(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025032273
(43)【公開日】2025-03-11
(54)【発明の名称】薬物送達のための注入デバイス及び注入デバイスのためのパッケージ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20250304BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20250304BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250304BHJP
【FI】
A61M5/31 534
A61K38/17
A61K39/395 M
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024216182
(22)【出願日】2024-12-11
(62)【分割の表示】P 2022513501の分割
【原出願日】2020-09-02
(31)【優先権主張番号】62/895,456
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/018,141
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミスマー,ワエル
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジェシカ・ハイ
(72)【発明者】
【氏名】ブーレル,ディラン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,チア-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】デビット,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】シャローブ,ケネス・ジー
(72)【発明者】
【氏名】デサイ,テージ
(72)【発明者】
【氏名】デュー,マッツ・ショート
(72)【発明者】
【氏名】ビトン,アントニー
(72)【発明者】
【氏名】ケシシアン,アリン
(72)【発明者】
【氏名】バッリ-クルス,チェルシー
(72)【発明者】
【氏名】ビュルケル,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】オーバ,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ギアーギュイ,マラク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バレルとフランジとを有するシリンジと、フランジに隣接してシリンジと結合されるように構成される戻り止めとを含む注入デバイスを提供する。
【解決手段】戻り止めは、シリンジの少なくとも一部分の周りに概ね延びる内面を含み、内面は、少なくとも1つの突起150を含み、少なくとも1つの突起150は、内面から離れて延び、且つフランジ及び/又はバレルに係合して、内面とシリンジとの間の空間を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入デバイスであって、
バレルとフランジとを有するシリンジと、
前記フランジに隣接して前記シリンジと結合されるように構成される戻り止めであって、前記シリンジの少なくとも一部分の周りに概ね延びる内面を有し、前記内面は、少なくとも1つの突起を含み、前記少なくとも1つの突起は、前記内面から離れて延び、且つ前記フランジ及び/又は前記バレルに係合して、前記内面と前記シリンジとの間の空間を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される、戻り止めと
を含む注入デバイス。
【請求項2】
前記戻り止めは、少なくとも2つの突起を含み、前記少なくとも2つの突起は、前記内面から離れて延び、且つ前記フランジ及び/又は前記バレルに係合して、前記内面と前記シリンジとの間の前記空間を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項3】
前記戻り止めは、少なくとも3つの突起を含み、前記少なくとも3つの突起は、前記内面から離れて延び、且つ前記フランジ及び/又は前記バレルに係合して、前記内面と前記シリンジとの間の前記空間を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される、請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項4】
前記戻り止めは、少なくとも4つの突起を含み、前記少なくとも4つの突起は、前記内面から離れて延び、且つ前記フランジ及び/又は前記バレルに係合して、前記内面と前記シリンジとの間の前記空間を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される、請求項3に記載の注入デバイス。
【請求項5】
前記戻り止めは、少なくとも5つの突起を含み、前記少なくとも5つの突起は、前記内面から離れて延び、且つ前記フランジ及び/又は前記バレルに係合して、前記内面と前記シリンジとの間の前記空間を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される、請求項4に記載の注入デバイス。
【請求項6】
前記戻り止めは、少なくとも7つの突起を含み、前記少なくとも7つの突起は、前記内面から離れて延び、且つ前記フランジ及び/又は前記バレルに係合して、前記内面と前記シリンジとの間の前記空間を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される、請求項5に記載の注入デバイス。
【請求項7】
前記戻り止めの前記内面は、前記シリンジの前記バレルの少なくとも一部分の周りに延び、及び前記少なくとも1つの突起は、前記シリンジの前記バレルに係合する、請求項1~6のいずれか一項に記載の注入デバイス。
【請求項8】
前記戻り止めは、前記バレルの少なくとも一部分の周りに概ね延びる前記内面を画定するカラー部を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の注入デバイス。
【請求項9】
前記カラー部は、前記シリンジにスナップフィット関係で係合するように構成される、請求項8に記載の注入デバイス。
【請求項10】
前記シリンジバレルは、軸線を画定し、及び前記少なくとも1つの突起は、前記軸線と概ね平行に延びるリブである、請求項1~9のいずれか一項に記載の注入デバイス。
【請求項11】
前記戻り止めは、前記フランジの少なくとも一部分を受け入れるための空洞を画定する、請求項1~10のいずれか一項に記載の注入デバイス。
【請求項12】
前記戻り止めは、前記空洞を画定する対向表面を含む、請求項11に記載の注入デバイス。
【請求項13】
前記戻り止めの前記内面は、前記空洞を画定する前記対向表面を含み、及び前記少なくとも1つの突起は、前記対向表面の少なくとも1つから離れて延びる、請求項12に記載の注入デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの突起は、上部対向表面における少なくとも1つの突起と、下部対向表面における少なくとも1つの突起とを含む、請求項13に記載の注入デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの突起は、前記上部対向表面における少なくとも2つのリブと、前記下部対向表面における少なくとも2つのリブとを含む、請求項14に記載の注入デバイス。
【請求項16】
注入デバイスであって、
バレルを有するシリンジと、
前記シリンジを受け入れ且つ/又は支持するように構成されるパッケージであって、空洞表面と、前記空洞表面から離れて延びる少なくとも1つの突起とを含み、前記少なくとも1つの突起は、前記シリンジの前記バレルに係合して、前記空洞表面と前記シリンジとの間の空間を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される、パッケージと
を含む注入デバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの突起は、少なくとも2つの突起を含む、請求項16に記載の注入デバイス。
【請求項18】
前記少なくとも2つの突起は、前記シリンジにスナップフィット関係で係合するように構成される、請求項17に記載の注入デバイス。
【請求項19】
注入デバイスであって、
バレルと、前記バレル内に少なくとも部分的に受け入れられるプランジャロッドとを有するシリンジと、
前記シリンジを受け入れ且つ/又は支持するように構成されるパッケージであって、空洞表面を含み、前記空洞表面は、前記シリンジの前記バレルに係合し、且つ前記プランジャロッドの移動を阻止及び/又は制限するように構成される少なくとも1つの停止表面を画定する、パッケージと
を含む注入デバイス。
【請求項20】
前記パッケージは、前記空洞表面から離れて延びる少なくとも1つの突起を更に含み、前記少なくとも1つの突起は、前記シリンジの前記バレルに係合して、前記空洞表面と前記シリンジとの間の空間を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される、請求項19に記載の注入デバイス。
【請求項21】
前記シリンジは、薬剤を収容するプレフィルドシリンジである、請求項1~20のいずれか一項に記載の注入デバイス。
【請求項22】
前記薬剤は、VEGF阻害剤を含む、請求項21に記載の注入デバイス。
【請求項23】
前記VEGF阻害剤は、非抗体VEGF阻害剤を含む、請求項22に記載の注入デバイス。
【請求項24】
前記VEGF阻害剤は、VEGFトラップを含む、請求項22に記載の注入デバイス。
【請求項25】
前記VEGFトラップは、アフリベルセプトを含む、請求項24に記載の注入デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2019年9月3日に出願された米国仮特許出願第62/895,456号明細書及び2020年4月30日に出願された米国仮特許出願第63/018,141号明細書に対する優先権が主張され、これらの出願の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、薬物送達のための注入デバイス及び注入デバイスのためのパッケージに関する。より具体的には、本開示は、概して、注入デバイスのための戻り止めであって、注入デバイスのグリップ、使用性及び/又は人間工学的な設計を向上させ、且つ/或いはプランジャロッド及び/又は注入デバイス若しくは注入デバイスを識別、固定及び/若しくは保持するためのパッケージと関連付けられたストッパ構成要素の不意の移動を低減又は阻止する戻り止めに関する。
【背景技術】
【0003】
当技術分野で周知のように、シリンジは、患者に薬剤を投与するために使用される医療送達デバイスである。シリンジは、多くの場合、設定用量の薬剤がその中に予め提供されるプレフィルド形態又は薬剤の投与が望まれるときに最終使用者によってバイアル若しくは他の薬剤の供給源から充填されるようになっている空の状態のいずれかで市販されている。
【0004】
シリンジは、多くの場合、薬剤を保持するように適合されたバレル部を含む。バレルの遠位端は、バレル内に収容された薬剤を送達するために、多くの場合、先の尖った針カニューレ又は尖ったところのない端部を有するカニューレなど、従来の穿孔要素を含み且つ/又はそれらと嵌合するように構成される。穿孔要素は、鋼、プラスチック又は任意の他の適切な材料で作製され得る。プランジャロッドは、シリンジバレルの開放近位端を通して挿入され得、バレルの内部内に実質的に流体密状態で取り付けられたエラストマー状又はゴム状のストッパ要素とのプランジャロッドの係合により、使用者は、プランジャに手動力を加え、穿孔要素を通して薬剤を送達することができる。フランジは、多くの場合、使用者によるデバイスの操作を容易にするための指置きの形態としてシリンジバレルの開放遠位端の周りにも提供される。シリンジは、戻り止め又はシリンジのグリップ、使用性及び/若しくは人間工学的な設計を向上させるためにフランジと結合又は接続された構成要素(「戻り止め」としても知られる)も含み得る。より具体的な例として、戻り止めは、フランジの長さよりも長い半径方向長さを有し得、それによりグリップ面の長さを効果的に延長する。戻り止め及び/又はプランジャロッドは、同様に又は代わりに、プランジャロッド及び/又はストッパ構成要素の不意の移動を低減又は阻止し得る。より具体的な例として、戻り止め及び/又はプランジャロッドは、構成要素を有し得る。この構成要素は、互いに係合して、プランジャロッドが移動し得る後退方向の最大点を画定する。
【0005】
薬剤の完全性及び患者の安全性の両方のために、シリンジの構成要素を十分に滅菌することが望ましい場合がある。滅菌は、充填前段階(例えば、空のバレル及び/又はプランジャの滅菌)及び充填後段階(例えば、組み立て済みのプレフィルドシリンジの外部滅菌)を含む組立プロセスのいくつかの段階で行われ得る。外部滅菌は、典型的には、プレフィルドシリンジが充填され、完全に組み立てられ、その最終パッケージの少なくともいくつかの部分に配置された後に行われる。米国連邦規則では、特定の眼科適用などのいくつかの使用適用に関して、特定の条件、パラメータ及び/又は結果下での外部滅菌が要求される場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
外部滅菌は、設計上の課題となる場合がある。例えば、薬剤は、滅菌及び/又は温度、ガス、放射など、その条件に敏感な場合がある。更に、特に薬剤の感度の観点において、シリンジ及び/又はその構成要素の所望の又は必要なレベルの滅菌を達成することが困難な場合がある。より具体的な例として、シリンジ及び/又はパッケージの様々な構成要素間の表面の相互作用により、シリンジに対して実施される外部滅菌工程時に効果的及び/又は完全に滅菌されない可能性のある閉塞空間が作成又は助長される場合がある。より具体的な例として、シリンジと戻り止めとの間及び/又はシリンジとパッケージとの間の表面の相互作用により、閉塞空間が作成又は助長される場合がある。有効レベルの滅菌ガスがある領域に達することを閉塞空間が阻止するか又は妨げる場合、その領域は、効果的に滅菌されない可能性がある。滅菌ガスがある領域からパージされることを閉塞空間が阻止するか又は妨げる場合、治療前に既に視覚的に易感染性の患者などの患者は、表在性眼感染症又は眼内炎などのより重篤な状態を発症するおそれがある。したがって、シリンジの全ての関連部分及び構成要素の適切なレベルの滅菌を達しつつ、薬剤の完全性を維持することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、既存の注入デバイス及びそのパッケージに対する有利な代替手段を具現化し、本明細書で述べられる課題又は必要性の1つ以上に対処することができると共に、他の利益及び利点を提供することができる注入デバイスについて説明する。
【0008】
バレルとフランジとを有するシリンジと、フランジに隣接してシリンジと結合されるように構成される戻り止めとを含む注入デバイスが提供される。戻り止めは、シリンジの少なくとも一部分の周りに概ね延びる内面を有し得、内面は、少なくとも1つの突起を含み、少なくとも1つの突起は、内面から離れて延び、且つフランジ及び/又はバレルに係合して、内面とシリンジとの間の空間を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される。
【0009】
注入デバイスは、少なくとも2つの突起を含み得、少なくとも2つの突起は、内面から離れて延び、且つフランジ及び/又はバレルに係合して、内面とシリンジとの間の空間を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される。注入デバイスは、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ又は別の適切な数などの別の数の突起も含み得る。
【0010】
注入デバイスは、バレルの少なくとも一部分の周りに概ね延びる内面を画定するカラー部を含み得る。注入デバイスは、同様に又は代わりに、シリンジにスナップフィット関係で係合するように構成され得る。
【0011】
少なくとも1つの突起は、シリンジの軸線と概ね平行に延びるリブであり得る。
【0012】
戻り止めは、フランジの少なくとも一部分を受け入れるための空洞を画定し得る。空洞は、空洞を画定する対向表面を含み得、及び少なくとも1つの突起は、対向表面の少なくとも1つから離れて延び得る。少なくとも1つの突起は、上部対向表面における少なくとも1つの突起と、下部対向表面における少なくとも1つの突起とを含み得る。更に又は代わりに、少なくとも1つの突起は、上部対向表面における少なくとも2つのリブと、下部対向表面における少なくとも2つのリブとを含み得る。
【0013】
注入デバイスは、VEGF阻害剤などの薬剤を収容するプレフィルドシリンジであり得る。例えば、VEGF阻害剤は、非抗体VEGF阻害剤であり得る。別の例として、非抗体VEGF阻害剤は、VEGFトラップであり得る。VEGFトラップは、アフリベルセプトであり得る。
【0014】
注入デバイスは、同様に又は代わりに、シリンジを受け入れ且つ/又は支持するように構成されるパッケージであって、空洞表面と、空洞表面から離れて延びる少なくとも1つの突起とを含み、少なくとも1つの突起は、シリンジのバレルに係合して、空洞表面とシリンジとの間の空間を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される、パッケージを含み得る。
【0015】
注入デバイスは、同様に又は代わりに、シリンジを受け入れ且つ/又は支持するように構成されるパッケージであって、空洞表面を含み、空洞表面は、シリンジのバレルに係合し、且つプランジャロッドの移動を阻止及び/又は制限するように構成される少なくとも1つの停止表面を画定する、パッケージを含み得る。
【0016】
本開示は、以下の説明を付属の図面と併せて解釈することでより詳細に理解されるものと考えられる。図面のいくつかは、他の要素をより明確に示すために、選択した要素を省略することにより簡略化される場合がある。一部の図面におけるこうした要素の省略は、対応する本明細書で明確に記述される場合を除き、例示的実施形態のいずれかにおける特定の要素の有無を必ずしも示すものではない。更に、いずれの図面も、必ずしも正確な縮尺で示されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の態様による、バレル(部分的に示される)と、フランジと、プランジャロッド(部分的に示される)と、戻り止めとを有するシリンジを有する例示的な注入デバイスの斜視図である。
【
図2A】本開示の態様による、バレルと、フランジと、戻り止めとを有する別の例示的な注入デバイスの斜視図である。
【
図2B】バレル及びフランジから分離された戻り止めを示す、
図2Aに示されるデバイスの分解斜視図である。
【
図2C】バレル(部分図)及び戻り止めを示す、
図2Aに示されるデバイスの正面図である。
【
図2D】
図2Aに示される戻り止め及びシリンジの底面図である。
【
図3A】本開示の態様による、バレルと、フランジと、戻り止めとを有する別の例示的な戻り止めを上から見た斜視図である。
【
図3B】
図3Aに示される戻り止めを下から見た斜視図である。
【
図4A】本開示の態様による、バレルと、フランジと、戻り止めとを有する別の例示的な戻り止めを上から見た斜視図である。
【
図4B】
図4Aに示される戻り止めを下から見た斜視図である。
【
図5A】本開示の態様による、バレル(部分的に示される)と、フランジと、戻り止めとを有する別の例示的な注入デバイスの斜視図である。
【
図6A】本開示の態様による、バレル(部分的に示される)と、フランジと、戻り止めとを有する別の例示的な注入デバイスの斜視図である。
【
図7A】本開示の態様による、バレル(部分的に示される)と、フランジと、戻り止めとを有する別の例示的な注入デバイスの斜視図である。
【
図8A】本開示の態様による、バレル(部分的に示される)と、フランジと、戻り止めとを有する別の例示的な注入デバイスの斜視図である。
【
図9A】本開示の態様による別の例示的な注入デバイスの斜視図である。
【
図10A】本開示の態様による、例えば注入デバイスの外部滅菌中に注入デバイスを固定及び/又は保持するために使用され得る例示的なパッケージの斜視頂面図である。
【
図10C】例示的な注入デバイスを有する、
図10に示されるパッケージの斜視頂面図である。
【
図11】本開示の態様による、例えば注入デバイスの外部滅菌中に注入デバイスを固定及び/又は保持するために使用され得る別の例示的なパッケージの斜視頂面図である。
【
図12A】本開示の態様による、例えば注入デバイスの外部滅菌中に注入デバイスを固定及び/又は保持するために使用され得る、上部保護カバーが取り外された別の例示的なパッケージの頂面図である。
【
図12B】上部保護カバーが所定の位置にある、
図12Aに示される例示的なパッケージの頂面図である。
【
図13A】外部滅菌プロセス中及び後にガス閉塞の影響を特に受けやすい可能性のあるシリンジの領域を強調した、
図1のシリンジの様々な斜視図を示す。
【
図13B】外部滅菌プロセス中及び後にガス閉塞の影響を特に受けやすい可能性のあるシリンジの領域を強調した、
図1のシリンジの様々な斜視図を示す。
【
図13C】外部滅菌プロセス中及び後にガス閉塞の影響を特に受けやすい可能性のあるシリンジの領域を強調した、
図1のシリンジの様々な斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、概して、使用者が薬物を投与するために又は患者が使用者である場合に薬物を自己投与するために、安全且つ確実に作動させることができる注入デバイスに関する。より具体的には、本開示は、概して、シリンジと、シリンジを受け入れ且つ/又は支持するように構成される戻り止め並びに/又はパッケージを含む注入デバイスに関する。注入デバイスは、薬剤を収容するプレフィルドシリンジなどのシリンジであり得る。これらの構成要素は、別々の場合又は一緒の場合を問わず、外部滅菌工程に好適であり得る。より具体的な例として、これらの構成要素を別々に又は一緒に用いると、製造業者又は使用者が、薬剤に対する望ましくない効果を最小限にするか又は回避しつつ、所望の汚染微生物数死滅水準を利用することを可能にし得る。
【0019】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、最小の有効数字の+/-10%を意味する。
【0020】
当技術分野で周知の戻り止めとシリンジとの間の係合により、滅菌ガスは、各戻り止めとシリンジとの間の閉塞空間又は部分閉塞空間に到達できず、それによりこれらの表面を完全又は適切に滅菌し損なう場合がある。加えて又は代わりに、滅菌ガスは、これらの閉塞空間又は部分閉塞空間から効果的にパージされず、それによりチャンバにおける指定された滅菌工程以上に薬物を滅菌ガスに曝露させる場合がある。これらの状況のいずれか及び/又は両方は、望ましくない場合がある。より具体的な例として、
図13A~
図13Cは、シリンジバレル及びフランジの様々な図を含み、特に閉塞の影響を受けやすい可能性のあるその表面は、暗いシェーディングで示され、参照番号11c(バレル11の近位セクション)及び参照番号12c(フランジ12の近位セクション)で示される。例えば、フランジ上面12c及びバレル外部表面11cは、当技術分野で周知の戻り止めとそれぞれ係合することにより、特に閉塞の影響を受けやすい可能性がある。
【0021】
図1は、概して、近位開放端11aと、遠位端11b(
図2A、
図2B、
図12A及び
図12B)と、空洞13と、フランジ部12と、プランジャロッド16と、ストッパ構成要素18(
図12A及び
図12B)と、戻り止め20とを有するバレル11を有するシリンジ10などの注入デバイス10の斜視図である。
【0022】
シリンジバレル遠位端11bは、針又は患者への流体路を完成させるための他の適切な構成要素を含み且つ/又は支持する。例えば、シリンジバレル遠位端は、ルアーロック構成要素17(
図2A及び
図2B)及び/又はルアーロック構成要素17を覆う保護キャップ19(
図12A)を含み得る。使用前に、ルアーロック構成要素17が針を受け入れることができるように、保護キャップ19が取り外され得る。シリンジバレル近位端11a(
図2Aを参照されたい)は、ストッパ構成要素18を遠位方向15に押して、シリンジ10から薬物を排出するためのプランジャロッド16を受け入れ得る。例えば、ストッパ構成要素18は、空洞13と流体密関係を形成することができる一方、空洞13に沿って遠位方向15に移動し、シリンジ10の遠位端から薬物を押し動かすこともできる。プランジャロッド16は、遠位方向15におけるプランジャロッド16の移動距離を制限し、且つ/又は使用者がプランジャロッド16を押すことをより簡単にするために、プランジャロッド16の本体部分よりも大きい直径を有するプランジャロッド端部14を含み得る。プランジャロッド16は、一方向構成要素であり得、プランジャロッドは、ストッパに固定的に接続されないため、プランジャロッド16が近位方向(遠位方向15の逆)に移動する場合、ストッパ18は、プランジャロッド16と共に移動しない。
【0023】
図12A及び
図12Bは、ブリスターパック9などのパッケージ9内に配置されたシリンジ10(集合的に梱包されたシリンジ8)を示す。パッケージ9は、ベース部9aと、ベース部9aにわたって実質的若しくは完全に延び、且つ/又はベース部9aに封止されたTyvekカバー9bなどのカバー9b(
図12B)とを含む。Tyvekカバー9bは、Tyvekカバー9bの取り外しをより簡単にするために、一方の側などの少なくとも1つの部分においてベース部9aの枠の外側に延び得る。更に又は代わりに、ベース部9aは、簡単な取り外しを促すために、Tyvekカバー9bによって密閉されないタブ部9cを含み得る。
【0024】
シリンジバレル11は、プラスチック、ガラス又は任意の適切な材料で作製され得る。より具体的な例として、シリンジバレルは、以下の材料:特定グレードのポリプロピレン(ホモポリマー及び/又はコポリマーポリプロピレン)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)又は他の適切な材料の少なくとも1つ以上を含むプラスチック材料で作製され得る。より具体的な例として、シリンジバレルは、シクロオレフィンポリマー(COP)で作製され得る。
【0025】
戻り止め20は、シリンジのグリップ、使用性及び/又は人間工学的な設計を向上させるためにシリンジ10と結合又は接続され得る。フランジ12は、シリンジバレル11の直径よりも大きい直径を含み得、使用中に使用者がシリンジ10を操作することを可能にする指置きとしての役割を果たし得る。例えば、使用者は、自らの親指を使用してプランジャロッド端部14を押している間、自らの指の2本以上をフランジ12に載せることができる。より具体的な例として、フランジ部を効果的に延ばし、それによりグリップ面の長さを延ばすために、戻り止め20は、フランジ部12と結合され得る。更により具体的な例として、特に眼科適用などのシリンジの特定用途では、シリンジのグリップ、使用性及び/又は人間工学的な設計を向上させるために、使用者は、より大きい有効グリップ面を有することが望ましい場合がある。しかしながら、製造及び配送中の空間の制約、標準的なシリンジ/フランジ構成を使用する規模の利点のために、フランジ部12の大きさを増大させることが望ましくない場合がある。更に、シリンジは、拡大したフランジサイズを有するシリンジに適応できない外形を有するオートインジェクタにおいて一般に使用される。したがって、製造プロセスの時点でシリンジに取り付け且つ/又は結合させることができる戻り止め構成要素などの追加の構成要素を有することが望ましい場合がある。
【0026】
戻り止めは、任意の適切な材料から製造され得る。例えば、戻り止めは、ポリプロピレン(「PP」)又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(「ABS」)から成形され得る。ABSは、PP及び他の材料よりも硬いという利点を有し得、戻り止めがより軽量になり得る。より具体的な例として、戻り止めがPPで作製される場合、それは、厚さ1.5mmの最低壁厚を有し得る一方、戻り止めがABSで作製される場合、それは、1mmの最低壁厚を有し得る。
【0027】
戻り止め20は、シリンジ10に対するストッパ構成要素18の不意の移動を制限、限定、低減又は阻止するためにも用いられ得る。例えば、戻り止め20は、プランジャロッド16の不意の移動を低減又は阻止するためにフランジ12上に嵌合され得る。例えば、
図1に示すように、戻り止め20は、ロック面34を有し得、ロック面34は、プランジャロッド16に係合し、これらの2つの構成要素間の遠位方向15における相対運動を制限又は阻止する。より具体的な例として、プランジャロッド16は、ロックリング16aを有し得、ロックリング16aは、プランジャロッド16の残りの部分よりも大きい直径を有するが、空洞よりも小さい直径を有し、戻り止め20のロック面34は、ロックリング16aが戻り止め20を越えて近位方向に移動することができないように、ロックリング16aよりも小さい直径を有し得る。この構成は、プランジャロッド16の近位方向の移動を制限するように機能するであろう。
【0028】
上記の理由及びおそらく他の理由から、使用者は、一般に、シリンジ10を使用する前に戻り止め20を取り外さない。
【0029】
製造及び/又は組立プロセス時に注入デバイスを外部滅菌することが望ましい場合及び/又は規制によって求められる場合がある。更に、プレフィルドシリンジのいくつかの用途(特定の眼科用途など)では、外部滅菌が求められる。例えば、21 CFR 200.50は、「眼科用製剤及びディスペンサは、無菌とすべきである」と示している。更に、ANSI/AAMI ST67:2011/(R)2017には、「健康ケア製品の滅菌 - 「無菌」とラベル付けされる製品の無菌性保証水準(SAL)を選択するための要件及びガイダンス」が記載されており、セクション4.1.1は、「一般に、健康ケア製品の最終滅菌には10~6のSAL値が使用されている」と記載している。更に、ST67及びEN556-1:2006の付録Aは、以下のように記載している:「医療デバイスの滅菌 - 医療デバイスが「無菌」と示されるための要件 - パート1:最終滅菌される医療デバイスの要件」...セクション4.1:「最終滅菌される医療デバイスが「無菌」と示されるために、デバイス上/内に生存微生物が存在する理論上の確率は、1×10-6以下とすべきである」。したがって、汚染微生物数が1×10-6(例えば、1×10-6)未満であることが望ましく且つ/又は求められる場合がある。
【0030】
したがって、本明細書に開示される実施形態は、これらのタイプの用途において特に有利である。本明細書で使用する場合、「外部滅菌」及び/又は「外部滅菌する」という用語は、注入デバイスが組み立てられた後の注入デバイスの滅菌プロセスを指す。例えば、図に示される注入デバイスは、シリンジ10(空洞13内に薬物を有する)、プランジャロッド16、戻り止め20及び保護キャップ(図示せず)が全て組み立てられた後に外部滅菌され得る。外部滅菌プロセス時、注入デバイスは、典型的には、滅菌チャンバ内に配置され、所定の時間長及び他の指定条件(温度及び圧力など)においてエチレンオキサイド(EtO)、二酸化窒素(NO2)、蒸発させた過酸化水素(VPHP)、二酸化炭素(CO2)、二酸化塩素又は任意の他の適切なガスなどの滅菌ガスに曝される。その後、滅菌サイクル後、滅菌ガスは、チャンバからパージされ、別の所定の時間長及び他の指定条件(温度及び圧力など)において、注入デバイスは、チャンバ内に留まる(滅菌ガスを実質的又は完全に有しない)。
【0031】
図2A~
図2Hは、
図2A~
図2Cに示すようなシリンジ10と共に用いられ得る別の例示的な戻り止め120を示す。戻り止め120は、概して、シリンジ10の少なくとも一部分の周りに延びるカラー部130と、使用者が取り扱い且つ/又は把持するための外部グリップ部140と、戻り止めとシリンジとの間の空間を通る空気流を可能にするか又は促進するのに役立つ隆起部150などの少なくとも1つの突起と、シリンジフランジ12の少なくとも一部分を受け入れるための空洞160と、プランジャロッド16が戻り止め120を通して延びることを可能にする開口部170とを含み得る。
【0032】
図2D~
図2Hに最もよく示されるようなカラー部130は、シリンジ10の少なくとも一部分の周りに延びる内面132を画定する。より具体的な例として、内面132は、シリンジ10のバレル11の周囲の大部分の周りに延びる概ね環状の面である。更により具体的な例として、内面132は、バレル11の遠位部11cの周囲の大部分の周りに延び、この部分は、
図13A~
図13Cで強調されている。いくつかの形態では、内面132によって包囲されるバレル11の周囲の「部分」は、バレル11の領域の周囲の一部分、バレル11の領域の周囲全体又はバレル11の表面の任意の他の離散的領域であり得る。内面132は、バレル11と概ね同じ曲率を有し得、内面132の長さにわたってバレル11の周りに延び得る。
図2Dに示すように、内面132は、戻り止め120がシリンジ10と結合することを可能にする、カラー130及び内面132がカラー130の開口部134にわたって途切れる場所を除いて概ね円形/環状の状態でカラー130の内面に延び得る。より具体的な例として、開口部134により、シリンジ10が戻り止め120にスナップフィット構成で接触するまでシリンジ10を戻り止め120に向かって(又は逆に)摺動させることにより、戻り止め120がシリンジ10を受け入れることを可能にする。別の例として、内面132は、バレル11の周囲の周りに約270度にわたって延びる。カラー130の軸方向長さ(バレル11の軸線に沿って測定した)は、約5ミリメートルであるが、他の適切な長さを有し得る。カラー130の軸方向長さが増加するにつれて、シリンジ10と戻り止め120との間の接続がより確実なものになり得る。同様に又は代わりに、カラー130の軸方向長さが増加するにつれて、重心は、軸方向長さの中点から更に遠くに離れ得る。それにより、製造中に戻り止め120を方向付けることがより容易になる。より具体的な例として、シリンジを自動で組み立てること及びシェーキングトレイ内の複数の戻り止め構成要素を同様に方向付けて製造プロセスを簡素化するために、パン又はボウルなどの「シェーカ」又は「フィーダ」受け口を用いることが望ましい場合がある。フィーダボウルは、例えば、受け口の側壁に沿って螺旋路軌道を備える中央受け口を有し得、螺旋路軌道は、側壁を通して受け口の上縁(ここで、部品は、組立ステーションに供給され得る)に向かって上方に部品を運ぶ。多くの場合、フィーダボウルは、構成要素の重心が構成要素の軸方向長さの中点から少なくともある程度の距離離れており、それにより全て又は実質的に全ての構成要素が構成要素の「重い方」に向かって反転する場合により信頼性が高くなり且つ/又は効果的である。戻り止め120の重心は、
図2Fにおいて参照番号136によって示される。更に、フィーダは、多くの場合、部品が(少なくとも1つ又は2つの軸線に沿って)何らかの非対称特徴を有する場合により信頼性が高くなり、フィーダは、不適切に方向付けられた部品をボウルに戻すように押しやることができる軌道縁部又はパターンを有する。この場合、軌道縁部又はパターン特徴は、ゲートとしての役割を果たす。即ち、部品が正しい向きにある場合、部品は、この特徴と相互作用しないが、部品が誤った向きにある場合、部品は、この特徴と相互作用し、落下してボウル内に戻される。
【0033】
上述のように、戻り止め120は、シリンジ10のフランジ12よりも大きい把持面を使用者に提供する。より具体的な例として、
図2A及び
図2Bに示されるフランジ部12は、最大幅12aが約13ミリメートルであり、及びバレル11直径が約9.5ミリメートルである、概ね楕円形又は長円形の構成を有する。したがって、フランジ部12は、フランジ部12の各側に約2ミリメートルの有効グリップ面を有する。これに比べて、戻り止め120は、最大幅120aが約34ミリメートル、カラー幅130b(
図2D及び
図2H)が約12ミリメートルである。したがって、戻り止め120の外部グリップ部140は、カラー130の各側に約11ミリメートルの有効グリップ面を有する。
【0034】
外部グリップ部140は、戻り止め120の頂面144に対してマイナス約25度の角度142(
図2C)を有する。したがって、外部グリップ部140は、シリンジ軸線11dに対して115度の角度を有する。シリンジ軸線11dに対する外部グリップ部140の角度は、使用者が外部グリップ部140に対する十分なグリップを有することを可能にするために、180度よりも90度により近い(即ち135度以下)ことが望ましい場合がある。外部グリップ部140がシリンジ軸線11dに対して125度以下、又は120度以下、又は115度以下などのより小さい角度を有することがより望ましい場合がある。外部グリップ部140は、リブ又は相対的に高い摩擦係数を有する材料などの滑り止め又はグリップ強化特徴も含み得る。
【0035】
上述のように、戻り止め120は、カラー内面132がシリンジ10から離れるようにシリンジ10に係合する少なくとも1つの隆起部150などの少なくとも1つの突起も含み得る。より具体的な例として、戻り止め内面132は、少なくとも1つの突起150を含み得、少なくとも1つの突起150は、内面132から離れて延び、且つフランジ12及び/又はバレル11に係合して、内面132とシリンジ10との間の空間152を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される。
図2A~
図2Hにおいて、戻り止めは、5つの隆起部150a、150b、150c、150d及び150eを含み、5つの隆起部150a、150b、150c、150d及び150eは、カラー内面132の周りで概ね互いに離れており、より好ましくは戻り止め120とシリンジ10との間に5点係合を形成するように概ね互いに等しく離れている。しかしながら、1つ、又は2つ、又は3つ、又は4つ、又は5つ、又は6つ、又は7つ、又は8つ、又は9つ、又は10個以上などの任意の適切な隆起部が使用され得る。隆起部150は、戻り止め120のカラー内面132に一体形成され得るか、又は隆起部150は、カラー内面132に取り付けられた別個の構成要素であり得る。いずれの場合にも、隆起部150は、内面132とシリンジ10との間に空間152を設けつつ、協働して、戻り止め120とシリンジ10との間の比較的確実な嵌合を可能にし得る。例えば、隆起部150は、スナップフィット関係でバレル11に係合し得る。図に示される隆起部150a、150b、150c、150d及び150eは、シリンジ軸線11dと概ね平行であるが、これらは、別の構成を有し得る。図に示される隆起部150a、150b、150c、150d及び150eは、
図2Eに示すようにカラー130の全高138に沿って延び得るか、又は隆起部150a、150b、150c、150d及び150eは、カラー130の高さの一部分のみに沿って延び得る。
【0036】
内面132とシリンジ10との間の空間152(
図2D)を通る空気流を可能にすることにより、戻り止め120とシリンジ10とは、協働して、カラー内面132とバレル又はフランジとの間の任意の閉塞領域を最小限にするか又は排除する。例えば、一実施形態において、隆起部150は、カラー内面132がバレル11に係合する部分のみにある。
【0037】
代わりに、
図2A~
図2Hに示される戻り止め120の突起は、内面132とシリンジ10との間の空間152を通る空気流を可能にする任意の適切な構成を有し得る。例えば、一実施形態において、突起は、概ね円形の塊、こぶ又は他の非線形の突起と入れ替えられ得る。より具体的な例として、戻り止め120の突起は、
図4A及び
図4Bに示される塊と類似の形状及びサイズを有し得るが、空洞内の代わりにカラー130上に配置され得る。
【0038】
上述のように、戻り止め120は、シリンジフランジ12の少なくとも一部分を受け入れるための空洞160を含む。より具体的な例として、空洞は、対向表面162、164(
図2E及び
図2F)によって画定される。
図2Cに示すように、対向表面162と対向表面164との間の距離は、対向表面162、164の少なくとも1つとフランジ12の上面及び下面との間に隙間166が存在するように、フランジ12の軸方向高さより大きいことができる。より具体的な例として、
図2Cに示される隙間166は、下対向表面162とフランジ12の下面との間にあるが、他の構成では、同様の隙間は、上対向表面164とフランジの頂面との間に存在し得るか又はフランジ12の両側(上部及び下部)に存在し得る。隙間166及び本明細書に記載される他の類似の隙間は、空気流を通すか若しくは促し、且つ/又は閉塞空間を阻止若しくは低減するために有利な場合がある。
【0039】
空洞160は、好ましくは、カラー130とバレル11との間の確実な係合を促すためにフランジ12全体を受け入れるような形状及び大きさにされる。また、空洞160は、製造を簡略化及び/又は改善するために、フランジ12を任意の向きで受け入れるような形状及び大きさにされ得る。例えば、空洞160は、任意の向きにおけるその最大幅を有するフランジ12を受け入れるような形状及び大きさにされ得る。より具体的な例として、空洞160の最小幅は、フランジが任意の向きで挿入され得、且つ/又はフランジ12が戻り止め120内で自由に回転し得るように、フランジ12の最大幅よりも少なくともわずかに大きいことができる。
【0040】
上述したように、開口部170は、プランジャロッド16が戻り止め120を通して延びることを可能にする。開口部170は、ロックリング16aが、開口部170を画定する表面に当接又は係合するとき以外、プランジャロッド16の自由な移動を可能にするような大きさにされ得る。より具体的な例として、開口部170は、
図1の参照番号16で示されるプランジャロッドの部分(即ちプラスの形状の断面を有するプランジャロッドのセクション)の直径又は幅よりも少なくともわずかに大きい直径又は幅を有し得るが、開口部170の直径又は幅は、ロックリング16aの直径又は幅よりも少なくともわずかに小さく、それにより、プランジャロッド16が、
図1に示される地点を越えて近位方向に移動することを阻止又は制限する。
【0041】
図3A~
図3Bは、任意の適切な薬物送達デバイス、例えば前述の図に示されるシリンジ10などのシリンジと共に用いられ得る別の例示的な戻り止め220を示す。戻り止め220は、概して、シリンジ10の少なくとも一部分の周りに延びるカラー部230と、使用者が取り扱い且つ/又は把持するための外部グリップ部240と、戻り止めとシリンジとの間の空間を通る空気流を可能にするか又は促進するのに役立つ隆起部250などの少なくとも1つの突起と、シリンジフランジ12の少なくとも一部分を受け入れるための空洞260と、プランジャロッド16が戻り止め220を通して延びることを可能にする開口部270とを含み得る。戻り止め220は、
図2A~
図2H及びそれを説明する対応する段落に記載される特徴又は他の適切な特徴を含み得る。更に、戻り止め220は、空洞260に延びる少なくとも1つの突起255を更に含む。より具体的な例として、戻り止め220は、空気流を空洞260内に通すか又は促すために、それぞれフランジ12の様々な部分に係合し、当接し、且つ/又は隣接して配置される複数の隆起部255a、255b、255c及び255dを含む。この構成は、空洞260を画定する上対向表面と下対向表面との間の空間又は隙間を回避し得るか又は最小限にし得る。それにより、場合によりシリンジ10と戻り止め220との間のより確実な接続を提供する一方、閉塞した空気空間も最小限にするか又は低減する。
【0042】
図4A~
図4Bは、任意の適切な薬物送達デバイス、例えば前述の図に示されるシリンジ10などのシリンジと共に用いられ得る別の例示的な戻り止め320を示す。戻り止め320は、概して、シリンジ10の少なくとも一部分の周りに延びるカラー部330と、使用者が取り扱い且つ/又は把持するための外部グリップ部340と、戻り止めとシリンジとの間の空間を通る空気流を可能にするか又は促進するのに役立つ隆起部350などの少なくとも1つの突起と、シリンジフランジ12の少なくとも一部分を受け入れるための空洞360と、プランジャロッド16が戻り止め320を通して延びることを可能にする開口部370とを含み得る。戻り止め320は、
図2A~
図2H及びそれを説明する対応する段落に記載される特徴又は他の適切な特徴を含み得る。更に、戻り止め320は、空洞360に延びる少なくとも1つの突起355を更に含む。より具体的な例として、戻り止め320は、空洞の対向表面から延びる複数の塊を含む。更により具体的な例として、
図4A~
図4Bに示される戻り止め320は、合計8つの塊を示し、4対が参照番号355a、355b、355c及び355dによって示される。塊の各対は、空気流を空洞360内に通すか又は促すために、フランジ12の様々な部分に係合し、当接し、且つ/又は隣接して配置される。この構成は、空洞360を画定する上対向表面と下対向表面との間の空間又は隙間を回避し得るか又は最小限にし得る。それにより、場合によりシリンジ10と戻り止め320との間のより確実な接続を提供する一方、閉塞した空気空間も最小限にするか又は低減する。
【0043】
図5A~
図5Eは、任意の適切な薬物送達デバイス、例えば前述の図に示されるシリンジ10などのシリンジと共に用いられ得る別の例示的な戻り止め420を示す。戻り止め420は、概して、シリンジ10の少なくとも一部分の周りに延びるカラー部430と、使用者が取り扱い且つ/又は把持するための外部グリップ部440と、戻り止めとシリンジとの間の空間を通る空気流を可能にするか又は促進するのに役立つ隆起部450などの少なくとも1つの突起と、シリンジフランジ12の少なくとも一部分を受け入れるための空洞460と、プランジャロッド16が戻り止め420を通して延びることを可能にする開口部470とを含み得る。戻り止め420は、
図2A~
図2H及びそれを説明する対応する段落に記載される特徴又は他の適切な特徴を含み得る。
図5Aに示されるカラー430は、
図2A~
図2Hに示されるカラー高さ138よりも低い高さ438(例えば、軸線11dに沿った長さ)を有する。上述のように、より高いカラー高さは、ある利点を有し得、より低いカラー高さは、他の利点を有し得るが、両方又はいずれかの設計が好適であり得る。戻り止め420の重心は、
図5Cにおいて参照番号436によって示される。同様に又は代わりに、より低いカラーは、シリンジバレルへのより良好なアクセスを提供するため、自らの指で戻り止めを把持するよりも、むしろバレルを把持することの方を好む使用者にとってより低いカラー高さ138が有利な場合がある。より具体的な例として、ある使用者は、使用者の指の前面が外部グリップ部440に係合するよりも、むしろ使用者の指の背面が外部グリップ部440に係合するように、シリンジをバレルで握ることの方を好む可能性がある。
【0044】
図6A~
図6Eは、任意の適切な薬物送達デバイス、例えば前述の図に示されるシリンジ10などのシリンジと共に用いられ得る別の例示的な戻り止め520を示す。戻り止め520は、概して、シリンジ10の少なくとも一部分の周りに延びるカラー部530と、使用者が取り扱い且つ/又は把持するための外部グリップ部540と、戻り止めとシリンジとの間の空間を通る空気流を可能にするか又は促進するのに役立つ隆起部550などの少なくとも1つの突起と、シリンジフランジ12の少なくとも一部分を受け入れるための空洞560と、プランジャロッド16が戻り止め520を通して延びることを可能にする開口部570とを含み得る。戻り止め520は、
図2A~
図2H及びそれを説明する対応する段落に記載される特徴又は他の適切な特徴を含み得る。戻り止め520の重心は、
図6Cにおいて参照番号536によって示される。外部グリップ部540は、水平線(即ち軸線に垂直な線)に対して約マイナス15度の角度542を有する。したがって、外部グリップ部540は、シリンジ軸線11dに対して105度の角度を有する。シリンジ軸線11dに対する外部グリップ部540の角度は、使用者が外部グリップ部540に対する十分なグリップを有することを可能にするために、180度よりも90度により近い(即ち135度以下)ことが望ましい場合がある。外部グリップ部540がシリンジ軸線11dに対して125度以下、又は120度以下、又は115度、又は105度以下などの小さい角度を有することがより望ましい場合がある。外部グリップ部540は、リブ又は相対的に高い摩擦係数を有する材料などの滑り止め又はグリップ強化特徴も含み得る。
図6Eに示すように、戻り止め520は、材料費及び部品重量を低減するために切出部580を有する。
【0045】
図7Aは、任意の適切な薬物送達デバイス、例えば前述の図に示されるシリンジ10などのシリンジと共に用いられ得る別の例示的な戻り止め620を示す。戻り止め620は、概して、シリンジ10の少なくとも一部分の周りに延びるカラー部630と、使用者が取り扱い且つ/又は把持するための外部グリップ部640と、戻り止めとシリンジとの間の空間を通る空気流を可能にするか又は促進するのに役立つ隆起部650などの少なくとも1つの突起と、シリンジフランジ12の少なくとも一部分を受け入れるための空洞660と、プランジャロッド16が戻り止め620を通して延びることを可能にする開口部670とを含み得る。戻り止め620は、
図2A~
図2H及びそれを説明する対応する段落に記載される特徴又は他の適切な特徴を含み得る。戻り止め620の重心は、
図7Cにおいて参照番号636によって示される。外部グリップ部640は、水平線(即ち軸線に垂直な線)に対して約マイナス15度の角度642を有する。したがって、外部グリップ部640は、シリンジ軸線11dに対して105度の角度を有する。シリンジ軸線11dに対する外部グリップ部640の角度は、使用者が外部グリップ部640に対する十分なグリップを有することを可能にするために、180度よりも90度により近い(即ち135度以下)ことが望ましい場合がある。外部グリップ部640がシリンジ軸線11dに対して125度以下、又は120度以下、又は115度、又は105度以下などの小さい角度を有することがより望ましい場合がある。外部グリップ部640は、リブ又は相対的に高い摩擦係数を有する材料などの滑り止め又はグリップ強化特徴も含み得る。
図7Eに示すように、戻り止め620は、材料費及び部品重量を低減するために切出部680を有する。戻り止め620は、隅部に示されるように及び参照番号682によって示されるように、頂面がよりテーパ状の外形を有すること以外、
図6A~
図6Eに示される戻り止め520に類似し得る。よりテーパ状の外形は、人間工学的な観点、審美的な観点、材料費の観点及び/又は部品重量の観点から有利であり得る。より具体的な例として、戻り止め620のテーパ状の外形は、使用者により高い精度の感覚を提供し得る。
【0046】
図8A~
図8Cは、任意の適切な薬物送達デバイス、例えば前述の図に示されるシリンジ10などのシリンジと共に用いられ得る別の例示的な戻り止め720を示す。戻り止め720は、外部グリップ部740がシリンジ軸線に対してより水平な外形を有すること以外、
図2A~
図2Hに示される戻り止め120に類似し得る。より水平な外形は、グリップの観点から有利な場合がある。
【0047】
図9A~
図9Dは、任意の適切な薬物送達デバイス、例えば前述の図に示されるシリンジ10などのシリンジと共に用いられ得る別の例示的な戻り止め1020を示す。戻り止め1020は、概して、シリンジ10の少なくとも一部分の周りに延びるカラー部1030と、使用者が取り扱い且つ/又は把持するための外部グリップ部1040と、戻り止めとシリンジとの間の空間を通る空気流を可能にするか又は促進するのに役立つ隆起部450などの少なくとも1つの突起と、シリンジフランジ12の少なくとも一部分を受け入れるための空洞1060と、プランジャロッド16が戻り止め1020を通して延びることを可能にする開口部1070とを含み得る。戻り止め1020は、
図2A~
図2H及びそれを説明する対応する段落に記載される特徴又は他の適切な特徴を含み得る。戻り止め1020の重心は、
図9Bにおいて参照番号1036によって示される。
【0048】
図に示される戻り止めの少なくともいくつかに致死試験を行った。例えば、滅菌サイクル前に、プレフィルドシリンジに1×10^6~6×10^6CFU(例えば、1,000,000~6,000,000CFU)のゲオバチルスステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)を「添加した」。より具体的な例として、プレフィルドシリンジの戻り止め部及びバレル部に1~6×10^6CFUのゲオバチルスステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)を添加した。本明細書で使用する場合、「CFU」という用語は、「コロニー形成単位」を指す。「コロニー形成単位」は、サンプル中の生存細菌又は真菌細胞の数を推定するために使用される単位である(「生存」とは、制御された条件下で二分裂により増殖する能力である)。ゲオバチルスステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)(以前にはバシラスステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus))は、桿状のグラム陽性菌であり、ファーミクテス門の一員である。この細菌は、好熱性であり、土壌、温泉、海洋堆積物中に広く分布しており、食品の腐敗の原因となる可能性がある。したがって、添加済みのプレフィルドシリンジを、様々な滅菌パラメータを使用して滅菌し、滅菌プロセスの致死性を測定し、無菌性保証水準(SAL)を評価した。以下により詳細に記載するように、プレフィルドシリンジにバイオロジカルインジケータを添加又は直接接種した。
【0049】
ここで、本開示の一実施形態による薬物送達デバイスを組み立て、外部滅菌する例示的な方法を説明する。第1の工程時、薬物送達デバイスの少なくともいくつかの個々の構成要素は、多くの場合、製造施設によって受け入れられる前に滅菌される。例えば、シリンジバレル及びプランジャストッパ並びに薬物製品と直接接触し得る任意の他の構成要素は、この工程時に滅菌され得る。この工程では、図に示される構成要素が挙げられるが、これらに限定されない、薬物送達デバイスの組み立てられていない様々な構成要素を滅菌するために既知の様々な手法を用いることができる。第2の工程時、バレルは、充填され、ストッパ(「プランジャストッパ」としても知られる)は、バレルと組み立てられる。組立工程は、以下:プランジャロッド、フランジエクステンダ、ルアーロックを備えた先端キャップ、針、剛性針シールド及び/又は図に示されるものなどの戻り止めの少なくともいくつかを追加することも含み得る。これらの構成要素の少なくともいくつかは、互いに予め組み立てられ得るが、これらは、例えば、充填プロセスが無菌的に実施される場合に充填ラインでも組み立てられ得る。また、シリンジは、通常、両方の構成要素を有するのではなく、先端キャップルアーロック先端又は取付式の(例えば、固定式の)針のいずれかを有する。
【0050】
次いで、外部滅菌工程を進める。最初に、シリンジが前準備される。二酸化窒素(NO2)を用いるプロセスでは、前準備は、以下の工程:保管庫からサンプルを取り出すこと、シリンジを所望の時間量(例えば、30分、90分、2時間又は任意の望ましい時間量)にわたって室温条件で平衡状態に調整すること及びシリンジを滅菌チャンバに配置することの少なくともいくつか又は全てを含み得る。前準備は、チャンバの内部又は外部で行われ得る。エチレンオキサイド(EtO)を用いる場合、前準備工程は、NO2に関して説明した工程とわずかに異なり得る。例えば、シリンジは、滅菌チャンバの内部で(ガス注入なしで)360分間(又は別の望ましい長さの時間)前準備され得る。しかしながら、NO2を用いたプロセスと同様に、EtOを用いた前準備工程は、チャンバの内部又は外部で行われ得る。
【0051】
次いで、滅菌チャンバが閉じられ、チャンバから全て又は実質的に全ての空気が排出される。その後、滅菌チャンバは、75又は80(又は任意の所望の相対湿度の割合の量)などの所望の設定まで加湿される。
【0052】
次いで、所望の滅菌ガスが注入され、所望の滞在時間にわたってチャンバ内に保持される。NO2を用いるレシピでは、ガス注入は、以下の工程:所望の量のガス(用量濃度)を注入しながら所望の時間量(即ち滞在時間)にわたってチャンバ内に真空を引くことにより、ある用量のNO2を送達すること、ガスをパージし、真空を解放すること、及びその後、これらの工程を所望のパルス数にわたって繰り返すことのいくつか又は全てを含み得る。所望のパルス数が完了すると、その後、最終的に、ガスは、パージされ、ガスは、滅菌チャンバから除去される。最後に、チャンバは、全て又は実質的に全ての滅菌ガスがシリンジ及びパッケージからフラッシュされるようにするために、所望のサイクル数にわたって通気される(「通気交換」としても知られる)。真空レベルは、これらの工程中に変化し得る。例えば、滞在時間時の真空は、約590Torrなどの最小限であり得る。
【0053】
この方法は、以下などの上記工程に関する任意の適切なパラメータを含み得る。
- 真空レベルは、約100~500Torr、約150~400Torr、約150~300Torr又は別の適切な真空レベルであり得る。
- NO2の用量の濃度は、約2~20ミリグラム毎リットル、約2~10ミリグラム毎リットル、約2~7ミリグラム毎リットル又は別の適切な用量の濃度であり得る。
- チャンバは、約70~90パーセントの相対湿度又は別の適切な湿度を有し得る。
- 滞在時間は、約2~20分、約2~12分、約2~7分又は別の適切な滞在時間であり得る。
- パルス数は、約1~24、約1~12、約1~8、約1~4、約1~2又は別の適切なパルス数であり得る。
- 滅菌チャンバに通気する工程は、約12~35回のサイクル数又は別の適切なサイクル数だけ滅菌チャンバに通気することを含み得る。
【0054】
より具体的な例として、表1は、二酸化窒素(NO2)を用いて薬物送達デバイスを滅菌するための異なる例示的な10個のレシピの異なる変数を示す。
【0055】
【0056】
別の例として、表2は、NO2を用いて薬物送達デバイスを滅菌するための異なる例示的な6つのレシピの異なる変数を示す。
【0057】
【0058】
表1及び表2において、「真空レベル(Torr)」列のラベルは、
図1の工程4中に外部滅菌チャンバに印加される真空力を指す。示されるように、真空力は、20Torr~500Torrで変化するが、異なる真空力が適切な場合がある。記載の真空力数は、その強度の逆であり、20Torrの力は、100Torrの力に比べて強く、100Torrの力は、500Torrの力に比べて強い(大気圧は、典型的には、約760Torrである)。真空力が強くなるほど、目的の汚染微生物数の死滅を示す可能性が高くなる。しかしながら、真空力が高くなりすぎた場合、プロセスは、プランジャを望ましくなく移動させる(即ち無菌バリアを越えて移動させ、無菌性を破る原因となる)など、薬剤に対して望ましくない効果をもたらす可能性がある。「NO2用量(mg/L)」列は、外部滅菌チャンバに導入される空気のリットル毎のNO2濃度(mg)を指す。示されるように、表1及び表2の用量は、5~20mg/Lで変化するが、異なる用量が適切な場合がある。この工程時のNO2の用量が高いほど、薬物送達デバイスがより迅速且つより完全に滅菌される。しかしながら、滅菌ガスの用量が高くなりすぎた場合、プロセスは、薬物バレルの内部を滅菌ガスで汚染する(即ち滅菌ガスの侵入及び/又はシリンジ構成要素の変色)など、薬剤に対して望ましくない効果をもたらす可能性がある。「相対湿度(%RH)」列は、外部滅菌チャンバ内の相対湿度を指す。示されるように、表1及び表2の各列の相対湿度は、75%~80%で変化するが、異なる相対湿度値が適切な場合がある。相対湿度を増加させると、目的の汚染微生物数の死滅を示す可能性も高まる。「滞在時間(分:秒)」列は、滅菌ガスが存在中に薬物送達デバイスが滅菌チャンバにある時間量を指す。表1及び表2に関して、「総滞在時間」は、「滞在時間」列に「パルス数」列を掛けたものに等しい。例えば、表1の第1の行に関して、サンプルは、総滞在時間が80分になる。示されるように、表1及び表2に記載の滞在時間は、5~20分で変化するが、異なる滞在時間が適切な場合がある。滞在時間は、目的の汚染微生物数の死滅を示す可能性も高める。しかしながら、滞在時間が高くなりすぎた場合、プロセスは、薬物バレルの内部を滅菌ガスで汚染するなど、薬剤に対して望ましくない効果をもたらす可能性がある。「パルス数」列は、NO2プロセス中に真空を引くことによってガスが注入される回数を指す。示されるように、表1及び表2の各行のパルスは、1~24回で変化するが、異なる値が適切な場合がある。パルス数が高くなるほど、目的の汚染微生物数の死滅を示す可能性が高くなる。しかしながら、パルス数が高くなりすぎた場合、プロセスは、薬物バレルの内部を滅菌ガスで汚染するなど、薬剤に対して望ましくない効果をもたらす可能性がある。「通気数」を参照する列は、チャンバからガスがパージされた後にチャンバが通気される回数を指す。例示的なプロセスは、12、24、28、70回又は任意の望ましい数の通気交換を用い得る。ある時点まで、通気数を増加させることにより、製造業者は、全て又は実質的に全ての滅菌ガスがシリンジ及びパッケージから除去される可能性を高めることができる(ポストパージ)。
【0059】
表1及び
図2の各レシピ(NO2)に関して、
図1のボックス1内に入れられた各工程は、室温(摂氏25度)で実施され得るが、他の適切な温度が使用される可能性がある。しかしながら、摂氏約2度~摂氏約8度などの他の温度又は薬剤に望ましくない影響を及ぼさない任意の他の望ましい温度が使用される可能性がある。
【0060】
表3は、NO2を用いて薬物送達デバイスを滅菌するための異なる例示的な10個のレシピの異なる変数を示す。
【0061】
【0062】
エチレンオキサイド(EtO)を用いる場合、ガス注入工程は、わずかに異なる。例えば、ガス注入工程は、以下の工程:所望の量(用量濃度)のガスを注入しながら所望の時間量(即ち滞在時間)にわたってチャンバ内に真空を引くことにより、ある用量のEtOを送達すること、及びその後、ガスをパージすることのいくつか又は全てを含み得る。換言すると、EtOを用いる場合、NO2に関して上述した好ましい複数回のパルスよりもむしろ1回のみのパルスを実行することが望ましい場合がある。ガスパージ通気の工程について、EtOを用いた例示的なプロセスは、NO2に関して上述したように進められる。
【0063】
特に、本明細書に開示される戻り止めなどの異なる戻り止めの致死試験を行った。表4は、突起のない戻り止め及び突起のある戻り止めを有する様々なプレフィルドシリンジに対する、NO2に基づく滅菌の効果を評価する致死試験の結果を示す。
【0064】
【0065】
各レシピ番号に関して、5つのサンプル(又は1つ以上のサンプルに対して少なくとも5つの試験位置)に試験を行った。表4は、「添加した戻り止め」及び「添加したバレル」列において、各レシピに関して、5つのサンプルのいくつが目標の致死性に達したかを示す。例えば、この試験の目標の致死性は、10^6の無菌性保証水準(SAL)であった。換言すると、この試験の目標の致死性は、(滅菌前対滅菌後)に存在する細菌数の6対数減少であった。より具体的な例として、レシピ番号1に関して、戻り止め領域(「添加した戻り止め」列のレシピ番号1に対応する行)について、試験を行った5つのサンプルの1つがこの目標の致死性に達したが、バレル領域(「添加したバレル」列のレシピ番号1に対応する行)について、試験を行ったサンプルの5つ全部がこの目標の致死性に達した。レシピ番号1~4(突起のない戻り止めを用いた)の添加した戻り止めの試験結果は、直接接種により試験されたものである一方、レシピ番号5~14(
図3~
図4に示される戻り止め120又は戻り止め220を用いた)の添加した戻り止め試験結果は、バイオロジカルインジケータにより試験されたものであることに留意されたい。また、「-」記号は、これらのパラメータ/サンプルについてデータが報告されていないことを示すことに留意されたい。試験方法の違いを別にして、突起を有する戻り止めを用いて試験を行ったサンプルは、突起のない戻り止めを用いたサンプルに比べてより高い比率で目標の致死性を達成した。上述のように、隆起部は、閉塞空間を最小限にし且つ/又は阻止し、代わりにプレフィルドシリンジの様々な構成要素、特に戻り止め領域及びフランジ領域に殺菌薬が完全又は実質的に到達することを可能にする。
【0066】
異なる滅菌パラメータついて、侵入研究に関する試験も行った。上述のように、外部滅菌中に目標の致死性を達成することが望ましいが、薬物製品チャンバへの滅菌ガスの侵入を低減する、最小限にし且つ/又は実質的に阻止することも望ましい。しかしながら、2つの目標(致死性を達成すること及び侵入を最小限にすること)は、相反又は相殺する関心事であり得る。例えば、より高い致死率を達成する可能性を向上させることのできあるいくつかの滅菌パラメータは、滅菌ガスの侵入が高くなる可能性を上昇させる場合がある。以下の表5は、薬物製品チャンバに対する、NO2に基づく滅菌の異なるレシピの効果を評価する侵入研究の結果を示す。
【0067】
【0068】
右側の最後の4列(「製品中のNO2含有量(PPM)」とまとめてラベル付けされている)は、薬物製品容器に侵入したNO2の含有量、より具体的には薬物容器に侵入したNO2の含有量、より具体的には液体中の百万分率の硝酸塩として測定されたNO2レベルを指す。このグループ内の「1日目」、「14日目」及び「30日目」とラベル付けされた最初の3列は、滅菌プロセス後、異なるときに測定した侵入率を指す。このグループ内の「対照」とラベル付けされた最後の列は、NO2及びサンプルの生成物(注射用水)である硝酸塩(NO3)の基準レベルを指す。1日目などの「曝露させた」サンプルと比較すると、対照の「曝露させていない」サンプルは、曝露させたサンプルと対照との間の基本的な差異を提供する。例えば、試験番号5について、1日目の侵入率は、0.342であり、対照は、0.336であるため、曝露させたサンプルと曝露させていないサンプルとの間の差は、0.006PPMであり得る。別の関連する可能性のあるパラメータとして、試験方法は、+/-0.1PPMの誤り率を有し得る。
【0069】
一般に、侵入を最小限にすること又は実質的若しくは完全に阻止することが望ましい場合があるが、3PPM、1PPM又は別の適切な限界の侵入量を超えることを避けることが望ましい場合がある。上記の表5の列に記載されたものなどの「未加工の」30日目の値を用いることが望ましい場合があるか、又は対照値に基づいて調整された「補正済みの」30日目の値を用いることが望ましい場合がある。上記の表5に示されるように、略全ての侵入値は、1PPMの閾値未満である(唯一の例外は、サンプル11の30日目の測定値である)。また、上記表5に示されるように、異なる真空力、パルス数及び通気数の変化は、侵入測定値に異なる効果を及ぼす。これらのパラメータ及び傾向を利用して、所望の侵入レベル未満を維持しながら目標の致死性を達成する滅菌パラメータを決定することができ得る。
【0070】
図10A~
図10Cは、本開示の別の実施形態による注入デバイスのパッケージ800を示す。パッケージ800は、他の図に示されるシリンジ10などの注入デバイスを受け入れ且つ支持するための支持壁810を含む。パッケージ800は、以下の工程:外部滅菌、使用者への輸送、使用者による使用前の保管、使用のための注入デバイス及び注入部位の準備並びに注入後の保管の少なくとも1つ以上の間を含む、注入デバイスのライフサイクルの様々な工程中に用いられ得る。例えば、製造現場において、製造業者は、組み立て済みのプレフィルドシリンジが支持壁810とシリンジバレルとの間にスナップフィット接続でパッケージ800により支持されるように、組み立て済みのプレフィルドシリンジ(例えば、シリンジバレル、戻り止め、ストッパ、プランジャロッド、薬物及び保護キャップ)をパッケージ内に入れることができる。製造業者は、組み立て済みのプレフィルドシリンジがパッケージ800によって支持されている間、組み立て済みのプレフィルドシリンジに対して外部滅菌工程を実施し得る。その後、製造業者は、パッケージの頂壁812上に保護コーティング(図示せず)を付加し、気密シールを形成し、組み立て済みのプレフィルドシリンジを外部の空気及び/又は汚染物質から保護するチャンバ814をパッケージ800内に画定することもできる。保護コーティングは、接着剤及び/又はヒートシール工程などの任意の適切な手段によってパッケージ800に結合された透明プラスチック層であり得る。注入デバイスのライフスタイルの別の工程中、使用者は、保護コーティングを剥がしてプレフィルドシリンジへのアクセスを得ることができる。
【0071】
パッケージ800は、トレイと注入デバイスとの間の表面積接触を制限するための突起又はスペーサを含み得、それによりそれらの間の閉塞空間を低減又は阻止する。例えば、パッケージ800は、突起820を含み得、突起820は、パッケージ800の支持壁810から外向きに延び、注入デバイスとパッケージ800との間に隙間を作成し、それにより注入デバイスとパッケージ800との間の閉塞空間を最小限にするか又は阻止する。それにより、突起又はスペーサは、外部滅菌工程時に各構成要素間に滅菌ガスが流れることを可能にしながら、パッケージと注入デバイスとの間の効果的な接続を可能にする。突起又はスペーサは、外部滅菌工程後における滅菌ガスの通気を向上(時間の削減及び/又は有効性の向上)させることもできる。
図10A~
図10Cに示されるパッケージ800は、2つの突起820を含むが、任意の適切な数が用いられ得る。また、
図10A~
図10Cに示される突起820は、概ね角錐の形状を有するが、任意の適切な形状を有し得る。別の例として、パッケージ800は、シリンジとのスナップフィット構成を含まなくてもよいが、代わりに、シリンジがパッケージ800内に載ることを可能にし、外部滅菌工程時に滅菌ガスが各構成要素間を流れることを可能にし得る。そのような設計において、支持壁810間の隙間は、支持壁810とシリンジとの間に空間を与えるためにシリンジの直径よりも大きい。また、そのような設計では、シリンジがパッケージから出ることをTyvekカバーが阻止することが好ましい。
【0072】
パッケージ800は、他の既知の中央セクションよりも広い、空洞の中央セクション840(2つのスナップフィット領域810間)を含む。例えば、
図10Cに示される距離844は、シリンジ10をパッケージ800から取り出すときにシリンジ10を把持するための空間を使用者に与えるために、好ましくは少なくとも1.5センチメートルである。更により好ましくは、
図10Cに示される距離844は、好ましくは、少なくとも2.0センチメートルである。更により好ましくは、
図10Cに示される距離844は、好ましくは、少なくとも2.5センチメートルである。更により好ましくは、
図10Cに示される距離844は、好ましくは、少なくとも3.0センチメートルである。更により好ましくは、
図10Cに示される距離844は、好ましくは、少なくとも4.0センチメートルである。更により好ましくは、
図10Cに示される距離844は、好ましくは、少なくとも5.0センチメートルである。更により好ましくは、
図10Cに示される距離844は、好ましくは、少なくとも6.0センチメートルである。
【0073】
図11は、本開示の別の実施形態による注入デバイスのパッケージ900を示す。例えば、パッケージ900は、上昇した壁セクション960を含む。上昇した壁セクション960は、プランジャロッドを受け入れるパッケージ900の部分の近辺に配置され、注入デバイスのプランジャロッドを固定し、且つ/又は注入デバイスのプランジャの意図しない移動を阻止する。例えば、
図11に示されるパッケージ900は、シリンジ10のバレルを受け入れ且つ支持するための、
図10A~
図10Cに示されるものに類似する支持壁910を含む。しかしながら、
図11に示されるパッケージ900は、上昇した壁セクション960も含み、上昇した壁セクション960は、例えば、プランジャロッド端部14を受け入れ、シリンジ10がパッケージ900から取り出されるまでプランジャロッド端部14(及びプランジャロッド16全体)の遠位移動を阻止及び/又は制限するために、プランジャロッド16を受け入れ且つ支持するための側壁960aと、支持壁910及び側壁960aに概ね垂直に延びる別の壁960cとを有する。
【0074】
当然のことながら、本開示によるデバイス及び方法は、従来技術に対して1つ以上の有利な点を有し得、その任意の1つ以上は、特定の実施形態において、その実施形態に含まれる本開示の特徴に従って存在し得る。本明細書で特に挙げられていない他の利点も同様に理解され得る。
【0075】
好ましくは、プレフィルドシリンジは、内部コーティングを含まない。シリンジは、酸素バリアコーティングなど、環境と接するコーティングもシリンジの外部表面に含み得る。
【0076】
シリンジバレルは、45~85mm、60~65mmの長さ又は別の適切な長さを有し得る。シリンジバレルの長さは、後端と針が取り付けられる出口との間の長さである(しかし、針が存在する場合、針を含まない)。
【0077】
シリンジバレルは、4~6.5mmの内径を有し得る。シリンジが1mlの名目最大充填容積を有する場合、シリンジバレルの内径は、5.5~6.5mmであり得る。シリンジが0.5mlの名目最大充填容積を有する場合、シリンジバレルの内径は、4~5mmであり得る。
【0078】
シリンジバレルの壁は、少なくとも1mm、約1~3mm、約1.5~3mm又は約2.4~2.8mmの厚さを有し得る。壁の厚さにより、滅菌ガスがシリンジの内部に入ることが制限又は阻止され、それによりプレフィルドシリンジ内に収容された液体製剤との接触を最小限にするか又は阻止する。
【0079】
上述の記載では、薬物送達デバイスに関連する様々なデバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム及び使用方法について説明している。デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、方法又は薬物送達デバイスは、以下に特定される薬物並びにそれらのジェネリック及びバイオシミラー同等品を含むが、これらに限定されない薬物を更に含み得るか又はそれらと共に使用され得る。本明細書で使用する場合、薬物という用語は、他の類似の用語と交換可能に使用することができ、従来及び非従来の医薬品、栄養補助食品、サプリメント、生物学的製剤、生物学的活性剤及び組成物、大分子、バイオシミラー、生物学的同等物、治療用抗体、ポリペプチド、タンバク質、小分子並びにジェネリック医薬品を含む任意の種類の薬剤又は治療用材料を指すために使用され得る。非治療的な注入可能材料も包含される。薬物は、液体形態、凍結乾燥形態又は凍結乾燥形態から再構成されたものであり得る。以下の例示的な薬物のリストは、網羅的又は限定的であると考えるべきではない。
【0080】
薬物は、リザーバに収容される。場合により、リザーバは、プレフィルドシリンジである。プレフィルドシリンジは、最大充填容積、即ちシリンジによって最大限占められ得る容積が0.3ml~1.5ml、好ましくは0.5ml~1.0mlであり得る。シリンジに充填される液体組成物の量は、約0.05ml~1.0ml、約0.1ml~0.5ml、約0.14ml~0.3ml又は約0.15ml~0.2mlであり得る。シリンジは、通常、シリンジ及び針内の任意のデッドスペース並びにシリンジを注入のために準備することによる損失を考慮に入れるために、患者に実際に投与される量よりも多い量を充填される。したがって、患者に実際に投与される量は、0.01ml~1ml、0.02~0.5ml、0.025~0.5ml、0.03ml~0.05ml又は0.05mlであり得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、プレフィルドシリンジのリザーバは、VEGF阻害剤を含む。例えば、VEGF阻害剤は、非抗体VEGF阻害剤であり得る。「VEGF阻害剤」という用語は、VEGFと特異的に相互作用し、その生物学的活性、例えばその分裂促進活性、血管新生活性及び/又は血管透過性活性の1つ以上を阻害する分子を指す。VEGF阻害剤は、抗VEGF抗体及びその抗原結合フラグメント並びに非抗体VEGF阻害剤の両方を含むことが意図される。非抗体VEGF阻害剤には、アフリベルセプト、ペガプタニブ及び抗体模倣薬が含まれる。非抗体VEGF阻害剤は、VEGFトラップであり得る。好ましくは、非抗体VEGF阻害剤は、アフリベルセプトである。Eylea(登録商標)の名称で現在市販されており、VEGFトラップとしても知られているアフリベルセプトは、ヒトVEGF受容体1及び2の細胞外ドメインの一部がヒトIgGlのFc部分に融合した遺伝子組換えヒト可溶性VEGF受容体融合タンパク質である(Holash et al.(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99(17):11393-11398、国際公開第00/75319A1号パンフレット、米国特許第7,070,959号明細書)。アフリベルセプトは、IgG1のFcドメインに融合されたVEGFR1のIgドメイン2及びVEGFR2のIgドメイン3を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバは、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子を充填され得るか、又はデバイスは、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子と共に使用され得る。このようなG-CSF剤には、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、PEG化フィルガストリム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)及びNeupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)が含まれるが、これらに限定されない。他の実施形態では、薬物送達デバイスは、液体又は凍結乾燥形態であり得る赤血球造血刺激因子製剤(ESA)を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。ESAは、赤血球産生を刺激する任意の分子である。いくつかの実施形態では、ESAは、赤血球産生刺激タンパク質である。本明細書で使用する場合、「赤血球産生刺激タンパク質」とは、例えば、受容体に結合し、受容体の二量化を引き起こすことによってエリスロポエチン受容体の活性化を直接的又は間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球産生刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、それを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体又は誘導体;エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体;又はエリスロポエチン受容体に結合し、活性化させるペプチドが挙げられる。赤血球産生刺激タンパク質としては、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコールエポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンイオタ、エポエチンオメガ、エポエチンデルタ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ及びエポエチンデルタ、PEG化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン並びにそれらの分子又は変異体又は類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
特定の例示的なタンパク質の中には、その融合物、断片、類似体、バイオシミラー、変異体又は誘導体を含む、以下で説明する特定のタンパク質がある。完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に完全ヒト化モノクローナル抗体を含む(RANKL特異抗体、ペプチボディ等とも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ及び関連タンパク質等;ミオスタチン特異的ペプチボディを含むミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、関連タンパク質等;特にIL-4及び/又はIL-13の受容体への結合によって媒介される活動を抑制するIL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;Ang2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、;NGF特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;CD22特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、特にヒト-マウスモノクローナルhLL2κ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2γ鎖二硫化物の二量体、例えばエプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体などのヒトCD22特異IgG抗体を特に含むが、それに限定されないヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むが、それに限定されないヒト化及び完全ヒト抗体等であるが、それに限定されないヒトCD22特異抗体;抗IGF-1R抗体を含むが、それに限定されないIGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ及び関連タンパク質等;B7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体を含むが、それに限定されない、B7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体を含むが、それに限定されない、B7RP-1と、活性化T細胞上のB7RP-1の自然受容体であるICOSとの相互作用を抑制するものを含むが、それに限定されないB-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等(「B7RP-1」、B7H2、ICOSL、B7h及びCD275とも称される);例えば146B7などのHuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を含むが、それらに限定されない、特にヒト化モノクローナル抗体などのIL-15特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;ヒトIFN γ特異抗体を含むが、それに限定されず、及び完全ヒト抗IFN γ抗体を含むが、それに限定されないIFN γ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;TALL-1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、並びに他のTALL特異結合タンパク質;副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;トロンボポチエン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)を中和する完全ヒトモノクローナル抗体などのHGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的にするものを含む肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;TGF-β特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;アミロイドβタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質を含むが、それらに限定されないc-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;OX40L及び/又はOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質を含むが、それに限定されないOX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ又はエリスロポエチン)、GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インターフェロン-β)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7 mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(登録商標)(デノスマブ)、Prolia(登録商標)(デノスマブ)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF-受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Nplate(登録商標)(ロミプロスチム)、リロツムマブ、ガニツマブ、コナツムマブ、ブロダルマブ、溶液中のインスリン、Infergen(登録商標)(インターフェロンalfacon-1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド、遺伝子組換え型ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF)、LymphoCide(登録商標)(エピラツズマブ、抗CD22 mAb)、Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、パキセリズマブ(抗補体C5)、Numax(登録商標)(MEDI-524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(レルデリムマブ)、TheraCim hR3(ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM-1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11)、Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)(インターフェロンalfa-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)、146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号明細書を参照されたい)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb)、Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA mAb)、IL-1トラップ(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-1受容体成分(I型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン)、VEGFトラップ(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチマイブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23 mAb(ルミリキシマブ)、BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬)、CNTO148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb)、HGS-ETR1(マパツズマブ、ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb)、HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax-EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb及びVEGFR-1(IMC-18F1)、抗BR3mAb、抗C.クロストリジウム・ディフィシル毒素A並びに毒素B C mAbs MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388)、抗CD22 dsFv-PE38抱合体(CAT-3888及びCAT-8015)、抗CD25 mAb(HuMax-TAC)、抗CD3 mAb(NI-0401)、アデカツムマブ、抗CD30 mAb(MDX-060)、MDX-1333(抗IFNAR)、抗CD38 mAb(HuMax CD38)、抗CD40L mAb、抗Cripto mAb、抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019)、抗CTLA4 mAb、抗エオタキシン1 mAb(CAT-213)、抗FGF8 mAb、抗ガングリオシドGD2 mAb、抗ガングリオシドGM2 mAb、抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029)、抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001)、抗HepC mAb(HuMax HepC)、抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-1103)、抗IGF1R mAb、抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam)、抗IL12 mAb(ABT-874)、抗IL12/IL23 mAb(CNTO1275)、抗IL13 mAb(CAT-354)、抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100)、BMS-66513、抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307)、抗メソテリンdsFv-PE38抱合体(CAT-5001)、抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538))、抗PDGFRα抗体(IMC-3G3)、抗TGFβ mAb(GC-1008)、抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2)、抗TWEAK mAb、抗VEGFR/Flt-1 mAb及び抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)。
【0084】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)など、眼内使用のために設計された遺伝子組換えヒト化IgG1カッパアイソタイプモノクローナル抗体断片を収容し得る。薬物送達デバイスは、AVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ)など、ヒトのフレームワーク領域及びマウスの相補性決定領域を含む遺伝子組換えヒト化モノクローナルIgG1抗体を含み得る。薬物送達デバイスは、BEOVU(登録商標)(ブロルシズマブ-dbll)などのヒト化モノクローナル単鎖Fv(scFv)抗体断片を含み得るか、又はロモソズマブ、ブロソズマブ若しくはBPS 804/セトルスマブ(Mereo)などであるが、それらに限定されないスクレロスチン抗体及び他の実施形態ではヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)と共に使用され得る。このようなPCSK9特異抗体としては、Repatha(登録商標)(エボロクマブ)及びPraluent(登録商標)(アリロクマ)が挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、薬物送達デバイスは、リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブ二リン酸塩、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント又はパニツムマブを収容し得るか又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバは、OncoVEXGALV/CD;OrienX010;G207、1716;NV1020;NV12023;NV1034;及びNV1042を含むが、それらに限定されない、黒色腫若しくは他の癌の治療のためのIMLYGIC(登録商標)(タリモジーンラハーパレプベック)又は別の腫瘍溶解性HSVを充填され得るか、又はデバイスは、それらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、TIMP-3などであるが、それらに限定されないメタロプロテイナーゼの内在性組織阻害剤(TIMP)を収容し得るか又はそれと共に使用され得る。エレヌマブ及びCGRP受容体並びに他の頭痛標的を標的とする二重特異性抗体分子などであるが、それらに限定されないヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体の拮抗的抗体も本開示の薬物送達デバイスを用いて送達され得る。加えて、BLINCYTO(登録商標)(ブリナツモマブ)などであるが、それに限定されない二重特異性T細胞誘導(BiTE(登録商標))抗体を本開示の薬物送達デバイスにおいて又はそれと共に使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、アペリン又はその類似体などであるが、それらに限定されないAPJ大分子アゴニストを収容し得るか又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、治療的有効量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体は、本開示の薬物送達デバイスにおいて又はそれと共に使用される。
【0085】
薬物送達デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム及び方法を例示的な実施形態の観点から説明してきたが、それらは、例示的な実施形態に限定されるものではない。詳細な説明は、単に例として解釈されるべきであり、本開示の考え得る全ての実施形態を説明しているわけではない。現行の技術又は本特許の申請日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替的な実施形態を実施することができるが、このような実施形態は、本明細書に開示される本発明を定義する請求項の範囲内に依然として含まれるであろう。
【0086】
当業者であれば、本明細書に開示される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に対する多様な修正形態、変更形態及び組み合わせがなされ得、そうした修正形態、変更形態及び組み合わせが本発明の概念の範囲内にあると解釈されるべきであることを理解するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入デバイスであって、
バレルとフランジとを有するシリンジと、
前記フランジに隣接して前記シリンジに結合されるように構成された戻り止めと、
を備え、前記戻り止めは、前記バレルの少なくとも一部分の周りに概ね延びる内面を画定するカラー部を有し、前記内面は、前記戻り止めが前記シリンジを受け入れることを可能にする開口部によって途切れ、
前記内面は、前記内面から離れて延びる少なくとも1つの突起を含み、
前記少なくとも1つの突起は、前記バレルと係合して前記バレルと前記内面との間に空間を形成し、前記空間を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される、注入デバイス。
【請求項2】
前記カラー部は、前記シリンジとスナップフィット関係で係合するように構成される、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項3】
前記シリンジの前記バレルは、軸線を画定し、前記少なくとも1つの突起は、前記軸線と概ね平行に延びるリブである、請求項1または2に記載の注入デバイス。
【請求項4】
前記戻り止めは、前記フランジの少なくとも一部分を受け入れるための空洞を有し、前記空洞は、前記戻り止めの軸方向移動を制限するように、対向表面によって画定される、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項5】
前記空洞を画定する前記対向表面の少なくとも1つは、前記対向表面の少なくとも1つから離れるように延びる少なくとも1つの突起を含む、請求項4に記載の注入デバイス。
【請求項6】
前記対向表面は、上部対向表面および下部対向表面を含み、前記上部対向表面は少なくとも1つの突起を含み、前記下部対向表面は少なくとも1つの突起を含む、請求項5に記載の注入デバイス。
【請求項7】
前記シリンジは、薬剤を収容するプレフィルドシリンジである、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項8】
前記薬剤は、VEGF阻害剤を含む、請求項7に記載の注入デバイス。
【請求項9】
前記VEGF阻害剤は、非抗体VEGF阻害剤を含む、請求項8に記載の注入デバイス。
【請求項10】
前記VEGF阻害剤は、VEGFトラップを含む、請求項8に記載の注入デバイス。
【請求項11】
前記VEGFトラップは、アフリベルセプトを含む、請求項10に記載の注入デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの突起は、少なくとも2つの突起を含む、請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも2つの突起は、少なくとも3つの突起を含む、請求項12に記載の注入デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも3つの突起は、少なくとも4つの突起を含む、請求項13に記載の注入デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも4つの突起は、少なくとも5つの突起を含む、請求項14に記載の注入デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも5つの突起は、少なくとも7つの突起を含む、請求項15に記載の注入デバイス。
【請求項17】
注入デバイスであって、
バレルとフランジとを有するシリンジと、
前記フランジに隣接して前記シリンジに結合されるように構成された戻り止めと、
を備え、
前記戻り止めは、前記バレルの少なくとも一部分の周りに概ね延びる内面を画定するカラー部を有し、前記内面は、前記戻り止めが前記シリンジを受け入れることを可能にする開口部によって途切れ、
前記内面は、前記内面から離れて延びる少なくとも1つの突起を含み、
前記少なくとも1つの突起は、前記バレルと係合して前記バレルと前記内面との間に空間を形成し、前記少なくとも1つの突起のみが前記シリンジの前記バレルに接触するように前記空間を通る空気流を可能にするか又は促進するように構成される、注入デバイス。
【請求項18】
前記カラー部は、前記シリンジとスナップフィット関係で係合するように構成される、請求項17に記載の注入デバイス。
【請求項19】
前記バレルは、軸線を画定し、前記少なくとも1つの突起は、前記軸線と概ね平行に延びるリブである、請求項17に記載の注入デバイス。
【請求項20】
前記戻り止めは、前記フランジの少なくとも一部分を受け入れるための空洞を有し、前記空洞は、前記戻り止めの軸方向移動を制限するように、対向表面によって画定される、請求項17に記載の注入デバイス。