(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003204
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】情報読取装置、及び分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
G01N35/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103739
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000162478
【氏名又は名称】ミナリスメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝典
(72)【発明者】
【氏名】牧田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓磨
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CA01
2G058CC02
2G058CC08
2G058EA04
2G058ED02
2G058ED17
2G058GA02
2G058GC02
2G058GC05
2G058GC08
2G058GC10
(57)【要約】
【課題】試薬容器の情報を読み取る際の液ハネを抑制する。
【解決手段】情報読取装置は、試薬情報が記録された情報標識を備えている複数の試薬容器を保持可能で検査装置の筐体に固定可能な容器保持部と、容器保持部に対し移動し情報標識に記録された情報を読み取る読取部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬情報が記録された情報標識を備えている複数の試薬容器を保持可能で検査装置の筐体に固定可能な容器保持部と、
前記容器保持部に対し移動し前記情報標識に記録された情報を読み取る読取部と、
を有する情報読取装置。
【請求項2】
前記容器保持部は、複数の前記試薬容器を列状に並べて保持する請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記容器保持部は、前記試薬容器の開口部が上向きで、且つ前記情報標識が一定の向きに並ぶ姿勢で複数の前記試薬容器を保持し、
前記読取部は、前記一定の向きに並んでいる前記情報標識から前記情報を読み取る請求項2に記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記読取部は、前記容器保持部に保持された前記試薬容器のそれぞれの前記情報標識の位置で停止して前記情報を読み取る請求項1~3の何れか一項に記載の情報読取装置。
【請求項5】
前記読取部は、前記情報標識を画像として読み取る請求項1~3の何れか一項に記載の情報読取装置。
【請求項6】
前記読取部は、前記情報標識としてのバーコードを読み取る請求項5に記載の情報読取装置。
【請求項7】
試薬情報が記録された情報標識を備えている複数の試薬容器を保持可能で検査装置の筐体に固定可能な容器保持部と、前記容器保持部に対し移動し前記情報標識に記録された情報を読み取る読取部と、を有する情報読取装置と、
前記試薬容器に収容された試薬を用いて調整された検体を分析する分析ユニットと、
を有する分析装置。
【請求項8】
前記試薬容器に収容された試薬を分注する複数の分注プローブを備え、
前記容器保持部は、複数の前記分注プローブを同時に挿入可能とする幅の開口部を備えている前記試薬容器を保持する、請求項7に記載の分析装置。
【請求項9】
複数の前記分注プローブは、前記試薬を受ける反応プレートの複数の凹部に対応した方向及び間隔で配置されている請求項8に記載の分析装置。
【請求項10】
前記情報読取装置の前記容器保持部は、複数の前記試薬容器を列状に並べて保持する、請求項7~9の何れか一項に記載の分析装置。
【請求項11】
前記情報読取装置の前記容器保持部は、前記試薬容器の開口部が上向きで、且つ前記情報標識が一定の向きに並ぶ姿勢で複数の前記試薬容器を保持し、
前記読取部は、前記一定の向きに並んでいる前記情報標識から前記情報を読み取る、
請求項10に記載の分析装置。
【請求項12】
前記情報読取装置の前記読取部は、前記容器保持部に保持された前記試薬容器のそれぞれの前記情報標識の位置で停止して前記情報を読み取る、請求項7~9の何れか一項に記載の分析装置。
【請求項13】
前記情報読取装置の前記読取部は、前記情報標識を画像として読み取る、請求項7~9の何れか一項に記載の分析装置。
【請求項14】
前記情報読取装置の前記読取部は、前記情報標識としてのバーコードを読み取る、請求項13に記載の分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報読取装置、及び分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1試薬が収容され、当該第1試薬を識別する第1試薬識別情報が付された第1試薬容器と、第1試薬容器に付された識別情報を読み取る第1読取部と、第1読取部を移動する駆動部と、を備えた自動分析装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分析装置で使用される試薬が収容された試薬容器には、バーコード等の情報標識が設けられていることがある。分析装置では、読取装置を用いて、この情報標識の情報を読み取ることが行われる。
【0005】
特許文献1に記載の技術では、最初に読取部が待機位置から読取位置へ移動するが、その後は円環状に配置された試薬容器が移動することにより試薬情報が読み取られる。
【0006】
しかしながら、試薬情報の読み取りの際に試薬容器が移動すると、試薬容器内の試薬の液面が変動し、試薬容器の開口部からの試薬の漏れ(いわゆる液ハネ)が生じるおそれがある。特に、試薬容器の開口部を大きく形成すると、開口部を通じての試薬の取出し等では利便性が向上するが、その反面、液ハネが生じやすくなる。
【0007】
本開示の目的は、試薬情報を読み取る際の液ハネを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の技術では、試薬情報が記録された情報標識を備えている複数の試薬容器を保持可能で検査装置の筐体に固定可能な容器保持部と、前記容器保持部に対し移動し前記情報標識に記録された情報を読み取る読取部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術では、試薬容器の情報を読み取る際の液ハネを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は第一実施形態の試薬情報読取装置を備えた分析装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は第一実施形態の分析装置に用いられる反応プレートを示す斜視図である。
【
図3】
図3は第一実施形態の分析装置に用いられる検体プレートを示す斜視図である。
【
図4】
図4は第一実施形態の情報読取装置を示す斜視図である。
【
図5】
図5は第一実施形態の情報読取装置を示す平面図である。
【
図6】
図6か第一実施形態の情報読取装置を示す正面図である。
【
図7】
図7は第一実施形態の分析装置に備えられる試薬容器を示す斜視図である。
【
図8】
図8は第一実施形態の分析装置に備えられる分注ユニットを示す正面図である。
【
図9】
図9は第一実施形態の分析装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して第一実施形態について説明する。
【0012】
図1には、本開示の技術に係る分析装置10が示されている。
図2には、分析装置10において検体の分析に使用される反応プレート16が、
図3には同じく分析装置10において検体の分析に使用される検体プレート23がそれぞれ示されている。
【0013】
図1に示すように、分析装置10は筐体12を有している。筐体12は箱状の部材である。図面において、筐体12の幅方向、奥行方向、及び高さ方向をそれぞれ矢印W、矢印D、及び矢印Hで示す。
【0014】
図2に示すように、反応プレート16の上面には、複数(本実施形態では、8×12=96個)の凹部16Aが形成されている。これらの凹部16Aには予め一次抗体が固相化されている。
【0015】
図3に示すように、検体プレート23の上面には、反応プレート16の上面と同様に、複数(本実施形態では、8×12=96個)の凹部23Aが形成されている。これらの凹部23Aには検査を行う検体(液体の試料)が入れられる。
【0016】
分析装置10は、検体プレート23の凹部23Aに入れられた検体の成分を分析する装置である。筐体12の内部には、反応プレート16及び検体プレート23のそれぞれに対して、格納部が設けられている。
【0017】
反応プレート16は、筐体12内の対応する格納部にセットされる。検体プレート23は、筐体12内の対応する格納部にセットされる。
【0018】
筐体12の内部には、さらに、分注ユニット62(
図8参照)、インキュベータ、洗浄ユニット、情報読取装置30(
図4~6参照)、及び分析ユニット68(
図9参照)が設けられている。
【0019】
分注ユニット62は、検体プレート23の凹部23Aに入れられた検体を吸引し、吸引した検体を反応プレート16の凹部16Aに分注する。
【0020】
インキュベータは、反応プレート16を所定温度、且つ所定時間で保温する。これにより、一次抗体と検体中の抗原との反応(一次反応)が促進される。一次反応により、一次抗体と抗原との免疫複合体が生成される。
【0021】
洗浄ユニットは、洗浄液を反応プレート16の凹部16Aに吐出する。次いで、洗浄ユニットは、凹部16Aから洗浄液を含む混合液を吸引し、凹部16A内の不純物を除去する。
【0022】
分注ユニット62は、さらに、試薬容器28から酵素標識抗体(標識化二次抗体)液を吸引し、吸引した酵素標識抗体液を反応プレート16の凹部16Aに分注する。
【0023】
インキュベータは、さらに、反応プレート16を所定温度、且つ所定時間で保温する。これにより、一次反応により生成された、一次抗体と抗原との免疫複合体と、酵素標識抗体との反応(二次反応)が促進される。
【0024】
洗浄ユニットは、さらに、洗浄液を反応プレート16の凹部16Aに吐出する。次に、洗浄ユニットは、凹部16Aから洗浄液を含む混合液を吸引し、凹部16A内の不要な酵素標識抗体を除去する。
【0025】
分注ユニット62は、さらに、試薬容器28から発色基質液を吸引し、吸引した発色基質液を反応プレート16の凹部16Aに分注する(発色基質分注動作)。
【0026】
インキュベータは、さらに、反応プレート16を所定温度、且つ所定時間で保温する。これにより、二次反応で生成された免疫複合体に含まれる標識と発色基質との反応(発色反応)が促進され、発色基質液が発色する。
【0027】
分注ユニット62は、さらに、試薬容器28から反応停止液を吸引し、反応プレート16の凹部16Aに分注する。これにより、免疫複合体に含まれる標識と発色基質との反応(発色反応)が停止される。
【0028】
分析ユニット68は、反応プレート16の凹部16Aに所定の波長の光を投光する。そして、凹部16A内の溶液の吸光度を測定する。測定により、検体を分析すること、すなわち検体中の抗原量を知ることができる。
【0029】
図4~6には、第一実施形態の情報読取装置30が示されている。
図7には、試薬容器28が示されている。
図8には、分注ユニット62が示されている。
【0030】
試薬容器28は、内部に試薬が収容されている直方体状の部材である。試薬の例としては、上記した酵素標識抗体(標識化二次抗体)液、発色基質液、又は反応停止液を挙げることができるが、これに限定されない。
【0031】
試薬容器28には開口部28Aが形成されている。開口部28Aは試薬容器28の上面に形成されている。試薬容器28が後述する容器保持部32に保持された状態で、開口部28Aは、試薬容器28の上側に位置する。開口部28Aは、試薬容器28の上面の略全体にわたって形成されている。開口部28Aの開口幅W1及び開口奥行D1は、試薬容器28の外寸の幅W2及び奥行D2よりも僅かに短い程度である。なお、試薬容器28としては、
図4に示すように、奥行がD2の2倍程度である大型の試薬容器28L(
図4、
図5参照)もある。
【0032】
試薬容器28の一方の側面には、バーコード28Bが備えられている。バーコード28Bには、試薬容器28に収容された試薬に関する情報(試薬情報)が記録されている。バーコード28Bは、情報標識の一例である。
【0033】
図4~6に示すように、情報読取装置30は、容器保持部32、及び読取部34を有している。容器保持部32は、保持枠36を有している。保持枠36の内寸(矢印W方向の内側寸法)の幅W3は、試薬容器28の外寸の幅W2よりも僅かに長い。
【0034】
保持枠36の内側は、奥行方向に間隔をあけて配置された複数の隔壁38により区画されている。区画領域40のそれぞれの内寸の奥行D3は、試薬容器28の外寸の奥行D2よりも僅かに長い。区画領域40のそれぞれには、試薬容器28の下部が差し込まれるようにしてセットされる。これにより、保持枠36はそれぞれの区画領域40において試薬容器28を保持可能である。保持枠36は複数の区画領域40を有しているので、保持枠36は複数の試薬容器28を保持可能である。容器保持部32は、隔壁38の位置を調整することで、大型の試薬容器28Lを保持することも可能な構造である。
【0035】
保持枠36は、複数の試薬容器28を列状に並べて(本実施形態では奥行方向に並べて)保持可能である。また、保持枠36は、複数の試薬容器28がこのように保持枠36に保持された状態で、試薬容器28のそれぞれの開口部28Aが上向きで、且つバーコード28Bが一定の向き(図示の例では幅方向の左向き)となるように試薬容器28を保持する。また、これにより、複数のバーコード28Bが同一の面内に位置する。
【0036】
読取部34は、駆動機構44、及びバーコードリーダ46を有している。
図9に示すように、制御装置42は、駆動機構44、及びバーコードリーダ46を制御する。さらに、制御装置42は、バーコードリーダ46で読み取ったデータを受信する。制御装置42とバーコードリーダ46とは、通信ケーブル48で接続されている。
【0037】
本実施形態では、駆動機構44は保持枠36の下側に配置されている。駆動機構44は、モータ50、駆動プーリ52、従動プーリ54、及び駆動ベルト56を有している。駆動ベルト56は無端状のベルトであり、駆動プーリ52と従動プーリ54とに巻きかけられている。モータ50が駆動プーリ52を回転させると、駆動ベルト56が循環する。
【0038】
バーコードリーダ46は、保持枠36に保持された試薬容器28の左側、具体的にはバーコード28Bと対向する位置に配置されている。バーコードリーダ46は奥行方向に延在するスライドレール58によって、スライド可能に保持されている。
【0039】
バーコードリーダ46には挟持片60が設けられている。挟持片60は、駆動ベルト56の一部を挟持している。これにより、駆動ベルト56が循環すると、バーコードリーダ46がスライドレール58に案内されながら、奥行方向に移動する。
【0040】
モータ50の駆動は、制御装置42によって制御される。特に本実施形態では、モータ50は、バーコードリーダ46が、保持枠36に保持された試薬容器28のそれぞれのバーコード28Bの位置で停止するように、間欠駆動されるようになっている。
【0041】
図8に示すように、分注ユニット62は、分注ユニット本体64と、複数の分注プローブ66を備えている。分注プローブ66の本数は、反応プレート16の凹部16Aの幅方向における個数と同数であり、本実施形態では8本である。すなわち、8本の分注プローブ66が、凹部16Aの幅方向の間隔と等しい間隔をあけて、分注ユニット本体64に備えられている。それぞれの分注プローブ66は、分注ユニット本体64に対し、上下方向に移動可能である。また、分注ユニット本体64は、筐体12に対し幅方向及び奥行方向に移動可能である。分注ユニット本体64の幅方向及び奥行方向への移動と、分注プローブ66の上下移動とを適切に組み合わせることで、試薬容器28から試薬を反応プレート16の凹部16Aに分注できる。
【0042】
試薬容器28の開口部28Aの開口幅W1は、複数、本実施形態では8本の分注プローブ66を同時に挿入可能とする幅が確保されている。ただし、実際の分注時には、8本の分注プローブ66の全てを同時に挿入する場合に限らず、7本以下の分注プローブ66を挿入してもよい。
【0043】
容器保持部32は、筐体12に対し、図示しないスライド機構により、奥行方向にスライドするようになっている。このスライドにより、容器保持部32を手前側に突出させた状態にすることで、保持枠36への試薬容器28のセットが容易である。そして、試薬容器28がセットされ容器保持部32を奥側へスライドさせることで、筐体12の所定位置に移動させることができる。容器保持部32は、このように筐体12内の所定位置にある状態で、図示しないロック機構によって筐体12に対し固定される。
【0044】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0045】
容器保持部32には、筐体12から手前側に引き出された状態で、試薬容器28がセットされる。試薬容器28がセットされた容器保持部32は、筐体12に対し奥側に押し入れられる。そして、筐体12内の所定位置にある状態で、容器保持部32はロック機構によって筐体12に対し固定される。
【0046】
この状態で、制御装置42は、駆動機構44、及びバーコードリーダ46を制御し、試薬容器28のバーコード28Bの情報を読み取る動作を行う。具体的には、モータ50を駆動することにより、バーコードリーダ46を容器保持部32に対し奥行方向(矢印D方向)に移動させる。読取にあたっては、バーコードリーダ46を奥行方向に移動させながら、バーコード28Bを読み取ってもよいが、本実施形態では、複数の試薬容器28のバーコード28Bの位置でバーコードリーダ46を停止させバーコード28Bを読み取ることが可能である。したがって、バーコードリーダ46を奥行方向に移動させながら、バーコード28Bの位置で停止することなく読み取る場合と比較して、読取精度が高い。
【0047】
本実施形態では、バーコードリーダ46によってバーコード28Bの情報を読み取る場合に、容器保持部32は筐体12に対し固定されている。容器保持部32に保持された試薬容器28も移動しないので、試薬容器28からの液ハネを抑制できる。実質的に、試薬容器28において液ハネは発生しない。
【0048】
特に、本実施形態では、反応プレート16の一連の8個の凹部16Aに対応して、分注ユニット62が8本の分注プローブ66を備えている。そして、試薬容器28の開口部28Aは、8本の分注プローブ66が同時に挿入可能となるように、開口幅W1を広く設定されている。このように広い開口幅W1を有する開口部28Aを備えた試薬容器28を用いている場合であっても、液ハネによる試薬容器28からの液の漏出や飛散を抑制できる。
【0049】
本実施形態では、容器保持部32は、複数の試薬容器28を列状に並べて保持している。したがって、複数の試薬容器28を列状に並べて保持しない構成と比較して、バーコードリーダ46を直線状に移動させる簡易な動作で、バーコード28Bの情報を読み取ることができる。
【0050】
しかも本実施形態では、容器保持部32は、試薬容器28の開口部28Aが上向きで、且つバーコード28Bが一定の向き(幅方向の左向き)に並ぶ姿勢で試薬容器を保持している。バーコードリーダ46は、一定の向きに並んでいるバーコード28Bから情報を読み取る。すなわち、バーコードリーダ46によるバーコード28Bの情報の読み取りを容易とし、且つ分注プローブ66を用いた試薬容器28からの試薬の吸引も容易とすることを両立できる。
【0051】
本実施形態では、情報標識として、バーコード28Bを備えた試薬容器28を例示し、読取部として、このバーコード28Bを読み取るバーコードリーダ46を例示している。情報標識としてバーコード28Bを用いることで、簡易な構成で確実な情報の読み取りが可能である。
【0052】
情報標識としては、バーコード28Bに限定されず、たとえば、試薬に関する情報を表す文字、数字、及び記号等であってもよい。このような文字、数字、記号に対しては、読取部として情報標識を撮像するカメラを用い、カメラによる撮像画像から、試薬に関する情報を得るようにしてもよい。情報標識が文字、数字、及び記号等であっても、情報標識を画像として読み取ることで情報を得るので、読取部の構成が複雑化しない。
【0053】
情報標識としては、画像として読み取ることが可能なものに限定されない。たとえば、試薬に関する情報を電磁的に記録したタグ、一例としてRFID(Radio Frequency Identification)タグ等を用いてもよい。この場合には、読取部として、RFIDタグの読取を行うRFIDリーダを用いればよい。
【0054】
さらに、以下の付記を開示する。
(付記1)
試薬情報が記録された情報標識を備えている複数の試薬容器を保持可能で検査装置の筐体に固定可能な容器保持部と、
前記容器保持部に対し移動し前記情報標識に記録された情報を読み取る読取部と、
を有する情報読取装置。
(付記2)
前記容器保持部は、複数の前記試薬容器を列状に並べて保持する付記1に記載の情報読取装置。
(付記3)
前記容器保持部は、前記試薬容器の開口部が上向きで、且つ前記情報標識が一定の向きに並ぶ姿勢で複数の前記試薬容器を保持し、
前記読取部は、前記一定の向きに並んでいる前記情報標識から前記情報を読み取る付記2に記載の情報読取装置。
(付記4)
前記読取部は、前記容器保持部に保持された前記試薬容器のそれぞれの前記情報標識の位置で停止して前記情報を読み取る付記1~付記3の何れか一項に記載の情報読取装置。
(付記5)
前記読取部は、前記情報標識を画像として読み取る付記1~付記4の何れか一項に記載の情報読取装置。
(付記6)
前記読取部は、前記情報標識としてのバーコードを読み取る付記5に記載の情報読取装置。
(付記7)
試薬情報が記録された情報標識を備えている複数の試薬容器を保持可能で検査装置の筐体に固定可能な容器保持部と、前記容器保持部に対し移動し前記情報標識に記録された情報を読み取る読取部と、を有する情報読取装置と、
前記試薬容器に収容された試薬を用いて調整された検体を分析する分析ユニットと、
を有する分析装置。
(付記8)
前記試薬容器に収容された試薬を分注する複数の分注プローブを備え、
前記容器保持部は、複数の前記分注プローブを同時に挿入可能とする幅の開口部を備えている前記試薬容器を保持する、付記7に記載の分析装置。
(付記9)
複数の前記分注プローブは、前記試薬を受ける反応プレートの複数の凹部に対応した方向及び間隔で配置されている付記8に記載の分析装置。
(付記10)
前記情報読取装置の前記容器保持部は、複数の前記試薬容器を列状に並べて保持する、付記7~9の何れか一項に記載の分析装置。
(付記11)
前記情報読取装置の前記容器保持部は、前記試薬容器の開口部が上向きで、且つ前記情報標識が一定の向きに並ぶ姿勢で複数の前記試薬容器を保持し、
前記読取部は、前記一定の向きに並んでいる前記情報標識から前記情報を読み取る、
付記10に記載の分析装置。
(付記12)
前記情報読取装置の前記読取部は、前記容器保持部に保持された前記試薬容器のそれぞれの前記情報標識の位置で停止して前記情報を読み取る、付記7~11の何れか一項に記載の分析装置。
(付記13)
前記情報読取装置の前記読取部は、前記情報標識を画像として読み取る、付記7~12の何れか一項に記載の分析装置。
(付記14)
前記情報読取装置の前記読取部は、前記情報標識としてのバーコードを読み取る、付記13に記載の分析装置。
【符号の説明】
【0055】
10 分析装置
12 筐体
16 反応プレート
16A 反応プレートの凹部
23 検体プレート
23A 検体プレートの凹部
28 試薬容器
28A 開口部
28B バーコード(識別標識の一例)
30 情報読取装置
32 容器保持部
34 読取部
44 駆動機構
46 バーコードリーダ
50 モータ
52 駆動プーリ
54 従動プーリ
56 駆動ベルト
58 スライドレール
60 挟持片
62 分注ユニット
66 分注プローブ
68 分析ユニット