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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003206
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20241226BHJP
   B25J 9/02 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
G01N35/04 G
B25J9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103741
(22)【出願日】2023-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000162478
【氏名又は名称】ミナリスメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝典
(72)【発明者】
【氏名】牧田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓磨
【テーマコード(参考)】
2G058
3C707
【Fターム(参考)】
2G058CA01
2G058CB08
2G058CB11
2G058CB16
2G058CC02
2G058CD11
2G058CD18
2G058CD23
2G058CF01
2G058CF12
2G058CF17
2G058GB08
3C707AS01
3C707BS03
3C707ES03
3C707ET08
3C707HS27
3C707HT02
(57)【要約】
【課題】搬送装置が停止しブレーキ装置が作用したとき、把持ユニットの移動が容易になる。
【解決手段】搬送装置は、搬送対象物を把持する把持ユニットと、把持ユニットを支持した支持部材を上下方向に移動する第1の移動装置と、を備え、第1の移動装置には、モータと、モータの停止時にモータにブレーキをかけるブレーキ装置とが設けられ、支持部材には、ブレーキ装置のブレーキ解除を行うブレーキ解除スイッチが設けられている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を把持する把持ユニットと、
前記把持ユニットを支持した支持部材を上下方向に移動する第1の移動装置と、
を備え、
前記第1の移動装置には、モータと、前記モータの停止時に前記モータにブレーキをかけるブレーキ装置とが設けられ、
前記支持部材には、前記ブレーキ装置のブレーキ解除を行うブレーキ解除スイッチが設けられている、
搬送装置。
【請求項2】
前記支持部材に設けられ、第1の水平方向に移動する第2の移動装置と、
前記第2の移動装置に設けられ、前記把持ユニットを搭載し前記第1の水平方向と直交する第2の水平方向に前記把持ユニットを移動する第3の移動装置と、
が設けられている、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送対象物は、分析装置に用いられ検体の分析に使用されるプレートである、
請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置として、例えば、特許文献1に記載の分析装置に設けられた搬送装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-111118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この搬送装置は、検体の分析に使用するプレートを把持する把持ユニットと、この把持ユニットを所定箇所へ移動させる移動装置で構成されている。
この種の搬送装置では、検体の分析中に何らかの支障が生じた場合、自動的に移動装置を駆動するモータにブレーキを掛け、把持ユニットを停止させるブレーキ装置を移動装置に設ける場合がある。
そして、停止後、把持ユニットを手動で移動させ支障を解消するためには、ブレーキを解除する必要がある。
【0005】
本開示は、移動装置が停止しブレーキ装置が作用したとき、把持ユニットの移動を容易にする搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る搬送装置は、搬送対象物を把持する把持ユニットと、前記把持ユニットを支持した支持部材を上下方向に移動する第1の移動装置と、を備え、前記第1の移動装置には、モータと、前記モータの停止時に前記モータにブレーキをかけるブレーキ装置とが設けられ、前記支持部材には、前記ブレーキ装置のブレーキ解除を行うブレーキ解除スイッチが設けられている。
【0007】
第1の態様に係る搬送装置では、把持ユニットで搬送対象物を把持することができ、第1の移動装置により、把持ユニットを支持した支持部材を上下方向に移動することができる。即ち、把持ユニットで把持した搬送対象物を上下方向に移動することができる。
【0008】
第1の移動装置には、モータの停止時に、モータにブレーキをかけるブレーキ装置が設けられているため、モータの停止時に、自重や外力によるモータの回転を抑制することができる。即ち、モータの停止時に、把持ユニットを支持した支持部材が自重で動いてしまうことが抑制される。
【0009】
モータの停止時に把持ユニットを支持した支持部材を動かすには、ブレーキ解除スイッチを操作してブレーキを解除する。これにより、外力によりモータを容易に回転させることができる。したがって、把持ユニットを支持した支持部材に設けられたブレーキ解除スイッチを操作することで、支持部材を手動により上下方向に容易に動かすことができる。言い換えれば、ブレーキ解除スイッチが動かす対象である支持部材に設けられているので、ブレーキ解除スイッチの操作と、支持部材の移動操作とを同時に行うことが容易となる。
【0010】
さらに、第1の態様に係る搬送装置では、ブレーキ解除スイッチが把持ユニットを支持した支持部材に設けられているため、ブレーキ解除スイッチが支持部材以外の部位に設けられている場合に比較して、ブレーキ解除スイッチを操作しつつ支持部材を操作し易い。
【0011】
第2の態様に係る搬送装置は、第1の態様に係る搬送装置において、前記支持部材に設けられ、第1の水平方向に移動する第2の移動装置と、前記第2の移動装置に設けられ、前記把持ユニットを搭載し前記第1の水平方向と直交する第2の水平方向に前記把持ユニットを移動する第3の移動装置と、
が設けられている。
【0012】
第2の態様に係る搬送装置では、支持部材に設けられた第2の移動装置が、第1の水平方向に移動する。また、第2の移動装置に設けられた第3の移動装置が、第1の水平方向と直交する第2の水平方向に把持ユニットを移動する。
したがって、第2の態様に係る搬送装置では、第1の移動装置、第2の移動装置、及び第3の移動装置を用い、把持ユニットを、上下方向、第1の水平方向、及び第1の水平方向と直交する第2の水平方向に移動することができる。
【0013】
第3の態様に係る搬送装置は、第1の態様、または第2の態様に記載の搬送装置において、前記搬送対象物は、分析装置に用いられ検体の分析に使用されるプレートである。
【0014】
第3の態様に係る搬送装置では、分析装置に用いるプレートを把持ユニットで把持して搬送することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本開示の搬送装置によれば、移動装置が停止しブレーキ装置が作用したとき、把持ユニットの移動が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の一実施形態に係る分析装置を示す斜視図である。
図2】分析装置に用いる反応プレートを示す斜視図である。
図3】分析装置に用いる検体プレートを示す斜視図である。
図4】分析装置の内部構成の概略を示す正面図である。
図5】搬送装置を示す斜視図である。
図6】把持ユニットを示す斜視図である。
図7】前後移動装置を示す斜視図である。
図8】把持ユニット、前後移動装置、左右移動装置、及び上下移動装置の一部を示す斜視図である。
図9】把持ユニット、前後移動装置、左右移動装置、及び上下移動装置の一部を示す斜視図である。
図10】把持ユニット、前後移動装置、左右移動装置、及び上下移動装置の一部を示す装置下側から見た斜視図である。
図11】本実施形態の分析装置の制御系を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図11を用いて、本開示の一実施形態に係る分析装置10について説明する。
図1には、本開示の一実施形態に係る分析装置10が示されている。
図1に示すように、分析装置10は箱状の筐体12を有している。図面において、X軸は筐体12の左右の幅方向、Y軸は筐体12の前後方向、Z軸は筐体12の上下方向を示している。また、矢印Fは、分析装置10の正面(前面)方向を示している。
【0018】
筐体12の装置正面側には、上扉12A、両開きとなる一対の下扉12Bが設けられている。
【0019】
図2には、分析装置10において検体の分析に使用される反応プレート16が、図3には同じく分析装置10において検体の分析に使用される検体プレート23がそれぞれ示されている。
【0020】
図2に示すように、反応プレート16の上面には、複数(本実施形態では、8×12=96個)の凹部16Aが形成されている。これらの凹部16Aには予め一次抗体が固相化されている。
【0021】
図3に示すように、検体プレート23の上面には、反応プレート16の上面と同様に、複数(本実施形態では、8×12=96個)の凹部23Aが形成されている。これらの凹部23Aには検査を行う検体(液体の試料)が入れられる。
【0022】
分析装置10は、検体プレート23の凹部23Aに入れられた検体の成分を分析する装置である。
【0023】
次に、図4にしたがって、筐体12の内部の概略構成を説明する。
筐体12の内部には、反応プレート16が格納されるプレート棚(格納部)24、及び、検体プレート23が格納される検体エリア34が設けられている。
【0024】
筐体12の内部には、さらに、分注ユニット30、分注ステージ32、試薬庫36、精製水・洗浄ボトル(図示省略)を収容するタンクエリア38、洗浄ユニット40、検出部42、インキュベータ44等が設けられている。
【0025】
分注ユニット30は、検体プレート23の凹部23Aに入れられた検体を吸引し、吸引した検体を反応プレート16の凹部16Aに分注する。
【0026】
インキュベータ44は、反応プレート16を所定温度、且つ所定時間で保温する。これにより、一次抗体と検体中の抗原との反応(一次反応)が促進される。一次反応により、一次抗体と抗原との免疫複合体が生成される。
【0027】
洗浄ユニット40は、洗浄液を反応プレート16の凹部16Aに吐出する。次いで、洗浄ユニット40は、凹部16Aから洗浄液を含む混合液を吸引し、凹部16A内の不純物を除去する。
【0028】
分注ユニット30は、試薬庫36の試薬容器(図示せず)から酵素標識抗体(標識化二次抗体)液を吸引し、吸引した酵素標識抗体液を反応プレート16の凹部16Aに分注する。分注ステージ32は、搭載した反応プレート16を振動させて酵素標識抗体液を撹拌する。インキュベータ44は、さらに、反応プレート16を所定温度、且つ所定時間で保温する。これにより、一次反応により生成された、一次抗体と抗原との免疫複合体と、酵素標識抗体との反応(二次反応)が促進される。洗浄ユニット40は、さらに、洗浄液を反応プレート16の凹部16Aに吐出する。次に、洗浄ユニット40は、凹部16Aから洗浄液を含む混合液を吸引し、凹部16A内の不要な酵素標識抗体を除去する。
【0029】
また、分注ユニット30は、試薬容器から発色基質液を吸引し、吸引した発色基質液を反応プレート16の凹部16Aに分注する。分注ステージ32は、搭載した反応プレート16を振動させて発色基質液を撹拌する(発色基質分注動作)。
【0030】
また、インキュベータ44は、反応プレート16を所定温度、且つ所定時間で保温する。これにより、二次反応で生成された免疫複合体に含まれる標識と発色基質との反応(発色反応)が促進され、発色基質液が発色する。
【0031】
分注ユニット30は、試薬容器から反応停止液を吸引し、反応プレート16の凹部16Aに分注する。分注ステージ32は、搭載した反応プレート16を振動させて反応停止液を撹拌する。これにより、免疫複合体に含まれる標識と発色基質との反応(発色反応)が停止される。
【0032】
検出部42は、反応プレート16の凹部16Aに所定の波長の光を投光する。そして、凹部15A内の溶液の吸光度を測定する。測定により、検体を分析すること、すなわち検体中の抗原量を知ることができる。
【0033】
(搬送装置)
図4に示すように、筐体12の内部には、搬送装置50が設けられている。搬送装置50は、反応プレート16、及び検体プレート23等を把持して装置内で搬送することができる装置である。搬送装置50は、反応プレート16、及び検体プレート23等を側面から把持可能な図6に示す把持ユニット52を備えている。
【0034】
図4、及び図5に示すように、搬送装置50は、把持ユニット52を搭載し、分析装置10の前後方向(Y軸方向。本開示の第2の水平方向の一例。)に移動する第3の移動装置の一例としての前後移動装置54、前後移動装置54を搭載し前後移動装置54を分析装置10の左右方向(X軸方向本開示の第1の水平方向の一例。)に移動する第2の移動装置の一例としての左右移動装置56、及び左右移動装置56を上下方向(Z軸方向)に移動する本開示の第1の移動装置の一例としての上下移動装置58を含んで構成されている。
【0035】
(把持ユニット)
図6に示すように、把持ユニット52は、搬送対象物の一例としての反応プレート16、及び検体プレート23を側部から把持可能な一対のハンド60を備えている。一対のハンド60は、装置前後方向に沿って延びており、モータ62Aを含んで構成されたアクチュエータ62で互いに接離する方向(装置幅方向)に開閉動作する。
【0036】
(前後移動装置)
図7に示すように、前後移動装置54は、装置前後方向(Y軸方向)に延びるベース板64に、レール66、及びラック68が取り付けられている。レール66には、直線スライドベアリング70がスライド自在に取り付けられており、この直線スライドベアリング70に把持ユニット52(図7では、図示省略)が搭載されている。
【0037】
把持ユニット52には、ラック68と噛み合うピニオンギヤ72を回転させる前後移動用モータ74が設けられており、この前後移動用モータ74を回転させることで把持ユニット52(図7では、図示省略)を装置前後方向(Y軸方向)に移動させることができる。
【0038】
(左右移動装置)
図8、及び図9に示すように、左右移動装置56は、装置左右方向(X軸方向)に延びる水平アーム76の上部に装置左右方向(X軸方向)に延びるレール78が取り付けられている。レール78には、直線スライドベアリング80がスライド自在に取り付けられており、この直線スライドベアリング80の上に前後移動装置54のベース板64が取り付けられている。
【0039】
図10に示すように、水平アーム76には、長手方向両側にタイミングプーリー82A、82Bが回転自在に取り付けられており、一方のタイミングプーリー82Aと他方のタイミングプーリー82Bとにタイミングベルト84が掛け渡されている。
【0040】
タイミングプーリー82Aは、水平アーム76に回転自在に設けられた軸86に固定されており、この軸86には、タイミングプーリー88が固定されている。
【0041】
水平アーム76には、左右移動用モータ90が取り付けられており、この左右移動用モータ90の回転軸にタイミングプーリー92が固定されている。タイミングプーリー88とタイミングプーリー92にはタイミングベルト94が掛け渡されており、左右移動用モータ90を回転させることで、タイミングベルト94を回転駆動させることができる。
【0042】
図9、及び図10に示すように、タイミングベルト84には、金具96を介して前後移動装置54のベース板64が接続されており、タイミングベルト94を左右移動用モータ90で回転駆動することで、把持ユニット52を搭載した前後移動装置54を装置左右方向(X軸方向)に移動させることができる。
【0043】
(上下移動装置)
図5、及び図8に示すように、上下移動装置58は、上下方向(Z軸方向)に延びるレール98、及び送りネジ100を備えている。
【0044】
レール98は、筐体12の内面側に取り付けられており、このレール98に、直線スライドベアリング102がスライド自在に取り付けられている。
【0045】
図8に示すように、直線スライドベアリング102にはベース板104が縦に取り付けられており、このベース板104に、左右移動装置56の水平アーム76の端部が固定されている。
【0046】
ベース板104には、送りネジ100に螺合するナット(図示せず)を内蔵し、該回転ナットを回転自在に支持する軸受106が取り付けられている。
【0047】
図10に示すように、送りネジ100の下端側には、タイミングプーリー108が固定されている。
【0048】
さらに、べース板104には、軸受106に隣接して上下移動用モータ110が取り付けられている。
【0049】
本実施形態の上下移動用モータ110は、モータの一例としてのパルスモータ110Aと、ブレーキ装置110Bとを含んで構成されている。本実施形態のブレーキ装置110Bは、いわゆる電磁ブレーキであり、本実施形態では、モータ回転停止時(モータを回転させるパルス信号の入力が停止している場合)に作動してブレーキが掛かるようになっている。
【0050】
上下移動用モータ110のパルスモータ110Aの回転軸には、タイミングプーリー112が取り付けられている。
【0051】
送りネジ100に固定されたタイミングプーリー108とパルスモータ110Aの回転軸に取り付けられたタイミングプーリー112には、タイミングベルト114が掛け渡されている。
【0052】
このため、上下移動用モータ110を回転させると、送りネジ100が回転し、ナットを内蔵した軸受106が送りネジ100に沿って移動し、これにより、把持ユニット52、前後移動装置54、及び左右移動装置56が上下方向に移動する。
【0053】
本実施形態の上下移動用モータ110は、モータ停止時においてブレーキ装置110Bが作動しているため、モータ停止時においては、上下移動装置58で支持している左右移動装置56(把持ユニット52、及び前後移動装置54含む)の自重による落下は抑制される。
【0054】
図11に示すように、アクチュエータ62の配線、前後移動用モータ74の配線、左右移動用モータ90の配線、上下移動用モータ110のパルスモータ110Aの配線、ブレーキ装置110Bの配線は、分析装置10の各部(例えば、分注ユニット30、分注ステージ32、洗浄ユニット40、検出部42、インキュベータ44等)を制御する制御装置116に接続されている。
【0055】
なお、制御装置116は、パルスモータ110Aを回転させる際にはブレーキ装置110Bのブレーキを解除し、パルスモータ110Aを停止している際にはブレーキ装置110Bでブレーキをかけるようにブレーキ装置110Bを制御している。
【0056】
制御装置116には、ブレーキ解除スイッチ118が接続されている。本実施形態のブレーキ解除スイッチ118は、モーメンタリタイプの押しボタンスイッチである。パルスモータ110Aの回転が停止している際、ブレーキ解除スイッチ118を押下している間は、制御装置116は、ブレーキがかからないようにブレーキ装置110Bの作動を制御する。したがって、本実施形態の搬送装置50では、ブレーキ解除スイッチ118を押下している間は、パルスモータ110Aを外力により容易に回転させることが可能となり、水平アーム76を手動で上下方向に容易に移動させることが可能となる。
【0057】
図4、5、8に示すように、本実施形態では、ブレーキ解除スイッチ118が、水平アーム76の装置正面(前面)側の側面に取り付けられている。
【0058】
なお、制御装置116には、分析装置10の動作を指示する操作パネル120、及び分析装置10の動作を停止する緊急停止スイッチ122が接続されている。
【0059】
一例として、緊急停止スイッチ122は、緊急時に操作し易いように、筐体12の前面、または操作パネル120等に設けることができる。
【0060】
(作用、効果)
次に、本実施形態の分析装置10における搬送装置50の動作の一例、例えば、プレート棚24に格納された反応プレート16を、分注ステージ32に搬送する際の動作について説明する。なお、分析装置10の分析動作は、操作パネル120を操作することで開始することができる。
【0061】
(1) 先ず、左右移動装置56、及び上下移動装置58が作動し、把持ユニット52がプレート棚24に格納された反応プレート16の正面に移動する。
【0062】
(2) 次に、アクチュエータ62が作動し、一対のハンド60が開き、その後、前後移動装置54が作動して把持ユニット52が装置奥側へ移動し、一対のハンド60が反応プレート16の側部に配置される。
【0063】
(3) 次に、アクチュエータ62が作動し、一対のハンド60で反応プレート16の側面を挟持する。
【0064】
(4) 次に、前後移動装置54が作動し、反応プレート16を挟持した把持ユニット52が装置正面側へ移動し、反応プレート16がプレート棚24から取り出される。
【0065】
(5) 次に、左右移動装置56、及び上下移動装置58が作動し、把持ユニット52が分注ステージ32の正面に移動する。
【0066】
(6) 次に、前後移動装置54が作動し、反応プレート16を挟持した把持ユニット52が装置奥側へ移動し、反応プレート16が分注ステージ32の上に配置される。
【0067】
(7) 次に、アクチュエータ62が作動して一対のハンド60が開き、反応プレート16が分注ステージ32の上に載置された後、前後移動装置54が作動して把持ユニット52が装置正面側へ移動する。
以上により、反応プレート16の搬送が終了する。
【0068】
ところで、緊急停止スイッチ122が押下(スイッチオン)された場合、及び搬送装置50が自動停止した場合は、搬送装置50の各モータの回転が停止する。
【0069】
上下移動用モータ110のパルスモータ110Aの回転が停止すると、反応プレート16を挟持した把持ユニット52、及び前後移動装置54を搭載した水平アーム76の自由落下を防止するため、ブレーキ装置110Bが作動してブレーキがかかる。そのため、外力によりパルスモータ110Aを回転させることは困難になり(パルスモータ110Aの回転軸がロックされるため)、把持ユニット52、及び前後移動装置54を支持した水平アーム76を手動で上下に動かすことは困難になる。
【0070】
パルスモータ110Aの回転が停止している状態で、水平アーム76を強制的に手動で動かしたい場合には、下扉12Bを開けて装置内部を解放し、ブレーキ解除スイッチ118を押下しながら水平アーム76に対して動かしたい方向(上方向、又は下方向)の外力を加える。モーメンタリスイッチであるブレーキ解除スイッチ118を押下している間はブレーキの解除が続くので、ブレーキ解除スイッチ118を押下している間はパルスモータ110Aを外力で回転させることが可能となり、水平アーム76を手動で容易に上下に動かすことが可能となる。
言い換えれば、ブレーキ解除スイッチ118が動かす対象である水平アーム76に設けられているので、ブレーキ解除スイッチ118の操作と、水平アーム76の上下動の移動操作とを同時に行うことが容易となる。
【0071】
本実施形態のブレーキ解除スイッチ118は、水平アーム76の正面側の側面に設けられているので、装置正面側からブレーキ解除スイッチ118を押下しながら水平アーム76を把持して水平アーム76を容易に動かすことができるので、操作性がよい。
【0072】
[その他の実施形態]
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0073】
上記実施形態では、ブレーキ解除スイッチ118が水平アーム76の装置正面側の側面に設けられていたが、ブレーキ解除スイッチ118は、操作が容易な部位であれば水平アーム76以外の搬送装置50における上下に移動する部材に設けてもよい。
【0074】
上記実施形態では、ブレーキ解除スイッチ118が押しボタンスイッチであったが、本開示はこれに限らず、ブレーキ解除スイッチ118は、トグルスイッチ、スライドスイッチ、ロッカースイッチ等、押しボタンスイッチ以外の他の形式のスイッチであってもよい。
【0075】
上記分析装置10に用いるモータは、パルスモータに限らず、回転軸の回転角度を制御可能なサーボモータ等であってもよい。
【0076】
上記実施形態の搬送装置50は、反応プレート16、及び検体プレート23を把持して搬送する装置であったが、搬送装置50が搬送する対象は反応プレート16、及び検体プレート23に限らず、本開示の搬送装置の搬送対象は、反応プレート16、及び検体プレート23以外のものであってもよい。即ち、本開示の搬送装置は、分析装置10以外にも適用可能である。
【0077】
ブレーキをかけるモータは、搬送対象物を上下方向に移動する際に用いるモータに限らず、搬送対象物を上下方向とは異なる方向へ移動する際に用いるモータであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 分析装置
16 反応プレート(プレート)
23 検体プレート(プレート)
50 搬送装置
52 把持ユニット
54 前後移動装置(第3の移動装置)
56 左右移動装置(第2の移動装置)
58 上下移動装置(第1の移動装置)
76 水平アーム(支持部材)
110A パルスモータ(モータ)
110B ブレーキ装置
118 ブレーキ解除スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11