(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025003264
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報集約方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241226BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189356
(22)【出願日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】P 2023103582
(32)【優先日】2023-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522412404
【氏名又は名称】株式会社インフォボックス
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】平沼 海統
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】担当変更等の実情が反映された情報を複数の企業間で利用でき、業務効率を効果的に向上する。
【解決手段】情報処理装置は、複数のユーザが使用する所定のコンタクト情報管理システムが管理する所定のコンタクト情報を前記ユーザからの許諾に基づいて取得するコンタクト情報取得手段と、取得した複数の前記コンタクト情報を分析して同一人物の情報と推定される前記コンタクト情報を関連付けて記憶するコンタクト情報関連付け手段と、関連付けて記憶した複数の前記コンタクト情報について正確な情報と推定される内容に集約するコンタクト情報集約手段と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザが使用する所定のコンタクト情報管理システムが管理する所定のコンタクト情報を前記ユーザからの許諾に基づいて取得するコンタクト情報取得手段と、
取得した複数の前記コンタクト情報を分析して同一人物の情報と推定される前記コンタクト情報を関連付けて記憶するコンタクト情報関連付け手段と、
関連付けて記憶した複数の前記コンタクト情報について正確な情報と推定される内容に集約するコンタクト情報集約手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記コンタクト情報集約手段は、前記コンタクト情報の内容について、前記コンタクト情報取得手段が取得した時系列に基づいて最新の情報を優先して集約する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記コンタクト情報集約手段は、前記コンタクト情報の内容について、前記コンタクト情報取得手段が取得した件数に基づいて最も件数が多い情報を優先して集約する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記コンタクト情報集約手段は、前記コンタクト情報の内容について、集約が困難と判断した場合に管理者にその旨を報知する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
集約した前記コンタクト情報の内容を前記コンタクト情報管理システムに送信するコンタクト情報反映手段を、さらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数のユーザが使用する所定のコンタクト情報管理システムが管理する所定のコンタクト情報を前記ユーザからの許諾に基づいて取得するコンタクト情報取得ステップと、
取得した複数の前記コンタクト情報を分析して同一人物の情報と推定される前記コンタクト情報を関連付けて記憶するコンタクト情報関連付けステップと、
関連付けて記憶した複数の前記コンタクト情報について正確な情報と推定される内容に集約するコンタクト情報集約ステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項7】
複数のユーザが使用する所定のコンタクト情報管理システムが管理する所定のコンタクト情報を前記ユーザからの許諾に基づいて取得するコンタクト情報取得ステップと、
取得した複数の前記コンタクト情報を分析して同一人物の情報と推定される前記コンタクト情報を関連付けて記憶するコンタクト情報関連付けステップと、
関連付けて記憶した複数の前記コンタクト情報について正確な情報と推定される内容に集約するコンタクト情報集約ステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報集約方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネット等の通信ネットワークを利用してユーザに企業に関する情報を提供する技術が知られている。この種の技術が記載されるものとして例えば特許文献1がある。
【0003】
特許文献1は、様々な企業情報のデータを保有する報道機関、金融機関、信用調査会社等の民間企業又は行政庁の情報リソースを導入・活用して、中小企業を含む日本全国の企業に関する最新情報を統合・一元化処理して収集・運用管理するシステムに関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に買い手となる企業に対して売り手となる企業は複数存在する。買い手となる企業の担当者は、複数の売り手となる企業の担当者から営業に関する連絡を受けることになるが、異動等によって担当者が変更されている場合がある。このような担当変更が行われたとしても、売り手となる企業は事業を知らないため、過去の担当者に営業の連絡を行うことになる。
【0006】
互いに競合他社となる売り手側の各企業は、顧客又は顧客候補に関する情報を共有していないため、過去の担当者は、営業の連絡があるたびに部署や役割が変わっていることを伝えなければならない。売り手側にとっても、営業の連絡が二度手間となってしまうため、買い手及び売り手の双方にとって非効率的である。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、担当変更等の実情が反映された情報を複数の企業間で利用でき、業務効率を効果的に向上させることができる情報処理装置、情報集約方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、複数のユーザが使用する所定のコンタクト情報管理システムが管理する所定のコンタクト情報を前記ユーザからの許諾に基づいて取得するコンタクト情報取得手段と、取得した複数の前記コンタクト情報を分析して同一人物の情報と推定される前記コンタクト情報を関連付けて記憶するコンタクト情報関連付け手段と、関連付けて記憶した複数の前記コンタクト情報について正確な情報と推定される内容に集約するコンタクト情報集約手段と、を有する情報処理装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、担当変更等の実情が反映された情報を複数の企業間で利用でき、業務効率を効果的に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る情報集約システムを示す図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る情報処理装置の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る情報処理装置による情報集約及び更新を模式的に示す図である。
【
図5】本実施形態に係る情報処理装置による情報集約処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<システム構成>
まず、全体的なシステム構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置1が適用される情報集約システム100を示す図である。
情報集約システム100は、ユーザであるA社~D社のそれぞれに利用されるコンタクト情報管理システム2a~2dから営業先(顧客)に関するコンタクト情報を集約し、当該コンタクト情報を最新のものに更新するサービスを提供する。情報集約システム100は、インターネット等の通信ネットワークを介してコンタクト情報管理システム2a~2dと情報のやり取りを行う情報処理装置1によって実現される。
【0012】
コンタクト情報管理システム2a~2dは、例えば、CRM(Customer Relationship Management)やSFA(Sales Force Automation)等の営業支援システムである。
【0013】
コンタクト情報管理システム2a~2dは、顧客又は営業先候補の担当者等の人物に関する所定のコンタクト情報を管理する。コンタクト情報は、例えば、メールアドレス等の人物との連絡手段となるようなビジネスアカウント、人物が所属する所属先組織名、人物の役職、人物の組織内の活動内容、人物の興味関心等の人物に関する情報である。
【0014】
A社のコンタクト情報管理システム2a、B社のコンタクト情報管理システム2b、C社のコンタクト情報管理システム2c及びD社のコンタクト情報管理システム2dは、コンタクト情報を共有している訳ではなく、それぞれが会社独自のコンタクト情報を有している。
【0015】
コンタクト情報管理システム2a~2dは、例えば、クラウドサービスとして不図示のサービス提供者からA社~D社の各社に提供される。コンタクト情報管理システム2a~2dは、同一のサービス提供者であってもよいし、異なるサービス提供者であってもよい。また、コンタクト情報管理システム2a~2dは、ローカルの社内ネットワークのサービスとしてサービス提供者によって提供されてもよい。
【0016】
<ハードウェア構成>
次に、情報処理装置1を構成するハードウェアの一例について説明する。
図2は、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0017】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
【0018】
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0019】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0020】
なお、コンタクト情報管理システム2a~2dも、各社に配置され、
図2と同様の構成を有するコンピュータ上に実現される。また、ここで説明したハードウェア構成はあくまで一例である。情報処理装置1を含む本実施形態で説明するコンピュータは、
図2の構成とは異なる構成でもよいし、2以上のコンピュータによって構成されてもよい。
【0021】
<機能的構成>
次に、情報処理装置1の機能的構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4は、本実施形態に係る情報処理装置1による情報集約及び更新を模式的に示す図である。
【0022】
図3に示すように、情報処理装置1は、コンタクト情報取得部31と、コンタクト情報関連付け部32と、コンタクト情報集約部33と、コンタクト情報反映部34と、をプロセッサ(CPU)上で実現される機能部として備える。
【0023】
≪コンタクト情報取得部31≫
コンタクト情報取得部31(コンタクト情報取得手段)は、事前にアクセス権限をユーザ(A社~D社)から付与され、当該アクセス権限に基づいてコンタクト情報をコンタクト情報管理システム2a~2dから取得する。コンタクト情報取得部31がコンタクト情報管理システム2a~2dからコンタクト情報を取得する方法は特に限定される訳ではない。コンタクト情報取得部31は、例えば、API(Application Programming Interface)を利用してコンタクト情報を取得する。取得されたコンタクト情報は、例えば、コンタクト情報記憶部41に記憶される。なお、コンタクト情報取得部31は、複数のユーザが使用する所定のコンタクト情報管理システムが管理する所定のコンタクト情報をユーザからの許諾に基づいて取得すると捉えることもできる。
【0024】
図4に示すように、コンタクト情報取得部31は、複数のコンタクト情報管理システム2a~2dのそれぞれからコンタクト情報を取得する。この例では、ある会社(
図4における「株式会社サンプル」)に所属する人物のコンタクト情報が取得される。上述の通り、ユーザ(A社~D社)間では、コンタクト情報は共有されておらず、情報処理装置1にコンタクト情報が集約される形となる。
【0025】
≪コンタクト情報関連付け部32≫
コンタクト情報関連付け部32(コンタクト情報関連付け手段)は、コンタクト情報取得部31によって取得されたコンタクト情報を分析し、同一人物の情報(もの)と推定されるコンタクト情報を関連付けて記憶する。
【0026】
コンタクト情報関連付け部32は、例えば、コンタクト情報記憶部41からユーザごとに取得されたコンタクト情報を読み出し、同一人物と推定できるコンタクト情報が存在するか否かを判定する。コンタクト情報関連付け部32は、同一人物と推定できるコンタクト情報が存在する場合、同一人物と推定できるコンタクト情報を一つのグループとみなすように関連付けて関連性情報記憶部42に記憶する。
【0027】
コンタクト情報関連付け部32による同一人物の推定は、例えば、コンタクト情報に含まれる人物の氏名を利用できる。また、住所、生誕日等の情報がコンタクト情報に含まれる場合はこれらの情報を組み合わせることもできる。
【0028】
なお、本実施形態のコンタクト情報関連付け部32は、同じ氏名のコンタクト情報が他になく、同一人物と推定できないと判定した場合に、関連付けできなかったことを示すアラーム情報を管理者端末5に送信する機能を有してもよい。管理者端末5は、情報処理装置1を管理する管理者のコンピュータである。管理者は、アラーム情報を通じて同一人物と推定できなかった情報がコンタクト情報記憶部41に記憶されていることを把握することができる。
【0029】
≪コンタクト情報集約部33≫
コンタクト情報集約部33(コンタクト情報集約手段)は、関連付けて記憶した複数のコンタクト情報に対して正確な情報(最新の情報)と推定される内容を設定する。
なお、コンタクト情報集約部33は、関連付けて記憶した複数のコンタクト情報について正確な情報と推定される内容に集約すると捉えることもできる。
【0030】
また、本実施形態のコンタクト情報集約部33は、更新ができないと判定した場合に、更新ができなかったことを示すアラーム情報を管理者端末5に送信する(集約が困難と判断した場合に管理者にその旨を報知する)機能を有する。更新できるか否かは、予め設定される所定のルールに基づいて判定される。例えば、各ユーザのコンタクト情報の内容が全てことなっていたり、一致度が極めて低かったりする場合等に更新できないと判定される。
【0031】
次に、コンタクト情報集約部33による正確な情報(最新の情報)の推定方法について説明する。コンタクト情報集約部33は、同一人物で異なる属性情報が収集された場合、予め設定されるアルゴリズムによって最も正しい可能性の高い情報を識別することができる。アルゴリズムは、複数のデータソースに情報の重みづけの観点を持たせて設定される。
【0032】
まず、本実施形態のコンタクト情報集約部33は、アルゴリズムの一例として、「一致する件数」、「時系列情報」、「外部参照情報」のうち少なくとも1つに基づいて最新の情報を推定(して集約)する方法について説明する。
【0033】
まず、「一致する件数」を利用した推定において、一致する件数が多い属性情報を最新の情報に設定する例を説明する。
図4の例では、A社~D社から取得されるコンタクト情報には、人物が所属する組織名としての「法人名」、人物の氏名としての「担当者名」、担当者が所属する所属先としての「所属部署」及び人物が担う役職を示す「役職」が含まれる。この例では、A社~D社から取得されたコンタクト情報は、「法人名」と「担当者名」は、全て一致している。そのため、これらのコンタクト情報は、同一人物と推定できる。一方、「所属部署」と「役職」については、D社のコンタクト情報のみ一致していない。コンタクト情報集約部33は、一致する件数が多い情報を最新の情報に設定する。即ち、D社のコンタクト情報に含まれる「所属部署」と「役職」が最新ではないと判定する。
なお、「一致する件数」を用いて、一致する件数が少ない属性情報を最新の情報に設定してもよい。これは、名刺情報等の場合、最新の情報(名刺)が広く拡散されるまでに時間がかかるため、序盤は一致する件数が少ない属性情報が最新の情報である場合があるためである。
【0034】
次に、「時系列情報」を利用した推定について説明する。時系列情報を利用した推定では、コンタクト情報が生成されたデータ生成日時やコンタクト情報取得部31によってコンタクト情報が取得された取得日時等の時系列を示す時系列情報が利用される。時系列情報がデータ生成日時の場合はコンタクト情報に含まれてもよいし、時系列情報がデータ取得日時の場合はコンタクト情報取得部31が時系列情報を付与してもよい。また、時系列情報は、日時に限定される訳ではなく日であってもよい。このように、時系列情報は、コンタクト情報の時系列を示す情報であればよく、取得先や取得方法が特に限定される訳ではない。
【0035】
時系列情報を利用した推定では、時系列情報が最新の日時(最新の日)の情報が最新の情報に設定される。D社の時系列情報が最新の場合は、A社~C社のコンタクト情報が未だ最新の情報に更新されていないと推定し、不一致であったD社の「所属部署」と「役職」が時系列から信頼性の高い情報として最新の属性情報に設定される。この場合、A社~C社の「所属部署」と「役職」が古い属性情報となる。
【0036】
次に、「外部参照情報」を利用した推定について説明する。外部参照情報は、例えば、法人名と同一の法人から発信されるIR(Investor Relations)情報、法人名と同一の法人のHP(Home Page)情報等のオフィシャルデータや、法人又は人物に関するSNS(Social Networking Service)情報である。外部参照情報は、情報処理装置1に接続される管理者端末5から所定のタイミングで情報処理装置1に入力されてもよいし、ウェブサイトやSNSを巡回して情報を自動的に取得するロボットによって情報処理装置2に入力されてもよい。外部参照情報は、例えば、法人名や担当者名に関連付けられて関連性情報記憶部42に記憶される。
【0037】
外部参照情報を利用した推定では、取得したコンタクト情報に対応する外部参照情報が存在する場合に、当該外部参照情報に一致する情報を最新の情報に設定する。
図4の例において、D社のコンタクト情報に含まれる「所属部署」と「役職」は数の観点では信頼性が低いが、外部参照情報の担当者に対応する「所属部署」と「役職」がD社の情報に一致する場合はD社のコンタクト情報を信頼性が高い情報と考えることができる。この場合、D社の「所属部署」と「役職」が最新の属性情報に設定される。
【0038】
以上、一致する件数、時系列情報又は外部参照情報を利用する推定方法について説明した。コンタクト情報集約部33による推定は、一致する件数、時系列情報又は外部参照情報の何れかのみを利用してもよいし、一致する件数、時系列情報、外部参照情報を組み合わせて利用してもよい。
【0039】
一致する件数、時系列情報、外部参照情報を組み合わせる場合は、何れかの情報に重み付けを行って優先的に判定するようにしてもよい。例えば、一致する件数と時系列情報を組み合わせて使用する場合に、時系列情報を優先情報とすることができる。
図4の例において、A社~D社のデータにおいて不一致するのはD社の「所属部署」と「役職」だけであり、数の観点ではD社の信頼性は低いと考えることができる。しかし、D社の時系列情報が最新の場合は、時系列の観点では、D社のみが最新の情報を取得する一方、A社~C社が最新の情報を取得していない状態と考えることができる。この場合、D社の「所属部署」と「役職」が最新の情報として推定される。
【0040】
また、一致する件数、時系列情報、外部参照情報を組み合わせる場合において優先順位を設定することもできる。例えば、時系列情報、外部参照情報、一致する件数の順に優先順位を設定することもできる。
【0041】
また、一致する件数を利用する推定において、多数決ではなく少数決を用いることもできる。例えば、一致する件数と時系列情報を組み合せた推定において時系列が最新であり、少数の場合はD社のみが最新の情報を取得する一方、A社~C社が最新の情報を取得していない蓋然性が高いと推定してもよい。
【0042】
また、取得するユーザ(A社~D社)、コンタクト情報管理システム2a~2d又はこれらの組合せに対して重み付けをした優先設定を行うことができる。例えば、ユーザの情報の取得状況や、過去の更新頻度等に応じて特定の会社(例えば、B社)を優先的に設定したり、逆に優先度を低くするように設定したりすることもできる。
【0043】
更に、コンタクト情報集約部33は、同一人物が複数の組織に所属するような場合を考慮し、異なる法人名のコンタクト情報を検出しても削除することなく、関連性情報記憶部42に記憶させる処理を実行することもできる。この場合、同一人物に対して複数の法人名が関連付けられることになる。
【0044】
≪コンタクト情報反映部34≫
コンタクト情報反映部34(コンタクト情報反映手段)は、集約して最新の情報に更新されたコンタクト情報の内容をコンタクト情報管理システム2a~2dに送信する。
【0045】
図4の例において、不一致となったD社の「所属部署」と「役職」が、A社~C社に共通する「所属部署」と「役職」に更新される場合、コンタクト情報反映部34は、API等を通じてD社のコンタクト情報管理システム2dに更新後の「所属部署」と「役職」を示す情報を送信する。D社のコンタクト情報管理システム2dは、更新後の「所属部署」と「役職」を示す情報を受信すると、同社のコンタクト情報を受信した情報に基づいて更新する。
【0046】
図4の例において、不一致となったD社の「所属部署」と「役職」が信頼性のある情報と推定され、A社~C社の「所属部署」と「役職」が更新される場合、コンタクト情報反映部34は、API等を通じてA社~C社のそれぞれのコンタクト情報管理システム2a~cに更新後の「所属部署」と「役職」を示す情報を送信する。これにより、A社~C社のコンタクト情報が最新のものに更新される。
【0047】
<処理内容>
次に、
図5を参照し、情報集約処理の流れについて説明する。
図5は、本実施形態に係る情報処理装置1による情報集約処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0048】
ステップS1において、コンタクト情報取得部31は、複数のユーザ(A社~D社)からコンタクト情報を取得する処理を実行する。コンタクト情報を取得するタイミングは、複数のユーザごとに異なっていてもよいし、同時に行ってもよい。取得したコンタクト情報は、コンタクト情報記憶部41に記憶される。
【0049】
ステップS2において、コンタクト情報関連付け部32は、取得した複数のユーザのコンタクト情報の中から同一人物と推定できるグループを検出し、当該グループのコンタクト情報を関連付けて関連性情報記憶部42に記憶する。
【0050】
ステップS3において、コンタクト情報集約部33は、同一人物のものとして関連付けられた複数のコンタクト情報の内容を解析し、予め設定される優先情報に基づいて最新の情報を推定して更新する処理を実行する。
【0051】
ステップS4において、コンタクト情報集約部33は、推定処理の結果、最新の情報を推定することが困難か否かを判定する。コンタクト情報集約部33は、最新の情報を推定することが可能と判定された場合は、処理をステップS5に進める(ステップS4;Yes)。
【0052】
ステップS5において、コンタクト情報反映部34は、コンタクト情報管理システム2a~2dに対して更新すべき情報があるか否かを判定する。コンタクト情報管理システム2a~2dに対して更新すべき情報があると判定された場合は、処理をステップS6に進める(ステップS5;Yes)。A社~D社のコンタクト情報の内容が全て一致する等、コンタクト情報管理システム2a~2dに対して更新すべき情報がないと判定された場合は、コンタクト情報管理システム2a~2dのコンタクト情報が更新しなくても最新ということになる。この場合、処理は、ステップS6を経ることなく、ステップS1に戻ることになる(ステップS5;No)。
【0053】
ステップS6において、コンタクト情報反映部34は、コンタクト情報管理システム2a~2dに更新すべき情報を送信する。これにより、コンタクト情報管理システム2a~2dのコンタクト情報が最新となる。ステップS6の処理の後、処理はステップS1に戻る。
【0054】
ステップS4において、A社~D社のコンタクト情報の内容の全てが異なる等、最新の情報を推定できないと状態にあると判定された場合は、コンタクト情報集約部33は処理をステップS7に進む(ステップS4;Yes)。ステップS7において、コンタクト情報集約部33は、管理者端末5に最新の情報に設定できなかったことを示すアラーム情報を送信する報知処理を実行する。ステップS7の処理の後、処理はステップS1に戻り、以降同様の処理が実行される。
【0055】
なお、この報知処理では、コンタクト情報集約部33は、情報集約システム100の管理者への通知を行う構成であるが、ユーザ(A社~D社)のコンタクト情報管理システム2a~2dの管理者(不図示の管理者端末)にアラーム情報を送信する構成としてもよい。
【0056】
<その他>
換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
(1)すなわち、複数のユーザが使用する所定のコンタクト情報管理システム(例えば、コンタクト情報管理システム2a~2d)が管理する所定のコンタクト情報を前記ユーザからの許諾に基づいて取得するコンタクト情報取得手段(例えば、コンタクト情報取得部31)と、取得した複数の前記コンタクト情報を分析して同一人物の情報(もの)と推定される前記コンタクト情報を関連付けて記憶するコンタクト情報関連付け手段(例えば、コンタクト情報関連付け部32)と、関連付けて記憶した複数の前記コンタクト情報について正確な情報(最新のもの)と推定される内容に集約するコンタクト情報集約手段(例えば、コンタクト情報集約部33)と、を有する情報処理装置である。
これにより、担当変更等の実情が反映された情報を複数の企業間で利用できる。最新の情報を利用して営業活動を行うことができるので、業務効率を向上させることができる。また、営業を受ける側の企業も、担当者が異なるために新たな担当者を連絡する等の作業を行う必要がなくなる。ユーザ単独では情報更新性に限界があるが、複数のユーザの情報を集約して最新の情報に更新することで、複数のユーザが正しい情報に基づいて営業活動を行うことができる。
【0057】
(2)また、前記コンタクト情報集約手段は、前記コンタクト情報の内容について、前記コンタクト情報取得手段が取得した時系列に基づいて最新の情報を優先して集約するとよい。
これにより、複数のコンタクト情報の中から時系列を利用して新しい信頼度の高い情報を選別することができるので、より推定精度を向上させることができる。
なお、本実施形態では、コンタクト情報集約部33は、コンタクト情報取得部31が取得する時系列に関する時系列情報に基づいて最新の情報を推定すると捉えることもできる。
【0058】
(3)また、前記コンタクト情報集約手段は、前記コンタクト情報の内容について、前記コンタクト情報取得手段が取得した件数に基づいて最も件数が多い情報を優先して集約するとよい。
これにより、例えば、A社~D社から取得したコンタクト情報の中で共通する数が多く、信頼性の高い内容にコンタクト情報が更新されることになり、より推定精度を向上させることができる。
なお、本実施形態では、コンタクト情報集約部33は、複数のコンタクト情報のうち、内容が共通する数の多い情報を優先して最新の情報を推定すると捉えることもできる。
【0059】
(4)また、前記コンタクト情報集約手段は、前記コンタクト情報の内容について、集約が困難と判断した場合に管理者にその旨を報知するとよい。
これにより、報知処理を通じて最新の情報に設定できなかったことを速やかに把握できる。例えば、関連性情報記憶部42に記憶されている適切に推定できなかったコンタクト情報のグループを確認し、手動で適切な情報に変更する処理も速やかかつ容易に行うことができる。
なお、本実施形態では、コンタクト情報集約部33は、コンタクト情報の内容について、推定が困難と判定した場合に管理者にその旨を報知すると捉えることもできる。
【0060】
(5)また、集約した前記コンタクト情報の内容を前記コンタクト情報管理システムに送信するコンタクト情報反映手段(例えば、コンタクト情報反映部34)を、さらに有するとよい。
これにより、情報ソースである各コンタクト情報管理システム2a~2dに対して最新の情報に更新されたコンタクト情報をフィードバックすることができる。コンタクト情報管理システム2a~2dの管理者やユーザの手間を省き、より効率的な営業活動を実現できる。
なお、本実施形態の情報処理装置1は、推定したコンタクト情報の内容をコンタクト情報管理システム2a~2dに送信するコンタクト情報反映部34を更に備えると捉えることもできる。
【0061】
(6)なお、本発明は、複数のユーザが使用する所定のコンタクト情報管理システムが管理する所定のコンタクト情報を前記ユーザからの許諾に基づいて取得するコンタクト情報取得ステップと、取得した複数の前記コンタクト情報を分析して同一人物の情報と推定される前記コンタクト情報を関連付けて記憶するコンタクト情報関連付けステップと、関連付けて記憶した複数の前記コンタクト情報について正確な情報と推定される内容に集約するコンタクト情報集約ステップと、を有する情報処理方法と捉えることもできる。
【0062】
(7)なお、本発明は、複数のユーザが使用する所定のコンタクト情報管理システムが管理する所定のコンタクト情報を前記ユーザからの許諾に基づいて取得するコンタクト情報取得ステップと、取得した複数の前記コンタクト情報を分析して同一人物の情報と推定される前記コンタクト情報を関連付けて記憶するコンタクト情報関連付けステップと、関連付けて記憶した複数の前記コンタクト情報について正確な情報と推定される内容に集約するコンタクト情報集約ステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0064】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に上述の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、特に限定されず、任意でよい。例えば、情報処理装置の機能ブロックを他の装置等に移譲させてもよい。逆に他の装置の機能ブロックをサーバ等に移譲させてもよい。また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0065】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0066】
このようなプログラムを含む記録媒体は、プログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で提供される記録媒体等で構成される。プログラムはネットワークを介して配信可能であることから、記録媒体は、ネットワークに接続された、或いは接続可能なコンピュータに搭載、或いはアクセス可能なものであってもよい。
【0067】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【符号の説明】
【0068】
1:情報処理装置
2,2a~2d:コンタクト情報管理システム
31:コンタクト情報取得部
32:コンタクト情報関連付け部
33:コンタクト情報集約部
34:コンタクト情報反映部
41:コンタクト情報記憶部
42:関連性情報記憶部
100:情報集約システム