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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025032028
(43)【公開日】2025-03-07
(54)【発明の名称】文書作成プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/279 20200101AFI20250228BHJP
【FI】
G06F40/279
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024232945
(22)【出願日】2024-12-27
(62)【分割の表示】P 2022504866の分割
【原出願日】2020-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】717005132
【氏名又は名称】株式会社LegalOn Technologies
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川戸 崇志
(72)【発明者】
【氏名】舟木 類佳
(57)【要約】
【課題】文書中に不足する情報が存在する場合に、不足する情報を挿入すべき情報を提示する文書作成プログラム及び情報処理装置を提供する。
【解決手段】文書作成サーバ装置1は、文書情報111を条文単位で分割する契約書分割手段100と、文書情報111の内容に基づき用意された雛形条文情報112に基づいて文書情報111に不足している条文を特定する契約書検査手段101と、不足している条文と、文書情報111に含まれる条文との関係において挿入する基準となる条文を定めた第1の挿入先情報113を参照して、挿入する基準となる条文を特定し、当該基準となる条文と前記不足している条文との関係に応じて相対的な挿入位置を定めた第2の挿入先情報113を参照して、相対的な挿入位置を決定する挿入先決定手段102と、決定した基準となる条文及び相対的な挿入位置を表示する表示制御手段104とを有する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
文書情報を予め定めた単位で分割する分割手段と、
前記文書情報の前記単位に、当該文書情報の内容に基づき選択された雛形に基づいて前記文書情報に不足している単位を特定する検査手段と、
前記不足している単位と、前記文書情報に含まれる単位との関係において挿入する基準となる単位を定めた第1の挿入先情報を参照して、前記不足している単位を挿入する基準となる単位を特定し、当該基準となる単位と前記不足している単位との関係に応じて相対的な挿入位置を定めた第2の挿入先情報を参照して、前記不足している単位を挿入する相対的な挿入位置を決定する挿入先決定手段と、
前記挿入先決定手段が決定した前記基準となる単位及び前記相対的な挿入位置を表示する表示制御手段として機能させるための文書作成プログラム。
【請求項2】
前記第1の挿入先情報は、前記文書情報に含まれる単位との関係において挿入する基準となる単位の挿入の順位を定めた情報であり、
前記挿入先決定手段は、当該第1の挿入先情報を参照し、当該順位に応じて前記不足している単位を挿入する基準となる単位を特定する請求項1に記載の文書作成プログラム。
【請求項3】
前記挿入先決定手段は、前記第1の挿入先情報を参照し、前記挿入の順位に基づいて前記挿入する基準となる単位を複数特定し、当該複数の挿入する基準となる単位のそれぞれによって定まる相対的な挿入位置を決定し、
前記表示制御手段は、当該複数の基準となる単位及び当該複数の相対的な挿入位置の組み合わせを表示する請求項2に記載の文書作成プログラム。
【請求項4】
前記表示制御手段が表示した前記基準となる単位及び前記相対的な挿入位置の選択を受け付け、選択された当該基準となる単位及び当該相対的な挿入位置に前記不足している単位を挿入する挿入手段としてさらに機能させる請求項1~3のいずれか1項に記載の文書作成プログラム。
【請求項5】
文書情報を予め定めた単位で分割する分割手段と、
前記文書情報の前記単位に、当該文書情報の内容に基づき選択された雛形に基づいて前記文書情報に不足している単位を特定する検査手段と、
前記不足している単位と、前記文書情報に含まれる単位との関係において挿入する基準となる単位を定めた第1の挿入先情報を参照して、前記不足している単位を挿入する基準となる単位を特定し、当該基準となる単位と前記不足している単位との関係に応じて相対的な挿入位置を定めた第2の挿入先情報を参照して、前記不足している単位を挿入する相対的な挿入位置を決定する挿入先決定手段と、
前記挿入先決定手段が決定した前記基準となる単位及び前記相対的な挿入位置を表示する表示制御手段とを有する情報処理装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書作成プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、契約書の記述内容を検査する情報処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された情報処理装置は、複数の条項それぞれのモデルデータを記憶し、検査対象として受け付けた契約書から条項に相当する箇所を判別して、条項毎に対応するモデルデータと契約書の条項毎の文章との差分に基づいて注意箇所を抽出して、注意箇所を出力するとともに、契約書に含まれていない条項を特定して、特定した条項の雛形を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019‐212115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した特許文献1に開示された情報処理装置によると、契約書に含まれていない条項を特定して、特定した条項の雛形を出力するものの、特定した条項を検査対象である契約書のいずれの箇所に挿入すべきか示していない、という問題がある。
【0006】
本発明の目的は、文書中に不足する情報が存在する場合に、不足する情報を挿入すべき情報を提示する文書作成プログラム及び情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の文書作成プログラム及び情報処理装置を提供する。
【0008】
[1]コンピュータを、
文書情報を予め定めた単位で分割する分割手段と、
前記文書情報の前記単位に、当該文書情報の内容に基づき選択された雛形に基づいて前記文書情報に不足している単位を特定する検査手段と、
前記不足している単位と、前記文書情報に含まれる単位との関係において挿入する基準となる単位を定めた第1の挿入先情報を参照して、前記不足している単位を挿入する基準となる単位を特定し、当該基準となる単位と前記不足している単位との関係に応じて相対的な挿入位置を定めた第2の挿入先情報を参照して、前記不足している単位を挿入する相対的な挿入位置を決定する挿入先決定手段と、
前記挿入先決定手段が決定した前記基準となる単位及び前記相対的な挿入位置を表示する表示制御手段として機能させるための文書作成プログラム。
[2]前記第1の挿入先情報は、前記文書情報に含まれる単位との関係において挿入する基準となる単位の挿入の順位を定めた情報であり、
前記挿入先決定手段は、当該第1の挿入先情報を参照し、当該順位に応じて前記不足している単位を挿入する基準となる単位を特定する前記[1]に記載の文書作成プログラム。
[3]前記挿入先決定手段は、前記第1の挿入先情報を参照し、前記挿入の順位に基づいて前記挿入する基準となる単位を複数特定し、当該複数の挿入する基準となる単位のそれぞれによって定まる相対的な挿入位置を決定し、
前記表示制御手段は、当該複数の基準となる単位及び当該複数の相対的な挿入位置の組み合わせを表示する前記[2]に記載の文書作成プログラム。
[4]前記表示制御手段が表示した前記基準となる単位及び前記相対的な挿入位置の選択を受け付け、選択された当該基準となる単位及び当該相対的な挿入位置に前記不足している単位を挿入する挿入手段としてさらに機能させる前記[1]~[3]のいずれかに記載の文書作成プログラム。
[5]文書情報を予め定めた単位で分割する分割手段と、
前記文書情報の前記単位に、当該文書情報の内容に基づき選択された雛形に基づいて前記文書情報に不足している単位を特定する検査手段と、
前記不足している単位と、前記文書情報に含まれる単位との関係において挿入する基準となる単位を定めた第1の挿入先情報を参照して、前記不足している単位を挿入する基準となる単位を特定し、当該基準となる単位と前記不足している単位との関係に応じて相対的な挿入位置を定めた第2の挿入先情報を参照して、前記不足している単位を挿入する相対的な挿入位置を決定する挿入先決定手段と、
前記挿入先決定手段が決定した前記基準となる単位及び前記相対的な挿入位置を表示する表示制御手段とを有する情報処理装置。
【発明の効果】
【0009】
請求項1、5に係る発明によれば、文書中に不足する情報が存在する場合に、不足する情報を挿入すべき情報を提示することができる。
請求項2に係る発明によれば、第1の挿入先情報を参照し、当該順位に応じて不足している単位を挿入する基準となる単位を特定することができる。
請求項3に係る発明によれば、第1の挿入先情報を参照し、挿入の順位に基づいて前記挿入する基準となる単位を複数特定し、当該複数の挿入する基準となる単位のそれぞれによって定まる相対的な挿入位置を決定し、当該複数の基準となる単位及び当該複数の相対的な挿入位置の組み合わせを表示することができる。
請求項4に係る発明によれば、表示した基準となる単位及び相対的な挿入位置の選択を受け付け、選択された当該基準となる単位及び当該相対的な挿入位置に不足している単位を挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る文書作成システムの構成の一例を示す概略図である。
図2図2は、実施の形態に係る文書作成サーバ装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、文書情報の構成例を示す概略図である。
図4図4は、文書情報の検査動作の一例を説明するための概略図である。
図5図5は、検査動作の検査結果としての欠落条項を示す概略図である。
図6図6は、挿入先情報の構成の一例を示す概略図である。
図7図7は、挿入先情報の構成の一例を示す概略図である。
図8図8は、挿入動作を説明するための概略図である。
図9図9は、文書作成サーバ装置の検査動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態]
(文書作成システムの構成)
図1は、実施の形態に係る文書作成システムの構成の一例を示す概略図である。
【0012】
この文書作成システム5は、文書作成サーバ装置1と、端末2と、端末3とをネットワーク4によって互いに通信可能に接続することで構成される。端末2は、例えば、文書作成及び/又はレビューを依頼する依頼者によって操作され、端末3は文書作成及び/又はレビューの依頼を受ける受任者によって操作されるが、これに限られるものではない。
【0013】
文書作成サーバ装置1は、サーバ型の情報処理装置であり、端末2及び端末3の要求に応じて動作するものであって、本体内に情報を処理するための機能を有するCPU(Central Processing Unit)やフラッシュメモリ等の電子部品を備える。なお、文書作成サーバ装置1は、必ずしも単体の情報処理装置で構成される必要はなく、複数の情報処理装置が協働して動作するものであってもよいし、任意のクラウドサービスによって動作するものであってもよい。また、文書作成サーバ装置1の機能を端末2及び/又は端末3内で実現するものであってもよい。
【0014】
端末2及び端末3は、PC(Personal Computer)やタブレット端末等の情報処理装置であって、本体内に情報を処理するための機能を有するCPUやフラッシュメモリ等の電子部品を備える。
【0015】
ネットワーク4は、高速通信が可能な通信ネットワークであり、例えば、インターネット、イントラネットやLAN(Local Area Network)等の有線又は無線の通信網である。
【0016】
上記構成において、一例として、文書作成サーバ装置1が作成する文書は契約書等の法律分野の文書であり、依頼者は法律の専門家ではないが契約書の作成を必要とする人物、受任者は弁護士等の法律の専門家であって契約書の作成の知識を有する人物である。また、例えば、依頼者は社内の営業部の社員、受任者は社内法務部の社員である。
【0017】
基本動作としては、端末2から文書情報を文書作成サーバ装置1にアップロードした後、端末2から文書作成サーバ装置1を介して端末3へ依頼に関する情報を送信することで、依頼者から受任者に対して契約書のレビューを依頼し、端末2及び端末3から文書作成サーバ装置1上の文書情報を編集することで、依頼者の意見と受任者のレビュー結果を反映した契約書を作成するが、その受任者の作業負担を減らすべく、又は依頼者単独での契約書の作成を支援するべく、文書作成サーバ装置1は、端末2から文書情報がアップロードされると文書情報の検査を行う。
【0018】
文書作成サーバ装置1は、検査により文書情報の問題点、つまり契約書の法律的な問題点を検出し、検出した問題点を依頼者又は受任者に提示する。具体的には、文書情報に不足している(欠落している)条項があった場合、不足している条項を挿入すべき位置とともに提示する。なお、以下において、条項のことを「条文」と言うことがある。実施の形態を以下で説明する。
【0019】
なお、上記した依頼者が弁護士又は社内法務部で勤務する人物等の法律の専門家であって契約書の作成の知識を有する人物であり、受任者が法律の専門家ではないが契約書の作成を必要とする人物であってもよい。この場合、依頼者が作成した契約書の内容が受任者の要求に即したものか否かを受任者が判断することとなる。また、依頼者及び受任者がそれぞれ異なる会社に属する人物であり、会社間の契約書の内容すり合わせ等に文書作成システム5を利用するものであってもよい。また、端末2及び端末3はそれぞれ単数を図示しているが、複数台がネットワーク4に接続されるものであってもよく、同様にこれらを操作する依頼者及び受任者は複数人であってもよい。
【0020】
(文書作成サーバ装置の構成)
図2は、実施の形態に係る文書作成サーバ装置1の構成例を示すブロック図である。
【0021】
文書作成サーバ装置1は、CPU等から構成され、各部を制御するとともに、各種のプログラムを実行する制御部10と、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成され情報を記憶する記憶部11と、ネットワーク4を介して外部と通信する通信部12とを備える。
【0022】
制御部10は、後述する文書作成プログラム110を実行することで、契約書分割手段100、契約書検査手段101、挿入先決定手段102、条文挿入手段103及び表示制御手段104等として機能する。
【0023】
契約書分割手段100は、文書情報111をタイトル、序文、条文単位等の契約書の構成要素毎に分割する。
【0024】
契約書検査手段101は、契約書分割手段100が条文単位で分割した文書情報111について、例えば、契約書の内容(秘密保持契約書、業務委託契約書…)とその立場を抽出し、内容及び立場が対応する契約書の雛形条文である雛形条文情報112と比較することにより検査を行い、当該雛形条文情報112に対して欠落している(不足している)条項を特定する。
【0025】
挿入先決定手段102は、挿入先情報113に基づいて欠落している条項を挿入する際に基準となる条文と、基準となる条文との相対的な挿入位置を決定する。ここで、挿入先情報113は、検査対象に不足している条文と検査対象に含まれる条文との関係において挿入する基準となる条文を定めた第1の挿入先情報と、当該基準となる条文と不足している条文との関係に応じて相対的な挿入位置を定めた第2の挿入先情報とを有する。
【0026】
条文挿入手段103は、挿入先決定手段102が決定した挿入位置に欠落している条項を挿入する。
【0027】
表示制御手段104は、記憶部11の文書情報111、雛形条文情報112及び挿入先情報113並びに各手段100‐103の出力結果を予め定めた方法で端末2及び端末3の表示部に表示制御する文書情報111、雛形条文情報112及び挿入先情報113並びに各手段100‐103の出力結果の表示方法の詳細は後述する。
【0028】
記憶部11は、制御部10を上述した各手段100‐104として動作させる文書作成プログラム110、文書情報111、雛形条文情報112及び挿入先情報113等を記憶する。
【0029】
図3は、文書情報111の構成例を示す概略図である。
【0030】
文書情報111aは、一例として、契約書であり、契約書のタイトル100aと、序文100bと、これらに続く複数の条文単位100c、100d、100e…とを有する。
【0031】
(文書作成システムの動作)
次に、第1の実施の形態の作用を、(1)基本動作、(2)検査動作に分けて説明する。
【0032】
(1)基本動作
まず、依頼者は、文書作成サーバ装置1の提供するサービスへログインを行うため端末2を操作する。端末2は、依頼者から利用者ID及びパスワード等の情報の入力を受け付けると、当該情報とともに認証要求を文書作成サーバ装置1に送信する。
【0033】
文書作成サーバ装置1は、端末2から利用者ID及びパスワード等の情報とともに認証要求を受信すると、予め登録された利用者ID及びパスワード等を含む利用者情報を参照し、利用者としての依頼者の認証を行う。
【0034】
次に、依頼者は、サービスへのログインが完了すると、レビューを依頼する契約書の文書情報を文書作成サーバ装置1へアップロードするため端末2を操作する。端末2は、当該文書情報を文書作成サーバ装置1へアップロードする。
【0035】
文書作成サーバ装置1は、依頼者の操作する端末2から文書情報111を受け付けて記憶部11に格納する。
【0036】
また、表示制御手段104は、端末2から受け付けた文書情報111を端末2の表示部に表示制御する。なお、当該実施の形態において、表示される文書情報111は、ログイン中の利用者がアップロードしたものに限られ、他の利用者の文書情報111は表示されないが、権限を設定して表示されるようにしてもよい。
【0037】
依頼者は、端末2の表示部において上記した画面を参照し、表示されている文書情報111のレビュー依頼を要求するべく操作する。端末2は、操作内容を文書作成サーバ装置1に送信する。なお、依頼者は、レビューを依頼する文書情報111に対し、レビュー依頼の前に内容を編集し、コメントを入力してもよい。
【0038】
文書作成サーバ装置1の表示制御手段104は、操作内容を受信すると、レビュー依頼を受け付ける。ここで、文書作成サーバ装置1は、レビュー依頼を受任者に送付する前に、受任者に送付する必要性を減少するため又は受任者の負担を減らすため、次に説明する「(2)検査動作」に示すように、文書情報111を検査する。
【0039】
なお、上記動作は順序が入れ替わるものであってもよいし、全て又は一部の動作を複数回繰り返すものであってもよく、依頼者のレビュー依頼又は文書情報111の作成が完了するまで行われる。
【0040】
(2)検査動作
図9は、文書作成サーバ装置1の検査動作を示すフローチャートである。図4は、文書情報111の検査動作の一例を説明するための概略図である。
【0041】
まず、文書作成サーバ装置1の表示制御手段104は、端末2からレビュー依頼要求の操作内容を受け付ける。文書作成サーバ装置1は、端末2から契約書の種類と立場とともに検査要求を受け付けてもよいし、契約書検査手段101が文書情報111から契約書の種類と立場を抽出してもよい。
【0042】
次に、契約書分割手段100は、図4の左側に示すように、文書情報111aを契約書の構成要素毎に、タイトル100a、序文100b、条文単位100c、100d、100e、100f…のように分割する(S1)。なお、契約書分割手段100は、対象とする文書情報111を項、号の単位で分割するものであってもよく、文書情報111の構造に適した単位を用いる。
【0043】
次に、文書作成サーバ装置1の契約書検査手段101は、契約書の種類と立場に基づいて該当する雛形条文情報112を取得する(S2)。図4に示すように、契約書種類が「秘密保持契約書」であって、当社の立場が「受領側」である雛形条文情報112の条文タイトル112Aが抽出される。なお、条文タイトル112Aの項目は条文のタイトルに限らず、項、号の単位でも付与される。
【0044】
次に、文書作成サーバ装置1の契約書検査手段101は、契約書分割手段100が条文単位で分割した文書情報111aについて検査を行う。具体的に、契約書検査手段101は、条文タイトル112Aと条文単位100c、100d、100e、100f…とが一致したもの(図4中のチェックマーク)について順にラベル(Label A、Label B、Label C…)を付与する(S3)。
【0045】
図5は、検査動作の検査結果としての欠落条項を示す概略図である。
【0046】
図5は、文書情報111aを、構成単位を用いて概念的に記載したものであり、上記ステップS3による検査動作により、ラベルを付与できなかった条文単位を欠落条項112a、112b、112c…として特定する(S4)。
【0047】
次に、挿入先決定手段102は、挿入先情報113に基づいて欠落している条項を挿入する際に基準となる条文と、基準となる条文との相対的な挿入位置を決定する(S5)。具体的に、まず、挿入先決定手段102は、第1の挿入先情報として、図6に示す挿入先情報113aを参照する。
【0048】
図6は、挿入先情報113の構成の一例を示す概略図である。
【0049】
挿入先情報113aは、欠落している条項を挿入する際に基準となる条文を決定するための情報であり、行の項目として欠落した条項のラベルと、列の項目として挿入する際に基準となる条項のラベルとを有し、値には挿入する順位が記載される。なお、挿入先情報113aは、契約書種類「秘密保持契約書」及び当社の立場「受領側」に基づいて選択される。
【0050】
挿入先決定手段102は、図5において条文タイトル112Aのうち欠落条項に該当する条項102aとして「Label G」を特定する。次に、挿入先決定手段102は、図6に示すように、欠落条項102aの「Label G」に該当する挿入先情報113aの行を参照し、最も高い「1位」である順位102bに対応する条項102cとして「Label H」を、挿入する際に基準となる条項のラベルとして特定する。なお、最も順位の高いラベルだけなく、上位から複数のラベルを基準となる条項として順位とともに特定してもよい。
【0051】
次に、挿入先決定手段102は、第2の挿入先情報として、図7に示す挿入先情報113bを参照する。
【0052】
図7は、挿入先情報113の構成の一例を示す概略図である。
【0053】
挿入先情報113bは、基準となる条文との相対的な挿入位置を決定するための情報であり、行の項目として欠落条項に該当するラベルと、列の項目として挿入する際に基準となる条項のラベルとを有し、値には相対的な挿入位置が記載される。なお、挿入先情報113bは、契約書種類「秘密保持契約書」及び当社の立場「受領側」に基づいて選択される。
【0054】
挿入先決定手段102は、図6において挿入する基準となる条項102cとして「Label H」を特定しているため、挿入先情報113bを参照し、図7に示すように、挿入する基準となる条項102dの「Label H」に該当する列であって、欠落条項の「Label G」に該当する行を参照し、欠落条項に該当するラベル「Label G」に対応する相対的挿入位置102eとして「Below」を特定する。なお、「Below」は、基準となる条項の「下」に挿入するという意味である。また、「Above」及び「Mid」は、基準となる条項の「上」及び「中」に挿入するという意味である。なお、「Mid」は、条項の中のさらに詳しい位置を定めるようにしてもよい。
【0055】
挿入先決定手段102は、ステップS5において、欠落条項の数だけ上記動作を行い、挿入先基準条項と、相対的挿入位置を特定する。
【0056】
図8は、挿入動作を説明するための概略図である。
【0057】
挿入先決定手段102により、欠落条項112a、112b、112cに対して挿入先102A、102B、102C(挿入先基準条項「α」、「β」、「γ」と、相対的挿入位置「Below α」、「Mid β」、「Mid γ IF NOT Above Δ IF NOT ε」)が定められる。挿入先102Cについては三段階の挿入位置が定められており、「γ(準拠法)」が文書情報111aに含まれていない場合は、「Above Δ(誠実協議)」が適用される。仮に文書情報111aに「Δ(誠実協議)」が含まれていない場合には「Above ε(締結欄)」が適用される。なお、三段階の挿入位置は、次に説明する表示動作において、順位とともに複数表示処理されるものであってもよい。
【0058】
次に、表示制御手段104は、上記の挿入先102A、102B、102Cに基づいて文書情報111aの内容(又は文書情報111aの構成単位の概念表示)とともに挿入先候補104a、104b、104cを表示制御し、端末2の表示部に表示する。依頼者は、端末2の表示内容を確認し、挿入を希望する場合は挿入先候補104a、104b、104cのうち、例えば、挿入先候補104aを選択すべく端末2を操作する。端末2は、操作内容を文書作成サーバ装置1に送信する。なお、表示制御手段104は、上記表示内容を端末3の表示部に表示制御して受任者に提示してもよい。
【0059】
文書作成サーバ装置1の条文挿入手段103は、端末2から操作内容を受信すると、挿入先決定手段102が決定した挿入位置(基準となる条文「Label H」、相対的挿入位置「下」)に欠落している条項を挿入する(S6)。つまり、「Label H」に対応する「目的外使用の禁止」の条文の「下」に欠落条項「複製の禁止」を挿入する。
【0060】
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態によれば、文書情報111の内容を抽出するとともに、条文単位で分割し、内容に応じて欠落条項を特定して、欠落条項と存在する条項との関係に応じて挿入する基準となる条文を特定するとともに、基準となる条文に応じて相対的挿入位置を特定するようにしたため、文書情報111に不足する情報が存在する場合に、不足する情報を挿入すべき情報を提示することができる。
【0061】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。
【0062】
例えば、文書情報111は契約書に限らず、構成要素で分割できるものであれば、法律そのものの文書や取り扱い説明書等であってよいし、同様に本発明を適用可能である。また、構成要素は、条文、項、号に限らず、単語や文字・記号であってもよいし、段落、文章であってもよい。
【0063】
上記実施の形態では制御部10の各手段100‐104の機能をプログラムで実現したが、各手段の全て又は一部をASIC等のハードウエアによって実現してもよい。また、上記実施の形態で用いたプログラムをCD‐ROM等の記録媒体に記憶して提供することもできる。また、上記実施の形態で説明した上記ステップの入れ替え、削除、追加等は本発明の要旨を変更しない範囲内で可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
文書中に不足する情報が存在する場合に、不足する情報を挿入すべき情報を提示する文書作成プログラム及び情報処理装置を提供する。
【符号の説明】
【0065】
1 :文書作成サーバ装置
2、3 :端末
4 :ネットワーク
5 :文書作成システム
10 :制御部
11 :記憶部
12 :通信部
100 :契約書分割手段
101 :契約書検査手段
102 :挿入先決定手段
103 :条文挿入手段
104 :表示制御手段
110 :文書作成プログラム
111 :文書情報
112 :雛形条文情報
113 :挿入先情報

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2025-01-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
文書情報を予め定めた単位で分割する分割手段と、
前記文書情報の前記単位に、当該文書情報の内容に基づき選択された雛形に基づいて前記文書情報に不足している単位を特定する検査手段と、
前記不足している単位と、前記文書情報に含まれる単位との関係において挿入する基準となる単位を定めた第1の挿入先情報を参照して、前記不足している単位を挿入する基準となる単位を特定し、当該基準となる単位と前記不足している単位との関係に応じて相対的な挿入位置を定めた第2の挿入先情報を参照して、前記不足している単位を挿入する相対的な挿入位置を決定する挿入先決定手段と、
前記挿入先決定手段が決定した前記基準となる単位及び前記相対的な挿入位置を表示する表示制御手段として機能させるための文書作成プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
<付記>
なお、以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(1)コンピュータを、
文書情報を予め定めた単位で分割する分割手段と、
前記文書情報の前記単位に、当該文書情報の内容に基づき選択された雛形に基づいて前記文書情報に不足している単位を特定する検査手段と、
前記不足している単位と、前記文書情報に含まれる単位との関係において挿入する基準となる単位を定めた第1の挿入先情報を参照して、前記不足している単位を挿入する基準となる単位を特定し、当該基準となる単位と前記不足している単位との関係に応じて相対的な挿入位置を定めた第2の挿入先情報を参照して、前記不足している単位を挿入する相対的な挿入位置を決定する挿入先決定手段と、
前記挿入先決定手段が決定した前記基準となる単位及び前記相対的な挿入位置を表示する表示制御手段として機能させるための文書作成プログラム。
(2)前記第1の挿入先情報は、前記文書情報に含まれる単位との関係において挿入する基準となる単位の挿入の順位を定めた情報であり、
前記挿入先決定手段は、当該第1の挿入先情報を参照し、当該順位に応じて前記不足している単位を挿入する基準となる単位を特定する(1)に記載の文書作成プログラム。
(3)前記挿入先決定手段は、前記第1の挿入先情報を参照し、前記挿入の順位に基づいて前記挿入する基準となる単位を複数特定し、当該複数の挿入する基準となる単位のそれぞれによって定まる相対的な挿入位置を決定し、
前記表示制御手段は、当該複数の基準となる単位及び当該複数の相対的な挿入位置の組み合わせを表示する請求項(2)に記載の文書作成プログラム。
(4)前記表示制御手段が表示した前記基準となる単位及び前記相対的な挿入位置の選択を受け付け、選択された当該基準となる単位及び当該相対的な挿入位置に前記不足している単位を挿入する挿入手段としてさらに機能させる(1)~(3)のいずれかに記載の文書作成プログラム。
(5)文書情報を予め定めた単位で分割する分割手段と、
前記文書情報の前記単位に、当該文書情報の内容に基づき選択された雛形に基づいて前記文書情報に不足している単位を特定する検査手段と、
前記不足している単位と、前記文書情報に含まれる単位との関係において挿入する基準となる単位を定めた第1の挿入先情報を参照して、前記不足している単位を挿入する基準となる単位を特定し、当該基準となる単位と前記不足している単位との関係に応じて相対的な挿入位置を定めた第2の挿入先情報を参照して、前記不足している単位を挿入する相対的な挿入位置を決定する挿入先決定手段と、
前記挿入先決定手段が決定した前記基準となる単位及び前記相対的な挿入位置を表示する表示制御手段とを有する情報処理装置。