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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003176
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】シェルター扉
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/14 20060101AFI20241226BHJP
   B66B 9/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
B66B9/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103702
(22)【出願日】2023-06-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【テーマコード(参考)】
2E139
3F301
【Fターム(参考)】
2E139AA07
2E139AA15
2E139AA23
2E139AA25
2E139AA30
2E139AB22
3F301AA11
3F301BA01
(57)【要約】
【課題】簡単な設備で容易に地上と地下シェルター間を往来できるシェルター扉を提供する。
【解決手段】シェルター扉1は、シェルター100の天井101に設けられた開口部110を開閉するための扉本体10、支柱12を介して扉本体10に接続する昇降台20、扉本体10を昇降方向D1に昇降させる駆動機構を備えている。さらに、扉本体10および昇降台20の昇降方向D1への移動を誘導するガイドレール31を備えている。扉本体10が上限位置で開口部110を開放している状態で、駆動機構を動作すると、扉本体10および昇降台20は同期して天井101から床102の方向に向かって昇降方向D1に沿って下降移動する。また、扉本体10が下限位置で開口部110を閉鎖している状態で、移動台27を降下させるとリンク機構が動作して、摩擦材は圧縮された状態で摩擦板に接続する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降方向に昇降することで、シェルターの天井に設けられる開口部を開閉する扉本体と、
支柱を介して前記扉本体に接続する昇降台と、
昇降方向に沿って延びる一対のガイドレールと、
前記昇降台を昇降方向に昇降させる駆動機構と、を備え、
前記ガイドレールは、シェルターの壁に固定され、
前記昇降台は、接続部を介して前記ガイドレールに片持ち支持され、
前記扉本体は、前記昇降台と同期して昇降方向に昇降することを特徴とするシェルター扉。
【請求項2】
前記昇降台は、前記扉本体と同期することなく、独立して昇降方向に昇降する昇降移動部を有することを特徴とする請求項1に記載のシェルター扉。
【請求項3】
前記扉本体が、上限高さに達するとともに前記昇降移動部が上限位置に位置するとき、前記昇降移動部は、前記天井とほぼ面一となることを特徴とする請求項2に記載のシェルター扉。
【請求項4】
前記昇降移動部の降下に連動して動作することで、前記扉本体の昇降方向への移動を拘束する拘束装置を備えることを特徴とする請求項3に記載のシェルター扉。
【請求項5】
前記拘束装置は、前記昇降台に固定されるリンク機構と、前記リンク機構の先端部に設けられる摩擦材と、を有し、
前記摩擦材は、前記昇降移動部の降下に連動して動作する前記リンク機構を介して、前記壁の方向に向かって移動して、前記壁に圧縮された状態で接続することを特徴とする請求項4に記載のシェルター扉。
【請求項6】
前記扉本体が、前記開口部を閉鎖したとき、前記摩擦材は前記壁に装着された摩擦板を介して圧縮された状態で前記壁に接続することを特徴とする請求項5に記載のシェルター扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドレールに片持ち支持された状態で昇降するシェルター扉に関する。
【背景技術】
【0002】
地下シェルターは、本体が地下に埋設されることから、津波、火災などの自然災害に対して極めて安全に避難できる施設である。また、放射線遮蔽性能を容易に高めることが可能であることから、核シェルターとしての利用も期待できる。
【0003】
しかし、地下シェルターの出入りは、重量のあるシェルター扉を開閉して、さらに昇降を伴うことが一般的である。重量のあるシェルター扉の開閉は、多大な量力を要すると考えられる。また、昇降は階段やタラップを利用するのが一般的であり、高齢者の方々や、歩行が不自由な方々には負担が大きなことも事実である。
【0004】
特許文献1は、パンタグラフ式のリフトを利用して人や物資の安全かつ容易で迅速な避難移動を可能にした防災地下シェルターが提案されている。この地下シェルターは、地上面から掘り込まれた埋設ピット内に設置されるシェルタードッグユニットと、シェルタードッグユニット地上出入口と地下シェルタードッグ地下出入口との間にエレベーターがパンタグラフ式リフト機構で構成されるエレベーター、およびエレベーターを駆動させる蓄電バッテリーが設けられている。さらに、蓄電池の全電力消費時又は商用電源の停電時に手動でクランクを回して空気濾過システムを作動させるバックアップ装置が設けられている。
【0005】
特許文献2は、 上部が開放され、四方が壁から成る地下に埋設されたコンクリート製のシェルタードッグに連結した地下シェルターにおいて、シェルタードッグ内の内周寄りの床に固定された1本又は複数本のシェルターレールに沿って昇降駆動装置により上下移動ができる筐体を設けた地下シェルターが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-90876号公報
【特許文献2】特開2014-198984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1で提案されている発明は、地下シェルター内の地下空間に移動しようとすると、防水装甲ドアを開放してエレベーターに乗り込んだ後に、解放した防水装甲ドアを再び閉じてエレベーターで降下する手順を踏む必要がある。さらにエレベーターで降下した後に、中仕切りドアを開閉することを要する。上述のように、地上から地下空間への移動は多くの手順を踏む必要がある。また、防水装甲ドアは、爆風に伴う衝撃波・風圧・振動・放射線・爆弾の破片・ダスト・ガス・火災および熱・電磁波・洪水に対し、内部を防護する性能を有するものであることから重量の重い扉であると考えられる。このような重量の重い扉の開閉は、手足の不自由な方々にとっては大きな負担となる。特許文献2についは、シェルタードックそのものを昇降させる仕組みであることから、地下シェルターを構成するそれぞれの設備の大規模化は避けられない。
【0008】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、簡単な設備で容易に地上と地下シェルター間を往来できるシェルター扉を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための発明は、シェルター扉であって、昇降方向に昇降することで、シェルターの天井に設けられる開口部を開閉する扉本体と、支柱を介して扉本体に接続する昇降台と、昇降方向に沿って延びる一対のガイドレールと、昇降台を昇降方向に昇降させる駆動機構と、を備え、ガイドレールは、シェルターの壁に固定され、昇降台は、接続部を介して前記ガイドレールに片持ち支持され、扉本体は、昇降台と同期して昇降方向に昇降することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、シェルター扉は、昇降方向に昇降することで、シェルターの天井に設けられる開口部を開閉する扉本体と、支柱を介して扉本体に接続する昇降台と、昇降方向に沿って延びる一対のガイドレールと、昇降台を昇降方向に昇降させる駆動機構とを備えるので、避難者は昇降台に乗った状態でシェルターに避難できる。またシェルターに避難したと同時に開口部は扉本体によって閉鎖される。さらに、昇降台は、シェルターの壁に固定されるガイドレールに片持ち支持された状態で昇降方向に昇降するので、シェルター扉の形状をコンパクトにすることが可能となる。
【0011】
好ましくは、昇降台は、扉本体と同期することなく、独立して昇降方向に昇降する昇降移動部を有する。
【0012】
避難者が、昇降台に乗り移るとき、避難者の安全を確保する観点から、昇降台と天井の高さは極力、一致させることが望まれる。一方で避難者がシェルター内に避難して、昇降台か降りるときは、昇降台と床との段差は小さいほうが望ましい。この構成によれば、昇降台は、扉本体と同期することなく独立して昇降方向に昇降する昇降移動部を有するので、避難者が昇降台に乗り移るとき、昇降移動部を上昇降させることで、扉本体の上昇高さを低くできる。一方で避難者がシェルター内に避難して、昇降台から降りるときは、昇降移動部を下降させることで昇降台と床との段差を小さくできる。
【0013】
好ましくは、扉本体が、上限位置に達するとともに昇降移動部が上限位置に達したとき、昇降移動部は、天井とほぼ面一となる。
【0014】
この構成によれば、扉本体が、上限位置に達するとともに昇降移動部が上限位置に達したとき、昇降移動部は、避難者が天井から昇降部に乗り移りやすい高さ、すなわち昇降移動部は天井とほぼ面一となるので、扉本体の昇降上限位置を低く設定できる。ここで、「ほぼ面一」とは、当該技術分野における社会通念上の段差も含み、例えば0~10mm程度や、天井の厚さの0~10%程度の範囲内での段差を含む。さらに、段差の全くないフラットな面一も含む。
【0015】
好ましくは、昇降移動部の降下に連動して動作することで、扉本体の昇降方向への移動を拘束する拘束装置を備える。
【0016】
この構成によれば、昇降移動部の降下に連動して動作することで、扉本体の昇降方向への移動を拘束する拘束装置を備えるので、何らかの要因で扉本体が急激に降下する事態に陥ったとしても、扉本体の降下速度を抑制できる。
【0017】
好ましくは、拘束装置は、昇降台に固定されるリンク機構と、リンク機構の先端部に設けられる摩擦材と、を有し、摩擦材は、前記昇降移動部の降下に連動して動作するリンク機構を介して、壁の方向に向かって移動して、壁に圧縮された状態で接続する。
【0018】
この構成によれば、拘束装置は、昇降台に固定されるリンク機構と、リンク機構の先端部に設けられる摩擦材と、を有し、摩擦材は、前記昇降移動部の降下に連動して動作するリンク機構を介して、壁の方向に向かって移動して壁に圧縮された状態で接続するので、昇降移動部を降下することのみで、確実に扉本体の昇降を抑制できる。
【0019】
好ましくは、扉本体が、開口部を閉鎖したとき、摩擦材は壁に装着された摩擦板を介して圧縮された状態で壁に接続する。
【0020】
この構成によれば、扉本体が、開口部を閉鎖したとき、摩擦材は壁に装着された摩擦板を介して圧縮された状態で壁に接続するので、扉本体が開口部を閉鎖した状態で昇降移動部を降下することで、扉本体は施錠された状態と同様な状態となる、すなわち、扉本体を施錠するための施錠装置は不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】扉本体が開口部を閉鎖する状態の正面断面図である。
図2】扉本体が上限高さに達した状態の正面断面図である。
図3】(a)は、接続部の正面図である。(b)は、同、平面断面図である。
図4】(a)は、駆動機構の側面図である。(b)は、同、平面断面図である。
図5】動滑車装置の斜視図である。
図6】移動台が上限位置に位置しているときの拘束装置の配置を説明する平面配置図である。
図7】移動台が下限位置に位置しているときの拘束装置の配置を説明する平面配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1~7を参照して本発明のシェルター扉1の実施形態を詳述する。
【0023】
図1、2に示す通り、シェルター扉1は、シェルター100の天井101に設けられた開口部110を開閉するための扉本体10、支柱12を介して扉本体10に接続する昇降台20、昇降台20を昇降方向D1に昇降させる駆動機構40を備えている。さらに、扉本体10および昇降台20の昇降方向D1への移動を誘導する一対のガイドレール31、31を備えている。シェルター100は一部または全部が地下120に設けられている、いわゆる地下シェルターである。
【0024】
扉本体10が上限高さ、すなわち開口部110を開放している状態で(図3参照)、駆動機構40を動作すると、扉本体10および昇降台20は同期して天井101から床102の方向に向かって昇降方向D1に沿って下降移動する。これにより、扉本体10は下限位置に到達して開口部110を閉鎖する(図1、2参照)。扉本体10が上限高さに達した状態で、昇降移動部23を動作して、移動台27を上限位置に至る高さまで上昇させると、移動台27と、天井101の上面はほぼ面一となる。ここで、「ほぼ面一」とは、当該技術分野における社会通念上の段差も含み、例えば0~10mm程度や、天井101の厚さの0~10%程度の範囲内での段差を含む。さらに、段差の全くないフラットな面一も含む。また、バリアーフリーなどを考慮しない場合には、「ほぼ面一」に限らず、大なり小なりの段差があってもよい(以下同じ)。
【0025】
扉本体10が開口部110を閉鎖している状態で、駆動機構40を動作すると、扉本体10および昇降台20は同期して床102から天井101の方向に向かって昇降方向D1に沿って上限高さまで上昇移動する。これにより、扉本体10は開口部110を開放する。
【0026】
扉本体10は、平面視矩形の平板であり、外縁上端部は突出して階段形状をなしている。また、突出した部分の下面に、突出下面11が設けられている。一方で、開口部110は外縁下端部が突出して、扉本体10の外縁上端部に対応する形状となる階段形状をなしている。また、また突出した部分の上面に、突出上面111が設けられている。突出上面111と突出下面11が当接することで、扉本体10の下降移動は下限位置で制限されて、開口部110は扉本体10によって閉鎖される。突出下面11と突出上面111との間に生じる隙間の水密性能を向上させるために、突出下面11、あるいは突出上面111のいずれかにパッキン等(図示略)をシール部材として装着することが好ましい。
【0027】
扉本体10と天井101の厚さはほぼ同じであり、開口部110が扉本体10によって閉鎖されたとき、天井101の上面と扉本体10の上面は、ほぼ面一となっている。
【0028】
本実施形態における扉本体10は、鉄筋コンクリート製であるが、これに限るものではない。コンクリート製、鋼製、またコンクリートと鋼板の構成構造のいずれかであってもよい。また、扉本体10の厚さとしては、20cm~40cmであることが好ましい。より好ましくは30cm~40cmである。これにより所定の放射線遮蔽性能を具備できる。
【0029】
昇降台20は、フレーム部21、および昇降移動部23を有している。フレーム部21は支柱12を介して扉本体10と接続している。支柱12はフレーム部21の四隅に設けられて、昇降方向D1に延びており、扉本体10の四隅に接続している。支柱12は落下防止を目的とする金網(図示略)がスライド方向D2に沿って架け渡されている。
【0030】
昇降移動部23はフレーム部21に支持される移動ジャッキ26を動作することによって、移動台27が昇降方向D1に昇降する構造である。フレーム部21は、フレーム部材22によってトラス構造が構成されている。
【0031】
移動台27は、平面視が略矩形の平板であり、外縁端部に、渡り板28の一側端部が枢支部(図示略)により回動可能に接続している。昇降台20が上昇するとともに移動台27が上昇して、天井101の上面とほぼ面一となったとき、すなわち移動台27と天井101の段差が解消されたとき、渡り板28を天井101の方向に回動することで、渡り板28を昇降台20と天井101との間に架け渡すことができる(図2に実線と一点鎖線で示す渡り板28参照)。これにより、昇降台20と天井101との間に生じる隙間を塞ぐことができて、天井101から移動台27へ、あるいは移動台27から天井101への円滑な移動が可能となる。また、扉本体10と、移動台27の双方を独立して昇降方向D1に上昇させることで、扉本体10自体の上昇距離を小さくすることができる。
【0032】
ガイドレール31は、床102に支持された状態で、つなぎ材32を介して壁103に固定されており、上端部は開口部110の近傍に位置している。ガイドレール31は昇降方向D1に沿って延びる溝31aが設けられている。溝31aは、第1フランジ36、第2フランジ37、およびウェブ38によって画定される。本実施形態では、ガイドレール31にH型鋼を用いているが、これに限るものではない。例えば、溝形鋼であってもよい。
【0033】
ガイドレール31に対向するフレーム部材22に、接続部25が固定されている。図3(a)、(b)に示す通り、接続部25は、ガイドレール31に設けられた溝31aに沿って転動する25a、第2ローラ25b、および第3ローラ25cが装着されている。これにより、昇降台20はガイドレール31が延びる方向、すなわち昇降方向D1に沿って円滑に昇降できる。
【0034】
第1ローラ25aは第1フランジ36に接した状態で転動し、第2ローラ25bは、第2フランジ37に接した状態で転動する。さらに、第3ローラ25cはウェブ38に接した状態で転動する。これにより接続部25は、昇降台20を片持ち支持した状態で、ガイドレール31に沿って円滑に昇降移動する。本実施形態に用いた第1ローラ25a、および第2ローラ25bは、カムフォロアであり、第3ローラ25cは、ローラフォロアであるが、限定されるわけではない。
【0035】
図4、5に示す通り、駆動機構40は、昇降ジャッキ41、動滑車装置45、およびワイヤー40aを有している。昇降ジャッキ41の下端部は床102に接続しており、昇降ジャッキ41の上端部に設けられるピストン41aは動滑車装置45に接続している。図5に示す通り、動滑車装置45は、ワイヤー40aの方向を転換するためのシーブ46、ガイドローラ47、および昇降ローラ48を有している。ワイヤー40aの一端は、シェルター100の所定位置に接続しており、他端はシーブ46を経由して昇降台20に接続している。なお、動滑車装置45は、接続部25の上方(床102から天井101に向かう方向)に位置している。また、扉本体10が開口部110を閉鎖するとき、動滑車装置45と接続部25の離隔距離は最大となり、その距離は昇降距離の2倍以上確保されている。また、ワイヤー40aの他端の接続位置は接続部25の上端と同じ高さが、あるいは接続部25の下方(天井101から床102に向かう方向)に設定されている。
【0036】
ガイドローラ47が第1フランジ36、および第2フランジ37に接するとともに、昇降ローラ48はウェブ38に接している。本実施形態では、ガイドローラ47にカムフォロア、昇降ローラ48にローラフォロアを用いているが、これに限定されるわけではない。
【0037】
筐体80に一対の拘束装置60、60が、昇降台20に接続して状態で、対向して設けられている(図4参照)。図6は、移動台27が上限位置に位置する状態であり、図7は移動台27が下限位置に位置する状態を表している。図6、7に示す通り、拘束装置60は、リンク機構50、および摩擦材57を有している。リンク機構50は昇降台20の昇降方向D1の移動を、昇降方向D1と直交するスライド方向D2の移動に変換する機構である。具体的には、リンク51、直交リンク52、リンク53、第1スライドジョイント54、第2スライドジョイント55などを有している。なお、本実施形態では、スライド方向D2は、昇降方向D1と直交する方向としているが、これに限るものではない。後述する摩擦材57が摩擦板61に圧縮状態に接触可能(当接可能)な角度であればよい。摩擦材57、および摩擦板61は、圧縮状態に接触したとき、大きな摩擦力が得られるものであることが好ましい。
【0038】
直交リンク52は、筐体80を介してフレーム部21に固定されている。リンク51の一端は移動台27に接続し、他端は第1スライドジョイント54に回動可能に接続している。リンク53の一端は第1スライドジョイント54に回動可能に接続し、他端は第2スライドジョイント55に回動可能に接続している。
【0039】
第1スライドジョイント54は直交リンク52に沿って昇降方向D1に移動可能である。また、第2スライドジョイント55は、直交リンク52に沿ってスライド方向D2に移動可能である。第1スライドジョイント54と第2スライドジョイント55がリンク53を介して接続されることで、第1スライドジョイント54の昇降方向D1の移動が、第2スライドジョイント55のスライド方向D2の移動に変換される。
【0040】
第2スライドジョイント55は壁103の方向に向かって延びる延伸部56を有しており、延伸部56の先端には、摩擦材57が装着されている。摩擦材57は、壁103に固定される摩擦板61に対向して設けられている。摩擦板61は、矩形の盤上構造であり、2個の摩擦板61が移動ジャッキ26を挟んで壁103に固定されている(図1、2における紙面の表裏方向)。摩擦板61の取り付け位置は、扉本体10が開口部110を閉鎖した状態で、移動台27を下限位置にしたとき、摩擦材57と対向する高さである。
【0041】
シェルター100への避難、および脱出手順について説明する。
【0042】
扉本体10が開口部110を閉鎖した状態から、昇降ジャッキ41を動作してピストン41aを上昇させると、ガイドローラ47が第1フランジ36、および第2フランジ37を転動するとともに、昇降ローラ48はウェブ38を転動する。これにより、動滑車装置45は、昇降方向D1に向かって上昇する。なお、扉本体10が上昇するとき、移動台27は上限位置の状態としておく。
【0043】
動滑車装置45の上昇位伴って、ワイヤー40aの他端は、動滑車装置45の2倍の距離を昇降方向D1に向かって上昇する。ワイヤー40aの他端の移動に伴って、扉本体10は昇降方向D1に上昇する。これにより、扉本体10は開口部110を開放する。
【0044】
扉本体10が上限位置に達したとき、扉本体10の上昇は停止する。このとき、移動台27と天井101の上面はほぼ面一の状態となっている。図2に一点鎖線で示すように、渡り板28を外側に回動して移動台27と天井101との間に架け渡す。避難者は、架け渡された渡り板28を利用して天井101から移動台27に乗り移る。移動台27への移動の完了を確認したのちに、昇降ジャッキ41を動作してピストン41aを昇降方向D1に向かって降下させる。
【0045】
昇降ジャッキ41を動作してピストン41aを降下させると、ガイドローラ47が第1フランジ36、および第2フランジ37を転動するとともに、昇降ローラ48はウェブ38を転動する。これにより、動滑車装置45は、昇降方向D1に沿って降下する。
【0046】
扉本体10が開口部110を閉鎖したとき、リミッタースイッチが動作して、昇降ジャッキ41の動作は停止して、扉本体10、および移動台27の降下は停止する。
【0047】
移動ジャッキ26を動作して、移動台27を降下させる。移動台27の降下に伴って、リンク51に回動可能に接続する第1スライドジョイント54は昇降方向D1に降下する。第1スライドジョイント54の降下に伴って、リンク53に回動可能に接続する第2スライドジョイント55は壁103の方向に向かってスライド方向D2に移動する。同時に延伸部56の先端に装着される摩擦材57は摩擦板61に向かって移動して、圧縮状態で摩擦板61と接触する。
【0048】
移動台27は床102の方向に向かって下降することで移動台27と床102との段差を小さくできる。さらに、摩擦材57と摩擦板61が圧縮状態で接触することで扉本体10の移動を拘束できる。すなわち、移動ジャッキ26を降下させることで扉本体10を施錠した状態と同等の状態とすることができる。上述した手順を踏むことで、避難者は容易にシェルター100に避難できる。
【0049】
上述した手順と逆の手順を踏むことで、避難者は容易にシェルター100から脱出できる。
【0050】
本実施形態は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係るシェルター扉を利用することで、地下シェルターの形状をコンパクトにすることが可能となる。これにより、狭隘な土地についても地下シェルターを敷設できることから産業用の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0052】
1 :シェルター扉
10 :扉本体
12 :支柱
20 :昇降台
21 :昇降移動部
31 :ガイドレール
40 :駆動機構
50 :リンク機構
57 :摩擦材
60 :拘束装置
61 :摩擦板
100 :シェルター
101 :天井
102 :床
110 :開口部
D1 :昇降方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降方向に昇降することで、シェルターの天井に設けられる開口部を開閉する扉本体と、
支柱を介して前記扉本体に接続する昇降台と、
昇降方向に沿って延びる一対のガイドレールと、
前記昇降台を昇降方向に昇降させる駆動機構と、を備え、
前記ガイドレールは、シェルターの壁に固定され、
前記昇降台は、接続部を介して前記ガイドレールに片持ち支持され、
前記扉本体は、前記昇降台と同期して昇降方向に昇降し、
前記昇降台は、前記扉本体と同期することなく、独立して昇降方向に昇降する昇降移動部を有し、
前記扉本体が、上限高さに達するとともに前記昇降移動部が上限位置に位置するとき、前記昇降移動部は、前記天井とほぼ面一となることを特徴とするシェルター扉。
【請求項2】
前記昇降移動部の降下に連動して動作することで、前記扉本体の昇降方向への移動を拘束する拘束装置を備えることを特徴とする請求項に記載のシェルター扉。
【請求項3】
前記拘束装置は、前記昇降台に固定されるリンク機構と、前記リンク機構の先端部に設けられる摩擦材と、を有し、
前記摩擦材は、前記昇降移動部の降下に連動して動作する前記リンク機構を介して、前記壁の方向に向かって移動して、前記壁に圧縮された状態で接続することを特徴とする請求項に記載のシェルター扉。
【請求項4】
前記扉本体が、前記開口部を閉鎖したとき、前記摩擦材は前記壁に装着された摩擦板を介して圧縮された状態で前記壁に接続することを特徴とする請求項に記載のシェルター扉。