疎水性領域150の下に親水性のノズルプレート128を有する。したがって、ノズルプレート層128/130の露出面144(図5を参照する)は、バイアス(biased)、加熱、及び高度に選択的なRF(radio frequency)プラズマエッチングに耐えることができ、保護キャップ142は、各ノズル穴126(図2を参照する)の周囲の疎水性領域150を遮蔽するが、ノズルプレートの遮蔽されていない領域152は、図8に示されるように、疎水性層130(図5を参照する)を除去することによって親水性になる。
【0019】
他の表面処理を使用して、露出したノズルプレート表面152の親水性を高めることができる。例えば、露出ノズルプレート表面152の表面エネルギーを変更するだけでなく、高バイアスプラズマを表面に使用して、スパッタリング効果によって表面粗さを与えることができる。表面を粗くすると、その後に塗布される材料層への接着性が向上し得る。プラズマエッチングは、ノズルプレートの表面152に永久的な親水性領域を形成するのに適しており、プラズマ処理は通常、追加の層への接着性を向上させるために使用される。露出ノズルプレート表面152の表面化学を改変するために、フォーミングガスや酸素ガスなどのさまざまなガスをプロセスで使用することができる。
【0020】
次に、第1及び第2の実施形態では、保護キャップ142を疎水性領域150(図10)から剥離して、ノズル穴126のそれぞれを取り囲む疎水性領域150と、疎水性領域150を取り囲む親水性領域148(図11)又は親水性領域152(図12)と、のみを有するノズルプレートを提供する。保護キャップ142は、従来のフォトレジスト溶剤浴及び高圧又は低圧リンスを使用して剥離するか、又はフォトレジスト材料用の従来の深部反応性イオンエッチング剥離プロセスを使用して剥離することができる。
【0021】
本発明の第3の実施形態では、図13に示されるように、ノズルプレートの剥離面(図10)に、スピンコーティング、スプレーコーティング、又は積層により、ネガ型フォトレジスト材料154を塗布して、疎水性領域150及び親水性領域148を覆う。ネガ型フォトレジスト材料の厚さは、約1マイクロメートルから約5マイクロメートル、例えば約1.5マイクロメートルから約2.5マイクロメートルの範囲である。前掲のように、化学線(矢印140で示される)を使用して、不透明領域158及び透明領域160を含むマスク156を介してネガ型フォトレジスト材料154を結像する。結像されたネガ型フォトレジスト層154を現像すると、親水性領域148上に疎水性堤防162が形成され(図14)、ノズルプレート表面全体にわたってノズル穴126にオーバーフローが広がるのを抑制する。いくつかの実施形態において、ネガ型フォトレジスト材料154は疎水性である。他の実施形態において、ネガ型フォトレジスト材料は親水性である。
【0022】
第4の実施形態では、ネガ型フォトレジスト材料154を結像して現像し、ノズル穴126の周囲の疎水性領域150に隣接する親水性領域までの下方に延在するチャネルを形成し、ノズル穴からの流体の流体を促進することができる。いくつかの実施形態において、図15に示されるように、チャネル170は、平面視でくさび形を有する。他の実施形態において、チャネル172は、図16に示されるように、平面視で長方形の形状を有する。長方形のチャネル172は、毛細管現象を促進して流体をノズル穴126から流出させるのに十分な幅に狭くすることができる。チャネルが疎水性堤防162の露出面から疎水性堤防162の下方に延在する親水性領域148まで到達できさえすれば、他のさまざまな幾何学的形状のチャネルを使用しても良い。
【0023】
第5の実施形態では、前掲のように、ノズルプレート128に塗布された厚い疎水性層174を保護キャップ142の周囲で部分的にエッチングし、図17に示すように、ノズル穴126の周囲に疎水性リッジ(hydrophobic ridge)176を提供することができる。厚い疎水性層の厚さは、5マイクロメートル超から最大約10マイクロメートルであって良い。疎水性リッジ176の内側角178は、第1のドロップピン止め境界(first drop-pinning boundary)として機能し、疎水性リッジの外側角180は、第2のドロップピン止め境界として機能して、流体の液滴がノズル穴126を覆うのを防止する。
【0024】
第6の実施形態では、図18に示すように、キャップされた領域186を囲むキャップされていない領域184で疎水性表面が粗面化されるが完全には除去されないように、図17に示すような厚い疎水性層174をスパッタリング又はエッチングしても良い。前述の実施形態は、ノズル穴126を取り囲む平滑な疎水性領域186と、平滑な疎水性領域186を囲む粗い疎水性領域184とを有するノズルプレートを提供する。毛細管、重力、粘性効果、及びノズルプレートの表面エネルギーと流体の表面張力に依存して、ノズルプレートの表面粗さが増加すると、一部の流体の湿潤性が低下し、ノズル穴の周囲で微小堤防(micro-levee)として機能すると考えられる。
【0025】
上記のすべての実施形態において、フォトレジスト材料は、スピンコーティング、スプレーコーティング、又は積層によって堆積することができるが、積層は、状況によっては最も実用的である。スピンコーティングの場合、フォトレジスト材料は、フォトレジスト層がノズル穴126の上部を覆うように、十分な粘性があり、キャスティング速度が十分に高くなければならない。
【0026】
本明細書の実施形態で説明するフォトレジスト材料は、光酸発生剤を含み、多官能性エポキシ化合物、二官能性エポキシ化合物、比較的高分子量のポリヒドロキシエーテル、接着促進剤、及び脂肪族ケトン溶媒のうちの1つ以上を含むように配合することができる。本発明の目的に鑑み、“二官能性エポキシ”とは、分子内に2つのエポキシ官能基のみを有するエポキシ化合物及び材料を意味する。“多官能性エポキシ”とは、分子内に2つ以上エポキシ官能基を有するエポキシ化合物及び材料を意味する。
【0027】
本発明によるフォトレジスト配合物を製造するために使用されるエポキシ成分は、ポリフェノールのグリシジルエーテルなどの芳香族エポキシドから選択することができる。例示的な第1の多官能性エポキシ樹脂は、フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂(phenolformaldehyde novolac resin)のポリグリシジルエーテル(polyglycidyl ether)であり、例えば、エポキシドグラム当量(epoxide gram equivalent weight)が約190~約250であり、130℃での粘度が約10~約60センチポアズである、ノボラックエポキシ樹脂である。
【0028】
多官能性エポキシ成分は、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量が約3,000~約5,000ダルトンであって良く、平均エポキシ基官能価は3超、好ましくは約6~約10であって良い。フォトレジスト配合物中の多官能性エポキシ樹脂の量は、乾燥したフォトレジスト層の重量に基づいて約30~約50重量パーセントの範囲であって良い。
【0029】
二官能性エポキシ成分は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(diglycidyl ethers of bisphenol-A)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(3,4-epoxycyclohexylmethyl-3,4-epoxycyclo-hexene carboxylate)、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキセンカルボキシレート(3,4-epoxy-6-methylcyclohexylmethyl-3,4-epoxy-6-methylcy-clohexene carboxylate)、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(bis(3,4-epoxy-6-methylcyclohexylmethyl) adipate)、及びビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル(bis(2,3-epoxycyclopentyl) ether)を含む二官能性エポキシ化合物から選択されて良い。
【0030】
例示的な二官能性エポキシ成分は、エポキシ当量が約1000超のビスフェノールA/エピクロロヒドリンエポキシ樹脂である。“エポキシ当量(epoxide equivalent)”とは、1グラム当量のエポキシを含む樹脂のグラム数を指す。二官能性エポキシ成分の重量平均分子量は、通常、2500ダルトンを超え、例えば、重量平均分子量が約2800から約3500ダルトンである。フォトレジスト配合物中の第1の二官能性エポキシ成分の量は、硬化樹脂の重量に基づいて約30から約50重量パーセントの範囲であって良い。
【0031】
例示的な光酸発生剤は、芳香族錯塩などのカチオンを生成できる化合物又は化合物の混合物を含み、芳香族錯塩は、例えば、VA族元素のオニウム塩、VIA族元素のオニウム塩、及び芳香族ハロニウム塩から選択されて良い。芳香族錯塩は、紫外線又は電子線照射にさらされると、エポキシドとの反応を開始する酸部分を生成することができる。光酸発生剤は、硬化樹脂の重量に基づいて約5~約15重量パーセントの範囲の量で、本明細書に記載のフォトレジスト配合物に存在して良い。
【0032】
活性光線の照射によりプロトン酸を生成する化合物は、光酸発生剤として使用することができ、芳香族ヨードニウム錯塩及び芳香族スルホニウム錯塩を含むが、これらに限定されない。例としては、ジ-(t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフラート(di-(t-butylphenyl)iodonium triflate)、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(diphenyliodonium tetrakis(pentafluorophenyl)borate)、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(diphenyliodonium hexafluorophosphate)、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(diphenyliodonium hexafluoroantimonate)、ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(di(4-nonylphenyl)iodonium hexafluorophosphate)、[4-(オクチルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート([4-(octyloxy)phenyl]phenyliodonium hexafluoroantimonate)、トリフェニルスルホニウムトリフラート(triphenylsulfonium triflate)、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(triphenyl-sulfonium hexafluorophosphate)、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(triphenylsulfonium hexafluoroantimonate)、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(triphenylsulfonium tetrakis(pentafluorophenyl)borate)、4,4'-ビス[ジフェニルスルホニウム]ジフェニルスルフィド(4,4'-bis[diphenylsulfonium]diphenylsulfide)、ビスヘキサフルオロリン酸(bis-hexafluoro-phosphate)、4,4'-ビス[ジ([β]-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニウム]ジフェニルスルフィド(4,4'-bis[di([beta]-hydroxyethoxy)phenylsulfonium]diphenylsulfide)、ビスヘキサフルオロアンチモネート(bis-hexafluoro-antimonate)、4,4'-ビス[ジ([β]-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニウム]ジフェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート(4,4'-bis[di([beta]-hydroxyethoxy) phenylsulfonium] diphenyl sulfide-bishexafluoro-phosphate)、7-[ジ(p-トリル)スルホニウム]-2-イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロホスフェート(7-[di(p-tolyl)sulfonium]-2-isopropylthioxanthone hexafluorophosphate)、7-[ジ(p-トリル)スルホニオ-2-イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロアンチモネート(7-[di(p-tolyl)sulfonio-2-isopropylthioxanthone hexafluoroantimonate)、7-[ジ(p-トリル)スルホニウム]-2-イソプロピルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(7-[di(p-tolyl)sulfonium]-2-isopropyl tetrakis(pentafluorophenyl)borate)、フェニルカルボニル-4'-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロホスフェート(phenylcarbonyl-4'-diphenylsulfonium diphenyl-sulfide hexafluorophosphate)、フェニルカルボニル-4'-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロアンチモネート(phenylcarbonyl-4'-diphenylsulfonium diphenylsulfide hexafluoroantimonate)、4-t-ブチルフェニルカルボニル-4'-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロホスフェート(4-tert-butylphenylcarbonyl-4'-diphenylsulfonium diphenylsulfide hexafluorophosphate)、4-t-ブチルフェニルカルボニル-4'-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドヘキサフルオロアンチモネート(4-tert-butylphenylcarbonyl-4'-diphenylsulfonium diphenylsulfide hexafluoroantimonate)、4-t-ブチルフェニルカルボニル-4'-ジフェニルスルホニウムジフェニルスルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(4-tert-butylphenylcarbonyl-4'-diphenylsulfonium diphenylsulfide tetrakis(pentafluorophenyl)borate)、ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(diphenyl [4-(phenylthio)phenyl]sulfonium hexafluoro-antimonate)などを含む。
【0033】
ポジ型又はネガ型のフォトレジスト材料に使用できる疎水化剤は、シランやシロキサンなどのシリコン含有材料を含む。したがって、疎水化剤は、ヘプタデシルフルオロデシルトリメトキシシラン(heptadecafluoro-decyltrimethoxysilane)、オクタデシルジメチルクロロシラン(octadecyldimethylchlorosilane)、オクタデシルトリクロロシラン(octadecyltricholorsilane)、メチルトリメトキシシラン(methyltrimethoxysilane)、オクチルトリエトキシシラン(octyltriethoxysilane)、フェニルトリメトキシシラン(phenyltrimethoxysilane)、t-ブチルメトキシシラン(t-butylmethoxysilane)、テトラエトキシシラン(tetraethoxysilane)、メチルシリコネートナトリウム(sodium methyl siliconate)、ビニルトリメトキシシラン(vinytrimethoxysilane)、N-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミンポリメチルメトキシシロキサン(N-(3-(trimethoxylsilyl)propyl)ethylenediamine polymethylmethoxysiloxane)、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)、ポリエチルハイドロジェンシロキサン(polyethylhydrogensiloxane)、及びジメチルシロキサン(dimethyl siloxane)から選択されて良い。硬化したフォトレジスト材料中の疎水化剤の量は、硬化した樹脂の総重量に基づいて、約0.5~約2重量パーセントであって良く、例えば、約1.0~約1.5重量パーセント(そこに含まれるすべての範囲を含む)であって良い。
【0034】
フォトレジスト配合物の調製に使用する溶媒は、非光反応性溶媒である。非光反応性溶媒は、ガンマブチロラクトン、C1~6アセテート、テトラヒドロフラン、低分子量ケトン、それらの混合物などを含むが、これらに限定されない。非光反応性溶媒は、フォトレジスト配合物の総重量に基づいて、約20~約90重量パーセント、例えば、約40~約60重量パーセントの範囲の量で、フォトレジスト材料を提供するために使用される配合混合物中に存在する。非光反応性溶媒は、通常、硬化したフォトレジスト層に残らないため、フォトレジスト層の硬化ステップの前又は硬化ステップ中に除去される。
【0035】
フォトレジスト配合物は、シラン化合物などの接着強化剤の有効量を任意に含んでもよい。フォトレジスト配合物の成分と適合性のあるシラン化合物は、通常、多官能性エポキシ化合物、二官能性エポキシ化合物、及び光開始剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分と反応できる官能基を有する。このような接着強化剤は、例えば、3-(グアニジノ)プロピルトリメトキシシラン(3-(guanidinyl)propyltrimethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(gamma-glycidoxypropyltrimethoxysilane)などのグリシドキシアルキルトリアルコキシシラン(glycidoxyalkyltrialkoxysilane)などの、エポキシ官能基を有するシランであって良い。接着強化剤を使用する場合、硬化樹脂の総重量に基づいて、約0.5~約2重量パーセント、例えば約1.0~約1.5重量パーセントの範囲の量であって良い(そこに含まれるすべての範囲を含む)であって良い。本明細書で使用される接着強化剤は、フォトレジスト組成物に可溶で、フォトレジスト層の膜形成特性と接着特性に寄与する有機材料を意味するものと定義される。
【0036】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のため、特記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いられる量、百分率、又は割合を表す全ての数値及び他の数値は、全ての場合において用語「約」によって修飾されると理解されたい。従って、特記しない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記述される数値パラメータは、本発明により得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限する試みではなく、各数値パラメータは少なくとも、記載された有効桁数を考慮して、そして通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。
【0037】
特定の実施形態について説明したが、現在予見していない又は予見できない代替、改変、変形、改善、及び実質的な均等物を出願人又は当業者が想到する可能性がある。従って、出願時の及び補正時の添付の特許請求の範囲は、そのような及び代替、改変、変形、改善、及び実質的な均等物の全てを包含することを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のノズルプレート、流体吐出ヘッド、流体吐出デバイス、及びノズルプレートの改変方法は、ノズルプレートの露出面上に流体境界領域及び流体流出領域を備え、ノズルプレート表面に溜まる可能性のある流体の保持又は方向転換を改善することにより、オーバーフローしたノズルの自己修正を促進し、ノズルの架橋オーバーフローを抑制することができる。
【符号の説明】
【0039】
100:鼻腔スプレーデバイス
102:ノズル
104:本体
106:電源ボタン
108:電源インジケータLED
110:投薬ボタン
112:LED
114:流体吐出ヘッド
116:半導体基板
118:流体吐出器
120:流体ビア
122:流体チャンバ
124:流動特徴層
126:ノズル穴
128:ノズルプレート
130:疎水性層
132:犠牲層
134:マスク
136:不透明領域
138:透明領域
140:矢印
142:保護キャップ
144:露出表面
146:矢印
148:親水性領域
150:疎水性領域
152:遮蔽されていない領域/露出したノズルプレート表面/親水性領域
154:ネガ型フォトレジスト材料/結像されたネガ型フォトレジスト層
156:マスク
158:不透明領域
160:透明領域
162:疎水性堤防
170:くさびの形チャネル
172:長方形のチャネル
174:厚い疎水性層
176:疎水性リッジ
178:内側角
180:外側角
184:キャップされていない領域/粗い疎水性領域
186:キャップされた領域/平滑な疎水性領域
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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