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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025032659
(43)【公開日】2025-03-12
(54)【発明の名称】対地バリア
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/02 20060101AFI20250305BHJP
   H01H 73/20 20060101ALI20250305BHJP
   H02B 1/40 20060101ALI20250305BHJP
【FI】
H01H73/02 B
H01H73/20 Z
H02B1/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138069
(22)【出願日】2023-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】君島 芳幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 朗史
【テーマコード(参考)】
5G030
5G211
【Fターム(参考)】
5G030EA05
5G030XX20
5G211AA08
5G211AA10
(57)【要約】
【課題】対地バリアにおいて、外れやすさを改善し、負荷側でも使用を可能にする。
【解決手段】対地バリア21は、バリア板22と、レバー部24と、を備えている。バリア板22は、回路遮断器11の取付面に沿って設けられる。レバー部24は、バリア板22から突出し、先端に形成された爪26が回路遮断器11に嵌まり合う。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路遮断器の取付面に沿って設けられるバリア板と、
前記バリア板から突出し、先端に形成された爪が前記回路遮断器に嵌まり合うレバー部と、を備えることを特徴とする対地バリア。
【請求項2】
前記レバー部の爪は、前記回路遮断器の樹脂筐体のうち端子の裏側に形成された凸部に嵌まり合うことを特徴とする請求項1に記載の対地バリア。
【請求項3】
前記端子ごとに前記バリア板から突出した基部を備え、
前記レバー部は、前記基部における幅方向の一端及び他端の少なくとも一方から突出していることを特徴とする請求項2に記載の対地バリア。
【請求項4】
前記基部には、幅方向の中央で先端から基端に向かって延び、前記レバー部における幅方向の弾性変形を許容するスリットが形成されていることを特徴とする請求項3に記載の対地バリア。
【請求項5】
幅方向の一端にある前記基部には、幅方向の他端から突出して前記凸部に嵌まり合う前記レバー部が形成され、幅方向の一端から突出して前記凸部に隣接する位置決め部が形成され、
幅方向の他端にある前記基部には、幅方向の一端から突出して前記凸部に嵌まり合う前記レバー部が形成され、幅方向の他端から突出して前記凸部に隣接する位置決め部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の対地バリア。
【請求項6】
幅方向の両端を除いた位置にある前記基部には、幅方向の一端及び他端の双方から突出して前記凸部に嵌まり合う前記レバー部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の対地バリア。
【請求項7】
前記レバー部は、前記位置決め部よりも細く形成されていることを特徴とする請求項5に記載の対地バリア。
【請求項8】
前記バリア板の表面には、前記回路遮断器の裏側にどこまで差し込めば前記レバー部が前記凸部に嵌まり合うかを示した印が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の対地バリア。
【請求項9】
前記回路遮断器は、配線の接続方式が表面形であることを特徴とする請求項1に記載の対地バリア。
【請求項10】
前記凸部は、六角柱状であり、幅方向の両側で対向する二辺が差し込み方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項2に記載の対地バリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対地バリアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回路遮断器の取付面に取り付けて、配線周りの対地絶縁を強化する対地バリアについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4-64906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対地バリアは、一般に回路遮断器に差し込むだけの構造であるため、外れやすく、また下方から差し込むことになる負荷側では使用できなかった。
本発明の目的は、対地バリアにおいて、外れやすさを改善し、負荷側でも使用を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る対地バリアは、バリア板と、レバー部と、を備えている。バリア板は、回路遮断器の取付面に沿って設けられている。レバー部は、バリア板から突出し、先端に形成された爪が回路遮断器に嵌まり合う。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、レバー部の爪が回路遮断器に嵌まり合うことで、外れにくくなる。したがって、下方から差し込む負荷側でも使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】対地バリアを示す図である。
図2】回路遮断器の裏面を示す図である。
図3】回路遮断器の凸部を示す図である。
図4】対地バリアを示す図である。
図5】取り付け前の状態を示す図である。
図6】取り付け後の状態を示す図である。
図7】取り付け後の表側を示す図である。
図8】取り付け後の裏側を示す図である。
図9】比較例における取り付け前の状態を示す図である。
図10】比較例における取り付け後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
《実施形態》
《構成》
以下の説明では、互いに直交する三方向を、便宜的に、縦方向、幅方向、及び奥行方向とする。縦方向は、上下方向である。
図1は、回路遮断器11を示す図である。
図中の(a)は、回路遮断器11を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の手前から見た状態を示している。図中の(b)は、回路遮断器11を、幅方向の一方から見た状態を示している。回路遮断器11は、縦方向及び幅方向に沿った取付面12に取り付けられている。回路遮断器11の極数は三であり、各端子13には拡張バーが接続されている。ここでは、一例として電源側だけ電線14を接続してある。回路遮断器11には、付属品として対地バリア21が取り付けられている。対地バリア21は、回路遮断器11における筐体のうち端子13の裏側に取り付けられ、取付面12に沿って設けれることによって配線周りの対地絶縁を強化している。
【0010】
図2は、回路遮断器11の裏面を示す図である。
ここでは、回路遮断器11を、縦方向の一方、幅方向の他方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。回路遮断器11における樹脂製の筐体には、端子13の裏側に凸部16が形成されている。回路遮断器11は、配線の接続方式が表面から配線する一般的な表面形である。なお、裏側から配線する裏面形では、凸部16を切除したうえで、端子13にスタッドを取り付け、裏側に突出したスタッドに配線される。実施形態では、凸部16に対地バリア21が取り付けられるため、配線の接続方式が表面形の回路遮断器11に限定される。
【0011】
図3は、回路遮断器11の凸部16を示す図である。
図中の(a)は、回路遮断器11の凸部16を、縦方向の一方、幅方向の他方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。図中の(b)は、回路遮断器11の凸部16を、縦方向の一方から見た状態を示している。回路遮断器11における筐体の裏面には、取付面17よりも奥行方向の手前に向かって対地バリア21の厚さ分だけ凹となる凹面18が形成されている。取付面17及び凹面18は、何れも縦方向及び幅方向に沿った平面である。凸部16は、凹面18よりも奥行方向の奥に向かって凸となり、先端面は、取付面17と略面一であり、取付面17よりも出っ張らないように設定されている。凸部16は、正六角柱状であり、幅方向の両側で対向する二辺が縦方向に沿って形成されている。
【0012】
図4は、対地バリア21を示す図である。
図中の(a)は、対地バリア21を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の手前から見た状態を示している。対地バリア21は、絶縁性を有する樹脂製であり、縦方向及び幅方向に沿った平板状に形成され、バリア板22と、基部23と、レバー部24と、位置決め部25と、を備えている。バリア板22は、回路遮断器11よりも僅かに幅広である。図中の(b)は、基部23の周辺を、奥行方向の手前から見た状態を示している。基部23は、凸部16ごとにバリア板22から縦方向の内側つまり回路遮断器11の側に向かって突出している。基部23は、幅寸法が凸部16よりも大きく、先端側は、凸部16の二辺が嵌まり合うように縦方向の外側つまり回路遮断器11の反対側に向かって凹となるV字状に形成されている。
【0013】
幅方向の一端にある基部23には、幅方向の他端から縦方向の内側に向かって突出して凸部16に嵌まり合うレバー部24が形成され、幅方向の一端から縦方向の内側に向かって突出して凸部16に隣接する位置決め部25が形成されている。幅方向の他端にある基部23には、幅方向の一端から縦方向の内側に向かって突出して凸部16に嵌まり合うレバー部24が形成され、幅方向の他端から縦方向の内側に向かって突出して凸部16に隣接する位置決め部25が形成されている。幅方向の中央にある基部23には、幅方向の一端及び他端の双方から縦方向の内側に向かって突出して凸部16に嵌まり合う一対のレバー部24が形成されている。レバー部24は、幅方向の寸法が位置決め部25よりも細く形成されることで、幅方向の弾性変形が許容される。レバー部24の先端には、内側に向かって凸となる爪26が形成されている。基部23、レバー部24、及び位置決め部25で囲まれた領域、並びに基部23、及び一対のレバー部24で囲まれた領域は、凸部16が嵌まり合う。
【0014】
基部23には、スリット27が形成されている。スリット27は、基部23における幅方向の中央、且つ凸部16が嵌まり合う内角の頂点で、縦方向に沿って基部23の先端から基端に向かって直線状に延びている。スリット27は、レバー部24における幅方向の弾性変形を許容する。
バリア板22の表面には、縦方向の内側に、差し込みライン31と、ブロック矢印32と、が形成されている。差し込みライン31は、厚さ方向に凹となる幅方向に沿った直線状の溝であり、回路遮断器11の裏側にどこまで差し込めばレバー部24が凸部16に嵌まり合うかを示した目印である。ブロック矢印32は、デボス加工によって厚さ方向に凹となり、対地バリア21の差し込み方向を示し、且つ縦方向の内側にある差し込みライン31を指す記号である。回路遮断器11の裏側に対地バリア21を差し込み、差し込みライン31が回路遮断器11における縦方向の一端又は他端まで到達したときに、レバー部24が凸部16に嵌まり合ったことを示す。
【0015】
次に、対地バリア21の取り付けについて説明する。
図5は、取り付け前の状態を示す図である。
ここでは、回路遮断器11及び対地バリア21を、縦方向の一方、幅方向の他方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。回路遮断器11の裏側に対地バリア21を差し込む。
図6は、取り付け後の状態を示す図である。
ここでは、回路遮断器11及び対地バリア21を、縦方向の一方、幅方向の他方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。図示を省略しているが、回路遮断器11は取付面12に取り付けられているものとする。対地バリア21は、取付面12に沿って差し込まれているため、奥行方向の奥に倒れたり外れたりすることはない(図1の(b)を参照)。
【0016】
図7は、取り付け後の表側を示す図である。
ここでは、回路遮断器11及び対地バリア21を、縦方向の一方、幅方向の一方、及び奥行方向の手前から見た状態を示している。回路遮断器11の裏側に対地バリア21を差し込み、差し込みライン31が回路遮断器11における縦方向の一端又は他端まで到達したときに、レバー部24が凸部16に嵌まり合ったことを示している。
図8は、取り付け後の裏側を示す図である。
図中の(a)は、凸部16を、縦方向の一方、幅方向の他方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。図中の(b)は、凸部16を、奥行方向の奥から見た状態を示している。基部23、レバー部24、及び位置決め部25で囲まれた領域、並びに基部23、及び一対のレバー部24で囲まれた領域に、凸部16が嵌まり合っている。このとき、基部23の表面は、凹面18に面接触している。レバー部24は、幅方向の弾性変形が許容されることで、スナップフィットとして凸部16に嵌まり合う。一方、位置決め部25は、幅方向の弾性変形が許容されないため、対地バリア21における幅方向の位置が固定される。
【0017】
《作用効果》
次に、実施形態の主要な作用効果について説明する。
対地バリア21は、バリア板22と、レバー部24と、を備えている。バリア板22は、回路遮断器11の取付面に沿って設けられる。レバー部24は、バリア板22から突出し、先端に形成された爪26が回路遮断器11に嵌まり合う。このように、レバー部24の爪26が回路遮断器11に嵌まり合うことで、外れにくくなる。したがって、下方から差し込む負荷側でも使用が可能となる。
【0018】
レバー部24の爪26は、回路遮断器11の樹脂筐体のうち端子13の裏側に形成された凸部16に嵌まり合う。既存の凸部16を利用して対地バリア21を固定できるので、コストの増大を抑制できる。
対地バリア21は、端子13ごとにバリア板22から突出した基部23を備えている。レバー部24は、基部23における幅方向の一端及び他端の少なくとも一方から突出している。これにより、複数の箇所でレバー部24を嵌め合わせ、取り付け強度を向上させることができる。
【0019】
基部23には、幅方向の中央で先端から基端に向かって延び、レバー部24における幅方向の弾性変形を許容するスリット27が形成されている。これにより、スナップフィットのようにレバー部24を凸部16にスムーズに嵌め合わせることができる。
幅方向の一端にある基部23には、幅方向の他端から突出して凸部16に嵌まり合うレバー部24が形成され、幅方向の一端から突出して凸部16に隣接する位置決め部25が形成されている。幅方向の他端にある基部23には、幅方向の一端から突出して凸部16に嵌まり合うレバー部24が形成され、幅方向の他端から突出して凸部16に隣接する位置決め部25が形成されている。これにより、幅方向の両端に位置する一対の位置決め部25が、対地バリア21における幅方向のガタつきを抑制し、堅固に固定することができる。
【0020】
幅方向の両端を除いた位置にある基部23には、幅方向の一端及び他端の双方から突出して凸部16に嵌まり合うレバー部24が形成されている。これにより、弾性変形するときの反力が一対のレバー部24で相殺し合い、回路遮断器11の裏側に対地バリア21を差し込むときの姿勢や幅方向の位置を安定させることができる。
レバー部24は、位置決め部25よりも細く形成されている。これにより、レバー部24における幅方向の弾性変形を許容し、スナップフィットのようにスムーズに嵌め合わせることができる。また位置決め部25における幅方向の弾性変形を抑制することで、対地バリア21における幅方向のガタつきを抑制し、堅固に固定することができる。
【0021】
バリア板22の表面には、回路遮断器11の裏側にどこまで差し込めばレバー部24が凸部16に嵌まり合うかを示した差し込みライン31及びブロック矢印32が設けられている。これにより、レバー部24が凸部16に嵌まり合ったことを、表側から目視で確認することができる。
回路遮断器11は、配線の接続方式が表面形である。これにより、既存の凸部16を利用して対地バリア21を固定できるので、コストの増大を抑制できる。
凸部16は、六角柱状であり、幅方向の両側で対向する二辺が差し込み方向に沿って形成されている。これにより、レバー部24の爪26を凸部16の辺に沿ってスムーズに案内することができる。
【0022】
次に、比較例について説明する。
比較例では、対地バリアを回路遮断器の裏側に差し込むだけの構造について説明する。
図9は、比較例における取り付け前の状態を示す図である。
ここでは、回路遮断器41及び対地バリア42を、縦方向の一方、幅方向の他方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。回路遮断器41の裏側に対地バリア42を差し込む。
図10は、比較例における取り付け後の状態を示す図である。
ここでは、回路遮断器41及び対地バリア42を、縦方向の一方、幅方向の他方、及び奥行方向の奥から見た状態を示している。対地バリア42は、回路遮断器41の裏側に差し込まれるだけであるため、外れやすく、また下方から差し込むことになる負荷側では使用できなかった。
【0023】
《変形例》
実施形態では、極数が三である回路遮断器11について説明したが、これに限定されるものではない。極数が二又は四である回路遮断器に適用してもよい。極数が二である回路遮断器の場合には、何れの基部23においてもレバー部24及び位置決め部25が一つずつ形成される。極数が四である回路遮断器の場合には、幅方向の両端にある基部23にレバー部24及び位置決め部25が一つずつ形成され、幅方向の両端を除いた基部23に一対のレバー部24が形成される。
【0024】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
【符号の説明】
【0025】
11…回路遮断器、12…取付面、13…端子、14…電線、16…凸部、17…取付面、18…凹面、21…対地バリア、22…バリア板、23…基部、24…レバー部、25…位置決め部、26…爪、27…スリット、31…差し込みライン、32…ブロック矢印、41…回路遮断器、42…対地バリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10