(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003239
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】地域強靭化システム
(51)【国際特許分類】
F22B 1/18 20060101AFI20241226BHJP
F23G 5/027 20060101ALI20241226BHJP
F23G 5/14 20060101ALI20241226BHJP
F23G 5/16 20060101ALI20241226BHJP
C10B 53/02 20060101ALI20241226BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
F22B1/18 D
F23G5/027 Z
F23G5/14 F
F23G5/16 B
C10B53/02
H02J7/00 303A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023112622
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】514266286
【氏名又は名称】イシズム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】722003428
【氏名又は名称】株式会社英知
(72)【発明者】
【氏名】永石 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】居野家 博之
(72)【発明者】
【氏名】樋口 廷之
(72)【発明者】
【氏名】緑川 修
【テーマコード(参考)】
3K078
3K161
4H012
5G503
【Fターム(参考)】
3K078AA04
3K078CA02
3K078CA07
3K161AA05
3K161CA01
3K161CA03
3K161DB23
3K161EA43
4H012JA03
4H012JA13
5G503AA07
5G503BA04
5G503BA07
5G503DA05
5G503GB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】定常時は製炭により地域に炭を提供する一方で、災害時には、地域の電源を供給し得る地域強靭化システムを提供すること。
【解決手段】製炭時の材料となる間伐材、竹材、剪定枝等の地域資材を集積して保管する保管ステーションと、この地域資材を一次燃焼バーナを用いて間接加熱して製炭すると共に、発生するガスを二次燃焼バーナを用いて燃焼する二次燃焼式製炭装置であって、この製炭装置の排気の熱を用いて高圧・高温の蒸気を生成する熱交換装置と、この熱交換装置で生成された蒸気を用いて蒸気発電する発電装置と、発電された電気で蓄電される複数のバッテリーを備えた蓄電ステーションとを具備する。通常時には、製炭装置で生成した炭を、BBQ用の炭や土壌改良剤や水質浄化剤等として地域に供給する。災害発生時の停電の場合には、蓄電ステーションの蓄電済みのバッテリーを非常時用電源として活用して、災害時対応としての地域の強靭化に資する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製炭時の材料となる間伐材、竹材、剪定枝等の地域資材を集積して保管する保管スペースと、
この保管スペースに保管された地域資材が投入されて、これ一次燃焼バーナを用いて間接加熱して製炭すると共に、製炭時に発生するガスを二次燃焼バーナを用いて燃焼する二次燃焼式製炭装置であって、二次燃焼後の排気ガスを排出する排気口を有する二次燃焼式製炭装置と、
この製炭装置の排気口から排気されてくる排気中の熱を用いて高圧・高温の蒸気を生成する熱交換装置と、
この熱交換装置で生成された蒸気を用いて蒸気発電する発電装置と、
この発電装置により発電された電気で蓄電される複数のバッテリーを備え、これらバッテリーが取り外し可能とされた蓄電ステーションとを具備し、
通常時には、前記製炭装置で生成した炭を、BBQ用の炭や土壌改良剤や水質浄化剤等として地域に供給し、少なくとも災害時に地域への停電が発生した場合には、この蓄電ステーションに備えられた蓄電済みのバッテリーを取り外し、近隣地域の家庭、店舗、企業に配布して、非常時用電源として活用し、使用済のバッテリーを回収して、前記蓄電ステーションで再充電することを特徴とする地域強靭化システム。
【請求項2】
温泉水が湧き出てくる温泉井戸をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の地域強靭化システム。、
【請求項3】
前記発電装置は、前記温泉井戸から湧き出てくる温泉水からの温泉熱を更に用いて発電することを特徴とする請求項2に記載の地域強靭化システム。
【請求項4】
前記二次燃焼式製炭装置からの排気ガスは、800℃以上に加熱されていることを特徴とする請求項1に記載の地域強靭化システム。
【請求項5】
前記熱交換装置で生成された熱のうち、前記発電装置で用いられた熱の残り熱を熱交換する副熱交換装置をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の地域強靭化システム。
【請求項6】
前記副交換装置からの熱の供給を受け、温水冷暖房する冷暖房装置を更に具備することを特徴とする請求項5に記載の地域強靭化システム。
【請求項7】
前記副熱交換装置からの熱の供給を受け、内部を加熱するハウス栽培装置を更に具備することを特徴とする請求項5に記載の地域強靭化システム。
【請求項8】
前記副熱交換装置からの熱の供給を受け、魚類が放たれる養殖水を加熱する陸上養殖装置を更に具備することを特徴とする請求項5に記載の地域強靭化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、代表的な地域資源の一つであるとされる放置され未利用の森林資源を活用し、近隣の会社及び住宅に、少なくとも災害時に利用できる電力を供給して地域の災害対策に供せされるビジネスモデルで用いられる地域強靭化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、災害時には、災害が発生した地域の会社及び住宅に供給される電力は遮断され、企業活動もできないところか、生活維持すら困難な状況に陥ることは、東日本大震災の例を待たずとも、よく知られた日常生活における重大なリスクである。このように災害に弱い地域の体質を改善し、強靭化することは、良好な企業活動及び生活維持を図る上で、極めて肝要な要素であると言える。
【0003】
一方、上述の地域の強靭化に際して、近年、合わせて脱炭素化の動きが加味されるようになり、この観点からは、地域の未利用資源としての、例えば、端材や剪定枝、農作物残渣などを原料としてこれらを炭化して炭とすることにより、化石燃料の代替えや土壌改良に利用できるだけでなく、二酸化炭素の隔離・貯留にも貢献することが出来るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述した特許文献1で示される先行技術は、従来技術の欄で説明した製炭装置に係る特許であり、製炭炉と、排煙装置と、前記製炭炉と前記排煙装置とを接続する通路と、を備える製炭装置であって、前記製炭炉は、基台と、前記基台上に設置される製炭ユニットと、を含む。前記製炭ユニットは、製炭対象物が収容され、上面が開放された第1部分と、前記基台の上、かつ、前記第1部分の下に配置される第2部分と、少なくとも前記第1部分の上面を覆う蓋部と、を含むものであり、前記第1部分と前記第2部分との境界部は、少なくとも一部がメッシュで構成されている。前記製炭ユニットには、前記製炭ユニットの内部と外部とを連通する少なくとも2つの開口部が備えられており、前記開口部の少なくとも1つが前記通路に連通するように構成されている。
【0006】
この従来の製炭装置を用いることにより、移動可能な炭化ユニットが提供され、炭化したい端材や残渣等がある場所に移動しえ、その場で製炭することが出来るものである。しかしながら、この製炭装置は、あくまでもスタンドアローンで設置されることを前提として提供されるもので、これをもって、災害時に強い地域の強靭化を図ることが出来るものではなかった。
【0007】
この発明は、上記課題を解決するため、定常時は製炭により地域に炭を提供する一方で、災害時には、地域の電源を供給し得る地域強靭化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し目的を達成するために、この発明に係わる地域強靭化システムは、請求項1の記載によれば、製炭時の材料となる間伐材、竹材、剪定枝等の地域資材を集積して保管する保管ステーションと、この保管ステーションに保管された地域資材が投入されて、これ一次燃焼バーナを用いて間接加熱して製炭すると共に、製炭時に発生するガスを二次燃焼バーナを用いて燃焼する二次燃焼式製炭装置であって、二次燃焼後の排気ガスを排出する排気口を有する二次燃焼式製炭装置と、この製炭装置の排気口から排気されてくる排気中の熱を用いて高圧・高温の蒸気を生成する熱交換装置と、この熱交換装置で生成された蒸気を用いて蒸気発電する発電装置と、この発電装置により発電された電気で蓄電される複数のバッテリを備え、これらバッテリが取り外し可能とされた蓄電ステーションとを具備することを特徴としている。
【0009】
このように、請求項1に記載の地域強靭化システムによれば、通常時には、前記製炭装置で生成した炭を、BBQ用の炭や土壌改良剤や水質浄化剤等として地域に供給し、少なくとも災害発生時に地域への停電が発生した場合には、この蓄電ステーションに備えられた蓄電済みのバッテリを取り外し、近隣地域の家庭、店舗、企業に配布して、非常時用電源として活用し、使用済のバッテリを回収して、前記蓄電ステーションで再充電することができることとなり、災害時対応としての地域の強靭化に資することが出来ることとなる。
【0010】
また、この発明に係る地域強靭化システムは、請求項2の記載によれば、温泉水が湧き出てくる温泉井戸をさらに備えることを特徴としている。
【0011】
この様に、請求項2に記載の地域強靭化システムによれば、地域に噴出している温泉井戸があれば、これをシステム内に取り込んで、地域の強靭化に用いることが出来ることになる。
【0012】
また、この発明に係る地域強靭化システムは、請求項3の記載によれば、前記発電装置は、前記温泉井戸から湧き出てくる温泉水からの温泉熱を更に用いて発電することを特徴としている。
【0013】
このように、請求項3に記載の地域強靭化システムによれば、温泉井戸から湧き出てくる温泉水からの温泉熱を活用して、発電装置における発電に寄与することが出来ることとなり、より地域の強靭化を確実に図ることが出来ることになる。
【0014】
また、この発明に係る地域強靭化システムは、請求項4の記載によれば、前記二次燃焼式製炭装置からの排気ガスは、800℃以上に加熱されていることを特徴としている。
【0015】
このように、請求項4に記載の地域強靭化システムによれば、熱交換装置で熱交換に供される二次燃焼室からの熱として、800℃以上という高温を得られることとなり、この熱交換装置に接続された発電装置における発電効率を高めることが可能となる。
【0016】
また、この発明に係る地域強靭化システムは、請求項5の記載によれば、前記熱交換装置で生成された熱のうち、前記発電装置で用いられた熱の残り熱を熱交換する副熱交換装置をさらに備えることを特徴としている。
【0017】
このように、請求項5に記載の地域強靭化システムによれば、前記熱交換器で生成された熱のうちの前記発電装置で用いられた熱の残りの熱を、他の熱を必要とする機器への有効活用することが出来ることになる。
【0018】
また、この発明に係る地域強靭化システムは、請求項6の記載によれば、前記副交換装置からの熱の供給を受け、温水冷暖房する冷暖房装置を更に具備することを特徴としている。
【0019】
このように、請求項6に記載の地域強靭化システムによれば、発電装置で用いられた熱の残りの熱を、温水冷暖房する冷暖房装置に活用することが出来ることとなり、これにより、地域における冷暖房効率を向上させ、もって地域の強靭化を図ることが出来ることになる。
【0020】
また、この発明に係る地域強靭化システムは、請求項7の記載によれば、前記副熱交換装置からの熱の供給を受け、内部を加熱するハウス栽培装置を更に具備することを特徴としている。
【0021】
このように、請求項7に記載の地域強靭化システムによれば、発電装置で用いられた熱の残り熱を、ハウス栽培におけるハウス内を加熱する熱に活用することが出来ることとなり、これにより、地域におけるハウス栽培を活性化させ、もって地域の強靭化を図ることが出来ることになる。
【0022】
また、この発明に係る地域強靭化システムは、請求項8の記載によれば、前記熱交換装置で生成された熱のうち、前記発電装置で用いられた熱の残り熱を利用して、魚類が放たれる養殖水を加熱する陸上養殖装置を更に具備することを特徴としている。
【0023】
このように、請求項8に記載の地域強靭化システムによれば、発電装置で用いられた熱の残りの熱を、陸上養殖装置における養殖水の加熱のための熱に活用することが出来ることになり、これにより、地域における陸上養殖装置の効率化を図り、もって、地域の強靭化を図ることが出来ることになる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、この発明に係わる地域強靭化システムによれば、通常時には、前記製炭装置で生成した炭を、BBQ用の炭や土壌改良剤や水質浄化剤等として地域に供給し、少なくとも災害時に地域への停電が発生した場合には、この蓄電ステーションに備えられた蓄電済みのバッテリを取り外し、近隣地域の家庭、店舗、企業に配布して、非常時用電源として活用し、使用済のバッテリを回収して、前記蓄電ステーションで再充電することができることとなり、災害時対応としての地域の強靭化に資することが出来ることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】 この発明に係わる一実施例の地域強靭化システムのシステム構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す地域強靭化システムを構成する二次燃焼式炭化装置の内部構成を取り出して概略的に示す正面断面図(
図3における切断面II-IIに沿って切断して示す断面図)である。
【
図3】
図2に示す二次燃焼式炭化装置の内部構成を取り出して切断面III-IIIに沿って切断して示す側断面図である。
【
図4】
図2に示す二次燃焼式炭化装置における作動状況を示す工程作動図である。
【
図5】
図1に示す地域強靭化システムを構成する蒸気発電装置の構成を概略的に示す図である。
【
図6】
図1に示す蓄電ステーションの構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係わる地域強靭化システムの一実施の形態について、添付図面を用いて説明する。
【0027】
図1は、この地域強靭化システムSの一実施例のシステム構成を示すシステム図である。
【0028】
この地域強靭化システムSは、
図1にそのシステム構成を示すように、製炭時の材料となる間伐材、竹材、剪定枝等の地域資材を集積して保管する保管ステーションS10と、この保管ステーションS10に保管された地域資材(図示せず)が投入されて、これ一次燃焼バーナを用いて間接加熱して製炭すると共に、製炭時に発生するガスを二次燃焼バーナを用いて燃焼する二次燃焼式製炭装置S12であって、二次燃焼後の排気ガスを排出する排気口を有する二次燃焼式製炭装置S12と、この製炭装置S12の排気口から排気されてくる排気中の熱を用いて高圧・高温の蒸気を生成する熱交換装置S14と、この熱交換装置S14で生成された蒸気を用いて蒸気発電する発電装置S16と、この発電装置S16により発電された電気で蓄電される複数のバッテリを備え、これらバッテリが取り外し可能とされた蓄電ステーションS18とを具備することを特徴としている。
【0029】
このように、
図1に示す地域強靭化システムSを構成することにより、通常時(即ち、災害が発生していない状況)には、二次燃焼式製炭装置S12で生成した炭を、BBQ用の炭や土壌改良剤や水質浄化剤等として地域S20に供給し、地域S20の経済力を高める観点での活性化を図ると共に、少なくとも災害時に地域への停電(即ち、電力会社からの送電が停止された状況)が発生した場合には、この蓄電ステーションS18に備えられ、製炭装置S12の排気口から排気されてくる排気中の熱を用いて高圧・高温の蒸気を生成する熱交換装置S14で生成された蒸気を用いて蒸気発電する発電装置S16で蓄電されていたバッテリを取り外し、近隣地域の家庭、店舗、企業S20に配布して、非常時用電源として活用し、また、配布したバッテリの電気を使い切り、残留電気が消耗してしまった場合には、使用済のバッテリを回収して、蓄電ステーションS18で再充電することにより、再度、充電済のバッテリを近隣地域の家庭、店舗、企業S20に再配布することにより、通常時の地域S20の経済活動に寄与することができると共に、災害時対応としての地域S20の停電を回避して、地域S20の生活を守るとの観点での強靭化に資することが出来ることとなる。
【0030】
尚、この蓄電ステーションS18においては、蒸気発電装置S16における発電容量はさほど大きいものである必要はなく、特に、急速充電に対応する機能を有する必要はなく、地域住民の数や店舗・企業数に応じた多量のバッテリを備える必要がある状況においては、これらを複数のグループに区分し、各区分毎に、上記発電装置S16の発電容量に見合うバッテリ台数を設定し、各区分毎のバッテリへの蓄電を順次、時間をかけて行っていけばよいものである。
【0031】
以上のように構成される地域強靭化システムSにおいては、上述したシステム構成の他に、温泉水が湧き出てくる温泉井戸S22を更に備えても良いものである。この様に、地域に噴出している温泉井戸S22があれば、これをシステムS内に取り込んで、地域の強靭化に用いることが出来ることになる。具体的には、温泉井戸S22を発電装置S16に接続し、この発電装置S16は、温泉井戸S22から湧き出てくる温泉水からの温泉熱を更に用いて発電することが出来るものである。このように、この地域強靭化システムSにおいては、温泉井戸S22から湧き出てくる温泉水からの温泉熱を活用して、発電装置S16における発電に寄与することが出来ることとなり、より地域の強靭化を確実に図ることが出来ることになる。
【0032】
また、この地域強靭化システムSは、二次燃焼式炭化装置S12で発生した排気ガスの熱の中で、熱交換装置S14で高温・高圧の蒸気への熱交換(気体/蒸気)に用いられて、発電装置S16での発電に供せられる熱の残り熱を熱交換(気体/液体)する副熱交換装置S24をさらに備え、他の熱を必要とする機器への有効活用することが出来ることになる。具体的には、温水冷暖房する冷暖房装置S26を更に備えても良いものであり、この冷暖房装置S26で副交換装置S24からの熱の供給を受け、温水冷暖房する冷暖房装置S26に活用することが出来ることとなり、これにより、地域における冷暖房効率を向上させ、もって地域の強靭化を図ることが出来ることになるし、また、内部を加熱するハウス栽培装置S28を更に備えるようにしても良いものである。これにより、地域におけるハウス栽培を活性化させ、もって地域の経済力の強靭化を図ることが出来ることになる。
【0033】
また、熱交換装置S14で生成された熱のうち、発電装置S16で用いられた熱の残り熱を利用して、魚類が放たれる養殖水を加熱する陸上養殖装置S30を更に備えても良いものである。このように、発電装置S16で用いられた熱の残りの熱を、陸上養殖装置S30における養殖水の加熱のための熱に活用することが出来ることにより、これにより、地域における陸上養殖装置S30の効率化を図り、もって、地域の強靭化を図ることが出来ることになる。
【0034】
以上様に構成される地域強靭化システムSにおいて、以下、
図1に示すシステムSの主たる構成要素を、順次、説明する。
【0035】
先ず、保管ステーションSに保管されている間伐材、竹材、剪定枝等の地域資材を炭化処理するための二次燃焼式炭化装置S12の構成を、
図2乃至
図4を参照して説明する。尚、
図2は、二次燃焼式炭化装置S12を正面断面図(即ち、
図3のII-II線に沿って断面して示す断面図)であり、
図3は二次燃焼式炭化装置S12を
図2のIII-IIIに沿って断面して示す側断面図であり、
図4は二次燃焼式炭化装置S12の作動状態を示す工程作動図である。また、この実施例においては、二次燃焼式炭化装置S12は、株式会社ダイソー製の乾熱式廃棄物減容処理装置(商品名「メルトキン
用いるものである。
【0036】
この二次燃焼式炭化装置S12は、
図2及び
図3に示すように、水分を含有する地域資材を間接加熱して、地域資材内の水分を蒸散させ、地域資材を乾燥させることにより炭化する炭化機構を構成する炭化室1と、この炭化室1で乾燥されている間、地域資材を撹拌する撹拌機構を構成する撹拌具2と、炭化室1に接続され、地域資材から蒸散された蒸気/水分を炭化室1の外部に取り出すための連通路17と、連通路17の出口に接続され、連通路17の出口から取り出された蒸気/水分を燃焼して、蒸気/水分内に含有される臭い成分を脱臭する二次燃焼機構を構成する二次燃焼室18とを基本的に備えて構成されている。
【0037】
撹拌機構を構成する撹拌具2は、
図3に示すように、炭化室1に回転可能に収納された三角状の撹拌翼と、この撹拌翼が一体的に取り付けられた撹拌具軸3と、撹拌具軸3の一端に同軸に固定されたギヤ4と、駆動モータ6と、駆動モータ6の駆動軸jとギヤとをエンドレスに連結するチェーン5とを備えている。
【0038】
また、炭化室1には、炭化室1に開口して形成された地域資材投入口8と、この地域資材投入口8の周縁を取り囲むように取り付けられた地域資材投入筒7と、この地域資材投入筒7の外側の開口面を開放可能に閉塞する開閉扉9と、炭化室1の一側面の下部に形成された炭化処理済みの地域資材(以下、炭化物という。)を取り出すための炭化物取出口10と、この炭化物取出口10を開放可能に閉塞する開閉扉11とが設けられている。炭化機構は、一次燃焼バーナとして間接加熱を実行するための炭化用バーナ14と冷却用ブロワ15と耐火断熱材16とを更に備えて構成されている。
【0039】
連通路17はガス上昇管(内管)1aと排ガス上昇管13a(外管)と耐火断熱材12と空気流入孔28とから構成される。二次燃焼機構は、二次燃焼室18の他に、仕切板18a、18b、18cと開口部18dと耐火断熱材19と送風通路部20とスリーブ21と二次燃焼用バーナ23と噴射孔23aと二次燃焼用ブロワ24と送風口25と排気口29と筒状規制部30とL状規制部31とを備えて構成される。
【0040】
地域資材を収納する炭化室1は横倒しの有蓋円筒形に形成されており、内部に三角柱状の撹拌具2が回転自在に設けられている。撹拌具2は低速で回転し地域資材を撹拌して細かくするとともに、ガスの発生を促すものであり、その撹拌具軸3は炭化室1の1端面から突出して設けられている。この撹拌具軸3にはギヤ4が設けられており、チェーン5を介してモータ6に連動連結されている。参照符号7は炭化室1の上部周面に連通して設けられた地域資材投入筒であり、この地域資材投入筒7の地域資材投入口8には開閉扉9が設けられている。また、参照符号10は炭化室1の底部周面に開口した炭化物取出口を示しており、この炭化物取出口10には、これを開閉自在に開閉扉11が設けられている。
【0041】
上記炭化室1の外周には間接加熱室13が取り囲んだ状態で設けられている。この間接加熱室13は炭化室1に対し、下側で広い間隔を存し上側で狭い間隔を存して偏心して有蓋円筒形に形成されており一端面は炭化室1の一端面と面一に配置され、この一端面で炭化室1を宙釣り状態に固定している。間接加熱室13の他端面には底部側に位置して内部に向けて燃焼する炭化用バーナ14及び内部に送風する冷却用ブロワ15が設けられている。耐火断熱材16が間接加熱室13の内部全壁に亘って設けられている。
【0042】
なお、炭化室1の加熱温度は炭化室1に設けられた温度センサ(図示省略)の検知により炭化用バーナ14の火力を制御することにより自動的に行われる。また、炭化室1、間接加熱室13は有蓋円筒形に形成されたものを示したが、矩形箱状のものでもよく、その形状は限定されない。
【0043】
上記炭化室1及び間接加熱室13の上部には炭化室1及び間接加熱室13と後述する二次燃焼室18との間を連通接続する連通路17が設けられている。この連通路17は炭化室1及び間接加熱室13の排気口としての役目を果たすものであり、炭化室1の上部周面に連通接続するガス上昇管(内管)1aとガス上昇管1aの周囲を囲んで配置され間接加熱室13と連通する排ガス上昇管13a(外管)とから二重に形成されている。耐火断熱材12が排ガス上昇管13aの内側に設けられている。
【0044】
上記炭化室1及び間接加熱室13の上部には連通路17を介し連通接続して二次燃焼室18が設けられている。脱臭室18の外側には後述する二次燃焼用ブロワ24からの空気の通風路となる送風通路部20が構成されており、全体として箱状の二重構造に形成されている。この送風通路部20の内側、すなわち、二次燃焼室18の内壁全域には耐火断熱材19が張り巡らされている。この耐火断熱材19には適宜間隔を存して吹出孔25が複数個貫通形成され、この吹出口25は二次燃焼室18の内壁、すなわち、送風通路部20と繋がり形成されている。
【0045】
上記連通路17から延長して二次燃焼室18の入口には耐火材により形成された円筒状のスリーブ21が設けられている。スリーブ21は二次燃焼室18の入口から若干上方に配置され、その一端は二次燃焼用バーナ23の噴射孔23aに接しており、他端は仕切板18aの開口部18dとの間に空間が設けられるよう配置されている。連通路17のガス上昇管(内管)1aと排ガス上昇管13a(外管)からのガスは、スリーブ21と連通路17の出口に生じている隙間から高温になったスリーブ21に接触し、高温の燃焼し易いガスになる。
【0046】
さらに、このガスはスリーブ21の他端と仕切板18aの開口部18dとの間に設けられている空間で、スリーブ21内を噴射される燃焼ガスで燃焼される。この空間で燃焼されたガスは仕切板18aの開口部18dを通過し、仕切板18aに対しスリーブ21とは反対側に設けられた筒状規制部30内に送り込まれる。筒状規制部30の入口に乱流発生部30eが設けられており熱風は筒状規制部30内で一様な乱流状態となる。この一様な乱流となった熱風は、筒状規制部30の入口から筒状規制部30の出口の間で、スリーブ21の他端と仕切り板18aの開口部18dとの間に設けられている空間で燃焼し切れなかった未燃焼ガスを再度燃焼させる。この再度燃焼されたガスは、出口から二次燃焼室18内へ送出され、上部にL状規制部31があるため、筒状規制部30の外側側面に沿って仕切板18a方向に戻り、さらに仕切板18aに沿って上昇し、L状規制部31の上部を通り排気口29に到達し、外部に排出される。
【0047】
上記二次燃焼室18の入口側の側面には内部に向けて燃焼する二次燃焼用バーナ23と共に送風通路部20に送風する二次燃焼用ブロワ24が設けられている。二次燃焼用バーナ23及び二次燃焼用ブロワ24は連動して始動するようになっている。また、図示は省略するが、炭化室1及び二次燃焼室18の適宜位置には温度センサが設けられており、温度検出により二次燃焼室18の温度が一定温度以上にならないように、炭化用バーナ14及び二次燃焼用バーナ23を制御する。
【0048】
また、連通路17を構成する外側の排ガス上昇管13aが二次燃焼室18と接続される付近には、外側から内側に斜め上方に向けて空気流入孔28が複数個形成されている。この空気流入孔28は上記送風通路部20と連通しており、二次燃焼用ブロワ24から空気が送風される。
【0049】
なお、上記炭化室1、間接加熱室13及び二次燃焼室18は図示を省略するがハウジング内に収納されており、このハウジング内において二次燃焼室18は水平に配置される一方、炭化室1及び間接加熱室13は一端面(炭化物取出口8が位置する面)を高く他端面(炭化用バーナ14、冷却用ブロア15が位置する面)を低く傾斜して配置されている。これにより、炭化用バーナ14の火力が炭化室1を底面側から加熱しやすくなっているとともに、間接加熱室13が炭化用バーナ14の排ガスの排気筒として排ガス上昇管13aへ上昇しやすくなっている。なお、炭化物取出口8が位置する間接加熱室13の一端面側は高くなっているが、炭化物はかき出すことにより容易に取り出すことができる。
【0050】
以上のように構成される二次燃焼式炭化装置S12において、
図4を参照して、これの作動態様を説明する。即ち、
図4に工程作動図として示すように、この二次燃焼式炭化装置S12の図示しない動作開始スイッチが投入(ON)されると、先ず、二次燃焼バーナ23が点火して、二次燃焼室18の昇温動作を開始する。この二次燃焼室18の温度が設定温度、例えば、150℃にまで昇温したことが確認されると、次に、一次燃焼用バーナとしての炭化用バーナ14を点火して、間接加熱室13の昇温動作を開始する。この間接加熱室13の昇温に伴い、これに外周を囲われている炭化室1を外周から間接加熱することになる。この炭化用バーナ14の点火状態は、間接加熱室13の温度が設定範囲(例えば、250℃~300℃)となるように、ON-OFF制御されるものである。
【0051】
そして、上述したように、間接加熱室13の昇温に伴い、炭化室1は、外周から間接加熱され、ここの温度も徐々に昇温し、この昇温に伴い、炭化室1の内部に投入された地域資材は、内部から水分が蒸発して乾燥化され、減容されると共に含水率の低下に伴い炭状に炭化される。特に、この実施例においては、炭化室1内に投入された地域資材は、決して燃焼されることなく、内部の水分の蒸発による含水率の低下による炭状になるものであり、この限りで、地域資材が固有に持つエネルギが炭となっても保持される状況となり、換言すれば、非常にエネルギ効率の良い炭が製炭されることとなる。
【0052】
一方、上述した二次燃焼室18においては、炭化室1で発生した地域資材からの水分が連通路17のガス上昇管(内管)1aを通り、また、炭化用バーナ14から間接加熱室13に放出された排気ガス等が、連通路17の排ガス上昇管(外管)13aを通って、この二次燃焼室18にもたらされ、共に二次燃焼バーナ23の燃焼炎により燃焼処理させられることとなる。その際、
図4を参照して上述したように、この二次燃焼バーナ23からの燃焼炎により、二次燃焼室18内は、800℃を超える温度に昇温されることとなる。換言すれば、二次燃焼室18に設けられた排気口29からは、高温(約800℃以上)の排気ガスが排出されることとなっている。このように、二次燃焼バーナ23により二次燃焼室18内は高温に保持されることとなり、炭の原料としての地域資材から蒸発した水分や排気ガス等は、二次燃焼バーナ23からの燃焼炎に晒されることによる焼却だけでなく、この高温の二次燃焼室18内に所定時間滞留することにより、より確実に消滅処理されることとなる。
【0053】
一方、この二次燃焼室18の排気口29には、排気ダクト40が接続されていて、この排気口29から排出される高温(約800℃以上)の排気ガスを、後述する蒸気発生装置S14に導いてここに供給するように構成されている。ここで、蒸気発生装置S14は後に詳細に説明するが、機能としては熱交換装置としての装置であり、換言すれば、ここに供給された熱により蒸気を発生する気体/蒸気型の蒸気発生装置(即ち、ボイラー)としての役割を果たすように構成されている。このように、熱交換装置としての蒸気発生装置S14で熱交換に供される二次燃焼室18からの熱として、800℃以上という高温を得られることとなり、この熱交換装置としての蒸気発生装置S14に接続された蒸気発電装置S16における発電効率を飛躍的に高めることが可能となるものである。
【0054】
尚、この実施例において用いられている二次燃焼式炭化装置S12は、上記構成から明らかなように、決して、炭化炉ではなく、間接加熱により地域資材を比較的低温で加熱して内部の水分を蒸散させ、含水率が十分に下がった状態で所謂「炭」とならしめるものであり、従来存在する炭化炉とは、その構成を異にするものである。
【0055】
また、この実施例においては、二次燃焼式製炭装置S12は、図示していないが、
図1及び
図2に示す構造体を内部に収納した筐体を備えており、これら間接加熱室13や二次燃焼室18が外部に露出する状況でないことは、言うまでもない。
【0056】
次に、
図5を参照して、蒸気発生装置S14及びこの蒸気発生装置S14で発生させた蒸気に基づき発電する蒸気発電装置S16の構成を概略的ではあるが説明する。
【0057】
先ず、蒸気発生装置S14は、上述した構成の二次燃焼式炭化装置S12の排気口29から排出される800℃を超える高温の排気ガスを排気ダクト40を介して受け、この受けた排気ガスの熱を熱交換により高温・高圧の蒸気に変換するものであり、いわゆる気体・蒸気式の熱交換装置であり、別名としては、熱源として高温の排気ガスを用いる気体/蒸気式のボイラとして知られている周知の構造となっているものである。
【0058】
この蒸気発生装置S14で発生した高温・高圧蒸気を受けて、蒸気発電装置S16は発電するように構成されているものであり、この実施例においては、スクリュ式小型発電装置として知られている株式会社神戸製鋼所製の商品名「スチームスター」(登録商標)/型番:MSEG160Lを活用するものである。
【0059】
即ち、
図5に概略的に示すように、蒸気発電装置S16は、スクリュ式小型蒸気発電装置として周知の構造であり、蒸気発生装置S14から供給されてきた高温・高圧の蒸気を受けて駆動軸を回転駆動するスクリュ式膨張機50を備えている。この駆動軸には、発電機52が接続されており、駆動軸の回転に応じて、発電動作を実行し、所定の電圧・電流値を有する電気を出力する。この発電機52には、コンバータ54を介して制御盤56が接続されており、この制御盤54から電源コードを介して蓄電ステーションS18に電気が給電されるように構成されている。
【0060】
一方、上述したスクリュ式膨張機50の出力口は復水器58に接続されており、膨張機50で発電動作に供された後の蒸気は、復水器58にもたらされてここで低圧水として蒸気/液体変換されることになる。そして、この低圧水は、給水ポンプ60で加圧されて、高圧水となって上述した蒸気発生装置S12に、上述した高温・高圧蒸気の原料として供給されるように構成されている。このようにして、二次燃焼式製炭装置S12で生成された800℃の高温の排気ガスを熱源として、ここに給水ポンプ60から供給されてきた高圧水は、高温の排気ガスとの間で熱交換されて、高温・高圧の蒸気となり、スクリュ式小型蒸気発電装置S16に供給されて、ここで発電に供されることになる。
【0061】
また、蓄電ステーションS18は、
図6に概略的に示すように、複数の蓄電バッテリ62を取り外し自在に備えるものであり、各蓄電バッテリ62は上述したスクリュ式小型蒸気発電装置S16から給電された電気を受けて、充電されるように構成されている。このように、蓄電ステーションS18は、複数の、例えば、1,000台の蓄電バッテリ62を備えるものであるが、この実施例においては、蓄電効率の向上を図るために、先ず、例えば20台の蓄電バッテリ62を複数の、50の群G1~G50に分類し、各郡G1~G50において夫々に分類される蓄電バッテリ62に給電するための群配電盤64-1~64-50を備え、更に、スクリュ式小型蒸気発電装置S16の制御盤56から動力ケーブルを介して供給されてきた電気を、50つの群配電盤64-1~64-50に個別に配電するための主配電盤66を備えている。そして、主配電盤66には制御装置68が接続されていて、制御盤56から動力ケーブルを介して供給されてきた電気を、何れの群配電盤64-1~64-50に選択的に分電するのかを制御するように構成されている。
【0062】
このように、この蓄電ステーションS18においては、制御装置68の制御手順に従い、未充電の蓄電バッテリ62のある群の群配電盤64-1~64-50の中で、若い番号の順に配電(給電)されるように、主配電盤66を制御し、例えスクリュ式小型蒸気発電装置S16から供給される電気の出力が1,000台の蓄電バッテリ62を一度にフル充電するには不十分であったとしても、1回の充電動作で20台分の蓄電バッテリ62をフル充電することはできる状態を達成し、20台の蓄電バッテリ62毎に順次蓄電をしていき、多少の時間はかかるが、1,000台すべての蓄電バッテリ62をフル充電することが出来るようになされている。具体的には、20台の蓄電バッテリ62をフル充電するために2日を要すると仮定した場合、1,000台の蓄電バッテリ62をフル充電するためには100日掛かる(換言すれば、100日で済む)こととなり、いつ起こるかわからない災害への対応としては、当初の充填のための準備期間としては、100日はそんなに長い日数ではなく、十分に産業上の利用可能性のあるシステムであると自負する次第です。
【0063】
尚、この実施例においては、既に充電が完了した蓄電バッテリ62においては、これを放置することにより、わずかではあるが自然放電して、電力が徐々にではあるが失われてしまうことになる。そこで、この実施例においては、ある群の20台分の蓄電動作を行っている最中に、既に充電が完了した群の蓄電バッテリ62に放電分を補填するための充電電流を給電するようにして、既に充電が完了した蓄電バッテリ62の充電状態が、常に、フル充電が達成されるように設定されている。
【0064】
尚、この蓄電ステーションS18における蓄電バッテリ62の蓄電動作は、災害等の非常事態が発生しない定常状態においては、常に実行されているものであり、この定常状態においては、二次燃焼式製炭装置S12において、日常的に、地域資材を用いた製炭作業が定常的に行われ、製造された炭を、BBQ用の炭として販売したり、土壌改良剤として地域の農家に供給したり、水質浄化剤として各家庭で利用されるようにして、地域の経済力の向上や生活の質の向上に貢献することによる、地域の強靭化に資する状況が達成されるものである。
【0065】
一方、一度、災害が発生して、地域の電力会社からの給電が停止(即ち、停電が発生)されたならば、二次燃焼式製炭装置S12での製炭動作を直ちに停止し、地域の各家庭や店舗や企業等では、停電による不都合が多々発生することになるが、このような災害が発生する事態においては、蓄電ステーションS18で蓄電が完了している蓄電バッテリ62を接続端子から取り外し、地域の家庭や店舗や企業等に配布して、夫々における電力消費に供されることになる。特に、この蓄電バッテリ62においては、例えば各家庭における1日当たりの電力消費量を最低限の生活を維持する目安(例えば最低限の電灯及び冷蔵庫や充電危機への給電))や、企業における電灯及びPC駆動のために最低限必要となる電力量として見込まれる1500Wの3日分が蓄電量として確保されるように、設定されている。
【0066】
また、一旦、各家庭や店舗、企業に配布されて、電力消費に利用され、帯電量が枯渇した蓄電バッテリ62は、再利用する必要がある場合には、配布先から回収し、再び、蓄電ステーションS18に取り付けて、再充電することが出来るものである。このように、再充電を可能とするシステムとすることにより、仮に災害が甚大で、過去の東日本大震災のように、停電が復帰するまで2週間を要する事態となった場合には、再充電した蓄電バッテリ62を、地域に再配布して、何とか、停電が復帰するまでの間の最低限の電力消費を賄うことが出来るようにして、これを以って、地域の強靭化を図ることが出来るようになすものである。
【0067】
なお、この発明は、上述した一実施例の構成に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、この発明に係る地域強靭化システムにおいては、製炭時の材料となる間伐材、竹材、剪定枝等の地域資材を集積して保管する保管ステーションと、この保管ステーションに保管された地域資材が投入されて、これ一次燃焼バーナを用いて間接加熱して製炭すると共に、製炭時に発生するガスを二次燃焼バーナを用いて燃焼する二次燃焼式製炭装置であって、二次燃焼後の排気ガスを排出する排気口を有する二次燃焼式製炭装置と、この製炭装置の排気口から排気されてくる排気中の熱を用いて高圧・高温の蒸気を生成する熱交換装置と、この熱交換装置で生成された蒸気を用いて蒸気発電する発電装置と、この発電装置により発電された電気で蓄電される複数のバッテリを備え、これらバッテリが取り外し可能とされた蓄電ステーションとを具備することを特徴とし、通常時には、前記製炭装置で生成した炭を、BBQ用の炭や土壌改良剤や水質浄化剤等として地域に供給し、少なくとも災害発生時に地域への停電が発生した場合には、この蓄電ステーションに備えられた蓄電済みのバッテリを取り外し、近隣地域の家庭、店舗、企業に配布して、非常時用電源として活用し、使用済のバッテリーを回収して、前記蓄電ステーションで再充電することができることとなり、災害時対応としての地域の強靭化に資することが出来ることとなり、産業上の利用可能性の十分に高いものである。
【符号の説明】
【0069】
S 地域強靭化システム
S10 保管ステーション
S12 二次燃焼式製炭装置
S14 蒸気発生装置(熱交換装置)
S16 上記発電装置
S18 蓄電ステーション
S20 近隣地域の家庭・店舗・企業
S22 温泉井戸
S24 副熱交換装置
S26 冷暖房装置
S28 ハウス栽培装置
S30 陸上養殖装置
1 炭化室
1a ガス上昇管(内管)
2 撹拌具
3 撹拌具軸
4 ギヤ
5 チェーン
6 モータ
7 地域資材投入筒
8 地域資材投入口
9 開閉扉
10 炭化物取出し口
11 開閉扉
12 耐火断熱材
13 間接加熱室
13a 排ガス上昇管(外管)
14 炭化用バーナ
15 冷却用ブロワ
16 耐火断熱材
17 連通路
18 二次燃焼室
18a;18b;18c 仕切り板
18d 開口部
19 耐火断熱材
20 送風通路部
21 スリーブ
23 二次燃焼用バーナ
23a 噴射孔
24 二次燃焼用ブロワ
25 送風口
28 空気流入孔
29 排気口
30 筒状規制部
30c 熱風出口
30e 乱流発生部
31 L状規制部
31c 半円切込部
40 排気ダクト
50 スクリュ式膨張機
52 発電機
54 コンバータ
56 制御盤
58 復水器
60 給水ポンプ
62 蓄電バッテリ
64-1~64-50 群配電盤
66 主配電盤
68 制御装置