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特開2025-3185流量監視方法、流量監視装置及び流量監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003185
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】流量監視方法、流量監視装置及び流量監視システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241226BHJP
   G01F 1/00 20220101ALI20241226BHJP
【FI】
G05B23/02 302S
G01F1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103716
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 宏和
(72)【発明者】
【氏名】小椋 凌
(72)【発明者】
【氏名】山川 翔平
(72)【発明者】
【氏名】竹田 航哉
(72)【発明者】
【氏名】駒崎 峻
(72)【発明者】
【氏名】坂本 隆名
(72)【発明者】
【氏名】島村 徹也
(72)【発明者】
【氏名】安井 希子
【テーマコード(参考)】
2F030
3C223
【Fターム(参考)】
2F030CA03
2F030CC20
2F030CE04
3C223AA05
3C223AA06
3C223FF02
3C223FF04
3C223FF08
3C223FF13
3C223FF24
3C223FF35
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH22
(57)【要約】
【課題】配管内の粉粒体の流量変化の検出精度を向上する流量監視方法等を提供する。
【解決手段】流量監視方法は、粉粒体が流れる配管で第1期間に発生する振動のデータである第1データを取得することと、前記第1データの前記第1期間を、複数の時間区間である複数のフレームにより区分することと、前記複数のフレームそれぞれに対応する前記第1データの対応部分における周波数特性を検出すること、前記複数のフレームでの周波数特性に基づき、前記第1データの第1特徴量を検出することと、前記第1特徴量と第1閾値とを比較することによって、前記粉粒体の流量を監視することとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体が流れる配管で第1期間に発生する振動のデータである第1データを取得することと、
前記第1データの前記第1期間を、複数の時間区間である複数のフレームにより区分することと、
前記複数のフレームそれぞれに対応する前記第1データの対応部分における周波数特性を検出すること、
前記複数のフレームでの周波数特性に基づき、前記第1データの第1特徴量を検出することと、
前記第1特徴量と第1閾値とを比較することによって、前記粉粒体の流量を監視することとを含む
流量監視方法。
【請求項2】
前記対応部分を周波数解析することで前記対応部分の周波数成分を、前記周波数特性として検出することと、
隣り合う前記フレーム間における周波数成分の変動量を検出することと、
隣り合う前記フレーム間における周波数成分の変動量に基づき、前記第1特徴量を検出することとを含む
請求項1に記載の流量監視方法。
【請求項3】
前記周波数成分の変動量の検出では、
前記周波数成分それぞれに対応する複数の周波数帯域の全てについて、隣り合う前記フレーム間で同じ周波数帯域の周波数成分の差異を検出し、
前記複数の周波数帯域での前記差異の和を、前記周波数成分の変動量として検出する
請求項2に記載の流量監視方法。
【請求項4】
前記第1期間よりも前の第2期間で前記配管で発生した振動データである第2データについて過去に検出した第2特徴量を取得することと、
前記第1特徴量と前記第2特徴量との平均値と、前記第1閾値とを比較することによって、前記粉粒体の流量を監視することとを含む
請求項1に記載の流量監視方法。
【請求項5】
前記第1期間よりも前のN個(Nは、2以上の自然数)の第(i+1)期間(i=1,2,・・・,N)でのN個の第(i+1)データについてのN個の第(i+1)特徴量を取得することと、
前記第1特徴量とN個の前記第(i+1)特徴量とを用いて移動平均値を算出することと、
前記移動平均値と前記第1閾値とを比較することによって、前記粉粒体の流量を監視することとを含む
請求項1に記載の流量監視方法。
【請求項6】
前記第1特徴量とN個の前記第(i+1)特徴量とを用いて複数の移動平均値を算出することと、
前記複数の移動平均値のいずれかが前記第1閾値以下である場合、前記粉粒体の流量が正常ではないと決定することとを含む
請求項5に記載の流量監視方法。
【請求項7】
前記第1特徴量が第2閾値を超える場合、前記第1期間よりも前の第2期間で前記配管で発生した振動データである第2データについて過去に検出した第2特徴量を取得することと、
前記第1特徴量と前記第2特徴量との平均値を、前記第1特徴量に決定することとを含む
請求項1から6のいずれか一項に記載の流量監視方法。
【請求項8】
前記第1特徴量が第2閾値を超える場合、前記第1期間よりも前のM個(Mは、2以上の自然数)の第(j+1)期間(i=1,2,・・・,N)でのM個の第(j+1)データについてのM個の第(j+1)特徴量を取得することと、
前記第1特徴量とM個の前記第(j+1)特徴量との平均値を、前記第1特徴量に決定することとを含む
請求項1から6のいずれか一項に記載の流量監視方法。
【請求項9】
第1粉粒体と第2粉粒体との混合体が流れる配管で発生した振動データを、前記第1データとして取得することと、
前記第1データの前記対応部分を周波数解析することで前記対応部分の周波数成分を、前記周波数特性として検出することと、
前記対応部分において、前記周波数成分が形成する第1ピーク部分及び第2ピーク部分を検出することと、
前記対応部分の周波数成分を、前記第1ピーク部分に対応する部分を含む前記第1粉粒体の第1周波数成分と、前記第2ピーク部分に対応する部分を含む前記第2粉粒体の第2周波数成分とに分割することと、
隣り合う前記フレーム間における前記第1周波数成分の変動量を検出することと、
隣り合う前記フレーム間における前記第1周波数成分の変動量に基づき、前記第1粉粒体の前記第1特徴量を検出することと、
隣り合う前記フレーム間における前記第2周波数成分の変動量を検出することと、
隣り合う前記フレーム間における前記第2周波数成分の変動量に基づき、前記第2粉粒体の前記第1特徴量を検出することと、
前記第1粉粒体の前記第1特徴量と前記第1粉粒体の前記第1特徴量とを比較し且つ前記第2粉粒体の前記第1特徴量と前記第2粉粒体の前記第1閾値とを比較することによって、前記第1粉粒体及び前記第2粉粒体の流量を監視することとを含む
請求項1に記載の流量監視方法。
【請求項10】
前記配管に取り付けられ且つ前記配管での振動を検出するセンサから検出信号を受け取ることと、
前記検出信号から前記第1期間毎の検出信号を、前記第1データとして切り出すことと、
前記粉粒体の流量を監視する処理を前記第1期間毎に繰り返し行うこととを含む
請求項1に記載の流量監視方法。
【請求項11】
請求項1に記載の流量監視方法を実行することにより前記粉粒体の流量を監視する処理回路を含む
流量監視装置。
【請求項12】
前記処理回路は、前記第1特徴量と前記第1閾値とを比較した結果、前記配管内の前記粉粒体の流量が正常でないことを示す場合に、警報の発令の指令を出力する
請求項11に記載の流量監視装置。
【請求項13】
前記配管に取り付けられ且つ前記配管での振動を検出するセンサをさらに備え、
前記処理回路は、前記センサの検出信号から前記第1期間の検出信号を、前記第1データとして切り出す
請求項11に記載の流量監視装置。
【請求項14】
請求項11に記載の流量監視装置と、
プラントと、
前記プラントの配管に取り付けられ且つ前記配管での振動を検出するセンサとを備え、
前記処理回路は、前記センサの検出信号から前記第1期間の検出信号を、前記第1データとして切り出す
流量監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粉粒体の流量監視方法、流量監視装置及び流量監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、粒状化された廃棄物プラスチックを輸送する輸送配管の詰まりを検知する方法を開示する。音響センサが、輸送管に取り付けられる。音響センサによって検知される粉粒体の衝突音が周波数解析され、周波数スペクトルが規定値を下回った場合に、配管詰まりが発生したと判断される。上記判断では、配管内の廃棄物プラスチックの衝突音の特徴的な周波数帯域3kHz(キロヘルツ)-6kHZに含まれる複数のピークのスペクトル値の合計が規定値と比較される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-206546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の検知方法は、配管詰まりの発生のように廃棄物プラスチックの流量の大きい変化の発生を検知するが、大きくない流量の変化を検知できない可能性がある。本開示は、配管内の粉粒体の流量変化の検出精度を向上する流量監視方法、流量監視装置及び流量監視システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る流量監視方法は、粉粒体が流れる配管で第1期間に発生する振動のデータである第1データを取得することと、前記第1データの前記第1期間を、複数の時間区間である複数のフレームにより区分することと、前記複数のフレームそれぞれに対応する前記第1データの対応部分における周波数特性を検出すること、前記複数のフレームでの周波数特性に基づき、前記第1データの第1特徴量を検出することと、前記第1特徴量と第1閾値とを比較することによって、前記粉粒体の流量を監視することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、例示的な実施の形態に係る流量監視システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係るセンサの構成の一例を示す断面側面図である。
図3図3は、実施の形態に係る流量監視装置の単体モードでの動作の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態に係る流量監視装置の単体モードでの動作の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、処理対象期間の検出信号に対してN個のフレームFを設定する例を示す図である。
図6図6は、1つのフレームの周波数解析処理結果の一例を示す図である。
図7図7は、2つのフレーム間のパワースペクトルの変動量の算出方法のイメージ図である。
図8図8は、実施の形態に係る流量監視装置の混合モードでの動作の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、実施の形態に係る流量監視装置の混合モードでの動作の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、混合モードにおける1つのフレームの周波数解析処理結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下において、本開示の例示的な実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。本明細書及び請求項では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置を含むシステムも意味し得る。「装置」は、「設備」も含み得る。
【0008】
図1を参照しつつ、例示的な実施の形態に係る流量監視システム100の構成を説明する。図1は、例示的な実施の形態に係る流量監視システム100の構成の一例を示す図である。流量監視システム100は、配管内を流れる粉粒体の流量の変化を監視する。限定されないが、本実施の形態では、流量監視システム100は、プラント1に含まれる配管20内を流れる粉粒体の流量を監視する。
【0009】
粉粒体は、固体粒子の集合体であり、固体的ではあるが外力に応じて流動するという流体的な性質を有する。本明細書及び請求項において、「粉粒体」は、「粉体」、「粒体」、並びに、「粉体及び粒体の混合物」を含む。粉体は、粒子径が1mm未満の粒子の集合体であってもよい。粉体は、粉体、微粉体及び超微粉体に分類される場合の粉体、微粉体及び超微粉体のいずれをも含み得る。例えば、上記のように分類される粉体は、粒子径が3μm(マイクロメートル)以上1mm(ミリメートル)未満の粒子の集合体であってもよく、微粉体は、粒子径が0.01μm以上10μm以下の粒子の集合体であってもよく、超微粉体は、粒子径が0.0001μm以上0.3μm以下の粒子の集合体であってもよい。粒体は、粒子径が1mm以上の粒子の集合体であってもよい。粒体は、例えば、粒子径が数mm以上の粒子を含んでもよく、粒子径が数十mm以上の粒子を含んでもよい。
【0010】
流量監視システム100は、センサ110と、流量監視装置120と、入力装置130と、出力装置140とを構成要素として含む。流量監視システム100は、上述した構成要素の全てを含む必要はない。流量監視システム100は、プラント1を構成要素として含んでもよい。プラント1は、流量監視システム100の監視対象である。
【0011】
プラント1は、粉粒体が流れる配管を含むものであればよい。プラント1の例は、産業プラント、化学プラント及び環境プラントを含み得る。産業プラントの例は、食品工場、製薬工場、製鉄工場、セメント工場及び発電所等を含み得る。化学プラントの例は、化学工場、石油化学工場、石油精錬工場及びガス精錬工場等を含み得る。環境プラントの例は、廃棄物処理場及び下水処理場等を含み得る。
【0012】
プラント1が廃棄物処理場であると例示して、本実施の形態を説明する。プラント1は、焼却炉11と、ボイラー12と、集塵装置13と、窒素酸化物除去装置14と、煙突15と、発電装置16と、薬剤タンク17とを含む。ボイラー12は、焼却炉11に接続され、例えば、焼却炉11と一体である。集塵装置13は、配管20の一部である配管20aを介してボイラー12と接続される。集塵装置13は、配管20の一部である配管20bを介して窒素酸化物除去装置14と接続される。窒素酸化物除去装置14は、配管20の一部である配管20cを介して煙突15と接続される。発電装置16は、配管20の一部である配管20dを介してボイラー12と接続される。薬剤タンク17は、配管20の一部である配管20eを介して配管20aと接続される。
【0013】
プラント1は、上記の構成要素のうちの1つ以上を含まなくてもよく、上記の構成要素の他に、排ガス中の酸性ガス及び重金属類等を除去する排ガス洗浄装置、燃料又は廃棄物を貯留する貯留槽、並びに、貯留槽内の燃料又は廃棄物を焼却炉11に移送するクレーン等の移送装置をさらに含んでもよい。
【0014】
焼却炉11は、バイオマスを含む燃料又は廃棄物を受け入れて燃焼する。焼却炉11で発生する燃焼ガスである排ガスは、ボイラー12に送られる。ボイラー12では、ボイラー12内を流れる水が排ガスの熱により蒸発させられる。蒸気は、発電装置16に送られ、発電装置16内のタービン16aを回転する。これにより、発電装置16は電力を生成する。ボイラー12の排ガスは、集塵装置13に送られる。集塵装置13は、排ガス中に含まれるばいじんを排ガスから除去する。集塵装置13として、ろ過式集塵器が用いられてもよい。集塵後の排ガスは、窒素酸化物除去装置14に送られ、窒素酸化物除去装置14は、排ガスにアンモニアガス又はアンモニア水を与えることで、排ガスから窒素酸化物(NOx)を除去する。窒素酸化物除去装置14での処理後の排ガスは、煙突15に送られ、煙突15から大気中に排出される。
【0015】
薬剤タンク17は、消石灰貯留槽17aと、活性炭貯留槽17bと、供給装置17c及び17dとを含む。消石灰貯留槽17aは、消石灰の粉粒体を貯留する。活性炭貯留槽17bは、活性炭の粉粒体を貯留する。第1供給装置17cは、消石灰の粉粒体を消石灰貯留槽17aから配管20eに供給する。消石灰の粉粒体は、第1供給装置17cの作用によって、配管20eを通って配管20a内に供給される。第2供給装置17dは、活性炭の粉粒体を活性炭貯留槽17bから配管20eに供給する。活性炭の粉粒体は、第2供給装置17dの作用によって、配管20eを通って配管20a内に供給される。薬剤タンク17は、消石灰貯留槽17a及び活性炭貯留槽17bの一方のみを含んでもよく、両方を含んでもよい。
【0016】
供給装置17c及び17dの構造は、粉粒体を配管20eを通って配管20a内に供給できる構造であれば特に限定されない。例えば、供給装置17c及び17dは、ブロアー又はエジェクタのような空気などのガスを噴射する構造を含み、ガスと共に粉粒体を噴射する機能を有してもよい。供給装置17c及び17dは、ポンプ又はピストンのような圧送構造を含み、粉粒体を圧送する機能を有してもよい。
【0017】
消石灰(Ca(OH))は、排ガス中に含まれる塩化水素(HCl)と反応し、塩化カルシウム(CaCl)及び水を生成する。消石灰(Ca(OH))は、排ガス中に含まれる硫黄酸化物(SO)と反応し、亜硫酸カルシウム(CaSO3)等及び水を生成する。塩化水素及び硫黄酸化物はそれぞれ、塩化カルシウム及び亜硫酸カルシウム等として、排ガスから除去され、塩化カルシウム及び亜硫酸カルシウム等は、ばいじんとして集塵装置13によって捕集される。
【0018】
活性炭は、排ガス中に含まれるダイオキシン類を吸着することで、排ガスからダイオキシン類を除去する。吸着後の活性炭は、ばいじんとして集塵装置13によって捕集される。
【0019】
センサ110は、配管20eに取り付けられる。センサ110は、流量監視装置120と、有線通信、無線通信、又は、無線通信及び有線通信の組み合わせを介して接続される。いかなる有線通信及び無線通信が用いられてもよい。センサ110は、配管20e及びその周囲に生じる波動を検出する。波動の例は、振動及び音等を含み得る。限定されないが、本実施の形態では、センサ110は、配管20eで発生する振動を検出する。センサ110によって検出される振動の例は、配管20e内を流れる粉粒体が配管20eに生じる振動、粉粒体が配管20eに生じる音による振動、配管20eに作用する外乱が配管20eに生じる振動、配管20eの外部の音による振動等を含み得る。振動は、音を含み得る。本実施の形態では、センサ110は、振動センサであるが、配管20e及びその周囲に生じる音を検出するマイクロフォン等のセンサであってもよい。
【0020】
図2は、実施の形態に係るセンサ110の構成の一例を示す断面側面図である。図2に示すように、センサ110は、配管20eの壁20ebの外面である外壁面20eaと交差する方向の1軸方向D1及びD2の振動を検出する構造を有する。センサ110は、互いに交差する2軸方向の振動を検出する構造を有してもよく、互いに交差する3軸方向の振動を検出する構造を有してもよい。本実施の形態では、1軸方向の振動を検出するセンサ110を用いることによって、センサ110の検出結果の処理量を低減できる。
【0021】
センサ110は、支持体111と、振動子112と、ガイド113と、付勢部材114と、検出コイル115と、検出回路116とを含む。支持体111は、センサ110の他の構成要素を支持し、配管20eに取り付けられる。ガイド113は、円筒状の形状を有し、支持体111によって支持される。振動子112は、円柱状の形状を有し、ガイド113の円筒の中に配置される。振動子112は、配管20eの外壁面20eaに接近する方向D1及び離れる方向D2にスライド可能にガイド113によって支持される。限定されないが、本実施の形態では、方向D1及びD2は、外壁面20eaに垂直な方向である。振動子112を形成する材料は、磁性材料である。
【0022】
付勢部材114は、振動子112を方向D1へ付勢する。付勢部材114は、振動子112を弾性力により付勢する。例えば、付勢部材114は、バネ又はベローズの構造を含み得る。振動子112は、付勢部材114によって方向D1へ弾性的に付勢されつつ、振動子112の先端を外壁面20eaに接触させる。
【0023】
検出コイル115は、振動子112の円筒状の外周面の周囲を囲むように配置される。検出コイル115は、検出回路116と接続される。振動子112が方向D1及びD2にスライド移動すると、検出コイル115は誘導起電力を発生し、検出回路116は誘導起電力を検出する。検出回路116は、誘導起電力に基づき、検出コイル115に対する振動子112の位置つまり位相を検出する。検出回路116は、検出結果を示す信号を流量監視装置120に出力する。例えば、検出回路116は、所定のサンプリング周期毎に、振動子112の位相を検出し、所定のサンプリング周期毎の位相を信号強度として示す検出信号を、流量監視装置120に出力してもよい。上述のようなセンサ110は、加速度センサの1つのであるピックアップセンサの構造を有する。
【0024】
配管20e内を流れる粉粒体が配管20eに振動を与えると、振動子112が方向D1及びD2に進退移動するように振動する。振動子112の変化する位相が検出回路116によって検出される。検出回路116は、位相及び検出タイミングを示す検出信号を流量監視装置120に出力する。このような検出信号は、振動子112の振動、つまり、配管20eに発生する振動を表すことができる。
【0025】
本実施の形態では、配管20eの壁20ebを通る振動の伝播を抑制するために、壁20ebに可撓性を有する部材が使用される。これにより、振動子112が外壁面20eaに接触するポイントから離れた位置で発生する振動が、壁20eb内を伝播して振動子112を振動させることが抑えられる。振動子112の振動は、配管20e内の粉粒体の流動状態をより高い精度で示すことができる。このような配管20eとして、樹脂製の配管が用いられる。さらに、壁20ebでの振動の減衰を抑えるために、硬質樹脂製の配管20eが用いられる。配管20eとして、可撓性を有さない金属製の配管又は軟質樹脂製の配管が用いられてもよい。
【0026】
図1に戻り、入力装置130は、いかなる場所に配置されてもよい。入力装置130は、流量監視装置120と有線通信、無線通信、又は、無線通信及び有線通信の組み合わせを介して接続される。いかなる有線通信及び無線通信が用いられてもよい。入力装置130は、流量監視装置120に対して指令、情報及びデータ等を送受信することができる。例えば、入力装置130は、ユーザによる入力を受け付け、入力内容に対応する指令、情報及びデータ等を流量監視装置120に送信する。入力装置130は、ユーザの操作を介して入力が与えられる装置として、ボタン、レバー、ダイヤル、ジョイスティック、マウス、キー、タッチパネル、マイクロフォン及びモーションキャプチャ等のうちの1つ以上を含んでもよい。入力装置130は、端末装置であってもよい。端末装置の例は、スマートフォン及びタブレットなどのスマートデバイス、個人情報端末、その他の端末装置、これらを利用する装置、並びに、これらを改良した装置等であってもよい。
【0027】
出力装置140は、いかなる場所に配置されてもよい。出力装置140は、流量監視装置120と有線通信、無線通信、又は、無線通信及び有線通信の組み合わせを介して接続される。いかなる有線通信及び無線通信が用いられてもよい。出力装置140は、流量監視装置120に対して指令、情報及びデータ等を送受信することができる。例えば、出力装置140は、流量監視装置120から受信する情報及びデータ等を、視覚的、聴覚的、又は、これらの両方で出力することができる。出力装置140は、ディスプレイ、プロジェクタ、発光ランプ、インジケータ及びスピーカ等のうちの1つ以上を含んでもよい。出力装置140は、ディスプレイ及びプロジェクタの1つ以上を介して画像を出力し、スピーカを介して音声を出力してもよい。ディスプレイの例は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)及び無機ELを含み得る。
【0028】
流量監視装置120は、センサ110の検出結果を示す信号又はデータをセンサ110から受信し、当該信号又はデータを処理した結果を用いて、検出結果が示し得る粉粒体の流量の状態を決定する。流量監視装置120は、決定結果を含む情報及びデータ等を、出力装置140及び外部機器等のうちの1つ以上に出力してもよい。外部機器は、流量監視システム100の外部の機器であってもよい。
【0029】
本実施の形態では、流量監視装置120の例は、電子回路基板、電子制御ユニット、マイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、スマートフォン及びタブレットなどのスマートデバイス、並びに、その他の電子機器等を含み得る。
【0030】
流量監視装置120は、回路又は処理回路を含み得る。回路は、処理回路を含んでもよい。処理回路又は回路は、プロセッサP及び記憶装置M等を含む。本実施の形態では、流量監視装置120は、処理回路を含み、プロセッサP及び記憶装置Mを含む。処理回路又は回路は、他の装置との指令、情報及びデータ等の送受信を行う。処理回路又は回路は、種々の装置からの信号の入力及び制御対象への制御信号の出力を行う。
【0031】
記憶装置Mは、メモリ、ストレージ、又は、メモリ及びストレージの両方を含んでもよい。メモリの例は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の半導体メモリ及びROM(Read-Only Memory)等の不揮発性の半導体メモリを含み得る。ストレージの例は、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスク及びSSD(Solid State Drive)を含み得る。例えば、記憶装置Mは、処理回路又は回路が実行するプログラム、及び種々のデータ等を記憶する。
【0032】
流量監視装置120が有する複数の機能の少なくとも一部の機能は、プロセッサP及び記憶装置M等の協働により実現されてもよい。プロセッサPと、RAM及びROMを含むメモリとは、コンピュータシステムの構成要素として機能し得る。例えば、コンピュータシステムは、プロセッサPがRAMをワークエリアとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって、上記機能を実現してもよい。
【0033】
流量監視装置120が有する機能の一部又は全部は、コンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。流量監視装置120は、単一の処理回路又は回路による集中制御により処理を実行してもよく、複数の処理回路又は回路の協働による分散制御により処理を実行してもよい。
【0034】
限定されないが、例えば、プロセッサPは、CPU(中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphic s Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及びリコンフィギュラブルプロセッサ等のうちの1つ以上を含み得る。プロセッサPは、IC(Integrated Circuit)チップ及びLSI(Large Scale Integration)などの集積回路等に形成されたハードウェア回路である論理回路又は専用回路によって処理を実現してもよい。流量監視装置120の複数の機能は、個別に1チップ化された集積回路によって実現されてもよい。流量監視装置120の複数の機能は、一部又は全てを含むように1チップ化された集積回路によって実現されてもよい。
【0035】
流量監視装置120は、単体モードと混合モードとで動作することができる。流量監視装置120は、入力装置130から受け取る指令に従って、単体モード又は混合モードで動作する。単体モードは、消石灰貯留槽17a及び活性炭貯留槽17bのうちの1つから消石灰又は活性炭の粉粒体が配管20eに供給されるモードである。単体モードでは、流量監視装置120は、配管20e内を流れる1種類の粉粒体の流量を監視する。混合モードは、消石灰貯留槽17a及び活性炭貯留槽17bの両方から消石灰及び活性炭の粉粒体が配管20eに供給されるモードである。混合モードでは、流量監視装置120は、配管20e内を流れる2種類の粉粒体の流量を監視する。流量監視装置120は、監視結果を出力装置140に出力し、出力装置140に監視結果をユーザに提示させる。
【0036】
流量監視装置120は、入力装置130への入力を介して、又は、流量監視装置120と接続される外部機器から、処理に使用する閾値の情報を受け取り、記憶装置Mに記憶する。閾値は、配管20e内を流れる粉粒体の種類、粒径、粒度分布及び流量等のうちの1つ以上に応じて設定され得る。
【0037】
図3及び図4を参照しつつ、単体モードでの流量監視装置120の動作を説明する。図3及び図4は、実施の形態に係る流量監視装置120の単体モードでの動作の一例を示すフローチャートである。以下において、流量監視装置120は、消石灰の粉粒体が消石灰貯留槽17aから配管20eに所定範囲内の供給量で供給されている状態を監視するものとして説明される。粉粒体の供給量は、単位時間当たりの供給量であり、配管20eにおける粉粒体の流量に対応する。
【0038】
ステップS101において、流量監視装置120は、センサ110から検出信号を継続的に受信する。検出信号は、所定のサンプリング周期毎の振動子112の位相を、信号強度として示す。振動子112の位相は、振動子112の振動の振幅に対応する。流量監視装置120は、振動子112の位相と検出信号の検出時刻又は検出順序とを対応付けて含む、検出信号の情報を、記憶装置Mに記憶する。
【0039】
次いで、ステップS102において、流量監視装置120は、検出信号を処理すべき処理タイミングであるか否かを判定する。処理タイミングである場合(ステップS102でYes)、流量監視装置120はステップS103に進む。処理タイミングでない場合(ステップS102でNo)、流量監視装置120はステップS101に戻る。
【0040】
処理タイミングは、任意のタイミングであってもよい。例えば、処理タイミングは、入力装置130に入力される指令に従ったタイミングであってもよい。処理タイミングは、予め設定されたタイミングであってもよい。例えば、処理タイミングは、所定の周期毎のタイミングであってもよい。限定されないが、本実施の形態では、処理タイミングは、所定の周期毎のタイミングであり、所定の周期は1秒間である。
【0041】
次いで、ステップS103において、流量監視装置120は、処理タイミングTaから所定時間だけ遡ったタイミングTbと処理タイミングTaとの間の処理対象期間Tc(Tc=Ta-Tb)に含まれる検出信号の情報を記憶装置Mから読み出し、取得する。処理対象期間Tcは、時間軸に沿って並べられたN個のフレームFを含む期間である。フレームFは、予め設定された時間期間を区画するフレームである。限定されないが、本実施の形態では、処理対象期間Tcは1秒間であり、フレームFの時間期間は100ms(ミリ秒)である。処理対象期間Tcは、時間軸に沿って隣り合うフレームF同士が重複期間Tdだけ部分的にオーバーラップするように並べられた、N個のフレームFを含む期間であってもよい。限定されないが、本実施の形態では、重複期間Tdは、フレームFの時間期間の10%の割合の期間、例えば、10msの期間である。
【0042】
次いで、ステップS104において、流量監視装置120は、処理対象期間Tcに対してN個のフレームFを順次設定する。N個のフレームFは、隣り合うフレームF同士が重複期間Tdだけ部分的にオーバーラップするように設定される。例えば、N個のフレームFは、処理タイミングTaから遡る順序で設定されてもよい。本実施の形態では、N=11であり、11個の100msのフレームFが設定される。例えば、図5は、処理対象期間Tcの検出信号に対してN個のフレームFを設定する例を示す。横軸は、経過時間Tを示し、縦軸は、検出信号の強度Pである振動子112の位相を示す。
【0043】
次いで、ステップS105において、流量監視装置120は、N個のフレームFそれぞれに含まれる検出信号の情報に対して、窓関数を用いた処理を行う。窓関数を用いる処理は、隣り合うフレームFの検出信号の波形が、フレームFの両端の始点及び終点において連続性を有するようにする処理である。これにより、後に行われる周波数解析による解析結果の精度が向上する。限定されないが、本実施の形態では、窓関数として、フレームFの始点及び終点における検出信号の振幅をゼロにするハニング窓が用いられる。窓関数として、フレームFの始点及び終点における検出信号の振幅をゼロにしないハミング窓が用いられてもよい。
【0044】
窓関数処理後の各検出信号の情報は、検出信号の検出タイミングでの信号の強度を含む。信号の強度は、振動子112の位相に対応する。流量監視装置120は、窓関数処理の前に位相を他のパラメータに変換してもよい。例えば、流量監視装置120は、振動子112の位相を振動子112の振幅に変換してもよい。
【0045】
次いで、ステップS106において、流量監視装置120は、N個のフレームFそれぞれに含まれる窓関数処理後の検出信号の情報に対して、周波数解析処理を行う。フレームFの周波数解析処理は、当該フレームFに含まれる全ての検出信号についての周波数成分の分布を示すことができる。限定されないが、本実施の形態では、周波数解析手法として、フーリエ変換をベースとするスペクトル解析が用いられる。フーリエ変換の例は、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)、及び高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を含み得る。本実施の形態では、流量監視装置120は、離散フーリエ変換を計算機上で高速に計算するアルゴリズムである高速フーリエ変換を用いる。
【0046】
周波数解析処理では、検出信号全体を含む周波数帯域が、一定のサンプリング周波数fs毎でサンプル数Mに分割される。周波数解析処理後の各フレームFには、サンプリング周波数fs毎の周波数帯域のそれぞれについて、当該周波数帯域に含まれる信号の量が、パワーとして含まれる。例えば、図6は、1つのフレームFの周波数解析処理結果の一例を示す図である。横軸は、周波数Fを示し、縦軸は、パワーPを示す。図6は、フレームFのパワースペクトルを示す。
【0047】
次いで、ステップS107において、流量監視装置120は、隣り合うフレームF間でのパワースペクトルの変動量を算出する。流量監視装置120は、隣り合う2つのフレームFの組み合わせの全てに対して、パワースペクトルの変動量を算出する。
【0048】
流量監視装置120は、隣り合う2つのフレームFの組について、2つのフレームF間で同じ周波数ビンにおけるパワーの差異を算出する。流量監視装置120は、全ての周波数ビンについてパワーの差異を算出し、全ての周波数ビンの差異の総和を、パワースペクトルの変動量として算出する。周波数ビンは、サンプリング周波数fs毎の周波数帯域に相当する。周波数ビンの総数は、サンプル数Mと同じである。
【0049】
例えば、流量監視装置120は、以下の式1に示す関係式を用いて、第hフレームFと第(h-1)フレームFh-1との間でのパワースペクトルの変動量Flux(h)を算出する。第hフレームFは、処理対象期間Tcの始点から終点に向かう順序で第h番目のフレームである。P[k]は、第hフレームFにおける第k周波数ビンにおけるパワーである。第k周波数ビンは、周波数ゼロを起点とする順序で第k番目の周波数ビンである。Mは、周波数ビンの総数である。
【0050】
【数1】
【0051】
図7は、式1の関係式で示される2つのフレーム間のパワースペクトルの変動量の算出方法のイメージ図である。図7に示すように、パワースペクトルの変動量として、フレームFに含まれる全周波数帯域を対象として、隣り合うフレームF間でのパワーの差異の総和が算出される。式1では、(P[k]-Ph-1[k])の2乗の総和が算出されるが、これに限定されない。例えば、(P[k]-Ph-1[k])の絶対値の総和が算出されてもよい。(P[k]-Ph-1[k])について、h=1の場合、(P[k]-Ph-1[k])を算出しない又はゼロとしてもよい。又は、P[k]の対象として、処理対象期間Tcの直前に処理された処理対象期間Tcp1における第11番目のフレームFのパワースペクトルが用いられてもよい。
【0052】
次いで、ステップS108において、流量監視装置120は、パワースペクトルの変動量の特徴量を算出する。流量監視装置120は、隣り合う2つのフレームFの全ての組み合わせのパワースペクトルの変動量に対して、統計量を算出する。統計量の例は、パワースペクトルの変動量の平均値、パワースペクトルの変動量の標準偏差、パワースペクトルの変動量の中央値、パワースペクトルの変動量の最頻値、及び、パワースペクトルの変動量における最大値と最小値との差異である変化幅等を含み得る。限定されないが、本実施の形態では、統計量は、パワースペクトルの変動量の平均値である。平均値の例は、相加平均値、累乗平均値、相乗平均値、調和平均値及び加重平均値等を含み得る。本実施の形態では、平均値として、相加平均値が用いられる。流量監視装置120は、算出した統計量を、処理対象期間Tcの特徴量に決定する。
【0053】
次いで、ステップS109において、流量監視装置120は、処理対象期間Tcの特徴量と第1閾値とを比較する。特徴量が第1閾値よりも大きい場合(ステップS109でYes)、流量監視装置120はステップS110に進む。特徴量が第1閾値以下の場合(ステップS109でNo)、流量監視装置120はステップS112に進む。
【0054】
ステップS110において、流量監視装置120は、処理対象期間Tcよりも前に処理された過去の処理対象期間Tcpに対して決定された特徴量を、記憶装置Mから読み出す。流量監視装置120は、Pa個の処理対象期間Tcpの特徴量を読み出す。Paは、1以上であり、本実施の形態では、Paは、4である。このため、4つの処理対象期間Tcp1、Tcp2、Tcp3及びTcp4の特徴量が読み出される。処理対象期間Tcp4、Tcp3、Tcp2、Tcp1及びTcは、この順で処理されてきた。
【0055】
次いで、ステップS111において、流量監視装置120は、現在及び過去の処理対象期間Tcp4、Tcp3、Tcp2、Tcp1及びTcの特徴量の平均値を算出し、当該平均値を処理対象期間Tcの特徴量に決定する。本実施の形態では、平均値として、相加平均値が用いられる。これにより、特徴量の周期的ピークが低減される。周期的ピークは、流動する粉粒体が発生する振動以外の外乱を要因とし得る。例えば、外部からの音による振動も、周期的ピークの要因となり得る。
【0056】
ステップS112において、流量監視装置120は、過去の処理対象期間Tcpに対して決定された特徴量を、記憶装置Mから読み出す。流量監視装置120は、Pb個の処理対象期間Tcpの特徴量を読み出す。PbはPaよりも大きい。限定されないが、本実施の形態では、Pbは、Paの2倍以上であり、14である。流量監視装置120は、処理対象期間Tcp1からTcp14の特徴量を読み出す。処理対象期間Tcp14からTcp1及びTcは、この順で処理されてきた。
【0057】
次いで、ステップS113において、流量監視装置120は、現在及び過去の処理対象期間Tcp14からTcp1及びTcの特徴量に対して、次数Aの移動平均値MAを1つ以上算出する。限定されないが、本実施の形態では、次数Aは、5である。流量監視装置120は、処理対象期間TcからTcp14に向かう順序で、10個の移動平均値MA1からMA10を算出する。移動平均値MA1は、処理対象期間Tc及びTcp1からTcp4の特徴量の平均値であり、移動平均値MA10は、処理対象期間Tcp10からTcp14の特徴量の平均値である。本実施の形態では、平均値として、相加平均値が用いられる。
【0058】
次いで、ステップS114において、流量監視装置120は、移動平均値MAと第2閾値とを比較する。具体的には、流量監視装置120は、処理対象期間TcからTcp14に向かって順次で算出された所定数Lcの移動平均値MAの全てが第2閾値よりも大きいか否かを決定する。所定数Lcの移動平均値MAのうちの1つは、処理対象期間Tcの特徴量を含む。本実施の形態では、Lcは、10である。流量監視装置120は、移動平均値MA1からMA10のいずれもが第2閾値よりも大きい場合(ステップS114でYes)、流量監視装置120はステップS115に進む。この場合、処理タイミングTaから過去10秒間にわたる移動平均値が、第2閾値よりも大きいことになる。流量監視装置120は、移動平均値MA1からMA10のいずれかが第2閾値以下の場合(ステップS114でNo)、ステップS116に進む。
【0059】
ステップS115において、流量監視装置120は、粉粒体の供給量が所定範囲内にある、つまり、粉粒体の供給量が正常であることを決定する。流量監視装置120は、ステップS101へ戻り、ステップS101からS114の処理を、処理タイミング毎に繰り返す。
【0060】
ステップS116において、流量監視装置120は、粉粒体の供給量が所定範囲内にない、つまり、粉粒体の供給量が正常でないことを決定する。
【0061】
次いで、ステップS117において、流量監視装置120は、粉粒体の供給量が正常でないことを示す警報を、出力装置140に出力させる。
【0062】
上述のようなステップS101からS117により、流量監視装置120は、処理タイミング、例えば、処理対象期間Tc毎のタイミングに、粉粒体の供給量が正常であるか否かを決定する処理を行う。流量監視装置120は、上記決定に、全ての周波数帯域における検出信号の周波数特性を用いる。これにより、粉粒体の供給量の変動についての検出精度が向上する。さらに、流量監視装置120は、上記決定に、処理対象期間Tcにおける周波数特性の変動量の特徴量を用いる。これにより、粉粒体の供給量の可否の検出精度が向上する。さらに、流量監視装置120は、上記決定に、特徴量の移動平均を用いる。これにより、外乱による特徴量の変動が平滑化され、粉粒体の供給量の可否の検出精度が向上する。
【0063】
第1閾値及び第2閾値は、粉粒体の種類、粒径、粒度分布及び供給流量のうちの1つ以上に応じて、予め設定され記憶装置Mに記憶される。例えば、第1閾値及び第2閾値は、プラント1の試験運転の際のセンサ110の検出信号のデータを用いて設定されてもよく、プラント1の操業中におけるセンサ110の検出信号の蓄積データを用いて設定されてもよく、これらの両方のデータを用いて設定されてもよい。試験運転では、プラント1の環境を様々な環境に変えることができ、それにより、多様な第1閾値及び第2閾値の設定が可能である。
【0064】
図8及び図9を参照しつつ、混合モードでの流量監視装置120の動作を説明する。図8及び図9は、実施の形態に係る流量監視装置120の混合モードでの動作の一例を示すフローチャートである。以下では、流量監視装置120は、消石灰の粉粒体が消石灰貯留槽17aから配管20eに所定範囲内の第1供給量で供給され、活性炭の粉粒体が活性炭貯留槽17bから配管20eに所定範囲内の第2供給量で供給されている状態を監視するものとして説明される。
【0065】
ステップS201からS206はそれぞれ、単体モードのステップS101からS106と同じである。
【0066】
ステップS207において、流量監視装置120は、N個のフレームFそれぞれのパワースペクトルにおいて、2つのピーク部分を検出する。消石灰の粉粒体と活性炭の粉粒体とは、粒形状、粒径、粒度分布、供給量、密度及び流動特性等のうちの1つ以上に関して、互いに異なる特性を有する。このため、消石灰の粉粒体と活性炭の粉粒体とは、互いに異なる周波数特性を有し、それ故、パワースペクトルにおいて、例えば、図10に示すように、2つのピーク部分である2つの山を形成する。図10は、混合モードにおける1つのフレームの周波数解析処理結果の一例を示す図である。図10に示すように、消石灰の粉粒体及び活性炭の粉粒体の混合体は、2つの周波数帯域においてピーク部分P1及びP2を形成する。
【0067】
消石灰の粉粒体のパワースペクトルが形成するピーク部分の特徴と、活性炭の粉粒体のパワースペクトルが形成するピーク部分の特徴とは、予め設定されて記憶装置Mに記憶されている。ピーク部分の特徴は、ピーク部分の周波数帯域、ピーク部分のパワー等を含み得る。ピーク部分の特徴は、粉粒体の種類、粒径、粒度分布及び供給流量に応じて、設定され得る。例えば、ピーク部分の特徴は、プラント1の試験運転の際のセンサ110の検出データを用いて設定されてもよく、プラント1の操業中におけるセンサ110の検出データの蓄積データを用いて設定されてもよく、これらの両方のデータを用いて設定されてもよい。流量監視装置120は、記憶装置Mに記憶されるピーク部分の特徴を用いて2つのピーク部分を検出する。
【0068】
次いで、ステップS208において、流量監視装置120は、2つのピーク部分に基づき、各フレームFのパワースペクトルを2つに分割する。これにより、消石灰の粉粒体に関する第1パワースペクトルと、活性炭の粉粒体に関する第2パワースペクトルとが形成される。第1パワースペクトルは、2つのピーク部分の一方に対応するピーク部分を含み、第2パワースペクトルは、2つのピーク部分の他方に対応するピーク部分を含む。パワースペクトルの分割方法の例は、独立成分分析(ICA:Independent Component Analysis)及び非負値行列因子分解(NMF:Nonnegative Matrix Factorization)等を含み得る。独立成分分析及び非負値行列因子分解はいずれも、音源に対応して音に関するデータを分離する手法である。
【0069】
ステップS208に続くステップS209からS215において、流量監視装置120は、N個のフレームFの第1パワースペクトルに対してステップS107からS113と同様の処理を行い、N個のフレームFの第2パワースペクトルに対してステップS107からS113と同様の処理を行う。ステップS211では、消石灰に設定された第1閾値と、活性炭に設定された第1閾値とが用いられる。
【0070】
ステップS216において、流量監視装置120は、消石灰に関する所定数Lcの移動平均値と消石灰の第2閾値とを比較し、活性炭に関する所定数Lcの移動平均値と活性炭の第2閾値とを比較する。流量監視装置120は、消石灰に関する所定数Lcの移動平均値のいずれもが消石灰に設定された第2閾値よりも大きく且つ活性炭に関する所定数Lcの移動平均値のいずれもが活性炭に設定された第2閾値よりも大きい場合(ステップS216でYes)、流量監視装置120はステップS217に進む。上記以外の場合(ステップS216でNo)、流量監視装置120はステップS218に進む。
【0071】
ステップS217において、流量監視装置120は、消石灰の粉粒体及び活性炭の粉粒体の両方の供給量が正常であることを決定する。流量監視装置120は、ステップS201へ戻り、ステップS201からS216の処理を、処理タイミング毎に繰り返す。
【0072】
ステップS218において、流量監視装置120は、消石灰の粉粒体及び活性炭の粉粒体の少なくとも一方の供給量が正常でないことを決定する。さらに、例えば、流量監視装置120は、消石灰に関する所定数Lcの移動平均値のいずれかが消石灰の第2閾値以下の場合、消石灰の供給量が正常でないことを決定してもよい。流量監視装置120は、活性炭に関する所定数Lcの移動平均値のいずかが活性炭の第2閾値以下の場合、活性炭の供給量が正常でないことを決定してもよい。
【0073】
次いで、ステップS219において、流量監視装置120は、決定結果を示す警報を、出力装置140に出力させる。
【0074】
上述のようなステップS201からS219により、流量監視装置120は、処理タイミング毎に、消石灰の粉粒体の供給量及び活性炭の粉粒体の供給量が正常であるか否かを決定する。流量監視装置120は、上記決定において、消石灰の粉粒体の周波数特性と活性炭の粉粒体の周波数特性とを個別に決定して用いる。これにより、消石灰の粉粒体及び活性炭の粉粒体それぞれの供給量の可否の検出精度が向上する。
【0075】
[その他の実施の形態]
以上、本開示の例示的な実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されない。すなわち、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0076】
例えば、実施の形態では、流量監視装置120は、単体モードで1つの粉粒体の流量を監視し、混合モードで2つの粉粒体の流量を監視するが、これに限定されない。例えば、流量監視装置120は、混合モードで3つ以上の粉粒体の流量を監視してもよい。この場合、流量監視装置120は、N個のフレームFそれぞれのパワースペクトルにおいて、3つ以上のピーク部分を検出し、検出したピーク部分に基づき、各フレームFのパワースペクトルを3つ以上に分割してもよい。さらに、流量監視装置120は、分割されたパワースペクトルのそれぞれについて、2つの粉粒体の混合モードと同様の処理をしてもよい。
【0077】
本開示の技術の各態様例は、以下のように挙げられる。本開示の第1態様に係る流量監視方法は、粉粒体が流れる配管で第1期間に発生する振動のデータである第1データを取得することと、前記第1データの前記第1期間を、複数の時間区間である複数のフレームにより区分することと、前記複数のフレームそれぞれに対応する前記第1データの対応部分における周波数特性を検出すること、前記複数のフレームでの周波数特性に基づき、前記第1データの第1特徴量を検出することと、前記第1特徴量と第1閾値とを比較することによって、前記粉粒体の流量を監視することとを含む。
【0078】
上記態様によると、第1期間を形成する複数のフレームでの周波数特性を用いて、第1データの第1特徴量が検出される。第1特徴量は、周波数特性に関する特徴として、第1期間の全体にわたる特徴を示すことができる。つまり、第1特徴量は、第1期間の全体にわたる周波数特性が考慮された特徴である。粉粒体の流量の監視は、このような第1特徴量と第1閾値との比較結果を用いるため、監視精度を向上できる。
【0079】
上記第1態様において、本開示の第2態様に係る流量監視方法は、前記対応部分を周波数解析することで前記対応部分の周波数成分を、前記周波数特性として検出することと、隣り合う前記フレーム間における周波数成分の変動量を検出することと、隣り合う前記フレーム間における周波数成分の変動量に基づき、前記第1特徴量を検出することとを含んでもよい。
【0080】
上記態様によると、第1特徴量は、隣り合うフレーム間における周波数成分の変動量を用いて検出される。第1特徴量は、第1期間の全体にわたる周波数特性の変動を示すことができる。このような第1特徴量と第1閾値との比較結果を用いることによって、粉粒体の流量の監視精度が向上する。
【0081】
上記第2態様において、本開示の第3態様に係る流量監視方法では、前記周波数成分の変動量の検出では、前記周波数成分それぞれに対応する複数の周波数帯域の全てについて、隣り合う前記フレーム間で同じ周波数帯域の周波数成分の差異を検出し、前記複数の周波数帯域での前記差異の和を、前記周波数成分の変動量として検出してもよい。
【0082】
上記態様によると、隣り合うフレーム間における周波数成分の変動量は、周波数成分それぞれに対応する複数の周波数帯域の全てについてのフレーム間における変動量を含む。隣り合うフレーム間における周波数成分の変動量は、複数の周波数帯域の全体にわたる変動量を示す。このような変動量に基づく第1特徴量は、複数の周波数帯域の全体にわたる周波数成分を示すことができる。
【0083】
上記の第1態様から第3態様のいずれかにおいて、本開示の第4態様に係る流量監視方法は、前記第1期間よりも前の第2期間で前記配管で発生した振動データである第2データについて過去に検出した第2特徴量を取得することと、前記第1特徴量と前記第2特徴量との平均値と、前記第1閾値とを比較することによって、前記粉粒体の流量を監視することと含んでもよい。
【0084】
上記態様によると、粉粒体の流量の監視に、第1特徴量と過去に検出された第2特徴量との平均値が用いられる。これにより、第1特徴量が平滑化される。第1特徴量が、配管への一時的又は瞬間的な外乱による影響を受けた場合でも、外乱が監視結果に与える影響が低減される。よって、監視精度が向上する。
【0085】
上記の第1態様から第4態様のいずれかにおいて、本開示の第5態様に係る流量監視方法は、前記第1期間よりも前のN個(Nは、2以上の自然数)の第(i+1)期間(i=1,2,・・・,N)でのN個の第(i+1)データについてのN個の第(i+1)特徴量を取得することと、前記第1特徴量とN個の前記第(i+1)特徴量とを用いて移動平均値を算出することと、前記移動平均値と前記第1閾値とを比較することによって、前記粉粒体の流量を監視することとを含んでもよい。
【0086】
上記態様によると、粉粒体の流量の監視に、第1特徴量と過去に検出されたN個の特徴量との移動平均値が用いられる。これにより、第1特徴量がさらに平滑化される。第1特徴量が受ける外乱が監視結果に与える影響がさらに低減される。
【0087】
上記第5態様において、本開示の第6態様に係る流量監視方法は、前記第1特徴量とN個の前記第(i+1)特徴量とを用いて複数の移動平均値を算出することと、前記複数の移動平均値のいずれかが前記第1閾値以下である場合、前記粉粒体の流量が正常ではないと決定することとを含んでもよい。
【0088】
上記態様によると、N個の第(i+1)期間及び第1期間にわたって、移動平均値のいずれもが第1閾値を超える場合に、粉粒体の流量が正常であると決定される。つまり、粉粒体の流量が正常な状態が継続している場合に、粉粒体の流量が正常であると決定される。よって、粉粒体の流量の監視精度が向上する。
【0089】
上記の第1態様から第6態様のいずれかにおいて、本開示の第7態様に係る流量監視方法は、前記第1特徴量が第2閾値を超える場合、前記第1期間よりも前の第2期間で前記配管で発生した振動データである第2データについて過去に検出した第2特徴量を取得することと、前記第1特徴量と前記第2特徴量との平均値を、前記第1特徴量に決定することとを含んでもよい。
【0090】
上記態様によると、第1特徴量と第2特徴量との平均値が、第1特徴量に決定される。これにより、第1特徴量が、第1特徴量よりも前に検出された特徴量に合わせるように、平滑化される。つまり、第2閾値を超えるような特徴量の周期的ピークが低減される。周期的ピークは、流動する粉粒体が発生する振動以外の外乱を要因とし得る。このような外乱が特徴量に与える影響が軽減される。
【0091】
上記の第1態様から第6態様のいずれかにおいて、本開示の第8態様に係る流量監視方法は、前記第1特徴量が第2閾値を超える場合、前記第1期間よりも前のM個(Mは、2以上の自然数)の第(j+1)期間(i=1,2,・・・,N)でのM個の第(j+1)データについてのM個の第(j+1)特徴量を取得することと、前記第1特徴量とM個の前記第(j+1)特徴量との平均値を、前記第1特徴量に決定することとを含んでもよい。
【0092】
上記態様によると、第1特徴量とM個の第(j+1)特徴量との平均値が、第1特徴量に決定される。これにより、第1特徴量が、第1特徴量よりも前に検出された複数の特徴量に合わせるように、平滑化される。特徴量の周期的ピークの効果的な低減が可能である。
【0093】
上記の第1態様から第8態様のいずれかにおいて、本開示の第9態様に係る流量監視方法は、第1粉粒体と第2粉粒体との混合体が流れる配管で発生した振動データを、前記第1データとして取得することと、前記第1データの前記対応部分を周波数解析することで前記対応部分の周波数成分を、前記周波数特性として検出することと、前記対応部分において、前記周波数成分が形成する第1ピーク部分及び第2ピーク部分を検出することと、前記対応部分の周波数成分を、前記第1ピーク部分に対応する部分を含む前記第1粉粒体の第1周波数成分と、前記第2ピーク部分に対応する部分を含む前記第2粉粒体の第2周波数成分とに分割することと、隣り合う前記フレーム間における前記第1周波数成分の変動量を検出することと、隣り合う前記フレーム間における前記第1周波数成分の変動量に基づき、前記第1粉粒体の前記第1特徴量を検出することと、隣り合う前記フレーム間における前記第2周波数成分の変動量を検出することと、隣り合う前記フレーム間における前記第2周波数成分の変動量に基づき、前記第2粉粒体の前記第1特徴量を検出することと、前記第1粉粒体の前記第1特徴量と前記第1粉粒体の前記第1特徴量とを比較し且つ前記第2粉粒体の前記第1特徴量と前記第2粉粒体の前記第1閾値とを比較することによって、前記第1粉粒体及び前記第2粉粒体の流量を監視することとを含んでもよい。
【0094】
上記態様によると、第1データの対応部分の周波数成分が、第1粉粒体の第1周波数成分と、第2粉粒体の第2周波数成分とに分割される。さらに、第1周波数成分及び第2周波数成分それぞれについて、第1特徴量が検出され、第1粉粒体の第1特徴量及び第2粉粒体の第1特徴量がそれぞれの第1閾値と比較される。第1粉粒体の流量及び第2粉粒体の流量それぞれの監視が可能である。
【0095】
上記の第1態様から第9態様のいずれかにおいて、本開示の第10態様に係る流量監視方法は、前記配管に取り付けられ且つ前記配管での振動を検出するセンサから検出信号を受け取ることと、前記検出信号から前記第1期間毎の検出信号を、前記第1データとして切り出すことと、前記粉粒体の流量を監視する処理を前記第1期間毎に繰り返し行うこととを含んでもよい。
【0096】
上記態様によると、センサから検出信号を受け取りつつ、粉粒体の流量を周期的に監視することが可能である。これにより、例えば、粉粒体が配管を通って送られる工程中に、粉粒体の流量に異常が発生した場合、センサの検出信号を用いた周期的な監視によって異常が即座に検出され得る。
【0097】
本開示の第11態様に係る流量監視装置は、上記の第1態様から第10態様のいずれかに係る流量監視方法を実行することにより前記粉粒体の流量を監視する処理回路を含む。上記態様によると、本開示の各態様に係る流量監視方法と同様の効果が得られる。
【0098】
上記第11態様において、本開示の第12態様に係る流量監視装置の前記処理回路は、前記第1特徴量と前記第1閾値とを比較した結果、前記配管内の前記粉粒体の流量が正常でないことを示す場合に、警報の発令の指令を出力してもよい。上記態様によると、流量監視装置は、粉粒体の流量が正常でないことを報知することができる。
【0099】
上記の第11態様又は第12態様において、本開示の第13態様に係る流量監視装置は、前記配管に取り付けられ且つ前記配管での振動を検出するセンサをさらに備え、前記処理回路は、前記センサの検出信号から前記第1期間の検出信号を、前記第1データとして切り出してもよい。上記態様によると、流量監視装置は、配管の振動を計測し、計測結果に基づき流量を監視することができる。
【0100】
本開示の第14態様に係る流量監視システムは、上記の第11態様又は第12態様に係る流量監視装置と、プラントと、前記プラントの配管に取り付けられ且つ前記配管での振動を検出するセンサとを備え、前記処理回路は、前記センサの検出信号から前記第1期間の検出信号を、前記第1データとして切り出す。上記態様によると、本開示の各態様に係る流量監視装置と同様の効果が得られる。流量監視システムは、配管の振動を計測し、計測結果に基づき流量を監視することができる。
【0101】
本開示は、本開示の各態様に係る流量監視方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。このようなコンピュータプログラムは、本開示の各態様に係る流量監視方法と同様の効果を奏することができる。当該コンピュータプログラムは、例えば、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムであってもよく、記録媒体のドライブ装置を用いて当該記録媒体から読み出されコンピュータにインストールされるように構成されてもよい。当該コンピュータプログラムは、例えば、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるプログラムであってもよく、コンピュータにダウンロードされインストールされるように構成されてもよい。
【0102】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成又はプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC、従来の回路、及び/又は、それらの組み合わせ、を含む回路又は処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路又は回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、又は手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、又は、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラム又は構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、又はユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェア及び/又はプロセッサの構成に使用される。
【0103】
本明細書で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0104】
本開示は、その本質的な特徴の範囲から逸脱することなく、様々なかたちで実施され得るように、本開示の範囲は、明細書の記載よりも添付の請求項によって定義されるため、例示的な実施の形態及び変形例は、例示的なものであって限定的なものではない。請求項及びその範囲内にあるすべての変更、又は、請求項及びその範囲の均等物は、請求項によって包含されることが意図されている。
【符号の説明】
【0105】
1 プラント
100 流量監視システム
110 センサ
120 流量監視装置
20e 配管
図1
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