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特開2025-31660紫外線及び赤外線カット用透明プラスチックシート
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  • 特開-紫外線及び赤外線カット用透明プラスチックシート 図1
  • 特開-紫外線及び赤外線カット用透明プラスチックシート 図2a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031660
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】紫外線及び赤外線カット用透明プラスチックシート
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20250228BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20250228BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
B32B27/18
B32B27/36 102
G02B5/22
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024140699
(22)【出願日】2024-08-22
(31)【優先権主張番号】10-2023-0112303
(32)【優先日】2023-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】524315101
【氏名又は名称】アイデル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(74)【代理人】
【識別番号】100206656
【弁理士】
【氏名又は名称】林 修身
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】イ ジェシク
(72)【発明者】
【氏名】ナム キソン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヨンヒョク
(72)【発明者】
【氏名】イ ヨンミン
(72)【発明者】
【氏名】ナム ソンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ハ スミン
【テーマコード(参考)】
2H148
4F100
【Fターム(参考)】
2H148CA04
2H148CA12
2H148CA13
2H148CA27
4F100AA17A
4F100AA17C
4F100AA25A
4F100AA25C
4F100AA33A
4F100AA33C
4F100AB10A
4F100AB10C
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK12
4F100AK25
4F100AK41
4F100AK42
4F100AK45
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100CA06A
4F100CA06C
4F100CA07A
4F100CA07C
4F100DE01A
4F100DE01C
4F100EH20
4F100GB07
4F100JB16A
4F100JB16B
4F100JB16C
4F100JD09A
4F100JD09C
4F100JD10A
4F100JD10C
4F100YY00A
4F100YY00C
(57)【要約】      (修正有)
【課題】透明性を維持しながらも、赤外線及び紫外線カット率が向上した透明プラスチックシートの提供。
【解決手段】本発明は、熱可塑性高分子を含む基材層と、基材層の片面又は両面に熱可塑性高分子、紫外線カット剤、酸化防止剤及び赤外線カット剤を含むスキン層と、を含み、基材層とスキン層は共押出方法により形成されることを特徴とする、赤外線及び紫外線カット用透明プラスチックシートを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性高分子を含む基材層と、
前記基材層の片面又は両面に熱可塑性高分子、紫外線カット剤、酸化防止剤及び赤外線カット剤を含むスキン層と、を含み、
前記基材層とスキン層は、共押出方法により形成されることを特徴とする、赤外線及び紫外線カット用透明プラスチックシート。
【請求項2】
前記赤外線カット剤は、酸化亜鉛(Zinc Oxide)、酸化タングステン(Tungsten Oxide)及びアルミニウムドープ酸化タングステン(Aluminium-doped Tungsten Oxide)よりなる群から選択された1種以上である、請求項1に記載の赤外線及び紫外線カット用透明プラスチックシート。
【請求項3】
前記赤外線カット剤は、70~80重量%の酸化タングステンと20~30重量%のアルミニウムドープ酸化タングステンとを含む、請求項2に記載の赤外線及び紫外線カット用透明プラスチックシート。
【請求項4】
前記赤外線カット剤は、1nm~100μmの粒径を有する粒子である、請求項1に記載の赤外線及び紫外線カット用透明プラスチックシート。
【請求項5】
前記スキン層は、熱可塑性高分子83~98重量%、紫外線カット剤0.3~15重量%、酸化防止剤0.1~2重量%及び赤外線カット剤0.01~0.5重量%を含む、請求項1に記載の赤外線及び紫外線カット用透明プラスチックシート。
【請求項6】
前記スキン層は、0.01~0.5mmの厚さを有する、請求項1に記載の赤外線及び紫外線カット用透明プラスチックシート。
【請求項7】
前記熱可塑性高分子は、ポリカーボネート(Polycarbonate)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethyleneterephthalate)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(Polyethylene terephthalate glycol)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートグリコール(Polycyclohexylene dimethylene terephthalate glycol)、ポリメチルメタクリレート(Polymethyl methacrylate)及びポリスチレン(Polystyrene)よりなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1に記載の赤外線及び紫外線カット用透明プラスチックシート。
【請求項8】
前記熱可塑性高分子はポリカーボネートである、請求項7に記載の赤外線及び紫外線カット用透明プラスチックシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線及び赤外線カット用透明プラスチックシートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、天窓(Skylight)、建物採光板、屋根材、キャノピー(Canopy)、窓戸又は安全ガラス、プール、室内体育館屋根、温室又は防音壁などの建築資材にポリカーボネートシートがガラスの代用として広く使用されている。
【0003】
このようなポリカーボネートシートは、通常、押出成形で製造されているが、透明度及び強度に優れているという特徴がある。
【0004】
太陽光線は、大きく紫外線、可視光線、赤外線に分かれるが、紫外線が約6%、可視光線が約46%、赤外線が約48%をそれぞれ占めている。
【0005】
太陽光線のうち、ほぼ半分が採光には寄与せずに熱作用を起こす赤外線は、波長の長さによって近赤外線(0.75~3μm)、赤外線(3~25μm)、遠赤外線(25μm以上)に分類されるが、可視光線や紫外線に比べて強い熱作用を持っているのが特徴であり、このため、熱線とも呼ばれるが、太陽や発熱体から空間へ伝達される輻射熱は、主に赤外線によるものである。
【0006】
しかし、従来の屋外構造物に使用されていたポリカーボネートシートは、赤外線カット率が低く、夏場に構造物の内部温度が上昇し、熱膨張・収縮によるシートの屈曲現象が発生するという問題点がある。
【0007】
かかる問題点を解決するために、乳白色のポリカーボネートシートを使用したり、赤外線反射フィルムを積層したりするなどの断熱効果を得るために様々な方法が試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0900194号(2009年6月2日公告)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、透明性を維持しながらも、赤外線及び紫外線カット率が向上した透明プラスチックシートを提供することにある。
【0010】
本発明が解決しようとする他の課題は、スキン層に特定の組み合わせの赤外線カット剤を含ませて単独使用に比べて赤外線カット率に優れる透明プラスチックシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様において、本発明は、熱可塑性高分子を含む基材層と、基材層の片面又は両面に熱可塑性高分子、紫外線カット剤、酸化防止剤及び赤外線カット剤を含むスキン層と、を含み、基材層とスキン層は、共押出方法により形成されることを特徴とする、赤外線及び紫外線カット用透明プラスチックシートを提供する。
【0012】
また、赤外線カット剤は、酸化亜鉛(Zinc Oxide)、酸化タングステン(Tungsten Oxide)及びアルミニウムドープ酸化タングステン(Aluminium-doped Tungsten Oxide)よりなる群から選択された1種以上であってもよく、具体的には、70~80重量%の酸化タングステンと20~30重量%のアルミニウムドープ酸化タングステンとを含むことができる。
【0013】
また、赤外線カット剤は、1nm~100μmの粒径を有する粒子であってもよい。
【0014】
また、スキン層は、熱可塑性高分子83~98重量%、紫外線カット剤0.3~15重量%、酸化防止剤0.1~2重量%及び赤外線カット剤0.01~0.5重量%を含んでもよい。
【0015】
また、スキン層は、0.01~0.5mmの厚さを有してもよい。
【0016】
また、熱可塑性高分子は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートグリコール、ポリメチルメタクリレート及びポリスチレンよりなる群から選択された少なくとも1種であってもよく、具体的にはポリカーボネートであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、透明性を維持しながらも、紫外線及び赤外線カット率が向上した透明プラスチックシートを提供することができる。
【0018】
また、本発明は、スキン層に特定の組み合わせの赤外線カット剤を含ませて単独使用に比べて赤外線カット率に優れる透明プラスチックシートを提供することができる。
【0019】
また、相対的に低いコストの赤外線カット剤を混合して紫外線及び赤外線カット用シートを製造することにより、製造単価を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による紫外線及び赤外線カット用透明プラスチックシートを示す図である。
図2a】赤外線カット剤成分及び含有量別の赤外線透過率を測定して示す結果である。
図2b】赤外線カット剤成分及び含有量別の赤外線透過率を測定して示す結果である。
図2c】赤外線カット剤成分及び含有量別の赤外線透過率を測定して示す結果である。
図3】赤外線カット剤の単独使用と混合使用による赤外線透過率を比較した結果である。
図4】温度上昇抑制効果を測定した試験装置を示す図である。
図5】温度上昇抑制効果を分析して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。ところが、本発明は、いくつかの異なる実施形態で実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。明細書全体にわたって、同様の部分には同様の参照番号を付した。
【0022】
一態様において、本発明は、熱可塑性高分子を含む基材層2と、基材層2の片面又は両面に熱可塑性高分子、紫外線カット剤、酸化防止剤及び赤外線カット剤を含むスキン層3と、を含み、基材層2とスキン層3は、共押出法により形成されることを特徴とする、赤外線及び紫外線カット用透明プラスチックシート1を提供する。
【0023】
本明細書で使用される「共押出」という用語は、2つ以上の押出機を用いて押出コーティング、フィルム又はシートを製作する場合に使用でき、1種以上の層を加えて多層の構造を作る一般的な方式をいう。
【0024】
本明細書において、共押出は、特別な制限があるものではなく、一般的な共押出工程によって基材層とスキン層からなるシートを製造することができる。また、共押出工程において、2台以上の押出機から押し出された基材層とスキン層とがフィードブロックで会ってカレンダーロールで一定の厚さに成形する方法が提供されるか、或いは多数のノズルを用いて一つの押出ダイで共押出する方法が提供でき、これに限定されるものではない。
【0025】
本明細書で使用される「熱可塑性高分子」という用語は、熱を加えたときに溶け、温度を十分に下げると固体状態に戻る高分子をいう。
【0026】
熱可塑性高分子は、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートグリコール(PCTG)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリスチレン(PS)よりなる群から選択された少なくとも1種であってもよく、具体的にはポリカーボネートであってもよい。
【0027】
基材層2の厚さは、特に限定されないが、好ましくは1~8mmであってもよい。
【0028】
スキン層3は、基材層2の片面又は両面に形成でき、紫外線及び赤外線カット効率を高めるために両面に形成できる。
【0029】
スキン層3は、0.01~0.5mmの厚さを有することができ、具体的には0.05~0.4mm、より具体的には0.05~0.2mmの厚さを有することができる。
【0030】
スキン層3の厚さが0.01mm未満であれば、紫外線及び赤外線カット効率が低下するという問題点があり、0.5mmを超えれば、透明性が低下するという問題がある。
【0031】
スキン層3は、熱可塑性高分子、紫外線カット剤、酸化防止剤及び赤外線カット剤を含むことができ、具体的には、熱可塑性高分子83~98重量%、紫外線カット剤0.3~15重量%、酸化防止剤0.1~2重量%及び赤外線カット剤0.01~0.5重量%を含むことができる。
【0032】
スキン層3は、83~98重量%の熱可塑性高分子を含むことができ、具体的には90~95重量%を含むことができる。
【0033】
スキン層3内の熱可塑性高分子の含有量が83重量%未満であれば、シートの機械的物性が低下するおそれがあり、98重量%を超えれば、過剰な含有量により紫外線及び紫外線カット効果が低下するという問題点がある。
【0034】
スキン層3内の熱可塑性高分子は、基材層2の熱可塑性高分子と同じであってもよい。
【0035】
スキン層3は、0.3~15重量%の紫外線カット剤を含むことができ、具体的には4~9重量%を含むことができる。
【0036】
スキン層3内の紫外線カット剤の含有量が0.3重量%未満であれば、紫外線カット効果を発揮することができず、15重量%を超えれば、スキン層3及びシートの機械的物性を低下させるおそれがある。
【0037】
紫外線カット剤の含有量が上記の範囲である場合、70%以上の紫外線カット効率を発揮することができる。
【0038】
紫外線カット剤は、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系及びサリシレート系よりなる群から選択された1種以上を使用することができる。
【0039】
紫外線カット剤のうち、ベンゾトリアゾール系としては、商業的に収得可能な商標名Tinuvin(登録商標)234(Basf)、Tinuvin(登録商標)237(Basf)、Tinuvin(登録商標)239(Basf)、Tinuvin(登録商標)360(Basf)、Tinuvin(登録商標)1577(Basf)、SONGSORB(登録商標)2340(ソンウォン産業)、SONGSORB(登録商標)2370(ソンウォン産業)、SONGSORB(登録商標)3290(ソンウォン産業)、SONGSORB(登録商標)3600(ソンウォン産業)及びSONGSORB(登録商標)1577(ソンウォン産業)などを用いることができ、サリシレート系としては、商品名HOSTAVIN B-CAP(製造元;クラリアント(株))を用いることができる。
【0040】
スキン層3は、0.1~2重量%の酸化防止剤を含むことができ、具体的には0.3~1重量%を含むことができる。
【0041】
スキン層3内の酸化防止剤の含有量が0.1重量%未満であれば、目的の酸化防止効果を発揮することができず、2重量%を超えれば、スキン層3の物性を低下させるおそれがある。
【0042】
また、酸化防止剤は、フェノール系一次酸化防止剤とリン系二次酸化防止剤とを混合して使用することが好ましく、この場合、それぞれの酸化防止剤は、0.05~1重量%が使用できる。
【0043】
フェノール系一次酸化防止剤は、商業的に収得可能な商標名Irganox1076(BASF)を使用し、リン系二次酸化防止剤は、商標名Irgafos 168(BASF)を使用することができる。
【0044】
スキン層3は、0.01~0.5重量%の赤外線カット剤を含むことができ、具体的には0.04~0.15重量%を含むことができる。
【0045】
スキン層3内の赤外線カット剤の含有量が0.01重量%未満であれば、赤外線カット効果を発揮することができず、0.5重量%を超えれば、仕込み量に比べて期待効果に及ばず、透明性が低下するという問題がある。
【0046】
赤外線カット剤は、酸化亜鉛、酸化タングステン及びアルミニウムドープ酸化タングステンよりなる群から選択された1種以上を使用することができ、具体的には、赤外線カット剤は、70~80重量%の酸化タングステンと20~30重量%のアルミニウムドープ酸化タングステンを使用することができ、さらに具体的には、75~80重量%の酸化タングステンと20~25重量%のアルミニウムドープ酸化タングステンを使用することができる。酸化タングステンとアルミニウムドープ酸化タングステンとの混合比が上記の範囲である場合、単独使用に比べて優れた赤外線カット効果を発揮することができる。
【0047】
赤外線カット剤は、粒子の形状を有することができ、具体的には、赤外線カット剤は、1nm~100μmの粒径を有し、さらに具体的には1nm~10μmの粒径を有することができる。
【0048】
本発明に係る赤外線及び紫外線カット用透明プラスチックシート1は、上述した範囲の成分と組成からなるときに、優れた紫外線及び赤外線カット効率を発揮することができる。
【0049】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらによって制限されないことは、当該技術分野における通常の知識を有する者にとって自明である。
【0050】
<試験例>
試験例1:紫外線及び赤外線カット効果の分析
下記表1の成分表に従って、基材層の両面にスキン層が形成されるように共押出方式でプラスチックシートを製造し、紫外線及び赤外線カット効果を測定した。
【0051】
紫外線及び赤外線効果を確認するために、ポリカーボネートシートを対照区として用いた。
【0052】
このとき、赤外線カット剤は、50μmの粒径を有するものを用い、スキン層の厚さが0.25mmとなるようにプラスチックシートを製造した。
【0053】
紫外線及び赤外線カット効果は、UV-VIS装備を用いて波長300nm~2,500nmの範囲で2nm単位にて透過率を測定し、赤外線領域と紫外線領域のカット率を計算した。
【0054】
【表1】
【0055】
図2a~図2cを参照して、サンプル1~9を比較すると、スキン層内の赤外線カット剤の含有量が増加するほど、赤外線カット効果は比例して増加することを確認することができる。
【0056】
また、酸化タングステン、アルミニウムドープ酸化タングステン及び酸化亜鉛を比較すると、酸化タングステンを含むシートが最も優れており、その次にアルミニウムドープ酸化タングステン、酸化亜鉛の順であった。
【0057】
上記の結果に基づいて、可視光線透過率(波長400~780nm)が70%以上を維持しながら赤外線(波長780~2500nm)を70%以上カットするためには、酸化タングステン0.075%以上を使用することが好ましいと判断される。
【0058】
また、図3を参照すると、酸化タングステン、アルミニウムドープ酸化タングステン又は酸化亜鉛を単独で使用したシートよりも、赤外線カット剤を混合使用したシートの赤外線カット効率がさらに優れることを確認することができる。特に、酸化タングステンとアルミニウムドープ酸化タングステンを8:2で混合したサンプル10が全ての混合使用シートよりも優れるのはもとより、単独使用サンプルよりも優れることを確認することができる。
【0059】
その結果、本発明は、スキン層に赤外線カット剤としての酸化タングステンとアルミニウムドープ酸化タングステンを8:2の重量比で含ませることにより、最も優れた紫外線及び赤外線カット効果を示すことができる。
【0060】
試験例2:温度上昇抑制効果の分析
試験例1のサンプル10と対照区の温度上昇抑制効果を分析した。
【0061】
密閉された空間にサンプル10と対照区を設置した後、赤外線ランプを照射して120分間温度上昇抑制効果を測定した。
【0062】
図5を参照すると、対照区は、120分後に51.2℃まで温度が上昇したのに対し、サンプル10は、41.1℃まで上昇したことを確認することができる。
【0063】
その結果、対照区である一般ポリカーボネートシートに比べて、本発明のプラスチックシートが約10.1℃程度の温度上昇を抑制することを確認することができる。
【0064】
以上で添付図面を参照して説明した本発明は、通常の技術者によって様々な変形及び変更が可能であり、それらの変形及び変更も、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0065】
1 紫外線及び赤外線カット用透明プラスチックシート
2 基材層
3 スキン層
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5