(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025032038
(43)【公開日】2025-03-10
(54)【発明の名称】織物壁紙
(51)【国際特許分類】
D06N 7/00 20060101AFI20250303BHJP
D03D 15/233 20210101ALI20250303BHJP
D03D 15/217 20210101ALI20250303BHJP
D03D 15/47 20210101ALI20250303BHJP
D03D 15/593 20210101ALI20250303BHJP
B32B 29/02 20060101ALI20250303BHJP
E04F 13/07 20060101ALI20250303BHJP
【FI】
D06N7/00
D03D15/233
D03D15/217
D03D15/47
D03D15/593
B32B29/02
E04F13/07 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137637
(22)【出願日】2023-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】523325820
【氏名又は名称】中西 精一
(71)【出願人】
【識別番号】522405037
【氏名又は名称】合同会社サンパテック
(74)【代理人】
【識別番号】100199451
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 隆滋
(72)【発明者】
【氏名】中西 やよい
(72)【発明者】
【氏名】中西 精一
【テーマコード(参考)】
4F055
4F100
4L048
【Fターム(参考)】
4F055AA17
4F055BA02
4F055BA11
4F055CA11
4F055EA02
4F055EA22
4F055EA26
4F055EA27
4F100AJ02A
4F100AJ04A
4F100AJ09A
4F100AP00C
4F100AR00C
4F100BA02
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100DG10B
4F100DG10D
4F100DG12A
4F100GB08
4F100JJ07C
4F100YY00A
4L048AA06
4L048AA07
4L048AA09
4L048AA12
4L048AB05
4L048AB30
4L048AB31
4L048AB35
4L048AB36
4L048DA30
4L048EB00
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、高級感を持たせつつも環境負荷を低減させる織物壁紙を提供することである。
【解決手段】 織物層3と紙シート4を備えている。紙シート4の上面に織物層3が設けられる。織物層3は、経糸と緯糸からなる絹の混織物である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物と紙シートを備え、
前記紙シートの上面に前記織物が設けられ、
前記織物は、経糸と緯糸からなる絹の混織物である、織物壁紙。
【請求項2】
前記経糸は、絹糸または木糸の混紡糸のいずれか一方の糸で構成され、
前記緯糸は、絹糸または木糸の混紡糸の前記いずれか一方の糸ではない他方の糸で構成
される、請求項1に記載の織物壁紙。
【請求項3】
前記経糸は、絹糸または竹糸の混紡糸のいずれか一方の糸で構成され、
前記緯糸は、絹糸または竹糸の混紡糸の前記いずれか一方の糸ではない他方の糸で構成
される、請求項1に記載の織物壁紙。
【請求項4】
不燃性基材を有し、
前記不燃性基材の上面及び下面に前記紙シートが設けられ、
前記不燃性基材の上面に設けられた前記紙シートの上面に前記織物が設けられる、請求項1に記載の織物壁紙。
【請求項5】
前記不燃性基材は、ISO5660-1に準拠した発熱性試験において試験時間20分間の総発熱量が8MJ/m^2 以下である不燃性能を有している、請求項4に記載の織物壁紙。
【請求項6】
前記不燃性基材は、ISO5660-1に準拠した発熱性試験において試験時間10分間の総発熱量が8MJ/m^2 以下である準不燃性能を有している、請求項4に記載の織物壁紙。
【請求項7】
木質系基材を有し、
前記木質系基材の上面及び下面に前記紙シートが設けられ、
前記木質系基材の上面に設けられた前記紙シートの上面に前記織物が設けられる、請求項1に記載の織物壁紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物壁紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な織物壁紙が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されている織物壁紙は、高級感を持たせつつも環境負荷を低減させる織物壁紙を提供することができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的はこのようなことに鑑みてなされたものであり、高級感を持たせつつも環境負荷を低減させる織物壁紙を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、
織物3と紙シート4を備え、
前記紙シート4の上面に前記織物3が設けられ、
前記織物3は、経糸と緯糸からなる絹の混織物である、
ことを特徴とする、織物壁紙、
によって達成される。
【0007】
また、上記目的は、
前記経糸は、絹糸または木糸の混紡糸のいずれか一方の糸で構成され、
前記緯糸は、絹糸または木糸の混紡糸の前記いずれか一方の糸ではない他方の糸で構成
上記の織物壁紙、によって達成される。
【0008】
前記経糸は、絹糸または竹糸の混紡糸のいずれか一方の糸で構成され、
前記緯糸は、絹糸または竹糸の混紡糸の前記いずれか一方の糸ではない他方の糸で構成
される上記の織物壁紙、によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高級感を持たせつつも環境負荷を低減させる織物壁紙織物壁紙を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態による不燃性の基材を有する織物壁紙の断面状態を示す図である。
【
図2】従来例の不燃性の基材を有する織物壁紙の断面状態を示す図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態による不燃性の基材を有する織物壁紙の断面状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態による不燃性の基材を有する織物壁紙10について
図1を用いて説明する。本実施形態の不燃性の基材を有する織物壁紙10は、工場にて製造する。
図1は、不燃性の基材を有する織物壁紙10の断面状態を示している。織物壁紙10は、表面側から壁側に向けて、染料・顔料・表面樹脂層2、織物層3、接着層6、紙層4、接着層6、基材1、接着層6、紙層5の順番に積層される。染料・顔料・表面樹脂層2は、有機系・無機系の染料や顔料や樹脂が用いられる。織物層3は、経糸に絹糸(84デニール)を用い、緯糸に木糸の混紡糸(5番糸)を用いている。木糸の混紡糸は、針葉樹糸と麻糸の混紡糸である。本実施形態において、木糸の混紡糸は針葉樹糸としての杉糸を用い、杉糸と麻糸の割合が略1:1であるが、必ずしも1:1でなくてもよい。麻糸を用いることによるハリ感を適度なものにするため杉糸を用いている。このため、ハリ感を抑えるために杉糸を麻糸の割合よりも多くする場合があってもよいし、反対に杉糸を麻糸の割合よりも少なくする場合があってもよい。また、杉糸以外でも檜・檜葉・鼠子・椹・赤松・黒松・姫小松・栂・樅等の針葉樹の木糸が用いられる場合があってもよいし、木糸として広葉樹(例えば、センダン、栗、桜、欅等)の木糸が用いられる場合があってもよいし、木糸の混紡糸に綿糸を含める場合があってもよいし、麻糸に代えて楮の繊維糸を用いてもよい。また、木糸の混紡糸は、針葉樹糸と広葉樹糸の混紡糸であってもよいし、針葉樹糸と広葉樹糸と麻糸の混紡糸であってもよいし、針葉樹糸と広葉樹糸と麻以外の植物の糸(例えば、楮)であってもよい。織物層3は、純粋な絹織物や絹と麻の絹混織物よりも藍染を容易に行うことが可能である。また、織物層3は、純粋な絹織物や絹と麻の絹混織物よりも茜染めを容易に行うことが可能である。また、織物層3は、純粋な絹織物や絹と麻の絹混織物よりも墨流し染めを容易に行うことが可能である。なお、本実施形態では、経糸に絹糸を用い、緯糸に木糸の混紡糸を用いているが、経糸に木糸の混紡糸絹糸を用い、緯糸に絹糸を用いる場合があってもよい。紙層4は、基材1と織物層3の中間に設けられる層である。また、紙層4にセルロース(CNF、CMF)を含有する場合があってもよい。セルロース(CNF、CMF)を含有することで、耐久性、耐光性、および消臭効果を有することになる。基材1は、火山性ガラス質発泡体を主成分とし、ロックウェール粒状綿、水酸化アルミニウム粉末及び有機系結合剤を含む不燃性の基材である。紙層5は、基材1の下面に設けられる層である。紙層5に接着剤を塗布して壁に設置することで織物壁紙に熟練した職人でなくてもきれいに貼り付け施工することができるようになる。なお、紙層5に防水加工や撥水加工を施してもよい。また、本発明の第一の実施形態による基材1は、ISO5660-1に準拠した発熱性試験において試験時間20分間の総発熱量が8MJ/m2以下となる不燃性能を有する場合やISO5660-1に準拠した発熱性試験において試験時間10分間の総発熱量が8MJ/m2以下となる準不燃性能を有する場合がある。なお、本実施形態の基材1に木質系基材を用いる場合があってもよい。木質系基材としては、例えば、無垢材、ベニア板、ハードボード、インシュレーションボード、MDF、パーティクルボード等の木質ボードが用いられるが、これら以外のものが用いられる場合があってもよい。
【0012】
本発明の第一の実施形態による不燃性の基材を有する織物壁紙10は以下のような効果を奏する。
(あ)織物層3と基材1が一体形成されているため工数を少なくすることができる。
(い)基材1の下面に紙層を設けることで施工が容易になる。
(う)基材1は火山性ガラス質発泡体を主成分とし、ロックウェール粒状綿、水酸化アルミニウム粉末及び有機系結合剤を含む不燃性の基材とすることで防火性が高くなる。
(え)織物層3に絹糸と木糸の混紡糸が用いられるため、絹の高級感と木糸を用いることによる環境負荷への低減の両立を図ることができる。
(お)木糸は、木糸と麻糸の混紡糸を用いることで強度を高めることができる。
【0013】
図2は、従来例の不燃性の基材を有する織物壁20の断面状態である。従来例は現場にて基材21を設置した後に織物層を施工するため、基材21の下面に紙層が設けられていない。
【0014】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態による不燃性の基材を有する織物壁紙15について
図3を用いて説明する。本実施形態の不燃性の基材を有する織物壁紙15は、工場にて製造する。
図3は、不燃性の基材を有する織物壁紙15の断面状態を示している。織物壁紙15は、表面側から壁側に向けて、染料・顔料・表面樹脂層2、織物層3、接着層6、紙層4、接着層6、基材16の順番に積層される。染料・顔料・表面樹脂層2は、有機系・無機系の染料や顔料が用いられる。織物層3は、第一の実施形態において用いた絹の混織物である。紙層4は、基材16と織物層3の中間に設けられる層である。また、紙層4にセルロース(CNF、CMF)を含有する場合があってもよい。セルロース(CNF、CMF)を含有することで、耐久性、耐光性、および消臭効果を有することになる。基材16は、金属板または複数の金属パイプで構成される層である。金属板や金属パイプは、重量の観点でアルミニウムの金属で構成されるのが好適であるが、ステンレス等の他の金属が用いられてもよい。また、本発明の第二の実施形態による基材16は、ISO5660-1に準拠した発熱性試験において試験時間20分間の総発熱量が8MJ/m2以下となる不燃性能を有する場合やISO5660-1に準拠した発熱性試験において試験時間10分間の総発熱量が8MJ/m2以下となる準不燃性能を有する場合がある。なお、本実施形態の織物壁紙15は、基材15の下面に紙層5を設ける構成であってもよい。
【0015】
本発明の第二の実施形態による不燃性の基材を有する織物壁紙10は以下のような効果を奏する。
(あ)織物層4と基材15が一体形成されているため工数を少なくすることができる。
(い)基材15は金属板または金属パイプとすることで防火性が高くなる。
【0016】
(第三の実施形態)
本発明の第三の実施形態による不燃性の基材を有する織物壁紙について説明する。本実施形態の不燃性の基材を有する織物壁紙は、工場にて製造する。染料・顔料・表面樹脂層2、織物層3、接着層6、紙層4、接着層6、基材1、接着層6、紙層5の順番に積層される。染料・顔料・表面樹脂層2は、有機系・無機系の染料や顔料が用いられる。織物層3は、経糸に絹糸(84デニール)を用い、緯糸に竹糸または竹糸と麻糸の混紡糸を用いている。紙層4は、基材1と織物層3の中間に設けられる層である。また、紙層4にセルロース(CNF、CMF)を含有する場合があってもよい。セルロース(CNF、CMF)を含有することで、耐久性、耐光性、および消臭効果を有することになる。基材1は、火山性ガラス質発泡体を主成分とし、ロックウェール粒状綿、水酸化アルミニウム粉末及び有機系結合剤を含む不燃性の基材である。紙層5は、基材1の下面に設けられる層である。紙層5に接着剤を塗布して壁に設置することで織物壁紙に熟練した職人でなくてもきれいに貼り付け施工することができるようになる。なお、紙層5に防水加工や撥水加工を施してもよい。また、本発明の第三の実施形態による基材1は、ISO5660-1に準拠した発熱性試験において試験時間20分間の総発熱量が8MJ/m2以下となる不燃性能を有する場合やISO5660-1に準拠した発熱性試験において試験時間10分間の総発熱量が8MJ/m2以下となる準不燃性能を有する場合がある。なお、本実施形態の基材1に木質系基材を用いる場合があってもよい。木質系基材としては、例えば、無垢材、ベニア板、ハードボード、インシュレーションボード、MDF、パーティクルボード等の木質ボードが用いられるが、これら以外のものが用いられる場合があってもよい。
【0017】
本発明の第三の実施形態による不燃性や準不燃性能の基材を有する織物壁紙は以下のような効果を奏する。
(あ)織物層に竹糸を用いるため環境負荷を低減できる。
【0018】
本発明の実施形態による織物壁紙は、織物層3と紙シート4を備え、紙シート4の上面に織物層3が接着層6を介して設けられる。織物層3は、経糸と緯糸からなる絹の混織物である。織物層3は、経糸に絹糸(84デニール)を用い、緯糸に木糸の混紡糸(5番糸)を用いている。木糸の混紡糸は、針葉樹糸と麻糸の混紡糸である。本実施形態において、木糸の混紡糸は針葉樹糸としての杉糸を用い、杉糸と麻糸の割合が略1:1であるが、必ずしも1:1でなくてもよい。麻糸を用いることによるハリ感を適度なものにするため杉糸を用いている。このため、ハリ感を抑えるために杉糸を麻糸の割合よりも多くする場合があってもよいし、反対に杉糸を麻糸の割合よりも少なくする場合があってもよい。また、杉糸以外でも檜・檜葉・鼠子・椹・赤松・黒松・姫小松・栂・樅等の針葉樹の木糸が用いられる場合があってもよいし、木糸として広葉樹(例えば、センダン、栗、桜、欅等)の木糸が用いられる場合があってもよいし、木糸の混紡糸に綿糸を含める場合があってもよいし、麻糸に代えて楮の繊維糸を用いてもよい。また、木糸の混紡糸は、針葉樹糸と広葉樹糸の混紡糸であってもよいし、針葉樹糸と広葉樹糸と麻糸の混紡糸であってもよいし、針葉樹糸と広葉樹糸と麻以外の植物の糸(例えば、楮)であってもよい。織物層3は、純粋な絹織物や絹と麻の絹混織物よりも藍染を容易に行うことが可能である。また、織物層3は、純粋な絹織物や絹と麻の絹混織物よりも茜染めを容易に行うことが可能である。また、織物層3は、純粋な絹織物や絹と麻の絹混織物よりも墨流し染めを容易に行うことが可能である。なお、本実施形態では、経糸に絹糸を用い、緯糸に木糸の混紡糸を用いているが、経糸に木糸の混紡糸絹糸を用い、緯糸に絹糸を用いる場合があってもよい。
また、織物層3は、経糸に絹糸(84デニール)を用い、緯糸に竹糸または竹糸と麻糸の混紡糸を用いてもよいし、緯糸に絹糸を用い、経糸に竹糸または竹糸と麻糸の混紡糸を用いてもよい。
本発明の実施形態による織物壁紙は、家具や建具の表面化粧材として用いることもできる。
【0019】
上述の実施形態は、本発明の好適な一例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上述の説明によって不当に限定されるものではない。また、上述の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。また、上述の実施形態で説明される構成は相互に付け足したり組み合わせたりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、織物壁紙において広く利用可能である。
【符号の説明】
【0021】
10、15 織物壁紙
1、16、21 基材
2 染料・顔料・表面樹脂層
3 織物層
4、5 紙層
6 接着層