(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025032590
(43)【公開日】2025-03-12
(54)【発明の名称】インク受け装置及びインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20250305BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20250305BHJP
【FI】
B41J2/17 201
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137945
(22)【出願日】2023-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 耕治
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB29
2C056EB30
2C056EB38
2C056EC26
2C056EC29
2C056FA13
2C056FA14
2C056HA15
2C056JC13
(57)【要約】
【課題】温度検出部の検出結果を基に加熱部を制御する場合に、廃桶又は加熱部に対する温度検出部の接触異常を検出できるインク受け装置を提供する。
【解決手段】インク受け装置は、廃インクを受ける受け部を有する廃桶と、受け部を加熱する加熱部と、受け部の温度を検出する温度検出部と、温度検出部の検出結果を基に加熱部を制御する制御部とを備える。温度検出部は、一対の温度検出素子で構成され、一方の温度検出素子は、受け部の下面に対向する加熱部の第1面側に取り付けられ、他方の温度検出素子は、加熱部の第2面側に取り付けられる。制御部は、一対の温度検出素子の検出結果を基に、廃桶又は加熱部に対する温度検出部の接触異常を検出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃インクを受ける受け部を有する廃桶と、
前記受け部を加熱する加熱部と、
前記受け部の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出結果を基に前記加熱部を制御する制御部とを備え、
前記温度検出部は、一対の温度検出素子で構成され、一方の温度検出素子は、前記受け部の下面に対向する前記加熱部の第1面側に取り付けられ、他方の温度検出素子は、前記加熱部の第2面側に取り付けられ、
前記制御部は、前記一対の温度検出素子の検出結果を基に、前記廃桶又は前記加熱部に対する前記温度検出部の接触異常を検出する
インク受け装置。
【請求項2】
前記一対の温度検出素子は、前記加熱部の加熱領域内に配置されるとともに、少なくとも温度検出素子の一部が重なり合う状態に配置されている
請求項1に記載のインク受け装置。
【請求項3】
前記一対の温度検出素子は、前記加熱部の加熱領域内の同じ位置に配置されている
請求項1に記載のインク受け装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記加熱部が発熱を開始してから前記温度検出部による検出温度が目標温度に到達するまでの時間が許容範囲よりも早い場合に、前記温度検出部の接触異常として第1の接触異常を検出し、
前記第1の接触異常は、前記一方の温度検出素子が前記加熱部と一緒に前記受け部から浮いた状態である
請求項1に記載のインク受け装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記温度検出部による検出温度が目標温度に到達したときに、前記一方の温度検出素子による検出温度と前記他方の温度検出素子による検出温度との差が許容値以内でない場合に、前記温度検出部の接触異常として第2の接触異常を検出し、
前記第2の接触異常は、前記一方の温度検出素子が前記受け部に取り残された状態で、前記加熱部が前記受け部から浮いた状態である
請求項1に記載のインク受け装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記温度検出部による検出温度が目標温度に到達する前に、前記加熱部が発熱を開始してからの経過時間が許容時間を超えた場合に、前記温度検出部の接触異常として第3の接触異常を検出し、
前記第3の接触異常は、前記一方の温度検出素子が前記受け部に取り残された状態で、前記加熱部が前記受け部から浮いた状態であり、且つ、前記他方の温度検出素子が前記加熱部から浮いた状態である
請求項1に記載のインク受け装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記温度検出部による検出温度が目標温度に到達する前に、前記一方の温度検出素子による検出温度と前記他方の温度検出素子による検出温度との差が許容値を超えた場合に、前記温度検出部の接触異常として第4の接触異常を検出し、
前記第4の接触異常は、前記一方の温度検出素子と前記加熱部が前記受け部に接触し、且つ、前記他方の温度検出素子が前記加熱部から浮いた状態である
請求項1に記載のインク受け装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記温度検出部の接触異常を検出した場合に、その旨のエラー表示を実行する
請求項1に記載のインク受け装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記受け部の温度が目標温度になるように前記加熱部を制御する温調制御を開始した後、前記温度検出部の接触異常を検出した場合は、前記温調制御を停止する
請求項1に記載のインク受け装置。
【請求項10】
インクをノズルから吐出して記録媒体に画像を形成するヘッドユニットと、
前記ノズルから吐出される廃インクを受けるインク受け装置とを備え、
前記インク受け装置は、
廃インクを受ける受け部を有する廃桶と、
前記受け部を加熱する加熱部と、
前記受け部の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出結果を基に前記加熱部を制御する制御部とを備え、
前記温度検出部は、一対の温度検出素子で構成され、一方の温度検出素子が、前記受け部の下面に対向する前記加熱部の第1面側に取り付けられ、他方の温度検出素子が、前記加熱部の第2面側に取り付けられ、
前記制御部は、前記一対の温度検出素子の検出結果を基に、前記廃桶又は前記加熱部に対する前記温度検出部の接触異常を検出する
インクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク受け装置及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の一つとして、インクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、搬送されてくる記録媒体にインクジェットヘッドのノズルからインク滴を吐出して画像を形成する。インクジェット記録装置では、インクジェットヘッドのノズルに異物の付着や、インクの残留、気泡の混在等が生じると、良好なインク吐出を行うことができない。このため、インクジェット記録装置では、インク吐出状態を良好に維持するためのメンテナンスとして、ヘッドクリーニング(以下、「ヘッドメンテナンス」とも記す)が行われる。
【0003】
特許文献1には、受け部と、加熱部と、温度検出部と、制御部とを備えるインク受け装置が開示されている。受け部は、ノズルから吐出された廃インクを受ける。受け部は、廃桶の一部を構成する。加熱部は、受け部を加熱する。温度検出部は、受け部の温度を検出する。制御部は、温度検出部の検出結果を基に加熱部を制御することにより、受け部の温度が目標温度になるように調整(以下、「温調制御」とも記す)する。特許文献1に記載されたインクジェット記録装置では、廃桶の受け部の一面に温度検出部が取り付けられ、この温度検出部を覆うように受け部の一面に加熱部が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
廃桶の受け部に加熱部を取り付ける場合に、例えば、加熱部を受け部に押し付ける圧力が不足したり、取り付け後の加熱部の経年劣化などにより、廃桶の受け部から加熱部が浮いてしまうことがある。その場合、
図16及び
図17に示すように、温度検出部101は、加熱部102と一緒に受け部103から浮いたり、受け部103に取り残されたりすることがある。すなわち、廃桶又は加熱部に対する温度検出部の接触異常が発生する。
【0006】
インクジェット記録装置において、適切な温調制御を実現するには、廃桶又は加熱部に対する温度検出部の接触異常を検出する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載された技術では、温度検出部の接触異常の検出について考慮されていなかった。また、
図16に示すような温度検出部の接触異常が発生した場合は、当該接触異常の発生を検出できないまま温調制御が継続されてしまうことがあった。
【0007】
本発明の目的は、温度検出部の検出結果を基に加熱部を制御する場合に、廃桶又は加熱部に対する温度検出部の接触異常を検出できるインク受け装置及びインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るインク受け装置は、廃インクを受ける受け部を有する廃桶と、前記受け部を加熱する加熱部と、前記受け部の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部の検出結果を基に前記加熱部を制御する制御部とを備え、前記温度検出部は、一対の温度検出素子で構成され、一方の温度検出素子は、前記受け部の下面に対向する前記加熱部の第1面側に取り付けられ、他方の温度検出素子は、前記加熱部の第2面側に取り付けられ、前記制御部は、前記一対の温度検出素子の検出結果を基に、前記廃桶又は前記加熱部に対する前記温度検出部の接触異常を検出する。
【0009】
また、本発明に係るインクジェット記録装置は、インクをノズルから吐出して記録媒体に画像を形成するヘッドユニットと、前記ノズルから吐出される廃インクを受ける上記インク受け装置とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、温度検出部の検出結果を基に加熱部を制御する場合に、廃桶又は加熱部に対する温度検出部の接触異常を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。
【
図2】
図2は、ヘッドユニットの構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係るインク受け装置の概略構成図である。
【
図5】
図5は、廃桶の受け部に対する加熱部と温度検出部の配置状態を示す要部断面図である。
【
図6】
図6は、温度検出部の接触異常として第1の接触異常を示す要部断面図である。
【
図7】
図7は、温度検出部の接触異常として第2の接触異常を示す要部断面図である。
【
図8】
図8は、温度検出部の接触異常として第3の接触異常を示す要部断面図である。
【
図9】
図9は、温度検出部の接触異常として第4の接触異常を示す要部断面図である。
【
図10】
図10は、温度検出部の配置状態と、第1の検出温度と、第2の検出温度と、昇温時間の関係を示す図である。
【
図11】
図11は、温度検出部に第1の接触異常が発生した場合の第1の検出温度と第2の検出温度の経時変化を示す図である。
【
図12】
図12は、温度検出部に第2の接触異常が発生した場合の第1の検出温度と第2の検出温度の経時変化を示す図である。
【
図13】
図13は、温度検出部に第3の接触異常が発生した場合の第1の検出温度と第2の検出温度の経時変化を示す図である。
【
図14】
図14は、温度検出部に第4の接触異常が発生した場合の第1の検出温度と第2の検出温度の経時変化を示す図である。
【
図15】
図15は、ヘッドメンテナンス時に制御部40が行う制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、温度検出部の接触異常の第1例を示す要部断面図である。
【
図17】
図17は、温度検出部の接触異常の第2例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書及び図面においては、実質的に同一の機能又は構成を有する要素については、同一の符号を付し、重複する説明は適宜、省略する。また、以下の記載及び図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の便宜上、省略及び簡略化されていることがある。各構成要素は、特に限定しない限り、単数でも複数でも構わない。また、図面に示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0013】
インクジェット記録装置の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置1は、給紙部10と、画像形成部20と、排紙部30と、インク受け装置100と、制御部40とを有する。インクジェット記録装置1は、制御部40の制御の下で次のように動作する。まず、給紙部10に格納された記録媒体Pを画像形成部20に搬送する。次に、画像形成部20で記録媒体Pに画像を形成する。次に、画像形成済みの記録媒体Pを排紙部30に排紙する。記録媒体Pとしては、普通紙や塗工紙といった用紙のほか、布帛又はシート状の樹脂等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。本実施形態においては、一例として、記録媒体Pが用紙である場合を想定している。
【0014】
給紙部10は、給紙トレイ11と、搬送部12とを有する。給紙トレイ11は、記録媒体Pを格納する。搬送部12は、給紙トレイ11から画像形成部20へ記録媒体Pを搬送する。
【0015】
給紙トレイ11は、一又は複数の記録媒体Pを載置した状態で支持する。給紙トレイ11は、給紙トレイ11に載置された記録媒体Pの量に応じて上下動するように構成されている。給紙トレイ11は、搬送部12によって最上位の記録媒体Pから順に搬送されるよう、最上位の記録媒体Pを搬送位置に保持する。
【0016】
搬送部12は、2本のローラ121,122と、輪状のベルト123とを有する。ベルト123は、2本のローラ121,122により所定の張力で支持されている。ベルト123は、ベルト123上に記録媒体Pを載置した状態で、各々のローラ121,122の回転にしたがって周回移動することにより、記録媒体Pを画像形成部20へ搬送する。
【0017】
画像形成部20は、画像形成ドラム21と、受け渡しユニット22と、用紙加熱部23と、ヘッドユニット24と、定着部25と、デリバリー部26と、画像読み取りセンサ27とを有する。
【0018】
画像形成ドラム21は、円筒状の部材で構成されている。画像形成ドラム21は、駆動モータ(図示せず)によって反時計回りに回転する。画像形成ドラム21は、円筒状の外周面を有し、この外周面に沿って記録媒体Pを担持する。画像形成ドラム21は、画像形成ドラム21の回転によって記録媒体Pを搬送する。画像形成ドラム21の外周面は、用紙加熱部23、ヘッドユニット24及び定着部25と対向している。
【0019】
受け渡しユニット22は、搬送部12によって搬送された記録媒体Pを画像形成ドラム21に受け渡す。受け渡しユニット22は、搬送部12と画像形成ドラム21との間に設けられている。受け渡しユニット22は、爪部221と、受け渡しドラム222とを有する。爪部は、搬送部12により搬送された記録媒体Pの一端を担持する。受け渡しドラム222は、爪部221に担持された記録媒体Pを、爪部221から受け取って画像形成ドラム21に受け渡す。
【0020】
用紙加熱部23は、画像形成ドラム21によって搬送される記録媒体Pが所定の温度になるように、記録媒体Pを加熱する。用紙加熱部23は、画像形成ドラム21の回転方向において、受け渡しドラム222の下流側で、且つ、ヘッドユニット24の上流側に配置されている。
【0021】
ヘッドユニット24は、画像形成ドラム21に担持された記録媒体Pに対してインクを吐出することにより、記録媒体Pに画像を形成する。本実施形態におけるインクジェット記録装置1では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色のインクに対応して4つのヘッドユニット24が設けられている。4つのヘッドユニット24は、画像形成ドラム21の回転方向の上流側からY,M,C,Kの色の順に並んでいる。
【0022】
ヘッドユニットの構成について説明する。
図2は、ヘッドユニットの構成を示す模式図である。
図2では、画像形成ドラム21の外周面と対向するヘッドユニットの面が示されている。
ヘッドユニット24は、4つの画像形成ヘッド242を備えている。4つの画像形成ヘッド242は、取り付け部材244に取り付けられている。4つの画像形成ヘッド242は、ノズル列がX方向に切れ目なくつながるように千鳥状に配置されている。画像形成ヘッド242の各々には、複数の画像形成素子が設けられている。画像形成素子の各々は、複数の圧力室と、複数の圧電素子と、複数のノズル243とを有する。各々の画像形成素子は、圧電素子を変形動作させる駆動信号が入力されると、圧電素子の変形によって圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズル243からインクを吐出する。ノズル243は、画像形成ドラム21によって搬送される記録媒体Pに対して、所定のタイミングでインク滴を吐出する。
【0023】
画像形成ヘッド242には、2つのノズル列が形成されている。2つのノズル列は、記録媒体Pの搬送方向と交差する方向(図中、X方向)に等間隔に配列されたノズル243によって構成されている。2つのノズル列は、ノズル243の位置が、各ノズル列におけるノズル243の配置間隔の2分の1だけX方向に互いにずれるように設けられている。
【0024】
なお、画像形成ヘッド242が有するノズル列の数は、2つではなく、1つ又は3つ以上であってもよい。また、ヘッドユニット24が有する画像形成ヘッド242の数は、4つでなく、3つ以下又は5つ以上であってもよい。
【0025】
本実施形態に係るインクジェット記録装置1において、画像形成に用いられるインクは、例えば紫外線硬化型のインクである。このインクは、室温を含む常温ではゲル状となり、所定の温度以上に加熱されることによってゾル状になる。
【0026】
再び
図1に戻って説明する。定着部25は、ヘッドユニット24によって記録媒体Pに吐出されたインクをエネルギー線の照射により硬化させて定着させる。本実施形態では、紫外線硬化型のインクを用いる。このため、定着部25は、エネルギー線として紫外線を照射する。定着部25は、例えば、低圧水銀ランプ等の蛍光管を有し、当該蛍光管を発光させることにより、記録媒体Pに紫外線を照射する。定着部25は、画像形成ドラム21の回転方向において、ヘッドユニット24の下流側に配置されている。
【0027】
定着部25は、記録媒体Pに紫外線を照射して画像を定着可能な構成であれば、どのような構成であってもよい。例えば、定着部25は、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプ、発光ダイオードなどによって構成されてもよい。また、定着部25が照射するエネルギー線は紫外線に限らず、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線であればよい。
【0028】
インク受け装置100は、ヘッドメンテナンス時において、インクジェットヘッドのノズルから排出されるインク(以下、「廃インク」とも記す)を受けて回収する。インク受け装置100については後段で詳しく説明する。
【0029】
デリバリー部26は、定着部25によって紫外線が照射された記録媒体Pを画像形成ドラム21から排紙部30に搬送する。デリバリー部26は、画像形成ドラム21と排紙部30との間に配置されている。デリバリー部26は、2本のローラ261,262と、輪状のベルト263と、受け渡しドラム264とを有する。ベルト263は、2本のローラ261,262により所定の張力で支持されている。ベルト263は、ベルト263上に記録媒体Pを載置した状態で、各々のローラ261,262の回転にしたがって周回移動することにより、記録媒体Pを搬送する。受け渡しドラム264は、画像形成ドラム21からベルト263に記録媒体Pを受け渡す。
【0030】
画像読み取りセンサ27は、デリバリー部26によって搬送される記録媒体Pの画像を読み取る。画像読み取りセンサ27が読み取った画像のデータは、制御部40に送られる。
【0031】
排紙部30は、デリバリー部26によって搬送された記録媒体Pを格納する。排紙部30は、排紙トレイ31を有する。排紙トレイ31は、デリバリー部26によって搬送された記録媒体Pを順に積載する。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の主要な機能構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置1は、上述した用紙加熱部23と、ヘッドユニット24と、定着部25と、制御部40と、インク受け装置100のほかに、搬送駆動部51と、操作表示部52と、入出力インターフェース53などを備える。ヘッドユニット24は、ヘッド駆動部241と、画像形成ヘッド242とを備える。ヘッド駆動部241は、画像形成ヘッド242の画像形成素子に対して、圧電素子を変形動作させる駆動信号を適切なタイミングで供給することにより、画像形成ヘッド242のノズル243から適量のインクを吐出させる。
【0033】
制御部40は、CPU41(Central Processing Unit)、RAM42(Random Access Memory)、ROM43(Read Only Memory)、及び、記憶部44を有する。
【0034】
CPU41は、ROM43に格納された各種制御用のプログラムや設定データをRAMに読み出して、当該プログラムを実行することにより、インクジェット記録装置1全体の動作を統括的に制御する。RAM42は、CPU41に作業用のメモリー空間を提供し、一時的にデータを記憶する。RAM42は、不揮発性メモリーを含んでもよい。ROM43は、CPU41により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。
【0035】
記憶部44には、入出力インターフェース53を介して外部装置2から入力されたプリントジョブ、及び、当該プリントジョブに係る画像データなどが記憶される。プリントジョブには、形成する画像に係る画像データを指定する情報の他、画像を形成する記録媒体Pの種別に係る情報が含まれる。記録媒体Pの種別に係る情報は、例えば、記録媒体Pの大きさ及び厚さなどである。記憶部44としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)が用いられる。
【0036】
搬送駆動部51は、画像形成ドラム21を回転させるためのモーターに対して、制御部40から供給される制御信号に基づいて駆動信号を供給する。
【0037】
また、搬送駆動部51は、搬送部12、受け渡しユニット22及びデリバリー部26を動作させるためのモーターに対して、制御部40から供給される制御信号に基づいて駆動信号を供給する。
【0038】
操作表示部52は、表示部と、入力部とを有する。表示部は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどによって構成される。入力部は、例えば、表示部の画面に重ねて配置されるタッチパネルなどによって構成される。操作表示部52は、ユーザーに対して各種情報を表示する機能と、ユーザーから各種情報の入力を受け付ける機能を有する。すなわち、操作表示部52は、ユーザーインターフェースとして機能する。
【0039】
入出力インターフェース53は、外部装置2と制御部40との間でデータを送受信するためのインターフェースである。
【0040】
外部装置2は、例えばパーソナルコンピューターによって構成される。外部装置2は、プリントジョブ及び画像データ等を、入出力インターフェース53を介して制御部40に供給する。
【0041】
インクジェット記録装置1では、乾燥によるインクの粘度の増加、及び、ノズル243における異物の混入等により、ノズル243の目詰まりが生じることがある。そこで、インクジェット記録装置1では、所定のタイミングでヘッドメンテナンスが行われる。ヘッドメンテナンスは、ノズル243の目詰まりなどを解消するために、制御部40の制御下でヘッドユニット24が動作することにより実行されるメンテナンスである。このヘッドメンテナンスでは、ノズル243内のインクを交換するためにパージ処理が実行される。パージ処理では、ノズル243から強制的にインクを吐出させる。ヘッドメンテナンス時のパージ処理によってノズル243から吐出される廃インクは、廃桶60(
図4)で受けられる。廃桶60内の廃インクは、廃インク回収容器に排出される。
【0042】
インク受け装置について説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係るインク受け装置の概略構成図である。
図4に示すように、インク受け装置100は、廃桶60と、加熱部61と、温度検出部62とを備えている。加熱部61は、制御部40によって制御される。このため、制御部40は、インク受け装置100の制御部として機能する。廃桶60は、受け部65と、壁部66と、排出部67とを備える。受け部65は、ヘッドユニット24のノズル243から吐出される廃インクを受け部65の上面で受ける。
【0043】
受け部65は、4つの受け部65A,65B,65C,65Dを有する。各々の受け部65A,65B,65C,65Dは、平面視略三角形に形成されている。4つの受け部65A,65B,65C,65Dは、互いに2つの辺が接続され、全体的に逆四角錐状に形成されている。
【0044】
壁部66は、受け部65の外周縁から垂直に立ち上がるように形成されている。壁部66は、4つの受け部65A,65B,65C,65Dに対応して4つの壁部66A,66B,66C,66Dを有する。壁部66は、受け部65からの廃インク漏れを防止するために設けられる。
【0045】
排出部67は、受け部65によって受けた廃インクを廃インク回収容器(図示せず)に排出するための開口である。排出部67は、4つの受け部65A,65B,65C,65Dの頂部に設けられている。4つの受け部65A,65B,65C,65Dの頂部は、受け部65の上面のうち最も低い部分である。
【0046】
加熱部61は、廃桶60の受け部65を加熱する。加熱部61は、受け部65の下面に取り付けられている。加熱部61は、4つの受け部65A,65B,65C,65Dに対応して4つの加熱部61A,61B,61C,61Dを有する。
【0047】
各々の加熱部61A,61B,61C,61Dの構成は、対応する受け部65A,65B,65C,65Dが異なるだけで、基本的に同様である。このため、ここでは加熱部61Aの構成を例に挙げて説明する。加熱部61Aは、平面視略三角形の面状ヒータよって構成されている。面状ヒータの平面サイズは、受け部65Aの平面サイズよりも一回り小さい。加熱部61Aを構成する面状ヒータは、例えば、ラバーヒータである。加熱部61Aは、受け部65Aの下面に取り付けられている。
【0048】
温度検出部62は、受け部65の温度を検出する。温度検出部62は、加熱部61の加熱領域内に配置されている。加熱領域は、受け部65において加熱部61が配置される領域である。温度検出部62は、受け部65の下面側に取り付けられている。温度検出部62は、4つの受け部65A,65B,65C,65Dに対応して4つの温度検出部62A,62B,62C,62Dを有する。
【0049】
各々の温度検出部62A,62B,62C,62Dの構成は、対応する受け部65A,65B,65C,65Dが異なるだけで、基本的に同様である。このため、ここでは温度検出部62Aの構成を例に挙げて説明する。
図5に示すように、温度検出部62Aは、一対の温度検出素子62A-1,62A-2によって構成されている。本実施形態において、各々の温度検出素子62A-1,62A-2は、サーミスタによって構成されている。一対の温度検出素子62A-1,62A-2は、加熱部61Aの加熱領域内に配置されている。一対の温度検出素子62A-1,62A-2は、加熱領域のほぼ中心部に配置されている。本実施形態において、加熱部61Aは、ラバーヒータによって構成されている。
【0050】
一対の温度検出素子62A-1,62A-2は、受け部65Aの下面と直交する方向(図中、矢印で示す方向)から一対の温度検出素子62A-1,62A-2の配置を見たときに、加熱部61Aの加熱領域内で少なくとも温度検出素子(62A-1,62A-2)の一部が重なり合う状態に配置されていることが好ましい。また、一対の温度検出素子62A-1,62A-2は、受け部65Aの下面と直交する方向から一対の温度検出素子62A-1,62A-2の配置を見たときに、加熱部61Aの加熱領域内で温度検出素子(62A-1,62A-2)の全部が重なり合う状態、すなわち加熱領域内の同じ位置に配置されていることが好ましい。言い換えると、一対の温度検出素子62A-1,62A-2は、加熱部61Aを間に挟んで、同じ位置に配置されていることが好ましい。
【0051】
温度検出素子62A-1は、受け部65Aの下面に取り付けられている。また、温度検出素子62A-1は、加熱部61Aによって覆われている。つまり、温度検出素子62A-1は、加熱部61Aに覆われた状態で、受け部65Aの下面に取り付けられている。これにより、温度検出素子62A-1は、受け部65Aと加熱部61Aとの間にサンドイッチ状に挟み込まれた状態で、受け部65Aの下面に取り付けられている。
【0052】
一方、温度検出素子62A-2は、加熱部61Aの下面に取り付けられている。これにより、一方の温度検出素子62A-1は、加熱部61Aの上面側に取り付けられ、他方の温度検出素子62A-2は、加熱部61Aの下面側に取り付けられている。加熱部61Aの上面側は、加熱部61Aの第1面側に相当する。加熱部61Aの下面側は、加熱部61Aの第2面側に相当する。加熱部61Aの第1面と第2面は、加熱部61Aの厚み方向において、互いに反対側を向く面である。
【0053】
上記構成からなるインク受け装置100においては、受け部65で受けられる廃インクが流動性を有する状態に維持されるよう、温度検出部62の検出結果を基に制御部40が加熱部61を制御する。その際、制御部40は、温度検出部62によって検出される受け部65の温度が目標温度になるように加熱部61を制御する。ただし、インク受け装置100において、廃桶60又は加熱部61に対する温度検出部62の接触異常が発生すると、適切な温調制御を行えなくなる。このため、本実施形態に係るインク受け装置100においては、加熱部61Aの加熱領域に配置される温度検出部62Aを一対の温度検出素子62A-1,62A-2によって構成し、一対の温度検出素子62A-1,62A-2の検出結果を基に制御部40が上記接触異常を検出する構成を採用している。以下、詳しく説明する。
【0054】
まず、温度検出部62Aの接触異常の具体例について説明する。温度検出部62Aの接触異常は、以下に述べる4つの接触異常に分類される。温度検出部62Aの接触異常が発生していない状態、すなわち正常な状態は、上記
図5に示す状態である。
【0055】
第1の接触異常は、
図6に示すように、一方の温度検出素子62A-1が加熱部61Aと一緒に廃桶60の受け部65Aから浮いた状態である。第1の接触異常では、他方の温度検出素子62A-2が加熱部61Aの下面に接触している。
第2の接触異常は、
図7に示すように、一方の温度検出素子62A-1が廃桶60の受け部65Aに取り残された状態で、加熱部61Aが受け部65から浮いた状態である。第2の接触異常では、他方の温度検出素子62A-2が加熱部61Aの下面に接触している。
第3の接触異常は、
図8に示すように、一方の温度検出素子62A-1が廃桶60の受け部65Aに取り残された状態で、加熱部61Aが受け部65から浮いた状態である。第3の異常状態では、他方の温度検出素子62A-2が加熱部61Aの下面から浮いている。
第4の接触異常は、
図9に示すように、一方の温度検出素子62A-1と加熱部61Aが受け部65Aの下面に接触し、他方の温度検出素子62A-2が加熱部61Aの下面から浮いた状態である。
【0056】
図10は、温度検出部の配置状態と、第1の検出温度と、第2の検出温度と、昇温時間の関係を示す図である。
図10においては、温度検出部の配置状態の例として、温度検出部62Aの配置状態を示している。温度検出部62Aの配置状態は、上述した正常な状態と、第1の接触異常と、第2の接触異常と、第3の接触異常と、第4の接触異常とに分類されている。第1の検出温度T1(℃)は、温度検出素子62A-1によって検出される温度である。第2の検出温度T2(℃)は、温度検出素子62A-2によって検出される温度である。昇温時間(秒)は、加熱部61Aが受け部65Aを加熱し始めてから、温度検出部62Aによって検出される温度が、目標温度又は目標温度よりも低い所定温度に達するまでの時間である。なお、
図10に示す第1の検出温度、第2の検出温度、及び、昇温時間の具体的な数値は、本発明の内容を理解するために例示的に記載した数値であり、実際の数値と異なる場合がある。
【0057】
図10に示すように、温度検出部62Aが正常な状態(
図5)である場合は、第1の検出温度が82℃、第2の検出温度が85℃、昇温時間が300秒となる。この場合、82℃は、第1の検出温度に対応する目標温度に相当し、85℃は、第2の検出温度に対応する目標温度に相当する。第1の検出温度が第2の検出温度よりも低くなる理由は、加熱部61Aが発生する熱の一部が受け部65Aや廃インクに奪われるからである。これに対して、温度検出部62Aが第1の接触異常(
図6)を起こした場合は、第1の検出温度が85℃、第2の検出温度が85℃、昇温時間が250秒となる。また、温度検出部62Aが第2の接触異常(
図7)を起こした場合は、第1の検出温度が75℃、第2の検出温度が85℃、昇温時間が300秒となる。また、温度検出部62Aが第3の接触異常(
図8)を起こした場合は、第1の検出温度が75℃、第2の検出温度が75℃、昇温時間が600秒となる。また、温度検出部62Aが第4の接触異常(
図9)を起こした場合は、第1の検出温度が82℃、第2の検出温度が75℃、昇温時間が300秒となる。
【0058】
図11は、温度検出部62Aに第1の接触異常が発生した場合の第1の検出温度T1と第2の検出温度T2の経時変化を示す図である。
図11においては、温度検出部62Aに第1の接触異常が発生した場合の第1の検出温度T1と第2の検出温度T2の経時変化を実線で示している。また、
図11においては、温度検出部62Aが正常な状態の場合の第1の検出温度T1と第2の検出温度T2の経時変化を一点鎖線で示している。
図11に示すように、第1の接触異常が発生した場合は、第1の検出温度T1と第2の検出温度T2が、正常な状態における昇温時間(300秒)よりも早く目標温度に到達している。
【0059】
図12は、温度検出部62Aに第2の接触異常が発生した場合の第1の検出温度T1と第2の検出温度T2の経時変化を示す図である。
図12に示すように、温度検出部62Aに第2の接触異常が発生した場合は、第2の検出温度T2が目標温度に到達したときに、第1の検出温度T1と第2の検出温度T2との差が許容値を超えている。許容値は、正常な状態における第1の検出温度T1と第2の検出温度T2との差よりも大きい値に設定される。
【0060】
図13は、温度検出部62Aに第3の接触異常が発生した場合の第1の検出温度T1と第2の検出温度T2の経時変化を示す図である。
図13に示すように、温度検出部62Aに第3の接触異常が発生した場合は、加熱部61Aが発熱を開始してから600秒ほどの時間が経過しても、第1の検出温度T1と第2の検出温度T2のいずれも目標温度に到達していない。図中の許容時間は、第3の接触異常の発生を検出するためにあらかじめ設定される時間である。
【0061】
図14は、温度検出部62Aに第4の接触異常が発生した場合の第1の検出温度T1と第2の検出温度T2の経時変化を示す図である。
図14に示すように、温度検出部62Aに第4の接触異常が発生した場合は、第2の検出温度T2が目標温度に到達する前に、第1の検出温度T1と第2の検出温度T2との差が許容値を超えている。許容値は、正常な状態における第1の検出温度T1と第2の検出温度T2との差よりも大きい値に設定される。
【0062】
このような前提のもとで、ヘッドメンテナンス時に制御部40が行う制御処理の一例について、
図15のフローチャートを参照しながら説明する。ここでは、一対の温度検出素子62A-1,62A-2によって構成される温度検出部62Aの検出結果を基に制御部40が制御処理する場合を例に挙げて説明する。制御部40は、温度検出部62B,62C,62Dの検出結果を基に、それぞれに対応する加熱部61B,61C,61Dを制御する場合にも、基本的に
図15と同様の制御処理を行う。
【0063】
まず、制御部40は、温調制御を開始する(ステップS1)。具体的には、制御部40は、加熱部61Aに通電することにより、加熱部61Aをオフ状態からオン状態に切り替える。これにより、加熱部61Aが発熱を開始し、その熱が受け部65Aに伝わることで、受け部65Aが加熱される。
【0064】
次に、制御部40は、第1の検出温度T1、及び、第2の検出温度T2の取得を開始する(ステップS2)。第1の検出温度T1は、温度検出素子62A-1によって検出される温度である。第2の検出温度T2は、温度検出素子62A-2によって検出される温度である。このため、制御部40は、温度検出素子62A-1から第1の検出温度T1を取得し、温度検出素子62A-2から第2の検出温度T2を取得する。なお、制御部40は、温調制御を終了するまでの間、所定の時間刻みで第1の検出温度T1と第2の検出温度T2を取得する。
【0065】
次に、制御部40は、第1の検出温度T1と第2の検出温度T2との差が、あらかじめ設定された許容値を超えるか否かを判断する(ステップS3)。許容値は、前述したとおり、正常な状態における第1の検出温度T1と第2の検出温度T2との差よりも大きい値に設定される。許容値は、例えば、5℃に設定される。
【0066】
ステップS3で「YES」と判断した場合、制御部40は、温度検出部62Aの接触異常として、第4の接触異常の発生を検出する(ステップS4)。次に、制御部40は、温度検出部62Aの接触異常として、第4の接触異常が発生した旨のエラー表示を実行するべく操作表示部52を制御する(ステップS14)。その後、制御部40は、ステップS14からステップS15に移行して温調制御を終了する。制御部40が温調制御を終了すると、加熱部61Aはオフ状態になる。
【0067】
ステップS3で「NO」と判断した場合、制御部40は、上記ステップS1で温調制御を開始してからの経過時間Tsが、あらかじめ設定された許容時間を超えたか否かを判断する(ステップS5)。経過時間Tsは、制御部40が計測する。許容時間は、正常な状態における昇温時間(300秒)よりも長い時間に設定される(
図13)。例えば、許容時間は、400秒に設定される。
【0068】
ステップS5で「YES」と判断した場合、制御部40は、温度検出部62Aの接触異常として、第3の接触異常の発生を検出する(ステップS6)。次に、制御部40は、温度検出部62Aの接触異常として、第3の接触異常が発生した旨のエラー表示を実行するべく操作表示部52を制御した後(ステップS14)、温調制御を終了する(ステップS15)。
【0069】
ステップS5で「NO」と判断した場合、制御部40は、第2の検出温度T2が目標温度に到達したか否かを判断する(ステップS7)。ステップS7で「NO」と判断した場合、制御部40は、上記ステップS3に戻る。
【0070】
ステップS7で「YES」と判断した場合、制御部40は、温調制御を継続する(ステップS8)。これにより、制御部40は、第2の検出温度T2が目標温度に維持されるように加熱部61Aを制御する。
【0071】
次に、制御部40は、第1の検出温度T1と第2の検出温度T2との差が上記許容値(例えば、5℃)以内であるか否かを判断する(ステップS9)。ステップS9で「NO」と判断した場合、制御部40は、温度検出部62Aの接触異常として、第2の接触異常の発生を検出する(ステップS10)。次に、制御部40は、温度検出部62Aの接触異常として、第2の接触異常が発生した旨のエラー表示を実行するべく操作表示部52を制御した後(ステップS14)、温調制御を終了する(ステップS15)。
【0072】
ステップS9で「YES」と判断した場合、制御部40は、上記ステップS1で温調制御を開始してから、第2の検出温度T2が目標温度に到達するまでの時間Ttが、あらかじめ設定された許容範囲よりも早いか否かを判断する(ステップS11)。時間Ttは、制御部40が計測する。許容範囲は、正常な状態における昇温時間(300秒)を中心に所定の時間幅で設定される(
図11)。例えば、許容範囲は、280秒以上320秒以下の範囲に設定される。
【0073】
ステップS11で「YES」と判断した場合、制御部40は、温度検出部62Aの接触異常として、第1の接触異常の発生を検出する(ステップS12)。次に、制御部40は、温度検出部62Aの接触異常として、第1の接触異常が発生した旨のエラー表示を実行するべく操作表示部52を制御した後(ステップS14)、温調制御を終了する(ステップS15)。
【0074】
ステップS11で「NO」と判断した場合、制御部40は、ヘッドメンテナンスが完了したか否かを繰り返し判断する(ステップS13)。そして、ステップS13で「YES」と判断した場合、制御部40は、温調制御を終了する(ステップS15)。これにより、ヘッドメンテナンスに係る一連の制御処理が終了する。
【0075】
以上説明したように、本実施形態にインク受け装置100においては、受け部65Aの温度を検出する温度検出部62Aが、一対の温度検出素子62A-1,62A-2によって構成されている。そして、制御部40は、一対の温度検出素子62A-1,62A-2の検出結果を基に、廃桶60又は加熱部61Aに対する温度検出部62Aの接触異常を検出する。これにより、温度検出部62Aの検出結果を基に加熱部61Aを制御する場合に、廃桶60又は加熱部61Aに対する温度検出部62Aの接触異常を検出できる。
【0076】
また、本実施形態に係るインク受け装置100において、制御部40は、温調制御を開始した後、温度検出部62Aの接触異常を検出した場合は、温調制御を停止(終了)する。これにより、温度検出部62Aの接触異常が生じたまま温調制御が継続されることを回避できる。
【0077】
なお、本実施形態に係る発明は、温度検出部62Bの検出結果を基に加熱部61Bを制御する場合や、温度検出部62Cの検出結果を基に加熱部61Cを制御する場合、あるいは温度検出部62Dの検出結果を基に加熱部61Dを制御する場合にも同様に得られる。
【0078】
本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0079】
例えば、上記実施形態においては、廃桶60の受け部65を逆四角錐状に形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、廃桶60の受け部65を逆三角錐状、又は、逆円錐状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…インクジェット記録装置。
24…ヘッドユニット
40…制御部
60…廃桶
61(61A,61B,61C,61D)…加熱部
61A-1,61A-2…温度検出素子
65(65A,65B,65C,65D)…受け部
100…インク受け装置
243…ノズル