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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003262
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
F25D23/02 306L
F25D23/02 306D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023179827
(22)【出願日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2023102435
(32)【優先日】2023-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】川野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】田中 正昭
(72)【発明者】
【氏名】青木 文男
(72)【発明者】
【氏名】亀島 俊孝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】榊原 直行
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA04
3L102KB14
3L102KC07
(57)【要約】
【課題】従来の冷蔵庫では、断熱扉の閉動作時の回転速度のばらつきにより、利用者の利便性が損なわれるという課題がある。
【解決手段】本発明の冷蔵庫10は、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15を自閉させる自閉機構41を有する。また、第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19を自閉させる自閉機構37を有する。そして、自閉機構37,41は、断熱箱体11に配設されるキャッチャー部42と、第1の断熱扉14等に配設され、キャッチャー部42と着脱自在に連結するストライカ部44と、キャッチャー部42の回転速度を減速させるソフトクローズ部45と、を備える。この構造により、第1の断熱扉14等の閉動作時における回転速度が、自閉機構37,41を介して第1の速度から第2の速度へと変化することで、利用者の利便性が向上される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室が形成される断熱箱体と、
前記断熱箱体の前記貯蔵室の前面開口部を開閉自在に塞ぐ断熱扉と、
前記断熱扉を前記断熱箱体に対して自閉させる自閉機構と、を備え、
少なくとも前記断熱扉が、前記断熱箱体に対して開状態から全閉状態へと移行する間において、
前記断熱扉の回転速度が、前記自閉機構を介して第1の速度から第2の速度へと変化することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記自閉機構は、
前記断熱箱体に対して回転可能に配設されるキャッチャー部と、
前記断熱扉に配設され、前記断熱扉の開閉動作に連動して前記キャッチャー部に連結し、あるいは前記キャッチャー部から離脱するストライカ部と、
前記キャッチャー部の回転を規制する抵抗力を前記キャッチャー部に段階的に加える回転規制部と、を有し、
前記キャッチャー部が前記回転規制部から受ける前記抵抗力に応じて、前記断熱扉の前記回転速度が、前記第1の速度から前記第2の速度に変化することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記キャッチャー部は、前記抵抗力の異なる複数の前記回転規制部によって規制されることで、前記断熱扉の前記回転速度が、前記第1の速度から前記第2の速度に変化することを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記第1の速度は、前記開状態から前記断熱扉が前記全閉状態に対して所望の角度開いた状態まで前記断熱扉が回転する速度であり、
前記第2の速度は、前記所望の角度から前記全閉状態まで前記断熱扉が回転する速度であり、
前記断熱扉が両開き式扉の場合には、前記第1の速度よりも前記第2の速度の方が速いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記第1の速度は、前記開状態から前記断熱扉が前記全閉状態に対して所望の角度開いた状態まで前記断熱扉が回転する速度であり、
前記第2の速度は、前記所望の角度から前記全閉状態まで前記断熱扉が回転する速度であり、
前記断熱扉が片開き式扉の場合には、前記第1の速度が前記第2の速度よりも速いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記自閉機構は、
前記断熱箱体に対して固定される筐体部と、
前記筐体部に対して回転可能に配設されるキャッチャー部と、
前記筐体部に形成されるガイド溝と、
その回転軸が前記ガイド溝に挿通され、前記キャッチャー部に回転可能に支持されるローラ部と、
前記ローラ部に反力を加え、前記キャッチャー部の回転速度を減速させる回転規制部と、を有し、
前記ローラ部が前記回転規制部から受ける前記反力に応じて、前記断熱扉の前記回転速度が、前記第1の速度から前記第2の速度に変化することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記回転規制部の前記ローラ部により押圧される面には、前記断熱箱体の横幅方向へと延在する平坦面と、前記平坦面と連続し、前記断熱箱体の奥行方向へと傾斜する傾斜面と、が形成され、
前記ローラ部が前記平坦面から前記傾斜面へ移行することで、前記第1の速度から前記第2の速度に変化することを特徴とする請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記自閉機構は、
前記断熱箱体に対して固定される筐体部と、
前記筐体部に対して回転可能に配設されるキャッチャー部と、
前記筐体部に形成されるガイド溝と、
前記キャッチャー部に対してスライド可能に配設されると共に、前記ガイド溝に挿通されるガイド軸を有する押圧部材と、
前記キャッチャー部の回転速度を減速させる回転規制部と、を有し、
前記断熱扉の閉動作時には、前記キャッチャー部は、前記ガイド溝にガイドされながら前記前面開口部側へと回転動作し、前記押圧部材は、前記回転規制部を前記断熱箱体の奥行方向へと押圧することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記回転規制部の前記押圧部材により押圧される面には、前記断熱箱体の横幅方向へと延在する平坦面と、前記平坦面と連続し、前記奥行方向へと傾斜する傾斜面と、が形成され、
前記押圧部材が前記平坦面から前記傾斜面へ移行することで、前記第1の速度から前記第2の速度に変化することを特徴とする請求項8に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記傾斜面は、前記平坦面よりも前記奥行方向の奥側へと傾斜し、
前記断熱扉が両開き式扉の場合には、前記第1の速度よりも前記第2の速度の方が速いことを特徴とする請求項7または請求項9に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記傾斜面は、前記平坦面よりも前記奥行方向の手前へと傾斜し、
前記断熱扉が片開き式扉の場合には、前記第1の速度が前記第2の速度よりも速いことを特徴とする請求項7または請求項9に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特に、断熱扉の閉動作時における回転速度が自閉機構を介して第1の速度から第2の速度へと変化させ利用者の利便性を向上させる冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の冷蔵庫が開示されている。冷蔵庫は、貯蔵室として用いられる冷蔵庫本体と、冷蔵庫本体の前面開口部を塞ぐ断熱扉と、を備える。そして、断熱扉の右側端部が、上部ヒンジ部を介して冷蔵庫本体に対して回転自在に軸支される。また、冷蔵庫本体の天井面には、上部ヒンジ部の近傍に断熱扉の自閉機構部が配設される。
【0003】
自閉機構部は、主に、上部ヒンジ部と同軸上に回転可能な第1機構と、第1機構に対して回転可能に取り付けられたL字形状の第2機構と、第1機構に配設される永久磁石と、第1機構の回転動作を規制するダンパ部と、第1機構の回転動作をアシストする第1バネ部と、断熱扉の全閉状態を検出する位置検出スイッチと、を備える。
【0004】
一方、断熱扉の庫内側には、断熱扉の閉動作の際に第2機構を押す接続部が形成される。接続部が、断熱扉の閉動作に連動して、自閉機構部のカバーの切欠き部を介してその内部に侵入する。そして、接続部が、第2機構を押すことで第1機構が回転し、第1機構が位置検出スイッチを押下する。冷蔵庫の制御部は、位置検出スイッチからの入力信号により、断熱扉の全閉状態を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3953082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の片開き式扉の冷蔵庫では、両開き式の扉の冷蔵庫と比較すると、片開き式扉の冷蔵庫の方が、扉1枚当たりのサイズが大きくなると共に、庫内側のドアポケットへの収納物量も多くなり、断熱扉の重量が重くなる。更には、上記扉のサイズの違いにより、片開き式冷蔵庫の方が、回転軸(ヒンジ軸)から断熱扉の戸先までの距離が長く、遠心力が大きくなる。また、片開き式扉の冷蔵庫の方が、断熱扉の開状態から全閉状態までの回転距離が長くなる。
【0007】
上記構造上の相違により、片開き式冷蔵庫では、断熱扉の全閉時の断熱扉と断熱箱体との衝撃が大きくなり、仮に、冷蔵庫の利用者が、断熱扉と断熱箱体との間に指を挟んだ場合には、負傷リスクが高まるという課題がある。また、利用者により断熱扉を閉める際の力加減は様々であり、上記閉める力が強い場合には、更に、上記負傷リスクが高まる。
【0008】
一方、両開き式の扉の冷蔵庫では、片開き式冷蔵庫と比較すると、上記指挟みによる負傷のリスクは小さくなる。しかしながら、両開き式の扉の冷蔵庫では、左右2枚の断熱扉は、全閉時に断熱箱体の中央部にて閉まり、横幅方向に並列して配置されることで、利用者は、断熱扉の全閉状態を目視にて確認し難くなるという課題がある。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、断熱扉の閉動作時における回転速度が自閉機構を介して第1の速度から第2の速度へと変化させ利用者の利便性を向上させる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の冷蔵庫の第1の態様では、貯蔵室が形成される断熱箱体と、前記断熱箱体の前記貯蔵室の前面開口部を開閉自在に塞ぐ断熱扉と、前記断熱扉を前記断熱箱体に対して自閉させる自閉機構と、を備え、少なくとも前記断熱扉が、前記断熱箱体に対して開状態から全閉状態へと移行する間において、前記断熱扉の回転速度が、前記自閉機構を介して第1の速度から第2の速度へと変化することを特徴とする。この構造により、断熱扉の閉動作時において、断熱扉は、自閉機構を介して段階的に抵抗力を受けることで、断熱扉の回転速度は第1の速度から第2の速度へと変化する。その結果、断熱扉を閉める際の力加減は、利用者によって様々であるが、断熱扉の回転速度が、自閉機構を介して調整され一定化されることで、例えば、断熱扉の収納部内にて収納物同士が衝突する音が低減される等、利用者の利便性が向上される。
【0011】
また、本発明の冷蔵庫の第2の態様では、前記自閉機構は、前記断熱箱体に対して回転可能に配設されるキャッチャー部と、前記断熱扉に配設され、前記断熱扉の開閉動作に連動して前記キャッチャー部に連結し、あるいは前記キャッチャー部から離脱するストライカ部と、前記キャッチャー部の回転を規制する抵抗力を前記キャッチャー部に段階的に加える回転規制部と、を有し、前記キャッチャー部が前記回転規制部から受ける前記抵抗力に応じて、前記断熱扉の前記回転速度が、前記第1の速度から前記第2の速度に変化することを特徴とする。この構造により、断熱扉の閉動作時において、キャッチャー部は回転規制部から段階的に抵抗力を受けることで、断熱扉の回転速度は第1の速度から第2の速度へと変化する。その結果、断熱扉を閉める際の力加減は、利用者によって様々であるが、断熱扉の回転速度が、回転規制部を介して調整され一定化されることで、例えば、断熱扉の収納部内にて収納物同士が衝突する音が低減される等、利用者の利便性が向上される。
【0012】
また、本発明の冷蔵庫の第3の態様では、前記キャッチャー部は、前記抵抗力の異なる複数の前記回転規制部によって規制されることで、前記断熱扉の前記回転速度が、前記第1の速度から前記第2の速度に変化することを特徴とする。この構造により、キャッチャー部は、抵抗力の異なる複数の回転規制部から段階的に抵抗力を受けることで、断熱扉の回転速度は第1の速度から第2の速度へと変化する。その結果、第2の速度が第1の速度より速くなる場合には、断熱扉の全閉時に断熱扉と断熱箱体との衝突音が発生することで、利用者は、上記衝突音により断熱扉の全閉状態を判断することが出来る。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫の第4の態様では、前記第1の速度は、前記開状態から前記断熱扉が前記全閉状態に対して所望の角度開いた状態まで前記断熱扉が回転する速度であり、前記第2の速度は、前記所望の角度から前記全閉状態まで前記断熱扉が回転する速度であり、前記断熱扉が両開き式扉の場合には、前記第1の速度よりも前記第2の速度の方が速いことを特徴とする。この構造により、断熱扉が両開き式扉の場合には、第1の速度よりも第2の速度の方が速くなる。その結果、断熱扉の全閉時に断熱扉と断熱箱体との衝突音が発生することで、利用者は、上記衝突音により断熱扉の全閉状態を判断することが出来る。
【0014】
また、本発明の冷蔵庫の第5の態様では、前記第1の速度は、前記開状態から前記断熱扉が前記全閉状態に対して所望の角度開いた状態まで前記断熱扉が回転する速度であり、前記第2の速度は、前記所望の角度から前記全閉状態まで前記断熱扉が回転する速度であり、前記断熱扉が片開き式扉の場合には、前記第1の速度が前記第2の速度よりも速いことを特徴とする。この構造により、断熱扉が片開き式扉の場合には、第1の速度が第2の速度よりも速くなる。その結果、断熱扉の全閉直前の回転速度が遅くなることで、利用者の指等が、断熱扉と断熱箱体との間に挟まれた場合でも負傷することが防止される。
【0015】
また、本発明の冷蔵庫の第6の態様では、前記自閉機構は、前記断熱箱体に対して固定される筐体部と、前記筐体部に対して回転可能に配設されるキャッチャー部と、前記筐体部に形成される第1のガイド溝と、その回転軸が前記第1のガイド溝に挿通され、前記キャッチャー部に回転可能に支持されるローラ部と、前記ローラ部に反力を加え、前記キャッチャー部の回転速度を減速させる回転規制部と、を有し、前記ローラ部が前記回転規制部から受ける前記反力に応じて、前記断熱扉の前記回転速度が、前記第1の速度から前記第2の速度に変化することを特徴とする。この構造により、断熱扉の閉動作時において、キャッチャー部は回転規制部から段階的に反力を受けることで、断熱扉の回転速度は第1の速度から第2の速度へと変化する。その結果、利用者は、断熱扉と断熱箱体との衝突音により、断熱扉の全閉状態を把握できる等、利用者の利便性が向上される。
【0016】
また、本発明の冷蔵庫の第7の態様では、前記回転規制部の前記ローラ部により押圧される面には、前記断熱箱体の横幅方向へと延在する平坦面と、前記平坦面と連続し、前記断熱箱体の奥行方向へと傾斜する傾斜面と、が形成され、前記ローラ部が前記平坦面から前記傾斜面へ移行することで、前記第1の速度から前記第2の速度に変化することを特徴とする。この構造により、回転規制部に平坦面と傾斜面が形成されることで、ローラ部と回転規制部との接触角度が変化する。その結果、キャッチャー部は回転規制部から段階的に反力を受けることで、断熱扉の回転速度は第1の速度から第2の速度へと変化する。
【0017】
また、本発明の冷蔵庫の第8の態様では、前記自閉機構は、前記断熱箱体に対して固定される筐体部と、前記筐体部に対して回転可能に配設されるキャッチャー部と、前記筐体部に形成されるガイド溝と、前記キャッチャー部に対してスライド可能に配設されると共に、前記ガイド溝に挿通されるガイド軸を有する押圧部材と、前記キャッチャー部の回転速度を減速させる回転規制部と、を有し、前記断熱扉の閉動作時には、前記キャッチャー部は、前記ガイド溝にガイドされながら前記前面開口部側へと回転動作し、前記押圧部材は、前記回転規制部を前記断熱箱体の奥行方向へと押圧することを特徴とする。この構造により、断熱扉の閉動作時において、押圧部材が回転規制部から段階的に反力を受けることで、断熱扉の回転速度は第1の速度から第2の速度へと変化する。その結果、利用者は、断熱扉と断熱箱体との衝突音により、断熱扉の全閉状態を把握できる等、利用者の利便性が向上される。
【0018】
また、本発明の冷蔵庫の第9の態様では、前記回転規制部の前記押圧部材により押圧される面には、前記断熱箱体の横幅方向へと延在する平坦面と、前記平坦面と連続し、前記奥行方向へと傾斜する傾斜面と、が形成され、前記押圧部材が前記平坦面から前記傾斜面へ移行することで、前記第1の速度から前記第2の速度に変化することを特徴とする。この構造により、断熱扉の閉動作時において、回転規制部に平坦面と傾斜面が形成されることで、押圧部材と回転規制部との接触角度が変化する。その結果、キャッチャー部は回転規制部から段階的に反力を受けることで、断熱扉の回転速度は第1の速度から第2の速度へと変化する。
【0019】
また、本発明の冷蔵庫の第10の態様では、前記傾斜面は、前記平坦面よりも前記奥行方向の奥側へと傾斜し、前記断熱扉が両開き式扉の場合には、前記第1の速度よりも前記第2の速度の方が速いことを特徴とする。この構造により、断熱扉が両開き式扉の場合には、第1の速度よりも第2の速度の方が速くなる。その結果、断熱扉の全閉時に断熱扉と断熱箱体との衝突音が発生することで、利用者は、上記衝突音により断熱扉の全閉状態を判断することが出来る。
【0020】
また、本発明の冷蔵庫の第11の態様では、前記傾斜面は、前記平坦面よりも前記奥行方向の手前へと傾斜し、前記断熱扉が片開き式扉の場合には、前記第1の速度が前記第2の速度よりも速いことを特徴とする。この構造により、断熱扉が片開き式扉の場合には、第1の速度が第2の速度よりも速くなる。その結果、断熱扉の全閉直前の回転速度が遅くなることで、利用者の指等が、断熱扉と断熱箱体との間に挟まれた場合でも負傷することが防止される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の冷蔵庫では、断熱扉の閉動作時における回転速度が自閉機構を介して第1の速度から第2の速度へと変化させ利用者の利便性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する側方断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明するブロック図である。
図5A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷蔵室の断熱扉の開状態を説明する上面図である。
図5B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷蔵室の断熱扉の全閉状態を説明する上面図である。
図6A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する上面図である。
図6B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構のキャッチャー部を説明する斜視図である。
図7A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷凍室の断熱扉の開状態を説明する底面図である。
図7B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷凍室の断熱扉の全閉状態を説明する底面図である。
図8】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する底面図である。
図9A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図9B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図9C】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図10】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する斜視図である。
図11A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図11B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図11C】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図12A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉に加わる力を説明する図である。
図12B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉の回転速度を説明する図である。
図13A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉に加わる力を説明する図である。
図13B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉の回転速度を説明する図である。
図14A】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のキャッチャー部に形成される復旧部を説明する斜視図である。
図14B】本発明の実施形態に係る冷蔵庫のキャッチャー部に形成される復旧部を説明する断面図である。
図15】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫を説明する斜視図である。
図16A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の冷蔵室の断熱扉の開状態を説明する上面図である。
図16B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の冷蔵室の断熱扉の全閉状態を説明する上面図である。
図17A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する斜視図である。
図17B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する斜視図である。
図17C】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する斜視図である。
図18A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構のキャッチャー部を説明する斜視図である。
図18B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構のキャッチャー部を説明する斜視図である。
図19A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する下面図である。
図19B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する断面図である。
図20A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する下面図である。
図20B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する下面図である。
図21A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図21B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図22A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図22B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図23A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の冷凍室の断熱扉の開状態を説明する底面図である。
図23B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の冷凍室の断熱扉の全閉状態を説明する底面図である。
図24A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫のキャッチャー部に形成される復旧部を説明する斜視図である。
図24B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫のキャッチャー部に形成される復旧部を説明する断面図である。
図25】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫を説明する斜視図である。
図26A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉に加わる力を説明する図である。
図26B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉の回転速度を説明する図である。
図27】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構のキャッチャー部を説明する上面図である。
図28A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉に加わる力を説明する図である。
図28B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉の回転速度を説明する図である。
図29】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構のキャッチャー部を説明する上面図である。
図30A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉に加わる力を説明する図である。
図30B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉の回転速度を説明する図である。
図31A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する斜視図である。
図31B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する斜視図である。
図31C】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構を説明する斜視図である。
図32A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構のキャッチャー部を説明する斜視図である。
図32B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構のキャッチャー部を説明する斜視図である。
図32C】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構のキャッチャー部を説明する断面図である。
図33A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図33B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図34A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図34B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉が閉じる際の自閉機構の動作を説明する上面図である。
図35A】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構のキャッチャー部を説明する斜視図である。
図35B】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構のキャッチャー部を説明する斜視図である。
図35C】本発明の他の実施形態に係る冷蔵庫の自閉機構のキャッチャー部を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態の冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。尚、以下の説明では、上下方向は冷蔵庫10の高さ方向を示し、左右方向は冷蔵庫10を前方から見た横幅方向を示し、前後方向は冷蔵庫10の奥行方向を示している。また、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0024】
図1は、本実施形態の冷蔵庫10を前方側から見た外観構造を説明する斜視図である。図2は、本実施形態の冷蔵庫10を前方側から見た内部構造を説明する正面図である。図3は、本実施形態の冷蔵庫10の構造を説明する側方断面図である。図4は、本実施形態の冷蔵庫10の全閉状態であるか、否かを検知する制御を説明するブロック図である。
【0025】
図1及び図2に示すように、冷蔵庫10は、断熱箱体11と、断熱箱体11の内部に形成された貯蔵室と、を備える。また、貯蔵室としては、上方側から、1つの冷蔵室12と2つの冷凍室13が形成される。尚、図1では、説明の都合上、各貯蔵室の付番を示している。
【0026】
冷蔵室12は、断熱箱体11の中央より上方側の領域であり、庫内の内部空間の略半分程度を用いて形成される。冷蔵室12の前面開口部12Aは、断熱箱体11の略中央から両開き式の第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15にて開閉自在に塞がれる。第1の断熱扉14は回転式の扉であり、紙面左方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。また、第2の断熱扉15は回転式の扉であり、紙面右方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。尚、第1の断熱扉14、第2の断熱扉15の下端側のヒンジ機構31の下部ヒンジ部は公知の構造であり、図面上省略する。
【0027】
第1の断熱扉14の中央側の端部であり、第1の断熱扉14の庫内側には、センターピラー16が配設される。また、詳細は後述するが、断熱箱体11に配設される自閉機構41のキャッチャー部42(図6A参照)の取付け位置に対応して、第1の断熱扉14の天面14A側には、ストライカ部44が配設される。同様に、断熱箱体11に配設される自閉機構41のキャッチャー部42の取付け位置に対応して、第2の断熱扉15の天面15A側には、ストライカ部44が配設される。尚、冷蔵室12は、例えば、仕切り板部材(図示せず)により紙面上下方向に複数段に仕切られる。
【0028】
冷凍室13は、断熱箱体11の中央より下方側の領域であり、庫内の内部空間の略半分程度を用いて形成される。冷凍室13は、断熱箱体11の一部である区画壁17により紙面左右方向に区画して形成される。そして、第3の断熱扉18は回転式の扉であり、紙面左方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。また、第4の断熱扉19は回転式の扉であり、紙面右方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。尚、第3の断熱扉18、第4の断熱扉19の上端側のヒンジ機構31の上部ヒンジ部は公知の構造であり、図面上省略する。
【0029】
また、冷凍室13が、両開き式の第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19により全閉状態となる場合には、第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19は、区画壁17に対して当接し磁着した状態となる。また、断熱箱体11に配設される自閉機構37(図8参照)のキャッチャー部42(図8参照)の取付け位置に対応して、第3の断熱扉18の底面18A側には、ストライカ部44が配設される。同様に、断熱箱体11に配設される自閉機構37のキャッチャー部42の取付け位置に対応して、第4の断熱扉19の底面19A側には、ストライカ部44が配設される。尚、冷凍室13は、例えば、引き出し式の収納ケース(図示せず)により、それぞれ紙面上下方向に複数段に仕切られる。
【0030】
図示したように、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15の庫内側の内面板材35には、外周端部に沿って環状にガスケット36が配設される。また、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15の庫内側には、ガスケット36の内側に膨出部35Aが形成される。そして、膨出部35Aは、収納ラック34を支持することで、ドア側の収納領域が形成される。
【0031】
図3に示すように、断熱箱体11は、主に、冷蔵庫10の外形を形成する鋼板から成る外箱21と、外箱21の内側に形成された箱形の合成樹脂板から成る内箱22と、外箱21と内箱22との間に配設された断熱材23と、を有する。断熱材23としては、例えば、発泡ウレタンが採用される。
【0032】
冷凍室13の後方には、冷却室24が区画形成される。冷却室24には冷却器25が配設される。また、断熱箱体11の最下部後方には、機械室26が区画形成され、機械室26には圧縮機27等が配設される。冷却器25及び圧縮機27は、図示しない膨張手段および凝縮器と冷媒配管を経由して接続され、蒸気圧縮冷凍サイクルを形成する。尚、蒸気圧縮冷凍サイクルの各構成機器は、ここでは図示しない冷媒配管を経由して相互に接続される。
【0033】
上記冷凍サイクルが運転することで、冷却器25により冷却室24の内部の空気が冷却される。冷却室24には、冷却器25の上方側に送風機28が配設される。送風機28は、例えば、軸流送風機または遠心送風機であり、冷却室24の内部の冷気を、冷蔵室12および冷凍室13に向けて送風する。そして、上記冷気が、各種風路29を経由して各貯蔵室に送風されることで、冷蔵室12は冷蔵温度帯域となり、冷凍室13は冷凍温度帯域となる。
【0034】
冷却室24の冷却器25の下方には、除霜ヒータ20が配置される。上記冷凍サイクルの運転に伴い、冷却器25の表面に厚い着霜が生じる。このようになると、制御部30(図4参照)は、圧縮機27を停止して除霜ヒータ20を通電して加熱する除霜運転を行い、上記霜を溶融除去する。尚、除霜ヒータ20としては、電気抵抗加熱式のヒータ、シーズヒータやホットガスデフロスト等が採用される。
【0035】
図4に示すように、冷蔵庫10の制御部30は、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19に対してそれぞれ配設される自閉機構41,37内の検知装置46からの入力信号を検知し、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19の全閉状態を判定する。具体的には、冷蔵庫10の制御部30は、機械式スイッチ46A(図6A参照)のボタン46B(図6A参照)が、キャッチャー部42により押下された入力信号を検知することで、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19が全閉状態であるとそれぞれ判定する。
【0036】
一方、冷蔵庫10の制御部30は、一定時間に渡り検知装置46からの上記入力信号を検知しない場合には、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19のいずれかが、半ドア状態を含む開状態であると判定する。そして、冷蔵庫10の制御部30は、報知部40を制御して、例えば、音を発し、冷蔵庫10の利用者に対して、第1の断熱扉14から第4の断熱扉19のいずれかが開状態であることを報知する。尚、本実施形態の報知部40は、例えば、冷蔵庫10の利用者に対して音や光等を発するための装置である。
【0037】
次に、図5Aから図6Bを用いて、本実施形態の冷蔵庫10の冷蔵室12(図2参照)側の第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15に対して配設される自閉機構41について説明する。尚、以下の説明では、第1の断熱扉14に配設される自閉機構41について説明し、第2の断熱扉15側に配設される自閉機構41の説明は、第1の断熱扉14側の説明を参照し、ここではその説明を省略する。
【0038】
図5Aは、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14が、断熱箱体11に対して開いた状態を説明する上面図である。図5Bは、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14が、断熱箱体11に対して全閉した状態を説明する上面図である。図6Aは、本実施形態の冷蔵庫10の自閉機構41のソフトクローズ部45の内部構造を説明する上面図である。図6Bは、本実施形態の冷蔵庫10の自閉機構41のキャッチャー部42を説明する斜視図である。
【0039】
図5Aに示すように、第1の断熱扉14は、紙面左方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。ヒンジ機構31の上部ヒンジ部31Aは、断熱箱体11の天面11A上に配設されると共に、その上面がカバー部33により覆われる。尚、ヒンジ機構31の上部ヒンジ部31Aの詳細の構造は図示しないが、公知の構造である。上部ヒンジ部31Aは、例えば、断熱箱体11に固定され、第1の断熱扉14側まで延在する本体フレーム、本体フレームの第1の断熱扉14側に配設されるヒンジピン、ヒンジピンが挿通される第1の断熱扉14のヒンジ取付け孔等を備える。
【0040】
自閉機構41は、主に、キャッチャー部42と、ストライカ部44と、ソフトクローズ部45と、検知装置46と、を備える。そして、自閉機構41は、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15の回転速度を調整しながら、第1の断熱扉14及び第2の断熱扉15を自閉させる機構である。
【0041】
自閉機構41の一部は、ヒンジ機構31の上部ヒンジ部31Aの隣であり、断熱箱体11の天面11Aに固定して配設される。そして、自閉機構41の一部は、ヒンジ機構31と一緒にカバー部33の内部に収納される。図示したように、自閉機構41のキャッチャー部42は、断熱箱体11の天面11A側であり、自閉機構41のソフトクローズ部45に対して回転可能に軸支される。第1の断熱扉14の開状態時には、キャッチャー部42の一部は、カバー部33から導出した状態となる。そして、キャッチャー部42には、ストライカ部44の係合ピン44Aが、侵入可能な、あるいは離脱可能な係合溝42Aが形成される。
【0042】
自閉機構41のストライカ部44は、第1の断熱扉14の天面14A側であり、庫内側に向けて配設される。ストライカ部44の先端には、キャッチャー部42の係合溝42A内へと侵入する係合ピン44Aが配設される。詳細は後述するが、第1の断熱扉14の閉動作時に、係合ピン44Aが係合溝42A内に侵入し、キャッチャー部42とストライカ部44とが連結状態と成る。その後、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫内側へと押しながら、係合溝42A内をキャッチャー部42の根本側へと移動する。
【0043】
図5Bに示すように、キャッチャー部42は、係合ピン44Aに押されることで回転動作し、カバー部33内へと収納される。詳細は図6Aに示すが、カバー部33の内部の自閉機構41の配置領域には、キャッチャー部42の回転動作を規制するソフトクローズ部45及び第1の断熱扉14の全閉状態を検出する検知装置46が収納される。そして、検知装置46は、例えば、機械式スイッチ46Aを有し、キャッチャー部42が、機械式スイッチ46Aのボタン46Bを押下すると、その押下された信号が冷蔵庫10の制御部30(図4参照)へと送信される。冷蔵庫10の制御部30では、上記信号から第1の断熱扉14の全閉状態を検出することで、第1の断熱扉14のドア照明を消灯する等、各種制御を実行する。
【0044】
一方、第1の断熱扉14が、図5Bに示す全閉状態から図5Aに示す開状態へと移行する過程では、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫外側へと押しながら、係合溝42Aの先端側へと移動した後、先端開口部39を介して係合溝42Aから離脱する。このとき、キャッチャー部42は、係合ピン44Aに押されることで回転動作し、キャッチャー部42の一部は、カバー部33の外側へと導出する。
【0045】
尚、キャッチャー部42は、第1の断熱扉14が開状態であり、キャッチャー部42とストライカ部44との非連結状態時には、例えば、断熱箱体11の前面11Bに対して20度の位置にて停止する。そして、キャッチャー部42の底面の一部が、ソフトクローズ部45の収納部32の突起部(図示せず)に対して嵌合することで、バネ部48を介して連結部48Bにより付勢されても上記停止状態を維持する。そして、第1の断熱扉14の開状態時に、キャッチャー部42が、冷蔵庫10の利用者と軽く接触した程度では、上記停止状態を維持することが出来る。
【0046】
図6Aに示すように、カバー部33(図5A参照)の内部の自閉機構41の配設領域には、ヒンジ機構31側から、バネ部48、第2のダンパ部50、第1のダンパ部49及び検知装置46が、並んで配設される。そして、ソフトクローズ部45は、主に、バネ部48と、第1のダンパ部49と、第2のダンパ部50と、を有する。尚、本実施形態のソフトクローズ部45は、本願発明の減速機構に対応する。また、本実施形態の第1及び第2のダンパ部49,50は、本願発明の回転規制部に対応する。また、本実施形態のバネ部48は、本願発明の弾性部に対応する。
【0047】
バネ部48は、例えば、3本の圧縮コイルバネ48Aと、圧縮コイルバネ48Aの先端部を固定する連結部48Bと、を有する。圧縮コイルバネ48Aの後端部は、ソフトクローズ部45の収納部32に固定される。また、連結部48Bは、キャッチャー部42の後端側と接触状態となる。
【0048】
この構造により、連結部48Bが、キャッチャー部42の回転動作に連動して、キャッチャー部42により押され、あるいは、キャッチャー部42を押すことで、圧縮コイルバネ48Aは、矢印51の方向(紙面前後方向)に伸縮する。
【0049】
具体的には、第1の断熱扉14が、図5Aに示す開状態から図5Bに示す全閉状態へと移行する過程では、圧縮コイルバネ48Aは伸びることで、連結部48Bが、キャッチャー部42を押し、キャッチャー部42の回転動作をアシストする。一方、第1の断熱扉14が、図5Bに示す全閉状態から図5Aに示す開状態へと移行する過程では、圧縮コイルバネ48Aは、キャッチャー部42に押されることで圧縮される。尚、本実施形態では、3本の圧縮コイルバネ48Aが用いられる場合について説明するが、圧縮コイルバネ48Aの本数は任意の設計変更が可能である。
【0050】
第1のダンパ部49及び第2のダンパ部50は、バネ部48と同様に、矢印51の方向に伸縮するように配設される。第1のダンパ部49のシャフト部49Aの先端部49Bは、キャッチャー部42の側面に配設されるスライダー部52と接触する。同様に、第2のダンパ部50のシャフト部50Aの先端部50Bは、キャッチャー部42の側面に配設されるスライダー部52と接触する。そして、第1の断熱扉14が、図5Aに示す開状態から図5Bに示す全閉状態へと移行する際には、第1のダンパ部49及び第2のダンパ部50は、キャッチャー部42に押されることで、それぞれのシャフト部49A,50Aが本体部49C,50C内へと収納される。
【0051】
ここで、図6A及び図6Bに示すように、スライダー部52は、キャッチャー部42の側面に開口するスライダー収納凹部42Dに配設される。そして、スライダー部52は、回転軸部42Eを介してキャッチャー部42に対して回転可能に連結される。この構造により、スライダー部52は、キャッチャー部42の回転動作に連動して、スライダー収納凹部42Dにガイドされることで、矢印51の方向に移動する。その結果、スライダー部52は、第1及び第2のダンパ部49,50の先端部49B,50Bを矢印51の方向に押すことが可能となる。
【0052】
詳細は後述するが、第1の断熱扉14の閉動作時に、キャッチャー部42の回転動作に連動して、スライダー部52が、第1のダンパ部49と第2のダンパ部50に対して順次接触することで、キャッチャー部42の回転を規制する抵抗力が、段階的に変化する。この構造により、キャッチャー部42とストライカ部44との連結状態時に、キャッチャー部42が最後まで回転し、第1の断熱扉14が全閉状態となる。
【0053】
検知装置46は、例えば、機械式スイッチ46Aを有し、機械式スイッチ46Aは、配線部46Cを介して冷蔵庫10の制御部30(図4参照)と接続する。そして、キャッチャー部42が、機械式スイッチ46Aのボタン46Bを押下すると、その押下された信号が冷蔵庫10の制御部30へと送信される。検知装置46の機械式スイッチ46Aは、第1の断熱扉14の全閉状態時に、言い換えると、図5Bに示すキャッチャー部42の水平状態時に、ボタン46Bが、キャッチャー部42にて押下される位置に配設される。
【0054】
次に、図7Aから図8を用いて、本実施形態の冷蔵庫10の冷凍室13(図2参照)側の第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19に対して配設される自閉機構37について説明する。尚、以下の説明では、第3の断熱扉18に配設される自閉機構37について説明し、第4の断熱扉19側に配設される自閉機構37の説明は、第3の断熱扉18側の説明を参照し、ここではその説明を省略する。また、自閉機構37に関し、自閉機構41と同じ構成部材には同一の符番を用い、繰り返しの説明を省略する。
【0055】
図7Aは、冷蔵庫10の第3の断熱扉18が、断熱箱体11に対して開いた状態を説明する底面図である。図7Bは、本実施形態の冷蔵庫10の第3の断熱扉18が、断熱箱体11に対して全閉した状態を説明する底面図である。図8は、本実施形態の冷蔵庫10の自閉機構37の内部構造を説明する底面図である。
【0056】
最初に、図8に示すように、自閉機構37は、図6Aに示す自閉機構41の構成部材と同一の構成部材が用いられるが、構成部材の配置関係が自閉機構41と相違する。具体的には、自閉機構37の配設領域には、ヒンジ機構31側から、検知装置46、第1のダンパ部49、第2のダンパ部50及びバネ部48が、並んで配設される。また、キャッチャー部42が、ヒンジ機構31側に向けて回転するように配設される。尚、第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19が、自閉機構37により自閉する動作は、回転する方向は異なるが、その他の動作は上述した自閉機構41を用いた場合と同様である。
【0057】
次に、図7Aに示すように、自閉機構37は、ヒンジ機構31の隣であり、断熱箱体11の底面11Cに固定して配設される。そして、第3の断熱扉18の開状態時には、キャッチャー部42の一部は、自閉機構37のカバー部38から導出した状態となる。
【0058】
また、図示したように、自閉機構37のストライカ部44は、第3の断熱扉18の底面18A側であり、庫内側に向けて配設される。ストライカ部44の先端には、キャッチャー部42の係合溝42A内へと侵入する係合ピン44Aが配設される。そして、第3の断熱扉18の閉動作時に、係合ピン44Aが係合溝42A内に侵入し、キャッチャー部42とストライカ部44とが連結状態と成る。その後、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫内側へと押しながら、係合溝42A内をキャッチャー部42の根本側へと移動する。
【0059】
図7Bに示すように、キャッチャー部42は、ストライカ部44により押されると共に、ソフトクローズ部45により回動速度が遅くなりながら、断熱箱体11の前面11Bに対して略水平な状態まで回転する。キャッチャー部42は、カバー部38内へと収納される。そして、キャッチャー部42が、機械式スイッチ46Aのボタン46Bを押下すると、その押下された信号が冷蔵庫10の制御部30(図4参照)へと送信される。
【0060】
一方、第3の断熱扉18が、図7Bに示す全閉状態から図7Aに示す開状態へと移行する過程では、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫外側へと押しながら、係合溝42Aの先端側へと移動した後、先端開口部39を介して係合溝42Aから離脱する。このとき、キャッチャー部42は、係合ピン44Aに押されることで回転動作し、キャッチャー部42の一部は、カバー部38の外側へと導出する。
【0061】
上述したように、自閉機構37では、キャッチャー部42が、ヒンジ機構31側に向けて回転動作することで、第3の断熱扉18の開状態において、キャッチャー部42の先端側は、断熱箱体11のヒンジ機構31近傍に突出した状態となる。言い換えると、第3及び第4の断熱扉18,19の開状態において、一対のキャッチャー部42は、冷蔵庫10の天面11A側から見て、片仮名の略ハの字形状となるように、断熱箱体11の前面11A側へと突出して左右外側へと向けて展開される。
【0062】
この構造により、例えば、利用者が、冷凍室13内の食材を探す際、あるいは、冷凍室13へと食材を収納する際に、利用者は、冷凍室13へと近づくが、キャッチャー部42は、冷蔵庫10の利用者の足やスリッパ等と接触し難くなる。その結果、キャッチャー部42は、所定の位置に留まることで、第3の断熱扉18の閉動作時に、係合ピン44Aが係合溝42A内へと侵入し、第3の断熱扉18が半ドア状態となることが防止される。
【0063】
次に、図9Aから図9Cを用いて、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14が、開状態から全閉状態へと移行する際の自閉機構41の動作について説明する。尚、以下の説明では、第1の断熱扉14を用いて説明する。そして、第2の断熱扉15から第4の断熱扉19に関する動作の説明は、第1の断熱扉14に関する説明を参照し、ここではその説明を省略する。また、説明の都合上、カバー部33の内部に配設されるソフトクローズ部45とキャッチャー部42との位置関係を実線にて示すと共に、検知装置46の機械式スイッチ46A及びボタン46Bも実線にて示す。また、第3の断熱扉18及び第4の断熱扉19の場合には、図8を用いて上述したように、自閉機構41を自閉機構37に置き換えて、その説明を参照する。
【0064】
図9Aから図9Cは、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14が、断熱箱体11に対して開状態から全閉状態へと移行する状況を説明する上面図である。
【0065】
図9Aでは、第1の断熱扉14が開状態から全閉状態へと向けて移行する途中であり、例えば、第1の断熱扉14が、全閉状態から45度開いた状態を示す。図示したように、第1の断熱扉14に配設されるストライカ部44の係合ピン44Aは、キャッチャー部42の係合溝42Aから離脱した状態である。そして、冷蔵庫10の利用者が、第1の断熱扉14を閉めるために、第1の断熱扉14を断熱箱体11の前面11B側へと押す。この利用者の閉める動作により、上記押した勢いと第1の断熱扉14の荷重を利用して、第1の断熱扉14は、断熱箱体11の前面11B側へと回転する。
【0066】
本実施形態では、キャッチャー部42は、例えば、断熱箱体11の前面11Bから約20度まで庫外側へと回転する構造である。そして、キャッチャー部42の係合溝42Aの形成領域が、カバー部33から外部に露出する。また、上述したように、キャッチャー部42は、断熱箱体11の天面11Aに配設される。この構造により、第1の断熱扉14の開状態において、キャッチャー部42は、利用者の目線よりも高い位置であり、断熱箱体11の前面11Bから必要最小限の部分が突出することで、目立たない構造となり、冷蔵庫10の意匠性が損なわれ難くなる。
【0067】
次に、図9Bでは、図9Aに引き続き、第1の断熱扉14が開状態から全閉状態へと向けて移行する途中であり、例えば、第1の断熱扉14が、全閉状態から3度開いた状態を示す。図示したように、第1の断熱扉14に配設されるストライカ部44の係合ピン44Aは、キャッチャー部42の係合溝42A内へと侵入した状態である。そして、キャッチャー部42とストライカ部44とは連結状態となり、連動して動作する。
【0068】
ここで、図9Aに示すように、キャッチャー部42は、係合溝42Aを挟むように、第1の基部42Bと、第2の基部42Cと、を有する。そして、丸印53にて示すように、第2の基部42Cの先端部は、第1の基部42Bの先端部よりも庫内中央側まで延在する。この構造により、係合溝42Aでは、先端開口部39の開口幅が広くなると共に、庫内側の第2の基部42Cが長くなることで、係合ピン44Aと第2の基部42Cとが衝突し易くなる。そして、係合ピン44Aが係合溝42A内へと侵入する際に、係合ピン44Aが、第2の基部42Cと衝突し、係合溝42Aへと誘導されることで、キャッチャー部42とストライカ部44との連結状態が実現し易くなる。
【0069】
具体的には、第1の断熱扉14が、上記押した勢いと荷重(以下、「上記荷重等」と呼ぶ。)により、断熱箱体11の前面11B側へと回転しなら移動することで、係合ピン44Aもキャッチャー部42へと近づく。そして、第1の断熱扉14が、例えば、全閉状態から13度開いた状態となることで、ストライカ部44の係合ピン44Aが、キャッチャー部42の係合溝42Aの先端開口部39から内部へと侵入する。
【0070】
その後、図9Bに示すように、第1の断熱扉14が、上記荷重等を利用して閉方向へ回転し続けることで、係合ピン44Aは、キャッチャー部42を庫内側へと押しながら、係合溝42A内をキャッチャー部42の根本側へと移動する。一方、キャッチャー部42は、係合ピン44Aに押されることで、検知装置46の機械式スイッチ46A側へと回転する。
【0071】
ここで、ソフトクローズ部45の動作について説明する。上述したように、ソフトクローズ部45では、第1の断熱扉14の閉動作時において、キャッチャー部42には、バネ部48により回転をアシストする回転補助力が加わる一方、第1及び第2のダンパ部49,50により回転を規制する抵抗力が加わる。そして、本実施形態では、ソフトクローズ部45に第1及び第2のダンパ部49,50が配設されることで、キャッチャー部42の回転を規制するための抵抗力が、段階的にキャッチャー部42に加わる。
【0072】
具体的には、第1段階として、図9Aに示すように、係合ピン44Aが係合溝42A内へと侵入し、ストライカ部44とキャッチャー部42とが連結してから一定の間は、第1のダンパ部49の先端部49Bが、キャッチャー部42のスライダー部52と接触した状態となる。このとき、第2のダンパ部50の先端部50Bは、キャッチャー部42のスライダー部52と離間した状態となる。
【0073】
第1段階では、キャッチャー部42に対して、第1のダンパ部49を介して抵抗力が加わる。そして、第1段階での抵抗力に対しては、キャッチャー部42に上記荷重等が加わることで対抗可能である。そして、係合ピン44Aが、係合溝42Aに侵入した状態を維持することで、係合ピン44Aが、係合溝42Aによりガイドされ、上記荷重等がキャッチャー部42に対して伝達される。尚、第1のダンパ部49による抵抗力は、例えば、第1の断熱扉14が、利用者により勢い良く閉められた際に、第1の断熱扉14の回転速度を減速させることを目的として設計される。
【0074】
次に、第2段階として、図9Bに示すように、第1の断熱扉14が全閉状態時へと向けて更に回転することで、第2のダンパ部50の先端部50Bが、キャッチャー部42のスライダー部52と接触した状態となる。そして、この状態では、第1及び第2のダンパ部49,50の先端部49B,50Bが、キャッチャー部42のスライダー部52と接触している。
【0075】
第2段階では、キャッチャー部42に対して、第1及び第2のダンパ部49,50を介して抵抗力が加わる。そして、第2段階での抵抗力に対しては、ストライカ部44とキャッチャー部42との連結状態において、キャッチャー部42に上記荷重等が加わると共に、ソフトクローズ部45のバネ部48による回転補助力が加わることで対抗可能となる。
【0076】
次に、図9Cでは、第1の断熱扉14の全閉状態を示す。図示したように、第1の断熱扉14に配設されるストライカ部44の係合ピン44Aは、キャッチャー部42の係合溝42A内へと侵入した状態である。
【0077】
上述したように、第1の断熱扉14の回転動作に連動し、第1及び第2のダンパ部49,50の先端部49B,50Bが、キャッチャー部42のスライダー部52と接触する。キャッチャー部42に対しては、第1及び第2のダンパ部49,50を介して抵抗力が加わる。そして、キャッチャー部42には、上記第1段階よりも大きな抵抗力が加わるが、ソフトクローズ部45のバネ部48による回転補助力も用いて、キャッチャー部42は、上記水平状態まで回転を継続する。その結果、キャッチャー部42は、検知装置46の機械式スイッチ46Aのボタン46Bを押下する。そして、第1の断熱扉14は、冷蔵室12に対して全閉状態となる。
【0078】
本実施形態の冷蔵庫10では、係合ピン44Aが係合溝42A内へと侵入し、キャッチャー部42とストライカ部44とは連結状態となる。そして、この連結状態時に、第1の断熱扉14は、ソフトクローズ部45により回転速度が調整されながら、冷蔵室12に対して全閉状態となる。
【0079】
この構造により、利用者が、第1の断熱扉14を勢い良く押し、第1の断熱扉14を閉める場合でも、第1の断熱扉14は、ゆっくりと断熱箱体11の前面11Bのガスケット36に対して磁着する。その結果、第1の断熱扉14の全閉時の静穏性、例えば、第1の断熱扉14の全閉時の音や第1の断熱扉14が振動し収納物が周囲と当たり発生する音が低減され、利用者の快適性が高められる。
【0080】
一方、本実施形態の冷蔵庫10では、係合ピン44Aが係合溝42A内への侵入に失敗した場合には、ストライカ部44とキャッチャー部42とは非連結状態となる。この非連結状態の場合には、例えば、キャッチャー部42が、正規の停止位置から位置ずれを起こし、ストライカ部44が、キャッチャー部42に対して接触しない状態となることで、キャッチャー部42へ上記荷重等が加わらない。あるいは、ストライカ部44とキャッチャー部42との接触角度が所望の位置からずれることで、キャッチャー部42へ加わる上記荷重等が低減する。その結果、キャッチャー部42は、第1及び第2のダンパ部49,50による抵抗力に対抗出来ず、第1の断熱扉14は、半ドア状態にて回転が停止する。
【0081】
この場合には、機械式スイッチ46Aのボタン46Bが、キャッチャー部42にて押下されることはなく、第1の断熱扉14の半ドア状態時に、冷蔵庫10の制御部30(図4参照)が、第1の断熱扉14が全閉状態であると誤判定することが防止される。そして、上述したように、冷蔵庫10の制御部30が、報知部40(図4参照)を制御し、冷蔵庫10の利用者に対して警告音を発することで、利用者により第1の断熱扉14の半ドア状態が解消可能となる。
【0082】
次に、図9Aから図9C及び図12Aから図12Bを用いて、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14が、開状態から全閉状態へと移行する際の回転速度について説明する。また、図10から図11C及び図13Aから図13Bに示すように、上述した自閉機構41を備えた片開き式扉の冷蔵庫70の第1の断熱扉71が、開状態から全閉状態へと移行する際の回転速度についても併せて説明する。尚、両開き式扉の冷蔵庫10の第2から第4の断熱扉15,18,19の閉動作時の回転速度について、以下に説明する第1の断熱扉14の閉動作時の回転速度と同様である。
【0083】
図10に示すように、片開き式扉の冷蔵庫70は、両開き式扉の冷蔵庫10の第1の断熱扉14と同様に、右開き式の第1の断熱扉71及び第2の断熱扉72を備える。第1の断熱扉71は、冷蔵室73の前面開口部73A(図11A参照)を開閉自在に塞ぐ扉である。第2の断熱扉72は、冷凍室74の前面開口部(図示せず)を開閉自在に塞ぐ扉である。尚、第2の断熱扉72は、上述した第3の断熱扉18と同様に断熱箱体75の底面に自閉機構37を備える。そして、第2の断熱扉72の閉動作時の回転速度は、以下に説明する第1の断熱扉71の閉動作時の回転速度と同様である。
【0084】
図10は、本実施形態の冷蔵庫70を前方側から見た外観構造を説明する斜視図である。図11Aから図11Cは、本実施形態の冷蔵庫70の第1の断熱扉71が、断熱箱体75に対して開状態から全閉状態へと移行する状況を説明する上面図である。図12Aは、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14の閉動作時における第1の断熱扉14に加わる力と第1の断熱扉14の開き角度を説明する図である。図12Bは、本実施形態の冷蔵庫10の第1の断熱扉14の閉動作時における第1の断熱扉14の回転速度と第1の断熱扉14の開き角度を説明する図である。図13Aは、本実施形態の冷蔵庫70の第1の断熱扉71の閉動作時における第1の断熱扉71に加わる力と第1の断熱扉71の開き角度を説明する図である。図13Bは、本実施形態の冷蔵庫70の第1の断熱扉71の閉動作時における第1の断熱扉71の回転速度と第1の断熱扉71の開き角度を説明する図である。尚、図10では、説明の都合上、各貯蔵室の付番を示している。また、図12A及び図13Aでは、右側の縦軸は第1の断熱扉14,71に加わる抵抗力を示し、左側の縦軸は第1の断熱扉14,71に加わる回転補助力を示し、横軸は第1の断熱扉14,71の開き角度を示す。一方、図12B及び図13Bでは、縦軸は第1の断熱扉14,71の回転速度を示し、横軸は第1の断熱扉14,71の開き角度を示す。
【0085】
最初に、冷蔵庫10の第1の断熱扉14の回転速度について説明する。
【0086】
図9Aに示すように、ストライカ部44の係合ピン44Aとキャッチャー部42との非接触状態時には、キャッチャー部42は、断熱箱体11の前面11Bから約20度庫外側へと回転し、停止する構造である。そして、第1の断熱扉14の閉動作時において、例えば、第1の断熱扉14が、図9Cに示す全閉時状態から13度開いた状態まで回転することで、係合ピン44Aは、キャッチャー部42と衝突し、係合ピン44Aは、係合溝42A内へと侵入する。
【0087】
ここで、上述したように、第1の断熱扉14の閉動作時の第1段階では、キャッチャー部42に対して、第1のダンパ部49を介して抵抗力が加わる。その結果、図12Bに示すように、第1の断熱扉14は、上記13度開いた状態から図9Bに示す3度開いた状態まで回転するまで、第1の速度にて回転しながら閉動作を継続する。
【0088】
次に、図9Bに示すように、第1の断熱扉14の閉動作時の第2段階では、キャッチャー部42に対して、第1のダンパ部49及び第2のダンパ部50を介して抵抗力が加わる。
【0089】
ここで、自閉機構41では、図6Aに示すように、第1の断熱扉14が、上記13度から上記3度まで回転する間は、キャッチャー部42のコーナー部42Fは、バネ部48の連結部48Bの平坦面48Cと接触する。そして、キャッチャー部42は、バネ部48を圧縮させる方向に力を加える。尚、キャッチャー部42の角度が20度の状態では、バネ部48は最大に圧縮した状態である。
【0090】
一方、第1の断熱扉14が、上記3度から上記全閉状態まで回転する間は、キャッチャー部42のコーナー部42Fは、連結部48Bの傾斜面48Dと接触すると共に、キャッチャー部42の平坦面42Gは、連結部48Bの平坦面48Cと接触する。そして、バネ部48は、キャッチャー部42により押される状態から解放され、圧縮状態から伸びることで、キャッチャー部42は、バネ部48により押され、全閉状態への回転がアシストされる。
【0091】
この構造により、第1の断熱扉14の閉動作の第2段階では、図12Bに示すように、第1の断熱扉14は、上記3度から上記全閉状態まで回転する間は、第2の速度にて回転しながら閉動作を継続する。そして、図12Aに示すように、キャッチャー部42に対して、第1のダンパ部49及び第2のダンパ部50を介して抵抗力が加わる一方、バネ部48による回転方向への回転補助力が加わる。更には、本実施形態では、第2のダンパ部50が第1の断熱扉14に加える抵抗力が、第1のダンパ部49が第1の断熱扉14に加える抵抗力よりも小さくなるように設定される。
【0092】
その結果、図12Bに示すように、第1の断熱扉14の回転速度では、第2の速度の方が第1の速度よりも速くなる。そして、第1の断熱扉14は、全閉状態時に断熱箱体11の中央部にて閉まり、第2の断熱扉15と並列して配置されることで、利用者は、第1の断熱扉14の全閉状態を目視にて確認し難くなるが、上記速度の関係により、第1の断熱扉14の全閉時に断熱箱体11との衝突音を発生させることで、利用者は、上記衝突音により第1の断熱扉14の全閉状態を判断し易くなる。尚、上記衝突音は、冷蔵庫10の利用者の快適性を損なわない範囲に設定される。
【0093】
次に、冷蔵庫70の第1の断熱扉71の回転速度について説明する。
【0094】
図11Aに示すように、第1の断熱扉71は、紙面左方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体75に回転自在に軸支される。ヒンジ機構31の上部ヒンジ部31Aは、断熱箱体75の天面75A上に配設されると共に、その上面がカバー部33により覆われる。そして、自閉機構41の一部は、ヒンジ機構31の上部ヒンジ部31Aの隣であり、断熱箱体75の天面75Aに固定して配設される。そして、自閉機構41の一部は、ヒンジ機構31と一緒にカバー部33の内部に収納される。
【0095】
つまり、冷蔵庫70の第1の断熱扉71は、上述した冷蔵庫10の第1の断熱扉14と同様に、自閉機構41を介して自閉する構造となる。そして、第1の断熱扉71への自閉機構41の配設箇所も第1の断熱扉14と同じ位置である。その結果、図11B及び図11Cに示すように、第1の断熱扉71の閉動作時の動作では、第1の断熱扉71は、上記13度開いた状態から上記3度開いた状態までは第1の速度にて回転する。そして、第1の断熱扉71は、上記3度から上記全閉状態までは第2の速度にて回転する。
【0096】
その一方、第1の断熱扉71の自閉機構41では、図13Aに示すように、第2のダンパ部50が第1の断熱扉71に加える抵抗力が、第1のダンパ部49が第1の断熱扉71に加える抵抗力よりも大きくなるように設定される。そして、第1の断熱扉71においても、バネ部48による回転方向への回転補助力は加わる。
【0097】
その結果、図13Bに示すように、第1の断熱扉71の回転速度では、第2の速度の方が第1の速度よりも遅くなる。そして、片開き式扉の冷蔵庫70の場合には、両開き式扉の冷蔵庫10と比較して、利用者は、冷蔵室73の前面開口部73Aの縁部が目視出来ることで、第1の断熱扉71の全閉状態を目視にて確認し易くなる。その一方、利用者が、例えば、第1の断熱扉71の全閉直前まで収納ラック34等への食材の出し入れを行うことで、利用者の指等が、第1の断熱扉71と断熱箱体75との間に挟まれた場合でも、第1の断熱扉71の全閉直前の回転速度が遅くなることで、第1の断熱扉71と断熱箱体75との全閉時の衝撃が大幅に低減され、利用者の指等が負傷することを防止出来る。
【0098】
また、第1の断熱扉14,71等の回転速度は、第1のダンパ部49及び第2のダンパ部50のストローク長さにより調整可能となる。この構造により、第1の断熱扉14,71等の回転速度の変化点は、設計し易くなると共に、その微調整も利用者の希望に応じて容易に対応することが可能となる。
【0099】
例えば、カム機構を用いて断熱扉の回転速度を調整する構造の場合には、カム機構での繰り返しの摺動動作が起こる部品間にて、摩擦等による部品劣化が発生する場合がある。この場合には、摺動動作時の抵抗値がばらつくことで、断熱扉の回転速度の変化点がばらつき、あるいは、そもそも段階的な速度変化が出来なくなる場合もある。また、カム機構の摺動部品の材料次第では、経年劣化による異音の発生、製造コストの増大やカム機構自体の重量増大等の課題も発生する。
【0100】
次に、図14A及び図14Bを用いて、キャッチャー部42の構造の変形例について説明する。図14A及び図14Bは、本実施形態の冷蔵庫10のキャッチャー部42とストライカ部44が、復旧部61を介して連結する状況を説明し、図14Aはその斜視図であり、図14Bはその断面図である。
【0101】
図14Aに示すように、キャッチャー部42の係合溝42Aの形成領域であり、庫外側の第1の基部42Bには、復旧部61が形成される場合でも良い。そして、復旧部61は、第1の断熱扉14の閉動作時において、最初に係合ピン44Aが係合溝42A内への侵入に失敗した後に、係合ピン44Aがキャッチャー部42の側方側から係合溝42Aへと戻るための傾斜面61Aである。尚、復旧部61は、第1の基部42Bの全体に形成される場合でも良く、第1の基部42Bに対して部分的に形成される場合でも良い。
【0102】
図14Bに示すように、復旧部61は、例えば、キャッチャー部42の表面側に形成される傾斜形状であり、庫外側の側面から係合溝42A側へと向けて上り傾斜の傾斜面61Aとなる。一方、係合ピン44Aは、例えば、弾性バネにより付勢され、ストライカ部44の筐体部に対して上下方向にスライド可動する構造となる。
【0103】
ここで、図9Aに示すように、第1の断熱扉14の開動作に伴い、係合ピン44Aが係合溝42Aから離脱した場合には、キャッチャー部42は、上記20度の角度を維持する。しかしながら、キャッチャー部42の一部が、冷蔵室12の前方側へと突出する構造により、キャッチャー部42が利用者と接触することで、キャッチャー部42の角度が、上記20度よりも小さくなる場合がある。
【0104】
この場合には、キャッチャー部42が、正規の停止位置から位置ずれを起こすことで、係合ピン44Aが、先端開口部39を介して係合溝42A内に侵入出来なくなる。その結果、係合ピン44Aは、キャッチャー部42の復旧部61の傾斜面61Aと衝突する。そして、その衝突直後には、第1の断熱扉14は、上記荷重等により全閉方向へと回転し続けることで、係合ピン44Aは、復旧部61の傾斜面61Aに沿って移動する。
【0105】
上述したように、係合ピン44Aは、復旧部61の傾斜面61Aと接触し、傾斜面61Aに沿って移動する際に、ストライカ部44の筐体部の上方側へとスライド移動することで、復旧部61を乗り越え、係合溝42A内へと侵入する。その結果、キャッチャー部42とストライカ部44との連結状態が実現され、第1の断熱扉14は、全閉状態まで回転可能となる。
【0106】
一方、図示したように、復旧部61の傾斜面61Aは、係合溝42Aまで連続しない構造となる。この構造により、ソフトクローズ部45の正常動作時に、係合ピン44Aが、係合溝42Aの先端開口部39から係合溝42A内に侵入した場合には、係合ピン44Aが、下方の先端部から上方へと押されることはなく、係合溝42Aから抜け落ちることが防止される。尚、係合ピン44Aが、係合溝42A内へと復旧した後の動作は、上述した通りである。
【0107】
尚、本実施形態では、第1及び第2のダンパ部49,50が、本願発明の回転規制部となり、キャッチャー部42がストライカ部44と連結状態となり、第1及び第2のダンパ部49,50による回転を規制する抵抗力に対抗しながら上記水平状態まで回転する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、キャッチャー部42の裏面側に、ソフトクローズ部45の収納部32の底面の突起部と勘合する凹部が形成され、その突起部の形状に応じてキャッチャー部42に対して回転を規制する上記抵抗力が段階的に加わる場合でも良い。上記凹凸形状が、本願発明の回転規制部となる場合でも、キャッチャー部42がストライカ部44と連結状態となり、上記抵抗力に対抗しながら上記水平状態まで回転することで、上述した効果と同様の効果が得られる。
【0108】
また、第1の断熱扉14,71の回転速度の説明では、第1の速度と第2の速度との変換箇所等のキャッチャー部42の角度の一例を示したが、この場合に限定するものではない。上記キャッチャー部42の角度は、任意の設計変更が可能である。
【0109】
また、検出装置46が、自閉機構37,41内に配設され、キャッチャー部42が、機械式スイッチ46Aのボタン46Bを押下し、冷蔵庫10の制御部30が、上記ボタンを押下した信号を検出することで、第1の断熱扉14等の全閉状態を判断する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。上述したように、第1の断熱扉14等の回転速度に関して、第2の速度の方が第1の速度よりも速くなることでの第1の断熱扉14等と断熱箱体11,75との衝突音にて、利用者による半ドアの判断が可能な場合には、検出装置46が自閉機構37,41内に配設されない場合でも良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【0110】
次に、他の本実施形態の冷蔵庫100を図面に基づき詳細に説明する。尚、以下の説明では、上下方向は冷蔵庫100の高さ方向を示し、左右方向は冷蔵庫100を前方から見た横幅方向を示し、前後方向は冷蔵庫100の奥行方向を示している。また、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0111】
最初に、冷蔵庫100では、第1の断熱扉114から第4の断熱扉119を自閉動作させる自閉機構141の構造が、図1から図14Bを用いて説明した冷蔵庫10の自閉機構41の構造とは異なる。しかしながら、冷蔵庫100においても、上述した冷蔵庫10と同様に、第1の断熱扉114から第4の断熱扉119の閉動作時における回転速度が、自閉機構141を介して第1の速度から第2の速度へと変化することで、冷蔵庫100の利用者の利便性が向上される。尚、冷蔵庫100では、自閉機構141以外の構造は、上述した冷蔵庫10の構造と同一であり、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0112】
図15は、本実施形態の冷蔵庫100を前方側から見た外観構造を説明する斜視図である。尚、冷蔵庫100の第1の断熱扉114から第4の断熱扉119は、冷蔵庫10の第1の断熱扉14から第4の断熱扉19と同じ構造であるが、説明の都合上、別の符番を用いて説明する。また、冷蔵庫100の制御方法、冷却方法や報知方法等は、図2から図4を用いて説明した冷蔵庫10と同様である。
【0113】
図15に示すように、冷蔵庫100は、断熱箱体11と、断熱箱体11の内部に形成された貯蔵室と、を備える。また、貯蔵室としては、上方側から、1つの冷蔵室12と2つの冷凍室13が形成される。そして、冷蔵室12の前面開口部12Aは、断熱箱体11の略中央から両開き式の第1の断熱扉114及び第2の断熱扉115にて開閉自在に塞がれる。また、冷凍室13の前面開口部13Aは、断熱箱体11の略中央から両開き式の第3の断熱扉118及び第4の断熱扉119にて開閉自在に塞がれる。詳細は後述するが、第1の断熱扉114から第4の断熱扉119は、自閉機構141を介して断熱箱体11に対して自閉による開閉動作を行う。
【0114】
次に、図16Aから図22Bを用いて、本実施形態の冷蔵庫100の冷蔵室12側の第1の断熱扉114及び第2の断熱扉115に対して配設される自閉機構141について説明する。尚、以下の説明では、第1の断熱扉114に配設される自閉機構141について説明し、第2の断熱扉115側に配設される自閉機構141の説明は、第1の断熱扉114側の説明を参照し、ここではその説明を省略する。
【0115】
図16Aは、本実施形態の冷蔵庫100の第1の断熱扉114が、断熱箱体11に対して開いた状態を説明する上面図である。図16Bは、本実施形態の冷蔵庫100の第1の断熱扉114が、断熱箱体11に対して全閉した状態を説明する上面図である。図17Aは、本実施形態の冷蔵庫100の自閉機構141の筐体部146及びキャッチャー部142を説明する斜視図である。図17B及び図17Cは、本実施形態の冷蔵庫100の自閉機構141の内部機構を説明する斜視図である。図18A及び図18Bは、本実施形態の冷蔵庫100の自閉機構141のキャッチャー部142を説明する斜視図である。図19A図20A及び図20Bは、本実施形態の冷蔵庫100の自閉機構141のキャッチャー部142を説明する下面図である。図19Bは、本実施形態の冷蔵庫100の自閉機構141のキャッチャー部142を説明する断面図であり、図19Aに示すA-A線方向の断面を示す。図21Aから図22Bは、本実施形態の冷蔵庫100の第1の断熱扉114が閉じる際の自閉機構141の動作を説明する上面図である。尚、図21Aから図22Bでは、第1の断熱扉114の閉動作時における自閉機構141のキャッチャー部142とソフトクローズ部145との動作を中心に説明する。
【0116】
図16Aに示すように、第1の断熱扉114は、紙面左方向の上下端部がヒンジ機構31を介して断熱箱体11に回転自在に軸支される。ヒンジ機構31の上部ヒンジ部31Aは、断熱箱体11の天面11A上に配設されると共に、その上面がカバー部33により覆われる。尚、ヒンジ機構31の上部ヒンジ部31Aの詳細の構造は図示しないが、公知の構造である。上部ヒンジ部31Aは、例えば、断熱箱体11に固定され、第1の断熱扉114側まで延在する本体フレーム、本体フレームの第1の断熱扉114側に配設されるヒンジピン、ヒンジピンが挿通される第1の断熱扉114のヒンジ取付け孔等を備える。
【0117】
自閉機構141は、主に、キャッチャー部142と、ストライカ部144と、ソフトクローズ部145(図17B参照)と、キャッチャー部142及びソフトクローズ部145を支持する筐体部146と、を備える。詳細は後述するが、キャッチャー部142の回転動作は、ソフトクローズ部145により行われる。そして、自閉機構141は、第1の断熱扉114の回転速度を多段階に調整しながら、第1の断熱扉114を自閉させる機構である。
【0118】
筐体部146は、ヒンジ機構31の上部ヒンジ部31Aの隣であり、断熱箱体11の天面11Aに対して固定される。そして、筐体部146は、ヒンジ機構31と一緒にカバー部33の内部に収納される。図示したように、キャッチャー部142は、断熱箱体11の天面11A側であり、筐体部146に対して回転可能に軸支される。第1の断熱扉114の開状態時には、キャッチャー部142の一部は、カバー部33から導出した状態となる。そして、キャッチャー部142には係合溝142Aが形成され、係合溝142Aの先端側には先端開口部139が形成される。
【0119】
ストライカ部144は、第1の断熱扉114の天面114A側であり、庫内側に向けて配設される。ストライカ部144の先端には、キャッチャー部142の係合溝142A内へと侵入する係合ピン144Aが配設される。そして、係合ピン144Aは、第1の断熱扉114の下方側に向けて導出する。第1の断熱扉114の閉動作時には、係合ピン144Aが係合溝142A内に侵入し、キャッチャー部142とストライカ部144とが連結状態と成る。そして、係合ピン144Aは、キャッチャー部142に引っ張られながら、係合溝142A内をキャッチャー部142の根本側へと移動する。
【0120】
本実施形態では、キャッチャー部142は、断熱箱体11の天面11Aに配設され、例えば、断熱箱体11の前面11Bから約20度まで庫外側へと回転可能な構造となる。そして、第1の断熱扉114の開状態では、キャッチャー部142の係合溝142Aの形成された先端側は、前面11Bから庫外側へと突出した状態となる。詳細は後述するが、キャッチャー部142には、その側方へと延在する突出部162が形成され、少なくとも突出部162の一部が、常時、天面11Aの上方に位置する。そして、第1の断熱扉114の閉動作時において、キャッチャー部142が、断熱箱体11の前面11Bと衝突し、キャッチャー部142の回転動作が停止することで、第1の断熱扉114が、半ドア状態となることが防止される。
【0121】
また、第1の断熱扉114の開状態において、キャッチャー部142は、利用者の目線よりも高い位置であり、断熱箱体11の前面11Bから必要最小限の部分が突出することで、目立たない構造となり、冷蔵庫100の意匠性が損なわれ難くなる。
【0122】
図16Bに示すように、第1の断熱扉114の全閉状態では、キャッチャー部142は、断熱箱体11の前面11Bと略平行状態となるまで回転する。そして、キャッチャー部142は、ストライカ部144との連結状態にて、カバー部33内へと収納される。
【0123】
一方、第1の断熱扉114が、図16Bに示す全閉状態から図16Aに示す開状態へと移行する過程では、利用者が、第1の断熱扉114を庫外側へと開く操作を行う。そして、係合ピン144Aは、キャッチャー部142を庫外側へと押しながら、係合溝142Aの先端側へと移動した後、先端開口部139を介して係合溝142Aから離脱する。そして、キャッチャー部142は、係合ピン144Aに押されることで回転動作し、キャッチャー部142の一部は、カバー部33の外側へと導出する。
【0124】
尚、第1の断熱扉114が開状態であり、キャッチャー部142とストライカ部144との離脱状態時には、キャッチャー部142は、例えば、断熱箱体11の前面11Bに対して20度の位置にて停止する。そして、キャッチャー部142の底面の凹部(図示せず)が、筐体部146の突起部(図示せず)に対して嵌合することで上記停止状態を維持する。その結果、第1の断熱扉114の開状態時に、キャッチャー部142が、冷蔵庫100の利用者と軽く接触した程度では、上記停止状態を維持することが出来る。また、キャッチャー部142の上記待機状態では、上述したように、突出部162の先端側の一部が、天面11Aの上方に位置している。
【0125】
図17Aに示すように、自閉機構141の筐体部146は、箱状体であり、複数のビス止め孔147を介して断熱箱体11の天面11Aに対してビス固定される。キャッチャー部142は、回転軸151を介して筐体部146に回転可能に軸支される。そして、キャッチャー部142は、ストライカ部144(図16A参照)により押され、回転を開始し、その後、ソフトクローズ部145の回転駆動部155(図17B参照)から回転する力を直接受けることで、回転軸151を回転支点として筐体部146に対して回転動作する。
【0126】
筐体部146の蓋部146Aには、第1のガイド溝152が形成される。筐体部146が天面11Aに固定された状態において、第1のガイド溝152は、断熱箱体11の奥行方向(紙面前後方向)へと直線状に延在する縦溝152Aと、断熱箱体11の斜め奥行方向へと傾斜し、直線状に延在する斜め溝152Bと、を有する。そして、第1のガイド溝152は、筐体部146の表裏面側に一対形成される。
【0127】
図示したように、第1のガイド溝152には、キャッチャー部142に軸支されるローラ部164(図18B参照)の回転軸153が挿通される。回転軸153は、ローラ部164の上下方向に一対形成され、それぞれ第1のガイド溝152へと挿通される。そして、第1のガイド溝152の短手方向の幅W1が、回転軸153の直径とほぼ同等か、あるいは、若干広い幅となることで、筐体部146は、第1のガイド溝152を介してローラ部164を回転可能に軸支する。詳細は後述するが、ローラ部164は、キャッチャー部142と一緒に筐体部146に対して回転する際に、回転軸153が、第1のガイド溝152により強制的にガイドされることで、ローラ部164の移動軌跡が調整される。
【0128】
図17Bに示すように、筐体部146には、ソフトクローズ部145を構成する回転規制部154及び回転駆動部155が収納される。そして、回転規制部154は、例えば、2本のダンパ部154Aと、2本のダンパ部154Aのシャフト先端を連結させる連結部154Bと、を有する。第1の断熱扉114の閉動作時に、回転規制部154は、キャッチャー部142の回転を規制する。矢印156にて示すように、第1の断熱扉114の開閉動作時に、キャッチャー部142の回転動作に連動して、連結部154Bが、ローラ部164により押され、あるいは、ローラ部164を押すことで、ダンパ部154Aは、断熱箱体11の奥行方向へと伸縮する。このとき、連結部154Bは、回転規制部154の収納壁149に沿って奥行方向へと往復動作することで、ローラ部164からの押圧力が、ダンパ部154Aへと効率的に伝達される。その結果、第1の断熱扉114の閉動作時に、ダンパ部154Aからローラ部164へと伝わる反力F1(図21B参照)は、キャッチャー部142の回転動作を規制する抵抗力となり、その反力F1も効率的に伝達される。
【0129】
また、回転駆動部155は、例えば、2本の圧縮コイルバネ155Aと、圧縮コイルバネ155Aの先端側を収納する連結部155Bと、を有する。第1の断熱扉114の閉動作時に、回転駆動部155は、キャッチャー部142を回転させる。矢印156にて示すように、第1の断熱扉114の開閉動作時に、連結部155Bが、キャッチャー部142の後端側を押し、あるいは、キャッチャー部142の後端側により押されることで、圧縮コイルバネ155Aは、断熱箱体11の奥行方向へと伸縮する。このとき、連結部155Bは、回転駆動部155の収納壁150に沿って奥行方向へと往復動作することで、連結部155Bがキャッチャー部142を押圧する力が、キャッチャー部142へと効率的に伝達される。
【0130】
この構造により、第1の断熱扉114の閉動作時において、ソフトクローズ部145では、回転規制部154のダンパ部154Aが、連結部154Bを介してローラ部164に押されて収縮することで、キャッチャー部142の回転動作を規制し、キャッチャー部142の回転速度が調整される。一方、回転駆動部155の圧縮コイルバネ155Aが、連結部155Bを介してキャッチャー部142の後端側を押すことで、キャッチャー部142が回転動作する。つまり、第1の断熱扉114の閉動作時には、回転駆動部155は、キャッチャー部42が回転動作するための駆動源となる。
【0131】
図17Cに示すように、連結部154Bの先端部157のローラ部164と対向する面には、ローラ部164と接触する平坦面154Cと、平坦面154Cよりも筐体部146の奥行方向の奥側へと傾斜する傾斜面154Dと、が形成される。そして、筐体部146が断熱箱体11の天面11Aに固定された状態において、平坦面154Cは、断熱箱体11の前面11Bと略平行となるように、断熱箱体11の横幅方向に延在して形成される。詳細は後述するが、第1の断熱扉114の閉動作時に、キャッチャー部142に軸支されたローラ部164が、平坦面154Cや傾斜面154Dを転がりながら連結部154Bをダンパ部154A側へと押圧することで、第1の断熱扉114の回転速度が調整される。尚、連結部154Bの先端部157は、ローラ部164を軸支するキャッチャー部142の支持板165(図18B参照)の間に挿入されることで、ローラ部164は、支持板165間に略垂直状態に支持され、平坦面154C上を安定して転がることが出来る。
【0132】
図18Aに示すように、キャッチャー部142は、本体部161と、本体部161に形成される係合溝142Aと、本体部161から横幅方向へと突出する突出部162と、本体部161に形成される第2のガイド溝163と、を有する。
【0133】
キャッチャー部142の本体部161は、係合溝142Aを挟むように、第1の基部161Aと、第2の基部161Bと、を有する。丸印159にて示すように、第2の基部161Bは、第1の基部161Aよりも長く延在する。そして、係合溝142Aは、本体部161の表面側から窪んだ凹部として形成されることで、第1の基部161Aと第2の基部161Bとは、一体構造として形成される。この構造により、特に、第2の基部161Bは、第1の断熱扉114の閉動作時に、係合ピン144Aと衝突を繰り返すが、部品として必要な剛性が実現される。
【0134】
また、第2の基部161Bには、係合溝142Aと反対側へと突出する突出部162が形成される。言い換えると、自閉機構141が断熱箱体11の天面11Aに固定された状態において、突出部162は、天面11A側へと突出する。そして、突出部162は、例えば、第2の基部161Bと一体構造として形成され、その先端側に向けて徐々に狭まる形状となる。
【0135】
図18Bにも示すように、本体部161には、第2のガイド溝163が形成される。第2のガイド溝163には、ローラ部164の回転軸153が挿通されることで、ローラ部164は、第1のガイド溝152(図17A参照)及び第2のガイド溝163により支持される。そして、第2のガイド溝163は、本体部161の長手方向に沿って形成される長孔であり、本体部161の表裏面側の支持板165に対して一対形成される。第2のガイド溝163の短手方向の幅W2が、回転軸153の直径とほぼ同等か、あるいは、若干広い幅となることで、本体部161は、第2のガイド溝163を介してローラ部164を回転可能に軸支する。
【0136】
また、上下方向の回転軸153間のローラ部164の直径は、第2のガイド溝163の幅W2よりも広くなると共に、ローラ部164は、一対の支持板165の間に回転可能に嵌まり込むように配設される。この構造により、ローラ部164は、本体部161により自転可能に軸支されると共に、第2のガイド溝163の長手方向に移動可能となる。更には、連結部154Bの先端部157(図17C参照)は、支持板165の間に挿入された状態にて組み付けられることで、ローラ部164は、平坦面154C(図17C参照)上を安定して転がることが出来る。
【0137】
詳細は図21Aから図22Bを用いて後述するが、第1の断熱扉114の閉動作時には、キャッチャー部142は、ストライカ部144と連結し、断熱箱体11側へと回転動作するが、ローラ部164は、連結部154Bの平坦面154Cを奥行方向へと押圧しながら傾斜面154D側へと転がる。
【0138】
このとき、ローラ部164は、連結部154Bの平坦面154Cと線接触して連結部154Bを押圧するが、その線接触する箇所は、ローラ部164が自転しながら移動することで平坦面154Cに対して変わっていく。この構造により、第1の断熱扉114の開閉動作は繰り返し行われるが、ローラ部164の平坦面154Cに対して線接触する箇所が変わることで、ローラ部164及び平坦面154Cの摩耗による削れ量が大幅に低減される。
【0139】
その結果、ローラ部164と連結部154Bとの接触位置が、実使用年数に応じた経年劣化により、初期設定した位置から変化することが防止される。また、ローラ部164と連結部154Bとの上記接触時の抵抗値の変動により、第1の断熱扉114の回転速度が、実使用年数に応じて、初期設定した回転速度から変化することが防止される。その結果、冷蔵庫100の利用者は、長年に渡り第1の断熱扉114の自閉動作に違和感を覚えることなく使用が可能となり、利便性が向上される。また、自閉機構141の修理頻度が低減することで、利用者のメンテナンス費用の増大も防止できる。
【0140】
図19A及び図19Bに示すように、突出部162の裏面162A側には、突出部162の外周端部162Cに沿って突起片部162Bが形成される。突起片部162Bは、突出部162と一体に形成され、その裏面162Aよりも下方側へと突起する。つまり、図示したように、突起片部162Bは、例えば、断面視略半円形状に形成され、突起片部162Bの形成領域R1は、突起片部162Bの非形成領域R2よりも突出した領域となる。
【0141】
この構造により、キャッチャー部142の回転動作の際に、突起片部162Bが、断熱箱体11の天面11Aと接触した状態となった場合でも、突起片部162Bの先端部が天面11Aと接触し、天面11Aとの接触面積が低減することで、摺動時の抵抗値が増大し難くなる。その結果、キャッチャー部142の回転速度が、設計値よりも遅くなることが防止される。また、突起片部162Bは、天面11Aに対して曲面による点接触となることで、上記摺動時の摩耗による削れ量も低減され、キャッチャー部142の劣化等による部品交換の頻度が低減される。そして、利用者のメンテナンス費用の増大も防止される。
【0142】
図20Aに示すように、突起片部162Bは、突出部162の外周端部162Cに沿って、突出部162の先端側の外側を中心に形成される場合でも良い。上述したように、突出部162の先端部周辺は、キャッチャー部142の回転範囲W3(図21A参照)内において、常時、天面11A上に位置すると共に、最初に天面11Aと接触する領域となる。そのため、突起片部162Bが、少なくとも図示した領域に形成されることで、突起片部162Bと天面11Aとの接触面積を低減することが可能となる。この構造により、図20Aに示す構造においても、上述した図19A及び図19Bに示す構造と同様な効果が得られる。
【0143】
図20Bに示すように、突起片部162Bは、例えば、半球形状であり、突出部162の裏面162Aに対して点在して複数形成される場合でも良い。図示した構造においても、突起片部162Bと天面11Aとの接触面積を低減することが可能となり、上述した図19A及び図19Bに示す構造と同様な効果が得られる。
【0144】
尚、図示していないが、図19A及び図19Bの突起片部162Bの非形成領域R2に開口部を設け、使用する材料を低減し、製造コストを低減する場合でも良い。そして、突出部162の突起片部162Bと断熱箱体11の天面11Aとの摺動時の抵抗値が低減されれば良く、突起片部162Bの配置箇所や形状等は、任意の設計変更が可能である。
【0145】
図21Aから図22Bに示すように、筐体部146が天面11Aに固定された状態において、突出部162の一部は、キャッチャー部142の回転位置に関わらず、常時、天面11Aの上方に位置する。そして、初期設定時には、突出部162の突起片部162Bは、天面11Aに対して離間した状態となる。尚、突出部162の突起片部162Bは、初期設定時から天面11Aと接触状態となる場合でも良い。
【0146】
上述したように、第1の断熱扉114が開閉動作を繰り返すことで、あるいは、冷蔵庫100の経年劣化等により、キャッチャー部142の先端側が、断熱箱体11の下方側へと垂れ下がる場合もある。この場合には、突出部162の突起片部162Bが、天面11Aと接触し、少なくとも突出部162の一部が天面11A上に支持されることで、キャッチャー部142の先端側が、断熱箱体11の天面11Aよりも垂れ下がることが防止される。そして、第1の断熱扉114の閉動作時に、キャッチャー部142が、断熱箱体11の前面11Bと衝突し、その回転動作が停止することで、第1の断熱扉114が半ドア状態となることが防止される。
【0147】
次に、図21Aから図22Bを用いて、本実施形態の冷蔵庫100の第1の断熱扉114が、開状態から全閉状態へと移行する際の自閉機構141の動作について説明する。尚、以下の説明では、第1の断熱扉114を用いて説明する。そして、第2の断熱扉115から第4の断熱扉119に関する動作の説明は、第1の断熱扉114に関する説明を参照し、ここではその説明を省略する。また、点線158は、断熱箱体11の前面11Bのラインを模式的に示す。また、説明の都合上、筐体部146の蓋部146A(図17A参照)を省略して説明するが、蓋部146Aに形成される第1のガイド溝152及びその縦溝152A、斜め溝152Bは、図示して説明する。
【0148】
最初に、第1のガイド溝152は、ローラ部164の移動軌跡を調整するための溝であり、ローラ部164の回転軸153は、キャッチャー部142の回転動作に伴い、第1のガイド溝152の内側面から反力F2を受ける。また、第2のガイド溝163は、ローラ部164に回転力F3を加えるための溝であり、ローラ部164の回転軸153は、キャッチャー部142の回転動作に伴い、第2のガイド溝163の内側面から回転力F3を受ける。そして、図21Aから図22Bでは、ローラ部164が回転規制部154の連結部154Bから受ける反力をF1、回転軸153が第1のガイド溝152の内側面から受ける反力をF2、回転軸153が第2のガイド溝163の内側面から受ける回転力をF3として図示する。尚、反力F1及び反力F2は、キャッチャー部142の回転を規制する抵抗力となる。
【0149】
尚、本実施形態では、ローラ部164の回転軸153に作用する力を説明する都合上、上記反力F1,F2及び回転力F3を用いて説明するが、実際には、キャッチャー部142を回転させる力としては、上記回転力F3のみに限定するものではない。例えば、キャッチャー部142を回転させる力としては、ソフトクローズ部145の回転駆動部155からキャッチャー部142が直接受ける力等もある。また、キャッチャー部142の回転角度次第では、上記反力F1,F2もキャッチャー部142を回転させる力として寄与する。そして、上記反力F1,F2及び回転力F3は、キャッチャー部142の回転角度に応じて変化し、図示する上記反力F1,F2及び回転力F3の長さは、模式的に示すものであり、実際の力の大きさを示すものではない。
【0150】
図21Aでは、第1の断熱扉114が開状態であり、ストライカ部144の係合ピン144Aは、キャッチャー部142の係合溝142Aから離脱する。キャッチャー部142は、例えば、断熱箱体11の前面11Bに対して20度の位置にて停止した状態となる。そして、冷蔵庫100の利用者が、第1の断熱扉114を閉めるために、第1の断熱扉114を断熱箱体11の前面11B側へと押し、第1の断熱扉114に回転する力を加える。この利用者の閉める動作により、上記回転する力と第1の断熱扉114の荷重を利用して、第1の断熱扉114は、断熱箱体11の前面11B側へと回転する。
【0151】
上述したように、ローラ部164の回転軸153は、筐体部146の表裏面側において、それぞれ第1のガイド溝152及び第2のガイド溝163内に挿通された状態となる。そして、回転軸153は、少なくとも第1のガイド溝152及び第2のガイド溝163により異なる方向へと反力F2及び回転力F3を受けて支持される。この構造により、ローラ部164は、断熱箱体11の天面11Aに対して略垂直方向へと安定した起立状態にて支持される。尚、ローラ部164は、連結部154Bの平坦面154Cとも接触し反力F3を受けることで、更に安定した起立状態となる。
【0152】
図示したように、回転規制部154の連結部154Bが、ローラ部164を庫外側へと反力F1にて押圧した状態となることで、回転軸153は、第1のガイド溝152の先端側に位置し、第1のガイド溝152の内側面と接触する。そして、回転軸153は、第1のガイド溝152の内側面から反力F2を受ける。
【0153】
一方、キャッチャー部142では、例えば、その底面の凹部(図示せず)が、筐体部146の突起部(図示せず)に対して嵌合することで停止状態を維持する。そして、キャッチャー部142の後端側では、回転駆動部155の連結部155Bからキャッチャー部142を回転動作させる力を受けるが、上記停止状態により均衡状態を維持する。その結果、回転軸153は、第2のガイド溝163の内側面から回転力F3を受けない。
【0154】
尚、矢印W3は、キャッチャー部142の回転範囲を示し、図21Aでは、キャッチャー部142は、回転範囲の最も庫外側に位置する。そして、突出部162の先端側の一部は、キャッチャー部142の上記停止状態時にも天面11Aの上方に位置する。また、図示していないが、天面11A上に位置する突出部162の裏面162Aには、突起片部162Bが形成される。
【0155】
図21Bでは、第1の断熱扉114が閉動作時であり、ストライカ部144の係合ピン144Aは、キャッチャー部142の係合溝142A内へと侵入し、ストライカ部144とキャッチャー部142とが連結状態となる。そして、キャッチャー部142は、例えば、断熱箱体11の前面11Bに対して10度まで回転した状態となる。尚、突出部162の一部は、天面11Aの上方に位置する。
【0156】
最初に、図21Aに示すキャッチャー部142の待機状態において、ストライカ部144の係合ピン144Aが、丸印159にて示すように、第2の基部161Bの先端側に衝突することで、上記待機状態が解消される。そして、キャッチャー部142は、回転駆動部155の連結部155Bから回転する力を受けることで、回転動作を開始する。
【0157】
図示したように、回転軸153は、第2のガイド溝163の内側面から回転力F3を受けることで、キャッチャー部142と一体に断熱箱体11の前面11B側へと向けて移動する。その一方、回転軸153は、第1のガイド溝152の縦溝152Aの内側面と接触することで、移動軌跡が調整される。そして、回転軸153は、第1のガイド溝152の内側面から反力F2を受ける。更には、ローラ部164は、連結部154Bの平坦面154Cから反力F1を受ける。
【0158】
この構造により、回転軸153及びローラ部164は、少なくとも3方向から反力F1、反力F2及び回転力F3を受けた状態により支持される。その結果、ローラ部164は、断熱箱体11の天面11Aに対して略垂直方向へと安定した起立状態にて、キャッチャー部142により支持される。
【0159】
このとき、キャッチャー部142の回転動作に連動して、ローラ部164が、連結部154Bの平坦面154Cを転がりながら、連結部154Bを庫内側へと押圧することで、回転軸153は、第1のガイド溝152の縦溝152Aの中央側へと移動する。一方、回転軸153は、第2のガイド溝163の中央部から右端側へと移動する。上述したように、第1のガイド溝152の縦溝152Aは、断熱箱体11の奥行方向(紙面前後方向)へと直線状に延在する。その結果、回転軸153は、断熱箱体11の奥行方向へと直線的な軌跡を描くことで、ローラ部164は、連結部154Bを出来る限り均一に押圧し、キャッチャー部142の回転速度が均一化される。
【0160】
本実施形態では、キャッチャー部142が、断熱箱体11の前面11Bに対して3度の位置へと回転するまで、回転軸153は、第1のガイド溝152の縦溝152Aを移動するように設計される。このとき、ローラ部164は、回転規制部154の連結部154Bの平坦面154C(図17C参照)と接触し、傾斜面154D(図17C参照)側へと転がるように設計される。そして、ストライカ部144の係合ピン144Aは、キャッチャー部142の第1の基部161Aにより引っ張られながら、係合溝142A内をその根本側へと移動する。この構造により、キャッチャー部142の回転速度が均一化され、第1の断熱扉114の回転速度も均一化される。
【0161】
図22Aでは、第1の断熱扉114が閉動作時であり、ストライカ部144とキャッチャー部142とは、図21Bの状態に引き続き連結状態となる。そして、キャッチャー部142は、例えば、断熱箱体11の前面11Bに対して3度まで回転した状態となる。尚、突出部162は、天面11Aの上方に位置する。
【0162】
図示したように、回転軸153は、第2のガイド溝163の内側面から回転力F3を受けることで、ローラ部164は、キャッチャー部142と一体に断熱箱体11の前面11B側へと向けて移動する。その一方、回転軸153は、第1のガイド溝152の斜め溝152Bの内側面と接触することで、移動軌跡が調整される。そして、回転軸153は、第1のガイド溝152の内側面から反力F2を受ける。更には、ローラ部164は、連結部154Bの傾斜面154Dから反力F1を受ける。
【0163】
この構造により、回転軸153及びローラ部164は、少なくとも3方向から反力F1、反力F2及び回転力F3を受けた状態により支持される。その結果、ローラ部164は、断熱箱体11の天面11Aに対して略垂直方向へと安定した起立状態にて支持される。
【0164】
図示したように、第1の断熱扉114の回転動作に連動して、ローラ部164の転がる領域が、連結部154Bの平坦面154Cから傾斜面154Dへと移行することで、回転軸153は、第1のガイド溝152の縦溝152Aから斜め溝152Bへと移動する。上述したように、第1のガイド溝152の斜め溝152Bは、断熱箱体11の斜め奥行方向へと傾斜し、直線状に延在する。
【0165】
この構造により、連結部154Bの傾斜面154Dが、ローラ部164の進行方向に対して下り坂となることで、ローラ部164が、回転規制部154から受ける反力F1が分散され、低減する。そして、キャッチャー部142では、回転駆動部155から受ける回転する力が、反力F1により打ち消され難くなることで、キャッチャー部142は、図21A及び図21Bの回転状態よりも勢い良く回転する。
【0166】
図22Bでは、第1の断熱扉114が全閉状態である。そして、ストライカ部144とキャッチャー部142とは、図21Aの状態に引き続き連結状態であり、キャッチャー部142が、例えば、断熱箱体11の前面11Bに対して0度の位置にて停止状態となる。尚、突出部162は、天面11Aの上方に位置する。
【0167】
図示したように、回転駆動部155の連結部155Bが、キャッチャー部142の後端側を押圧した状態となることで、回転軸153は、第1のガイド溝152の後端側に位置する。一方、回転軸153は、第2のガイド溝163に対しては左端部に位置する。そして、回転軸153は、第1のガイド溝152の後端部に位置することで、キャッチャー部142が、それ以上庫内側へと回転することが規制される。尚、本実施形態では、キャッチャー部142の突出部162が、筐体部146の側面へと当接することでも、キャッチャー部142が、それ以上庫内側へと回転することが規制される。
【0168】
尚、図22Bに示す第1の断熱扉114の全閉状態では、第1の断熱扉114のガスケット36に内包された磁石が、断熱箱体11の前面11Bの外箱21やセンターピラー16に対して当接し磁着した状態となる。その結果、図示したように、回転軸153には、反力F2及び回転力F3が加わり、ローラ部164には、反力F1が加わるが、上記第1の断熱扉114の磁着力の方が強く、キャッチャー部142は、上記停止状態を維持する。
【0169】
上述したように、本実施形態では、第1の断熱扉114の閉動作時において、ローラ部164が転がる連結部154Bの走行面が、平坦面154Cから傾斜面154Dへと変更される。その結果、ローラ部164が、回転規制部154から受ける上記反力F1が変化し、キャッチャー部142の回転速度が、少なくとも2段階に変化する。
【0170】
例えば、第1の断熱扉114が両開き式扉の場合には、第1の断熱扉114の閉動作時の動作では、第1の断熱扉114は、上記20度開いた状態から上記3度開いた状態までは第1の速度にて回転する。そして、第1の断熱扉114は、上記3度から上記全閉状態までは第2の速度にて回転する。第1の速度及び第2の速度については後述するが、第2の速度が第1の速度よりも速くなることで、第1の断熱扉114の全閉直前の回転速度が、その途中段階の回転速度よりも速くなる。その結果、第1の断熱扉114が、断熱箱体11に対してしっかりと衝突し、第1の断熱扉114が半ドアとなることが防止される。
【0171】
また、第1の断熱扉114が両開き式扉の場合には、第1の断熱扉114は、全閉状態時に断熱箱体11の中央部にて閉まり、第2の断熱扉115と並列して配置される。そして、利用者は、第1の断熱扉114の全閉状態を目視にて確認し難くなる。しかしながら、キャッチャー部142では、上記段階的な速度差が設けられることで、第1の断熱扉114の全閉時における断熱箱体11との衝突音が発生し、利用者は、上記衝突音により第1の断熱扉114の全閉状態を判断し易くなる。尚、上記衝突音は、冷蔵庫100の利用者の快適性を損なわない範囲に設定される。
【0172】
また、利用者が、第1の断熱扉114を勢い良く押し、第1の断熱扉114を閉める場合でも、回転軸153が第1のガイド溝152の縦溝152Aを移動する間に、第1の断熱扉114の回転速度が減速される。そして、第1の断熱扉114のガスケット36に内包される磁石が、ゆっくりと断熱箱体11の前面11Bに対して磁着する。その結果、第1の断熱扉114の全閉時の静穏性、例えば、第1の断熱扉114の全閉時の音や第1の断熱扉114が振動し収納物が周囲と当たり発生する音が低減され、利用者の快適性が高められる。
【0173】
次に、図23Aから図23Bを用いて、本実施形態の冷蔵庫100の冷凍室13側の第3の断熱扉118及び第4の断熱扉119に対して配設される自閉機構141について説明する。尚、以下の説明では、第3の断熱扉118に配設される自閉機構141について説明し、第4の断熱扉119側に配設される自閉機構141の説明は、第3の断熱扉118側の説明を参照し、ここではその説明を省略する。
【0174】
図23Aは、冷蔵庫100の第3の断熱扉118が、断熱箱体11に対して開いた状態を説明する底面図である。図23Bは、本実施形態の冷蔵庫100の第3の断熱扉118が、断熱箱体11に対して全閉した状態を説明する底面図である。
【0175】
図23Aに示すように、自閉機構141は、ヒンジ機構31の隣であり、断熱箱体11の底面11Cに固定して配設される。そして、第3の断熱扉118の開状態時には、キャッチャー部142の一部は、自閉機構141の筐体部146を覆うカバー部168から導出した状態となる。
【0176】
ここで、自閉機構141は、図16A及び図16Bを用いて説明した構造であり、断熱箱体11の底面11Cに対して固定されることで、キャッチャー部142は、ヒンジ機構31側に向け回転する構造となる。そして、自閉機構141のソフトクローズ部145の動作は、上述した説明を参照し、ここではその説明を省略する。
【0177】
図示したように、自閉機構141のストライカ部144は、第3の断熱扉118の底面118A側であり、庫内側に向けて配設される。ストライカ部144の先端には、キャッチャー部142の係合溝142A内へと侵入する係合ピン144Aが配設される。そして、第3の断熱扉118の閉動作時に、係合ピン144Aが係合溝142A内に侵入し、キャッチャー部142とストライカ部144とが連結状態と成る。その後、係合ピン144Aは、キャッチャー部142に引っ張られながら、係合溝142A内をキャッチャー部142の根本側へと移動する。
【0178】
尚、自閉機構141の筐体部146は、冷蔵室12側の固定状態から上下面側を反対にして、断熱箱体11の底面11Cへと固定されることで、キャッチャー部142の係合溝142Aは、冷蔵庫100の設置面側を向いた状態となる。そのため、ストライカ部144の係合ピン144Aは、第3の断熱扉118の上方側へ導出するように配設される。
【0179】
図23Bに示すように、第3の断熱扉118の全閉状態では、キャッチャー部142は、ソフトクローズ部145を介して回転動作する。そして、キャッチャー部142は、ストライカ部144との連結状態にて、カバー部168内へと収納される。
【0180】
一方、第3の断熱扉118が、図23Bに示す全閉状態から図23Aに示す開状態へと移行する過程では、利用者が、第3の断熱扉118を庫外側へと開く操作を行う。そして、係合ピン144Aは、キャッチャー部142を庫外側へと押しながら、係合溝142Aの先端側へと移動した後、先端開口部139を介して係合溝142Aから離脱する。そして、キャッチャー部142は、係合ピン144Aに押されることで回転動作し、キャッチャー部142の一部は、カバー部168の外側へと導出する。
【0181】
上述したように、自閉機構141では、キャッチャー部142が、ヒンジ機構31側に向けて回転動作することで、第3の断熱扉118の開状態において、キャッチャー部142の先端側は、断熱箱体11のヒンジ機構31近傍に突出した状態となる。言い換えると、第3及び第4の断熱扉118,119の開状態において、一対のキャッチャー部142は、冷蔵庫100の天面11A側から見て、片仮名の略ハの字形状となるように、断熱箱体11の前面11B側へと突出して左右外側へと向けて展開される。
【0182】
この構造により、例えば、利用者が、冷凍室13内の食材を探す際、あるいは、冷凍室13へと食材を収納する際に、利用者は、冷凍室13へと近づくが、キャッチャー部142は、冷蔵庫100の利用者の足やスリッパ等と接触し難くなる。その結果、キャッチャー部142は、所定の位置に留まることで、第3の断熱扉118の閉動作時に、係合ピン144Aが係合溝142A内へと侵入する。
【0183】
次に、図24A及び図24Bを用いて、キャッチャー部142の構造について説明する。図24A及び図24Bは、本実施形態の冷蔵庫100のキャッチャー部142とストライカ部144が、復旧部171を介して連結する状況を説明し、図24Aはその斜視図であり、図24Bはその断面図である。
【0184】
図24Aに示すように、キャッチャー部142は、係合溝142Aを挟むように、第1の基部161Aと、第2の基部161Bと、を有する。そして、丸印159にて示すように、第2の基部161Bの先端部は、第1の基部161Aの先端部よりも長くなる。この構造により、係合溝142Aでは、先端開口部139の開口幅が広くなると共に、庫内側の第2の基部161Bが長くなることで、係合ピン144Aと第2の基部161Bとが衝突し易くなる。そして、係合ピン144Aが係合溝142A内へと侵入する際に、係合ピン144Aが、第2の基部161Bと衝突し、係合溝142Aへと誘導されることで、キャッチャー部142とストライカ部144との連結状態が実現し易くなる。
【0185】
また、キャッチャー部142の係合溝142Aの形成領域であり、庫外側の第1の基部161Aには、復旧部171が形成される場合でも良い。そして、復旧部171は、第1の断熱扉114の閉動作時において、最初に係合ピン144Aが係合溝142A内への侵入に失敗した後に、係合ピン144Aがキャッチャー部142の側方側から係合溝142Aへと戻るための傾斜面171Aである。尚、復旧部171は、第1の基部161Aの全体に形成される場合でも良く、第1の基部161Aに対して部分的に形成される場合でも良い。
【0186】
図24Bに示すように、復旧部171は、例えば、キャッチャー部142の表面側に形成される傾斜形状であり、庫外側の側面から係合溝142A側へと向けて上り傾斜の傾斜面171Aとなる。一方、係合ピン144Aは、例えば、弾性バネにより付勢され、ストライカ部144の筐体部に対して上下方向にスライド可動する構造となる。
【0187】
ここで、図16Aに示すように、キャッチャー部142の一部が、冷蔵室12の前方側へと突出する構造により、キャッチャー部142が利用者と接触することで、キャッチャー部142が、ソフトクローズ部145を介して単独にて回転する。そして、キャッチャー部142が、全閉状態まで回転することで、カバー部33の内部に収納されてしまう。
【0188】
この場合には、キャッチャー部142が、正規の停止位置に待機していないことで、係合ピン144Aが、先端開口部139を介して係合溝142A内に侵入出来なくなる。そして、係合ピン144Aは、第1の断熱扉114の全閉状態となる直前に、カバー部33内に収納されたキャッチャー部142の復旧部171の傾斜面171Aと衝突し、復旧部171の傾斜面171Aに沿って移動する。
【0189】
上述したように、係合ピン144Aは、復旧部171の傾斜面171Aと接触し、傾斜面171Aに沿って移動する際に、ストライカ部144の筐体部の上方側へとスライド移動することで、復旧部171を乗り越え、係合溝142A内へと侵入する。その結果、キャッチャー部142とストライカ部144との連結状態が実現される。そして、次に、第1の断熱扉114が開閉動作する際には、自閉機構141が復旧しており、利用者の利便性が向上される。
【0190】
一方、図示したように、復旧部171の傾斜面171Aは、係合溝142Aまで連続しない構造となる。この構造により、ソフトクローズ部145の正常動作時に、係合ピン144Aが、係合溝142Aの先端開口部139から係合溝142A内に侵入した場合には、係合ピン144Aが、下方の先端部から上方へとキャッチャー部142により押されることはなく、係合溝142Aから抜け落ちることが防止される。尚、係合ピン144Aが、係合溝142A内へと復旧した後の動作は、上述した通りである。
【0191】
尚、本実施形態の冷蔵庫100では、両開き式の第1の断熱扉114及び第2の断熱扉115により冷蔵室12の前面開口部12Aを開閉自在に塞ぎ、同様に、両開き式の第3の断熱扉118及び第4の断熱扉119により冷凍室13の前面開口部13Aを開閉自在に塞ぐ場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、図25は、片開き式扉の冷蔵庫180を示すが、上述した自閉機構141を冷蔵庫180に配設することで、冷蔵庫180においても第1の断熱扉181及び第2の断熱扉182において自閉による開閉動作が実現される。
【0192】
図25に示すように、片開き式扉の冷蔵庫180は、両開き式扉の冷蔵庫100の第1の断熱扉114と同様に、右開き式の第1の断熱扉181及び第2の断熱扉182を備える。第1の断熱扉181は、冷蔵室183の前面開口部(図示せず)を開閉自在に塞ぐ扉である。第2の断熱扉182は、冷凍室184の前面開口部(図示せず)を開閉自在に塞ぐ扉である。尚、第2の断熱扉182は、上述した第3の断熱扉118と同様に断熱箱体185の底面側に自閉機構141を備える。
【0193】
上述したように、冷蔵庫180では、第1の断熱扉181の閉動作時の動作では、第1の断熱扉181は、キャッチャー部142が上記3度開いた状態となるまでは第1の速度にて回転する。そして、第1の断熱扉181は、上記3度から上記全閉状態までは第2の速度にて回転する。
【0194】
例えば、図29を用いて後述するが、回転規制部154の連結部154Bの傾斜面154Dの傾斜角度を、図17Cに示す傾斜面154Dに対して逆勾配である上り傾斜とすることで、第2の速度が、第1の速度よりも遅くなる。その結果、冷蔵庫180では、第1の断熱扉181の全閉直前の回転速度が、上記冷蔵庫100の全閉直前の回転速度よりも遅くなる。
【0195】
この構造により、片開き式扉の冷蔵庫180の場合には、両開き式扉の冷蔵庫100と比較して、利用者は、冷蔵室183の前面開口部の縁部が目視出来ることで、第1の断熱扉181の全閉状態を目視にて確認し易くなる。その一方、利用者が、例えば、第1の断熱扉181の全閉直前まで収納ラック34等への食材の出し入れを行うことで、利用者の指等が、第1の断熱扉181と断熱箱体185との間に挟まれた場合でも、第1の断熱扉181の全閉直前の回転速度が遅くなることで、第1の断熱扉181と断熱箱体185との全閉時の衝撃が大幅に低減され、利用者の指等が負傷することを防止出来る。
【0196】
次に、図26Aから図30を用いて、冷蔵庫100の第1の断熱扉114の回転速度及び冷蔵庫180の第1の断熱扉181の回転速度について説明する。
【0197】
図26A及び図28Aは、本実施形態の冷蔵庫100の第1の断熱扉114の閉動作時におけるキャッチャー部142を介して第1の断熱扉114に加わる回転する力と第1の断熱扉114の開き角度を説明する図である。図26B及び図28Bは、本実施形態の冷蔵庫100の第1の断熱扉114の閉動作時における第1の断熱扉114の回転速度と第1の断熱扉114の開き角度を説明する図である。図27は、本実施形態の冷蔵庫100のソフトクローズ部145の回転規制部154の連結部154Bを説明する上面図である。図29は、本実施形態の冷蔵庫180のソフトクローズ部145の回転規制部154の連結部154Bを説明する上面図である。図30Aは、本実施形態の冷蔵庫180の第1の断熱扉181の閉動作時におけるキャッチャー部142を介して第1の断熱扉114に加わる回転する力と第1の断熱扉181の開き角度を説明する図である。図30Bは、本実施形態の冷蔵庫180の第1の断熱扉181の閉動作時における第1の断熱扉181の回転速度と第1の断熱扉181の開き角度を説明する図である。
【0198】
最初に、図26A及び図26Bでは、図17Cに示す形状の回転規制部154の連結部154Bが用いられる場合において、第1の断熱扉114の閉動作時の第1の速度と第2の速度について説明する。
【0199】
図26Aでは、紙面左側の縦軸は、キャッチャー部142を介して第1の断熱扉114に加わる回転する力を示し、紙面右側の縦軸は、キャッチャー部142を介して第1の断熱扉114に加わる反力F1(図21B参照)を示す。横軸は、第1の断熱扉114の開き角度を示す。尚、上述したように、キャッチャー部142には、ローラ部164及びその回転軸153を介して、キャッチャー部142の回転動作を減衰させる抵抗力としての反力F1,F2が加わるが、ここでは、反力F1について説明する。また、後述する図28A及び図30Aについても同様である。
【0200】
図示したように、実線は、キャッチャー部142を介して第1の断熱扉114に加わる反力F1を示し、点線は、キャッチャー部142を介して第1の断熱扉114に加わる回転する力を示す。上述したように、キャッチャー部142は、回転駆動部155(図21B参照)から回転する力を直接受け、回転動作を行う。そして、回転駆動部155は、例えば、2本の圧縮コイルバネ155Aから構成される。この構造により、第1の断熱扉114が開状態から全閉状態へと移行する際に、圧縮コイルバネ155Aが伸びることで徐々に減衰する。
【0201】
一方、上述したように、ローラ部164が、回転規制部154の連結部154Bの平坦面154Cや傾斜面154Dと接触し、連結部154Bを庫内側へと押圧することで、ローラ部164は、連結部154Bから反力F1を受ける。そして、第1の断熱扉114の開き角度が13度となるまでは、キャッチャー部142は、利用者により第1の断熱扉114を閉める際に加えられる第1の断熱扉114の回転する力の衝撃を吸収する。次に、第1の断熱扉114の開き角度が13度から3度となるまでは、キャッチャー部142は、回転規制部154から反力F1を受ける。そして、ローラ部164は、平坦面154Cを転がることで、反力F1は徐々に減衰する。次に、第1の断熱扉114の開き角度が3度から0度となるまでは、キャッチャー部142は、引き続き回転規制部154から反力F1を受ける。しかしながら、ローラ部164は、傾斜面154Dを転がることで、反力F1は分散され大きく減衰する。
【0202】
図26Bでは、紙面左側の縦軸は、第1の断熱扉114の回転速度を示し、横軸は、第1の断熱扉114の開き角度を示す。尚、後述する図28A及び図30Aについても同様である。
【0203】
図示したように、第1の断熱扉114の開き角度が13度から3度となるまでは、第1の断熱扉114は、第1の速度にて回転する。そして、第1の断熱扉114の開き角度が3度から0度となるまでは、第1の断熱扉114は、第2の速度にて回転する。そして、上述したように、キャッチャー部142の受ける回転する力及び反力F1が、第1の断熱扉114の開き角度に応じて図26Aに示すように推移することで、第2の速度が第1の速度よりも速くなる。その結果、閉動作時における第1の断熱扉114の回転速度が、多段階式に変化し、両開き式扉の冷蔵庫100は上述した効果が得られる。尚、冷蔵庫100の第2の断熱扉115から第4の断熱扉119においても、第1の断熱扉114と同様である。
【0204】
次に、図27に示すように、本実施形態の冷蔵庫100では、回転規制部154の連結部154Bの傾斜面154Dの傾斜角度が、例えば、80度から90度と急角度に設計される場合でも良い。
【0205】
図28Aに示すように、この場合には、第1の断熱扉114の開き角度が3度から0度となるまでは、キャッチャー部142は、回転規制部154から反力F1を受けない。上述したように、傾斜面154Dが急峻な形状となることで、ローラ部164が、傾斜面154Dと非接触状態となるからである。
【0206】
その結果、図28Bに示すように、第1の断熱扉114の回転速度である第2の速度は、図26Bに示す構造よりも速くなる。そして、第1の断熱扉114は、勢い良く全閉することで、利用者は、全閉時の音により第1の断熱扉114の全閉状態を判断し易くなる。
【0207】
次に、図29に示すように、本実施形態の冷蔵庫180では、回転規制部154の連結部154Bの傾斜面154Dが、図17Cに示す傾斜面154Dとは逆勾配であり、上り傾斜として形成される。そして、傾斜面154Dの傾斜角度は、例えば、80度以下の比較的緩い角度に設定される。
【0208】
図30Aに示すように、第1の断熱扉181の開き角度が13度となるまでは、キャッチャー部142は、利用者により第1の断熱扉181を閉める際に加えられる第1の断熱扉181の回転する力の衝撃を吸収する。次に、第1の断熱扉181の開き角度が13度から3度となるまでは、キャッチャー部142は、回転規制部154から反力F1を受ける。そして、ローラ部164は、平坦面154Cを転がることで、反力F1は徐々に減衰する。次に、第1の断熱扉181の開き角度が3度から0度となるまでは、キャッチャー部142は、回転規制部154から反力F1を受ける。このとき、ローラ部164は、傾斜面154Dを転がるが、傾斜面154Dが上り傾斜となることで、反力F1は増大する。尚、図示したように、第1の断熱扉181の全閉状態に向けて反力F1は増大するが、反力F1は、キャッチャー部142に加わる回転する力より小さくなることで、第1の断熱扉181は全閉状態まで回転する。尚、実線は、キャッチャー部142を介して第1の断熱扉181に加わる反力F1を示し、点線は、キャッチャー部142を介して第1の断熱扉181に加わる回転する力を示す。
【0209】
図30Bに示すように、第1の断熱扉181の開き角度が13度から3度となるまでは、第1の断熱扉181は、第1の速度にて回転する。そして、第1の断熱扉181の開き角度が3度から0度となるまでは、第1の断熱扉181は、第2の速度にて回転する。そして、上述したように、キャッチャー部142の受ける回転する力及び反力F1が、第1の断熱扉181の開き角度に応じて図30Aに示すように推移することで、第2の速度が第1の速度よりも遅くなる。その結果、閉動作時における第1の断熱扉181の回転速度が、多段階式に変化し、片開き式扉の冷蔵庫180は上述した効果が得られる。尚、冷蔵庫180の第2の断熱扉182においても、第1の断熱扉181と同様である。
【0210】
次に、図31Aから図34Bを用いて、自閉機構141の第1の変形例を説明する。第1の変形例では、主に、キャッチャー部142の構造が異なるが、第1の断熱扉114の閉動作時において、キャッチャー部142の回転速度が、第1の速度から第2の速度へと多段階式に変化する機能やその効果は同じである。そのため、上述した自閉機構141に用いられる各部材の構造と同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、上述した図1から図30Bの説明を適宜参照する。
【0211】
図31Aは、本実施形態の冷蔵庫100の自閉機構141の筐体部146及びキャッチャー部142を説明する斜視図である。図31B及び図31Cは、本実施形態の冷蔵庫100の自閉機構141の内部機構を説明する斜視図である。図32A及び図32Bは、本実施形態の冷蔵庫100の自閉機構141のキャッチャー部142を説明する斜視図である。図32Cは、本実施形態の冷蔵庫100の自閉機構141のキャッチャー部142を説明する断面図であり、図32Aに示すB-B線方向の断面を示す。図33Aから図34Bは、本実施形態の冷蔵庫100の第1の断熱扉114が閉じる際の自閉機構141の動作を説明する上面図である。尚、図33Aから図34Bでは、第1の断熱扉114の閉動作時における自閉機構141のキャッチャー部142とソフトクローズ部145との動作を中心に説明する。また、第1の変形例においても、図26Aから図30を用いて上述したように、冷蔵庫100の第1の断熱扉114及び冷蔵庫180の第1の断熱扉181の回転速度が、多段階式に変化し、同様な効果が得られる。
【0212】
図31Aに示すように、自閉機構141の筐体部146は、箱状体であり、複数のビス止め孔147を介して断熱箱体11(図16A参照)の天面11A(図16A参照)に対してビス固定される。キャッチャー部142は、回転軸151を介して筐体部146に回転可能に軸支される。そして、キャッチャー部142は、ストライカ部144(図16A参照)により押され、回転を開始する。その後、キャッチャー部142は、ソフトクローズ部145の回転駆動部155(図31B参照)から回転する力を直接受け、回転軸151を回転支点として筐体部146に対して回転動作する。
【0213】
筐体部146の蓋部146Aには、ガイド溝152が形成される。筐体部146が天面11Aに固定された状態において、ガイド溝152は、断熱箱体11の奥行方向(紙面前後方向)へと直線状に延在する縦溝152Aと、断熱箱体11の斜め奥行方向へと傾斜し、直線状に延在する斜め溝152Bと、を有する。
【0214】
図示したように、ガイド溝152には、キャッチャー部142に支持される押圧部材201(図31B参照)のガイド軸200が挿通される。ガイド軸200は、例えば、押圧部材201と一体に樹脂成形により形成され、押圧部材201の上面側に形成される。そして、ガイド溝152の短手方向の幅W1が、ガイド軸200の直径とほぼ同等か、あるいは、若干広い幅となる。詳細は後述するが、押圧部材201は、キャッチャー部142と一緒に筐体部146に対して回転する際に、ガイド軸200が、ガイド溝152により強制的にガイドされることで、押圧部材201の移動軌跡が調整される。
【0215】
図31Bに示すように、第1の断熱扉14の閉動作時において、ソフトクローズ部145では、回転規制部154のダンパ部154Aが、連結部154Bを介して押圧部材201に押されて収縮することで、キャッチャー部142の回転動作を規制し、キャッチャー部142の回転速度が調整される。一方、回転駆動部155の圧縮コイルバネ155Aが、連結部155Bを介してキャッチャー部142の後端側を押すことで、キャッチャー部142が回転動作する。つまり、第1の断熱扉114の閉動作時には、回転駆動部155は、キャッチャー部142が回転動作するための駆動源となる。
【0216】
図31Cに示すように、連結部154Bの先端部157の押圧部材164と対向する面には、押圧部材164と接触する平坦面154Cと、平坦面154Cよりも筐体部146の奥行方向の奥側へと傾斜する傾斜面154Dと、が形成される。
【0217】
図32Aに示すように、キャッチャー部142は、本体部161と、本体部161に形成される係合溝142Aと、本体部161から横幅方向へと突出する突出部162と、本体部161の側面に形成される一対のガイドレール部203と、回転軸151(図31B参照)と、回転軸151を自転可能に軸支する貫通孔204と、を有する。また、一対のガイドレール部203は、凸部の形状であり、押圧部材201(図32C参照)の横幅方向に対向する内側面208B,208D(図32C参照)に形成される一対のレール凹部207(図32C参照)に対して、スライド移動可能な状態に嵌め込まれる。
【0218】
図32Bに示すように、押圧部材201は、中空構造の本体部205と、本体部205の上面側に一体に形成されるガイド軸200と、回転規制部154の連結部154Bを押圧する押圧部209と、を有する。そして、本体部205及びガイド軸200は、例えば、樹脂材料による一体成形により形成される。また、押圧部209は、本体部205の一部として形成される。押圧部209は、例えば、円柱の半分側の形状であり、押圧部209の連結部54Bとの接触領域は、曲面となる。
【0219】
また、ガイド軸200は、押圧部209の上面に形成されると共に、ガイド溝152の短手方向の幅W1とほぼ同等の直径を有する円柱形状となる。詳細は後述するが、第1の断熱扉114の閉動作時には、ガイド軸200は、ガイド溝152の内側面から反力F2(図33B参照)を受ける。そして、押圧部材201は、矢印206にて示すように、キャッチャー部142の本体部161の長手方向へとスライド移動する。具体的には、図31Bに示すように、押圧部材201は、本体部161のストッパー壁部202と回転軸151との間をスライド移動する。つまり、押圧部材201は、ストッパー壁部202や回転軸151と接触することで、スライド移動が停止する。
【0220】
この構造により、押圧部材201は、キャッチャー部142と一体に断熱箱体11の前面11B側へと向けて回転動作しながら、本体部161に対して矢印206の方向へとスライド移動する。そして、押圧部209は、回転規制部154の連結部154Bを押圧しながら、摺動するが、押圧部209の連結部154Bとの接触する領域が、上記回転動作と上記スライド移動により、若干ズレながら上記摺動を行うことで、摩耗による削れ量が低減される。
【0221】
その結果、押圧部209と連結部154Bとの接触位置が、実使用年数に応じた経年劣化により、初期設定した位置から変化することが防止される。また、押圧部209と連結部154Bとの上記接触時の抵抗値の変動により、第1の断熱扉114の回転速度が、実使用年数に応じて、初期設定した回転速度から変化することが防止される。そして、冷蔵庫100の利用者は、長年に渡り第1の断熱扉114の自閉動作に違和感を覚えることなく使用が可能となり、利便性が向上される。また、自閉機構141の修理頻度が低減することで、利用者のメンテナンス費用の増大も防止できる。
【0222】
図32Cに示すように、押圧部材201の本体部205は、中空構造として形成される。本体部205には、キャッチャー部142の本体部161の外形と略同形状の挿通孔210(図32B参照)が形成される。そして、押圧部材201は、キャッチャー部142の後端部側からその本体部161へとスライド可能に嵌め込まれる。
【0223】
図示したように、本体部205には、挿通孔210を囲むように、4つの内側面208A,208B,208C,208Dが形成される。そして、横幅方向に対向する内側面208B,208Dには、キャッチャー部142の本体部161のガイドレール部203が嵌め込まれるための一対のレール凹部207が形成される。レール凹部207は、例えば、本体部205の上下方向に位置ずれして形成されることで、キャッチャー部142の組み付け作業時に、ガイド軸200が上下方向逆さまになる、等の作業ミスの発生が防止される。尚、ガイドレール部203も上下方向に位置ずれして本体部161に形成される。
【0224】
また、本体部205の高さ方向に対向する内側面208A,208Cは、略平坦面として形成される。そして、押圧部材201が、キャッチャー部142の本体部161に装着された状態では、内側面208A,208Cは、本体部161の上面161C及び下面161Dに対して当接する。一方、上述したように、レール凹部207は、ガイドレール部203に対して嵌め込まれ、支持されることで、内側面208B,208Dは、本体部161の左右側面161E,161Fに対して当接する場合でも、若干、離間する場合でも良い。
【0225】
この構造により、押圧部材201は、本体部161のガイドレール部203に対して支持されると共に、内側面208A,208Cが、本体部161の上面161C及び下面161Dに対して当接する。その結果、押圧部材201が、キャッチャー部142に対してスライド移動する際に、キャッチャー部142に対してがたつき難くなる。押圧部209は、平坦面154C(図31C参照)上を安定して摺動することで、キャッチャー部142もがたつき難くなる。そして、第1の断熱扉114も閉動作時にがたつき難くなり、静穏性が実現される。第1の断熱扉114内の収納物が周囲と当たり発生する音が低減され、利用者の快適性が高められる。
【0226】
尚、図14Cに示すように、押圧部材201の内側面208A,208Cには、矢印206方向に延在する複数のスリット174が形成される場合でも良い。この場合には、スリット174が、押圧部材201のスライド方向に延在して存在することで、内側面208A,208Cとキャッチャー部142の本体部61との接触面積が低減される。更には、そのスリット174の形成領域に対してグリース等の潤滑剤を充填することで、押圧部材201と本体部61との摺動抵抗値が低減される。その結果、押圧部材201と本体部61との摺動動作は繰り返し行われるが、両部材の摩耗による削れ量が大幅に低減される。また、スリット174が、押圧部材201のスライド方向に延在し、上記潤滑剤は、スリット174内に充填されることで、長期間に渡り維持され、両部材の摺動面に対して略全面的に供給されることが可能となる。
【0227】
次に、図33Aから図34Bを用いて、本実施形態の冷蔵庫100の第1の断熱扉114が、開状態から全閉状態へと移行する際の自閉機構141の動作について説明する。尚、以下の説明では、第1の断熱扉114を用いて説明する。そして、第2の断熱扉115から第4の断熱扉119に関する動作の説明は、第1の断熱扉114に関する説明を参照し、ここではその説明を省略する。また、点線158は、断熱箱体11の前面11Bのラインを模式的に示す。また、説明の都合上、筐体部146の蓋部146A(図31A参照)を省略して説明するが、蓋部146Aに形成されるガイド溝52及びその縦溝52A、斜め溝52Bは、図示して説明する。
【0228】
最初に、ガイド溝152は、押圧部材201の移動軌跡を調整するための溝であり、押圧部材201のガイド軸200は、キャッチャー部142の回転動作に伴い、ガイド溝152の内側面から反力F2を受ける。また、ガイド溝152は、押圧部材201に回転力F3を加えるための溝でもあり、押圧部材201のガイド軸200は、キャッチャー部142の回転動作に伴い、ガイド溝152の内側面から回転力F3を受ける。そして、図33Aから図34Bでは、押圧部材201の押圧部209が回転規制部154の連結部154Bから受ける反力をF1、ガイド軸200がガイド溝152の内側面から受ける反力をF2、ガイド軸200がガイド溝152の内側面から受ける回転力をF3として図示する。
【0229】
尚、本実施形態では、押圧部材201のスライド移動を説明する都合上、上記反力F1,F2及び回転力F3を用いて説明するが、実際には、キャッチャー部142を回転させる力としては、上記回転力F3のみに限定するものではない。例えば、キャッチャー部142を回転させる力としては、ソフトクローズ部145の回転駆動部155からキャッチャー部142が直接受ける力等もある。また、キャッチャー部142の回転角度次第では、上記反力F1,F2もキャッチャー部142を回転させる力として寄与する。そして、上記反力F1,F2及び回転力F3は、キャッチャー部142の回転角度に応じて変化し、図示する上記反力F1,F2及び回転力F3の長さは、模式的に示すものであり、実際の力の大きさを示すものではない。
【0230】
図33Aでは、第1の断熱扉114が開状態であり、ストライカ部144(図16A参照)の係合ピン144A(図16A参照)は、キャッチャー部142の係合溝142Aから離脱する。キャッチャー部142は、例えば、断熱箱体11の前面11Bに対して20度の位置にて停止した状態となる。そして、冷蔵庫100の利用者が、第1の断熱扉114を閉めるために、第1の断熱扉114を断熱箱体11の前面11B側へと押し、第1の断熱扉114に回転する力を加える。この利用者の閉める動作により、上記回転する力と第1の断熱扉114の荷重を利用して、第1の断熱扉114は、断熱箱体11の前面11B側へと回転する。
【0231】
上述したように、押圧部材201のガイド軸200は、筐体部146の表面側において、ガイド溝152内に挿通された状態となる。上述したように、押圧部材201は、キャッチャー部142の本体部161に対してスライド可能に嵌め込まれることで、キャッチャー部142に対してがたつき難くなる。この構造により、押圧部材201は、キャッチャー部142と同様に、断熱箱体11の天面11Aに対して略水平状態に支持されると共に、ガイド軸200は、天面11Aに対して垂直方向へと安定した起立状態となる。
【0232】
図示したように、回転規制部154の連結部154Bが、押圧部材201の押圧部209を庫外側へと反力F1にて押圧した状態となることで、ガイド軸200は、ガイド溝152の先端側に位置し、ガイド溝152の内側面と接触する。そして、ガイド軸200は、ガイド溝152の内側面から反力F2を受ける。
【0233】
一方、キャッチャー部142では、例えば、その底面の凹部(図示せず)が、筐体部146の突起部(図示せず)に対して嵌合することで停止状態を維持する。そして、キャッチャー部142の後端側では、回転駆動部155の連結部155Bがキャッチャー部142を回転動作させる力を受けるが、上記停止状態により均衡状態を維持する。その結果、ガイド軸200は、ガイド溝152の内側面から回転力F3を受けない。
【0234】
尚、矢印W3は、キャッチャー部142の回転範囲を示し、図33Aでは、キャッチャー部142は、回転範囲の最も庫外側に位置する。そして、突出部162の先端側の一部は、キャッチャー部142の上記停止状態時にも天面11Aの上方に位置する。また、図示していないが、天面11A上に位置する突出部162の裏面162Aには、突起片部162Bが形成される。
【0235】
図33Bでは、第1の断熱扉114が閉動作時であり、ストライカ部144の係合ピン144Aは、キャッチャー部142の係合溝142A内へと侵入し、ストライカ部144とキャッチャー部142とが連結状態となる。そして、キャッチャー部142は、例えば、断熱箱体11の前面11Bに対して10度まで回転した状態となる。尚、突出部162の一部は、天面11Aの上方に位置する。
【0236】
最初に、図33Aに示すキャッチャー部142の待機状態において、ストライカ部144の係合ピン144Aが、丸印159にて示すように、第2の基部161Bの先端側に衝突することで、上記待機状態が解消される。そして、キャッチャー部142は、回転駆動部155の連結部155Bから回転する力を受けることで、回転動作を開始する。ガイド軸200は、ガイド溝152の縦溝152Aの中央側へと移動する。
【0237】
図示したように、ガイド軸200は、ガイド溝152の内側面から回転力F3を受けることで、キャッチャー部142と一体に断熱箱体11の前面11B側へと向けて移動する。その一方、ガイド軸200は、ガイド溝152の縦溝152Aの内側面と接触することで、移動軌跡が調整される。そして、ガイド軸200は、ガイド溝152の内側面から反力F2を受ける。更には、押圧部材201の押圧部209は、連結部154Bの平坦面154Cから反力F1を受ける。
【0238】
この構造により、キャッチャー部142の回転動作に連動して、押圧部材201の押圧部209が、連結部154Bの平坦面154Cを摺動しながら、連結部154Bを庫内側へと押圧する。そして、ガイド軸200は、ガイド溝152の内側面から回転力F3及び反力F2を受けると共に、押圧部209が平坦面154Cから反力F1を受ける。このとき、回転力F3が最も大きな力となることで、押圧部材201は、ストッパー壁部202側へと向けて、本体部161に対してスライド移動する。
【0239】
上述したように、ガイド溝152の縦溝152Aは、断熱箱体11の奥行方向(紙面前後方向)へと直線状に延在する。その結果、ガイド軸200は、断熱箱体11の奥行方向へと直線的な軌跡を描くことで、押圧部材201の押圧部209は、連結部154Bを出来る限り均一に押圧し、キャッチャー部142の回転速度が均一化される。
【0240】
本実施形態では、キャッチャー部142が、断熱箱体11の前面11Bに対して3度の位置へと回転するまで、ガイド軸200は、ガイド溝152の縦溝152Aを移動するように設計される。このとき、押圧部材201は、回転規制部154の連結部154Bの平坦面154C(図31C参照)と接触し、傾斜面154D(図31C参照)側へと摺動するように設計される。そして、ストライカ部144の係合ピン144Aは、キャッチャー部142の第1の基部161Aにより引っ張られながら、係合溝142A内をその根本側へと移動する。この構造により、キャッチャー部142の回転速度が均一化され、第1の断熱扉114の回転速度も均一化される。
【0241】
図34Aでは、第1の断熱扉114が閉動作時であり、ストライカ部144とキャッチャー部142とは、図33Bの状態に引き続き連結状態となる。そして、キャッチャー部142は、例えば、断熱箱体11の前面11Bに対して3度まで回転した状態となる。尚、突出部162は、天面11Aの上方に位置する。
【0242】
図示したように、ガイド軸200は、ガイド溝152の内側面から回転力F3を受けることで、押圧部材201は、キャッチャー部142と一体に断熱箱体11の前面11B側へと向けて移動する。その一方、ガイド軸200は、ガイド溝152の斜め溝152Bの内側面と接触することで、移動軌跡が調整される。そして、ガイド軸200は、ガイド溝152の内側面から反力F2を受ける。更には、押圧部材201の押圧部209は、連結部154Bの傾斜面154Dから反力F1を受ける。
【0243】
図示したように、第1の断熱扉114の回転動作に連動して、押圧部209の摺動する領域が、連結部154Bの平坦面154Cから傾斜面154Dへと移行することで、ガイド軸200は、ガイド溝152の縦溝152Aから斜め溝152Bへと移動する。上述したように、ガイド溝152の斜め溝152Bは、断熱箱体11の斜め奥行方向へと傾斜し、直線状に延在する。
【0244】
この構造により、連結部154Bの傾斜面154Dが、押圧部209の進行方向に対して下り坂となることで、押圧部209が、回転規制部154から受ける反力F1が分散され、低減する。そして、キャッチャー部142では、回転駆動部155から受ける回転する力が、反力F1により打ち消され難くなることで、キャッチャー部142は、図33A及び図33Bの回転状態よりも勢い良く回転する。尚、キャッチャー部142の回転動作に連動して、ガイド軸200に加わる回転力F3の方向と押圧部209に加わる反力F1の方向が変化することで、押圧部材201は、回転軸151側へと向けて、本体部161に対してスライド移動する。
【0245】
図34Bでは、第1の断熱扉114が全閉状態である。そして、ストライカ部144とキャッチャー部142とは、図33Aの状態に引き続き連結状態であり、キャッチャー部142が、例えば、断熱箱体11の前面11Bに対して0度の位置にて停止状態となる。尚、突出部162は、天面11Aの上方に位置する。
【0246】
図示したように、回転駆動部155の連結部155Bが、キャッチャー部142の後端側を押圧した状態となることで、ガイド軸200は、ガイド溝152の後端側に位置する。そして、ガイド軸200は、ガイド溝152の後端部に位置することで、キャッチャー部142が、それ以上庫内側へと回転することが規制される。尚、本実施形態では、キャッチャー部142の突出部162が、筐体部146の側面へと当接することでも、キャッチャー部142が、それ以上庫内側へと回転することが規制される。
【0247】
尚、図34Bに示す第1の断熱扉114の全閉状態では、第1の断熱扉114のガスケット36に内包された磁石が、断熱箱体11の前面11Bの外箱21やセンターピラー16に対して当接し磁着した状態となる。その結果、図示したように、ガイド軸200には、反力F2及び回転力F3が加わり、押圧部209には、反力F1が加わるが、上記第1の断熱扉114の磁着力の方が強く、キャッチャー部142は、上記停止状態を維持する。
【0248】
次に、図35Aから図35Cを用いて、自閉機構141の第2の変形例を説明する。第2の変形例は、上述した第1の変形例と対比すると、押圧部材211の構造が、上述した押圧部材201の構造と相違する。具体的には、押圧部材211では、押圧部材201の押圧部209が無くなり、押圧部209の形成領域にローラ部212が自転可能に配設される。そして、ローラ部212にて、回転規制部154の連結部154Bを押圧する。そのため、以下の説明では、押圧部材211を中心に説明し、上述した自閉機構141に用いられる各部材の構造と同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、上述した図1から図34Bの説明を適宜参照する。
【0249】
図35A及び図35Bは、本実施形態の冷蔵庫100の自閉機構141のキャッチャー部142を説明する斜視図である。図35Cは、本実施形態の冷蔵庫100の自閉機構141のキャッチャー部142を説明する断面図であり、図35Aに示すC-C線方向の断面を示す。尚、第2の変形例においても、図26Aから図30を用いて上述したように、冷蔵庫100の第1の断熱扉114及び冷蔵庫180の第1の断熱扉181の回転速度は、多段階式に変化し、同様な効果が得られる。また、押圧部材211においても、押圧部材201と同様に、図33Aから図34Bを用いて説明した動作を行う。
【0250】
図35Aに示すように、キャッチャー部142は、本体部161と、本体部161に形成される係合溝142Aと、本体部161から横幅方向へと突出する突出部162と、本体部161の側面に形成される一対のガイドレール部203と、回転軸151(図31B参照)と、回転軸151を自転可能に軸支する貫通孔204と、を有する。詳細は後述するが、本体部161には、押圧部材211が挿通して配設される。そして、押圧部材211は、キャッチャー部142の本体部161に対してスライド移動する。また、一対のガイドレール部203は、凸部の形状であり、押圧部材211(図35C参照)の横幅方向に対向する内側面217B,217D(図35C参照)に形成される一対のレール凹部218(図35C参照)に対して、スライド移動可能な状態に嵌め込まれる。
【0251】
図35Bに示すように、押圧部材211は、中空構造の本体部215と、本体部215に自転可能に軸支されるローラ部212と、ローラ部212を軸支する一対の挿通孔214と、を有する。ローラ部212には、上下方向へと延在する一対の回転軸213が形成される。ローラ部212及び回転軸213は、例えば、樹脂材料による一体成形により形成される。そして、ローラ部212の回転軸213は、本体部215の挿通孔214へと挿通されることで、ローラ部212は、本体部215に自転可能に軸支される。尚、挿通孔214の内径は、回転軸213の外径とほぼ同等である。
【0252】
また、回転軸213は、ガイド溝152(図31A参照)の短手方向の幅W1(図31A参照)とほぼ同等の直径を有する円柱形状となる。詳細は後述するが、ローラ部212の回転軸213は、挿通孔214を貫通し、筐体部146(図31A参照)のガイド溝152に挿通される。そして、第1の断熱扉114の閉動作時には、回転軸213は、ガイド溝152の内側面から反力F2(図33B参照)を受けると共に、ガイド溝152により強制的にガイドされ、ローラ部212の移動軌跡が調整される。
【0253】
一方、押圧部材211は、回転軸213が上記反力F2を受けることで、矢印219(図35A参照)にて示すように、キャッチャー部142の本体部161の長手方向へとスライド移動する。具体的には、図31Bに示すように、押圧部材211は、本体部161のストッパー壁部202と回転軸151との間をスライド移動する。つまり、押圧部材211は、ストッパー壁部202や回転軸151と接触することで、スライド移動が停止する。
【0254】
この構造により、押圧部材211は、キャッチャー部142と一体に断熱箱体11の前面11B側へと向けて回転動作しながら、本体部161に対して矢印219の方向へとスライド移動する。そして、ローラ部212は、本体部215よりも外側まで導出することで、回転規制部154の連結部154Bを押圧しながら、連結部154Bの平坦面154C等を転がる。
【0255】
その結果、ローラ部212は、連結部154Bの平坦面154Cと線接触して連結部154Bを押圧するが、その線接触する箇所は、ローラ部212が自転しながら移動することで平坦面154Cに対して変わっていく。そして、第1の断熱扉114の開閉動作は繰り返し行われるが、ローラ部212の平坦面154Cに対して線接触する箇所が変わることで、ローラ部212及び平坦面154Cの摩耗による削れ量が大幅に低減される。
【0256】
更には、ローラ部212と連結部154Bとの接触位置が、実使用年数に応じた経年劣化により、初期設定した位置から変化することが防止される。また、ローラ部212と連結部154Bとの上記接触時の抵抗値の変動により、第1の断熱扉114の回転速度が、実使用年数に応じて、初期設定した回転速度から変化することが防止される。そして、冷蔵庫100の利用者は、長年に渡り第1の断熱扉114の自閉動作に違和感を覚えることなく使用が可能となり、利便性が向上される。また、自閉機構141の修理頻度が低減することで、利用者のメンテナンス費用の増大も防止できる。
【0257】
図35Cに示すように、押圧部材211の本体部215は、中空構造として形成される。本体部215には、キャッチャー部142の本体部161の外形と略同形状の挿通孔216(図35B参照)が形成される。そして、押圧部材211は、キャッチャー部142の後端部側からその本体部161へとスライド可能に嵌め込まれる。
【0258】
図示したように、本体部215には、挿通孔216を囲むように、4つの内側面217A,217B,217C,217Dが形成される。そして、横幅方向に対向する内側面217B,217Dには、キャッチャー部142の本体部161のガイドレール部203が嵌め込まれるための一対のレール凹部218が形成される。レール凹部218は、例えば、本体部215の上下方向に位置ずれして形成されることで、キャッチャー部142の組み付け作業時に、挿通孔216が左右方向逆さまになる、等の作業ミスの発生が防止される。尚、ガイドレール部203も上下方向に位置ずれして本体部161に形成される。
【0259】
また、本体部215の高さ方向に対向する内側面217A,217Cは、略平坦面として形成される。そして、押圧部材211が、キャッチャー部142の本体部161に装着された状態では、内側面217A,217Cは、本体部161の上面161C及び下面161Dに対して当接する。一方、上述したように、レール凹部218は、ガイドレール部203に対して嵌め込まれ、支持されることで、内側面217B,217Dは、本体部161の左右側面161C,161Dに対して当接する場合でも、若干、離間する場合でも良い。
【0260】
この構造により、押圧部材211は、本体部161のガイドレール部203に対して支持されると共に、内側面217A,217Cが、本体部161の上面161C及び下面161Dに対して当接する。その結果、押圧部材211が、キャッチャー部142に対してスライド移動する際に、キャッチャー部142に対してがたつき難くなることで、押圧部材211に軸支されたローラ部212もキャッチャー部142に対してがたつき難くなる。ローラ部212は、平坦面154C上を安定して転がることで、キャッチャー部142もがたつき難くなる。そして、第1の断熱扉114も閉動作時にがたつき難くなり、静穏性が実現される。また、第1の断熱扉114内の収納物が周囲と当たり発生する音が低減され、利用者の快適性が高められる。
【0261】
また、図35Cに示すように、押圧部材211の内側面217A,217Cには、矢印219の方向に延在する複数のスリット174が形成される場合でも良い。この場合には、スリット174が、押圧部材211のスライド方向に延在して存在することで、内側面217A,217Cとキャッチャー部142の本体部161との接触面積が低減される。更には、そのスリット174の形成領域に対してグリース等の潤滑剤を充填することで、押圧部材211と本体部161との摺動抵抗値が低減される。その結果、押圧部材211と本体部161との摺動動作は繰り返し行われるが、両部材の摩耗による削れ量が大幅に低減される。また、スリット174が、押圧部材211のスライド方向に延在し、上記潤滑剤は、スリット174内に充填されることで、長期間に渡り維持され、両部材の摺動面に対して略全面的に供給されることが可能となる。
【0262】
尚、本実施形態では、第1の断熱扉114,181の回転速度の変換箇所として、角度の一例を示したが、この場合に限定するものではない。第1の断熱扉114,181の上記角度は、回転規制部154のダンパ部154Aの特性、回転駆動部155の圧縮コイルバネ155Aの特性や第1のガイド溝152の形状等の変更に応じて、任意の設計変更が可能である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0263】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
11A 天面
11B 前面
11C 底面
12 冷蔵室
13 冷凍室
14 第1の断熱扉
14A 天面
15 第2の断熱扉
16 センターピラー
17 区画壁
18 第3の断熱扉
19 第4の断熱扉
20 除霜ヒータ
21 外箱
22 内箱
23 断熱材
24 冷却室
25 冷却器
26 機械室
27 圧縮機
28 送風機
29 風路
30 制御部
31 ヒンジ機構
31A 上部ヒンジ部
32 収納部
33,38 カバー部
34 収納ラック
35 内面板材
35A 膨出部
36 ガスケット
39 先端開口部
40 報知部
37,41 自閉機構
42 キャッチャー部
42A 係合溝
42B 第1の基部
42C 第2の基部
42E 回転軸部
42D スライダー収納凹部
44 ストライカ部
44A 係合ピン
45 ソフトクローズ部
46 検知装置
46A 機械式スイッチ
46B ボタン
46C 配線部
48 バネ部
48A 圧縮コイルバネ
48B 連結部
49 第1のダンパ部
49A,50A シャフト部
49B,50B 先端部
49C,50C 本体部
50 第2のダンパ部
52 スライダー部
61 復旧部
61A 傾斜面
70 冷蔵庫
71 第1の断熱扉
72 第2の断熱扉
73 冷蔵室
73A 前面開口部
74 冷凍室
75 断熱箱体
75A 天面
100 冷蔵庫
114 第1の断熱扉
115 第2の断熱扉
118 第3の断熱扉
119 第4の断熱扉
139 先端開口部
141 自閉機構
142 キャッチャー部
142A 係合溝
142B 第1の基部
142C 第2の基部
144 ストライカ部
144A 係合ピン
145 ソフトクローズ部
146 筐体部
146A 蓋部
147 ビス止め孔
151 回転軸
152 第1のガイド溝
152A 縦溝
152B 斜め溝
153 回転軸
154 回転規制部
154A ダンパ部
154B 連結部
154C 平坦面
154D 傾斜面
155 回転駆動部
155A 圧縮コイルバネ
155B 連結部
157 先端部
161 本体部
161A 第1の基部
161B 第2の基部
162 突出部
163 第2のガイド溝
164 ローラ部
165 支持板
171 復旧部
171A 傾斜面
180 冷蔵庫
181 第1の断熱扉
182 第2の断熱扉
183 冷蔵室
184 冷凍室
185 断熱箱体
200 ガイド軸
201 押圧部材
202 ストッパー壁部
203 ガイドレール部
204 貫通孔
205 本体部
207 レール凹部
208A,208B,208C,208D 内側面
209 押圧部
210 挿通孔
211 押圧部材
212 ローラ部
213 回転軸
214 挿通孔
215 本体部
216 挿通孔
217A,217B,217C,217D 内側面
218 レール凹部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25
図26A
図26B
図27
図28A
図28B
図29
図30A
図30B
図31A
図31B
図31C
図32A
図32B
図32C
図33A
図33B
図34A
図34B
図35A
図35B
図35C