(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025032635
(43)【公開日】2025-03-12
(54)【発明の名称】水利用システム、及び化学蓄熱システム
(51)【国際特許分類】
F28D 20/00 20060101AFI20250305BHJP
F25B 5/04 20060101ALN20250305BHJP
【FI】
F28D20/00 G
F25B5/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138029
(22)【出願日】2023-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】下村 智章
(57)【要約】
【課題】復水器で凝縮された水を蒸発器に送る送液と、蒸発器内の水を循環させる送液とを電動ポンプの増設を回避して行うことを可能にした水利用システム、及び化学蓄熱システムを提供する。
【解決手段】水利用システムは、復水器41で凝縮された水W2を蒸発器51に供給する水利用経路71を備える。水利用経路71は、第1電動ポンプ72と、エゼクタ73と、蒸発器51内の水W1を第1電動ポンプ72に吸引させるポンプ吸引用流路74と、復水器41内の水W2をエゼクタ73の吸引流体としてエゼクタ73に吸引させるエゼクタ吸引用流路75とを備える。水利用経路71は、第1電動ポンプ72から吐出された水W1をエゼクタ73の駆動流体としてエゼクタ73に供給するエゼクタ駆動用流路76と、エゼクタ73から吐出された水を蒸発器51に送液する蒸発器送液流路77とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学蓄熱システム内で水を利用する用途に用いられる水利用システムであって、
化学蓄熱システム内で使用する水蒸気を発生させる蒸発器と、
前記化学蓄熱システム内で発生した水蒸気を凝縮させる復水器と、
前記復水器で凝縮された水を前記蒸発器に供給する水利用経路と、を備え、
前記水利用経路は、
電動ポンプと、
エゼクタと、
前記蒸発器内の水及び前記復水器内の水のうち、一方の水を前記電動ポンプに吸引させるポンプ吸引用流路と、
前記蒸発器内の水及び前記復水器内の水のうち、他方の水を前記エゼクタの吸引流体として前記エゼクタに吸引させるエゼクタ吸引用流路と、
前記電動ポンプから吐出された水を前記エゼクタの駆動流体として前記エゼクタに供給するエゼクタ駆動用流路と、
前記エゼクタから吐出された水を前記蒸発器に送液する蒸発器送液流路と、を備える、水利用システム。
【請求項2】
前記ポンプ吸引用流路は、前記蒸発器内の水を前記電動ポンプに吸引させる流路であり、
前記エゼクタ吸引用流路は、前記復水器内の水を前記エゼクタに吸引させる流路である、請求項1に記載の水利用システム。
【請求項3】
前記水利用経路は、
前記電動ポンプから吐出された水を前記エゼクタに供給せずに前記蒸発器内に戻すバイパス流路をさらに備え、
前記バイパス流路と前記エゼクタ駆動用流路とを切り替え可能に構成される、請求項2に記載の水利用システム。
【請求項4】
前記バイパス流路を通じて前記蒸発器内に戻される前記水の流量を計測する流量計、又は前記蒸発器内の水量を計測する液面計と、
前記流量計又は前記液面計の計測結果に基づき前記バイパス流路と前記エゼクタ駆動用流路とを切り替える制御部と、をさらに備え、
前記制御部は、
前記流量計で計測される前記流量又は前記液面計で計測される前記水量が不足すると判定されたとき、前記バイパス流路から前記エゼクタ駆動用流路へ切り替える、請求項3に記載の水利用システム。
【請求項5】
水を反応媒体とする化学蓄熱材を有する化学蓄熱反応器と、
水蒸気を吸収する吸収材を有し、前記化学蓄熱材から発生した水蒸気を回収する回収器と、
前記吸収材から発生した水蒸気を凝縮させる復水器と、
前記化学蓄熱材と反応させる水蒸気を前記化学蓄熱反応器に供給する蒸発器と、を備える化学蓄熱システムであって、
前記復水器で凝縮された水を前記蒸発器に供給する水利用経路を備え、
前記水利用経路は、
電動ポンプと、
エゼクタと、
前記蒸発器内の水及び前記復水器内の水のうち、一方の水を前記電動ポンプに吸引させるポンプ吸引用流路と、
前記蒸発器内の水及び前記復水器内の水のうち、他方の水を前記エゼクタの吸引流体として前記エゼクタに吸引させるエゼクタ吸引用流路と、
前記電動ポンプから吐出された水を前記エゼクタの駆動流体として前記エゼクタに供給するエゼクタ駆動用流路と、
前記エゼクタから吐出された水を前記蒸発器に送液する蒸発器送液流路と、を備える、化学蓄熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水利用システム、及び化学蓄熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、化学蓄熱材の反応媒体として水が用いられる化学蓄熱システムが知られている。化学蓄熱システムは、水蒸気を発生させる蒸発器と、水蒸気を凝縮させる復水器とを備えている。復水器で凝縮された水を蒸発器に送液することで、化学蓄熱システム内において水を再利用することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化学蓄熱システムにおいて、復水器で凝縮された水を蒸発器に送液するために電動ポンプが用いられる。一方、蒸発器において、水の加熱効率を高めるという観点から、蒸発器内の水を循環させることが好ましい。ところが、蒸発器内の水を循環させるために、さらに電動ポンプを増設すると、例えば、電気配線の複雑化を招くおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する水利用システムは、化学蓄熱システム内で水を利用する用途に用いられる水利用システムであって、化学蓄熱システム内で使用する水蒸気を発生させる蒸発器と、前記化学蓄熱システム内で発生した水蒸気を凝縮させる復水器と、前記復水器で凝縮された水を前記蒸発器に供給する水利用経路と、を備え、前記水利用経路は、電動ポンプと、エゼクタと、前記蒸発器内の水及び前記復水器内の水のうち、一方の水を前記電動ポンプに吸引させるポンプ吸引用流路と、前記蒸発器内の水及び前記復水器内の水のうち、他方の水を前記エゼクタの吸引流体として前記エゼクタに吸引させるエゼクタ吸引用流路と、前記電動ポンプから吐出された水を前記エゼクタの駆動流体として前記エゼクタに供給するエゼクタ駆動用流路と、前記エゼクタから吐出された水を前記蒸発器に送液する蒸発器送液流路と、を備える。
【0006】
この構成によれば、復水器で凝縮された水を蒸発器に送る送液と、蒸発器内の水を循環させる送液とを電動ポンプとエゼクタとを用いて行うことができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、復水器で凝縮された水を蒸発器に送る送液と、蒸発器内の水を循環させる送液とを電動ポンプの増設を回避して行うことが可能となる効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態における化学蓄熱システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、化学蓄熱システムの蓄熱動作を説明する概略図である。
【
図3】
図3は、化学蓄熱システムの再生動作を説明する概略図である。
【
図4】
図4は、水利用システムの水利用動作を説明する概略図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態における化学蓄熱システムの要部を示す概略図である。
【
図6】
図6は、水利用システムの水利用動作を説明する概略図である。
【
図7】
図7は、水利用システムの水利用動作を説明する概略図である。
【
図8】
図8は、水利用動作の流れを説明するフロー図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態における化学蓄熱システムの要部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、水利用システム、及び化学蓄熱システムの第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
<化学蓄熱システム及び水利用システムの全体構成>
図1に示すように、化学蓄熱システム11は、化学蓄熱反応器21と、回収器31と、復水器41と、蒸発器51とを備えている。化学蓄熱システム11は、排熱源HSの熱を蓄熱した後、排熱源HSよりも高い温度の放熱を行うケミカルヒートポンプとして用いることができる。化学蓄熱システム11は、放熱動作時に水蒸気を加熱対象61に送ることができる。
【0011】
化学蓄熱システム11は、化学蓄熱システム11内で水を利用する水利用システムを備えている。水利用システムは、蒸発器51と、復水器41と、復水器41で凝縮された水を蒸発器51に供給する水利用経路71とを備えている。
【0012】
<化学蓄熱反応器>
化学蓄熱反応器21は、化学蓄熱システム11は、水を反応媒体とする化学蓄熱材HMを有する。すなわち、化学蓄熱材HMは、化学蓄熱システム11の蓄熱動作時に脱水反応し、化学蓄熱システム11の放熱動作時に水和反応する。化学蓄熱材HMは、粉体状の材料であることが好ましい。化学蓄熱材HMは、脱水反応及び水和反応を行う化学蓄熱物質のみから構成されてもよいし、化学蓄熱物質を水蒸気透過性樹脂等の水蒸気透過性のバインダーで結合した材料であってもよい。化学蓄熱物質としては、例えば、アルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられる。化学蓄熱材HMは、一種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
化学蓄熱物質の一種である塩化カルシウムの脱水反応及び水和反応は、例えば、下記式(A)で表される。
CaCl2・H2O+H2O⇔CaCl2・2H2O・・・(A)
化学蓄熱反応器21は、化学蓄熱材HMと熱交換可能に設けられる第1熱交換器22を備えている。化学蓄熱反応器21は、化学蓄熱材HMから発生した熱を利用して第1熱交換器22の流路内で飽和蒸気を発生させる。化学蓄熱反応器21は、化学蓄熱材HMと第1熱交換器22とを収容する第1容器23を備えている。化学蓄熱反応器21の第1容器23は、化学蓄熱材HMの水和反応に用いられる水蒸気を導入可能に構成されている。また、化学蓄熱反応器21の第1容器23は、化学蓄熱材HMの脱水反応で生じる水蒸気が排出されるように構成されている。
【0014】
化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22としては、例えば、フィンチューブ型の熱交換器、フィンレス熱交換器等が挙げられる。なお、以下で説明する熱交換器についても、特段の説明がない限り同様の熱交換器を用いることができる。
【0015】
<回収器>
回収器31は、水蒸気を吸収する吸収材LMを有している。回収器31は、化学蓄熱反応器21の化学蓄熱材HMから発生した水蒸気を吸収材LMにより回収する。回収器31は、吸収材LMと熱交換可能に設けられる第2熱交換器32と、吸収材LMと第2熱交換器32とを収容する第2容器33とを備えている。
【0016】
吸収材LMは、化学蓄熱材HMを脱水反応させる温度を下げるために用いられる。吸収材LMを用いることで、より低い温度の排熱であっても、化学蓄熱材HMの脱水反応を進行させて蓄熱することが可能となる。吸収材LMとしては、排熱源HSの温度において、脱水反応可能な物質が用いられる。これにより、排熱源HSの熱を利用して吸収材LMを再生することができる。
【0017】
冷却源CSの温度における吸収材LMの平衡蒸気圧VP2Cは、排熱源HSの温度における化学蓄熱材HMの平衡蒸気圧VP1Hよりも低いことで、化学蓄熱材HMの脱水反応を好適に促進することができる。一方、排熱源HSの温度における吸収材LMの平衡蒸気圧VP2Hは、同じく排熱源HSの温度における化学蓄熱材HMの平衡蒸気圧VP1Hよりも高いことが好ましい。このような吸収材LMは、化学蓄熱材HMよりも脱水し易いため、排熱源HSを用いて吸収材LMを再生することで、次の蓄熱動作に効率的に使用することができる。また、排熱源HSの温度における吸収材LMの平衡蒸気圧VP2Hは、冷却源CSの温度における水の平衡蒸気圧VP3Cよりも高いことが好ましい。これにより、排熱源HSにより吸収材LMを加熱して発生した水蒸気を冷却源CSによる冷却で凝縮させることで、吸収材LMの再生を効率的に行うことができる。
【0018】
吸収材LMとしては、例えば、ゼオライト、水酸化リチウム、硫酸マグネシウム、臭化ストロンチウム、活性炭、多孔性金属錯体(MOF)等が挙げられる。吸収材LMは、一種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
吸収材LMの一種である臭化ストロンチウムの脱水反応及び水和反応は、例えば、下記式(B)で表される。
SrBr2・H2O+5H2O⇔SrBr2・6H2O・・・(B)
<復水器>
復水器41は、吸収材LMから発生した水蒸気を凝縮させる。また、復水器41は、回収器31を冷却する。復水器41は、冷却源CSから供給される冷却媒体を流通する第3熱交換器42と、第3熱交換器42を収容する第3容器43とを備えている。第3熱交換器42は、復水器41の第3容器43内に流入される水蒸気を冷却することで、凝縮させる。
【0020】
復水器41は、回収器31の第2熱交換器32に水を供給するように構成されている。また、復水器41は、回収器31の第2熱交換器32を通じた水が流入されるように構成されている。復水器41は、例えば、第3容器43内に設けたノズル44を有している。ノズル44は、回収器31の第2熱交換器32を通じた水を第3容器43内に噴出することができる。第3容器43内では、ノズル44から噴出された水のフラッシュ蒸発を利用して水を冷却してもよい。第3容器43内の圧力条件を、回収器31の第2熱交換器32を通じた水の温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力条件とすることで、フラッシュ蒸発を利用した水の冷却を行うことができる。
【0021】
<蒸発器>
蒸発器51は、化学蓄熱材HMと反応させる水蒸気を化学蓄熱反応器21に供給する。蒸発器51は、排熱源HSから加熱媒体が供給される第4熱交換器52と、第4熱交換器52を収容する第4容器53とを備えている。蒸発器51の第4熱交換器52は、蒸発用流体である水W1を加熱することで、水蒸気を発生させる。
【0022】
<水利用経路>
水利用経路71は、第1電動ポンプ72とエゼクタ73とを備えている。水利用経路71は、蒸発器51内の水W1を第1電動ポンプ72に吸引させるポンプ吸引用流路74と、復水器41内の水W2をエゼクタ73の吸引流体としてエゼクタ73に吸引させるエゼクタ吸引用流路75とを備えている。水利用経路71は、第1電動ポンプ72から吐出された水W1をエゼクタ73の駆動流体としてエゼクタ73に供給するエゼクタ駆動用流路76を備えている。水利用経路71は、エゼクタ73から吐出された水、すなわち、水W1と水W2の混合水を蒸発器51に送液する蒸発器送液流路77を備えている。
【0023】
本実施形態の第1電動ポンプ72は、例えば、渦巻ポンプ等の非容積式ポンプである。エゼクタ73は、供給される駆動流体が吐出する際に内部に負圧を発生させることができる。エゼクタ73は、内部で発生した負圧によって駆動流体とは異なる吸引流体を吸引する。エゼクタ73は、吸引流体を駆動流体とともに吐出する。エゼクタ73は、ノズル、ディフューザー等を備えている。水利用経路71の不使用時には、エゼクタ吸引用流路75に設けられた開閉弁を閉じることが好ましい。これにより、エゼクタ73から復水器41への水の逆流を防止することができる。
【0024】
<流路構成>
次に、化学蓄熱システム11の蓄熱動作、再生動作、及び放熱動作に用いられる流路について説明する。まず、化学蓄熱システム11の蓄熱動作に用いられる流路について説明する。
【0025】
図2に示すように、化学蓄熱システム11は、化学蓄熱反応器21から回収器31に水蒸気WV1を送る回収用水蒸気流路L1を有している。化学蓄熱システム11は、蒸発器51で加熱した水W1を第1電動ポンプ72によって化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に送る反応器加熱用流路L2と、第1熱交換器22を通じた水W1を蒸発器51に戻す蒸発器用第1流路L3とを有している。
【0026】
化学蓄熱システム11は、復水器41で冷却した水W2を第2電動ポンプ81によって回収器31の第2熱交換器32に送る回収器冷却用流路L4と、第2熱交換器32を通じた水W2を復水器41に戻す復水器用第1流路L5とを有している。このように、復水器41と回収器31との間には、復水器41で冷却した水W2を回収器31の第2熱交換器32に循環可能にする流路を有している。
【0027】
次に、化学蓄熱システム11の再生動作に用いられる流路について説明する。
図3に示すように、化学蓄熱システム11は、回収器31から復水器41に水蒸気WV2を送る復水器用第2流路L6を有している。化学蓄熱システム11は、蒸発器51で加熱した水W1を第1電動ポンプ72によって回収器31の第2熱交換器32に送る回収器加熱用流路L7と、第2熱交換器32を通じた水W1を蒸発器51に戻す蒸発器用第2流路L8とを有している。
【0028】
化学蓄熱システム11は、
図2に示される回収器冷却用流路L4と
図3に示される回収器加熱用流路L7とが切り替え可能に構成されている。これにより、回収器冷却用流路L4を用いる化学蓄熱材HMの蓄熱と、回収器加熱用流路L7を用いる吸収材LMの再生とを交互に行うことができる。なお、回収器冷却用流路L4と回収器加熱用流路L7との切り替えは、バルブの開閉により行うことができる。
【0029】
次に、化学蓄熱システム11の放熱動作に用いられる流路について説明する。
図1及び
図4に示すように、化学蓄熱システム11は、蒸発器51で発生された水蒸気WV3を化学蓄熱反応器21に送る反応器用水蒸気流路L9を有している。
図1に示すように、化学蓄熱システム11は、化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22内の水蒸気を加熱対象61に送る蒸気供給流路L10を備えている。加熱対象61は、特に限定されない。加熱対象61としては、例えば、蒸気発生装置等が挙げられる。
【0030】
<化学蓄熱システムの動作>
次に、化学蓄熱システム11の動作の一例について説明する。
(化学蓄熱システムの蓄熱動作)
図2に示すように、化学蓄熱システム11の蓄熱動作では、化学蓄熱反応器21の化学蓄熱材HMから排出される水蒸気WV1を回収器31により回収する。詳述すると、化学蓄熱反応器21の化学蓄熱材HMから排出される水蒸気WV1は、回収用水蒸気流路L1を通じて回収器31に送られる。回収器31の第2熱交換器32には、復水器41内の水W2が回収器冷却用流路L4を通じて送られる。
【0031】
回収器31の第2熱交換器32に送られた水W2は、復水器用第1流路L5を通じて復水器41に戻される。このように復水器41で冷却された水W2は、回収器冷却用流路L4及び復水器用第1流路L5を通じて、復水器41と回収器31の第2熱交換器32との間を循環される。
【0032】
化学蓄熱反応器21の化学蓄熱材HMから排出される水蒸気WV1が回収器31に送られることで、化学蓄熱材HMの脱水反応が行われる。ここで、化学蓄熱材HMの脱水反応の進行に伴って、化学蓄熱材HMの温度が低下する。化学蓄熱材HMの温度が排熱源HSの加熱媒体の温度よりも低くなったとき、蒸発器51で加熱した水W1を反応器加熱用流路L2及び蒸発器用第1流路L3を通じて、化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22と蒸発器51との間を循環させる。蒸発器51は、排熱源HSから蒸発器51の第4熱交換器52に加熱媒体が供給されることで、水W1を加熱することができる。
【0033】
上記のように排熱源HSを利用して化学蓄熱反応器21の化学蓄熱材HMを加熱することで、化学蓄熱材HMの脱水反応を進行させる。化学蓄熱システム11の蓄熱動作は、化学蓄熱反応器21と回収器31との間のバルブを閉じることにより停止させることができる。
【0034】
(化学蓄熱システムの再生動作)
図3に示すように、化学蓄熱システム11の再生動作では、回収器31の吸収材LMから排出される水蒸気WV2を復水器41によって凝縮させる。詳述すると、回収器31の吸収材LMから排出される水蒸気WV2は、復水器用第2流路L6を通じて復水器41に送られる。復水器41の第3熱交換器42には、冷却源CSから冷却媒体が供給されている。化学蓄熱システム11の再生動作は、回収器31と復水器41との間のバルブを閉じることにより、停止させることができる。
【0035】
(化学蓄熱システムの放熱動作)
図4に示すように、化学蓄熱システム11の放熱動作では、排熱源HSから蒸発器51の第4熱交換器52に加熱媒体を供給することで、蒸発器51で水蒸気WV3を発生させる。蒸発器51で発生させた水蒸気WV3は、
図1及び
図4に示される反応器用水蒸気流路L9を通じて化学蓄熱反応器21に送られる。これにより、化学蓄熱反応器21の化学蓄熱材HMの水和反応が行われる。
【0036】
化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22の流路内の水は、化学蓄熱材HMの水和反応による発熱により加熱される。これにより、第1熱交換器22の流路内において水蒸気を発生させることができる。第1熱交換器22の流路内の水蒸気は、
図1に示される蒸気供給流路L10を通じて加熱対象61に送られる。化学蓄熱システム11の放熱動作は、蒸発器51と化学蓄熱反応器21との間のバルブを閉じることにより停止することができる。
【0037】
化学蓄熱システム11では、放熱動作の前に、蒸発器51で加熱した水W1を、上記反応器加熱用流路L2を通じて化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に送ることが好ましい。
【0038】
(水利用経路の水利用動作)
次に、水利用経路71の水利用動作について説明する。
図4に示すように、水利用経路71の水利用動作は、化学蓄熱システム11の放熱動作中に行われる。水利用動作において、蒸発器51内の水W1は、ポンプ吸引用流路74を通じて第1電動ポンプ72に吸引される。第1電動ポンプ72は、エゼクタ駆動用流路76を通じてエゼクタ73に水W1を供給する。このとき、復水器41内の水W2は、エゼクタ吸引用流路75を通じてエゼクタ73に吸引される。エゼクタ73に吸引された復水器41内の水W2は、エゼクタ73の駆動流体である水W1と混合された後、エゼクタ73から吐出される。エゼクタ73から吐出された水(水W1と水W2との混合水)は、蒸発器送液流路77を通じて蒸発器51に送液される。このように水利用動作では、復水器41で凝縮された水W2を蒸発器51に送る第1の送液と、蒸発器51内の水W1を循環させる第2の送液とを、第1電動ポンプ72とエゼクタ73とを用いて行うことができる。
【0039】
<化学蓄熱システムの使用方法>
以上の化学蓄熱システム11の使用方法は、上記蓄熱動作を行う蓄熱ステップと、上記再生動作を行う再生ステップと、上記放熱動作を行う放熱ステップとを備えている。蓄熱ステップと放熱ステップとは、交互に繰り返すことができる。再生ステップは、蓄熱ステップの後、次の蓄熱ステップを開始するまでに行うことができる。化学蓄熱システム11の使用方法では、上述した回収器加熱用流路L7を用いて吸収材LMを再生する再生ステップと、上述した回収器冷却用流路L4を用いて化学蓄熱材HMに蓄熱する蓄熱ステップとを切り替えることができる。
【0040】
本実施形態の放熱ステップでは、上述した水利用動作を行うことで、復水器41で凝縮された水W2を蒸発器51で再利用することができるとともに、蒸発器51内の水を循環させることで蒸発器51内の水W1の加熱効率を高めることができる。
【0041】
<作用及び効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1-1)水利用システムは、化学蓄熱システム11内で水を利用する用途に用いられる。水利用システムは、化学蓄熱システム11内で使用する水蒸気WV3を発生させる蒸発器51と、化学蓄熱システム11内で発生した水蒸気WV2を凝縮させる復水器41とを備えている。水利用システムは、復水器41で凝縮された水W2を蒸発器51に供給する水利用経路71を備えている。水利用経路71は、第1電動ポンプ72とエゼクタ73とを備えている。水利用経路71は、蒸発器51内の水W1を第1電動ポンプ72に吸引させるポンプ吸引用流路74と、復水器41内の水W2をエゼクタ73の吸引流体としてエゼクタ73に吸引させるエゼクタ吸引用流路75とを備えている。水利用経路71は、第1電動ポンプ72から吐出された水W1をエゼクタ73の駆動流体としてエゼクタ73に供給するエゼクタ駆動用流路76と、エゼクタ73から吐出された水を蒸発器51に送液する蒸発器送液流路77とを備えている。
【0042】
この構成によれば、復水器41で凝縮された水W2を蒸発器51に送る第1の送液と、蒸発器51内の水W1を循環させる第2の送液とを、第1電動ポンプ72とエゼクタ73とを用いて行うことができる。従って、第1の送液と第2の送液とを電動ポンプの増設を回避して行うことが可能となる。これにより、例えば、電動ポンプの増設に伴う電気配線の複雑化を回避することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態のポンプ吸引用流路74は、蒸発器51内の水W1を第1電動ポンプ72に吸引させる流路であるため、第1電動ポンプ72を用いて蒸発器51内の水W1を循環させる第2の送液における流量を容易に高めることが可能となる。従って、蒸発器51内の水W1の加熱効率をより高めることが可能となる。
【0044】
(1-2)化学蓄熱システム11は、復水器41で冷却された水W2を回収器31の第2熱交換器32に送る回収器冷却用流路L4と、蒸発器51で加熱した水W1を回収器31の第2熱交換器32に送る回収器加熱用流路L7とを備えている。回収器冷却用流路L4と回収器加熱用流路L7とは、切り替え可能に構成されている。なお、回収器加熱用流路L7を、蒸発器51で発生させた水蒸気を回収器31の第2熱交換器32に送るように変更することもできる。
【0045】
この場合、冷却源CSの冷却媒体の流路とは独立した回収器冷却用流路L4を通じる水W2と、排熱源HSの加熱媒体の流路とは独立した回収器加熱用流路L7を通じる水W1により回収器31を冷却及び加熱することができる。このため、回収器31の第2熱交換器32において、冷却源CSの冷却媒体に排熱源HSの加熱媒体が混入することを回避することができる。これにより、冷却源CSの系統は、排熱源HSの加熱媒体の性質の影響を受けることはない。また、回収器31の第2熱交換器32において、排熱源HSの加熱媒体に冷却源CSの冷却媒体が混入することを回避することができる。これにより、排熱源HSの系統は、冷却源CSの冷却媒体の性質の影響を受けることはない。従って、化学蓄熱システム11の導入先における冷却源CSの系統と排熱源HSの系統とを独立した状態に維持することが可能となる。
【0046】
(1-3)化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に排熱源HSの加熱媒体を供給する場合では、第1熱交換器22が排熱源HSの加熱媒体の性質や清浄度の影響を受けることになる。これにより、例えば、第1熱交換器22のメンテナンス等に手間を要するおそれがある。これに対して、本実施形態の化学蓄熱システム11は、蒸発器51で加熱した水W1を化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に送る反応器加熱用流路L2をさらに備えている。この場合、化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に供給される水W1の性質の安定化や清浄性の確保が容易である。これにより、例えば、化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22のメンテナンス等の手間を軽減することが可能となる。化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に蒸発器51で発生させた水蒸気を供給した場合であっても同様の作用及び効果を得ることができる。
【0047】
(第2実施形態)
第2実施形態について第1実施形態と異なる点を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0048】
図5に示すように、第2実施形態の水利用システムにおける水利用経路71は、バイパス流路78をさらに備えている。バイパス流路78は、第1電動ポンプ72から吐出された水W1をエゼクタ73に供給せずに蒸発器51内に戻す。バイパス流路78は、蒸発器送液流路77に接続されている。水利用経路71は、バイパス流路78とエゼクタ駆動用流路76とを切り替え可能に構成されている。バイパス流路78とエゼクタ駆動用流路76との切り替えは、バルブの開閉により行うことができる。
【0049】
本実施形態の水利用システムは、バイパス流路78を通じて蒸発器51内に戻される水W1の流量を計測する流量計79を備えている。水利用システムは、流量計79の計測結果に基づきバイパス流路78とエゼクタ駆動用流路76とを切り替える制御部(図示省略)を備えている。制御部は、流量計79で計測される流量が不足すると判定されたとき、バイパス流路78からエゼクタ駆動用流路76へ切り替える。このとき、流量計79は、エゼクタ73から蒸発器51内に送液される水の流量を計測することができる。なお、制御部は、流量計79で計測される流量が不足した状態から正常な状態となったと判定されたとき、バイパス流路78からエゼクタ駆動用流路76へ切り替えるように構成することもできる。制御部は、例えば、流量計79の信号が入力される入力部と、予め設定された閾値を記憶する記憶部と、閾値に基づいてバルブを開閉制御する開閉制御部とを備えている。制御部は、プロセッサ、メモリ、ソフトウェア等により構成することができる。
【0050】
次に、水利用システムの水利用動作について
図8のフロー図に従って説明する。
水利用動作では、第1電動ポンプ72を作動する(ステップS11)。ステップS11では、
図6に示すように、第1電動ポンプ72から吐出された水W1が、バイパス流路78を通じて蒸発器51内に戻される。このように蒸発器51内の水W1が循環されることで、蒸発器51内の水W1を効率的に加熱することが可能となる。
【0051】
ステップS12では、流量計79で計測される流量が不足しているか否かを判定する。ステップS12において、流量計79で計測される流量が不足していると判定された場合(ステップS12:YES)、ステップS13へと進む。ステップS12において、流量計79で計測される流量が不足していると判定されなかった場合(ステップS12:NO)、ステップS12が繰り返される。
【0052】
ステップS12における流量計79で計測される流量は、第1電動ポンプ72の送水量に相当する。第1電動ポンプ72の吸い込み側の圧力は、蒸発器51内の水W1の量が低下するにつれて低下する。これにより、第1電動ポンプ72から吐出する水W1の量が不安定となることで、第1電動ポンプ72の送水量が低下する。すなわち、流量計79で計測される流量の低下に基づいて、蒸発器51内の水W1の量が低下していることが分かる。
【0053】
ステップS13では、エゼクタ73が作動される。詳述すると、ステップS13では、
図7に示すように、第1電動ポンプ72から吐出された水W1がエゼクタ73に供給されることで、復水器41内の水W2が蒸発器51内に供給される。蒸発器51内の水W1の量が増加することで、第1電動ポンプ72からの水W1の吐出が安定する。これにより、流量計79で計測される水W1の流量が増大する。
【0054】
ステップS14では、流量計79で計測される流量が正常であるか否かを判定する。すなわち、ステップS14では、流量計79で計測される流量の低下が解消され、所定値を超える流量が確保されているか否かを判定する。ステップS14において、流量計79で計測される流量が正常であると判定された場合(ステップS14:YES)、ステップS15へと進む。ステップS14において、流量計79で計測される流量が正常であると判定されなかった場合(ステップS14:NO)、ステップS14が繰り返される。
【0055】
ステップS15では、エゼクタ73が停止される。すなわち、
図6に示すように、第1電動ポンプ72から吐出された水W1は、バイパス流路78を通じて蒸発器51内に戻される。ステップS15の後、ステップS12へと進む。このような一連の水利用動作は、放熱動作中に行われる。水利用動作は、放熱動作の停止とともに停止される。
【0056】
第2実施形態の作用及び効果について説明する。
(2-1)第2実施形態の水利用システムについても、第1実施形態の(1-1)欄に記載の効果と同様の効果が得られる。第2実施形態の化学蓄熱システム11についても、第1実施形態の(1-2)欄及び(1-3)欄に記載の効果と同様の効果が得られる。
【0057】
(2-2)第2実施形態の水利用システムにおける水利用経路71は、バイパス流路78をさらに備えている。バイパス流路78は、第1電動ポンプ72から吐出された水W1をエゼクタ73に供給せずに蒸発器51内に戻す。水利用経路71は、バイパス流路78とエゼクタ駆動用流路76とを切り替え可能に構成されている。この場合、エゼクタ73を用いた復水器41内の水W2を蒸発器51内に供給することが必要なときのみにエゼクタ73を作動させることで、第1電動ポンプ72の動力を節約することが可能となる。従って、復水器41で凝縮された水W2を蒸発器51に送る第1の送液と、蒸発器51内の水W1を循環させる第2の送液とを効率的に行うことができる。
【0058】
(2-3)水利用システムは、バイパス流路78を通じて蒸発器51内に戻される水W1の流量を計測する流量計79をさらに備えている。水利用システムは、流量計79の計測結果に基づきバイパス流路78とエゼクタ駆動用流路76とを切り替える制御部とをさらに備えている。制御部は、流量計79で計測される流量が不足すると判定されたとき、バイパス流路78からエゼクタ駆動用流路76へ切り替える。この場合、バイパス流路78からエゼクタ駆動用流路76へ切り替えを適切なタイミングで容易に行うことができる。
【0059】
(第3実施形態)
第3実施形態について第1実施形態と異なる点を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0060】
図9に示すように、第3実施形態の水利用システムにおける水利用経路71は、ポンプ吸引用流路74とエゼクタ吸引用流路75との接続が第1実施形態と異なる。第3実施形態のポンプ吸引用流路74は、復水器41内の水W2を第1電動ポンプ72に吸引させる。第3実施形態のエゼクタ吸引用流路75は、蒸発器51内の水W1をエゼクタ73の吸引流体としてエゼクタ73に吸引させる。
【0061】
水利用経路71は、第1電動ポンプ72から吐出された水W2をエゼクタ73の駆動流体としてエゼクタ73に供給するエゼクタ駆動用流路76と、エゼクタ73から吐出された水を蒸発器51に送液する蒸発器送液流路77とを備えている。
【0062】
第3実施形態の水利用システムの水利用動作において、復水器41内の水W2は、ポンプ吸引用流路74を通じて第1電動ポンプ72に吸引される。第1電動ポンプ72は、エゼクタ駆動用流路76を通じてエゼクタ73に水W1を供給する。このとき、蒸発器51内の水W1は、エゼクタ吸引用流路75を通じてエゼクタ73に吸引される。エゼクタ73に吸引された蒸発器51内の水W1は、エゼクタ73の駆動流体である水W2と混合された後、エゼクタ73から吐出される。エゼクタ73から吐出された水(水W1と水W2との混合水)は、蒸発器送液流路77を通じて蒸発器51に送液される。このように水利用動作では、復水器41で凝縮された水W2を蒸発器51に送る第1の送液と、蒸発器51内の水W1を循環させる第2の送液とを、第1電動ポンプ72とエゼクタ73とを用いて行うことができる。
【0063】
第3実施形態の水利用システムの水利用動作では、復水器41で凝縮された水W2を蒸発器51に送る第1の送液を行うときのみに、蒸発器51内の水W1を循環させることができる。
【0064】
第3実施形態の作用及び効果について説明する。
(3-1)第3実施形態の水利用システムについても、第1実施形態の(1-1)欄に記載の効果と同様の効果が得られる。第2実施形態の化学蓄熱システム11についても、第1実施形態の(1-2)欄及び(1-3)欄に記載の効果と同様の効果が得られる。
【0065】
<変更例>
上記実施形態を次のように変更してもよい。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0066】
・第2実施形態において、流量計79を省略し、蒸発器51内の水量を計測する液面計を設けることもできる。すなわち、水利用システムの制御部は、液面計の計測結果に基づきバイパス流路78とエゼクタ駆動用流路76とを切り替えるように構成することもできる。制御部は、例えば、液面計で計測される液量が不足すると判定されたとき、バイパス流路78からエゼクタ駆動用流路76へ切り替える。この場合であっても、上記第2実施形態の(2-3)欄に記載の効果と同様の効果が得られる。
【0067】
・第2実施形態の水利用システムにおいて、バイパス流路78とエゼクタ駆動用流路76とを手動で切り替えることもできる。
・第3実施形態の水利用システムにおいて、蒸発器51内の水量を計測する液面計を設けるとともに、液面計で計測される水量に基づき第1電動ポンプ72を作動するように構成してもよい。
【0068】
・上記化学蓄熱システム11では、
図2に示すように、蒸発器51で加熱した水W1を化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に供給しているが、排熱源HSの加熱媒体を化学蓄熱反応器21の第1熱交換器22に供給するように変更することもできる。
【0069】
・上記化学蓄熱システム11では、
図3に示すように、蒸発器51で加熱した水W1を回収器31の第2熱交換器32に送る回収器加熱用流路L7を備えているが、この流路を省略してもよい。すなわち、回収器31の第2熱交換器32に排熱源HSの加熱媒体を供給するように変更してもよい。
【0070】
・上記化学蓄熱システム11の蓄熱動作において、化学蓄熱材HMから発生する水蒸気WV1の回収は、復水器41と回収器31とを用いて行うこともできる。すなわち、上記蓄熱方法において、化学蓄熱材HMの脱水反応を行う蓄熱ステップは、復水器作動ステップと、復水器作動ステップの後に行う回収器作動ステップとを含んでもよい。復水器作動ステップでは、化学蓄熱材HMから発生する水蒸気WV1を復水器41に導入する。回収器作動ステップでは、化学蓄熱材HMから発生する水蒸気WV1を回収器31に導入する。
【0071】
・上記水利用システムは、上記化学蓄熱システム11以外の化学蓄熱システムに適用することもできる。
【符号の説明】
【0072】
11…化学蓄熱システム
21…化学蓄熱反応器
31…回収器
41…復水器
51…蒸発器
71…水利用経路
72…第1電動ポンプ
73…エゼクタ
74…ポンプ吸引用流路
75…エゼクタ吸引用流路
76…エゼクタ駆動用流路
77…蒸発器送液流路
78…バイパス流路
79…流量計
HM…化学蓄熱材
LM…吸収材
W1,W2…水
WV1,WV2,WV3…水蒸気