(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003205
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】洗浄装置、及び検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
G01N35/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103740
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000162478
【氏名又は名称】ミナリスメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝典
(72)【発明者】
【氏名】牧田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓磨
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CC02
2G058CC08
2G058EA02
2G058EA04
2G058FB02
2G058FB12
2G058FB21
2G058FB27
2G058GB10
2G058GE10
(57)【要約】
【課題】本開示は、プレートから漏れた洗浄液が、洗浄装置の内部を汚染しない洗浄装置、及び検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】洗浄装置20は、試薬等が投入される複数の凹部16Hが列状に形成されたプレート16が載置される載置台30と、載置台30に載置されたプレート16の凹部16Hに洗浄液を吐出・吸引して洗浄する洗浄部材22と、載置台30の下方に配置され、底面35が傾斜した受け皿34と、底面35の傾斜下部に形成された排液口44と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬等が投入される複数の凹部が列状に形成されたプレートが載置される載置台と、
前記載置台に載置された前記プレートの前記凹部に洗浄液を吐出・吸引して洗浄する洗浄部材と、
前記載置台の下方に配置され、底面が傾斜した受け皿と、
前記底面の傾斜下部に形成された排液口と、
を備える、洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄部材は、洗浄液を複数の前記凹部へ吐出し前記凹部から洗浄液を吸引する複数のプローブを有し、
前記載置台は、前記プレートの前記凹部を前記プローブの下へ移動させる移動機構を備える、請求項1の洗浄装置。
【請求項3】
前記受け皿は、前記洗浄部材から漏れ出た洗浄液を受ける大きさとされている、
請求項1に記載の、洗浄装置。
【請求項4】
前記受け皿は、前記プレートから零れ出た洗浄液を受ける大きさとされている、
請求項1に記載の、洗浄装置。
【請求項5】
前記受け皿の傾斜下部に溜まった洗浄液を検知する漏液センサと、
前記漏液センサからの信号により、溜まった洗浄液を前記排液口から排出する廃液ポンプと、
をさらに備える、請求項1に記載の、洗浄装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の洗浄装置と、
前記複数の凹部に検査対象物と試薬を供給し、生成された反応物を検査した後に、前記プレートを前記洗浄装置へ搬送する検査機構と、
を備える、検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗浄装置、及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生化学分析、臨床検査等において、マイクロプレート(Microplate)と称される、多数の凹部を有するプレートが用いられる場合がある。このプレートの凹部に、検査対象物と試薬を入れ、混合させることにより各種試験が行われる。
【0003】
また、マイクロプレートを洗浄する装置としては、例えば、非特許文献1、非特許文献2に記載の装置が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】バイオテック株式会社 オートセラウォッシャーAMW-96SXカタログ
【非特許文献2】バイオテック株式会社 傾斜プレート台ユニットカタログ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、非特許文献1に開示されている装置では、プレートを洗浄する場合に、プレートから零れた洗浄液、又は、洗浄液の供給用プローブから垂れた洗浄液が、装置内部を汚損する可能性がある。
【0006】
非特許文献2に開示されている装置は、プレートにおけるウェルの内部の液体をプローブを用いて回収する能力を向上させるため、傾斜したプレート台を備えている。しかし、非特許文献2に開示されている装置では、プレート自体を傾けるため、プレートを把持して搬送する装置において同様の構成を採用した場合に、構成が繁雑となる。
【0007】
本開示は、プレートから漏れた洗浄液が、洗浄装置の内部を汚染しない洗浄装置、及び検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一態様の洗浄装置は、試薬等が投入される複数の凹部が列状に形成されたプレートが載置される載置台と、前記載置台に載置された前記プレートの前記凹部に洗浄液を吐出・吸引して洗浄する洗浄部材と、前記載置台の下方に配置され、底面が傾斜した受け皿と、前記底面の傾斜下部に形成された排液口と、を備える。
【0009】
この態様では、洗浄部材が載置台に載置されたプレートの凹部に洗浄液を吐出・吸引して凹部を洗浄する際に、洗浄液がプレートから漏れても、載置台の下方に配置された受け皿で洗浄液を受けるので、洗浄装置の内部が汚染されない。
【0010】
また、受け皿の底面は傾斜しており、傾斜下部に排液口が形成されているので、受け皿に溜った洗浄液を排液口から装置外部へ排出できる。また、受け皿の底面は傾斜しているものの、プレートの載置台は傾斜していないため、プレート自体が傾けられることはない。そのため、プレートを把持して搬送する装置においても構成を煩雑にせずに適用可能である。
【0011】
第二態様の洗浄装置は、第一態様に記載の洗浄装置において、前記洗浄部材は、洗浄液を複数の前記凹部へ吐出し前記凹部から洗浄液を吸引する複数のプローブを有し、前記載置台は、前記プレートの前記凹部を前記プローブの下へ移動させる移動機構を備える。
【0012】
この態様では、載置台を移動機構でプローブの下へ移動させるので、洗浄液を吐出・吸引するプローブを水平方向に移動させる必要がなく、装置構成がシンプルとなる。また、洗浄液を吐出・吸引するプローブを水平方向に移動させる必要がないため、プローブからの液垂れも少なくなる。
【0013】
第三態様の洗浄装置は、第一態様又は第二態様に記載の洗浄装置において、前記受け皿は、前記洗浄部材から漏れ出た洗浄液を受ける大きさとされている。
【0014】
この様態では、受け皿は、洗浄部材から漏れ出た洗浄液を確実に捕捉できる。
【0015】
第四態様の洗浄装置は、第一態様から第三態様のいずれか一態様に記載の洗浄装置において、前記受け皿は、前記プレートから零れ出た洗浄液を受ける大きさとされている。
【0016】
この様態では、受け皿は、プレートから零れ出た洗浄液を確実に捕捉できる。
【0017】
第五態様の洗浄装置は、第一態様から第四態様のいずれか一様態に記載の洗浄装置において、前記受け皿の傾斜下部に溜まった洗浄液を検知する漏液センサと、前記漏液センサからの信号により、溜まった洗浄液を前記排液口から排出する廃液ポンプと、をさらに備える。
【0018】
この態様では、漏液センサが受け皿の傾斜下部に溜った洗浄液を検知すると、廃液ポンプが駆動して排液口から溜った洗浄液を排出する。このため、受け皿から洗浄液が溢れて洗浄装置を汚染することがない。
【0019】
第六態様の検査装置は、第一態様から第五態様のいずれか一態様に記載の洗浄装置と、前記複数の凹部に検査対象物と試薬を供給し、生成された反応物を検査した後に、前記プレートを前記洗浄装置へ搬送する検査機構と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
本開示により、プレートから漏れた洗浄液が、洗浄装置の内部を汚染しない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】本開示に係る検査装置の構成を示す正面図である。
【
図3】本開示に係る洗浄装置が洗浄対象とするプレートの斜視図である。
【
図4】本開示に係る洗浄装置が洗浄対象とするプレートの側面図である。
【
図8】本開示に係る洗浄装置が有する受け皿の側面断面図である。
【
図9】本開示に係る洗浄装置の動作を説明する図であり、洗浄対象のプレートが載せ部に載置された様子を示す図である。
【
図10】
図9に続けて本開示に係る洗浄装置の動作を説明する図であり、載せ部が水平方向に移動し、プレートの凹部が洗浄される様子を示す図である。
【
図11】
図10に続けて本開示に係る洗浄装置の動作を説明する図であり、載せ部が水平方向に移動し、プレートの凹部が全て洗浄された様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は等価な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0023】
また、各図に示す矢印Hは、鉛直方向であって検査装置10の上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって検査装置10の幅方向を示し、矢印Dは、水平方向であって検査装置10の奥行方向を示す。
【0024】
(構成)
図1は、本開示の実施形態に係る検査装置10を示す斜視図であり、
図2は、検査装置10の内部構成を示す正面図である。
図1、及び
図2に示されるように、本開示に係る検査装置10は、筐体12に格納された搬送装置78、分注ステージ63、分注ユニット62、試薬ユニット72、検体ユニット74、分析ユニット64、を有している。また、検査装置10は、インキュベータ66、タンクエリア76、プレート格納部70A、ディスポーザブルチップ格納部70Bを有している。また、本開示に係る検査装置10では、
図3及び
図4に示されるプレート16が用いられる。なお、搬送装置78、分注ユニット62、試薬ユニット72、検体ユニット74、分析ユニット64、及びインキュベータ66は、本開示に係る検査機構の一例である。
【0025】
本実施形態に係るプレート16は、一例として
図3及び
図4に示されるように、略矩形型の板材の上面に列状に並んだ凹部16Hが、短手方向に8列、長手方向に12行の合計96個有する部材である。このプレート16は、それぞれの凹部16Hに液体の分析試料が入れられた状態で、それぞれの凹部16Hに予め定められた量の液体試薬を供給されることにより、分析試料中に含まれる成分の検査に用いられる。なお、各凹部16Hの大きさ、個数、配列などは、用いられる検査装置10及び分析対象によって適宜決定されるが、一例としてANSI SLAS 1-2004 (R2012)に規定のプレート16が用いられる。
【0026】
プレート16は、プレート格納部70Aに複数用意されており、後述するように、搬送装置78によって各構成の部分に搬送される。また、プレート16は、例えば、凹部16Hに固相化された抗体が入れられた状態で用意されている。
【0027】
搬送装置78は、図示しない制御部によって制御され、
図2に示されるように、検査装置10の内部において、上下方向、幅方向及び奥行方向に移動を可能とするハンドリングユニットを有する装置である。このハンドリングユニットは、プレート16を把持した状態で各方向に移動することでプレート16を搬送する。
【0028】
分注ユニット62は、図示しない制御部によって制御され、
図2に示されるように、複数のディスポーザブルチップが下側に取り付けられた装置である。分注ユニット62に取り付けられた複数のディスポーザブルチップは、それぞれ液体を吸引及び吐出することが可能とされている。また、分注ユニット62は、
図2に示されるように、検査装置10の内部において、上下方向、幅方向及び奥行方向に移動可能とされており、分注ユニット62が液体を吸引した状態で幅方向に移動することにより、液体を搬送することが可能とされている。なお、ディスポーザブルチップは、検査装置10のディスポーザブルチップ格納部70Bにチップボックスに入った状態で複数用意されており、搬送装置78により分注ステージ63に搬送されたのちに使用される。
【0029】
試薬ユニット72には、プレート16の凹部16Hに供給される試薬が用意されている。また、検体ユニット74には、プレート16の凹部16Hに供給される検体が用意されている。これらの試薬及び検体は、分注ステージ63にプレート16が搬送された場合に、分注ユニット62によってプレート16の凹部16Hに搬送され、プレート16の凹部16Hの内部において、例えば、固相化された抗体、検体、及び試薬が混合される。
【0030】
インキュベータ66は、図示しない制御部によって制御され、プレート16を予め定められた温度に保つ箱体である。分注ステージ63から搬送装置78によって搬送され、インキュベータ66の内側に入れられたプレート16は、予め定められた時間だけ収容され、凹部16Hの内部において、固相化された抗体、検体、及び試薬の反応が促進される。インキュベータ66に収容され、固相化された抗体、検体、及び試薬が反応したプレート16は、搬送装置78によってインキュベータ66から後述する洗浄装置20に搬送され、凹部16Hの内部が洗浄される。
【0031】
その後、必要に応じ、プレート16は分注ステージ63へ搬送装置78によって搬送される。そして、分注ステージ63へ搬送されたプレート16の凹部16Hに別の試薬が分注され、そのプレート16が再び分注ステージ63からインキュベータ66へ、搬送装置78によって搬送される。このような、洗浄装置20での凹部16Hの洗浄、分注ステージ63での試薬分注、及び、インキュベータ66での反応促進、が必要回数繰り返されたのち、プレート16は、搬送装置78によって分析ユニット64に搬送される。
【0032】
分析ユニット64は、吸光度計等のセンサを有する装置であり、図示しない制御部によって制御されることでプレート16の凹部16Hの内部において抗体及び試薬と反応して生成されたシグナルを計測する。また、分析ユニット64は、計測したシグナルを図示しない制御部に送信する。そして、制御部は、検体に含まれる諸成分の種類や、含有量等を計測する。
【0033】
タンクエリア76は、
図2に示されるように、後述する洗浄装置20で使用される洗浄液を収容したタンクが格納される。また、洗浄装置20で使用された洗浄液は、排水ホース68Cを通って排水タンク68に溜められる。
【0034】
続いて、本開示に係る検査装置10が有する洗浄装置20について、
図5から
図11を適宜参照しながら説明する。
【0035】
(洗浄装置20)
図5は、本開示に係る洗浄装置20の斜視図であり、
図6は、本開示に係る洗浄装置20の正面図であり、
図7は、本開示に係る洗浄装置20の側面断面図である。
図5から
図7に示される様に、本開示に係る洗浄装置20は、載置台30と、洗浄部材22と、受け皿34と、廃液ポンプ48、を備え、各種部品が底板42の上に配置されている。
【0036】
載置台30は、後述するプレート16が載置され、水平方向に移動する装置であり、水平駆動装置と、載せ部32と、脚部と、を有している。載せ部32は、
図5から
図7に示されるように、奥行方向を長手方向とする略矩形状に形成された板面に、プレート16が嵌まるように凹部が形成された部材である。また、載せ部32は、脚部によって底板42に対して離隔されているとともに、板面には上下方向に貫通する孔32Hが形成されている。また、載せ部32は、溝32Gを有している。なお、脚部は、後述するスライダ54Hと連結されている。
【0037】
水平駆動装置は、
図5及び
図6に示されるように、載せ部32の側方に配置された装置であり、リニアガイドと、モータ50Hと、駆動ベルト51Hと、を有している、本実施形態に係る移動機構の一例である。リニアガイドは、前後方向に延びるレール52Hと、レール52Hに取り付けられ、レール52Hに沿って移動するスライダ54Hとを有している。また、スライダ54Hは、前後方向に延びる向きに配置された駆動ベルト51Hに連結されており、駆動ベルト51Hが、モータ50Hの回転駆動に伴って周回する場合に、スライダ54Hが、前後方向に駆動される。すなわち、水平駆動装置は、載せ部32を水平駆動させる。
【0038】
洗浄部材22は、
図5から
図7に示されるように、載せ部32よりも上方に配置され、載せ部32に載置されたプレート16に対して洗浄液を供給し、また供給された洗浄液を吸入する装置である。より具体的には、洗浄部材22は、上下駆動装置と、複数の供給プローブ24P及び複数の吸引プローブ24Dと、を有している。供給プローブ24P及び吸引プローブ24Dは、本実施形態におけるプローブの一例である。この供給プローブ24Pは、
図7に示されるように、図示しないポンプによってタンクエリア76の洗浄液タンクから洗浄液を供給されており、凹部16Hに洗浄液を吐出する。また、吸引プローブ24Dは、
図7に示されるように、洗浄液の排出チューブと接続されており、図示しないポンプによって、凹部16Hから洗浄液を吸引する。供給プローブ24Pと吸引プローブ24Dの位置は、適宜決定されるが、本実施形態においては、
図7に示されるように、供給プローブ24Pの開口(洗浄液を吐出する側)よりも吸引プローブ24Dの開口(洗浄液を吸引する側)のほうが下方に位置する。本実施形態において、洗浄部材22は、載せ部32に載置されたプレート16の凹部16Hに向けられた場合に、供給プローブ24Pから洗浄液を吐出し、また凹部16Hに溜まった洗浄液を吸引プローブ24Dから吸引する。
【0039】
なお供給プローブ24P及び吸引プローブ24Dは、プレート16の短手方向、すなわち検査装置10の幅方向に複数並んで設けられている。
【0040】
上下駆動装置は、
図5から
図7に示されるように、洗浄部材22の側方に配置された装置であり、リニアガイドと、モータ50Vと、駆動ベルト51Vと、を有している。リニアガイドは、上下方向に延びるレール52Vと、レール52Vに取り付けられ、レール52Vに沿って移動するスライダ54Vとを有している。また、スライダ54Vは、上下方向に延びる向きに配置された駆動ベルト51Vに連結されており、駆動ベルト51Vが、モータ50Vの回転駆動に伴って周回する場合に、スライダ54Vが、上下方向に駆動される。すなわち、上下駆動装置は、洗浄部材22を上下駆動させる。
【0041】
受け皿34は、
図5から
図7に示されるように、板面の上側に載置された部品であり、底面35と、底面35の前後方向及び幅方向を囲う側壁40と、を有している、略矩形状の部品である。また、
図7及び
図8に示されるように、後方の側壁40は、水平方向に貫通するとともに、受け皿34の外側で排水タンク68と繋がる排水ホース68Cと接続された排液口44を有している。このため、後述するように受け皿34に溜まった洗浄液が、排液口44から排水タンク68へと排出される。
【0042】
また、
図8に示されるように、本実施形態において受け皿34の底面35には、漏液センサ46が設けられると共に、水平方向に対して傾いた傾斜部36が形成されている。漏液センサ46は、後述するように、受け皿34に洗浄液が溜まった場合に反応し、洗浄液が受け皿34に溜まっていることを示す信号を、図示しない制御部に送信する。また、傾斜部36は、後側が前側よりも下方となるように傾斜しており、受け皿34に溜まる洗浄液を後方に移動させる。
【0043】
また、廃液ポンプ48は、
図7に示すように、排水ホース68Cの流路の途中に設けられており、図示しない制御部から信号を受け付けた場合に、受け皿34に溜まった洗浄液を排水タンク68に排出する。
【0044】
なお、本実施形態において、受け皿34の幅方向の大きさは、載せ部32に載せられるプレート16の幅方向の大きさよりも大きい又は同じ大きさであり、載せ部32に載せられるプレート16の幅方向の両端は、受け皿34の幅方向の範囲内にある。また、受け皿34の幅方向の大きさは、プレート16に洗浄液を供給及び吸引する供給プローブ24P及び吸引プローブ24Dが幅方向に並ぶ大きさよりも大きく、プレート16に洗浄液を供給及び吸引する供給プローブ24P及び吸引プローブ24Dの幅方向の両端は、受け皿34の幅方向の範囲内にある。
【0045】
また、受け皿34の前方の端は、後述する
図9に示されるように、載置台30が前方に移動した場合の、載せ部32の後端よりも前方に位置する。また、受け皿34の後方の端は、後述する
図11に示されるように、載置台30が後方に移動した場合の、載せ部32の前端よりも後方に位置する。そして、供給プローブ24P及び吸引プローブ24Dは、受け皿34の前後方向の大きさの範囲に配置されている。
【0046】
このように、本実施形態における受け皿34は、プレート16から洗浄液が零れ出た場合、及び、供給プローブ24P及び吸引プローブ24Dから洗浄液が漏れ出た場合に、洗浄液を受けることが可能とされている。言い換えれば、受け皿34は、洗浄部材22から漏れ出た洗浄液を受ける大きさとされると共に、プレート16から零れ出た洗浄液を受ける大きさとされている。
【0047】
続いて、本実施形態に係るプレート16の洗浄の様子について、
図9から
図11を適宜参照しながら説明する。
【0048】
(プレート16の洗浄)
まず試薬等を投入され分析に用いられたプレート16は、
図2に示される搬送装置78によって、
図9に示されるように、洗浄装置20における載置台30の載せ部32に載せられる。なお、この状態では、載せ部32は、水平駆動装置により、駆動範囲における最も前方に移動しており、洗浄部材22よりも手前側に位置している。また、洗浄部材22は、上下駆動装置により、プレート16の上面よりも上方に位置している。
【0049】
次に、
図10に示されるように、載置台30は、プレート16が、洗浄部材22の下方に位置するように、水平駆動装置により奥側に向かって移動する。より具体的には、載置台30は、プレート16の一列の凹部16Hが、供給プローブ24P及び吸引プローブ24Dの下方に位置するように奥側に移動する。また、プレート16が洗浄部材22の下方に位置した状態で、洗浄部材22は、供給プローブ24P及び吸引プローブ24Dが、プレート16の凹部16Hの内側を向くように、上下駆動装置により下方に向かって移動する。
【0050】
そして、
図10において破線で示されたように、吸引プローブ24Dがプレート16の凹部16Hの内側に挿入された状態で、供給プローブ24Pから洗浄液が吐出されると共に、吸引プローブ24Dから洗浄液を含む凹部16Hに溜まった液体が吸引される。これにより、凹部16Hの内部に溜まった残留物が取り除かれ、凹部16Hは、洗浄される。
【0051】
そして、一行分の凹部16Hが洗浄された場合、洗浄部材22が再び上昇する。洗浄部材22が上昇した状態で、載置台30は、洗浄された一行の凹部16Hの隣にある一行の凹部16Hが供給プローブ24P及び吸引プローブ24Dの下方に位置するように再び奥側に向かって移動する。
【0052】
また、上述の洗浄を繰り返すことにより、
図11に示されるように最も奥側に移動した状態となるまで、各行の凹部16Hは、それぞれ洗浄される。このように各行の凹部16Hが洗浄された後は、載置台30は、
図9に示される位置まで前方に移動する。その後、載置台30に載置されている洗浄済みのプレート16は、搬送装置78によって分注ステージ63に搬送され、必要に応じてプレート16の凹部16Hに別の試薬が分注される。
【0053】
(洗浄中の洗浄液の漏出)
ところで、上述のようにプレート16の洗浄を行う場合、供給プローブ24P又は吸引プローブ24Dの管体中に残留した洗浄液が重力によって垂れ、供給プローブ24P又は吸引プローブ24Dから、洗浄液が漏れ出る場合がある。そして、例えば、
図9に示されるように、プレート16が前方に移動している状態、
図11に示されるように、プレート16が後方に移動している状態では、供給プローブ24P又は吸引プローブ24Dから漏れ出た洗浄液は、プレート16を外れて滴下する。
【0054】
また、上述のようにプレート16の洗浄を行う場合、洗浄液がプレート16から零れ出る場合がある。具体的には、
図10に示されるように、吸引プローブ24Dがプレート16の凹部16Hの内側に挿入された状態で、吸引プローブ24Dの吸引が止まった場合、洗浄液は、凹部16Hから溢れ、プレート16から零れ出る。また、供給プローブ24Pから供給される洗浄液が、吸引プローブ24Dの吸引量に対して過大となった場合も同様に、洗浄液は、凹部16Hから溢れ、プレート16から零れ出る。この場合、洗浄液は、吸引プローブ24Dが内側に挿入されている凹部16Hの幅方向外側(
図11における紙面手前側)から零れ出やすい。そしてプレート16から零れ出た洗浄液は、載せ部32を伝い、載せ部32の孔32H、又は溝32Gから下方に滴下する。
【0055】
ここで、本実施形態における洗浄装置20では、載置台30の下方に受け皿34を設けているため、載せ部32から滴下した洗浄液は、受け皿34に溜まる。このため、本実施形態による洗浄装置20によれば、次に示す作用及び効果を得ることができる。
【0056】
(作用効果)
本実施形態の洗浄装置20では、洗浄部材22が載置台30に載置されたプレート16の凹部16Hに洗浄液を供給プローブ24Pが吐出し、吸引プローブ24Dが吸引して凹部16Hを洗浄する。この際に、洗浄液がプレート16から漏れても、載置台30の下方に配置された受け皿34で洗浄液を受けるため、本実施形態の洗浄装置20では洗浄装置20の内部が汚染されない。
【0057】
受け皿34の底面35は傾斜しており、傾斜下部に排液口44が形成されているので、受け皿34に溜った洗浄液を排液口44から検査装置10外部へ排出できる。また、受け皿34の底面35は傾斜しているものの、プレート16の載置台30は傾斜していないため、プレート16自体が傾けられることはない。そのため、プレート16を把持して搬送する装置においても構成を煩雑にせずに適用可能である。
【0058】
また、受け皿34は、底面35に傾斜部36を有しており、傾斜下部に排液口44が形成されているので、受け皿34に溜った洗浄液を排液口44から検査装置10の外部にある排水タンク68へ排出できる。また、本実施形態の洗浄装置20では、載置台30を水平駆動装置で洗浄部材22の下へ移動させるので、洗浄液を吐出する供給プローブ24P及び吸引する吸引プローブ24Dを移動させる必要がなく、装置構成がシンプルとなる。また、洗浄液を吐出する供給プローブ24P及び吸引する吸引プローブ24Dを水平方向に移動させる必要がないため、プローブからの液垂れも少なくなる。
【0059】
また、受け皿34は、洗浄部材22の供給プローブ24P及び吸引プローブ24Dから漏れ出た洗浄液を受ける大きさとされているため、洗浄液を確実に補足できる。
【0060】
また、受け皿34は、プレート16から零れ出た洗浄液を受ける大きさとされているため、洗浄液を確実に捕捉できる。
【0061】
また、本実施形態の洗浄装置20では、漏液センサ46が受け皿34の傾斜下部に溜った洗浄液を検知すると、廃液ポンプ48が駆動して排液口44から溜まった洗浄液を排出する。このため、受け皿34から洗浄液が溢れて洗浄装置20を汚染することがない。
【0062】
(変形例)
なお、上述の説明では、プレート16の幅方向の両端は、受け皿34の幅方向の範囲にあり、また、幅方向に並ぶ供給プローブ24P及び吸引プローブ24Dの幅方向の両端は、受け皿34の幅方向の範囲にあるとされていたが、本実施形態に係る洗浄装置20は、これに限らない。すなわち、受け皿34の幅方向の大きさは、載せ部32に載せられるプレート16の幅、又は供給プローブ24P及び吸引プローブ24Dが幅方向に並ぶ大きさより小さくてもよい。
【0063】
また、上述の説明では、受け皿34の前方の端は、載置台30が前方に移動した場合の、載せ部32の後端よりも前方に位置するとされていたが、本実施形態に係る洗浄装置20は、これに限らない。また、受け皿34の後方の端は、載置台30が後方に移動した場合の、載せ部32の前端よりも後方に位置するとされていたが、本実施形態に係る洗浄装置20は、これに限らない。また、供給プローブ24P及び吸引プローブ24Dは、受け皿34の前後方向の大きさの範囲に配置するとされていたが、本実施形態に係る洗浄装置20は、これに限らない。
【0064】
また、上述の説明では、洗浄装置20の受け皿34には、漏液センサ46を有していたが、本実施形態に係る洗浄装置20は、これに限らない。すなわち、洗浄装置20は、漏液センサ46を有していない構成とされていてもよい。この場合、一例として図示しない制御部は、予め定められた時間間隔で廃液ポンプ48を駆動し、受け皿34に溜まった洗浄液を排出する。
【0065】
また、上述の説明では、洗浄装置20は、廃液ポンプ48を有していたが、本実施形態に係る洗浄装置20は、これに限らない。すなわち、洗浄装置20は、廃液ポンプ48を有していない構成とされていてもよい。この場合、受け皿34に溜まった洗浄液は、排水ホース68Cを自然流下することにより排出される。
【0066】
これらの変形例においても、本実施形態に係る洗浄装置20と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0068】
10 検査装置
12 筐体
16 プレート
16H 凹部
20 洗浄装置
22 洗浄部材
24D 吸引プローブ(プローブの一例)
24P 供給プローブ(プローブの一例)
30 載置台
32 載せ部
34 受け皿
35 底面
36 傾斜部
40 側壁
42 底板
44 排液口
46 漏液センサ
48 廃液ポンプ
50H モータ(移動機構の一例の一部)
50V モータ
51H 駆動ベルト(移動機構の一例の一部)
51V 駆動ベルト
52H レール(移動機構の一例の一部)
52V レール
54H スライダ(移動機構の一例の一部)
54V スライダ
62 分注ユニット
63 分注ステージ
64 分析ユニット
66 インキュベータ
68 排水タンク
68C 排水ホース
70A プレート格納部
70B ディスポーザブルチップ格納部
72 試薬ユニット
74 検体ユニット
76 タンクエリア
78 搬送装置