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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025031688
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】血糖測定のための感度を校正する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/145 20060101AFI20250228BHJP
【FI】
A61B5/145
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024141943
(22)【出願日】2024-08-23
(31)【優先権主張番号】10-2023-0110958
(32)【優先日】2023-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】510115030
【氏名又は名称】アイセンス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、ダビッド
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL02
4C038KM03
4C038KX02
(57)【要約】
【課題】正確な感度を算出するために感度を校正する技術を提供する。
【解決手段】一実施形態は、感度決定のためのオフセット値を算出するステップと、前記オフセット値に基づいて、センシング値と基準血糖値から第1感度を決定するステップと、前記第1感度を調整することで感度を決定するステップと、を含み、前記感度を決定するステップは、1つの感度を取得し、複数のセンシング値を平均した平均センシング値と複数の血糖値を平均した平均血糖値を前記1つの感度に反映することで、前記1つの感度を調整して感度Aを決定するステップと、前記感度Aを前記感度として決定するステップと、を含む、血糖測定のための感度を校正する方法を提供することができる。
【選択図】図12

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感度決定のためのオフセット値を算出するステップと、
前記オフセット値に基づいて、センシング値と基準血糖値から第1感度を決定するステップと、
前記第1感度を調整することで感度を決定するステップと、
を含み、
前記感度を決定するステップは、
1つの感度を取得し、複数のセンシング値を平均した平均センシング値と複数の血糖値を平均した平均血糖値を前記1つの感度に反映することで、前記1つの感度を調整して感度Aを決定するステップと、
前記感度Aを前記感度として決定するステップと、
を含む、血糖測定のための感度を校正する方法。
【請求項2】
前記感度Aを決定するステップは、
前記平均センシング値、前記平均血糖値、及び前記1つの感度に第1の重みを適用した結果を平均感度として算出するステップと、
前記平均感度に基づいて前記感度Aを決定するステップと、
を含む、請求項1に記載の血糖測定のための感度を校正する方法。
【請求項3】
前記平均感度に基づいて前記感度Aを決定するステップは、前記1つの感度と前記平均感度との差が一定範囲を逸脱すると、前記平均感度に第2の重みを適用した結果を前記感度Aとして決定する、請求項2に記載の血糖測定のための感度を校正する方法。
【請求項4】
前記第2の重みは、時間の経過と共に増加して前記感度Aに対する前記平均感度の反映の比率を増加させる、請求項3に記載の血糖測定のための感度を校正する方法。
【請求項5】
前記感度を決定するステップは、他の感度を取得し、前記オフセット値及び前記他の感度から算出した血糖値が一定範囲に属するか否かによって、前記他の感度から新たな感度を決定するステップをさらに含み、
前記感度Aを前記感度として決定するステップは、前記感度A及び前記新たな感度のいずれか一方を前記感度として決定する、請求項1に記載の血糖測定のための感度を校正する方法。
【請求項6】
感度の決定のためのオフセット値を算出するステップと、
前記オフセット値に基づいて、センシング値と基準血糖値から第1感度を決定するステップと、
一定期間にわたる複数のセンシング値を平均した平均センシング値と、前記一定期間にわたる複数の血糖値を平均した平均血糖値を前記第1感度に反映することで、前記第1感度を調整して感度Aを決定するステップと、
前記オフセット値及び前記感度Aから算出した血糖値が一定範囲に属するか否かによって、前記感度Aから新たな感度を決定するステップと、
前記新たな感度を前記感度として決定するステップと、
を含む、血糖測定のための感度を校正する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、血糖測定のために感度を校正することに関し、より詳しくは、感度を調整する複数のステップを含む感度校正技術に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、医療技術の発展により、ユーザの身体に付着する様々な医療用デバイスが開発及び販売されている。ユーザの身体に付着する医療用デバイスは、慢性疾患患者の皮膚に付着することで、生体情報のモニタリングや治療に有用に用いることができる。
【0003】
例えば、糖尿病などの慢性疾患は継続的な管理が必要であり、糖尿病患者の血糖をモニタリングするために皮膚に付着して血糖を測定する医療用デバイスを用いることができる。糖尿病は、初期段階ではほとんど自覚症状がないのが特徴であり、病気が進行するにつれ、糖尿病特有の多飲、多食、多尿、体重減少、全身倦怠感、皮膚のかゆみ、手足の傷が治らず長期間残るなどの特有の症状が現れる。さらに糖尿病が進行すると、視力障害、高血圧、腎臓病、中風、歯周病、筋肉のけいれん及び神経痛、壊疽などに進展する合併症が現れる。このような糖尿病を診断し、合併症に進展しないように管理するためには、体系的な血糖測定と治療を併せて行う必要がある。
【0004】
糖尿病患者及び糖尿病に進展してはいないが、血液中に正常よりも多くの糖が検出される人のために、多くの医療機器メーカーは、血糖を測定できる様々な種類の血糖測定器を提供している。
【0005】
血糖測定器は、ユーザが指先から採血して血糖測定を1回単位で行う方式と、ユーザの腹部と腕などに付着して血糖測定を連続して行う方式とがある。
【0006】
糖尿病患者の場合、一般的に高血糖と低血糖の状態を繰り返しており、応急状況は低血糖の状態で発生し、意識を失ったり、糖が供給されず低血糖の状態が長引くと命を失う可能性もある。したがって、低血糖の状態をすぐに発見することは糖尿病患者に非常に重要であるが、断続的に血糖を測定する採血式血糖測定器では、これを正確に把握するには限界がある。
【0007】
最近、このような限界を克服するために、人体内に挿入して数分間隔で血糖値を測定する連続血糖測定システム(CGMS:Continuous Glucose Monitoring System)が開発され、使用されている。連続血糖測定システムは、採血によるユーザの痛みと拒否感を最小化するために、痛症が相対的に少ない腹部と腕などの部位に針状の経皮性センサを挿入した後、連続して血糖を測定することができる。
【0008】
連続血糖測定システムは、ユーザの皮膚内に挿入して体内で血糖を測定し、測定された血糖数値を送信するためのセンサトランスミッタ、及び送信された血糖数値を出力する端末などを含んで構成される。
【0009】
ここで、センサトランスミッタが身体に付着され、センサの一部が人体に挿入された状態で血糖測定が行われるため、人体に挿入されたセンサを異物として認識する可能性がある。すなわち、センサに対する生体反応(例えば、水和反応)が発生する可能性がある。それによって、センサが挿入される初期に感度(sensitivity、傾き)が変化する可能性がある。これによって、センサの精度が低下し、使用期限の維持が困難になる可能性がある。変化された傾きは、測定された生体信号に対して過大又は過小な血糖値を算出することで、連続血糖測定システムの精度を低下させる可能性がある。従来、このような感度(傾き)の変化を補償するために、ユーザが入力した基準血糖値(血糖値モニタリングシステム(blood glucose monitoring system、BGMS)によって測定された血糖値)とセンサの電流値で割った単純な感度と、予め設定したオフセット値を用いる方式や、基準血糖値とこれに該当する電流値に対する回帰分析によって感度を決定する方式が開発された。しかしながら、このような方式は、異常な血糖値やセンサの異常動作に敏感に反応しないため、不正確な感度及びオフセット値を提供するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような背景から、本実施形態の一目的は、正確な感度を算出するために感度を校正する技術を提供することである。
【0011】
このような背景から、本実施形態の他の目的は、感度の精度を高めるために、複数のステップを経て感度を調整することにより、校正された感度を提供する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、一実施形態は、感度決定のためのオフセット値を算出するステップと、前記オフセット値に基づいて、センシング値と基準血糖値から第1感度を決定するステップと、前記第1感度を調整することで感度を決定するステップと、を含み、前記感度を決定するステップは、1つの感度を取得し、複数のセンシング値を平均した平均センシング値と複数の血糖値を平均した平均血糖値を前記1つの感度に反映することで、前記1つの感度を調整して感度Aを決定するステップと、前記感度Aを前記感度として決定するステップと、を含む、血糖測定のための感度を校正する方法を提供することができる。
【0013】
他の実施形態は、感度の決定のためのオフセット値を算出するステップと、前記オフセット値に基づいて、センシング値と基準血糖値から第1感度を決定するステップと、一定期間にわたる複数のセンシング値を平均した平均センシング値と、前記一定期間にわたる複数の血糖値を平均した平均血糖値を前記第1感度に反映することで、前記第1感度を調整して感度Aを決定するステップと、前記オフセット値及び前記感度Aから算出した血糖値が一定範囲に属するか否かによって、前記感度Aから新たな感度を決定するステップと、前記新たな感度を前記感度として決定するステップと、を含む、血糖測定のための感度を校正する方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本実施形態によれば、感度を校正することで正確な感度を算出することができる。
【0015】
また、本実施形態によれば、複数のステップを経て感度を調整することにより、感度の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る血糖測定システムを概略的に説明するための図である。
図2】一実施形態に係るセンサトランスミッタを人体に付着するためのアプリケータを説明するための図である。
図3】一実施形態に係るアプリケータを用いてセンサトランスミッタを人体に付着する過程を説明するための図である。
図4】一実施形態に係るセンサトランスミッタの構成図である。
図5】一実施形態に係る端末の構成図である。
図6】一実施形態に係る感度を校正する方法を示すフローチャートである。
図7】一実施形態に係るセンサのコーディング情報に基づいて感度を調整する例示図である。
図8】一実施形態に係る以前に決定された感度との差に基づいて感度を調整する例示図である。
図9】一実施形態に係る基準血糖値と以前に決定された感度から算出した以前血糖値に基づいて形成される一定範囲に基づいて感度を調整する例示図である。
図10】一実施形態に係る基準血糖値と以前に決定された感度から算出した以前血糖値に基づいて形成される一定範囲に基づいて感度を調整する例示図である。
図11】一実施形態に係る基準血糖値と以前に決定された感度から算出した以前血糖値に基づいて形成される一定範囲に基づいて感度を調整する例示図である。
図12】他の実施形態に係る感度を校正する第1方法を示すフローチャートである。
図13図12による平均センシング値及び平均血糖値に基づいて感度を調整する方法を示すフローチャートである。
図14図13による平均センシング値及び平均血糖値に基づいて感度を調整する例示図である。
図15】他の実施形態に係る感度を校正する第1方法の一例を示すフローチャートである。
図16】他の実施形態に係る感度を校正する第2方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の説明において、関連する公知の機能が当該分野の技術者にとって自明な事項であり、本発明の要旨を不必要に曖昧にすると判断される場合にはその詳細な説明は省略する。
【0018】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定することを意図するものではない。単数の表現は、文脈上明らかに別段の定めがない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解されたい。
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面を参照して詳しく説明し、添付図面を参照して説明する際に、同一又は対応する構成要素は同一の図面番号を付し、これについての重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、一実施形態に係る血糖測定システムを概略的に説明するための図である。
【0021】
図1を参照すれば、一実施形態に係る血糖測定システム10(以下、「システム」という)は、センサトランスミッタ100及び端末200を含んでもよい。
【0022】
センサトランスミッタ100は、人体Bに付着され、センサトランスミッタ100が人体Bに付着する際に、センサトランスミッタ100のセンサの一端は、皮膚に挿入され、人体の体液を周期的に抽出して血糖を測定することができる。
【0023】
端末200は、センサトランスミッタ100から血糖情報が含まれた生体信号を受信し、生体信号から血糖情報を生成してユーザに出力することができる。端末200は、スマートフォン、携帯電話、タブレットPC、デスクトップ(desktop)、ラップトップ(laptop)などの様々なデバイスを含んでもよく、これらに限定されず、センサトランスミッタ100と通信可能な通信インターフェースを有し、プログラムやアプリケーションをインストールできる装置を含んでもよい。
【0024】
センサトランスミッタ100は、端末200の要請に応じて、又は設定された時刻ごとに周期的に測定された生体信号を端末200に送信することができる。センサトランスミッタ100と端末200とのデータ通信のために、センサトランスミッタ100と端末200は、互いにUSBケーブルなどを介して有線接続するか、又は赤外線通信、NFC通信、ブルートゥース(登録商標)などの方式で無線接続することができる。
【0025】
図2は、一実施形態に係るセンサトランスミッタを人体に付着するためのアプリケータを説明するための図であり、図3は、一実施形態に係るアプリケータを用いてセンサトランスミッタを人体に付着する過程を説明するための図である。
【0026】
図2及び図3を参照すれば、一実施形態に係るアプリケータ300は、センサトランスミッタ100を内部に備え、ユーザの操作によりセンサトランスミッタ100を外部に吐出してユーザの特定身体部位に付着するように作動する。アプリケータ300は、一面が開放された形状に形成されており、センサトランスミッタ100は、アプリケータ300の開放された一面を介してアプリケータ300に設けられる。
【0027】
アプリケータ300を用いてセンサトランスミッタ100を身体の一部に付着する際に、センサトランスミッタ100に備えられたセンサの一端を皮膚に挿入するために、アプリケータ300は、センサの一端を内部に取り囲むように形成されたニードル(図示せず)、ニードルとセンサの一端を一緒に皮膚に押し込む第1弾性部材(図示せず)、ニードルのみを引き抜くための第2弾性部材(図示せず)を含んでもよい。このようなアプリケータ300の構成により、アプリケータ300の内部に圧縮された状態で配置された第1弾性部材(図示せず)の圧縮が解除されることで、ニードルとセンサの一端を同時に皮膚に挿入することができる。センサの一端が皮膚に挿入されると、圧縮された第2弾性部材(図示せず)の圧縮が解除されることでニードルのみを引き抜く。ユーザは、アプリケータ300を介して安全かつ容易にセンサトランスミッタ100を皮膚に付着することができる。
【0028】
アプリケータ300を人体Bに付着する過程を詳しく検討すると、保護キャップ(図示せず)を分離した状態でアプリケータ300の開放された一面を人体Bの特定部位の皮膚Sに密着させる。このようにアプリケータ300を人体Bの皮膚Sに密着させた状態でアプリケータ300を作動させると、センサトランスミッタ100は、アプリケータ300から吐出されて皮膚Sに付着することができる。ここで、センサトランスミッタ100の下部には、センサ101の一端がセンサトランスミッタ100から露出して配置されており、センサ101の一端は、アプリケータ300に備えられたニードルを介して一部が皮膚Sに挿入される。したがって、センサ101の一端が皮膚Sに挿入された状態で、センサトランスミッタ100が皮膚Sに付着することができる。
【0029】
ここで、センサトランスミッタ100が人体Bに接触する面には、センサトランスミッタ100が人体Bの皮膚Sに固定付着できるように接着テープが備えられてもよい。したがって、アプリケータ300を人体Bの皮膚Sから離隔すると、センサトランスミッタ100は、接着テープによって人体Bの皮膚Sに固定付着した状態となる。
【0030】
その後、センサトランスミッタ100に電源が印加されると、センサトランスミッタ100は端末と通信し、センサトランスミッタ100は血糖情報を含む生体信号を端末に送信することができる。センサトランスミッタ100は、血糖情報だけでなく様々な生体情報を生成でき、以下では生体情報の一例として血糖情報を測定する場合について説明する。
【0031】
図4は、一実施形態に係るセンサトランスミッタの構成図である。
【0032】
図4を参照すれば、一実施形態に係るセンサトランスミッタ100は、センサモジュール110、センサ通信部120、センサ制御部130、及びセンサ格納部140を含んでもよい。
【0033】
センサモジュール110は、人体に挿入されて生体量をセンシングする少なくとも1つのセンサを含んでもよい。少なくとも1つのセンサは、生体量を測定し、生体信号を生成することができる。生体信号は、アナログ信号として電流値を含んでもよい。
【0034】
センサ通信部120は、端末とデータ又は情報を交換することができる。例えば、センサ通信部120は、センサモジュール110から伝達された生体信号やセンサ格納部140に格納されたデータを端末に送信することができる。
【0035】
センサ制御部130は、センサモジュール110、センサ格納部140、センサ通信部120を含んでセンサトランスミッタ100の全体的な構成を制御することができる。例えば、センサ制御部130は、端末から制御信号を受信し、これによって、センサトランスミッタ100の構成を制御することができる。また、センサ制御部130は、生体信号を加工することができる。例えば、センサ制御部130は、生体信号をアナログ又はデジタル形式に変換するか、必要に応じてノイズを除去するための処理を行ってもよい。
【0036】
センサ格納部140にはデータ又は情報が格納される。例えば、センサ格納部140には、センサモジュール110が測定した生体量に対するデータ(例えば、生体信号の電流値)や、端末から受信したデータ(例えば、制御信号の命令値)が格納されてもよい。
【0037】
図5は、一実施形態に係る端末の構成図である。
【0038】
図5を参照すれば、一実施形態に係る端末200は、出力部210、通信部220、制御部230、及び格納部240を含んでもよい。
【0039】
出力部210は、生体信号に含まれた生体情報(例えば、血糖情報)をユーザが確認できるように出力することができる。例えば、出力部210は、血糖情報を数値(値)として表示してもよく、数値から加工されたグラフを表示してもよい。
【0040】
通信部220は、センサトランスミッタのセンサ通信部と通信して、データ又は情報を交換することができる。例えば、通信部220は、センサトランスミッタが測定した生体量に対する情報(生体情報)を含む生体信号を受信してもよい。ここで、通信部220は、センサトランスミッタで1次加工した生体信号を受信することができる。或いは、通信部220は、センサトランスミッタを制御するための制御信号をセンサトランスミッタに送信してもよい。
【0041】
格納部240には、データ又は情報が格納されてもよい。例えば、格納部240には、センサトランスミッタから受信されたデータ(例えば、生体情報)が格納されてもよい。ここで、生体情報は血糖情報を含み、電流値の形式を有してもよい。或いは、格納部240には、ユーザから入力されたデータや端末の動作環境を設定するための環境設定データが格納されてもよい。
【0042】
制御部230は、血糖測定のために感度を校正するプログラムを実行する少なくとも1つのプロセッサ、及びプログラムが格納された少なくとも1つのメモリを含んでもよい。制御部230に含まれるメモリとプロセッサは、1つのチップに集積されてもよく、物理的に分離されてもよい。
【0043】
メモリは、各種プログラム、データ及び/又は情報を格納するために、ROM(read only memory)、PROM(programmable ROM)、EPROM(erasable programmable ROM)、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)及びフラッシュメモリ(flash memory)などの不揮発性メモリ素子又はRAM(random access memory)などの揮発性メモリ素子で具現することができる。
【0044】
一方、制御部230は、生体情報から数値化した血糖情報である血糖値を生成することができる。このために、制御部230は、電流値の形態で生体情報をセンサトランスミッタから取得し、生体情報の電流値を前処理及び/又は処理してもよい。制御部230は、まず感度を算出し、この感度に応じて血糖値を生成してもよい。
【0045】
制御部230は、電流値と外部から入力された基準血糖値に基づいて感度を決定することができ、感度は、以下の数式1によって決定することができる。ここで、Cは、基準血糖値に基づいて感度を決定する時点、すなわち感度を校正する時点における電流値を意味し、BGrは、基準血糖値として血糖値モニタリングシステム(blood glucose monitoring system、BGMS)から得られた血糖値であるが、必ずしも感度を校正する時点で得られる必要はない。
【数1】
【0046】
上記のように感度が得られた後、制御部230は、電流値とこの感度を乗じて、該当電流値に対応する血糖値を生成することができる。制御部230は、この新たな血糖値を出力部240を介してユーザに提供することができる。例えば、制御部230は、第1時点で取得された第1電流値と、1つの基準血糖値により数式1のように感度を算出し、次の感度校正の時点(第2時点)まではこの感度を用いて新たな血糖値を算出することができる。また、制御部230は、第2時点で感度を再度校正することができる。制御部230は、第2時点で取得された第2電流値と他の基準血糖値により数式1のように感度を算出し、それに対応する血糖値を新たに算出することができる。
【0047】
一方、このような感度は、様々な環境変数によって変化する可能性がある。例えば、センサが生体内に挿入されたときに発生する水和作用によって発生する電流値の変動、又は電流値が減少し続ける負切片現象(生体信号において底値が血糖値に応じて下がるにつれ、基準線も共に下がること)は感度を変化させる要因となり得る。負切片現象によって、センサトランスミッタが従来より減少した電流値を端末200に送信すると、端末200の制御部230は、数式1によって従来より小さな電流値から感度を算出することができる。このように算出された感度は非常に大きくなり得る。制御部230が過度に高い感度を有して血糖値を算出すると、微細な電流値にも血糖値が高くなり、制御部230は不正確な血糖値を生成する可能性がある。
【0048】
このような誤差を訂正するために、制御部230はオフセット値を算出し、このオフセット値を感度の算出に反映してもよい。制御部230は、限定されることなく、オフセット値を様々な方式で算出することができ、オフセット値は固定であっても可変であってもよい。制御部230は、以下の数式2によってオフセット値を反映した感度を決定することができる。ここで、Voffはオフセット値であり、ユーザによって予め設定された値であってもよく、格納部240のアルゴリズムによって可変される値であってもよい。
【数2】
【0049】
上記の例において、負切片現象による電流値の減少はオフセット値によって相殺され、小さくなった分母は大きくなり、感度も過大でない適正レベルに変化し得る。しかしながら、一実施形態に係る端末200の制御部230は、オフセット値を反映した感度を血糖値の算出に直ちに使用せず、感度を調整した後に、調整された感度を血糖値の算出に最終的に使用してもよい。以下、端末200の制御部230が感度を調整する複数のステップを経て感度を校正する方法について説明する。
【0050】
図6は、一実施形態に係る感度を校正する方法を示すフローチャートであり、図7は、一実施形態に係るセンサのコーディング情報に基づいて感度を調整する例示図であり、図8は、一実施形態に係る以前に決定された感度との差に基づいて感度を調整する例示図であり、図9から図11は、一実施形態に係る基準血糖値と以前に決定された感度から算出した以前血糖値に基づいて形成される一定範囲に基づいて感度を調整する例示図である。
【0051】
図6を参照すれば、一実施形態に係る血糖測定システムを構成する端末で感度を校正する方法が図示されている。以下では、感度校正は端末で行われると説明されるが、これに限定されず、構成によっては、センサトランスミッタ又は端末と有無線ネットワークを介して接続されたホスト(host)(例えば、サーバ)で行われてもよい。端末の制御部は、まず電流値から血糖値を生成するために必要な感度を決定し、最終的に決定された感度に電流値を適用して血糖値を生成することができる。
【0052】
このため、端末の制御部は、まず感度の決定のためのオフセット値を算出することができる(ステップS601)。オフセット値は、電流値の減少による感度変化を補償する値であってもよい。
【0053】
また、制御部は、数式2によってオフセット値が反映された電流値と基準血糖値から感度を決定することができる(ステップS603)。ここで決定される感度は、最終感度でなく、調整ステップを経る前に単にオフセット値のみ反映された感度であってもよい。以下では、説明の便宜上、このような感度を「第1感度」と呼ぶ。また、電流値は、センサモジュールに含まれたセンサによって測定された値の一種であり、センシング値と呼ぶこともある。
【0054】
まず、第1感度に対する調整が行われてもよい。端末の制御部は、第1感度及びセンサによって予め設定された感度から第2感度を決定することができる(ステップS605)。センサによって予め設定された感度は、いずれかのセンサに対して予め設定された感度であってもよく、複数のセンサの集合体であるいずれかのグループ(ロット(lot))に対して予め設定された感度であってもよい。1つのグループのセンサに対する感度は、1つのセンサでなく1つのグループ全体を代表する特定の感度として理解することができる。以下、説明の便宜のために、センサによって予め設定された感度を「センサ感度」と呼ぶことがある。
【0055】
ここで、センサ感度は、理想的な条件下で1つのセンサ又は1つのグループのセンサから期待される理想的な感度を含んでもよい。例えば、センサ感度は、実験室環境などの理想的な条件下で1つのセンサ又は1つのグループのセンサが有するべき感度として理解してもよい。或いは、センサ感度は、1つのセンサ又は1つのグループのセンサを製造する際に工場で予め設定された感度として理解してもよい。端末を使用する場合、初期化のためにコーディングする必要があり、センサ感度は、コーディング過程でコーディング情報に含まれ、端末に入力及び/又は格納されてもよい。
【0056】
図7を参照すれば、第1感度及びセンサ感度から第2感度を決定する例が図示されている。端末の制御部は、第1感度を調整するためにセンサ感度を反映し、その結果として第2感度を決定することができる。ただし、端末の制御部は、場合によってはセンサ感度を異なるように反映してもよい。
【0057】
まず、制御部は、第1感度とセンサ感度を比較することができる。第1感度がセンサ感度より大きいと、制御部は、センサ感度を第2感度として決定してもよい。例えば、本図面において、第1校正時点P1で第1感度(S1)が25であり、コーディング情報による感度であるセンサ感度(Ss)が20である場合、制御部は、第2感度(S2)を20と決定することができる。以下、説明の便宜のために単位は省略する。制御部は、センサ感度(Ss)をより信頼して、センサ感度(Ss)を第2感度(S2)と決定してもよい。
【0058】
そうでない場合、すなわち、第1感度がセンサ感度より小さいと、制御部は、センサ感度を加工し、前記加工された第2感度を第1感度として決定してもよい。例えば、本図面において、第2校正時点P2で第1感度(S1)が5であり、センサのコーディング情報による感度であるセンサ感度(Ss)が20である場合、制御部は、センサ感度(Ss)を加工してセンサ感度(Ss)の1/3に該当する値を算出し、センサ感度(Ss)の1/3に該当する値である20/3(≒6.7)を第2感度(S2)として決定してもよい。制御部は、センサ感度(Ss)をより信頼して、センサ感度(Ss)を加工した値を第2感度(S2)として決定してもよい。
【0059】
第1感度がセンサ感度と同一である場合、制御部は、第1感度をそのまま第2感度として決定してもよい。
【0060】
図6に戻ると、第2感度に対する調整が行われてもよい。端末の制御部は、第1感度及び以前に決定された感度との差に基づいた第1感度の信頼度を基準として第2感度を調整することにより第3感度を決定することができる(ステップS607)。ここで、以前に決定された感度は、以前時点での最終的な感度を意味し、以前時点は、感度を校正しようとする現在時点以前における過去の特定時点を意味し得る。端末の制御部は、以前時点にも以前に決定された感度に従って血糖値を算出している場合がある。以下、説明の便宜のために「以前感度」と呼ぶことがある。
【0061】
具体的には、端末の制御部は、第1感度が以前感度よりも連続して(少なくとも2回以上)高いか低い場合、第1感度を信頼でき、第1感度の信頼度が高いと判定することができる。その後、制御部は、第1感度と第2感度を反映した結合感度を算出し、この結合感度を第3感度として決定してもよい。制御部は、第1感度と第2感度を平均して結合感度を算出することができる。
【0062】
図8を参照すれば、第2感度を調整することにより第3感度を決定する例が図示されている。例えば、本図面において、第1校正時点P1で第1感度(S1)が30で以前感度(Sp)が25であり、第2校正時点P2で第1感度(S1)が32で以前感度(Sp)が27である場合、連続して2回の校正時点で第1感度(S1)が以前感度(Sp)よりも高い値を有するため、制御部は、第3校正時点P3で29を有する第1感度(S1)の信頼度が高いと判定することができる。これによって、第3校正時点P3で、制御部は、第1感度(S1)29と第2感度(S2)25から結合感度を算出することができる。制御部は、第1感度(S1)29と第2感度(S2)25の平均値である27(=(29+25)/2)を、結合感度として算出することができる。制御部は、結合感度27を第3感度(S3)として決定してもよい。
【0063】
このように連続して第1感度が高いか低い場合、第1感度が妥当であると見なすことができ、ステップS605とは異なり、第1感度が第2感度よりさらに反映されることが好ましい。
【0064】
また、図6に戻ると、第3感度に対する調整が行われてもよい。端末の制御部は、オフセット値と第3感度から血糖値を算出し、前記算出された血糖値が一定範囲に属するか否かによって第3感度から第4感度を決定することができる。前記算出された血糖値が前記一定範囲に属すると、制御部は、第3感度を適正なものとして見なし、第3感度をそのまま第4感度として決定してもよい。そうでなければ、制御部は、第3感度を適正でないものとして見なし、第3感度の代りに調整感度を算出し、調整感度を第4感度として決定してもよい。
【0065】
ここで、一定範囲は、以前血糖値と基準血糖値に基づいて特定することができる。制御部は、現在時点の電流値、以前感度、以前に算出されたオフセット値(以前オフセット値)から以前血糖値を算出することができる。また、制御部は、基準血糖値(ステップS601で第1感度を決定するために用いた基準血糖値)を外部から取得することができる。制御部は、以前血糖値と基準血糖値が規定する領域に、現在時点の電流値、現在時点のオフセット値、及び第3感度から算出した血糖値が前記領域にあるか否かを判断することができる。
【0066】
図9を参照すれば、第3感度から算出した血糖値が一定範囲に属するか否かによって第3感度から第4感度を決定する一例が図示されている。一例において、制御部は、第1校正時点P1で第4感度を決定すると仮定することができる。まず、制御部は、一定範囲を特定し、第3感度の有効性を判断することができる。
【0067】
第1校正時点P1の電流値(C)が7、以前感度(Sp)が20、以前オフセット値(Voff_p)が0である場合、以前血糖値(BGp)は140(=(7-0)×20)となる。ここで、以前感度(Sp)及び以前オフセット値(Voff_p)は、第1校正時点P1で感度校正が行われる前に決定された感度とオフセット値であってもよい。第1校正時点P1で基準血糖値(BGr)が200である場合、第3感度による血糖値が有効となるための血糖値の領域、すなわち、以前血糖値と基準血糖値に基づいて特定される一定範囲は140~200に該当する。
【0068】
また、第1校正時点P1の電流値(C)が7、第1校正時点P1のオフセット値(Voff)が0、第3感度(S3)が30であるため、制御部は、これらによって血糖値(BG)210(=(7-0)×30)を算出することができる。血糖値(BG)が210で140~200の一定範囲を逸脱するため、制御部は、第3感度(S3)を有効でないものと見なし、第4感度を決定するために調整感度を算出することができる。
【0069】
制御部は、(現在時点の)電流値、(現在時点の)オフセット値、以前血糖値、及び基準血糖値を以下の数式3によって調整感度を算出することができる。
【数3】
【0070】
本例によれば、第1校正時点P1の電流値(C)が7、第1校正時点P1のオフセット値(Voff)が0、以前血糖値(BGp)が140、及び基準血糖値(BGr)が200であるため、調整感度(Sa)は24.29となる。制御部は、調整感度(Sa)を第4感度として決定してもよい。制御部は、24.29を第4感度として決定してもよい。
【0071】
図10を参照すれば、第3感度から算出した血糖値が一定範囲に属するか否かによって第3感度から第4感度を決定する他の例が図示されている。他の例において、制御部は、第2校正時点P2で第4感度を決定すると仮定することができる。まず、制御部は、一定範囲を特定し、第3感度の有効性を判断することができる。
【0072】
第2校正時点P2の電流値(C)が5、以前感度(Sp)が30、以前オフセット値(Voff_p)が1である場合、以前血糖値(BGp)は120(=(5-1)×30)となる。ここで、以前感度(Sp)及び以前オフセット値(Voff_p)は、第2校正時点P2で感度校正が行われる前に決定された感度とオフセット値であってもよい。第2校正時点P2で基準血糖値(BGr)が140である場合、第3感度による血糖値が有効となるための血糖値の領域、すなわち、以前血糖値と基準血糖値に基づいて特定される一定範囲は120~140に該当する。
【0073】
また、第2校正時点P2の電流値(C)が5、第2校正時点P2のオフセット値(Voff)が0.5、第3感度(S3)が28であるため、制御部は、これらによって血糖値(BG)126(=(5-0.5)×28)を算出することができる。血糖値(BG)が126で120~140の一定範囲に属するため、制御部は、第3感度(S3)を有効なものと見なし、第4感度として決定してもよい。したがって、本例で第4感度は28となる。
【0074】
図11を参照すれば、第3感度から算出した血糖値が一定範囲に属するか否かによって第3感度から第4感度を決定するまた他の例が図示されている。また他の例において、制御部は、第3校正時点P3で第4感度を決定すると仮定することができる。まず、制御部は、一定範囲を特定し、第3感度の有効性を判断することができる。
【0075】
第3校正時点P3の電流値(C)が12、以前感度(Sp)が25、以前オフセット値(Voff_p)が0.5である場合、以前血糖値(BGp)は287.5(=(12-0.5)×25)となる。ここで、以前感度(Sp)及び以前オフセット値(Voff_p)は、第3校正時点P3で感度校正が行われる前に決定された感度とオフセット値であってもよい。第3校正時点P3で基準血糖値(BGr)が200である場合、第3感度による血糖値が有効となるための血糖値の領域、すなわち、以前血糖値と基準血糖値に基づいて特定される一定範囲は200~287.5に該当する。
【0076】
また、第3校正時点P3の電流値(C)が12、第3校正時点P3のオフセット値(Voff)が0.3、第3感度(S3)が15であるため、制御部は、これらによって血糖値(BG)175.5(=(12-0.3)×15)を算出することができる。血糖値(BG)が175.5で200~287.5の一定範囲を逸脱するため、制御部は、第3感度(S3)を有効でないものと見なし、第4感度を決定するために調整感度を算出することができる。
【0077】
制御部は、(現在時点の)電流値、(現在時点の)オフセット値、以前血糖値、及び基準血糖値を上述した数式3によって調整感度を算出することができる。本例によれば、第3校正時点P3の電流値(C)が12、第3校正時点P3のオフセット値(Voff)が0.3、以前血糖値(BGp)が287.5、及び基準血糖値(BGr)が200であるため、調整感度(Sa)は20.33となる。制御部は、20.33を第4感度として決定してもよい。
【0078】
図12は、他の実施形態に係る感度を校正する第1方法を示すフローチャートである。
【0079】
図12を参照すれば、他の実施形態に係る血糖測定システムを構成する端末で感度を校正する第1方法が図示されている。以下ではこれに限定されず、構成に応じては、センサトランスミッタ又は端末と有無線ネットワークを介して接続されたホスト(host)(例えば、サーバ)で行われてもよい。端末の制御部は、電流値から血糖値を生成するために必要な感度をまず決定し、最終的に決定された感度に電流値を適用して血糖値を生成することができる。また、他の実施形態は、一実施形態と同一の構成を含んで一実施形態に対する説明をそのまま適用し、以下では一実施形態と共通する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0080】
まず、端末の制御部は、感度の決定のためのオフセット値を算出することができる(ステップS1201)。オフセット値は、電流値の減少による感度変化を補償する値であってもよい。
【0081】
また、制御部は、数式2によってオフセット値が反映された電流値と基準血糖値から感度を決定することができる(ステップS1203)。ここで決定する感度は「第1感度」で最終感度ではなく、調整ステップを経る前に単にオフセット値のみ反映された感度であってもよい。
【0082】
次いで、第1感度に対する調整が行われてもよい。端末の制御部は、第1感度を調整することで感度を最終的に決定することができる(ステップS1205)。第1感度から感度を最終的に決定するために、端末の制御部は次の詳細な調整を行ってもよい。
【0083】
具体的には、端末の制御部は、複数のセンシング値を平均した平均センシング値、複数の血糖値を平均した平均血糖値に基づいて第1感度を調整することができる(ステップS1205-1)。ここで、複数のセンシング値を平均した平均センシング値と、複数の血糖値を平均した平均血糖値に基づいて第1感度が調整される場合、その調整された第1感度は「感度A」と呼ぶことがある。
【0084】
端末の制御部は、感度Aを、その調整された第1感度、すなわち端末の制御部が求めようとする最終的な感度として決定してもよい(ステップS1205-2)。以下、感度Aを決定するステップに対して具体的に検討する。
【0085】
図13は、図12による平均センシング値及び平均血糖値に基づいて感度を調整する方法を示すフローチャートであり、図14は、図13による平均センシング値及び平均血糖値に基づいて感度を調整する例示図である。
【0086】
図13を参照すれば、他の実施形態に係る平均センシング値及び平均血糖値に基づいて感度を調整する方法、すなわち感度Aを決定する方法が図示されている。
【0087】
端末の制御部は、数式2から第1感度を生成することができる(ステップS1301)。また、端末の制御部は、平均センシング値及び平均血糖値を取得することができる(ステップS1303)。平均センシング値は、センサによって測定されたセンシング値を、感度を校正する現在時点までに平均した値を意味し得る。平均の開始時点は、センサが挿入された時点であってもよく、ユーザによって予め設定された現在時点以前のいずれの時点であってもよい。その時点から現在時点までのセンシング値を平均することができる。また、平均血糖値は、血糖測定システムで算出された血糖値を、感度を校正する現在時点までに平均した値を意味し得る。平均センシング値と同様に平均の開始時点が決定され、その時点から現在時点までの血糖値を平均することができる。
【0088】
次いで、端末の制御部は、第1感度、平均センシング値、及び平均血糖値に第1の重みを適用することにより平均感度を算出することができる(ステップS1305)。第1の重みは、第1感度、平均センシング値、及び平均血糖値ごとにそれぞれ割り当てられ、第1の重みのそれぞれは時間の経過と共に変化し得る。例えば、端末の制御部は、第1感度に第1aの重みを適用し、平均センシング値に第1bの重みを適用し、平均血糖値に第1cの重みを適用してもよい。第1b及び1cの重みが調節されることによって、第1感度に反映される比率が増加又は減少し得る。
【0089】
また、端末の制御部は、第1感度と平均感度との差を算出し、その差が一定範囲を超過するか否かを判断することができる(ステップS1307)。その差が一定範囲を超過すると、端末の制御部は、第1感度の代りに平均感度を用いて平均感度から感度Aを決定してもよい(ステップS1307のYES及びステップS1309)。第1感度が平均感度から遠すぎる場合には平均感度が用いられる。端末の制御部は、平均感度に第2の重みを適用して感度Aとして決定してもよい。感度Aは、最終的な感度として決定され、端末の制御部は、感度Aによって電流値に対して血糖値を算出することができる(ステップS1311)。
【0090】
その差が一定範囲を超過しない場合、端末の制御部は、平均感度を用いることなく、第1感度を感度Aとして決定してもよい(ステップS1307のNO及びステップS1313)。感度Aは、最終的な感度として決定され、端末の制御部は、感度Aによって電流値に対して血糖値を算出することができる(ステップS1315)。
【0091】
図16を参照すれば、他の実施形態に係る平均センシング値及び平均血糖値に基づいて感度を調整する例が図示されている。本図面において、センシング値に対応する電流値、平均センシング値に対応する平均電流値、及び平均血糖値が共に図示されている。
【0092】
第1校正時点P1は現在時点であり、端末の制御部が血糖値を算出するために最終的な感度を算出しようとする時点であってもよい。第1校正時点P1で、端末の制御部は、20の第1感度(S1)を取得することができる。また、端末の制御部は、平均センシング値、平均血糖値、及び第1感度(S1)に第1の重みを適用することにより、30の平均感度(Savg)を算出することができる。
【0093】
また、端末の制御部は、この平均感度(Savg)に基づいて感度Aを決定することができる。具体的には、端末の制御部は、第1感度(S1)と平均感度(Savg)との差(Diff)を算出することができる。その差(Diff)は、平均感度(Savg)に対して第1感度(S1)と平均感度(Savg)との差が有する比率で示すことができ、上記の数値を適用すると、差(Diff)は33.3%となる。差(Diff)が一定範囲(例えば一定範囲は20%である)を逸脱すると判定することができる。一定範囲は、予め設定された臨界値と同一の概念であってもよい。これによって、感度Aを決定するために平均感度(Savg)を用いることができ、平均感度(Savg)に第2の重みを適用することができる。第2の重みは0.85と設定され、感度Aは25.5となる。ここで、第2の重みは、時間の経過と共に増加するように変化してもよい。結局、感度Aに対して平均感度(Savg)が反映される比率が増加し得る。これは時間が経過するほど過去の傾向を反映する平均感度(Savg)がより正確である可能性があるためである。
【0094】
図15は、他の実施形態に係る感度を校正する第1方法の一例を示すフローチャートである。
【0095】
図15を参照すれば、他の実施形態に係る感度を校正する第1方法は、一実施形態で説明された感度校正ステップの少なくとも一部を含んでもよい。第1方法にオフセット値と1つの感度から算出した血糖値が一定範囲に属するか否かによって感度を校正するステップが含まれた一例が図示されている。
【0096】
感度の決定のためのオフセット値を算出することができる(ステップS1501)。オフセット値は、電流値の減少による感度変化を補償する値であってもよい。
【0097】
また、制御部は、数式2によってオフセット値が反映された電流値と基準血糖値から第1感度を決定することができる(ステップS1503)。
【0098】
次いで、第1感度に対する調整が行われてもよい。端末の制御部は、第1感度を調整することで感度を最終的に決定することができる(ステップS1505)。第1感度から感度を最終的に決定するために、端末の制御部は、以下のように詳細に第1感度を調整することができる。
【0099】
端末の制御部は、複数のセンシング値を平均した平均センシング値と複数の血糖値を平均した平均血糖値に基づいて第1感度を調整して感度Aを決定することができる(ステップS1505-1)。
【0100】
また、端末の制御部は、オフセット値と感度Aから算出した血糖値が一定範囲に属するか否かによって感度Aから第4感度を決定することができる(ステップS1505-2)。第4感度を決定することは一実施形態で上述したものと同一であり得る。
【0101】
端末の制御部は、感度A及び第4感度のいずれか一方を、その調整された第1感度、すなわち端末の制御部が求めようとする最終的な感度として決定してもよい(ステップS1505-3)。ここで、ステップS1505-1で、端末の制御部は、感度Aを算出することができ、ステップS1505-2でも感度Aに基づいて第4感度を決定することができる。端末の制御部は、感度A及び第4感度のいずれか一方を、電流値から血糖値を算出するための最終的な感度として決定してもよい。端末の制御部は、ステップS1505-1からステップS1505-3によって第1感度を調整することで感度を決定することができる。
【0102】
図16は、他の実施形態に係る感度を校正する第2方法を示すフローチャートである。
【0103】
図16を参照すれば、他の実施形態に係る血糖測定システムを構成する端末で感度を校正する第2方法が図示されている。第1方法では、感度A及び第2感度から第4感度を決定する各ステップを選択的に又は並列的に適用できる一方、第2方法では、各ステップが1つの手順を有するように直列的に適用することができる。
【0104】
具体的には、感度の決定のためのオフセット値を算出することができる(ステップS1601)。オフセット値は、電流値の減少による感度変化を補償する値であってもよい。
【0105】
また、制御部は、数式2によって、オフセット値が反映された電流値と基準血糖値から第1感度を決定することができる(ステップS1603)。
【0106】
また、端末の制御部は、第1感度を取得し、複数のセンシング値を平均した平均センシング値と複数の血糖値を平均した平均血糖値に基づいて第1感度を調整して感度Aを決定することができる(ステップS1605)。
【0107】
また、端末の制御部は、感度Aを取得し、オフセット値と感度Aから算出した血糖値が一定範囲に属するか否かによって感度Aから第4感度を決定することができる(ステップS1607)。
【0108】
また、端末の制御部は、第4感度を最終的な感度として決定してもよい(ステップS1609)。
【0109】
本明細書で説明する対象の様相は、コンピュータ上で実行されるプログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令語の文脈で説明することができる。一般的に、プログラムモジュールは、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは特定のタスク又は特定の抽象データタイプを行う。
【0110】
代替的または追加的に、本明細書で説明された機能は、少なくとも部分的に、1つ以上のハードウェアロジッグコンポーネントによって行われてもよい。限定でなく例として、使用可能な例示的なタイプのハードウェアロジッグコンポーネントは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA、field-programmable gate array)、プログラム特定集積回路(ASIC、application specific integrated circuit)、アプリケーション特定標準製品(ASSP、application-specific standard product)、システムオンチップシステム(SOC、system-on-a-chip system)、複合プログラマブルロジッグデバイス(CPLD、complex programmable logic device)などを含む。
【0111】
一方、開示された実施形態は、コンピュータによって実行可能なプログラム及び/又は命令語を格納する記録媒体として具現することができる。命令語は、プログラムコードの形態で格納されてもよく、プロセッサによって実行された際に、プログラムモジュールを生成し、開示された実施形態の動作を行うことができる。記録媒体は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体で具現することができる。
【0112】
コンピュータが読み取り可能な記録媒体としては、コンピュータによって解読できる命令語が格納されたあらゆる種類の記録媒体を含む。例えば、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)、磁気テープ、磁気ディスク、フラッシュメモリ、光データ格納装置などであってもよい。
【0113】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更又は削除などによって本発明を多様に修正及び変更でき、これも本発明の権利範囲内に含まれると言えるであろう。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16