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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003254
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
   B63B 11/04 20060101AFI20241226BHJP
   B63B 25/08 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B63B11/04 Z
B63B25/08 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146099
(22)【出願日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2023102232
(32)【優先日】2023-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】595108631
【氏名又は名称】市川 定
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 定
(72)【発明者】
【氏名】市川 勉
(57)【要約】
【課題】大量の生活用水を経済的に運搬可能にする。
【解決手段】バラストタンク20を備えた船舶1は、バラストタンク20内に設けられ、バラストタンク20内に生活用水が収容される部分を区画する水収容部30と、水収容部30に連通し、生活用水を給排するための給排水部31とを備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラストタンクを備えた船舶であって、
前記バラストタンク内に設けられ、当該バラストタンク内に生活用水が収容される部分を区画する水収容部と、
前記水収容部に連通し、生活用水を給排するための給排水部とを備えている、船舶。
【請求項2】
請求項1に記載の船舶において、
前記水収容部は、袋状をなしている、船舶。
【請求項3】
請求項2に記載の船舶において、
前記バラストタンクの上壁部には、前記水収容部を取り出すための取り出し部が設けられている、船舶。
【請求項4】
請求項2に記載の船舶において、
前記バラストタンク内に、前記水収容部を固定するための固定具が設けられている、船舶。
【請求項5】
請求項1に記載の船舶において、
前記給排水部は、船体の外壁面に設置されている、船舶。
【請求項6】
請求項1に記載の船舶において、
前記バラストタンクは、船体の底部に設けられる底部バラストタンクと、船体の両側部にそれぞれ設けられる側部バラストタンクとを含み、
前記水収容部は、前記底部バラストタンク内と、前記側部バラストタンク内とにそれぞれ設けられ、
前記給排水部は、前記底部バラストタンク内に設けられた前記水収容部に連通する底部用給排水部と、前記側部バラストタンク内に設けられた前記水収容部に連通する側部用給排水部とを含み、
前記底部用給排水部は、前記船体の両側部にそれぞれ設けられた前記側部バラストタンクの間に位置する前記底部バラストタンクの上壁部に設置されている、船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水を運搬する船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、各種貨物を積載する貨物船舶は、積荷を積載した状態で目的地まで航行する際、ローリングやピッチングによる積荷の損傷を抑制するため、バラストタンクに海水を注入したり、バラストタンクから海水を排出したりしてスムーズな航行が行えるようにしている。
【0003】
また、貨物船舶が目的地で積荷を降ろした後は、ほぼ空荷の状態で帰還航行することになるが、この帰還航行時には、船舶のバランスや操縦性を向上するために海水をバラストタンクに注入して航行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-100216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、世界を見渡すと、生活用水の確保が困難な国や地域、生活用水として使用可能な水が殆ど無い国や地域が存在する。このような国や地域では、生活用水が十分に使えないことで衛生面、健康面で大きな問題を抱えている場合があり、大量の生活用水の供給が課題となる。
【0006】
しかしながら、上述したような国や地域で大量の生活用水を供給しようとしても、そもそも、生活用水を生成、供給する設備がないので難しい。また、生活用水を運搬するにしても、そのためだけに船舶を確保して航行するのはかなりのコストが必要になる。
【0007】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、大量の生活用水を経済的に運搬可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、バラストタンクを備えた船舶を前提とすることができる。この船舶は、前記バラストタンク内に設けられ、当該バラストタンク内に生活用水が収容される部分を区画する水収容部と、前記水収容部に連通し、生活用水を給排するための給排水部とを備えた構成とすることができる。
【0009】
例えば、貨物船舶の底部や側部にはバラストタンクが設けられており、そのバラストタンクの容積は船舶の排水量にもよるがかなり大きな容積である。このバラストタンクには、例えば帰還航行時に一般的に海水が注入されるのであるが、本態様では、バラストタンク内に生活用水が収容される部分として水収容部が設けられている。この水収容部に、給排水部を介して生活用水が供給されると、大量の生活用水がバラストタンク内に収容された状態になる。これにより、大量の生活用水の海上輸送が可能になる。つまり、従来は帰還航行時に海水を運搬していた船舶が、本態様では海水の代わりに生活用水を運搬するので、生活用水を運搬するための専用の船舶を用意しなくても、大量の生活用水を経済的に運搬することができる。また、帰還航行時以外であっても、バラストタンク内への注水が必要な時に海水の代わりに生活用水を水収容部に供給することで、大量の生活用水を経済的に運搬することができる。
【0010】
前記水収容部は、例えば袋状をなしていてもよい。水収容部が袋状をなしていることで、バラストタンク内に海水を注入したい場合に、水収容部をバラストタンク内で容易に小さくすることができ、海水の注入量を十分に確保できる。
【0011】
前記バラストタンクの上壁部には、前記水収容部を取り出すための取り出し部が設けられていてもよい。この構成によれば、水収容部を交換する場合や洗浄ないし消毒、殺菌する場合に、取り出し部から取り出すことができる。このとき、水収容部が袋状なので、水収容部を折り曲げたり、畳んだりしてコンパクトにすることで、取り出しが容易に行える。また、新しい水収容部や洗浄後、消毒後、殺菌後の水収容部は取り出し部からバラストタンク内に収容することが可能である。
【0012】
前記バラストタンク内には、前記水収容部を固定するための固定具が設けられていてもよい。この構成によれば、水収容部をバラストタンク内の所定位置に配置しておくことができる。
【0013】
前記給排水部は、船体の外壁面に設置されていてもよい。これにより、生活用水を船体の外部から水収容部に注入することができ、また、水収容部に収容されている生活用水を船体の外部から排出することができる。荷役作業と同時に、生活用水の供給及び排出を行うこともできる。
【0014】
前記バラストタンクは、船体の底部に設けられる底部バラストタンクと、船体の両側部にそれぞれ設けられる側部バラストタンクとを含んでいてもよい。この場合、前記水収容部は、前記底部バラストタンク内と、前記側部バラストタンク内とにそれぞれ設けられていてもよい。また、前記給排水部は、前記底部バラストタンク内に設けられた前記水収容部に連通する底部用給排水部と、前記側部バラストタンク内に設けられた前記水収容部に連通する側部用給排水部とを含んでおり、前記底部用給排水部は、前記船体の両側部にそれぞれ設けられた前記側部バラストタンクの間に位置する前記底部バラストタンクの上壁部に設置することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、バラストタンク内に設けられた水収容部に生活用水を収容して運搬できるので、大量の生活用水を経済的に運搬できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態1に係る船舶の側面図である。
図2図1におけるII-II線断面図であり、生活用水を収容する前の状態を示す。
図3図1におけるII-II線断面図であり、生活用水を収容した後の状態を示す。
図4図1におけるII-II線断面図であり、水収容部をバラストタンク内から取り出す途中の状態を示す。
図5】本発明の実施形態2に係る図2相当図である。
図6】本発明の実施形態3に係る図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0018】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る船舶1の側面図である。この船舶1は、例えば各種貨物を積載する貨物船舶であり、積載する貨物の種類、形状、状態、大きさ、量は特に限定されるものではない。例えば液体を積載する場合、船舶1はタンカーである。船舶1の後部にはスクリュー1aや舵1bが設けられている。
【0019】
船舶1は、船体10と、船体10に搭載された動力機関(図示せず)と、船体10に搭載された操舵機構(図示せず)等を有している。図2に示すように、船体10は、鋼板等からなる右側壁11、左側壁12及び底壁13を有している。底壁13は、船舶1の底部を構成する部分である。右側壁11は、船舶1の前方へ向かって見たときに右に位置する側壁である。左側壁12は、船舶1の前方へ向かって見たときに左に位置する側壁である。
【0020】
船体10の底部には、底部バラストタンク20が設けられている。底部バラストタンク20は、船体10の前部から後部に亘り、かつ、船体10の右から左に亘って広い範囲に設けられている。底部バラストタンク20の内部には、左右方向に延びる区画壁21が設置されている。また、図示しないが、底部バラストタンク20の内部には、前後方向に延びる区画壁が設けられる場合もある。船体10における底部バラストタンク20の上方空間は貨物が積載される空間(液体が貨物の場合は液体が収容される空間)である。
【0021】
図2に示すように、底部バラストタンク20の上壁部22は左右方向及び前後方向に延びている。上壁部22の右端部は、船体10の右側壁11の内面に接合され、また上壁部22の左端部は、船体10の左側壁12の内面に接合されている。これにより、底部バラストタンク20の水密性が確保されている。尚、図2に示す構造は一例であり、左右対称構造であってもよいし、左右が反対の構造であってもよい。
【0022】
底部バラストタンク20には図示しないポンプ等によって海水の注入が行われ、また底部バラストタンク20内の海水は上記ポンプ等によって排出されるようになっている。海水の注入量及び排出量、そのタイミング等は、船員の操作によって任意に設定され、設定通りに上記ポンプ等が動作するようになっている。これにより、スムーズな航行が行えるので、積荷を積載した状態で目的地まで航行する際、ローリングやピッチングによる積荷の損傷を抑制できる。また、船舶1が目的地で積荷を降ろした後は、ほぼ空荷の状態で帰還航行することになるが、この帰還航行時には、船舶1のバランスや操縦性を向上するために海水を底部バラストタンク20に注入して航行することができる。
【0023】
底部バラストタンク20内には、当該底部バラストタンク20内に生活用水が収容される部分Rを区画するための水収容部30が設けられている。水収容部30は、袋状をなしており、具体的には水を通さず、かつ、柔軟性を有する素材からなる袋状の部材で構成されている。このような素材としては、例えばゴム、樹脂材等を挙げることができるが、これらに限られるものではなく、水収容部30がどのような素材で構成されていてもよい。
【0024】
水収容部30には生活用水を収容するので、水収容部30の内部は消毒処理、殺菌処理等が行えるようになっている。また、水収容部30の外部にある海水等が水収容部30の内部には浸入しないようになっている。
【0025】
また、水収容部30は、複数種の素材を積層した積層部材で構成されていてもよい。図2は水収容部30に生活用水を収容していない状態を示しており、この状態では水収容部30が小さくなっている。図3は水収容部30に生活用水を収容している状態を示しており、この状態では水収容部30が大きく膨らんでいる。底部バラストタンク20の容積は大きいため、水収容部30の容積も大きくすることができ、大量の生活用水を水収容部30に収容できる。
【0026】
尚、生活用水とは、人間が日常生活を営むのに使用する水のことであり、例えば洗濯、入浴、手洗い、調理等に使用可能な水を挙げることができる。生活用水には飲用に適した水(飲用水)が含まれていてもよい。
【0027】
船体10は、水収容部30に連通し、生活用水を給排するための給排水部31を備えている。給排水部31は、例えば筒状、管状またはパイプ状の部材で構成されており、船体10の外壁面に設置されている。すなわち、給排水部31の一端部は、船体10の左側壁12に形成された設置孔12aに挿入された状態で固定されている。給排水部31の一端部には、蓋部材31aが脱着可能に取り付けられている。この蓋部材31aは、船体10の外部に臨んでおり、外部から開け閉めが可能になっている。これにより、貨物の荷役作業中であっても、生活用水の供給作業、排出作業が可能になるので、荷役作業と生活用水の供給作業を並行して行ったり、荷役作業と生活用水の排出作業を並行して行ったりすることができる。
【0028】
一方、給排水部31の他端部は、底部バラストタンク20の上壁部22の左寄りの部分に形成された貫通孔22aに挿通された状態で当該上壁部22に固定されている。給排水部31の他端部には、水収容部30が接続されており、水収容部30の内部と給排水部31の内部とが連通している。
【0029】
この実施形態では、1つの給排水部31で生活用水の供給と排出とを行うようにしているが、これに限らず、給水部と排水部とを別々に設け、給水部及び排水部で給排水部を構成してもよい。この場合、給水部を水収容部30に接続するとともに、排水部も水収容部30に接続することで、給水部及び排水部を水収容部30に連通させることができる。
【0030】
底部バラストタンク20の上壁部22には、当該上壁部22を貫通するように形成された取出孔22bが設けられている。この取出孔22bは、水収容部30を取り出すための取り出し部である。上壁部22には、取出孔22bを閉塞する閉塞部材22cが脱着可能に取り付けられている。通常時には、閉塞部材22cが上壁部22に取り付けられた状態になっており、当該閉塞部材22cによって取出孔22bが閉塞されている。一方、水収容部30の交換、洗浄、消毒、殺菌、修理等の際に、水収容部30を底部バラストタンク20内から取り出す場合、図4に示すように閉塞部材22cを上壁部22から取り外す。これにより、取出孔22bが開放された状態になるので、底部バラストタンク20内の水収容部30を矢印A方向に引っ張り、取出孔22bから取り出すことができる。水収容部30を取り出す際には、水収容部30が袋状の部材で構成されているので、折り曲げたり、畳んだりすることでコンパクトになり、取り出し作業が容易に行える。尚、水収容部30は袋状のものに限られず、例えば箱型のものや、タンクであってもよい。
【0031】
底部バラストタンク20内には、水収容部30を固定するための固定具40が設けられている。固定具40は、例えば伸縮性を有する紐ないしロープ等で構成されている。固定具40の一端部は水収容部30に接続され、固定具40の他端部は底部バラストタンク20内に接続されている。図2に示すように、生活用水が収容されていない場合に水収容部30が底壁13に接触しないように固定具40によって吊り上げられた状態になっている。また、水収容部30が右側壁11及び左側壁12に接触しないように固定具40によって水収容部30の位置が決められている。
【0032】
この実施形態1の場合、例えば帰還航行時に、底部バラストタンク20内の水収容部30に生活用水を収容することができる。まず、船体10の外から蓋部材31aを開けて給排水部31の一端部を開放した後、給排水部31の一端部に生活用水を送給するための送給装置(図示せず)を接続する。この送給装置は、例えば上水等のきれいな水を所定の圧力で送給可能に構成されたポンプ等を含んでいる。送給装置により送給された生活用水は、給排水部31の一端部から当該給排水部31に流入する。給排水部31に流入した水は、当該給排水部31の他端部から水収容部30の内部に流入する。所定量の生活用水が水収容部30に収容されると、送給装置を停止し、蓋部材31aを給排水部31の一端部に取り付けて閉塞する。
【0033】
底部バラストタンク20には、水収容部30の外に海水を注入してもよい。海水の方が生活用水よりも比重が高いので、水収容部30が底部バラストタンク20内の海水に浮かんだ状態になる。底部バラストタンク20への海水の注入を、水収容部30への生活用水の供給よりも早期に行ってもよい。例えば、底部バラストタンク20へ海水を注入した後、水収容部30へ生活用水を供給し、海水の量と生活用水の量とを合わせた量が所望の量になった時点で生活用水の供給ないし海水の注入を停止する。
【0034】
また、底部バラストタンク20への海水の注入を、水収容部30への生活用水の供給の後に行ってもよい。例えば、水収容部30へ生活用水を供給した後、底部バラストタンク20へ海水を注入し、生活用水の量と海水の量とを合わせた量が所望の量になった時点で生活用水の供給ないし海水の注入を停止する。
【0035】
例えば船舶1がタンカーの場合、産油国で原油を積載した後、例えば日本等で原油を降ろす。その後、タンカーは空荷の状態になるので、底部バラストタンク20の水収容部30へ生活用水を収容することで、帰還航行時には、船舶1のバランスや操縦性が向上する。帰還航行の途中に、生活用水の乏しい国に寄港して水収容部30内の生活用水を降ろすことで、生活用水の乏しい国に大量の生活用水を供給できる。生活用水が減った分、海水を底部バラストタンク20に注入すればよい。尚、帰還航行の途中に寄港することなく、帰還した後に水収容部30内の生活用水を降ろしてもよい。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る船舶1によれば、底部バラストタンク20内に水収容部30を設けているので、大量の生活用水の海上輸送が可能になる。これにより、生活用水を運搬するための専用の船舶を用意しなくても、大量の生活用水を経済的に運搬することができる。また、帰還航行時以外であっても、底部バラストタンク20内への注水が必要な時に海水の代わりに生活用水を供給することで、大量の生活用水を経済的に運搬することができる。
【0037】
実施形態1では、給排水部31が船体10の左側壁12に設置されている場合について説明したが、これに限らず、給排水部31が船体10の右側壁11に設置されていてもよい。また、給排水部31は、底部バラストタンク20の上壁部22に設置されていてもよい。この場合、給排水部31の一端部が上壁部22に形成された設置孔(図示せず)に挿入された状態で固定されている。
【0038】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2に係る船舶1を示すものである。この実施形態2では、バラストタンクが、船体10の底部に設けられる底部バラストタンク20と、船体10の両側部にそれぞれ設けられる右側部バラストタンク50及び左側部バラストタンク60とを含んでいる。右側部バラストタンク50及び左側部バラストタンク60は、左右方向の寸法よりも上下方向の寸法の方が長い形状とされている。右側部バラストタンク50と左側部バラストタンク60とは左右方向に間隔をあけて設けられており、右側部バラストタンク50と左側部バラストタンク60との間の空間は、貨物が積載される空間である。
【0039】
右側部バラストタンク50内には、上記水収容部30と同様に構成された右側水収容部33が設けられている。左側部バラストタンク60内には、上記水収容部30と同様に構成された左側水収容部34が設けられている。給排水部は、底部バラストタンク20内に設けられた水収容部30に連通する底部用給排水部31と、右側部バラストタンク50内に設けられた右側水収容部33に連通する右側部用給排水部35と、左側部バラストタンク60内に設けられた左側水収容部34に連通する左側部用給排水部36とを含んでいる。
【0040】
底部用給排水部31は、船体10の両側部にそれぞれ設けられた側部バラストタンク50、60の間に位置する底部バラストタンク20の上壁部22に設置されている。具体的には、底部用給排水部31が上下方向に延びるように配置されており、底部用給排水部31の一端部(上端部)が上壁部22に形成された設置孔22dに挿入された状態で固定されている。底部用給排水部31の上端部には、蓋部材31aが脱着可能に取り付けられている。
【0041】
右側部用給排水部35は、上下方向に延びるように配置されており、右側部用給排水部35の一端部(上端部)が右側部バラストタンク50の上壁部51に形成された設置孔51aに挿入された状態で固定されている。右側部用給排水部35の上端部には、蓋部材35aが脱着可能に取り付けられている。
【0042】
左側部用給排水部36は、左右方向に延びるように配置されており、左側部用給排水部36の一端部(左端部)が船体10の左側壁12に形成された設置孔12aに挿入された状態で固定されている。左側部用給排水部36の左端部には、蓋部材36aが脱着可能に取り付けられている。
【0043】
実施形態2によれば、実施形態1と同様な作用効果を奏することができるとともに、右側部バラストタンク50内及び左側部バラストタンク60内にそれぞれ右側水収容部33及び左側水収容部34を設けて生活用水を収容可能にしているので、生活用水の運搬量を増やすことができる。
【0044】
(実施形態3)
図6は、本発明の実施形態3に係る船舶1を示すものである。この実施形態3では、底部バラストタンク20が右側と左側に分かれている。すなわち、底部バラストタンク20の内部には、左右方向の中央部に仕切壁25が設けられている。仕切壁25は、上下方向に延びるとともに前後方向にも延びており、この仕切壁25により、底部バラストタンク20の内部が左側空間と右側空間とに仕切られている。
【0045】
底部バラストタンク20内の右側空間と左側空間には、それぞれ水収容部30が設けられている。底部バラストタンク20の上壁部22の仕切壁25よりも右側部分には、取出孔22bが設けられており、閉塞部材22cが脱着可能に取り付けられている。底部バラストタンク20の上壁部22の仕切壁25よりも左側部分には、取出孔22eが設けられており、取出孔22eを閉塞する閉塞部材22fが脱着可能に取り付けられている。図示しないが、実施形態1と同様な給排水部が右側と左側とにそれぞれ設けられている。右側の給排水部により、底部バラストタンク20内の右側空間に設けられた水収容部30に水を供給したり、排水したりすることができる。また、左側の給排水部により、底部バラストタンク20内の左側空間に設けられた水収容部30に水を供給したり、排水したりすることができる。なお、底部バラストタンク20には従来のバラストタンクと同様に左右別々に海水を導入すること、及び排出することができるので、船舶1のローリングやピッチングの抑制効果を発揮する。
【0046】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。例えば、バラストタンクの形状や位置は上述したものに限られない。また、水収容部30の容積は任意に設定することができる。また、1つのバラストタンクに複数の水収容部30を設けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明に係る船舶は、例えば生活用水を運搬する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 船舶
20 底部バラストタンク
22 上壁部
30 水収容部
31 給排水部
33 右側水収容部
34 左側水収容部
35 右側部用給排水部
36 左側部用給排水部
50 右側部バラストタンク
60 左側部バラストタンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6